2008年4月23日水曜日

事務改革の取組み-京都大学の巻

前回ご紹介した豊橋技術科学大学とは一味違った京都大学における事務改革をご紹介します。

少し古い話になりますが、「今、ここから一歩踏み出そう!『私』の隣に座る『あなた』へのメッセージ」と題した若手事務職員を中心としたプロジェクトチーム「KUF」による提言が京都大学のホームページで公表されています。

若手事務職員中心の改革行動は、少なくとも国立大学が国の時代にはあまり耳にしませんでしたし、将来の京都大学を担う事務職員の真摯な取組姿勢は、おそらく全国の若手事務職員に勇気とやる気を十分に与える契機になったことでしょう。

京都大学のホームページに書かれた彼らからのメッセージは次のようなものでず。


学生及び教職員の皆様へ(KUFプロジェクト・チーム)

7月25日(火曜日)に、京都大学における事務改革のひとつの取組として、若手事務職員の提言を役員等に聞いていただくという趣旨で「役員等と若手事務職員との懇談会」が開催され、私たち若手事務職員有志から成るKUF(Kyoto University's Future)プロジェクト・チームが、「今、ここから一歩踏み出そう!」というテーマでプレゼンテーションを行いました。

KUFプロジェクト・チームでは、京都大学及び京都大学職員の将来について、今後も本学の学生及び教職員の皆様とともに考えていき、よりよい京都大学を創っていきたいという思いから、4ヶ月間の活動の成果を綴った「KUFプロジェクト報告書」及び「理想の京都大学職員像」を広く皆様にご覧いただくこととしました。

是非、ご意見やご感想をいただき、私たちの次のステップへつなげていきたいと考えています。


「KUF」の報告書における前文は次のとおりです。

1.はじめに

「こうやってみんなで話すっていう雰囲気が今はないよね。」「今日は楽しかった。また集まろう!」

2004年、冬 。私たちの「 若手勉強会」を 立ち上げるきっかけとなる出来事でした。場所は、京都大学近くのカフェ・レストランのソファー席。その後に発起人となる若手職員数名は、わずかな期間しか京都大学での勤務経験のない職員ではありましたが、京都大学、日本の大学、世界の大学を取り巻く環境がめまぐるしく変わっていく様子を目の当たりにし、京都大学職員として自分たちはどうあるべきなのか、何をすべきなのかについて悩んでいました。そしてこの日、たまたま集まって語り合ううちに、お互いを尊敬し、意見を交わすことの大切さと楽しさを深く感じ取ったのでした。

それから「若手勉強会」の立ち上げまでには、それほどの日数を要しませんでした。「大学に関連する諸問題について自主的に学習し議論していく「場」を一緒に持ちませんか。」-こう呼びかけて開催の日を待ちました。

記念すべき第1回「若手勉強会」の開催日は、2005年2月17日。初めは、参加者は数名であり、互いの業務を紹介する形式の勉強会が続きました。その後、勉強会の形式は多様化し、本学の役員、幹部職員、教員、他大学の役員及び幹部職員等優れた専門知識を持つ方々を学内外から講師として招いて講義をしていただいたり、ワ ークショップ形式でコーチングを体験したり、民間企業の若手社員を招いて各々の置かれる職場環境を比較したりして、現在に至るまで月2回の頻度で勉強会を開催してきました。また、当初は数名であった勉強会の出席者は、時に数十名を越えるまでになりました。

それから 、 定期的な勉強会の開催だけでなく、メーリングリスト「Young_Administrators」を通じて、情報及び意見交換も行ってきました。現在、このメーリングリストへの登録者は事務職員だけでなく教員をも含み、その数は50名を超えました。

「若手勉強会」の立ち上げから1年余。メンバーの間に、ただ話を聞いて座って勉強するだけではなく、何か行動をしてみたい、という気持ちが芽生えはじめた頃でした。時機を得たように、「 役員の皆様の前でプレゼンテーションをしないか」というお話をいただき、私たちはプロジェクト・チームを結成することにしました。

「私たちの働く京都大学の将来について、真剣に考えてみたい。」「 私たち京都大学職員は、京都大学の中でどのような役割を演じ、どのように進んで行くべきなのかを考えてみたい。」「 私たちのメッセージを伝えたい。」、 そんな思いから若手勉強会のメンバーのうち、16名で京都大学将来プロジェクト・チーム(Kyoto University’s Future Project Team:以下「KUFプロジェクト・チーム」と呼ぶ)を結成しました。

KUFプロジェクト・チームは、4月からの約4ヶ月間、京都大学について、そして京都大学職員の現在と将来について、様々な角度から話し合いを行い、その成果を報告書というかたちでまとめました。

本報告書では、日々の業務の中で迷いやためらいを抱く若手職員の「私」が、「 理想の京都大学職員像」を目指して、「 今、ここから、何をはじめればよいのか」を考えていきます。「私」は、特に優れた能力を持つ職員でもなく、特に積極的な職員でもありません。

自分の周囲が少し変わりはじめ、自分自身も何かをはじめたいけれど、中々はじめの一歩を踏み出せずにいる、それが「私」です。

ここに登場する「私」の姿は、KUFメンバーの私たちの姿であり、隣に座る私たちの同僚の姿であり、そして、これを読んでいる「あなた」の姿でもあります。

「あなた」も、「私」と一緒に理想の京都大学職員を目指してみませんか?


「KUF]の報告書は次のような構成になっています。

1  はじめに
2  「私」は、こんな京都大学職員になりたい!
2-1 「私」のいる場所、京都大学
2-2 「私」が目指す理想の京都大学職員像
2-3 「私」が選べる様々な道のり
3  「私」は、こんな風にはじめたい!
3-1 決められる「私」、決めていい「私」
3-2 意見が言える「私」、意見を聞ける「私」
3-3 自分をほめる「私」、「あなた」をほめる「私」
3-4 京都大学とともに歩む「私」、京都大学の中にいる「私」
3-5 京都大学を創る私、だから行動する「私」!


京都大学のホームページで公表されている「KUF」の活動報告書には次のようなものがあります。是非、ご一読ください。