2008年9月30日火曜日

経営的視点からみた大学のあるべき姿とは(3)

近年、国立大学の現場は、運営費交付金の削減や評価の強化、新たな業務の急増等で大変疲弊した状態にあり、早急にガバナンス改革、事務改革、人事制度改革、財政改革を本気になって取り組む必要があります。

特に、今後の大学経営にとって、「ガバナンス改革」は重要な課題と思われ、学長以下構成員が一丸となって取り組まなければなりません。しかしながら、一般的に企業における経営の概念として用いられている「ガバナンス」*1を、使命・役割が全く異なる大学にそのまま当てはめて考えることは適切ではなく、それぞれの大学に求められる経営の在り方に最適な「ガバナンス」の構築を目指すことが必要ではないかと思います。


今日は、日本総合研究所主任研究員の中原隆一氏が書かれた「大学におけるガバナンス」(2008年8月25日)をご紹介します。

近年大学改革の流れの中で、大学においてもガバナンスやアカウンタビリティ等の企業の経営概念が適用されてきている。大学進学率が上昇し、多くの人々が大学への関心を深め、大学と社会との関わり合いが拡大していることが背景にある。

ここではコーポレート・ガバナンスの概念を大学に適用することに関しての注意点を検討してみたい。なおコーポレート・ガバナンスについては様々な考え方がなされているが、「最終的には企業が誰のものか」、「どのように企業の活動をコントロールしていくか」に収斂する。本稿においても「大学は誰のものか」、「どのように大学の活動をコントロールするか」の視点を踏まえて、ガバナンスの仕組みを検討してみたい。

大学の組織体としての特異性

筆者は各大学の経営改革や業務改革等をお手伝いする機会があるが、コーポレート・ガバナンスという視点からみると、大学が組織体として特異な存在であることをしばしば感ずることがある。どのような点が特異か、以下3点について述べる。

第一は教職員の意識である。
わが国の企業では企業と従業員を運命共同体としてとらえる傾向がある。終身雇用制が崩れ弱まりつつあるが、企業は従業員とともにあるという意識は依然根強く残っている。わが国企業のガバナンスにはこの共同体意識が少なからず影響している。共同体意識の下、日常的な運営はトップ主導よりもミドルやボトム主導で行われていることが多く、従業員が企業活動をコントロールしている。また経営者と従業員の共同体意識は「企業は株主のものである」というガバナンス概念への抵抗感を生じさせている。

この共同体意識は一部の例外を除き大学では希薄である。例えば常勤教員は、大学に雇用されているという意識よりも、専攻する研究分野のプロとして、大学に所属しているという認識が強い。また常勤職員は、大学の事業である教育や研究への参画度合いや大学経営への参画機会が少ないため、企業の従業員に比べ共同体意識や帰属意識が希薄になっている。

大学のガバナンスを考える上では、構成員である教員と職員の帰属意識、共同体意識が企業と比べ、希薄であることを十分認識しておく必要がある。

第二は教授会の存在である。
大学は法的な組織体制としては、学校法人、国立大学法人、公立大学法人等多様な組織形態があるが、いずれの組織形態でも実質的に大学運営の中核は教授会が担っている。


法的には大学のガバナンスは私立大学では理事会や評議会、国立大学では役員会や経営協議会が大学の意思決定機関として設置されている。ところが殆どの大学では教授会という会議体が実際上は意思決定に大きな影響力を持っている。教授会は教育と研究つまり教学分野についての検討機関であるが、教学分野の検討内容は殆どの場合経営問題につながるため、結果的に教授会の意思決定が大学経営に大きく影響する。法的な意思決定構造とは別の事実上の意思決定構造が並存している。

第三には学生という他の組織体では見られない存在である。
学生は大学において教育を受ける立場であり、一部補助的スタッフとして活用されることはあっても、大学の運営にはほとんど関与していない。一方でこの学生という存在は、大学を教育サービス機関と見れば大学の収益を支える主要な顧客という側面を持っている。

誰でもいつでも大学に進学するユニバーサル時代の大学では、学生の存在価値は高まり、学生も大学との利害関係を強く意識すると想定され、大学のガバナンスを確立するうえで、学生の位置づけを見直することは不可欠である。

大学におけるガバナンス概念整理

このように大学は企業とは異なる仕組みや構成員で運営される特異な組織体であるため、大学のガバナンスの概念を考えていく上では、いくつかの注意点が存在する。

第一に前述したように大学の構成員が企業に比べて共同体意識等が希薄であることから、企業のように共同体意識を活用して企業活動をコントロールすることが行いにくい。
例えば企業のように経営目標を設定し、目標へ向けて組織一体となって取り組む場合、大学では共同体意識による協力体制はあまり期待できない。また不正行為を防止する面でも、共同体としての相互牽制する機能などは期待しにくい

そのため大学の活動をコントロールしガバナンスを確立していくには、目標やモラールを教職員間で共有し、意図的にコミュニケーションを図ることや、インセンティブやペナルティを組み込んだ制度を積極的に活用することが有効と考えられる。


第二に教授会をガバナンスにおいてどのように位置づけるかが課題となる。
「どのように大学の活動をコントロールするか」というガバナンスの論点からみて、現状の教授会は法的な意思決定機関とは別の意思決定機関として大学のガバナンスを実際上主導している。教授会は教員をメンバーとしているため、開催頻度や回数を増やすことは難しく、判断決裁事項の処理する量に一定の制約があり、意思決定が遅くなりやすい。

これまでは、判断決裁事項が多くても教授会が時間をかけて全ての意思決定を行えばよかった。しかしながらユニバーサル化で環境変化も激しくなるにつれ、意思決定の遅れは、大学運営能力全体の低下を招きかねず、今後は企業に近いスピードが求められる

以上のように考えると教授会に大きく依存している大学のガバナンス構造を見直し、複数の機関に適切に責任分担させ、それらの機関が相互に連携する体制に変えていくことが必要である。具体的には法的な意思決定機関としての理事会等の組織的な強化と、事務局等の機能や役割を拡大強化し職員の大学業務での責任範囲を拡げていくことなどが必要である。教授会自体も直属のスタッフ機能を強化することが必要である。このように学内で複数の組織が権限分担と相互牽制を行いながら意思決定を行うような仕組みを検討し、大学のガバナンス体制として再構築することが望まれる。

第三には学生を大学のガバナンスへどのように参画させるかが今後の課題である。
この問題は「大学は誰のものか」というガバナンスの論点とも関係している。企業のガバナンスにおいては、大きくは「企業は株主のもの」と「企業は株主を含めた従業員等利害関係者(=ステークホルダー)のもの」という意見に分かれている。大学においては株主という存在がなく、近い存在として私立大学の創設者、寄付・寄贈者、国立大学では国民(納税者)等が擬似的所有者として想定され、それ以外の利害関係者として教職員や学生、地域住民、企業、卒業生等が想定される。

大学の社会的責任が増大していることを考えると上記の擬似的所有者のためだけの存在とは言えなくなってきている。擬似的所有者と前述の利害関係者も合わせたより広い概念での関係者をガバナンスの対象として取り込むことが求められてきている。つまり「大学は利害関係者すべてのもの」という考え方をとることになる。

その観点から学生は間違いなく重要なステークホルダーであり、明確にガバナンスの中に位置づけその意向を大学活動に反映させる必要がある。具体的な仕組みとしては、学生に対して、経営に関する意思決定の説明責任を果たすことや、意思決定において学生の意向を反映させるプロセスを組み込むことなどが望まれる。

以上、大学のガバナンスについて論じてきたが、大学組織の特異性からガバナンスの確立は企業よりも難しい。単純に企業のガバナンス手法を導入するのではなく、大学と企業の相違も踏まえ実効的なガバナンスが検討されなければならない。

また企業におけるコーポレート・ガバナンスは、特定の手法や内容に収斂するのではなく、各企業のおかれている状況で異なるというのが一般的な考え方である。各大学は、自学のおかれている状況や教職員の風土、ステークホルダー等の実態を十分見極め、ガバナンスの手法と内容を検討することが望まれる。


引用元「日本総研コラム「研究員のココロ」」
http://www.jri.co.jp/consul/column/data/742-nakahara.html


*1:企業における「コーポレート・ガバナンス」(Corporate Governance)は、企業統治(きぎょうとうち)と翻訳され、企業の内部統制の仕組みや不正行為を防止する機能をいい、コンプライアンス(法令遵守経営)と並んで(あるいはそれを実現する手段として)、21世紀初頭の日本で盛んに用いられるようになった。(Wikipedia)

2008年9月29日月曜日

国立大学法人の07年度決算と08年度補正予算

1 国立大学法人の07年度決算

国立大学法人等の平成19事業年度財務諸表が、平成20年9月10日付で文部科学大臣により承認され本日公表されました。
財務諸表の概要、前年度実績からの主な増減要因等については、以下のURLをご参照ください。


国立大学法人等の平成19事業年度財務諸表について
http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/20/09/08091221.htm

(参考)国立大などの利益増 受託研究収益の伸びなど要因 (2008年10月1日 産経新聞)

文部科学省が公表した、法人化している86国立大学と自然科学研究機構など4つの大学共同利用機関の平成19年度決算状況によると、利益総額は前年度より約130億円増の計約903億円だった。

政府方針で運営費交付金が削減されたが、受託研究の収益などが伸びたのが要因。一方で、教員の人件費は2年連続減の約6540億円で、文科省は「減少が続けば、中長期的に教育研究機能の低下につながる」としている。

大学別の総利益は、京都大の約63億円が最高。約55億円の北海道大、約42億円の東北大が続いた。

19年度は、国による出資など実質的に税金で負担した経費を示す「業務実施コスト」が約1兆4084億円となり、国立大などが法人化した16年度より13%減少。財務体質の改善が進んでいることがうかがえた。

研究施設などの減価償却費約3432億円は法人化後の最低で、耐用年数が過ぎた施設の使用を続けていることが要因とみられる。

42ある付属病院は外来患者の増加などで全体は増益となっているが、看護師の人件費や設備投資などがかさみ、昨年度と同じ16病院が実質的な赤字状態だった。


各国立大学法人において生じた剰余金のうち、翌年度に繰り越して使用できる金額については、文部科学省の資料によれば、全国立大学法人で合計約506億円であり、10億円以上の大学は、北海道大学(18億円)、東北大学(31億円)、東京大学(15億円)、名古屋大学(22億円)、京都大学(27億円)、大阪大学(26億円)、広島大学(13億円)、山口大学(13億円)、徳島大学(14億円)、愛媛大学(15億円)、九州大学(30億円)、佐賀大学(10億円)、長崎大学(12億円)となっています。

繰越承認に当たっての文部科学省のコメントは以下のとおりです。

平成19年度剰余金の繰越承認(見込)について

国立大学法人等は、財源措置及び国立大学法人会計基準により、病院の診療業務や受託研究等収益等の自己収入を除くと、基本的に、計画通りに業務を行えば損益が均衡する仕組みとされておりますが、国立大学法人等が計画に比して効果・効率的に事業を実施し、自己収入の増や費用の節減などにより当期総利益(剰余金)が生じた場合には、次年度以降に繰越し中期計画に記載された剰余金の使途に充てることを可能とすることにより、業務運営のインセンティブを付与する仕組みとされております。

具体的には、当期総利益のうち、各国立大学法人等の裁量により事業の用に供することが可能な額を算定し、財務大臣と協議したうえで、改めて文部科学大臣による承認を行い、それを受け、各国立大学法人等において当該額を目的積立金として計上します。当該目的積立金は、各法人が中期計画のもと、各々策定している目的積立金執行計画に基づき、次年度以降において教育研究の質の向上や施設設備の充実など定められた目的に沿って執行されることとなります。このため、各国立大学法人等は、一定の経営努力を行う計画の下に予算策定し、実施段階においても、一層の自己収入の増収、採用時期の伸延、人員配置の見直し、契約の見直しによる業務経費の抑制など不断の経営努力を行っております。

国立大学法人等においては、剰余金の繰越承認の対象は、基本的に、当期総利益の範囲内で、当該年度に生じたフリー・キャッシュ相当額としております。

これは、国立大学法人等については、基本的に、業務実施所要額から自己収入の予定額では賄えない相当額を措置する仕組みとしているため、現金収支は均衡しても損益は均衡するとは限らないこと、旧国立学校特別会計における借入金の償還財源を国立大学法人の附属病院収益等から拠出していることなどにより、構造的に、当期総利益とフリー・キャッシュ相当額とに差異が生じることなどのため、必要な補正を行っているものです。

今後、関係省庁と改めて協議していくこととなりますが、現時点における剰余金の繰越承認の見込額は全国立大学法人・大学共同利用機関法人で合計515億円であり、当期総利益903億円から当該額を差し引いた差額388億円は、積立金となる見込みです。


皆さん、この文章、何を言っているのかわかりますか?
このような文書を毎年読みながら感じるのは、説明責任を果たそうとする文部科学省の姿勢は大変結構なことだと思いますが、はっきり申し上げてこの文章の意味が、果たして会計に不慣れな一般国民の皆様に、あるいは学生や保護者などステークホルダーの方々にどれだけ理解していただけるだろうかということです。(私の日記も関係者にしか理解できない点で同じなのかもしれませんが・・・。)

国立大学法人の会計基準は、企業会計原則とは異なる特殊な仕組みになっているため、国立大学法人の職員ですらなかなか理解できないわけですが、お役人らしく官庁用語や会計専門用語を多用し説明しても、国民の皆様にはおそらく十分な理解は得られていないのではないかと思います。文科省もマニアックな世界から一歩踏み出て、機械的な説明ではなく、より国民にわかりやすい決算説明になるよう工夫すべきでしょう。

ちなみに、法人化後、各国立大学は、難解な決算の説明をより国民の皆様にご理解いただけるよう工夫を重ねています。財務諸表の解説はもとより、決算の裏づけとなる活動状況の報告も合わせた報告書の作成にも力を入れてきました。

例えば、次のような素晴らしい財務報告書があります。



文部科学省の説明にもありましたが、国立大学法人の会計は、簡単に申し上げれば「行うべきことを行っていれば、収支差ゼロ」になるような構造になっています。しかし、自己収入増や経費節減などの経営努力により剰余金が生じる場合があります。

文部科学省はこのたびの決算の結果、全国立大学法人で合計506億円という多額の繰越金が生じたのは、次のような財務内容の改善に向けた取り組みがあったとの説明を行っています。

業務の見直し等による経費の節減
  • 教員の退職や転出に伴う補充を極力抑制し、事務職員も一定数を不補充とするなど人件費を節減(多数の大学)

  • カリキュラムの見直し等により、非常勤講師の必要性を検証し、採用を抑制(多数の大学)

  • 人事院勧告による地域手当の増額を本学については抑制することとし、地域手当の完成年度を延伸することを全学方針とした上で、地域手当の上昇を抑制(筑波大学)

  • エネルギー使用量抑制の周知、省エネ機器の導入、夏季一斉休業の実施などによる光熱水料の抑制の徹底(全大学)
【例示】
  • 学内ホームページ上に「エアコン管理システム」を掲載し、これに学内各室柳戸団地の研究室・実験室等の全室を対象にした利用状況調査結果の分析を行の冷暖房の使用状況や設定温度等を個々に入力することによって管理(岐阜大学)

  • コンサルタント会社との契約によりガス料金の見直し(横浜国立大学)

  • 管理経費抑制ワーキンググループを中心に、光熱水費の節減のための空調の温度設定、定時帰宅等の推進等に重点的に取り組み、担当職員が各執務室を定期的に巡回するなど周知徹底(お茶の水女子大学)

  • 附属小学校児童棟、共通教育棟の改修においては、経済性の高いガス空調機を導入し経費を節減(高知大学)

  • 改修工事を行う際に照明器具や空調設備、トイレの節水型等の省エネ機器を導入(長岡技術科学大学)

  • 夏季一斉休業を実施(複数の大学)
  • コピー用紙の裏面使用、定期刊行物の見直し、施設保守契約、複写機保守契約等への複数年契約の導入、旅費支給規程の見直し、ペーパーレス会議の導入などにより、管理経費の抑制を徹底(全大学)
【例示】
  • 重油、図書、パソコン・プリンタ類、封筒類、什器類等の事務局一括契約及び役務契約の複数年契約を実施(北海道教育大学)

  • 複写機の賃貸借契約を一括前払いすることにより削減(信州大学)

  • 旅費支給事務の煩雑を解消するため事務手続の簡素化を検討し、職務別地域別となっている旅費の日当・宿泊料等を集約し、様式を改める規則改正(東京海洋大学)

  • 総長室会議,理事・副学長会議にペーパーレス会議を導入(東北大学)

外部資金その他の自己収入の積極的増加
  • 外部資金の獲得に対するインセンティブの付与(多数の大学)
【例示】
  • 競争的資金の間接経費に学部の研究活動の活性化及び若手教員の研究活動を促進するための経費として「研究環境の向上・改善支援経費」を新設(秋田大学)

  • 外部資金の獲得をより一層推進するため、外部資金の受入に伴う間接経費・管理費の合計額が一定額以上に達した教職員に報奨を行う制度を創設(北陸先端科学技術大学院大学)

  • 研究活動により多額の外部資金を獲得した教員に対し、報奨金を支給する表彰・報奨制度を創設(熊本大学)
  • 外部資金獲得のための企業等外部を対象とした講習会等の実施
【例示】
  • 東京都北区・板橋区と協定を締結し、東京都内の中小企業の技術力向上のために「ものづくり夜間大学」を新規開講(岩手大学)

  • 企業等外部向けの本学全教員の研究シーズ集を作成し、ホームページでの公開とともにCD-ROM版を作成し、多くの企業等に配付(山梨大学)

  • 「社会連携推進機構」を中心に、企業との技術交流会、愛媛県商工会議所連合会との交流・相談会、地元金融機関との連携協定の締結、企業訪問による要望聴取などを実施(愛媛大学)

  • 南九州発新技術説明会などの研究成果発表会やシーテックジャパンなどの展示会出展を首都圏で行い、研究シーズとニーズのマッチングを積極的に展開(鹿児島大学)
  • 外部資金獲得のための学内向け説明会等の実施、マニュアルの作成
【例示】
  • 科研費について、 副学長、役員補佐による申請書類記載内容へのアドバイス、 本部研究支援課及び部局担当職員との連携による応募手続きの支援並びに申請マニュアルの配付、 学内公募説明会の開催(一橋大学)

  • 産官学連携・知的財産センターにおいて、外部資金の増加に向け、公募情報の通知、JSTやNEDOの担当者・プログラムオフィサーによる説明会の開催、公募書類作成支援等の取組(東京農工大学)

  • 全教員のための科研費申請のためのマニュアルを作成(名古屋工業大学)

  • 申請書作成のためのノウハウ集を作成し、各部局別に公募要領の説明会を実施(香川大学)
  • 外部資金獲得のための学内体制の整備
【例示】
  • 科学研究費補助金の申請にあたり、各学部にプロジェクト委員を配置し経費抑制の取組指導助言体制を構築(宇都宮大学)

  • 産学官連携の一層の推進による外部資金の拡大を図るため、産学官連携推進機構の4部局と総合実験研究支援センターの1分野を統合した「産学官連携本部」を設置(福井大学)
  • 動物病院の体制整備、料金体系の見直し、借入金による施設整備(動物病院を有する複数の大学)

  • 余裕資金による国債等の購入、譲渡性預金、短期の定期預金への預入の拡充(複数の大学)

  • 広報印刷物の発行経費の削減を図るため名古屋工業大学広告掲載取扱規程を制定し、有料広告掲載の募集を行った(名古屋工業大学)

  • 社団法人びわ湖ビジターズビューロー及び旅行代理店との連携による「平成滋賀塾」と題したサマーカレッジ事業や社団法人滋賀経済産業協会との連携による、滋賀県における中小企業・中堅企業の経営者幹部を対象とした長期セミナー「エグゼクティブプログラム」を実施(滋賀大学)

  • 企業15社の出資による東京大学信託基金が設立され、毎年の運用益の一部が寄附されることになり、留学生向けの奨学金の充実などを図ることとした(東京大学)

附帯業務の実施による自己収入の積極的増加
  • 飲料等自動販売機について、従来の学校財産貸付料方式から販売数量に応じた手数料方式へ変更(三重大学)

  • 自動車、自動二輪車の入構に係る道路・駐車場等の設備の一層の整備を行い、利用者から交通施設料を徴収(埼玉大学)

  • 観光客の増加が見込まれるゴールデンウィークや秋季休日に本学駐車場を貸し出す「パーク&ライド」を実施(奈良教育大学)

知的財産権の有効活用等
  • 知的財産の創出促進のため、11月にバイオ専門の弁理士による「ライフサイエンスセミナー」を開催したほか、知的財産統括アドバイザーによる「研究ノートセミナー」及び北海道知的所有権センターからの講師派遣による「電子図書館による文献検索セミナー」の、計3回の知的財産セミナーを開催(帯広畜産大学)

  • 知的財産本部と産学連携機構九州(九大TLO)が連携し、技術移転、知的財産の管理・運用を一元的に実施(九州大学)

既存施設の有効活用等
  • 施設利用状況を調査の上、一部を学内共用スペースとして確保し、重点事項に優先的に割り当てる、利用者よりスペースチャージを徴収するなど有効活用を図っている(全大学)

  • 貸出し講義室については、部屋の現況写真をホームページに掲載するとともに収容者数別に整理するなど、利用者の利便性に配慮した更なる情報提供を実施(長崎大学)

  • 職員宿舎の効率的運用を図るため、現在の貸与基準を緩和し、入居対象者の範囲に常勤職員以外の研究員、再雇用職員、嘱託職員、非常勤職員を加えることとした。(小樽商科大学)

  • 本学の北キャンパス敷地内に、定期借地権(事業用)を利用した民間製薬会社による創薬基盤技術研究棟(R5、2,790平方メートル)が竣工し、平成20年4月に運用を開始予定(北海道大学)

附属病院の業務改善
  • 手術部運営効率化などによる手術件数の増加や入院患者の在院日数の短縮などによる増収(附属病院を有する複数の大学)

  • 診療科を対象にその診療報酬の伸びと診療内容を評価してインセンティブを与える制度を導入(千葉大学)

  • 7対1看護体制の導入(附属病院を有する複数の大学)

  • 物流管理システム(SPD)の導入・稼働による医療材料費の節減(附属病院を有する複数の大学)

  • 診療報酬請求書(レセプト)のオンライン請求化による用紙節減(大阪大学)

2 国立大学法人の08年度補正予算

本日、08年度補正予算が閣議決定されました。
報道によれば、総合経済対策に盛り込まれた1兆8081億円の歳出を計上する一方、既存の経費を抑えた結果、全体としては、1兆641億円が計上されたようです。

国立大学法人関係でも、大規模な地震による倒壊等の危険性の高い施設について早急に耐震化を図るため、677億円が計上されているようです。国立大学法人ごとの事業は、以下のURLをご参照ください。

平成20年度補正予算案における国立大学法人等施設整備の実施予定事業
http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/20/09/08092503/001.pdf

2008年9月28日日曜日

経営的視点からみた大学のあるべき姿とは(2)

近年の大学を取り巻く厳しい状況を打開し乗り越えていくためには、大学本来の使命である教育、研究、社会貢献等を包含した広義の「経営改革・強化」に力を入れていくことが必須であることは、大学関係者のみならず、大学経営の原資たる「税金」を納めておられる国民の方々の一致した見解ではないかと思います。

しかし、大学には、従来から一般民間企業とは異なる様々な「特殊性」が存在し、この特殊性が「経営」を改革・強化する上で大きな障壁となっていることも事実です。

この「特殊性」の代表的なものが、憲法23条によって保障された「学問の自由」の精神に由来する「大学の自治」というものです。ちなみに、平成18年12月に改正された教育基本法第7条では、「大学は、学術の中心として、高い教養と専門的能力を培うとともに、深く真理を探求して新たな知見を創造し、これらの成果を広く社会に提供することにより、社会の発展に寄与するものとする。大学については、自主性、自律性その他の大学における教育及び研究の特性が尊重されなければならない。」と規定されています。

このように、大学における学問の自由を保障するために、法律上「教育、研究の特性への配慮」が求められており、そのために法人化された国立大学では、学長の選考、教員の任免、中期目標の策定、法人評価の実施等において、大学の自治に配慮した仕組みが作られています。

しかしながら、大学内部に目を移してみると、実はこの「学問の自由に裏打ちされた大学の自治」が、いつの間にか、いわゆる「部局自治」「教授会自治」といった名の下に、本来の趣旨が曲解され、効率的、円滑で責任のある大学経営に多大の支障を来たす間違った運用がなされていることが少なくありません。

(参考)http://daisala.blogspot.jp/2008/01/blog-post_6890.html

大学は今、教育の質を高め、世界的競争に打ち勝つためにはどうしたらいいのか、真剣に考えなければならない緊急事態に立たされています。しかし、現実には「学部あって大学なし」「教授会が最高の議決機関」的発想や慣習が未だにはびこり、結果的に、それが勇気を持ってリーダーシップを発揮しようとする学長の足かせとなり、改革に向けて懸命に努力している心ある構成員のモチベーションをことごとく潰しているという実態があります。

「教授会」とは何なのでしょうか。何のために存在するのでしょうか。「大学VS教授会」という対立構図の下で、大学がよりよき方向へ変貌しようとすることをいつまで邪魔立てするつもりなのでしょうか。教育研究という本務をおろそかにし、大学の管理・運営について「円滑な合意形成」という美名の下に、完全に教授会本来の役割・権限を逸脱した介入を行い細部にわたった批判をいつまで続けるつもりなのでしょうか。「小さな閉鎖的村社会」「教員の相互保身のための共同体」を大事にするあまりに、益々世の中の常識が見えなくなり、「井の中の蛙」的視野、「ゆで蛙」的行動しかできなくなっていることをいつになったら理解できるようになるのでしょうか。高度な専門的知識を持ちながらこのような簡単なことが理解、あるいは改善できない人達に、この国を支え、主導していく将来ある若者たちを「教授」する資格があるのでしょうか。

これからの大学経営に大切なことは、古き良き時代の化石のような「自治」観念をいつまでも大事にしていくことではなく、時代や社会の要請に即応し、学長、役員、教員、事務職員といった大学構成員がそれぞれの立場を尊重、あるいは連携し自らの役割を責任を持って果たしていくことです。また、内向きの視点・発想ではなく、社会の常識を常に意識しながら自らを厳しく律し不断の改善努力を行い、そのことを社会に対して正直に説明していくこと社会の常識から見て、いかに瑣末な生産性のない無駄な議論を貴重な時間やコストをかけてやっているかさらけだすことそういった透明性、見える化が何より必要なのではないでしょうか。そうすることにより、自らの存在価値を示し、社会から信頼される大学になっていくのではないでしょうか。


今日は、日本総合研究所主席研究員の三宅光頼氏が書かれた「大学の組織改革の方向と課題」(2007年1月5日付)をご紹介します。私にはやや難解な論文でしたが、大学のあるべき姿を考えるヒントになると考えます。


1 大学の存在意義の課題-大学の自治とのかかわりの中で

大学の事業の目的(あるいは存在意義)は何か、と問われたら何と応えればいいでしょか。教育、研究、貢献(真理探究etc)など、大学という組織を通じてミッションを実現していくわけですが、実際にミッションは多岐にわたり複雑にからみ交錯しています。

教育に携わる個人としての存在、地域社会から子息を預かり社会との共存をする法人としての存在、学問や育成を担う社会的機関、社会的機能としての存在。これらの存在意義が同心円内で真集合として存在せず、和集合として網羅的になる中で論理展開されるために存在意義が振れていきます。個人の研究教育活動を、国家権力が制約することは断じて許すことはできず、授業料と税金を使う経営者の方針のもとに経営行動を行っていても、経営側の関与は一定の制限を期待し、報酬として生計をたてている教育者は「研究をすること」が対価であり貢献であると考えてしまいがちとなります。

また、教育に携わるものにとっては、「学問そのものが真理の探究であり、その真理の探求に対して、個人の思い込みや、時々の権力による介入や歪曲、捻じ曲げは許されず、できうる限り客観的・科学的な眼や証拠によって取り扱われなければならず、それこそ学問が学問たる最低限の条件というものであり、その探求の環境を保護するには、自治という形態以外にありえない」ということになるでしょう。
それを集団で実行する場合、個人の自由と組織の自治という概念が考交錯することになり、さらに存在意義を曖昧にします。

自治は、地方自治体のように中央との「役割分担としての自治」と、自らの進退は自ら決定する「自決の自治」、さらに独立性を担保するための「基本的権利(人権)としての自治」が絡みます。
本来、完全な組織の自治は「自責力・自給(立)力・自浄(律)力・自走力」をもつ組織のみが持つことができるものであり、組織行動を個人に敷衍したもの ではなく、その意味で大学の完全な自治は、主張(理念)としての自治はありえても、現実としての自治は、一部の制限を受けざるを得ないと考えざるをえません。

通常、企業の事業目的は顧客の創造、企業価値の増大、事業の継続(ゴーイング・コンサーン)にあるといわれています。大学の事業目的は、雑駁(ざっぱく)な表現が許されるならば、真理の探究を通じて人類と国家へ貢献することにあるといっていいでしょう。
ここでは、その前提で議論をすすめることとし、そうであるならば、通常の営利企業の事業目的が「企業価値の増大と事業の継続」であると同じように、大学のミッションは、第一義には、大学(の存在)価値の増大と事業(理念)の継続(他の大学に対して競争力・存在意義のある大学創り)にあるということは可能と思われます。

2 大学の価値増大と事業(理念)の継続の実践課題


それでは、価値の増大と事業の継続は、どのようにして実践するのでしょうか。
当然ですが、それは教育機関として次の3つの基本的なサービスの質を徹底的に高めること以外にはありません。

第一は、企業経営と同じく教育と研究の質を高めること(高品質の財サービスつくり)、第二は学生(親)・地域と企業の3方にとってのコストパフォーマンスを高めること(利害関係者や顧客満足の充足)、そして、第三に、他の教育機関・研究機関との徹底した差別化(勝てる組織と勝てる人材)を実現することにあるといえます。大学価値の増大と事業の継続の実践は、『財サービスの継続的開発と提供を通じて、利害関係者への満足の提供を組織として「比較優位」を実現しながら継続していくこと』と定義できるでしょう。

この定義を確実に実行していくためには、以下の3つの機能と役割を総合的に推進する主組と仕掛けが内蔵されている必要があります。
  1. 教育と研究を担い、付加価値を高める人材の恒久的な発掘と育成を行う機能
  2. 教育と研究の成果を地域・社会に還元し収益の確保と存在を承認させる機能
  3. 教育と研究の質の競争優位性を確保するため戦略構築と実行を行う機能
これらのうち、「3」は学校経営そのものの中にある独立した機能として成り立ちますが、「1」と「2」はかならずしも単独には存在しえません。特に「2」は産官学協同(もしくは連携)の形でなければ実現しにくいのが現実です。
このことは教育機関として、「自治」だけでは成り立たなくなることを意味します。

上記の「2」、「3」の機能強化のため、外部との関係で常に評価され選別される以上、自分たちの強みにおいて自己を相対化することが必要となり、そのことが「1」の一層の強化を要求します。
そしてそれは、自己評価はもちろん、相互評価すら成り立たない環境、すなわち客観的な外部評価と序列化、そして選別と選抜の機能を、多くの企業と同じようにビルトイン(内蔵化・自働化)する必要があるのです。

この時点で、「自治」だけでなく「開放(公開)」が次に求められる施策であることが分かります。大学(の存在)価値の増大(以下、単に価値の増大という)と事業(理念)の継続の実践のためになすべきこと、それは多くの大学で模索している「オープン化」なのです。


3 大学における「オープン化」の課題

「オープン化」に対して実践できているのは、現実には「公開(市民)講座」や「オープンキャンパス」、「公開特許」でしょう。限定的な参観はすすめていますが、新教育産業の塾や予備校、専門学校等でもないかぎり、公開授業を行うことは少ないといえます。
ここでのオープン化とは、もっと根本的な3つの公開を意味します。

第一は資本のオープン化です。6つの資本(ヒト・モノ・カネ・情報・時間そして知識)です。特に、情報と知識の公開です。

第二は組織のオープン化です。組織とは責任(成果と役割)、権限(職位と地位)、職務、そして施設です。

第三のオープン化はマネジメントです。マネジメントとは、計画(戦略)・実行(プロセス)・監査(評価)・実践(行動)、すなわちPDCAです。

現段階では一部しかオープンになっていませんし、完全なオープン化である必要はありません。情報公開の範疇から出発し、オープン化が完全に実現できたとき、完全な自治が本当に機能しているといえるでしょう。
つまり、大学の自治とは大学のオープン化の指標であり、品質の称号であり、信頼の証明となるものです。オープン化が進み、相対化ができている大学ほどステークホルダーから信頼されており、その結果、大学の自治が進むのであって、その逆では決してないということです。


4 大学法人の戦略創出機能とイノベーション創発機能の課題

それでは、大学は大学自身の戦略やイノベーションを発信し誘導してきたでしょうか。

戦略策定機能が機能不全を起すことなく効果的効率的に活動する前提条件は、収益構造、事業構造、業界構造の3つの構造を明確にした上で、自大学のSWOT(強み・弱み・機会・脅威)を経営環境の中で明確にできるとき、戦略策定機能そのものが意味を持つことになります。

第一の収益構造は、収益モデル(何で儲ける)、プロセスモデル(何処で儲ける)、ピープル&パーソンモデル(誰が儲ける)の3つのモデルを明確にすることです。自大学の収益構造は何処にあるかを明確にし、どこ(何)で差別化を行っているかを明確にし、誰がそれを実践しているかを明確にすることにあります。

第二の事業構造は、研究開発機能、情報財の提供機能、管理配分機能の3つを効果的に再配分再配置することにあります。その中で役割展開(業務と権限と責任の明確化)と方針展開(マネジメントとリーダーシップの遂行)を進めていくことになりますが、ここで少なくとも「効率的・効果的」、あるいは「成果思考的・時間的・マイルストーン的」なアプローチが実践されていることが前提です。

第三の業界構造とは、大学という高等教育産業が単に産業としてではなく、国家の使命と若者の将来を担う中枢的な機能の一つとして社会の負託を担っているという自覚の中で、健全な競争環境を醸成し、その中で独自色を出す高付加価値経営を実現しているか、という点です。

今日では、高等教育産業においても、他のいかなる産業に負けず劣らずグローバルで戦っています。実際に真の高等教育は圧倒的な欧米支配が続いており、日本の高等教育機関は壊滅的なほどに人材流出現象を食い止めることができないでいます。アジアの他の国に対しても産業としての教育機関を売り込むことに苦慮しているのです。そして、更に残念なことは、そのことに「気がついていながら」なんら抜本的な解決策を見出せていません

日本の高等教育産業としてグローバルに展開していることを知り、その中で強みと弱み、機会と脅威を認識すること、そして自分自身を「相対化」できたとき勝つための「戦略」が意味を持ちます

大学は、知識と技術を精製(生成)するための人材の設計室であり融合炉にたとえることができます。白紙から知識や技術を作図し、さまざまな人材の組み合わせで融合させています。これらがイノベーションを創発するには、推進力が必要です。戦略と目的と動機が必要です。すなわち知識は戦略を必要とし、技術は目的を必要とし人材は動機を必要とします。
大学法人が戦略創出し、イノベーションを創発するための課題とは、この推進力そのものを作り出す「種」を失いつつある点にあります。

現段階では、教育事業および教育業界において大学自ら変革を起し、イノベーションを創発してきたとは言い難いところがあります。
多くの大学は、業界内において個々に閉鎖的であり、他大学機関のイノベーションに対しても排他的であり傍観的です。それは「供給側の理論」に終始し、「閉ざされた組織」の中で競争を排除してきたからにほかなりません

残念ながら、大学はその生成においても、オペレーション過程においても、組織的にも、戦略策定機能を自己完結的に持ち得ないのです。それは長い間の文部科学省行政の影響であり、事業継続ミッションの過度な信奉にあるといえるでしょう。

2008年9月27日土曜日

沖縄 2008 ・ 牧志公設市場

那覇滞在の折、牧志公設市場を散策しました。

市場は、戦後の小さな闇市から始まり、今では「沖縄の台所」といわれるまでに発展してきたそうです。約400もの店舗がひしめきあうように軒をつらね、不思議な魅力と活気に満ち溢れています。

市場には、新鮮で色鮮やかな魚や、豚の足(テビチ)や豚の顔の皮(チラガー)まで沖縄の食文化に欠かせない様々な食材がずらりと並んでいます。迫力のある食材ばかりで圧倒されてしまいます。



建物の中では、ラブチャー(アオブダイ)やミーバイ(ハタの一種)など、南国を象徴する色鮮やかな鮮魚が店の軒先に所狭しと並んでいます。2階の食堂に持っていって調理してもらうこともできます。




沖縄近海で獲れた色鮮やかな魚たち













お肉屋さんには、足ティビチ(豚足)、骨付き肉やチラガー(豚の顔の皮)など、沖縄料理に欠かせない豚肉のあらゆる部位が売られています。


チラガーと呼ばれる豚の顔



建物の2階は食堂街になっています。
市場で買った食材を調理(有料)してくれる店もあるようです。


2008年9月26日金曜日

国立大学法人若手職員勉強会

近年、大学における事務職員の役割が重視されるとともに、事務職員の職能開発に大きな関心が寄せられるようになりました。このため、各種職能団体や各大学では、多様な研修プログラムを設定するなど、SD(スタッフ・ディベロップメント)に力を入れてきています。

また、国公私立を問わず、自分達自身で職能開発に取り組む意識の高い事務職員グループや団体も出現*1しており、大学職員の輝く未来を予感させてくれます。特に、大学を取り巻く厳しい現状を踏まえれば、10~20年後の大学経営を支える若手職員には、とりわけ強い期待が寄せられています。

今日は、国立大学に勤務する若手職員の能力開発、引いては国立大学の経営向上・継続的な発展を支援するために、独立行政法人国立大学財務・経営センターが実施している「国立大学法人若手職員勉強会」をご紹介します。

この勉強会は、昨年度(平成19年度)から始まった全国規模の研修会ですが、勉強会の企画そのものから若手職員が行うという自主性を重んじる大変素晴らしいものだと思います。現に昨年参加した若手職員からは、刺激のある意義のある勉強会だったとの報告を受けています。

このたび、今年が2回目となるこの勉強会の実施要領が公表されました。「白ら考え、行動できる職員を目指して」という副題の付けられた勉強会の概要は次のようなものです。

1 目 的

国立大学等の経営向上及び継続的な発展を支援する。

2 背 景

国立大学等は、法人化後もその果たすべき使命は基本的に変わるものではないが、内的環境・外的環境ともに変化が早く、予測しにくい環境下にある。一方、法人化後の国立大学等の経営にあっては、事務職員の役割と責任は極めて大きいものになっている。そのため、個々の職員における資質・能力の向上が肝要であり、国立大学等全体の組織・経営環境の改善や各国立大学等の将来構想の構築などに資することが期待されている。

3 目 標
  1. 国立大学等とそれを取り巻く環境等について主体的に学ぶ
  2. 国立大学等職員として働くモチベーションを刺激する
  3. 自らのキャリア形成を意識する機会とする
  4. 所属機関内のみならず他機関の職員とのネットワークを構築する契機とする
  5. 成果をそれぞれの機関へとフィードバックする

4 対象者

若手事務職員(概ね経験年数3年から10年程度で、年齢・職位・職務分野等は不問)で各国立大学法人2名以内

5 開催日

平成20年11月17日(月曜日)~18日(火曜日)

6 内 容
  1. 基調講演:平山健一氏(前岩手大学長)
  2. 実例研究:「第1回若手勉強会、その後」
  3. グループワーク:「自らのキャリアを考える」-自分の「これまで」と「これから」
  4. 分科会:「国立大学の目指すべき方向」-自大学の「これまで」と「これから」、私たちの「これまで」と「これから」
  5. 情報交換会

なお、この勉強会への参加に当たっては、事前レポートの提出が義務付けられています。

今回は、今年3月に、社団法人国立大学協会が刊行した報告書「国立大学の目指すべき方向-自主行動の指針-*2がテーマとされており、報告書が示している5つの指針の中から特に関心のある事項を取り上げレポートを作成することになっているようです。

報告書「国立学の目すべき方向-自主行動の指針-」が示す5つの指針とは次のようなものです。

指針1 公共的性格の再確認と社会への貢献の明確化
  1. 社会全体に貢献する公共的存在であることを明確にする
  2. 高等教育の機会の保障や地域社会への貢献など公共的価値を実現する
  3. 教育システム全体の均衡ある発展に寄与する
指針2 特色を活かした存在感のある個性的な大学の創生
  1. 各大学の多様な特色を活かした使命・目的を明確にする
  2. 個性的な大学の実現に向けた改革・改善を継続する
  3. 設置形態にとらわれない大学間の協力と連携・連合を推進する
指針3 質の高い大学教育の提供と学位の信頼性の確立
  1. 優れた研究活動を基礎とした教育内容を提供する
  2. 学ぶこ.との意味と価値を実感できる教育内容を提供する
  3. 国際的通用性のある教育システムを構築する
  4. 学位の質を保証する適切な評価システムを確立する
指針4 ナショナルセンター・リージョナルセンター機能の充実
  1. 基礎的・基盤的研究活動の一層の活性化を推進する
  2. 全人類的課題解決に向けたプロジェクト研究を措進ずる
  3. 医療と人材養成などを通じて地域社会に貢献する
  4. 地域社会の活性化につながる知的・文化的拠点機能を充実する
指針5 大学の活性化を目指したマネジメント改革
  1. 自主性と自己責任を基軸とした戦略的経営を行う
  2. 大学の活性化につながる柔軟で効率的な大学運営を行う
  3. 大学の諸活動の透明性を高め説明責任を果たす

昨年度の第1回勉強会の内容はこちらをご覧ください。


*1:例えば、「国立大学一般職員会議・コクダイパン」:http://jimupan.blog77.fc2.com/

*2:この報告書は、各国立大学が第2期中期目標・中期計画を策定するに当たり、「国立大学として求められている共通の役割に加え、各国立大学が、自らの将来を展望し、自主的な行動計画を策定するための基本的な方向」を示したものです。:http://www.janu.jp/active/txt6-2/200803houkoku.pdf

2008年9月25日木曜日

経営的視点からみた大学のあるべき姿とは(1)

国立大学法人の本質的な課題の一つに「経営」があります。
これまで約5年間、国立大学は「運営」はやっても「経営」はやってきていないという厳しい指摘を耳にすることがよくあります。
国立大学時代の「運営」をそのまま続けているだけで、「経営」を知らない・できない学長、理事の経営陣に対する苦言も多く聞かれます。勿論このことは、経営陣を支えるべき幹部事務職員にも言えることでもあります。

国立大学法人の「経営」とは何か。正直言って、具体的に明確にこういうことだと自信を持って答えることが残念ながら私にはできません。
そこで、今更の感はありますが、今日から数回に分けて「大学の経営」に関して書かれた考察をご紹介しながら、少し「経営」について考えてみることにしました。


まず今日は、日本福祉大学常任理事の篠田道夫氏が書かれた「戦略経営の確立に向けて-今なぜ戦略的な経営が求められるか-」(抜粋)をご紹介します。


私大を巡る厳しい競争環境

大学をめぐる環境の厳しさには、二つの側面がある。外部的には規制緩和と市場化による競争激化であり、内部では、その結果としての教育や経営の困難さの増大である。各種の参入規制の撤廃により、毎年10校ほどの大学が設置され、また国立大学法人化が定着するにつれ、私大との間での学生争奪戦は激しさを増している。二大都市圏にある大学を除くと、定員を満たせない大学のほうが多数を占めるという異常事態が進行している。株式会社立大学や海外大学日本校の新たな参入もある。第三者評価の義務付けは改革を励ます半面、問題がある大学を浮き彫りにする機能も併せ持つ。COE、GPなどの競争的な資金の拡大は、採択されるか否かが資金獲得だけでなく社会的評価に連結する仕組みをますます強化させている。さらには定員割れしている大学への補助金減額幅を従来の15%から50%近くに拡大する厳しい措置も進められている。競争により大学改革を促進する政策からさらに一歩踏み込んで、市場評価を得られない大学の退場を促す方向への展開が進んでいると見ることができる。

実際、学校法人の倒産も増加し、また半世紀ぶりに大学間同士の合併の動きも始まった。赤字法人は拡大し、大学で30%を超え、短大では50%近くとなっている。定員割れで補助金がカットされた大学・短大は、全体の2割を超え196校に上る。


教学改革を包含した経営

こうした環境の下で、経営困難を抱える法人は拡大し、経営システムのあり方やガバナンスの改善が強く求められることとなった。競争の激化は、明確な大学の特色化に基礎を置く、目標を鮮明にした経営戦略の策定を求め、この実現のためのマネジメント、全学的な力の集中の必要性を鮮明にする

経営困難は、財政悪化にとどまらない。定員割れの急速な拡大、全入状況の進行は、都市と地方、大規模大学と中小大学の二極化の進行を促し、地方私大の経営と教学の全体にわたる困難を拡大させている。全入状態は、学生の学力低下や進路を切り開く力の低下をもたらし、それが大学の特色や強みの低下や就職水準の低下をもたらし、ひいては志願者減へとつながる悪循環に陥ることとなる。いまや教育の中身・特色、就職状況が直接入学者確保に結びつく点で、教学の有り様や改革は、経営存立基盤そのものに直結するようになった。また地方に立地し、地元の支持基盤の強化が直接大学の発展に結びつく大学では、地域密着型の研究テーマ、地元企業や自治体と連携した研究や社会人教育事業の推進は不可欠であり、研究や社会貢献もまた、経営戦略の重要な一環になる。


戦略経営の必要性

言い換えれば、経営と教学は共通の現状認識や目標の下、一致した基本政策の推進やマネジメントが求められている.すなわち、経営が間接的な条件整備からより直接的な大学政策への関与や政策統合を不可避とする。「大学の市場化」「競争と淘汰」政策の進展の中では、これと切り結び存立の基盤を固めることなしには、どんな意義ある教育事業でも継続は不可能だからだ。中長期計画立案の第一の意義は大学の目指す基本方向を指し示す明確な旗印を掲げ、全学一致を作り出す点だ。自由な風土の大学では、ベクトルの一致なしには改革への力の集中は困難だ。第二に即効性に欠ける教育・研究改革を基礎に社会的評価を獲得するには、実現への総合的施策や年次計画が欠かせない。私学の最重要課題は、こうした目標を鮮明にした戦略経営の確立であり、教育の特色化による社会的評価の向上である。右肩下がりの財政構造の中、投下原資の縮小により、重点を絞り込んだ事業展開が強く求められる。もちろん戦略経営とは「経営優先主義」ではない。大学教学の中期的な発展構想を核にしなければ、大学は存立し得ない。大学の本質的な価値を担保しながら、社会的ニーズや人材需要にいかに迅速に対応し、評価の向上に結び付けられるか、ここに大学経営の特質がある。そして私立大学の経営人材、職員像も、まさにこの課題を担い推進することを抜きには考えられない。


マネジメントの水準と大学の質

『月報私学』(2007年8月号)掲載の「財務から見た地方・中小規模大学」(両角亜希子)の中の「大学類型別の最近5年間の収支変化」によると、地方・中小規模大学(207校)は、都市・大規模大学(114校)に比して明らかに財政悪化している比率は高い(地方47%:都市29%)。他方、帰属収支差額比率が10%以上改善しているのもまた地方・中小が高い(地方22%:都市8%)という事実を指摘している。これは地方大学の中で、経営の急速な悪化と大幅な改善という二極化が激しく進行すると共に、都市大学より経営改革が進んでいる地方大学が多いことを物語っている。厳しい中でこそマネジメントによる差がはっきりと現れている。

同じく両角は「高等教育においては、システム全体の制度的な問題だけでなく、個別の高等教育機関の組織、行動の現実とそのあり方が重要な問題となっている。しかし日本ではこの問題について実践的な関心が強い半面で、体系的な研究はまだ少ない。」(「大学の組織・経営-アメリカにおける研究動向」)と指摘する。個別法人のマネジメントの経験の中から共通する教訓や法則を導き出すことが、日本の大学改革の前進にとって極めて重要になっているといえる。

清成忠男(法政大学元総長)氏は、2006年8月7日付の日本経済新聞「教育・研究の質保証、大学の組織全体に依存」において、「教育・研究の質は、それを支える大学全体のシステムに依存している」として、ドイツの大学評価機関での国際ワークショップにおける議論を紹介しながら、「こうした討論を踏まえると大学の質は、最終的には大学のガバナンスに依存するという結論が導き出される。学内におけるガバナンス、学外のステークホルダーとのかかわりにおけるガバナンス、そしてトータルなかバナンスのあり方が教育・研究の質を決定する。」したがって、「大学の組織や意思決定のプロセスを評価対象として重視する」ことが大切だと提起している。(文部科学教育通信 No203 2008.9.8)

2008年9月24日水曜日

新総理と国立大学法人との関係

本日、麻生総理大臣が誕生し、新たな内閣が発足しました。
閉塞感漂う国政、国策、外交の打開にあらゆる努力を傾注していただき、私達国民はもとより、世界の日本として、将来に夢を持てる国づくりを目指していただきたいと思います。

さて、麻生新総理大臣は、昭和63年12月に文部政務次官(~平成元年6月)、平成2年3月に自由民主党文教部会長(~平成2年12月)をされておられますが、こてこての文教族ではなさそうですし、大学や教育行政とはおおよそ無関係だろうと思っておりましたが、なんと、「国立大学の法人化」に関わっておられたことを知りました。

まずは、国立大学が法人化されるに至った主な経緯をおさらいします。


平成11年4月

閣議決定「国立大学の独立行政法人化については、大学の自主性を尊重しつつ大学改革の一環として検討し、平成15年までに結論を得る。」

平成12年5月

自民党・政務調査会が「これからの国立大学の在り方について」を提言

平成12年7月

文部科学省の調査検討会議が検討を開始

平成13年6月

遠山文部科学大臣が「大学の構造改革の方針」を発表
  • 国立大学の再編・統合を推進
  • 国立大学を国立大学法人に移行
  • 大学に競争原理を導入し重点育成 

平成14年3月

文部科学省の調査検討会議が「新しい「国立大学法人像」について」(最終報告)を取りまとめ

平成14年6月

閣議決定「国立大学の法人化と教員・事務職員等の非公務員化を平成16年度を目処に開始する」

平成14年11月

閣議決定「競争的環境の中で世界最高水準の大学を育成するため、「国立大学法人」化などの施策を通して大学の構造改革を進める。」

平成15年2月

国立大学法人法案等関係6法案を国会に提出

平成15年7月

国立大学法人法案等関係6法が成立(10月施行)

平成16年4月

国立大学法人に移行


以上のような経緯を経て国立大学は法人化されることになります。

このうち、いわゆる「遠山プラン」として知られる「大学構造改革の方針」、引いては、文部科学省調査検討会議の最終報告である「新しい「国立大学法人像」について」の基となったものが、平成12年5月に自由民主党政務調査会が提言した「これからの国立大学の在り方について」であったと言われています。

実はこの提言を策定した「自由民主党政務調査会文教部会・文教制度調査会教育改革実施本部高等教育研究グループ」の主査が、このたび総理大臣になられた麻生太郎衆院議員だったのです。

今日は、国立大学の法人化に当たっての重要な考え方となった提言「これからの国立大学の在り方について」(長くなりますが全文)を、麻生総理大臣誕生の記念にご紹介したいと思います。

数年経過して読み返してみると、国立大学の在り方、将来像を改めて認識することができると同時に、提言内容と現状との乖離が、国立大学はこれまで数年間何をやってきたのだろう、いかにつまらないことに時間、労力、お金を消費してきたかについて思い知らされたのでした。


はじめに

国立大学の在り方が問われている。きっかけは独立行政法人化の問題である。政府は、平成15年までに、国立大学の独立行政法人化の問題を検討し、結論を出すとしている。しかし、この問題が「大学改革」ではなく「行政改革」の議論の中から提起されたことに、関係者は強い警戒感と不信感を隠さない。大学に「独立行政法人」という名称を冠することへの違和感を指摘する声も少なくない。

高等教育、学術研究は、一国の国力の源泉である。国立大学の在り方は、わが国の高等教育、学術研究の将来像、ひいては、わが国の未来を左右しかねない重大な問題である。だからこそ、われわれは、国の行政機関としての国立大学の在り方、すなわち「高等教育行政」について論ずる前に、まず、国としての「高等教育政策」の在り方について論ずるべきである。

こうした認識に立ち、政務調査会文教部会・文教制度調査会では、行政改革推進本部からの示唆を踏まえ、高等教育研究グループ(麻生太郎主査)を中心に、大学関係者や学識経験者から計5回にわたってヒアリングを実施し、幅広い観点から精力的に研究を進めてきたが、その成果として、今後の高等教育政策の在り方とともに、焦点である国立大学の在り方について、運営、組織編成、独立行政法人化を中心に、具体的な提言がとりまとめられ、本日、政調審議会において了承した。

1 今後の高等教育政策の在り方

現在、われわれは、21世紀を輝ける時代とするため、「教育立国」と「科学技術創造立国」の2つの目標を掲げている。教育も科学技術も、国家発展の基盤であり、原動力である。豊かな教養、優れた創造力、高い倫理観、自立した精神、健全な社会性など、「人づくり」のテーマは尽きない。わが国の科学技術の遅れに対する危機感、焦燥感も、各界から指摘されつつある。

そうした中、高等教育と学術研究の双方を担う大学の役割と責任は、極めて重大である。わが国や世界の未来を担う多様な人材の育成、社会を動かす新しい知の創造、貴重な文化の継承など、大学への期待は、ますます高まっている。大学が、本来、自律的な存在である以上、まず、大学人一人一人に強い自覚を求めたい。その上で、21世紀のわが国の大学が目指すべき「3つの方向」と、それを実現するための高等教育政策の「3つの方針」を提言する。

まず、大学が目指すべき方向の第1は、「国際的な競争力を高め、世界最高水準の教育研究を実現する」ことである。わが国の大学の国際的な評価については様々な見方があるが、教育、研究とも必ずしも十分に満足できる状況とは言いがたい。あらゆる分野のグローバル化が進む中で、大学が、わが国の発展を支え、教育研究の分野を通じて世界に貢献していくためには、まず、国際的な競争を明確に意識し、世界最高水準の教育研究を目指すべきである。

方向の第2は、「大学の個性化・多様化を進める」ことである。国公私立合わせて600を超す大学が、画一的な大学である必要はない。それぞれの特色を生かし、研究重点大学、教育重点大学、教養型大学、実践的な職業人の養成大学など多様なタイプの大学があってよい。個性化、多様化は、序列意識の解消にもつながる。これからの時代は、大学の個性こそ高く評価されるべきである。

方向の第3は、「教育機能を強化する」ことである。わが国の大学教員の関心は、ともすれば研究に偏り、教育面がおろそかになる面があったことは否定できない。近年、カリキュラム改革や教授方法の改善の取り組みが見られる点は評価できるが、大学教育のユニバーサル化が進み、学力低下の問題も指摘される中で、社会性や倫理観、道徳観の涵養にも留意しつつ、大学の有する教育機能を、学生の立場に立ってさらに重視し、その強化を図るべきである。
とりわけ、戦後、画一化され、また、量的にも著しく拡大した大学の在り方を見直し、各大学ごとに担うべき役割を明確に意識していく中で、自ら未来を切り開く先駆的な精神と、社会や国家への貢献、さらに世界への貢献という高い使命感を持った真のリーダーを、今後、いかにして育成するか、という視点が重要である。

大学が目指すべき「3つの方向」を実現するために、今後とるべき高等教育政策の方針の第1は、「競争的な環境を整備する」ことである。教育、研究、大学運営をめぐる競争的環境の中でこそ、大学の個性は磨かれ、国際的水準の大学も育まれる。大学に市場原理をそのまま適用することには慎重であるべきだが、適切な評価に基づく健全な競争は、大学の発展にとって不可欠な要素である。もちろん、評価が研究に偏ることなく、教育に対しても適切に行われるよう十分留意しなければならない。

方針の第2は、「諸規制の緩和を推進する」ことである。大学の個性化を進め、柔軟かつ弾力的な教育研究の展開を図るためには、諸規制の緩和が必要である。とりわけ、私立大学については、建学の精神を踏まえ、より自由な教育研究活動を促すためにも、例えば、学科の新設、改廃は、基本的に大学の主体的な判断に委ねることなど、諸規制の緩和方策について具体的に検討すべきである。

方針の第3は、「国公私立大学を通じて高等教育、学術研究に対する公的投資を拡充する」ことである。わが国の高等教育に対する公的投資が、欧米諸国に比べて極めて低い水準にとどまっていることは、周知の事実である。例えば、対国内総生産(GDP)比では、アメリカ1.1%%、イギリス0.7%、フランス0.9%、ドイツ0.9%であるのに対し、日本は0.5%である。わが国が、欧米諸国へのキャッチアップを目標とした時代から世界のフロントランナーとなる時代を迎えるためには、高等教育、学術研究に対して国が果たすべき役割にも、時代にふさわしい姿が求められる。今後、競争的環境の中で、わが国の大学の国際的な競争力を高め、世界最高水準の教育研究の実現を目指す以上、公的投資も、欧米諸国並みの水準に拡充すべきである。次期科学技術基本計画においても適切な対応を求めたい。

今後、「3つの方向と3つの方針」の下に、わが国の高等教育政策を展開する必要があるが、わが国の大学制度は、歴史的な経緯の下に、国立、公立、私立の3つの形態が併存し、それぞれの性格に応じて、得意な領域を伸ばしつつ、また、時には競い合いながら発展してきた点に大きな特徴がある。欧米諸国の大学制度は、国立大学や州立大学が圧倒的に大きな割合を占めているが、わが国の大学制度の多様で柔軟な構造自体は、今後とも基本的に維持されるべきである。

また、関連して、主として国費で運営される国立大学については、国が、その運営や組織編成の在り方に対して、相当の関わりを持つことは当然であり、とりわけ大学の存廃など中長期的な在り方に関しては、国がより大きな責任を負うべきである。

2 国立大学の運営の見直し

以上のような高等教育政策を前提に、国立大学の運営の在り方については、以下の方向での見直しを提言する。

第1は、「護送船団方式からの脱却」である。全ての国立大学が、国の手厚い保護の下、いわば護送船団方式で運営される時代は、もはや終わりを告げるべきである。これからは、国立大学といえども、より大きな自由とより重い運営責任の下、教育研究の業績に対する評価を基礎に、より競争的な環境の中で運営されるべきであり、その結果によっては、選別と淘汰も避けられない。

第2は、「責任ある運営体制の確立」である。競争的な環境の中で、各国立大学の運営責任は、より重いものとなる。このため、意思決定機関を確立し、評議会の意向を踏まえつつも、執行の最終責任者たる学長が、様々な場面でリーダーシップを発揮しうる権限と体制を確立すべきである。

第3は、「学長選考の見直し」である。より大きなリーダーシップが期待される学長に、真に大学運営に見識を有する適任者が選ばれるよう、選任の在り方を見直す必要がある。学長選考は、制度上評議会が行うこととされているが、実際には慣行的に全学選挙によって選考が行われる結果、必ずしも適任者が学長に選ばれないような状況は、速やかに改善されるべきである。具体的には、国立大学の社会的責任を明確にし、社会との連携の下に適任者を選ぶとの考え方に立って、学長選考のための学外の関係者及び学内の代表者(評議員)からなる推薦委員会を設けた上で、これに「タックス・ペイヤー」たる者を参加させるなど、選考方法の適正化を図るべきである。

第4は、「教授会の運営の見直し」である。学部の教授会が、「自治」という名の殻にこもって既得権の擁護に汲々とし、本来の権限を越えて全学的な課題にまで硬直的な対応に終始していることが、大学改革の前進に大きな障害となっている。昨年、学校教育法等を改正して、学長、評議会、教授会などの役割分担を明確にした趣旨を踏まえ、現状の教授会中心の運営の在り方を抜本的に改めるべきである。

第5は、「社会に開かれた運営の実現」である。より自由な運営を可能とする以上、国立大学の国民や社会に対する説明責任は一層重いものとなる。第三者評価機関による評価は当然のこと、さらに活動実態を積極的に公表し、また、社会の意見を恒常的に運営に採り入れる取り組みが必要である。

第6は、「任期制の積極的な導入」である。競争的環境の整備の一環として、教員に対する任期制の積極的な導入が必要である。平成9年に制度が整備されたにもかかわらず、多くの国立大学で導入が遅れている状況は極めて遺憾である。世界的水準の教育研究の展開を目指すような大学が率先して、任期制を大幅に導入することで、若い教員にも多くのチャンスを与えるとともに、厳しい選抜を経て、真に優秀と認められる教員にテニュア(任期の付かない在職権)を付与するような開かれた教員人事の在り方を検討すべきである。また、講座制の弊害を打破し、若手教員がより自由に独創的研究を行いうる環境を整えることも必要である。

第7は、「大学の運営に配慮した規制の緩和」である。通常の行政事務とは異なる大学の教育研究の実態に配慮して、予算執行、給与決定、組織編成などの国の諸規制をできるだけ緩和し、運営の自由度を高め、学長の権限を拡大すべきである。

3 国立大学の組織編成の見直し

次に、国立大学の組織編成については、以下の方向での見直しを提言する。

第1は、「様々なタイプの国立大学の併存」である。戦後の国立大学は、画一的で、総じて個性や特色を失いつつある。世界的水準の研究の遂行を目指す大学、有為な人材の育成を重点とする大学など、様々なタイプの国立大学が併存するような姿に変えていくべきである。

第2は、「学部の規模の見直し」である。国立大学の学部の規模については、国公私立の大学の機能や役割を踏まえ、また、学問の進展や社会的需要、さらに各地域における国立大学の役割なども考慮しつつ、適切に見直しを進めるべきである。

第3は、「大学院の一層の重点化」である。主として国費で支えられる国立大学は、真に世界的水準の教育研究の遂行を目指す大学を中心に、大学院に重点を置く方向で、教育研究組織の編成を見直すべきである。その際、研究者養成のみならず、実践的な教育を重視した高度職業人養成の大学院の拡充も必要であり、大学院を中心に、各界における真のリ一ダーが育成されなければならない。

第4は、「国立大学間の再編統合の推進」である。大学の再編統合が、教育研究の高度化、学際領域への積極的な展開、教育研究資源の重点的投資、教育研究基盤の強化にも資する点を踏まえ、大学の自主性を尊重しつつも、最終的には、国の責任において、積極的に再編統合を推進すべきである。

4 国立大学の独立行政法人化

以上のような高等教育政策の在り方、・国立大学の見直しの方向を踏まえ、国立大学の独立行政法人化の問題は、次のように考える。

国立大学を、護送船団方式から脱却させ、より競争的な環境に置くためには、国立大学に国から独立した法人格を与えることの意義は大きい。欧米諸国の国立大学や州立大学も、政府から独立した公的な法人格を有しているのが、一般的である。法人化により、大学運営をめぐる目常的な国の諸規制が弱まる点も、教育研究の遂行上、メリットが大きい。

一方、国立大学を法人化した後も、国は、基礎研究の重視、大学院の重点化など、国策としての学術研究や高等教育の在り方を踏まえ、各大学の運営や組織編成に相当の関わりを持つ必要がある。この点、独立行政法人制度は、目標・計画の設定や定期的な業績評価といった仕組みを通じて国の意思を法人運営に反映させうる法人制度であり、国立大学の法人化に当たって、大学の特性に配慮しつつ、こうした独立行政法人制度の仕組みを活用することは、適切な方法であると考えられる。

この場合、独立行政法人通則法を100%そのまま国立大学に適用することは、大学の特性に照らし、不適切である。なぜなら、例えば、大臣が、大学に目標を直接指示したり、学長を直接任命し、解任するような制度は、諸外国にも例が無い。「独立行政法人」という名称も、教育研究を行う大学にふさわしくない。

したがって、国立大学を独立行政法人化する場合には、独立行政法人制度の下で、通則法の基本的な枠組みを踏まえつつ、少なくとも以下の点については、大学の特性を踏まえた措置を要する。
  • 評議会、教授会、運営諮問会議といった大学の管理運営の基本組織を、明確に位置付ける。 
  • 教育研究の目標や計画は、教育研究の特性を十分踏まえた内容とするとともに、各大学の主体性を十分尊重して定める。また、大臣が目標を指示したり、計画を認可する際には、専門の学識経験者の意見を聴くこととする。 
  • 教育研究の評価は、専門の第三者評価機関である大学評価・学位授与機構の評価を尊重する。なお、大学評価・学位授与機構には、大学関係者のみならず幅広い関係者が参画する必要がある。 
  • 学長人事は、大学の意向を適切に反映しうる手続きとする。その際、合わせて、「2 国立大学の運営の見直し」の中で指摘した「学長選考の見直し」の方途についても検討が必要である。 
  • 「国立大学法人」など大学にふさわしい適切な名称とする。 
  • 企業会計原則を適用する場合には、大学の特性を十分踏まえる。 
  • 特別会計の借入金の返済や長期的な施設整備を円滑に進める仕組みを設ける。 
  • 法人化が公的投資の削減に結びつくものではないことを踏まえ、運営費交付金を十分確保するとともに、産学連携などの自助努力を通じて中長期的に内部的な蓄積を進めることにより、多様な教育研究を保障する。 

上記のうち、基本組織、目標・計画、評価、学長人事、名称の5点については、進みつつある国立大学改革をさらに定着、進展させるとともに、大学に対する国の関わりと大学の教育研究の特性との間の調整を図る観点から、各大学に共通に必要な措置であり、ルールの透明性を確保し、広く国民一般に明示するためにも、通則法との間で一定の調整を行う調整法(又は特例法)といった形で、法律上明確に規定すべきである。

なお、国立大学を独立行政法人化する以上、特に経営面での体制を強化する必要がある。経営担当の副学長を配置することは当然のこと、さらに経営面を担当する何らかの学長補佐機関を設けることも検討すべきである。

さらに、法人格の付与の在り方については、大学間の教職員の交流、大学ごとの資産の状況、大学ごとの経理の独立性・透明性の確保等の観点を十分考慮して、今後、引き続き検討する必要がある。

政府は、以上の諸点を踏まえ、国立大学を独立行政法人化するために、広く関係者や有識者の参画を得て、具体の制度や運用の在り方、移行の方法等の検討を進め、平成13年度中に具体的な法人像を整理し、できるだけ早期に「国立大学法人」に移行させるべきである。

なお、国立大学を「国立大学法人」に移行した後も、国土の均衡ある発展の観点から、地方の国立大学が地域の産業、文化の振興などに果たしてきた役割を十分評価し、その維持強化を図るべきである。また、国立大学が、基礎研究や、社会の需要は乏しいが重要な学問分野の継承、発展において果たしてきた機能についても、一層強化すべきである。

関連して、国立大学を「国立大学法人」に移行させる場合には、国立の大学共同利用機関も同様の方向で独立行政法人化すべきであり、名称も「国立大学法人」と同様に適切な名称を検討すべきである。さらに、公立大学についても独立した法人格を付与することについて検討を行う必要がある。

5 高等教育・学術研究への公的投資の拡充

今後、国公私立大学を通じて高等教育、学術研究に対する公的投資を、欧米諸国並みの水準に拡充する必要があるが、その際には、以下の点に留意が必要である。

第1に、「競争的経費の拡充と基盤的経費の確保」である。大学間のより競争的な環境を整備するため、科学研究費補助金などの競争的経費を、より公正・客観的な配分方法に留意しつつ拡充するとともに、教育研究の長期的な展望や基礎的な教育研究分野に配慮して、基盤的経費を十分に確保することが必要である。

第2に、「客観的な評価の結果に基づく資源配分の実施」である。特に、公的資金の占める割合の高い国立大学については、より競争的な環境の整備の観点からも、各大学の教育研究の実態に対して厳正かつ客観的な評価を行い、その評価結果に基づき、透明性の高い資源配分を行うための仕組みについて検討すべきである。

第3に、「私学助成の抜本的拡充と傾斜的な配分の推進」である。わが国における私立大学の重要性を踏まえ、私学助成を抜本的に拡充すべきである。とりわけ、教育研究に極めて高い成果を上げる私立大学に対しては、国としても、国公私立の枠組みにとらわれない積極的な支援を行うべきである。

第4に、「寄附金等の受け入れ促進のための税制の見直しや特許取得体制の整備」である。大学の教育研究に対する善意の寄附金等が、各界各層から円滑に寄せられるよう、所得控除や損金算入限度額の拡大など税制の見直しを積極的に進めるべきである。また、大学における特許取得のインセンチィヴを高めるともに、その実用化を促すための体制の一層の充実整備が必要である。

6 今後引き続き検討が必要な重要課題

上記の諸点のほか、以下の諸点については、今後の高等教育を考えていく上での重要な課題として、引き続き時間をかけて幅広い観点から検討をする必要がある。
  • 海外との研究者・留学生交流の拡充
  • 教養教育の充実強化
  • 生涯学習システムの拡充
  • 教員養成の在り方
  • 産学連携の推進
  • 試験科目の在り方など大学入試の在り方
  • 学部教育の年限の在り方
  • 大学の教育研究施設の老朽、狭隘への対応
  • 社会システムとしてのロースクールなど専門大学院制度の在り方
  • 開かれた教員の任用の在り方
  • 単位互換制度の積極的な活用など大学問連携の推進
  • 国公私立の枠組みを超えた大学問連携の在り方
  • 大学附属病院の経営の改善
  • 短期大学、高等専門学校の見直し
  • 専門学校の見直し
  • 育英奨学制度の在り方

2008年9月23日火曜日

大学マネジメントセミナーレポート


去る9月10日(水)に、学術総合センター一橋記念講堂(東京)において、国立大学協会が主催する「平成20年度大学マネジメントセミナー(財務編)」が開催されました。

このセミナーは、国立大学の財務担当役員、担当幹部職員等を対象に毎年行われているものですが、今年は例年に比べ、民間企業出身の講師陣の気合の入った辛口が出席者の気持ちを引き締める場面が多かったような気がします。

特に印象深かった3人の方の講演内容のポイントをご紹介します。(聞き取りメモにより記載していますので、講演者の意図が正確に反映されていない部分があるかもしれませんがご容赦ください。)


国立大学の財務について-なぜ財務戦略が必要なのか-(筑波大学理事・副学長 吉武博通)

吉武さんは、新日本製鐵株式会社から筑波大学に入られた元民間人の方です。
  1. 国立大学が新たな発展プロセスをたどるためには、独自の「構想力」「実行力」が必要であるとともに、自らの存在意義を社会・国民に的確に示すことが必要である。

  2. 大学を強くする最も手っ取り早い方法は、大学を社会に「さらす」こと、恐れずに自分を「さらす」ことである。

  3. 自らが置かれている現状を直視した上で、「ビジョン」(15年程度の将来像)を描き、ビジョン達成までの道筋である「戦略」(経営戦略、財務戦略、情報戦略等々)を明らかにした上で、「PDCA」サイクルを回しながら、「着実に改善」を重ねること(「改革」より「着実な改善」)が重要である。

  4. 戦略の中でも最も重要な財務戦略の構築に当たっては、「金」だけを見るのではなく、「人、もの、金、時間が真に有効に活用されているか」について、従来の発想にとらわれず抜本的に見直し、最も効果的な活用を目指して、大胆な組み替えを行うことが重要である。そのためには、財務部門や会計業務に携わる職員が、戦略的な部門や職員に変わらなければならない。財務担当職員は、会計検査院、文部科学省、規則等を振りかざし、「適正性」を追求し「効率性」を無視している。財務担当職員が従来の枠組みにとらわれていると大学はだめになってしまう。戦略的財務部門・職員は、人事部門、教務部門、学部等とコミュニケーションを図り、学生のニーズ、教育研究現場の視点からの発想、効率性と適正性は車の両輪との信念、学問や社会の将来に対する洞察と大学職員としての当事者意識・使命感を持つことが必要である。財務部門が変わらなければ大学は変わらないという緊張感を持つべきである。

  5. 国内外には課題が山ほどあり、その中心に大学が座るべきである。大学は、教育、研究、経営の質を高め、社会の信頼を勝ち得ることが必要である。特に国立大学(中でも地方の社会・経済・文化における地方大学)の果たすべき役割は極めて大きい。


世界の中の日本の大学-財務からみた経営課題は-(株式会社脳機能研究所取締役 関口光晴)

関口さんは、東京工業大学卒業後、都市銀行を経て東京工業大学理事(経営担当)を経験した立場から講演されました。

  1. 運営費交付金削減の議論だけやっていて何もしなければ、世界は日本の大学に見向きもしなくなる。財務担当者が本気になって動かなければならない。

  2. 「グローバル化」と「国際化」は違う。今、食物の7割は外国産であり、「食事」の面で起きていることが「人」の面ですぐに起きる。経済活動のグローバル化において、競争相手は当然ながら世界であり、経済効率性が益々追求されるようになる。これに対応していくためには、高等教育の共通言語としての「英語」の普及、情報の解釈力が重要である。

  3. 世界の大学は、「学歴社会」に大きく変化している。ヨーロッパでは、「ボローニャ・プロセス」が進行中であり、これは、1)各国で比較可能な学位システム、学部・大学院の構造を統一しよう、2)各大学の単位互換をしよう、3)学生・教員の移動の障害を除去しよう、4)欧州レベルで質の保証をしようといった動きである。また、アメリカでは、大学は「アカデミック・キャピタリズム」へ変貌している。これは、利益追求の大学を目指すものであり、州政府の補助金が60~70%から40%以下に減少する中、大学は、外部資金、寄付金集め、産業界とのパイプを強くする活動を強化している。

  4. 日本の大学も大きく変貌しようとしている。国際競争力(企業ニーズ)に結びつく高等教育に変わってきた。大学は知識産業の一つとして、基礎研究から企業研究へ、教員の共同体意識(教授会自治)から企業的ガバナンスへの変化が必要とされるようになった。

  5. イエール大学では、学長がホームページで、グローバルシステムを育てる、世界中から優れた学生・学者を集めグローバルユニバーシティイになるという宣言を行い、そのためのプロセスも明示している。また、中国では、優秀な人材を欧米に出し勉強させ、中国に帰国させ中国で人材を育てるという「海亀作戦」を行っている。

  6. 我が国の財政赤字は、国民一人当たり850万円の借金。したがって、財源を教育に振り向ける余裕はない。加えて少子化による影響は甚大で、私立大学では41.7%が定員割れとなっている。国立大学は、いかに優秀な学生を集めるか努力しているのか。少子化のために学生の学力やモチベーションが落ちているが、何か対策をやっているのか。大学は、現実が見えているのに見ようとしていない。

  7. 人材育成面での教育界と産業界とのミスマッチが大きい。産業界はもはや大学には期待せず、経済産業省に期待している。経済産業省がなぜか教育の原点である「社会人基礎力アップ」活動をやっている。大学は何をやっているのか。別の省がやっているのに文部科学省は止めようともしない。

  8. 因習に凝り固まった大学運営も問題である。国立大学はガバナンスがはっきりしない。教員の共同体意識(教授会自治)が強すぎる。なぜ学部長を学長に選ばせる制度がないのか。権限と責任を正面から見るべきである。教授会とは何なのか。

  9. 「大学経営」と「大学運営」は違う。大学経営とは、方向を決めてその方向へ持っていくこと。なのに、経営をわからない人達がやっている。経営をできる人が誰もいない。共同体意識が強いために、一度採用されたら解雇できない。とてもおかしい。

  10. 事務職員と教員の意識に差がありすぎる。事務職員の意識・能力は私立大学の方が高く、教育研究に平気で突っ込んでくる。国立大学では、事務職員は単なる補助者と教えられてきている。大学を経営する主人公は事務職員であり、教員は実際に経営をしていない。

  11. 企業は、なぜ出身校を隠して採用試験をするのか。質の保証ができていない大学がたくさんあるからである。パナソニックやソニーの製品は品質の保証ができているから壊れない。どういった人材を育てるべきかは、卒業生と受入れ先にコンタクトしたら見えてくる。卒業生に向いた大学を作ってほしい。「教育の成果は卒業生」であり卒業生を大切にすべきである。

  12. 大学の特色を際立出せるためには、「具体的な目標」を描くこと、「達成までのプロセス」をしっかりと作り込むことが必要である。学部によって使命は違うわけで、それをはっきり出すこと、統一する必要はない。また、世界の中での存在感を増すべきであり、今のうちだったら、地方大学でもアジアには出て行ける。

  13. 中期目標と学長の任期がリンクしておらず、人の作った目標を別の人が実行している。中期目標が全国的に総花的であり、絞り込んだ目標、達成感が持てる目標を作ることが必要である。だから民間企業は数値目標を設定している。また、部局長も責任者であるという体制を作ること、実現に責任を持たせることが必要である。さらに、理事の半数は学外者を登用すべきである。


財務における効率性と公正性の確保に向けて-監査役(監事)からみた国立大学の財務戦略-(筑波大学監事(元日本監査役協会会長)吉井 毅)

吉井さんは、新日本製鐵大分製鉄所の建設に最初からかかわった経験を含め講演されました。

  1. 国立大学は、未だ財務戦略を考える域に達していない。大学が抱える基本問題を解決する方が先ではないか。幕末、備中松山藩の改革を行った「山田方谷」は「理財論」の中で、理財の中に屈してはいけないと言っている。つまり、細かいことをやってはいるが効果が現れていない国立大学のこと。国立大学は、国の出資カンパニーであり、今後、いかに自由度を持つか、存在意義を国や社会に訴えるかが重要である。

  2. 松下幸之助は、自著「21世紀の日本」の中で、日本の2010年のあるべき姿、どうすればいいかというアプローチを描いている。国立大学は学ぶべきであり、ミッションを明確にし、責任をとり、行動しなければならない。

  3. 少子化は大変な時期であるが、反面チャンスでもある。運営費交付金の1%削減などは、民間企業の合理化に比べれば大したことではない。生産性を上げることは決して難しいことではない。要は誰が腹をくくってやるか、いかに次の体質に脱皮できるかである。「執念」が成否を決める。能力ではない。執念のない人は「難しい」をあげつらう。執念のある人は「可能性」を追及する。大学の一体感、使命感が事の成否に重要である。

  4. 教育の品質が低下している。マスプロ的対応・評価、大量生産型は終わり。個別に対応していくことが必要であり、異質のことに力を入れて踏み込んでいくべきである。また、ミッションの明確化を図り、具体的アクションプランを作ること。定量化できるか、短期的に成果が出るかは教育の難しい問題であるが、知恵の出しどころである。

  5. 「法人化とは何か」を真剣に考えなければならない。今はホールディングカンパニーだが、個々の大学の姿や方針は国家の方針とは違うはず。日本には「人材」しか資源がない。大学院の拡充よりも、早く仕上げて早く社会に出すことが必要である。

  6. 「大学の背骨」は、付加価値をつけて社会に送り出すことである。これに沿っていろんなことを考えるべきであり。資源を集中すべきである。「社是」は、国の時代はなくてもよかった。「財務」担当役員と「企画」担当役員が別になっている民間企業はない。同一である。

  7. 「教育の評価」をしなければ大学はよくならない。PDCAの中で一番大事である。卒業生のフォローを出かけてやっている大学は少ない。そこに資源(人)をかけるべきである。

  8. 大学の人事制度・運用は、極めて憂慮すべき状態である。ここにいかに早く手をつけるかが重要である。50歳になって1人がやっと課長になるという世界はない。そんなところで職員のモラルはない。優秀な職員は理事にするくらいのことを本気で考えなければ将来を乗り切ることはできない。ここ数年が勝負である。

  9. 経営力やマネジメント力の強化を本気でやる必要がある。それは研修で身につくものではない。エスカレータ方式教育の発想ではだめで、OJTしかない。自分で身につけるしかない。自分達で自分を磨くことに努めなければならない。

2008年9月22日月曜日

国立大学法人の中期目標・中期計画

国立大学法人の第1期中期目標・中期計画(平成16~21年度)については、各大学ともその達成に向け、現在懸命な努力が続けられているところです。また、今年6月末までに、各大学の平成19年度の業務実績とともに、中期計画期間中(平成16~19年度)の業務実績が国立大学法人評価委員会に提出され、平成19年度の評価結果については、つい先日、評価委員会の素案が各大学に示され、各大学からの意見等の申し立てが終了したところです。一方、中期評価については、年度末までに確定することになっています。

さて、いわゆる法人評価のベースとなるのが、実際は大学が作成し、形式上文部科学大臣が設定することとされている中期目標と、中期目標を達成するために各大学が作成する中期計画であるわけですが、現在、各大学は第1期中期計画の達成作業とともに、平成22年度から始まる第2期中期目標・中期計画の策定作業に汗を流しています。

各大学とも第1期中期目標・中期計画の総括・検証を行いながら、来るべき第2期中期目標・中期計画期間中の戦略策定に頭を悩ませる日々が続いているのではないかと思います。

この悩ましい第2期中期目標・中期計画の策定指針については、第1期における様々な反省を踏まえ、これまで文部科学省と国立大学協会が中心となって、制度設計を行ってきましたが、いよいよその形が大学現場にも見えてきました。

今日は、今月末にも文部科学省から各国立大学に示される予定の第2期中期目標・中期計画の項目等について、事前に入手した資料から主なポイントをご紹介したいと思います。

1 第1期からの主な変更点
  1. 中期目標・中期計画の対象となる事項をより明確化したこと
  2. 達成度を明確に評価できるよう可能な限り中期計画の記載の具体化を図ったこと
  3. 中期計画の「記載事項の例」を示さないなど例示を簡略化したこと
  4. 最小単位の項目数の目安を設定したこと
  5. 国際化の項目等一部記載事項の追加を行ったこと等

2 上記による効果(第1期と比較した場合の想定されるメリット)
  1. 各大学の目標の明確化・重点化により、各大学の個性化や機能分化がより促進されること
  2. 国立大学法人評価の精選化・重点化により、質の高い評価を行えること
  3. 目標・計画や評価に関する作業量が大幅に減少すること等

3 今後の予定されるスケジュール
  1. 平成21年6月中を目途に各法人から中期目標・中期計画の素案を文部科学省に提出
  2. 国立大学法人評価委員会における審議(必要に応じ各大学からヒアリングを実施)
  3. 平成21年度中に中期目標・中期計画の認可等に係る正式な手続き

なお、国立大学法人の第2期中期目標・中期計画の項目等についての補足事項として、文部科学省が作成した資料には次の点が示されています。

1 項目数を原則として100項目を下回るとすることについて
  • 第1期中期目標・中期計画においては、結果的に各法人が設定する項目数が多すぎ、策定作業や評価作業が膨大である、羅列的・総花的で構造化されていない、等の指摘があったところである。このため、第2期中期目標・中期計画においては、第1期の全法人の平均最小単位項目数(約194項目)の概ね半減を目指し、項目数の上限の目安として100項目としたものである。

  • なお、下限の目安は特に設定しないが、各法人の規模、部局の数等も勘案しつつ、各法人において適宜ご判断願いたい。

2 中期目標の前文における「機能別分化」に関する記述の追加について
  • 今後は、より大学の機能別分化を進めることが重要との観点から、中期目標の前文の(注)において機能別分化に関する記述を追加したものである。

  • あくまで、各法人が自主的に自らの基本的な目標や使命を明確に記載する際の参考の一つとするとの意味であり、「我が国の高等教育の将来像」(将来像答申)等も参考にしつつ、必ずしもそれらにとわれることなく、各法人の判断により適切に記載願いたい。(例えば、「将来像答申」に言う7つの機能のうちいずれかを選択すべきとの趣旨ではない。)

3 「国際化に関する目標」等の新設について
  • 今後、国立大学法人として国際化に対する取組みを明確化していくことが重要との観点から、「大学の教育研究等の質の向上に関する目標」の「3その他の目標」に「国際化に関する目標」を新設するなどしたものである。

4 「法令遵守に関する目標」等の新設について

  • ここ数年、不正経理や個人情報漏えい等の法令違反が後を絶たない現状に鑑み、これらの事案の未然防止等を図る観点から、「その他業務運営に関する重要目標」に「法令遵守に関する目標」を新設するなどしたものである。

今後上記の方針に基づき、各大学は本格的な作業に突入していくことになります。

なお、今年も昨年に引き続き、第2期中期目標・中期計画期間に向けて、各国立大学法人における諸課題等について広く意見交換を行うことを目的とした文部科学省との意見交換が、平成20年10月6日(月曜日)から11月28日(金曜日)の間に文部科学省において開催されることになっているようです。

国立大学法人側からは、担当理事、事務局長、担当部長等(3名以内)の出席が求められ、1法人当たり30分~1時間程度の意見交換が行われることになっています。証拠づくりのために形式的に行うのではなく、相互に率直な意見交換を行い意味のあるものにしていただきたいものです。

2008年9月21日日曜日

これからの職員研修の在り方

先日、ここ数ヶ月の間に事務職員として採用された方々と懇談する機会がありました。
採用時の研修を終え、仕事に慣れることに大変な日々を過ごしているようです。

国立大学が法人化して5年目に入りましたが、最近では、大学職員への就職希望者も多く国立大学法人採用試験の競争倍率も高くなっているようです。
確かに、最近採用された皆さんのスキルとやる気は、国立大学の将来を託すにふさわしい潜在能力の高さを感じさせてくれますし今後の成長がとても楽しみです。

しかし、一方で、これまでの経験から申し上げれば、社会の常識との乖離が甚だしく、極めて閉鎖的、独善的な大学の体質、その体質に年齢を重ねるにつれどっぷりとつかり、いわゆる「ゆでがえる」になってしまっている役人的事務職員が少なくなく、そういった上司や先輩を見て育ち、次第に初心を忘れモチベーションを維持できなくなる多くの若い職員を見てきたことも事実です。

そういった人達を限りなく少なくしていくためには、まず、彼らの上司や先輩に当たる管理職員の部下を育てる能力を徹底的に鍛え、OJTを通じて将来を担う職員を成長させていくことが必要です。その上で、社会や時代のニーズ、大学の経営戦略に沿った効果的な研修をPDCAのサイクルで回していくことが必要になってきます。

最近では、大学経営における職員の役割の重要性や在り方が問われ、見直されつつありますし、効果的なSDの研究も進められています。

今日は、今から2年ほど前に、現職の大学職員(北陸先端科学技術大学院大学企画課法規係長(当時)林透 氏)が、これからの国立大学職員の研修の在り方について書かれた考察(国立大学マネジメント APR 2006 / Vol.2. No1掲載)を抜粋してご紹介したいと思います。


はじめに

2004年度の法人化以降、国立大学法人を取り巻く環境は大きく変動しつつあり、各法人が独自性を打ち出すための施策が徐々にではあるが、目に見える形で現れつつある。しかし、職員(事務職員)の在り方については、旧態依然のところが多く、未だ積極的な改善が行われているとは言えない。国立大学マネジメント研究会設立に際し、2005年8月15日付け日経新聞に掲載された本間政雄京都大学理事(当時)の言葉は非常に印象的である。
  • 教学に関する教員の高い識見と事務職員の大学経営に関する専門性が車の両輪のようにかみ合ってこそ大学は動くし、改革が進む。

  • しかし現状は、幹部職員には国家公務員時代の前例踏襲主義が色濃く残り、仕事ぶりにコスト意識とスピード感が欠けている場合が多いし、若手・中堅職員にも使命感や目的意識があまり感じられない。
職員の採用・異動形態、研修制度を考えたとき、公務員制度を引きずるものが多く、その体質が急激に変わるということは難しい。ただ、現職として感じることは、職員のあるべき姿の変化とそのことに関する学内のコンセンサスを得る努力がまだまだ希薄なように感じる。1998年の大学審議会答申や2002年の国立大学等の独立行政法人化に関する調査検討会議報告において提示された職員の在り方が、「イコール・パートナーシップ」などの言葉を通して、我々職員の耳に届くわけだが、各大学の事務局組織において、職員の役割をいかに位置づけ、大学経営にどのようにコミットメントしていくかという具体的な取り組みに欠けているのが現状ではないであろうか。

職員の役割が、厳しさを増す大学経営において必要不可欠であることは間違いなく、そのことを学内ばかりか、学外においても認識される努力を我々職員自身が行っていかなければならない。

これからの職員研修制度

考えなければならないのは、だだ単に研修のメニューを充実したり、内容を見直したりするだけでは解決できない問題があるということである。それは、各国立大学法人において、職員研修をいかに捉えるか、個々の職員がいかに取り組むかが最大のポイントであり、そのことを認識させる仕掛けづくりが必要不可欠である。

法人化前においては、職員の研修への派遣についても、年功序列的に決定する傾向が強く、派遣される職員の研修に対するモチベーションも決して高くはなく、多分に強制的要素が強かった。そのため、事務局組織においても、研修による成果というものに一定以上の期待を抱くことがなかったとも言えよう。それは、研修そのものの実施目的にも関連することであるが、多くの研修が公務員としての意識を高め、平均的な能力の享受を目的にしていたためである。

職員研修に係る考え方として、早稲田大学の井原徹氏が「大学改革の職員の能力開発」という論考の中で述べているように、職員の自主性に基づくスキルアップを奨励する環境を築き上げることが必要である。民間企業においても同様なように、21世紀の高度情報化社会において、各法人がきめ細かい職員育成のためのプログラムを提供することは非常に困難となっている。時代のニーズに柔軟に対応するため、職員が比較的自由に自己鍛錬を行い、その行為を支援し、かつ、評価するシステムが求められている。

公務員制度を踏襲する現状において、職員育成の観点から改善すべき事項として、目標管理や人事考課の制度を確立する必要がある。先に触れたように、従来の職員研修制度は、極端な言い方をすれば、水準以上の能力開発を必要としていなかった。そのため、職員管理において、職員育成とキャリアパスとの関連性が非常に希薄であった。しかし、法人化後において、多種多様な人材の育成が求められている中で、職員育成における目的意識やその後の評価が伴わなければ全く無意味なものとなってしまうだろう。

まとめ

児童・生徒の教育の在り方には答えがなく、「受験戦争」「ゆとり」「学力低下」というキーワードで論争すると尽きないものである。人材の育成について、一つの尺度で考えることは難しく、時代に応じて変化を余儀なくされるものである。そのことは、組識における職員育成を考える場合にも同じことが言えるのではないだろうか。大学を取り巻く環境は時々刻々と変わっており、それに対応するために職員に求められる力量も著しく変化してきている。職員育成のための研修のメニューを最低限用意することは義務と思われるが、それ以上のものは、職員個々の取り組みにかかっていると思われる。

バブル崩壊後、大手企業は自前で抱えていた研修所を手放し、自前の研修プログラムで職員を育成することにカを注がなくなった、注げなくなったと言われる。その反動からか、民間企業の職員の中には、自前で大学院などに通い、スキルアップに努めている者も相当数いると聞く。私立大学の職員の一部には、大学経営の危機感からか、自己学習欲に燃える職員がいる。国立大学法人職員にあっても、自己を磨き、組織に役立とうとする気概が必要であろう。厳しい時代の大学経営に役立つ人材を育成するには、職員の自主性を育むことが重要なキーワードになろう。

2008年9月20日土曜日

沖縄 2008 ・ 美ら海水族館

我が家の沖縄訪問の定番になりつつあるのが沖縄美ら海水族館です。
輝き、神秘、美しさを体感できる素晴らしい水族館だと思います。

カラフルな熱帯魚たち




気持ちよく泳ぐジンベイザメとマンタ

ジンベイザメ
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成長すると10~12mになる。魚類の中では最大種。世界の熱帯から亜熱帯の表層に生息する。当館に寄せられる沖縄本島での確認情報は5~6月頃が多い。模様が夏着の甚平に似ていることからジンベエと名付けられたとされている。

大きな身体をしているが動物プランクトン等の小さな餌しか食べない極めて穏和なサメで、ダイバーが近づいても逃げようとしない。サンゴの産卵時期には水面に漂う卵を食べたり、時には立ち泳ぎをしながら水面近くの餌を食べることが知られている。当館でも、給餌解説の際には約100リットルの海水とともに餌のオキアミを大きな口を開けて吸い込む、豪快な給餌シーンを見ることができる。

生態はほとんどわかっておらず、1995年、台湾で捕獲された母ザメの体内から約300個体の胎児が見つかったことで胎生であることが判明した。(沖縄美ら海水族館ホームページから)


オニイトマキエイ



幅6.8m、体重2tの記録があるが更に大きくなると推定される。エイ類の最大種。通常、沖縄以南の全世界の温・熱帯海域に生息する。

飼育や餌付けに成功したのは当館が世界で初めて。大きな体をしているが主に小さなプランクトンを食べるおとなしいエイ。下顎の歯は米粒より小さく、上顎には歯がない。泳ぎながら頭の前縁にある大きな口を開けて、頭にあるヒレ(頭鰭)をのばして口の中に餌を流し込むようにして食べる。

通称マンタと呼ばれ、ダイバーにも人気がある。腹の黒い斑紋で個体識別ができる。(沖縄美ら海水族館ホームページから)




オキちゃん劇場


青い海をバックにイルカたちがダイナミックなジャンプやダンスを披露してくれます。












沖縄美ら海水族館ホームページ



ピザ喫茶 花人逢(かじんぼう)

本島北部・本部町、カルスト地形が広がる山里地方にあるピザ喫茶「花人逢(かじんほう)」でランチをいただきました。



広いテラスから見下ろす眺めは、訪れた人の心をとらえます。濃いブルーの本部の海に伊江島、瀬底島、水納島が広がる青の世界。そして夕日が沈もうとする時のオレンジや紫の世界。どちらも極上の景色ですが、夕日ポイントとしては、沖縄でも最上位クラスにランキングできるでしょう。

お料理は、店名の通りビザがメイン。中サイズ・30センチのピザはチーズたっぷりサクサクで、2人では食べきれないほど。サイドディシュのサラダも大山盛り!女性2人であればビザ小とサラダで十分な量かも。(美ら島物語ホームページから)



美ら島物語ホームページ
http://www.churashima.net/shima/special/cafe/okinawa/kajinbou/

2008年9月18日木曜日

中長期的な大学教育の在り方について(諮問)

去る9月11日、文部科学大臣は、中央教育審議会に対し、大学教育の将来を見据えた中長期的な在り方についての審議の諮問を行いました。

諮問の理由は次のようなものです。

我が国を取り巻く国内外の状況が急速に変化し、社会構造全体が大きな変革期を迎えている中、豊かな教養と深い専門性を身につけた人材の育成と、様々な社会的課題の解決への貢献等、大学に対する期待と要請は極めて大きくかつ多様となっている。

各大学では、それぞれの教育理念に基づいて、自らの個性・特色を明確化しつつ、教育活動の質の維持・向上に取り組んでいるものの、進学率の向上と学生のニーズの多様化、18歳人口の減少、国境を越えた大学の教育活動の進展といった状況に伴い、個々の大学による対応にとどまらず、大学教育全体の在り方について見直さなければならない状況にある。

去る7月1日に閣議決定された「教育振興基本計画」は、現下の教育をめぐる課題と社会の変化の動向を踏まえ、「教育立国」の実現に向け、総合的かつ計画的に取り組むべき施策が示されている。その中では、計画期間中である平成20年度から24年度までの「5年間を高等教育の転換と革新に向けた始動期間と位置づけ、中長期的な高等教育の在り方について検討し、結論を得ることが求められる」とされている。

以上のことから、我が国の大学教育の質を保証し、社会からの信頼の向上を図るため、大学教育の将来を見据えた中長期的な在り方について、国際的・歴史的に確立されてきた大学制度の本質を踏まえつつ、特に、次のような事項を中心に逐次検討していく必要がある。
  1. 社会や学生からの多様なニーズに対応する大学制度及びその教育の在り方について
  2. グローバル化の進展の中での大学教育の在り方について
  3. 人口減少期における我が国の大学の全体像について

具体的な検討項目は、文部科学省のホームページに掲載されてありますが、ここでは主なポイントについてご紹介したいと思います。


1 社会や学生からの多様なニーズに対応する大学制度及びその教育の在り方
  1. 大学教育の水準の維持・向上を図りつつ、様々なニーズに適応する学生本位の視点に立った大学教育の実現の方策
  2. 一人ひとりの学生のニーズに応じた大学教育が提供され、その質保証がよりきめ細かく行われる「学位プログラム」を中心とする仕組みの導入の是非(人的・物的環境の在り方を含む。)。あわせて、近年の情報通信技術の進展を踏まえた通信制と通学制の取扱いなど、大学における多様な現状に合致した制度及び教育の在り方
  3. 医療系人材等の社会的な要請の特に高い分野における教育課程の充実、教育活動の評価、社会との連携等、人材養成の在り方
  4. 学生の達成すべき学習成果の明確化とともに、今後の設置認可、自己点検・評価、認証評価、分野別評価等を通じて、大学教育の質保証システムをどう構築すべきか。
  5. きめ細かな履修指導や進路相談等の学生支援の具体的取組方策。また、社会人や留学生等の多様な背景を備えた学生への支援や、大学院博士課程学生への教育の在り方や修了者への支援に関し、どのような方策が必要か。


2 グローバル化の進展の中での大学教育の在り方
  1. 大学の国際競争力の向上のために、大学における教育・研究、学生支援や環境整備等の機能はどうあるべきか。また、大学の国際化に係る認証等の支援の在り方等
  2. 大学教育のグローバル化に対応して、大学の評価に関わる様々な仕組みの中に、国際的な視点をどのように取り入れるべきか。また、OECD(経済協力開発機構)等において世界的規模で行われようとしている大学に対する様々な評価活動を受けた、我が国の大学における対応の在り方
  3. アジア域内等の国際的な学生・教員の流動性をより一層高めるための方策。また、域内全体の大学教育の質保証に向けた活動の進め方


3 人口減少期における我が国の大学の全体像
  1. 今後における大学の果たすべき役割、人口減少期における状況、充足率の状況等を踏まえた我が国の大学の健全な発展
  2. 大学の機能別分化と連携協力を促進するための方策
  3. 全国レベルと地域レベルのそれぞれの人材養成需要に対応した大学政策の在り方


4 上記1~3の方策の検討に関連した大学教育に係る各種の行財政システム

以上の諮問について新聞は次のようにコメントしています。上記諮問理由からは伺えないやや過激な表現が一部使われています。取材の成果なのか、どこまでが事実なのかはわかりませんが、とりあえずは審議の経過を眺めていくしかないでしょう。



鈴木文科相 「大学縮小」議論を 中教審に諮問 (2008年9月11日 毎日新聞)

鈴木恒夫文部科学相は11日、人口減少時代などに対応した大学のあり方の審議を、中央教育審議会に諮問した。文科省は全国に86校ある国立大学の再編も視野に、公立や私立も含め大学の規模縮小を検討しており、国の高等教育政策の大転換点となる可能性がある。審議の行方次第では大学の再編・淘汰(とうた)が一気に加速しそうだ。

「大学全入時代」で定員充足率の低い大学が増え、教育の質低下が懸念されていることから、鈴木文科相は「転換と革新の議論が必要」と説明。委員からは「補助金の出し方をしっかり議論すべきだ」などの意見が出た。

審議では、大学新設の抑制など設置基準の見直しも検討する見通し。得意分野に取り組みを集中させる「機能別分化」と大学間連携の促進策や、学部学科の枠にとらわれない「学位プログラム」の導入なども審議する。文科省幹部は「国立大同士の統合や公立への移管も議論対象になる」としている。


大学もいよいよ再編統合の時代に!? 中教審で審議へ (2008年10月14日 Benesse教育情報サイト)【追加記載】

鈴木恒夫文部科学相はこのほど、中央教育審議会に「中長期的な大学教育の在り方について」の審議を行うよう諮問しました。教育水準の維持・向上、国際競争力の向上などのほか、「人口減少期における大学像の検討」が主な審議テーマになっているのが注目されます。実質的な大学全入時代を迎えるなかで、大学の再編統合が一挙に進む可能性もあります。

少子化により18歳人口が減少しているにもかかわらず、進学率の上昇を背景に、4年制大学の数は1998(平成10)年度に604校だったものが2008(同20)年度は765校と、10年で160校近くも増えています。これは、政府の規制緩和の方針を受け、大学設置の認可が弾力化されたためです。しかし、現役高卒者の大学等進学率が50%を超えるなかで、私立大学の47.1%が定員割れを起こすなど、学生の集まる大学と集まらない大学との二極化が進んでいるほか、大学教育全体の質の低下が大きな問題となっています。

一方、経済協力開発機構(OECD)などを中心に、大学における教育成果を国際的に評価しようという動きが具体化しています。質の低下を放置すれば、日本の大学教育全体の国際的な信用が失われることになりかねないという新たな課題も出始めています。

中教審は現在、学部で学生が身に付けるべき内容のガイドラインとなる「学士力」を策定することなどを審議しています。しかし今回の諮問は、学部教育の内容にとどまらず、大学全体の在り方を見直すという大きな視点からの諮問となっているのが特徴です。たとえば、学生の多様化に対応して、学生が学部・学科などの枠にとらわれずに、ニーズに応じた学習をできるようにする「学位プログラム」という考え方を導入するよう、検討を求めています。

しかし、最も注目されるのは、やはり「人口減少期における我が国の大学の全体像」を考えるという観点から、大学数の削減など実質的な再編統合に踏み出すことを暗に要請している点でしょう。政府の方針を受けて文科省はこれまで、大学の再編を市場原理に委ね、新増設についても極力、事前規制などはしない方針を取ってきました。今回の諮問は、そうした方針を転換することを意味しています。ただ、中教審の大学分科会は今年3月に公表した学部教育の「審議のまとめ」の中で、現在の大学数が多すぎるということはないという立場を明確にしたばかりでも在り方針転換には大学関係者の強い反対も予想されます。

さらに諮問は、大学の在り方について、学術研究、学生の教育、一般市民などへの生涯学習など、各大学が実情や得意分野に応じた「機能分化」をしていくような検討も求めています。設置認可を厳しくして大学の数を抑制し、定員割れ大学を淘汰(とうた)するのと同時に、各大学の役割を分けていくことで、全体の質を向上させよう、というのが文科省の考え方のようです。


大学全入時代 中教審、作業部会設置し具体策研究(2008年11月12日 産経新聞))【追加記載】

希望すれば誰でも進学できる「大学全入時代」に入り、大学教育のあり方をめぐる議論が本格化している。「ゆとり教育」世代の学生の質低下が懸念される一方、55%という高い大学進学率で学生のニーズが多様化する中、これからの大学に求められるものは何か。中央教育審議会の大学分科会が作業部会を立ち上げ、具体的な検討に動き出したのだ。“大学再編”さえも視野に入れながら大学の進むべき道を探る過程になりそうだ。

≪学位プログラム≫

「今の大学は、入れ物をみても中身がよく分からない状況。中身をみせるためにも学位プログラムの確立が必要」「学生の力を高めるための制度でなければ、意味がない」。10月29日に開かれた「学位プログラム検討ワーキンググループ」第1回の会合では、大学の将来を見据えた委員から厳しい意見が相次いだ。大学分科会が立ち上げた13のワーキンググループの中でも、大きな柱と位置づけられているのが、この「学位プログラム」に関するグループだ。「学部」という組織内で行われていた従来の教育システムに対し、教育目標や研究目的に沿ったカリキュラムで教育するのが「学位プログラム」の考え方。突き詰めれば、学部や学科という枠を取り払って、日本の大学のあり方を根底から変える可能性もあるという。

≪再編視野?≫

今回始まった審議は、これまでの審議と何が違うのか。文科省は「これまでは観念的な議論が中心だったが、これからは『大学は具体的に何をすべきか』を検討していく」と説明する。平成20年度における国内の大学数は4年制が752校、短大で385校。しかし、私立4年制の定員割れは今春、47.1%と過去最悪を更新。地方の小規模大学を中心に経営難は深刻化している。だめな大学はつぶれてもおかしくない時代で、大学は改革を迫られている。こうした現状を踏まえ、鈴木恒夫文部科学相(当時)は9月、「中長期的な大学教育のあり方について」として中教審に諮問。社会や学生の多様なニーズにいかに対応していくか▽グローバル化が進む中で大学教育のあり方▽人口減少期における大学像-の3点がポイントとなった。「大学のあり方自体を見直すということ。具体的に問題点を洗い出せば、あるべき姿がみえてくる。大学再編につながる可能性もある」(文科省担当者)

≪質どう確保≫

大学全入時代は、ニーズに応えなければ学生を確保できないという“刃”を大学に突きつけた。その一方、大学はさらに高い「質」を問われている。これは、大学の経営全般に影響を及ぼしかねない問題だ。ある大学分科会のメンバーは「学生を集めるために入学しやすく、卒業しやすい大学では『質』を維持できない。しかし、高い水準の教育を維持するには、資金が必要。このバランスをどう取るのかが課題」と指摘する。「学位プログラム」と並んで、大きな柱となっている「質保証システム検討ワーキンググループ」では、こうした課題にも踏み込んでいくことになりそうだ。とはいえ、こちらも手探りのような審議が始まったばかり。座長の広島大高等教育研究開発センター長、山本真一教授は「まだ入り口に着いたばかり。どこから手を付けていけばいいのかと思うほど。のんびりはできないが、長い道のりになるのでは」と話す。「人間は本来、好奇心がいっぱい。それに応える教育システムが必要だ」。今年、ノーベル賞物理学賞を受賞した益川敏英京都大名誉教授は、塩谷立文科相にこう苦言を呈した。質確保と同時に、未来のノーベル賞学者を育てる世界レベルの教育・研究環境をどう整えるか、全入時代の大学改革は緒に就いたばかりだ。


(参考)[追加記載]

2008年9月13日土曜日

沖縄 2008 ・ 世界遺産 今帰仁城

今年も、我が家の財務省(恐妻)のお許しを得て、夏休みを利用した沖縄ツアーを実行することができました。
我が家の沖縄訪問のポリシーは、「歴史・文化の学習」と「ビーチでのんびり」です。
今年は、名護市に3泊、那覇市に1泊することとし、主に北部を中心に回りました。

今年の北部ツアーの拠点となったのが名護市の「ホテルゆがふいんおきなわ」です。
夏休みの稼ぎ時にもかかわらず、なぜが建物の大改装が行われていましたが、その分お値段もお手軽だったので我が家にとってはとってもラッキーでした。

ホテルは名護湾に面しており景色は抜群。すぐそばには、プロ野球の北海道日本ハムファイターズが春のキャンプを行う名護市民球場や他目的広場、野外ステージなど、さまざまな施設がそろう「21世紀の森公園」があり、ビーチも併設されていました。

ビーチは、プレイビーチとコミュニティービーチ、サンセットビーチにわかれており、どちらも白砂が美しく、ビーチバレーなどの施設も充実しています。バーベキュー広場もあり、通年楽しむことができます。


ホテルからみえる「21世紀の森公園」と「ビーチ」




ホテルゆがふいんおきなわ : http://www.yugaf.com/



沖縄滞在2日目は、世界遺産の一つである「今帰仁城跡」を訪問しました。

城跡のある今帰仁村は、沖縄本島の北西部に大きくこぶのように突き出した本部(もとぶ)半島の北部にあります。
かつての琉球では、英雄として語り継がれる尚巴志(しょうはし)王によって国内が統一される以前の時代を三山(さんざん)時代(1400年前後)と呼び、3つの大きな勢力が争っていたそうです。
三山は北山(ほくざん)、中山(ちゅうざん)、南山(なんざん)に分かれ、今回訪問した「今帰仁城」は、北山を支配する按司(あじ:領主)の居城で、その大きさは首里城に匹敵するといわれています。


世界遺産の碑




城内の入口付近

平郎門(いわゆる大手門)と呼ばれる城の正門(復元されたもの)です。
正面の石段を登ると様々な政治・宗教儀式が執り行われた大庭(ウーミヤ)という広場があります。




見応えのある城郭

外周は約1500m、高さ6~10mで、自然の地形に沿って巡らされた様は「万里の長城」を彷彿させます。




この場所からの眺望はすばらしく、天気が良ければ伊是名島(いぜなじま)から与論島まで見渡すことができるそうです。




案内をしていただいたボランティアのおじさん曰く、今帰仁城跡を何度も訪れている筑紫哲也さんが大好きな場所だそうです。確かに当時を想わせる風景は、きれいに復元し観光地化した首里城よりはいいと思いました。




正殿の跡地

正殿(せいでん)は残存していませんが、標高100mほどにある周囲は、川や谷の急斜面となっており防衛上極めて優れた地勢となっています。




参拝者が絶えない火の神(ひぬかん)の祠




でいごの木




風鈴ハイビスカス





普通のかたつむり(上)と今帰仁のかたつむり(下:平べったい)




「アンモナイト」の化石があるのです





名護滞在最終日の夜は、「レストラン名護曲」というお店で琉球料理をいただきました。
オリオンビールの工場がある名護だけに新鮮な生がいつでも飲め、古宇利島や名護漁港直送の新鮮な海産物をいただくことができます。




琉球料理 名護曲レストランホームページ : http://www4.ocn.ne.jp/~magai888

2008年9月11日木曜日

外部人材の活用(2)

前回に続き「国立大学法人における外部人材の活用方策に関する調査研究報告書」をご紹介します。
このたび公表された報告書は、昨年度に続く「第2弾」としてまとめられたもののようですが、昨年度のものとは構成が異なり、ほとんどの紙面が、全国の有識者を集め開催した複数回の座談会の模様で占められています。

今後座談会を通じて明らかになった課題や問題点のポイントを整理しお伝えしていきたいと思っていますが、今日は、この報告書の「まえがき」に当たる部分についてご紹介したいと思います。

特に後半の「外部人材を活用するために必要な10の提言」は、現在の国立大学の実態が正確に把握されており、また今後の大学経営に役立つ大変示唆に富む内容になっているのではないかと思います。

なお、この報告書については、去る9月1日(月曜日)に国立大学マネジメント研究会の主催により、「法人化後の国立大学運営における外部人材活用方策」シンポジウムが開催されているようです。
詳細はこちら→http://tanalog.com/anum/2008/09/09/1220941344355.html

1 本調査研究の趣旨と目的

本調査研究は、2006年度に(財)文教協会の助成を受けて行った調査研究の継続・2年目であり、2006年10~11月に全国立大学長及び経営協議会の学外委員、学外理事、監事、学外から登用された経営スタッフ全員に対して行った「外部人材」の活用実態に関するアンケート調査及び「外部人材」による座談会を通じて明らかになった「外部人材」活用上の課題を踏まえ、これらの課題を解決し、「外部人材」の経験と知識、能力を生かし、透明性が高く、社会的説明責任を十分に果たしうる国立大学運営の実現という国立大学法人化の趣旨を体現するために何が必要かを明らかにすることを目的としている。

すなわち、2006年度のアンケート結果を見る限り、国立大学側は、経営協議会学外委員、学外理事、監事、学外登用の経営スタッフを活用できているとする回答がいずれのカテゴリーの「外部人材」についても9割以上を占めているが、一方「外部人材」による回答を見ると、経営協議会の学外委員は、「経営協議会の意見を踏まえた大学運営を行っていると思いますか」の問いに対して、「そう思う・どちらかと言うとそう思う」が9割強であるが、監事に「現在の仕事に対する満足度」を聞いたところ、「満足・やや満足」は7割弱と大学側の回答を下回っている。

また、経営協議会学外委員や監事、経営スタッフによる自由記述意見を見ると、「外部人材」の行った提案や意見具申が大学内で必ずしも十分に具体化されていない現状が浮かび上がってくる。その背景として教職員の意識改革の遅れや、教授会が実質的に経営に関しても拒否権を持つといった大学ガバナンスに関わる問題点、監事の任命時期と財務監査のサイクルの齟齬といった法人化のスキームそのものに関する問題点も明らかになっている。同時に、彼らがそれぞれの職掌から見た法人化後の国立大学運営に関わる課題も見えてくる。「事務職員・事務組織のあり方」「学長のリーダーシップの不足」「業務の非効率」「意思決定システム」などが、それらの例である。今回のアンケート調査が、原則として「記名式」で行われたにもかかわらず、このような批判や不満が具体的に示されたことの意味は決して小さくない。

本年度の調査研究では、第1年度の成果を踏まえて、法人化の成否を占う「鍵」の一つとも言うべき「外部人材」から、直接法人化後の国立大学における自らの役割と具体的な業務の内容、業務を行う上での課題や問題点、「外部人材」の経験と知識、能力をよりよく生かすのに必要と考えることを、座談会形式のヒアリングを通じて明らかにすることを目的としている。と同時に、外部人材の知見、意見を具体的な提案の形に集約し、国立大学の学長、理事、事務局長などの経営スタッフ、一般教職員、文部科学省、財務省、総務省、内閣府など政府の国立大学政策担当者、さらに国会議員、政党の政策スタッフ、メディア関係者、一般市民の方々に幅広く情報発信することにより、国立大学改革の一助になることを目的としている。


2 外部人材を活用するために必要な10の提言

(1)学外委員の意見、指摘に責任を持って答える

委員の指摘、質問や提案に対し、「聞き流し」にせず、大学全体として真摯に対応する。指摘や質問に対しては、具体的な数字・データや事実を示して答える。その場での回答が難しい場合は、次回の会議で回答する。学外委員の具体的な提案に対して、「できない」「実現困難」な場合は、その理由をきちんと説明する。この場合、「学内の合意が得られないから」「教授会が反対するから」「事務局が動いてくれないから」といった、学長のリーダーシップで解決できる類の理由は理由にならないことを前提とする。

(2)ポイント・ペーパー(仮称)の事前配布による審議の実質化

議題と関連資料を、少なくとも会議の1週間前には委員の手元に届くように配布する。議題のうち、審議事項については、審議のポイントを要約した上で、経営協議会として何をどのように決めて欲しいのか端的に説明した「ポイント・ペーパー」(仮称)を作成・配布する。会議では、事務局による説明は必要最低限(例えば、全体会議時間の4分の1まで)とし、実質的な審議が行えるよう議長は努める。

(3)大学を理解するための集中レビュー(仮称)の実施

学外委員に対し、就任当初に、大学の全体像(現状と課題)を理解、把握してもらうための簡潔な資料を作成し、配布・説明するとともに、例えば1泊2日の「集中レビュー」(仮称)を設定し、学部長、研究所長、病院長など現場責任者との懇談会、現場見学会を実施する。

(4)学外理事の常勤化と民間出身理事の増員

2007年4月1日現在で、学外出身理事は、87大学132名を数えるが、このうち常勤理事は73名と56%に過ぎず、残り59名は非常勤となっている。しかも、常勤理事のうち58名(約8割)は文部科学省出身者であり、民間企業など「純粋に」学外から常勤理事に登用された者は15名に過ぎない。

また、非常勤理事のうち10名は、担当すら決められていない。大学運営に「学外者」の視点を入れ、民間企業的な経営手法を導入し、経営の効率化を図るという法人化の趣旨を踏まえ、学内登用理事の数を抑制し、民間企業など広く学外の経験者、有識者を常勤理事として登用すること。

(5)文部科学省による監事研修の実施

任命時に、任命権者である文部科学大臣から、監事の職掌と権限、責任について、さらにはこれまでの監事業務の実態や法人化後の国立大学の運営上の課題などを踏まえて、監事業務のポイントについて、2~3日程度の説明会ないし研修会を実施する。

(6)監事に対する当該国立大学の現状と課題の説明、現場視察の実施

現状では、法令上は文部科学大臣が任命することになっている監事は、実際には当該国立大学の学長の推薦に基づき、文部科学大臣が任命するという慣行が定着しつつある。したがって、各学長は、監事選定・就任依頼に当たっては、当該大学の現状と課題について十分説明を行うとともに、着任後速やかに、各部局長との意見交換や現場視察の便宜を積極的に図る。なお、監事のうち少なくとも1名は常勤とする。

(7)監事監査結果に対する真摯な対応と学長のリーダーシップ

各学長は、監事の役割・意義について、教職員に十分周知・説明するとともに、監事監査の結果、意見について、「直ちに実施する事項」「実施に向けて検討する事項」「実施が難しい、または実施できない事項」に分けて真摯かつ速やかに説明責任を果たし、対応する。

(8)外部登用部課長に対する具体的目標設定

その人の持つ専門知識、経験に着目し、学外から経営スタッフや事務局部課長などとして登用する場合、彼らを最大限活用するために、それぞれの業務目標を可能な限り明確にし、必要な権限、予算、組織を与え、そのことを学内の各組織、教職員に周知徹底する。

(9)大学ビジョンと改革課題の「可視化」、「事実とデータ」に基づく議論

外部人材が、その知見、専門知識、経験を大学運営、大学改革に活かそうとする場合、多くの場合ぶつかるのが、「部局自治」「教授会自治」の壁と「教職員の意識改革の遅れ」、そして「事務組織の非効率性と保守性」である。各学長は、大学運営のビジョンを明確にした上で、大学の現状と課題を、可能な限り事実とデータを収集、分析することによって「可視化」し、これら3つの壁を乗り越える意図的な努力を行う必要がある。教授会を説得し、事務組織を動かすには、具体的な「事実とデータ」とこれらから必然的に生み出される大学のおかれた客観的な教学上・財政上の状況分析であり、そこから導かれる政策選択肢しかない

(10)具体的目標・課題設定による文部科学省派遣幹部人材の活用

いわば「広義の外部人材」として、数多くの理事、事務局長、部課長を国立大学に送る文部科学省は、法人化後の国立大学の現状と課題、それらの解決に必要な知見について、それぞれの専門分野ごとに事前に十分理解させる各国立大学も、文部科学省に理事など幹部職員の派遣を依頼する場合は、それぞれのポストごとの業務目標、任期などについて明確にした上で行う。例えば、事務局長には「事務改革・事務組織改革により4年間で最低30%の効率化を実現し、職員数の15%を削減する」、入試課長には「戦略的な広報活動の展開により、4年間で受験者数の数を最低30%増、合格者の偏差値最低5アップを実現する」、留学生課長は「奨学金の充実、学生交流協定の締結などにより、4年間で派遣・受け入れ留学生数を最低30%増を実現する」といった条件を具体的に示した上で採否を決定する。

2008年9月9日火曜日

外部人材の活用(1)

このたび、「法人化後の国立大学運営における外部人材活用方策に関する調査研究プロジェクト」(研究代表者:立命館副総長・国立大学マネジメント研究会会長 本間政雄氏)から、「国立大学法人における外部人材の活用方策に関する調査研究報告書」の「第2弾」が公表されました。

簡単に申し上げれば、「外部人材を活用するために何が必要か」が基本テーマとなっているようですが、今日は、この第2弾のご紹介をする前に、その前提となった「第1弾」(昨年度公表)の主な内容をご紹介したいと思います。


上記プロジェクトが行った調査研究の目的・趣旨は次のようなものです。
  • 様々な形で大学外の人材を大学運営に制度的に関わらせることによって、効率的で効果的であると同時に、社会に開かれた大学運営を実現することが国立大学の法人化の重要な目的の一つ。

  • 法律上必置の外部人材(「経営協議会の学外委員」、「学外理事」、「文部科学大臣が任命する監事」)には、それぞれの専門性、知見、経験を発揮して、大学の様々な業務に関し審議、執行、事後チエックという形で大学運営に関与することが期待されている。

  • 本調査研究では、上記外部人材に、副理事、学長補佐など「学長や理事を補佐して大学運営に関する企画・立案、執行に当たる経営スタッフ」、各分野の専門知識・経験・人脈などを評価されて「事務部門に登用されている外部専門家」を加え、国立大学の在り方に関する意見などを聴取。

  • その上で、国立大学における外部人材登用実態を明らかにするとともに、国立大学側が外部人材を活用できているかどうかについてどのような評価を行っているか、逆に国立大学に登用された外部人材の側が、それぞれの役割を果たす中で法人化の狙いと対比して国立大学をどのように評価しているか、とりわけ課題が何であると考えているかを明らかにする。


プロジェクトがまとめた調査研究報告書では、法人化の意義やその後の問題点が浮き彫りにされています。
その一例として、「外部人材から見た事務職員の課題」についてご紹介します。

この調査研究では、学外理事、監事、経営スタッフなど、法人化以降可能となった外部人材として登用された多くの方々にアンケートが行われています。その中に「現在の仕事に関する満足度」を問う項目があります。

アンケートの結果は、
  1. 学外理事(満足77.8%、不満22.2%)
  2. 監事(満足67.5% 不満32.5%)
  3. 経営スタッフ(満足58.8% 不満41.2%)
となっており、半数以上の方は、国立大学における現在の仕事に満足しているようです。
しかしながら、注意しなければならないのは、経営の現場に近くなるほど不満のウエイトが高くなっているということです。つまり事務職員との距離が近い方ほど問題意識を持っているということが数字に如実に表れているということです。


では次に「不満の理由」すなわち「国立大学の問題点・課題」を伺ってみると、

・事務職員の意識改革の遅れ、不十分さ
・事務組織の硬直性、非効率性
・業務の非効率
・事務職員の姿勢、能力
・事務職員の人事評価の不備

といった「事務職員の意欲、姿勢、知識、能力の問題」を多くの方が指摘されています。いわゆる民間企業などを経験された方々にとって、公務員出身の国立大学事務職員は、いろんな面でまだまだ「甘い」ということなのでしょう。


「外部人材から見た事務職員の課題」として具体的には、次のようなご意見が寄せられています。私の独断でいくつかのテーマ別に整理してみました。


1 事務組織・運営
  • 事務機構の一層の効率化・合理化を図ることが必要

  • 理事に直結した事務組織体制をとっているが、利点もあるが理事間及び事務組織間の連携が十分取れていない面もあり、改善が必要

  • 事務組織に関しては、前例や従来から決まっている手続きを重視する風土があり、業務をより効率的・効果的に進めるためにも人事部門や経理部門の改善が必要

  • 事務組織が硬直(業務量、内容に見合った人材配置ができていない。)

  • 大学運営について、もっとフラットな組織、単純な意思決定システムが必要

  • 問題解決に時間がかかりすぎる。検討プロセスや意思決定プロセスの簡素化・明確化が必要。また、管理職の成果責任を明確にすることも重要

  • 会議が開かれても、実施に即つながらない。事務組織がリーダーシップを発揮し、企画を任され、教員を動かすことのできる体制になっていない。常に、教員が協議し、判断は教員に任されるが、実施につながりにくい。

  • 事務組織が少人数の係に分かれすぎており助け合う気持ちが少ない。

  • 委員会が多く職員は手間がかかっている。

  • 意思決定のスピードが遅い。


2 業務改革
  • 事務職員の人件費には民間としてはびっくり。事務能力のレベルも高くはない。事務部門の効率化が早急な課題。他大学との事務部門の統合とか、シェアードサービ-ス等を早く考える必要

  • 事務処理過程のより一層の効率化・合理化を図る必要

  • 効率のよい事務処理がもっと必要

  • あらゆる面でスピードが非常に遅い。

  • 責任の所在が曖昧

  • 情報の共有が不十分で特定の人に偏っている。

  • 業務改善意欲が乏しい。

  • 部局事務の処理方法の統一化などによる運営効率化が必要

  • 行政事務的・管理業務体制から、業務中心・現場に責任を持たせる業務体制に変えるべき

  • 業務運営の改善及び効率化とともに、思い切った見直しによる事務職員の大幅な削減が必要

  • 仕事、業務に生産性の概念がない。


3 意識改革
  • 全学一丸となって改革に取り組むという職員の意識が低い。

  • 法人化しても、役所・役人・親方日の丸の意識が抜けていない。改革しようとしている学長の意向が、教授から受付職員にまで全体に及んでいない。全体として相変わらず役人である。

  • 教職員の意識が以前とあまり変わっていない。事務職員は新しい役割・仕事に積極的に取り組もうとしない。

  • 法人に転換した意識を教職員が強く持つ必要

  • 事務改革・組織改革においては、抜本的な意識改革による大幅な削減がもっとできるはず。

  • 何よりも職員の意識改革。これに尽きる。

  • 将来に対しての教職員の危機意識が薄い。

  • 事務部門における、いわゆる「お役所仕事」からの脱皮が必要

  • 事務幹部の責任感不足。異動官職制は即刻廃止すべき。

  • 職員の自分の立場に対する認識が欠如

  • 目的は何かという発想を身につけていない。そのように育てられていない。

  • 教職員の中に危機感が希薄な者、自己本位の者がおり、一層の意識改革への取り組みが必要

  • 教職員の意識改革が不十分

  • 法人化した意識が教職員にない。

  • 旧態依然の考え方で物事を進めようとしている。

  • 地域性のためか、構成員が時代の流れを認識していない。

  • 経営責任があることをもっと認識すべき。

  • 国の機関であった時の慣習を切り捨てられないため、法人化したメリット面を十分活用できていない。

  • 教職員の意識改革を末端にまで徹底することが必要

  • 教職員に、法人化に伴い求められる自立意識がまだ芽生えていない。

  • 法人になって3年あまりになっても、まだ教員・事務職員の意識改革が不十分

  • 事務長の事務職員に対する権威・権限が強く、事務サイドが萎縮している。

  • 教職員の法人経営に対する意識改革が遅々として進まない。

  • 組織としての意思決定のプロセスに時間の概念が欠如している。また、組織としての意思決定があっても、不満であれば実行しない(従わない)ことが許される雰囲気がある。権限、リーダーシップ、予算などを駆使して、このような意識改革を早急に進めることが必要

  • 長い国立大学時代の仕事の進め方が身にしみついている。

  • 職員は未だ国家公務員意識を持ち、大過なく働くことを第一とする傾向大。愛校心よりも文科省が絶対になっている(経営の意味を解せず)。

  • 中期計画及び年度計画を本気で遂行しようとする教職員はごく一部

  • 教職員の中には、意識改革が遅れている者が多い。

  • 長期的に物事を考えるのが不得手

  • 危機意識が少ないためにリスク感度が甘い。

  • 経済合理性で物事を判断する習慣がない。

  • 勤務時間に対するメリハリに乏しい。

  • 教員、管理職(課長、課長補佐等)の態度が保守的であり、現状を変えることに絶えず抵抗がある。多くの意思決定がなされるが、これを実行する段になると腰砕けになる。

  • 教職員ともに、公務員感覚から抜けきっていないところがあり、法人の経営という意味での意識が十分ではない。意識改革のために教育・訓練、経営に適した人材の育成・登用、経営に向けての教員・職員の一体感・チーム意識の醸成・高揚に一層の努力が必要

  • 法人化の目的が学長や一部の教職員を除いて、ほとんどの教職員に理解されていない。

  • 一般教員や事務職員にはなお、意識等の不足が散見される。

  • 様々な問題を抱えているにもかかわらず、全般に危機意識は必ずしも高くなく、民間から積極的に学ぼう、外の意見を積極的に取り入れていこうとする意欲も高くない。特にそれが最も必要な事務局において甚だしい。

  • 日々の業務執行に当たって目標達成意識を持っていない。

  • 教員・職員の意識改革が不十分。そのための体制作りがなされていない。

  • 国立大学法人のスタッフに進取の気概が欠けている。

  • 「忙しい」が口実になり、合理化・効率化が進んでいない。

  • 職員のスピード感が遅く、その際、ネックになっているのが教職員に公務員意識が抜け切れない点にある。

  • 目標達成に向けた戦略や戦術が不足。教員・職員の意識が低い。

  • 教職員には公務員体質や事なかれ主義等組織の活性化を阻害する体質が醸成されている。

  • 教職員とも個人の独立意識が強く、協調性が乏しい。


4 能力開発
  • 優れた大学経営者(事務職員を含めた)の発掘と養成は個々の大学にとっては勿論のこと、国家にとっても焦眉の急。だが、未だその具体的な方策が見えてこない。

  • 少なくとも事務職のgeneralist養成の考え方は改めるべし。Specialistを養成しないと、これからの法人化された大学はやっていけない。

  • 法人化により大学でも経営や管理能力面のプロ人材が必要になった。経営や管理能力面を計画的に鍛える人材育成制度を整える必要

  • 研修制度が脆弱

  • 事務職員の資質向上の余地が大きく、期待される事務品質の職員自身の認識も引き上げる必要

  • 法人経営のスペシャリスト育成に積極的に取り組む必要

  • 各大学の独立・自治の意識が教職員に弱い。少子化の進行に伴う大学全入時代の到来に対して、大学の存立の危機に対する意識と行動が弱く、経営の専門家の育成が急務

  • 事務職員間の能力の格差が大きく、一般的に定型的な仕事には強いが、企画力が備わっていないなど、一般企業と比べて見劣りする。

  • 組織経営の基本や方法に関する知識や認識が経営陣及び事務スタッフに不足している。外部の人材をより一層活用し、組織改革・方法論取得を加速させる必要

  • 職員のこれまでの訓練・経験が乏しく、責任主体としての働きに力が入っていない。

  • 規則や組織に落ちた案件は早く進むが、形の整わない案件を処理していくスキル、機動力に欠ける。

  • 事務職員が新しい分野についてこられない。研修やOJT等を大いにすべき

  • 創造力、企画力のある事務職員が少ない。


5 人事配置・処遇
  • 事務局長こそ民間人を登用すべし(2代続けて、しかも短期で本省人事。もってのほか)。人事、賃金制度は国に準じるということのようだった。何を言ってもむなしい感じであった。危機感がないと改革は進まない。

  • 事務組織の思い切った改革が必要。例えば兼職者の中途採用も大胆に行うべき。

  • 幹部事務職員の人事は、相変わらず文科省直轄になっており、大学配置の際は非公務員型、本省に戻れば公務員型。これでは本省の方ばかりを向くことになり、全国画一化が温存され、学内や地域にはさっぱり目が向かない。

  • 事務局長以下文科省派遣職員の任期が短い(中期計画は6年)。

  • よく頑張っている人とそうでない人のばらつきが大きい割に処遇面での差が少ない。

  • 事務職員の流動化を図り、刺激を与えるべき

  • 事務職員のモラルを一層向上させるためには、能力開発制度の充実や思い切った人事政策の採用(内部職員中心の管理職登用、さらには理事登用等)を検討すべき

  • 非正規(非常勤)の事務職員が多いことも問題

  • 文科省による大学の人事が当該大学の人事の停滞を招いている。

  • 改革、経営、危機感をキーワードに外部人材の登用・強力な事務部局の実現が急務

  • 業務量、内容に見合った人材配置ができていない。

  • Management-Faculty、Administrationの三位一体が将来の姿であろうが、現実にはアドミの存在があまりにも弱体。仕事を中心とした評価並びに人材育成計画はほとんど存在していない(民間組織の人事部が存在しない)。現在の異動官職制度を事務局長制度も含めて根本的に見直す必要

  • 本当の意味での法人化を希求するのであれば、執行部並びに事務の中枢部門に複数の外部人材を採用すべき。経営の解る人間が組織の一部となり、旧来の官僚主義と闘う必要


6 教職員連携
  • 経営陣と事務組織、部局間、本部と部局、教員と職員などあらゆる部分にコミュニケーションの断絶あり。

  • 教員と事務職員とが協働体制で法人を経営することが不可欠。基本的に教員上位という従来の大学の意識・体質を引きずっている限り、真の意味での協働は実現困難

  • 教員と事務職員の溝は、法人化前とほとんど変わっていない。

  • 教員、事務職員とも法人としての一体感がないので、改革に対する方向性が定まらない。

  • 事務職員と教員の意思疎通が少ない。大学の目標を両者ともが明確に共有して、活力ある場を築き上げるべき


7 その他
  • 幹部事務職員の派遣、事務運営ルール等、依然として文部科学省のコントロールが画一的かつ度が過ぎている。

  • 私立大学に比べ、政策立案能力の養成、学生支援・研究支援の強化、教職協働の取り組みが必要

  • 事務局と大学の経営の一体化が困難

  • 法人化を好機と捉え活用する積極的意思がなく「折角のチャンス」がもったいない。

  • 事務部門の法人化対応は、世の中の大きな変化を考慮した課題解決に取り組まず、今までの枠組みを前提とした小手先の問題解決行動。危機感がないのか、変化の影響を読めないのか、課題形成・解決力不足か、ルーティンワークに追われ戦略的仕事に取り組めない(優先順位の問題か)のか、文科省出向者の任期が短く長期的テーマに取り組めないのか、今までの習性で戦略的思考ができないのか、原因はわからないが、「折角のチャンス」がもったいない。

  • 事務部門は国の時代のマネジメントを守り、自律的マネジメント力が極めて弱い。

  • 自律的経営・マネジメントには企業マネジメントが貢献すると思われるが、「大学と企業は異なる」との考え方に自縛され、企業マネジメントの知恵・ノウハウを事務部門運営に生かすことができない。

  • 国の時代:規則に則り事務を的確に処理、事務処理専門性から細分化された縦割り組織、所掌で仕事(ミッションは?生産性向上は?)、縦割り細分化組織(内外の皆の知恵活用は?利用者視点の課題解決は?)、年功的人事処遇(新しい知恵・スキル・ノウハウの活用は?)、管理職の役割は調整・対外折衝・例外処理(変化への先手対応は?人材育成は?)

  • 企業:凡人が力を合わせて変化に対応し目的達成するマネジメント(ミッションと目的の明確化、PDCAマネジメントサイクル、MBO、皆の知恵の活用、現場に権限、フラット化・グループ化組織、能力主義・成果主義などのマネジメント方式)

  • 様々な課題は、国の時代の組織風土・職員意識を踏襲していることに起因しており、風土改革・意識改革の地道な取り組みが重要。この取り組み(研修、オフサイトミーティングなど)が不十分


さらに報告書では、「事務組織における外部専門家の実態」について、次のような衝撃的なデータが目にとまりました。

これは、国立大学の事務組織のどのような業務や職種において外部の専門家が登用されているかを調査したものですが、全国の26%に当たる23大学で71人の外部専門家が登用されており、上位の業務分野と役職名は次のようになっています。

  1. 国際交流・留学生系(15人):国際戦略主幹、特任専門員(国際交流)、国際交流課長、留学生課長、企画調整役(国際)など

  2. 産学連携・知的財産系(12人):特任専門員(産学連携)、産学官連携課長、知的財産本部職員、産学官連携コーディネーター、研究支援・社会連携部長、知財本部特任調査専門員など

  3. キャリア支援・就職支援系(9人):キャリア開発(支援)課長、キャリア(サポート)センター長、就職支援室長など

  4. 渉外系(9人):特任専門員(渉外)

また、これを管理職の職階別に整理すると次のようになっています。
  • 部長相当職10人(14%)
  • 課長相当職35人(50%)
  • 課長補佐相当職11人(15%)
  • その他15人(21%)

このように、法人化後、業務の適切な遂行に求められる「高度化」「専門化」の重要性等から、徐々に事務職員の構造が変容しています。

この点に関して、報告書では次のような見解が示されています。
  • 専門的な業務や高度の能力を要する業務については、途中採用がより流動的に行われるようになる。

  • 1大学に長く勤める職員だけで構成される状態は閉鎖的になりすぎるという弊害がある。

  • これからは、社会全体からの大学経営への人材移入が進み、様々な経歴と専門的能力を持った職員が入り混じって、全体として活力のある経営体になっていく。

  • もはや、外部専門家などという特別のジャンルはなくなり、やらなければならない業務にその能力を持った適任者が、年齢や経歴を問わず従事するという状況が生まれてくる。

国の時代に生きてきた事務職員は、相当頭の切り替えをしなければなりませんね。しかも早いうちに。

2008年9月7日日曜日

不正とその要因

研究不正、経理不正等々、大学を取り巻く不祥事は後を絶ちませんね。
不正、不祥事については、この日記でも何度も取り扱っていますが、ホームページやブログには毎日のように何がしかの事件が掲載されています。
不正には様々な理由や背景があるのでしょうが、なんといっても「教職員のモラルの欠如」が最も大きな要因でしょうし、であるが故に根絶が難しいのかもしれません。

しかし、不正が起こる要因は、モラルの欠如だけではなさそうです。
今日は、一例として、「しくみや制度の欠陥」がその背景になっているという主張をご紹介します。

まずは、新聞記事です。

東大、不正経理30億円超 04年度、予算消化装う (2008年7月1日 朝日新聞)
東京大学の教授らが研究費を年度内に使い切ったことにするため、業者に備品などを発注したように装って虚偽の経理書類を作らせるなどの不正経理をしていたことが、東京国税局の税務調査で分かった。他にもずさんな経理処理があり、問題のある支出は04年度だけで総額30億円超に上るとみられる。

国税局は、これらにかかる消費税に重加算税などを加えた計約7500万円を追徴課税した模様だ。東大は既に修正申告しているという。

東大の説明や関係者によると、問題となったのは、国や地方自治体、独立行政法人などから受けた受託研究費や運営費交付金などの資金で実施された研究活動に関する経理処理。工学部や医学部など主に理系の部局の教授らが、余った研究費を使い切ったことにしようと実験装置や試料など消耗品や備品を購入したことにして、取引業者側には日付などを偽った納品書や請求書を作成させた。

代金は業者側に前渡し金として支払われ、預かってもらっていたという。いずれも翌年度になってから実際に納入されたという。

他にも、消費税法で保管が義務づけられている領収書などの経理書類を保管していなかったなど、ずさんな経理処理が判明。意図的に経費の計上時期をずらしたなどとして、国税局は総額30億円超の経費支出について不適切だったと認定したとみられる。

国立大学法人が受け取った研究費などの収入には消費税がかかるが、これを原資に消耗品などを購入した際に支払った消費税分を控除することができる。大学側はこの差額分を申告・納税したが、国税局は年度内に支払ったことになっていた消費税分の控除を認めなかったとみられる。

東大の04年度の収入のうち、受託研究費は約209億円。運営費交付金は約861億円に上る。

東大本部では「予算を年度内に消化したことにしたかったことが背景にあるのではないか。指摘された問題の大半は、納品書・領収書を保管していない点。認識が甘かったのは事実で、今後は指導を周知徹底していきたい」と話している。

次に、この記事について、教育評論家の梨戸茂史氏が発表されている記事をご紹介します。
先月、7月1日の新聞(朝日)によると、「東大不正経理30億円」との大見出し。大学は法人化されたが、まだお役所体質が残っていると言われている。しかし、それは意識の問題というより仕組みの問題ではないか。

事件の発端は教授が研究費を年度内に使い切ったことにするため、業者に備品などを発注したように書類を作っていたというもの。このあたりは国税当局が調べれば何の造作もないこと。素人では隠し通せぬ世界だろう。東大ではこの「不正」、2004年度で30億ほどに上っているらしい。ホントなら小さな大学からすれば「不正」分だけで30億円とはため息の出る金額だ。

問題のその一は、特定の研究者、研究グループに使い切れない研究費が集中していること。特に工学部や医学部など特定の学部、研究室に国や地方自治体、独立行政法人などから流れてくるお金が多すぎる。時代の注目を浴びる研究には予算が付きやすいし、目先の評価が固まっている研究にお金を出せば失敗は少なく批判もされにくい。従って各方面からの予算やお金が集中してしまう。思い切った選択ができないせいだ。失敗してもよいということを世間、納税者、マスコミは許してくれない。だから安全策しかなくなる。お金が余れば消耗品を購入すればよい。いや買ったことにすれば現金が手元に残る。それで翌年の備品などを購入するとか、別の自由に使える研究費や院生の旅費などに使えるだろう。予算の付きにくい経費に流用できれば一番良い。実際には業者に前渡し金として先にお金を支払い、翌年度消耗品など納入してもらってるケースもあったとか。時差があるだけで気持ちの上ではやましいところがない。

その点アメリカのように、大学が研究の場を貸すような仕組みで、当然光熱水費など払いながら研究員の給与やいろいろな消耗品、果ては自分の給料にまで回せるシステムは機動的なお金の使い方ができて良いとも言える。ただし教授は年中研究費集めで苦労しなければならないが。

ところで東大は04年度の受託研究費は209億円、運営費交付金は約861億円とのこと。ただ不正経理と言っても大半は納品書や領収書を保管していなかったことのようだ。忙しい先生に事務手続きをきちんとしてくれと言うのも法人化以来の人手不足の環境からは無理難題かもしれませんが。

問題のその二は、余ったあるいは使い切れなかった分を翌年に持ち越す簡便なシステムがないことだ。ブールしていたお金を個人が使っていたわけではなく翌年にきちんと研究関係の経費で使っているのだから仕組みさえ出来ればよい。そもそも法人化の目的のひとつに民間の手法を活用して組織運営の自由度を高めようという考えがあったはず。これが機能していないのではないか。単純に、翌年度に繰り越せばいいはず。でも実態はそう簡単ではない。「予算」の考え方からすれば「予定を立てたからこそ必要な金額になっているはず」、「余れば返すのが当然」と言う理屈で戻さざるを得ない。そうでなくとも「なぜ余ったか」の作文と「翌年にそれを回す理由」が必要。「今回余ったのだから次の年は予算は減らす」と言われるのが怖い。次に、繰り越し処理ができたとしても、事務量が増える。事務をしてくれる人手が足りない。簡単なのは業者を巻き込んだ経理処理なら翌年そこから備品など購入すれぱ電話一本で届けてくれる。また研究室で自由になるお金があれば運営もしやすい。

こんな実態を考えたら「お役所体質」批判ですむ問題ではないだろう。誰がちゃんとこれを考えるのですか?(文部科学教育通信 No202 2008.8.25 「不正経理」)

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