2009年1月29日木曜日

ポジティブに生きる

よく「上司は部下を選べるが、部下は上司を選べない」と言われます。これは企業でも大学でも概ね同様ですし、ある意味では当然のことかもしれません。

最近では、大学職員のSD活動に役立てるため、いろんな職能団体や大学独自で職員の意識調査が行われています。ある調査結果によると、上司と部下の信頼関係や円滑なコミュニケーションに関する問いに対して、「部下から信頼されているしコミュニケーションも十分にとれている」と答える上司が多数を占めたのに対し、部下からは全く逆の結果が得られ、両者の間に大きな問題意識のギャップがあることが明らかになったそうです。

こういった上司の満足度と部下の満足度の乖離はなぜ起きるのでしょうか。立場によって異なる責任と権限の軽重など様々な要因があると思いますが、いずれにせよ組織を合理的にコントロールするためのヒエラルキーが現に存在する限り、相互のストレスや、場合によってはモラルの低下を解決することはできないのでしょう。

では、「部下は本当に上司を選べない」のでしょうか? 確かに一般的には、部下は、組織の一員として、仕事の上では上司の命令には従うべきでしょう。しかし、上司は、部下の生き方までは統制できません。上司が極めてネガティブな人間、部下からみて尊敬できない人間の場合、部下は、心の中ではその上司から離れ、ポジティブな生き方を志向すべきだと思います。

仕えてきた上司の中に、残念ながら自分の成長を促すことの期待できない上司がいた経験を持つ方も少なくないと思います。権力にあぐらをかく、改革に手を染めることを避ける、ひたすら自分の手柄のみを追求するといった上司の下で仕事をする時は、さすがにへこみますし、モチベーションの維持が大変です。でも、そういう時こそ、自分にとっては試練であり、自分がもし上司と同じ立場だったどうするかをよく考え、やがて訪れるであろうチャンスに備えて地道に実力を磨き上げておくことが最も賢い生き方なのではないかと思います。

昨年、国民の生命と財産を守るために厳格な組織秩序の維持が求められる警察において、警察官のモチベーションが低下している実態を報じる記事がありました。(既に記事が削除されていますので、全文を掲載します。)

本官の本音…「報われる職場」3割だけ 福岡県警アンケート(2008年12月19日 朝日新聞)

能力のない上司とは飲みたくない-。不祥事が相次いだ福岡県警が再発防止の参考とするため警察官らの意識をアンケートしたところ、こんな不満や要望が噴出した。民間のサラリーマンにも通じる本音の数々。県警は冊子にまとめて警部以上に配り、各部署で改善策を検討する。「全職員対象のアンケートは全国の警察でも例がない」(県警監察官室)という。

アンケートは8月、全職員対象に匿名で実施し、約92%(約1万700人)から回答を得た。階級などで分けて無作為抽出した7グループ(計42人)のインタビューも行った。18日に発表した。

回答によると「誇りを持って仕事に取り組んでいる」と思う職員は7割以上だったが、「努力が報われる職場」と思っているのは約3割だけ。6割以上の警部は「部下の能力を考慮して仕事を割り振っている」と考えていたが、「上司はバランス良く仕事を割り振っている」と感じる警部補は約3割にとどまり、意識のズレが際だった。

また、50代以上の巡査部長からは「努力している職員が報われる職場だと思う」「プライベートについて上司や同僚に相談できる」という回答がいずれも2割を切った。監察官室は「コミュニケーション不足、孤立感がみられる」と分析する。

インタビューでは「能力がないのに酒の席に誘われてもうれしくない」「上司が書類をしっかり見ずに判子を押し、後でこっちが署長に呼び出された」などと部下が上司を批判。逆に上司は「『何で私に注意するのだ』と盾突くベテランがいる」と突き上げのつらさを嘆く。「命令無視にはイエローカードのようなものがほしい」との声も。

監察官室は「耳が痛い内容もあったが、内容を各部署でしっかり検討してほしい」と話す。

県警では今年、現職警察官が売春にかかわったとして逮捕されるなど不祥事が続き、すでに17人が懲戒処分を受けた。6月に「ポリスマインド向上対策会議」を立ち上げ、現場の生の声を聞くなどして再発防止を目指している。


警察官といえど、本音は私などのような普通のサラリーマンとさほど変わりがないようです。
ここで少しいい話を書きます。ジェフ・ケラーの「成長の法則」から。

ポジティブになる

人生の成功は、心の持ち方から始まる。楽観的になって自分の能力を信じれば、成功する可能性が高くなる。

それに対し、悲観的になって自分の能力を疑うなら、あまり大きな成功は望めない。フォード自動車の創業者ヘンリー・フォードがこう言っているとおりだ。「できると思おうと、できないと思おうと、どちらも正しい」

思考は現実をつくり出す。学校ではそういうことを学ばなかったかもしれないが、それは真理だ。

自分の思考を注意深く選ぼう。あなたの思考を選ぶのは、あなた自身なのだ。今日、あなたは何を考えただろうか? もしネガティブなことばかり考えていたとしたら、それは失敗と落胆につながるだけだ。何事もポジティブに考えよう。


ネガティブな人を避ける

あなたの周囲の人たちは、あなたの成功に大きな影響をおよぼす。今までずっとつきあってきたからといって、今後もつきあい続けなければならないというわけではない。あなたに悪影響をおよぼすような人からは離れるべきだ

あなたが心の中で何度も繰り返したことは、それが何であれ、あなたの思考と行動に影響をおよぼす。何度もネガティブなメッセージを聞いているうちに、ネガティブな考え方をするようになってしまう。

たとえば、あなたの夢をネガティブな友人に話したとする。その友人から「そんなことはうまくいきっこないよ」と言われたら、がっかりしてしまうだろう。一人くらいに言われても大丈夫かもしれないが、数人に言われたらどうだろう。場合によっては夢をあきらめてしまうかもしれない。

その逆も真理だ。ポジティブな人といっしょにいると、ポジティブになる。「きっとその夢は実現するよ」と元気づけてくれるから、自信を持って努力し、実際に夢をかなえることができるだろう。

ネガティブな友人がいたら、まずはその人がもっとポジティブになれるよう助けてやるべきだ。しかし、もしその友人がポジティブになることを拒み続けるのなら、あなたのエネルギーを無駄遣いすべきではない。その友人と接する時間をできるだけ少なくし、ポジティブな人を友人に選ぶことが、あなたの最大の利益になる。


ディスカヴァー・トゥエンティワン
発売日:2006-06-15

2009年1月27日火曜日

学長の選び方

富山大学が学長選考で大騒動になっています。

富山大学といえば、2005(平成17)年、当時の「富山大学」「富山医科薬科大学」「高岡短期大学」の3大学が統合してできた大学です。初代学長は、なぜか最も規模の小さい旧高岡短期大学出身で、このたびめでたく再選を果たしたわけですが、その選考方法が今回の騒動の原因になっているようです。
まずは、報道を見てみましょう。

富山大、お家騒動 学長再選に6学部反旗(2009年1月15日 朝日新聞)
富山大学(富山市)で昨年12月に再選された西頭徳三(さいとう・とくそう)学長に対し、8学部のうち6学部の教授会が異議や懸念を表明。その有志らが21日、学長選考を考える集会を開くことになった。次期学長を決める学長選考会議の前段階に、教職員を対象に実施した2度の意向投票では、3人の学長候補で西頭氏がいずれも最下位だったためだ。

学長選考会議は12月4日にあり、出席委員20人の投票で西頭氏が11票を得て再選された。選考会議は、富山県知事ら首長や地元財界人ら学外の委員が半数を占める。

西頭氏のほかに、大学院医学薬学研究部特任教授と大学院理工学研究部教授が推薦されていた。11月にあった2度の意向投票では、西頭氏はいずれも、1位に約200票離され、投票総数の約2割しかとれず最下位。ただし選考会議で、意向投票の結果は「選考の参考」とされていた。

この結果に、8学部のうち経済、人文、人間発達科学、理学、医学、薬学の6学部の教授会が相次いで、「大差のついた意向投票の結果を前にして最下位候補を選任した決定は、他の国立大学法人でも類例はない」「大学の自治を著しく侵害している」などと、異議や選考方法の見直しを求める声明を出した。

富山大は05年10月、旧富山大、富山医薬大、高岡短大の国立3大学が統合してできた。西頭氏は旧高岡短大の学長だった。旧高岡短大が前身の芸術文化学部と、工学部は意思表明をしていない。

文部科学省などによると、03年の国立大学法人法の制定以降、国立大学法人の学長選考に関する意向投票で、3位以下だった人物が学長候補に選ばれた例はないとみられるという。

西頭氏は「新執行部は教職員の意見を踏まえつつ、大学改革を仕上げる大きな責務を負っている。この責務を全うできる体制を構築したい」と文書で続投を表明している。

このほかにも、いろんな角度から見たコメントが報道されています。閉鎖的な大学の内部のことですから、どんな思惑や事情があるのか外部からは皆目検討がつきませんが、法人化後5年も経った今でも、法人化の趣旨が理解されず、教育公務員特例法に則って教員だけの人気投票で学長を決めていた国の時代の自治意識や慣習から未だに抜けきっていない方々が多いのも騒動を起こしている理由の一つではないかと勝手に推察しています。

国立大学法人の学長の選考については、報道や風の便りだけでは、正確な情報が社会の皆様に伝わらないのではという気もしますので、今日は法律のコンメンタール(国立大学法人法制研究会)を引用してご紹介してみたいと思います。


まず、国立大学法人の学長の任命や選考方法については、国立大学法人法第12条に定めがあります。
役員の任命(抜粋)
  1. 学長の任命は、国立大学法人の申出に基づいて、文部科学大臣が行う。

  2. 前項の申出は、第1号に掲げる委員及び第2号に掲げる委員各同数をもって構成する会議(以下「学長選考会議」という。)の選考により行うものとする。

    1. 第20条第2項第3号に掲げる者の中から同条第1項に規定する経営協議会において選出された者

    2. 第21条第2項第3号又は第4号に掲げる者の中から同条第1項に規定する教育研究評議会において選出された者

  3. 前項各号に掲げる者のほか、学長選考会議の定めるところにより、学長又は理事を学長選考会議の委員に加えることができる。ただし、その数は、学長選考会議の委員の総数の3分の1を超えてはならない。

  4. 学長選考会議に議長を置き、委員の互選によってこれを定める。

  5. 議長は、学長選考会議を主宰する。

  6. この条に定めるもののほか、学長選考会議の議事の手続その他学長選考会議に関し必要な事項は、議長が学長選考会議に諮って定める。

  7. 第2項に規定する学長の選考は、人格が高潔で、学識が優れ、かつ、大学における教育研究活動を適切かつ効果的に運営することができる能力を有する者のうちから行わなければならない。

法人化により、国立大学の学長は、経営・教学双方の最終責任者として、学内のコンセンサスに留意しつつ、強いリーダーシップと経営手腕を発揮することが求められるようになりました。
上記第12条は、法人化を契機とした学長の役割の増大などを背景に、1)文部科学大臣が国立大学法人の学長を任命するに当たっては、引き続き大学の自主性を尊重する仕組みを法制上整備することと、2)国立大学法人の経営に強いリーダーシップを発揮することが求められる学長の選考過程の改善を図ることの双方を重視して規定されているものです。


次に、法律の趣旨として求められる学長の要件とはいかなるものなのでしょうか。第7項に規定されています。

法人化前の国立大学の学長の要件については、教育公務員特例法第4条第2項(現行第3条第2項)が適用され、「人格が高潔で、学識が優れ、かつ、教育行政に関し識見を有する者」とされていました。
法人化に伴い国立大学の学長には、経営・教学双方の最終責任者として、学内のコンセンサスに留意しつつ、強いリーダーシップと経営手腕を発揮することが求められるようになったことから、第7項で規定する学長の要件も、1)国立大学は国の施設等機関から独立した国立大学法人となることから、教育行政に関する識見を敢えて要件としないこととする一方で、2)大学の経営に関する能力を重視するとの観点から、「人格が高潔で、学識が優れ、かつ、大学における教育研究活動を適切かつ効果的に運営することができる能力を有する者」と規定されています。

独立行政法人通則法に規定する独立行政法人の長の要件(同法20条1項)は、1)当該独立行政法人が行う事務・事業に関して高度な知識及び経験を有する者、2)事務・事業を適正かつ効率的に運営することができる者と規定しています。
これとの比較において、国立大学法人の学長の要件は、特に「人格が高潔で、学識が優れ」ていることが定められているとともに、求められるマネジメント能力についても「適正かつ効率的に運営」ではなく「適切かつ効果的に運営」と規定されているなど国立大学の教育研究の特性等を踏まえた独自の規定となっています。
もとより大学の学長はアカデミックなバックグラウンドを有することが国内外を通じ一般的であることは論を俟たないわけですが、本項の規定は国立大学法人の学長に企業経営の経験者などが就くことをアプリオリに排除しているものではなく、法令上は、あくまで高潔な人格とともに、専門性や高い識見、大学において適切かつ効果的な教育研究活動を実施するためのマネジメント能力を求めているものです。*1

なお、法令上「選考」とは、「公務員の任用の場合又は特別の資格、要件等を要する職業に就くことの認可、承認等の場合に、一定の資格、要件等に照らして適格者であるかどうかをはかり調べること」*2であり、国立大学法人の学長については、本項のとおりその要件を示し、その適格性を判断することが前提となっていることから「選考」という用語を用いているものです。


それでは、問題となる学長の選考についてです。

具体的な学長選考の過程において、学長選考会議が学内者の意向聴取手続(投票など)を行い、その結果を参考にして選考を行う国立大学法人もあります。
「新しい「国立大学法人」像について」*3は、1)学長選考会議が広く学内外から候補者を調査し、候補者を絞った上で、意向聴取手続を行うことや、2)意向聴取対象者の範囲を、教学・経営両面の最高責任者を選ぶ上で適切なものとなるよう教育研究や大学運営に相当の経験と責任を有する者に限定することなどが提言され、文部科学省も、国会において次のように説明しています。
これまでの国立大学の選考の仕組みでございますが、制度上、学内の教員組織の代表者のみで構成されております評議会で選考を行うということになっておりまして、具体的な選考方法といたしましては、多くの大学で教員による投票で学長の選考が行われてきたという実態があったわけでございます。

今回、法人化後でございまずけれども、学内者のみで学長選考を行っていた方式を改めまして、経営協議会の学外委員の代表者と教育研究評議会の学内の代表者が同じ人数で構成されます学長選考会議におきまして、学長選考の基準や手続を定めるとともに、具体の候補者の選考を行うという方式を導入することとしてございます。

この新しい方式によりまして、外の方の知見も入れながら、従来の学長選考の見直しを進めるとともに、経営面の手腕を十分見きわめながら、広く学内外から学長にふさわしい人を学長選考会議が責任を持って選考するということになるものと考えております。(遠藤純一郎 文部科学省高等教育局長(平成15.4.16衆議院文部科学委員会))

このように、学外委員も加わった学長選考会議が責任と自らの見識をもって学内外から適任者を選ぶことの重要性はつとに指摘されているところであり*4、実際に、宮城教育大学や鹿屋体育大学などでは学長候補者選定の際に公募を行っています。
東京医科歯科大学や政策研究大学院大学などのように学内の意向聴取手続を行わない大学もあります。
また、滋賀医科大学や新潟大学、山形大学など、学長選考会議が学内の意向聴取を行ったものの、審議の結果、意向聴取の結果とは異なる者を学長に選考した例もあります。
このうち滋賀医科大学及び新潟大学については意向聴取の結果と異なる学長選考の無効確認等を求める訴訟も提起きれましたが、いずれも法制上学長選考は学長選考会議の固有の権限であるとの大学等側の主張が認められ、訴えは退けられています。

東京大学の塩野宏名誉教授は、学長選考の具体的なパターンとして、1)選考会議中心主義、2)教員団重点主義、3)教員・職員段階主義、4)教員・職員平等主義をあげた上で、「規律密度の浅い法人法の下での各大学の試みが先行せざるを得ない」が、「今後わが国の国立大学が果たすべき役割を十分生かす最適の法的枠組みを構想すべく、学長選考手続を含めた大学法研究の進展が望まれる」と指摘しています*5
国立大学法人の主体的運営の鍵である学長選考について、学外委員を含めた学長選考会議の力量が具体的な学長選考を通して試されているとともに、各国立大学法人の学長選考会議の取組やその成果を広く共有した上で、よりよい学長選考に向けて創意工夫を重ねることが重要であると言うことができるでしょう。


*1:平成15年に国公私立大学を通じた設置基準であるとともに運営基準である大学設置基準が改正され、学長の資格として「人格が高潔で、学識が優れ、かつ、大学運営に関し識見を有すると認められる者」と規定されました(13条の2)

*2:吉国一郎他編『法令用語辞典(学陽書房)』

*3:国立大学等の独立行政法人化に関する調査検討会議最終報告(平成14.3.26)

*4:例えば、石弘光「競う大学 6年後には決着」(日本経済新聞平成16.12.25朝刊)、小田滋「国立大、学長選変革を」(同平成17.2.19朝刊)など

*5:『IDE現代の高等教育』(2005年11月号)

2009年1月24日土曜日

世界がもし100人の村だったら

最近、娘の誕生日に妻が贈った本を目にする機会がありました。本のタイトルは「世界がもし100人の村だったら 子ども編」。ほんの数行の文章からなる絵本のようなページを読み進んでいくうちに、久々に新鮮な驚きと強い衝撃を覚えました。

グローバル化により情報伝達のスピードは優れて速まったものの、人類が直面する様々な課題を世界中の人々が自分のこととして認識し、問題解決に向けた行動に向かわせることの困難さと、自分自身がいかに非力であるかを思い知らされたのでした。

この本「子ども編」は、2001年12月の発売と同時に日本中を感動に包んだ、「世界がもし100人の村だったら」(マガジンハウス発行)シリーズの一つで、ユニセフの「世界子供白書2006~存在しない子どもたち」(日本ユニセフ協会発行)に掲載されたデータをもとに、世界の子どもたちが直面している困難な状況が、著者の池田香代子さんによって紹介されています。巻末には、写真家田沼武能さんによる「ぼくの子ども100人の村」と、ユニセフ日本人職員青木佐代子さんによるレポート「アマゾンの名前のない子どもたち」も収録されています。是非多くの方に読んでいただきたいと思います。一部をご紹介します。

世界の子どもがもし100人だったら
生まれたことが役所などに届けられない子どもは
55人か、あるいはそれ以上です。

それぞれの国の子どもを100人とすると、
アフガニスタンやタンザニアでは、100人のうち
6人しか届け出を出されません
インドでは、35人
日本では、100人の子どもすべてが
届け出を出されます。



世界の子どもがもし100人だったら
31人は、栄養がじゅうぶんではなく
22人は、予防接種をうけられません。
8人は、5歳まで生きられません。

障害をもっている子は
7人です。



世界がもし100人の村だったら
1人は難民です。

世界の難民を100人とすると
そのうち48人は子どもです。
この子たちのなかには、
家族と離ればなれになったり
さらわれたり
暴力をうけたりする子もいます。



世界の子どもが100人だったら
6人は、お父さんかお母さん
あるいはその両方が、亡くなりました。
サハラ以南のアフリカの子どもを
100人とすると
そういう子は12人です.
親が亡くなるいちばんの原因は、
HIV/エイズです。

世界の子どもが100人だったら
1人は、お父さんかお母さん
あるいはその両方が、HIV/エイズです。



世界の子どもがもし100人だったら
9人は、戦火のなかで暮らしています。
軍隊や武装集団にくわわっている子どもは
30万人です。
男の子や女の子は、雑用をさせられたり
大人の兵士の先に立って
地雷原を歩かされたりします。
人を殺すことを強いられたり
レイプされたりする子どももいます。

戦争で命をうばわれる市民100人のうち
80人は女性と子どもです。



世界の若い女性を100人とすると
36人は、子どものうちに結婚します。

世界のお母さん100人のうち
40人は、避妊の方法を知らず、
1人が、妊娠やお産のために亡くなります。
貧しい国だけど、100人のお母さんのうち
6人が亡くなります。そのうち
3人は、まだ子どもです。

10代の女の子が亡くなる原因のうち
もっとも多いのは、お産です。
若すぎるお産のために体をこわし
社会や家族からうとまれる女性が、たくさんいます。



子どもが、子どもの時代をうばわれることは、
人類が生きのびるのに欠かせない
しあわせの記憶が、うばわれることです。

人類が、子どもを失うことは、
人類がそなえているはずの
内なる子どもの輝きを失うことです。

こんなふうに考えてみてください。
世界が1カ月、戦争にお金を使わなければ、
そのお金で、2億2千万人の子どもを
危険な鉱山や、不潔なゴミ捨て場から
助け出せる、と。

あるいは、わたしたちが
フェアトレードのチョコレートを食べることにすれば、
カカオ農場から、何十万人もの子どもを救える、と。



(著者)池田香代子さんの本
(写真家)田沼武能さんの写真


(関連記事)

ユニセフ「世界子供白書2009」世界同時発表(unicef)


1月15日(木)、ユニセフは、「世界子供白書2009」(英語)を世界同時に発表しました。妊娠・出産は、親や家族にとって喜びもひとしおの時。しかし、開発途上国の多くでは、女性と新生児の健康と生存にとっては非常に死亡のリスクが高い時でもあります。世界では、毎日、約1,500人の女性が、妊娠・出産に関連する合併症で命を落としています。1990年以来、世界の年間妊産婦死亡推定数は50万を超えたままです。過去19年の累計で、約1,000万人の妊産婦の命が失われていることになります。

また、女性一人あたりの妊娠・出産数を加味すると、後発開発途上国の女性が周産期の合併症で命を落とす確率は、先進工業国の女性に比べ、300倍以上も高くなっています(2005年)。乳児死亡率や幼児死亡率など数ある死亡に関する指標の中で、これほど格差の大きいものはありません。


「妊産婦死亡率、改善遠く ユニセフ『子供白書』で危機感」(2009年1月18日 朝日新聞)

国連児童基金(ユニセフ)は15日、09年版の「世界子供白書」を発表した。1990年以来、毎年50万人以上の妊産婦が出産時に死亡している状況に危機感を示し、2015年までに死亡率を90年比で4分の1に削減すると定めた国連ミレニアム開発目標(MDGs)の達成を呼びかけている。

報告書によると、妊産婦の死亡率はニジェール、アフガニスタン、シエラレオネの順に高く、特にアフリカのサハラ砂漠以南の国々に集中している。15~19歳の若い母親の死者数も年7万人に上っている。MDGsを達成するためには、05年からの10年間に、90年比で7割の削減が必要だが、現状では達成は難しいという。

報告書はまた、出産後まもなく母親が死亡したケースでは、生まれた乳児の死亡率も高くなっていると指摘。世界全体の乳幼児(5歳未満)の死者数は減少傾向にあるものの、90年比で3分の1に削減するとのMDGsを達成するためには、妊産婦の死亡率の低下が不可欠との見方を示した。

2009年1月20日火曜日

百年に一度の学生支援

新聞やテレビでは、「百年に一度」とか「2009年問題」という見出しが踊り、世界の金融、経済の暗い見通しが語られています。

マスコミの過剰な煽りたても気になるところではありますが、これまでにない厳しさであることも否めない事実であり、現に、昨年、経営が破綻した上場企業は30社を超え、バブル崩壊後を抜いて戦後最多となっているそうです。また、現在の混乱が収拾されるまでには数年はかかるというのが、多くの専門家の見方のようです。

このような中、大学関係者は、今後の経済的な混乱が大学に与える影響について十分な分析を行うとともに、必要に応じて機敏な対応をとる必要があります。特に、学生生活への影響が最も懸念され、為替の急変によって経済的な困難に陥っている留学生を含め、学生支援策を見直し強化する必要があります。また、新卒者の採用内定取消し問題も深刻であり、引き続き学生への指導や支援体制の強化などきめ細かな対応が求められるところです。

特にこのたびの経済不況等を契機とした経済的困窮を理由に、大学進学の夢を失わざるを得ない受験生や、修学の継続を断念せざるを得ない在学生が増加していることに対しては、「100年に一度の有事」との緊張感ある認識をもって対応することが何より大切になります。しかし残念ながら、大学によっては、「平時ぼけ」的感覚で物事を考え判断している学長や理事等の役員もいるようです。

既にいくつかの大学では、深刻な経済不況を反映して、緊急雇用対策のほか、新たな奨学金制度の設置、入学料・授業料の減免枠の拡大など、学生への経済的支援を中心とした取り組みが行われています。今後、その趣旨に賛同し追従する大学も増えてくるでしょう。

しかし、聞くところによると、折しも受験シーズンの真っただ中、受験生確保のことで頭が一杯の経営陣の貧困な発想によって、「経済的に困っている受験生や在学生を救う」ことが目的であるはずの取組みが、いつのまにか「志願倍率アップのための広報活動」にすり替わっている、つまり経営力の強化という美名の下に、受験生や在学生の苦しみを悪用した「売名行為」を行っている大学もあるようです。

例えば、とある国立大学の役員会の模様
  • (A理事)他大学もやっているので、本学も緊急雇用対策として、臨時用務員を○○名雇うこととしたい。財源はB理事が確保できると言っている。
  • (B理事)金は大丈夫。ただし期限を切らないとしんどい。公表する時には授業料ではなく運営費交付金(税金)の残りを使うということにしてほしい。でないと学生や保護者からたたかれる。
  • (C理事)緊急雇用対策を既にやっている自治体や大学では、募集はしたもののほとんど来てないらしい。うちもそうなると格好悪い。
  • (B理事)それでは、新入生の授業料を半分免除するというのはどうか。受験生が増えることも期待できるし。
  • (D理事)2次試験の出願に合わせ近々新聞広告を出すのだが、それに間に合わないか。
  • (C理事)内容を詰めるのに時間がかかる。
  • (B理事)中身はあとで考えればいいのではないか。とりあえず広告の見出しだけ考えればいい。
  • (学長)私の記者会見にも間に合わせてもらえませんか。 といった具合・・・。

国立大学の最高意思決定機関とは思えないなんとも情けない低レベルのやりとりです。

「学生のために何ができるか、どういった方法が学生にとって大きな効果が期待できるか」などといった学生に目線を置いた発言は皆無。自分達のご都合論だけで国民の税金の無駄遣いが決まっていく。これではまるで「選挙目当ての定額給付金のバラマキ」と同じです。(ちょっと言い過ぎました。麻生総理すみません。)こんな愚行は決して許してはいけません。

受験生をはじめ社会の皆様は、これから大学の記者会見内容が掲載された記事や受験広告をよく眺めてみてください。上記のような大学の中では常識でも、社会では全くの非常識なことが見えてくるかもしれません。

目先の利益ばかりに目が奪われると、これまで大切に積み上げてきた大学の独自性、強み、そして教育機関としての信用を失ってしまうことになるでしょう。大切なことは、不況の苦しい時だからこそ、焦らず、慌てず、冷静に良い時がくるのを待つ、そして努力を惜しまず創意工夫で経営力を蓄えることなのではないでしょうか。

【参考記事】

深刻な変化の潮流にあっても、「確固たる自分」を築いていくにはどうしたらよいのでしょうか。
  1. 動乱期こそ自分の実力を蓄える絶好の好機である。
  2. 厳しい時代にはさまざまな外壁や虚飾がはがれてくるので、物事の本質があらわになりやすい。
  3. 急激に変化する世の中にあって自分を見失わないためには、原点にたち戻り、事業や仕事の本質は何かについてじっと考えることが大切である。
  4. 自分の目で見、耳で聞いて確認するクセをつけること。
  5. 自分の感性を研ぎ澄ますことを意識して行動すること。
  6. マネーがマネーを生むような経済構造が限界を越えて崩壊した。会社が倒れるこの時代にあって、倒れない自分をつくることがビジネスマンにとって不可欠である。
  7. 良書を読み、踏み込んで勉強したことは、必ず自分の仕事や人生に役に立つし、どんな問題でも解決策を見出せる力がつく。(PRESIDENT NEWS Vol.381から)

2009年1月17日土曜日

高等教育予算と政策

平成21年度政府予算案は昨年末に確定し、「国立大学の平成21年度予算予定額」については既に この日記でもご紹介しているところです。今後は、既に選挙モード一色の泥沼国会の審議の行方を見守りながら早期の成立を願うしかありませんが、今日は、高等教育関係の予算の中身について少しご紹介したいと思います。

まず、文部科学省全体及び各局別の予算案については、文部科学省が公表している資料をご覧ください。大学関係(高等教育局、科学技術・学術政策局、研究振興局、研究開発局)については、
の2つの資料が公表されています。

また、前者は次のような資料から構成されています。その内容から、平成21年度に文部科学省が推進しようとする高等教育関係の主要施策が見えてきます。
  • 高等教育局主要事項(平成21年度予定額)
  • 大学教育の充実
  • 大学教育の質保証のための主体的な取組への支援
  • 国際的に卓越した教育研究拠点形成と大学院教育の抜本的強化
  • 医師不足対策と地域医療を支える大学病院の機能強化
  • 奨学金事業の充実
  • 大学による学生への就職支援の強化
    • 文部科学省における新卒者の内定取り消し問題への対応を含めた学生の就職支援への対応について
  • 留学生30万人計画と大学の国際化
  • 平成21年度私学助成関係予算(多様な人材を育む私学の支援)
  • 国立大学等における教育研究の充実と活性化
    • 平成21年度国立大学法人法人別運営費交付金予算額(案)
  • 国立高等専門学校の実践的技術者教育の充実と活性化
    • 国立高等専門学校の再編整備(平成21年10月)について

上記資料のうち、これまであまり公にされることがなく、一般社会の皆様が目にすることがなかったものが「国立大学法人別の運営費交付金の額」ではないかと思います。この「運営費交付金」とは、国民の皆様からいただいた「税金」です。大学の規模などによって金額の大きさは異なりますが、各大学はこの税金に加え、学生(保護者)からいただく授業料、入学料等の納付金、附属病院を持つ大学においては診療収入、その他自己収入によって運営されることになっています。

文部科学省が示した資料では、前年度との比較(増減)が見えませんので、以下のように整理し直してみました。大学によって増減がありますが、これは、退職手当や、国への概算要求を通じて獲得する「特別教育研究経費」等の政策的な経費などが年度によって変動することによるものです。


平成21年度国立大学法人法人別運営費交付金予算額(案)

区分21年度予算額案(百万円)20年度予算額(百万円)比較増減額(百万円)
北海道大学39,29541,015▲1,720
北海道教育大学6,8087,265▲457
室蘭工業大学3,0552,688367
小樽商科大学1,4801,304176
帯広畜産大学2,6992,542157
旭川医科大学5,7335,629104
北見工業大学2,5952,264331
弘前大学11,24911,313▲64
岩手大学6,7407,062▲322
東北大学49,64350,717▲1,074
宮城教育大学2,8282,648180
秋田大学9,7599,956▲197
山形大学12,27612,053223
福島大学3,5053,47431
茨城大学7,6687,280388
筑波大学41,92745,703▲3,776
筑波技術大学2,5702,750▲180
宇都宮大学5,6965,67917
群馬大学12,24813,138▲890
埼玉大学6,5126,344168
千葉大学18,12218,245▲123
東京大学87,88488,274▲390
東京医科歯科大学15,71118,640▲2,929
東京外国語大学3,4903,139351
東京学芸大学8,6088,56939
東京農工大学6,1267,245▲1,119
東京芸術大学4,9014,915▲14
東京工業大学21,87021,390480
東京海洋大学5,5375,371166
お茶の水女子大学4,9984,878120
電気通信大学5,5745,409165
一橋大学6,1806,08298
横浜国立大学8,1398,588▲449
新潟大学17,38018,893▲1,513
長岡技術科学大学3,6643,890▲226
上越教育大学3,3173,160157
富山大学12,77213,030▲258
金沢大学15,85217,892▲2,040
福井大学9,8759,82550
山梨大学9,6579,940▲283
信州大学15,00116,397▲1,396
岐阜大学13,81014,030▲220
静岡大学9,67510,075▲400
浜松医科大学6,2605,324936
名古屋大学35,89735,716181
愛知教育大学5,2335,19538
名古屋工業大学4,8194,887▲68
豊橋技術科学大学4,0683,578490
三重大学12,21012,275▲65
滋賀大学3,0943,226▲132
滋賀医科大学5,7695,651118
京都大学59,64060,868▲1,228
京都教育大学3,8123,944▲132
京都工芸繊維大学4,6965,002▲306
大阪大学49,26750,521▲1,254
大阪教育大学6,6436,471172
兵庫教育大学3,6523,749▲97
神戸大学22,11622,219▲103
奈良教育大学2,4442,470▲26
奈良女子大学3,9613,533428
和歌山大学3,8554,044▲189
鳥取大学11,11211,319▲207
島根大学10,91610,671245
岡山大学18,10518,255▲150
広島大学26,40626,652▲246
山ロ大学13,84212,7841,058
徳島大学14,38713,739648
鳴門教育大学3,3523,381▲29
香川大学10,43410,313121
愛媛大学14,09413,807287
高知大学9,63310,022▲389
福岡教育大学3,6923,64646
九州大学46,43242,3984,034
九州工業大学5,8245,340484
佐賀大学10,33910,28257
長崎大学16,24616,20145
熊本大学15,73216,274▲542
大分大学9,3228,737585
宮崎大学10,32710,130197
鹿児島大学16,68116,839▲158
鹿屋体育大学1,3991,497▲98
琉球大学12,97813,017▲39
政策研究大学院大学2,0611,99863
総合研究大学院大学1,8991,905▲6
北陸先端科学技術大学院大学5,4775,528▲51
奈良先端科学技術大学院大学6,3066,564▲258
人間文化研究機構12,28711,643644
自然科学研究機構30,13430,343▲209
高エネルギー加速器研究機構30,09130,281▲190
情報・システム研究機構20,15020,395▲245
合 計1,169,5201,181,333▲11,812

※法人毎に端数処理(四捨五入)を行っているため、合計とは一致しない。


このうち、獲得額が大きいのはなんといっても「旧帝国大学」といわれる7大学。全体の3割を超える税金が投入されています。

区分21年度予算額案(百万円)20年度予算額(百万円)比較増減額(百万円)

北海道大学
39,29541,015▲1,720
東北大学49,64350,717▲1,074
東京大学87,88488,274▲390
名古屋大学35,89735,716181
京都大学59,64060,868▲1,228
大阪大学49,26750,521▲1,254
九州大学46,43242,3984,034
合 計368,058369,509▲1,451

2009年1月16日金曜日

不正の根絶に向けて

1月15日付の時事通信によると、与党の会計検査院プロジェクトチーム(林芳正座長)は、不正経理にかかわった公務員に新たに懲役3年以下の罰則を設ける「不正経理防止法案」をまとめたようです。これは組織的な裏金づくりなどを抑止することをねらいとしており、議員立法で今国会提出を目指すとのこと。また、会計検査院が指摘した不正事項について、改善状況の報告を各省庁に義務付ける会計検査院法改正案も了承されたようです。

これまでの度重なる公務員の不正、不祥事等に業を煮やし、いよいよ国を挙げて厳格に臨まねばといったところなのでしょうが、多額の税金を納める立場から見るとやや遅すぎた感もあります。

以前この日記で、次のようなことを書きました。
会計検査院は、まだまだ検査の深化が足りない。公務員体質に起因する怠慢、あるいは組織防衛的な利己主義はこの世から断固排除する必要があり、それができるのは、独立した強固な地位や権限を与えられた会計検査院しか現行制度上ない。検査報告そのものも、国民に容易に理解しやすい姿で書かれていないし、直接目に触れる機会も十分に用意されていない。
また、より深刻なのは、氷山の一角とはいえ、検査報告により指摘を受けた大学が、国民から負託された税金の不適切な使途について、どれだけ真面目に罪の意識を持っているのか、あるいはそれを恥辱だと認識し改善しようとしているのかが国民には皆目わかるようにはなっていない。
仮に会計検査院のフォローアップの結果、改善されていないような悪質な状況であれば、当該組織あるいは当事者に対して、会計検査院に与えられた権限を駆使して強制力を持った厳罰を課すべきだ。
厳罰化が不正の根絶にどれほどの効果をもたらすか議論のあるところではありますが、少なくとも会計検査院による検査の実効性を高め、税金の無駄遣いを無くす契機になるのではと期待しているところです。

さて、一般の企業や社会の皆様の中には、会計検査院の検査というものがどういうものなのかよくイメージできない方もおられるのではないかと思います。そこで、今回は、平成20年度に会計検査院が国立大学法人を対象に行った会計実地検査の結果、どのような指摘(正確には「講評事項」といいます。)がなされているのか、最近(平成19年12月分)のトレンド(事項と簡単な事例)をご紹介しましょう。随分と多岐に富んでいることがご理解いただけると思います。

資産関係

(キーワード)
土地の譲渡、施設の使用状況、学内共同教育研究施設、不動産貸付(料)、資金運用、土地・建物の登記状況、職員宿舎の入居状況・外部者への貸出の有無、遊休資産、物品の管理、学生寮の建設、共同利用艇庫、減損対象資産、建物の賃貸借契約、サテライトの管理業務・外部貸出、法人化時の建物登記について、建物の使用許可、国有資産等所在市町村交付金、固定資産の課税・非課税申請書、固定資産台帳、課外活動施設・国際交流会館・ゲストハウスの利用状況、特許権、固定資産の減損、土地の借受、重要な財産(土地等)の譲渡又は担保制限、出資、債券発行、短期借入金、施設整備費補助金、宿泊施設、食堂の貸付 など

(事例)
不動産登記関係
大学が財団法人等から無償で土地の借り入れを行っているが、土地の所有者等について長期的に見た場合、これが普遍であるとは言い難いことから、これらの対応策の一環として登記の必要性等について検討の要があると思慮される。また、他の建物についても、今一度登記について精査検討の要があるのではないか。

建物等の利用状況関係
○○○が廃止されて以降、使われていないままの状況にある。また、○○○施設についても、システムが開発されたことに伴い、使われていない状況にある。この他にも、入居者がいない宿舎等が見受けられる。

宿舎の利用状況
職員宿舎の利用状況については、一番直近の数字において18戸のうち2戸しか活用されておらず、またその2戸についても他の機関が使用しているという状態である。法人としては今のところ活用しきれていないところが見られる。

宿泊施設の利用状況
非常勤講師又は教職員の宿泊施設の利用状況については、6室で年間300日程度稼働できる状況であるが、平成19年度においては延べ51人の利用にとどまっている。


契約関係

(キーワード)
広報誌の調達方法、工事契約、物品等の発注・支払、電力契約、病院の売店等の賃貸借契約、病院財団における病院敷地内の業務に係る運営方法、駐車場管理業務、患者給食業務委託、病院リネン管理等業務、病院臨床検査委託業務等、大学刊行物の製造契約、印刷物に係る契約、土地売却に係る契約、複写機賃貸借契約、契約権限者、警備業務における諸経費率の積算根拠、旅費業務委託契約における随意契約、大学院説明会案内書発送業務における随意契約、消耗品等の購入依頼から納品検収・購入依頼者への発送、システムサポートの随意契約、自動販売機設置 など

(事例)
附属病院財団との契約関係
  • 附属病院では、福利事業のために建物の一部の貸付を行い使用料収入を得ている。その貸付面積は、食堂、喫茶の厨房部分だけであるが、食堂、喫茶を利用しない者が入れる状況にはなっておらず、一室丸々貸し付けているのと同じ条件になっている。従って実態に即した貸付面積を算定する必要があると思慮される。
  • 附属病院に係る不動産使用許可書では、福利業務を委託する旨の記載が無く、大学に承認を得ることが無く別業者に業務を委託していた。第三者への委託、貸付については、大学の許可に基づき行うことが適正だと思慮される。
  • 駐車場における管理運営についても無償でこの業務を財団法人に委託しており、当該駐車場管理運営により1年に約900万円程度の収支差が生じており、この余剰金の一部については、病院内の環境整備に充てられて整備後に大学に寄付されているという状況になっていた。
  • 駐車場管理業務について、随意契約により財団法人へ業務を委託しているが、業務を第三者へ請け負わせることが契約書上、禁じられているにも関わらず、別の業者に請け負わせるなどしている状況にある。


外部資金関係

(キーワード)
科学研究費補助金の経理、厚生労働科学研究費補助金の経理、研究拠点形成費補助金の経理、間接経費の執行、大学改革推進等補助金の経理、受託研究・共同研究・受託事業の経理、大学改革の国際化推進プログラム、戦略的国際連携支援、大学教育の国際化加速プログラム など

(事例)
受託事業関係
平成18年度を最終年度とする受託事業の事案費の中に、翌19年度の研究に使用するための研究室移転工事費等が含まれていたことについて疑義が生じている。

その他競争的資金関係
平成19年度の事業推進費(論文情報データベース)に補助対象外と思料される事態などが見受けられた。


決算関係

(キーワード)
資本金の減少、財務諸表、合計残高試算表(月別)、徴収不能引当金、未収附属病院収入 など


その他

(キーワード)
学内情報システム、取得物品の現物確認、研究機関における公的研究費の管理・監査のガイドラインに基づく体制整備等、授業料減免関係(授業料減免費、免除の判断基準)、授業料収入の積算、中期目標・中期計画の変更、公的研究費の不正防止に関する対応、内部監査、一般財団法人と公益財団法人、予算配分、現金の取扱、旅費システム など

2009年1月15日木曜日

国立大学の教育研究評価

国立大学法人の中期目標期間(平成16~21年度)の終了をにらんだ文部科学省の動き、具体的には中期目標期間の業務実績の評価結果(以下「中期評価」)を踏まえた国立大学法人の組織、業務等の見直しに向けた検討が既に開始されたことについては既にこの日記でもご紹介しました。

中期評価の核となる部分、つまり大学の使命そのものである「教育」「研究」に関する評価結果が、去る1月13日付けで、評価機関である独立行政法人大学評価・学位授与機構(以下「機構」)から各大学に通知されました。

「教育研究評価に関する評価報告書(案)の送付について」と題されるこの文書には、機構が行った教育研究評価の内容や評価結果に対する意見申し立ての方法等について記載されてあります。以下、通知の概要(読みやすくするために若干編集)をご紹介します。

1 評価報告書(案)の概要

今回送付した評価報告書(案)は、1)中期目標の達成状況に関する評価結果(案)、2)学部・研究科等の教育に関する現況分析結果(案)、3)学部・研究科等の研究に関する現況分析結果(案) で構成されている。

「中期目標の達成状況に関する評価結果(案)」には、「教育に関する目標」等の大項目ごとに、1)段階判定、2)判断理由、3)関連中項目の達成状況、4)優れた点、改善を要する点、特色ある点 が記載されている。

「教育に関する目標」「研究に関する目標」以外の大項目を複数掲げている場合は、大項目の整理上、「社会との連携、国際交流等に関する目標」として1つの目標としてまとめられている。

「優れた点、改善を要する点、特色ある点」は、以下の考え方に基づき、抽出されている。
  • 優れた点=中期計画「良好」の判定の判断根拠のうち、特に優れたもの
  • 改善を要する点=中期計画「不十分」の判定の判断根拠のうち、特に、指摘する必要があるもの
  • 特色ある点=中期計画「おおむね良好(又は「良好」)」の判定の判断根拠のうち、当該法人の様々な条件を考慮し、特色あるもの

「学部・研究科等の教育に関する現況分析結果(案)」及び「学部・研究科等の研究に関する現況分析結果(案)」には、「水準の分析項目」の1)段階判定、2)判断理由、及び「質の向上度」の1)段階判定、2)判断理由が記載されている。

各法人が作成した「達成状況報告書」等の中に、平成20年度以降の取組について記載されている場合があるが、平成20年度以降の取組については、平成22年度に実施する評価の確定作業の対象となり、今回の評価の対象とならない。

2 意見申立の対象

意見申立は、評価報告書(案)の記載に関し、1)記載内容に事実誤認があった場合、2)誤字脱字等の字句修正があった場合を対象として、意見の申立を行うことができる。なお、段階そのものに対する疑義や評価方法に対する意見は対象にならない。

事実誤認等の指摘を行う場合には、実績報告書(「達成状況報告書」「現況調査表」)(別添資料・データ含む)に記載された内容を根拠として行うこと。実績報告書等に記載された内容以外の新たな資料を根拠として指摘することはできない。

今後、各大学は、評価結果の妥当性等について検証を行い、意見等があれば、来る1月30日(金)17:00までに提出することになっています。

中期評価に係る一連の作業は概ね年度末まで続くことになります。今後は以下のようなスケジュールが想定されます。いよいよ、中期評価の大詰めです。
  • 平成21年2月19日 評価報告書の決定(大学評価・学位授与機構)
  • 平成21年2月末   評価報告書を文部科学省の国立大学法人評価委員会へ提出
  • 平成21年3月初旬  教育研究以外を含めた評価報告書(全体版案)を各大学へ送付(文部科学省)
  • 平成21年3月中旬  各大学から最後の意見申し立て
  • 平成21年3月末   各大学へ評価報告書(決定版)を送付(文部科学省)

(参考1)平成19年度に係る各国立大学の業務実績の評価結果一覧

文部科学省のホームページに公開されています。興味のある大学の評価結果をのぞいてみてはいかででしょうか。折しも入試のシーズンでもありますし・・・。

(参考2)大学改革と評価(大学評価・学位授与機構)

東京工業大学長、中央教育審議会副会長を歴任した木村機構長が、我が国における大学改革の必要性や大学評価の実施に至るまでの国際的な動向などについて、大学審議会の答申と自らの経験を交えながら語ります。

2009年1月14日水曜日

バラマキ予算

昨日(13日)、経済危機を乗り越えるための当面の対策として第2次補正予算が政府与党のごり押しにより衆議院を通過しました。もしかすると今回のこの出来事は、我が国の将来にとって大きな禍根を残す重要な歴史のひとコマになるのかもしれません。

景気や雇用の回復が何よりも緊要とされる中、生きていくことの深刻さを思い知らされている多くの国民ですら望まないバラマキ予算(定額給付金)を何ゆえ押し通そうとするのか、目先の選挙で生き延びることしか思考できなくなっている政治家達の愚かな正体が露呈され続けています。

定額給付金―民意が首相に届かない(2009年1月14日 朝日新聞社説)

この週末、いくつもの報道機関が行った世論調査の結果は衝撃的だった。
麻生内閣の支持率は、朝日新聞、産経新聞、共同通信の調査で軒並み2割を割り込んだ。逆に、不支持率は読売新聞、NHK、産経、共同の調査でそろって7割を超えた。67%の朝日を含め、国民の3分の2を上回る人々が首相にNOを突きつけたかたちだ。
焦点の定額給付金では、朝日調査で71%が「景気対策として有効ではない」、63%が「支給をやめた方がよい」と答えた。読売調査でも「支給をやめて雇用や社会保障などに使うべきだ」という意見に賛成する人は78%にも達した。
2兆円もの巨費を投入し、国民ひとりひとりに現金を配るというアイデアがこれほど不評なのは、政策の是非の問題を超えて、この政権そのものへの不信の表明と見るべきだ。
そんななか政府与党は衆院で、第2次補正予算案と関連法案を野党の反対を押し切って可決した。
渡辺喜美元行革相がきのう離党に踏み切り、加藤紘一元幹事長は「定額給付金はあまり出来がよくない制度というのが7、8割の自民党議員の心だが、総選挙で公明党にお世話になるから賛成する」と述べている。
加藤氏の言葉が事実なら、自民党は公明党・創価学会の支援欲しさに「出来のよくない」政策に甘んじるということなのか。何とも情けない政党になってしまったものではないか。
国民の暮らしがますます厳しくなるなかで、そんな愚かな政治を続ける余裕がいまの日本にあるはずがない。《記事全文

「給付金」通過 国民を甘く見たごり押しだ(2009年1月14日 毎日新聞社説)

暗たんたる状況である。定額給付金を盛り込んだ08年度第2次補正予算案と関連法案について与党は民主党などが退席する中で衆院本会議の採決に踏み切り、通過した。
給付金の効果や性格づけに疑問がふくらむ中の採決に国民の理解が得られるとは到底、思えない。撤回を主張した渡辺喜美・元行政改革担当相が自民党を離党、同党の松浪健太氏も採決で棄権したことがそれを物語っている。
与党はこれ以上、国会運営のごり押しを進めてはならない。野党も参院で堂々と給付金の削除を求めるのが筋だ。雇用・生活不安が増す中、国会の混乱は早期に収拾すべきである。
与党は給付金への国民の批判を甘くみていると言わざるを得ない。毎日新聞の世論調査(先月)でも7割の人が「評価しない」と答えている。麻生太郎首相が給付金を受け取るかすら態度を表明しない一方で、11閣僚が受け取りを、1閣僚が辞退を表明した。2兆円を投じる政策としてあまりにぶざまな不統一ぶりだ。《記事全文

補正衆院通過 「国民の声」を無視するな(2009年1月14日 西日本新聞社説)

2兆円もの税金を投じるなら、もっと別の有効な使い道があるはずだ。
そんな国民の声を無視するかのように、与党が数の力で押し通した。国会の意思決定と国民の考え方との乖離(かいり)が、これほど露骨に表面化するのは、異常な事態だと指摘せざるを得ない。
総額2兆円の定額給付金を盛り込んだ本年度の第2次補正予算案とその関連法案がきのう、衆院の委員会と本会議で採決され、与党の賛成多数で可決された。
世界同時不況の荒波が、わが国にも押し寄せている。危機に立ち向かう政治の使命が切実に問われているというのに、国会は相も変わらぬ与野党激突で、擦ったもんだの様相である。議事堂の内と外ではまったく世界が違うかのようだ。
共同通信社の世論調査によると、2次補正の予算審議で焦点となった給付金について、「評価しない」とする回答は7割を超えた。
公明党が主張した定額減税が定額給付金に姿を変え、所得制限の是非をめぐって迷走した揚げ句、政府・与党はその判断を地方自治体へ丸投げした。
麻生太郎首相が「ポイントはスピードだ」と打ち上げながら、補正予算案の提出は今国会へずれ込んだ。高額所得者が受け取るのは「さもしい」と戒めたかと思えば、最近は全国民に「盛大に使ってほしい」と呼び掛けている。これでは、国民の理解など深まるわけがない。
世論調査で「2兆円の財源を優先的に使うべき政策」として定額給付金を挙げた人は、わずか3.3%だった。社会保障(42.0%)や雇用対策(26.3%)などを求める声が圧倒的に強かった。
「給付金は白紙撤回して使途を再考すべきだ」というのが民意ではないか。
麻生内閣の支持率は19.2%と2割を切った。不支持率は、給付金を「評価しない」という人と同様、7割に及ぶ。
国民の支持は2割に満たない内閣が、7割の人が評価しない政策を強引に押し通している。これこそ、衆参で第一党が異なる国会の状況よりもはるかに深刻な政治と民意の「ねじれ」ではないか。《記事全文



いつも陽気で仕事を何よりも愛している親友が財務省主計局にいます。
今年元旦に届いた彼からの年賀状には、国のために苦労を厭わない生きがいはおろか、自分の仕事にすっかり失望していることを感じさせる言葉が並んでいました。

無理が道理を駆逐する選挙目当てのバラマキ予算。いったいどこまで未来にツケを廻せば気が済むのか、最近仕事に誇りが持てなくなりました。
公務員には益々厳しい目が向けられ、世の中も一層混沌としていくのでしょうが、希望を失わず、前向きに、そして家族を大事にこの1年を過ごしたいと思います。


政治家が全てそうであるとは言いませんが、力の弱い立場にある役人(ここではあえてキャリア官僚などの高級役人を除きます。)を鬼の首を取ったように批判したり、役人を議員会館に呼びつけ地元支援者の前で恫喝するといった永田町や霞ヶ関という特殊世界でしか通用しない政治家の虚像を、実体をよく知らない国民に印象付けることは、国民に手を合わせ擦り寄るパフォーマンスの準備が整った選挙前(国会議員としての権力が失効する)今こそ大いに反省していただき、めでたく再び国会の扉をくぐることができた時には、是非とも「国民という弱者の目線」を決して忘れない清い心を持った政治家として目先の私利私欲よりも国(全体の利)益のために遺憾なく力を発揮していただきたいと思います。

2009年1月13日火曜日

自分の人生に責任を持つ

長い人生の中では、人は時折自分(あるいは自分の生きる道標)を見失ってしまいそうなときがあるのではないかと思います。

自分を見失わないためには、自分を律し、現状に甘んじない強い心を常に持ち続けることを時折自分自身に言い聞かせてみることが大事なような気がします。

ジェフ・ケラーの本から

仕事が終わって飲み屋に行き、職場での待遇について愚痴をこぼしている人たちのことを考えてみよう。ネガティブな姿勢でいくら不平を言っても、状況は決して好転しない。それどころか、そういう姿勢でいるかぎり、自分が不幸であることを自分に対してインプットすることになり、さらに不幸になるだけだ。

自分の人生に責任を持てば、自分が状況を改善するカを持っていることに気づくはずだ。職場の問題で悩んでいるのなら、上司と相談すればいい。それができないなら、転職することを考えればいい。

多くの人が自分の人生に責任を持たないのは、変化を起こすより責任転嫁や言い訳をするほうが簡単だからだ。自分の能力を磨く努力をしたり転職をしたりするより、「景気が悪い」「上司が悪い」と愚痴をこぼしているほうが楽だ。

私たちはみな、習慣の生き物であり、それまでのやり方にしがみつく傾向がある。したがって、自分の人生に責任を持つことは大きな勇気と努力が必要になる。しかし、.人生を改善したいのなら、自分の現状をつくり上げたのは自分であり、自分が新しい思考と行動をする能力を持っているという自覚を持つ以外に方法はない。


ディスカヴァー・トゥエンティワン
発売日:2006-06-15

2009年1月10日土曜日

契約の適正化

この日記でも既に何度かご紹介していますが、国立大学法人を含む独立行政法人の業務実績については、各年度終了後、各府省の独立行政法人評価委員会(国立大学の場合は、国立大学法人評価委員会)が評価(=一次評価)を行い、総務省の政策評価・独立行政法人評価委員会が、一次評価の客観的かつ厳正な実施を確保するため、各府省の評価委員会の評価結果について横断的評価(=二次評価)を行い、各評価委員会に対して必要な意見を通知することとなっています。

去る1月7日(水)、総務省の政策評価・独立行政法人評価委員会は、各府省の独立行政法人評価委員会等における平成19年度における独立行政法人等の業務の実績に関する評価の結果(契約の適正化に係るもの)についての意見を取りまとめ公表しました。

この評価結果は、各独立行政法人の平成19年度の業務実績に係る各府省の評価委員会の評価結果のうち、「契約事務に関する事項」についての評価結果を取りまとめたものです。

(注)政策評価・独立行政法人評価委員会は、平成20年9月5日付けで「入札・契約の適正化に係る評価における関心事項」(以下抜粋)を各府省評価委員会に提示しており、今回の具体的な指摘は当該関心事項に示された項目について検証・評価して取りまとめたもののようです。



入札・契約の適正化に係る政策評価・独立行政法人評価委員会独立行政法人評価分科会の評価における関心事項は以下のとおりである。

(1)契約に係る規程類、体制の整備状況等に係る評価
  1. 契約方式、契約事務手続、公表事項等、契約に係る規程類の整備の有無、及び規定内容を把握した上で、整備内容の適切性について評価を行っているか。

  2. 契約事務に係る執行体制を把握し、当該体制が契約の適正実施確保の上で適切なものとなっているかについて評価を行っているか。内部審査体制や第三者による審査体制が整備されていない場合、法人の業務特性(専門性を有する試験・研究法人等)、契約事務量等を勘案し、これらの体制を整備する必要性について評価を行っているか。また、整備されている場合、競争性・透明性確保の観点から有効に機能しているかについて評価を行っているか。監事による監査は、これらの体制の整備状況を踏まえた上で行っているかについて評価を行っているか。

  3. 「随意契約見直し計画」の実施・進捗状況や目標達成に向けた具体的取組状況について把握した上で、これらの実施状況等について評価を行っているか。また、計画どおりに進んでいない場合、その原因を把握・分析しているか。
(2)個々の契約に係る評価

監事による個々の契約の合規性等に係るチェックプロセス(チェック体制、抽出方法、抽出件数、個別・具体的チェック方法等)や入札監視委員会などの第三者によるチェックプロセスを把握した上で、関連公益法人との間で随意契約を締結しているもの、落札率が高いもの、応札者が1者のみであるものなどがある場合において、契約における競争性・透明性の確保の観点から、必要に応じ、評価委員会自らが監事等によるチェックプロセスのフォローを行っているか。



今回の取りまとめには、国立大学法人は含まれていませんが、研究費の不正経理など大学における不祥事は後を絶たず、今回の評価結果を対岸の火事だと見過ごさず、他山の石とする意識が不可欠ではないかと思います。


まずは、総務省政策評価・独立行政法人評価委員会委員長見解「平成19年度における独立行政法人等の業務の実績に関する評価の結果(契約の適正化に係るもの)について」(平成21年1月7日)(抜粋)
政府は、国の機関や独立行政法人の契約の競争性・透明性を高めるなど、契約事務の一層の適正化に取り組んでいます。これは行政に対する信頼の回復のために大変重要なことです。独立行政法人評価は、この契約事務の適正化の取組の中で強化すべき監視機能として位置づけられており、「独立行政法人整理合理化計画」(平成19年12月24日閣議決定)においても、入札・契約の適正な実施についての厳正なチエックが求められています。(途中略)

その結果は、総じて言えば、各府省評価委員会の多くが契約事務についての評価に取り組んだことが認められるものの、契約事務のルールを定める規程類や、随意契約、入札の現状についての分析・評価が、さらに踏み込むべきところを残しているものや、まだ十分に国民に対して分かりやすく説明するものとなっていないものが少なくないというものでした。


次に、評価結果の全体概要です。

1 契約事務に係る規程類に関する評価意見
1)法人の現状

予算決算及び会計令(昭和22年勅令第165号)等、国の契約事務に係る規程類を基準として、相違をみると次のような事例がみられる。
  • 公告の方法に関する規定がないものや急を要する場合以外に公告期間を短縮できるとしているもの(24法人)
  • 指名競争契約限度額に関する規定がない、または、国と異なっているもの(5法人)
  • 包括的随契条項*1があるもの(28法人)
  • 公益法人随契条項*2があるもの(4法人)
  • 予定価格の省略に関する規定が国と異なっているもの(18法人) 計49法人
2)一次評価(各府省)にみられる課題
  • 規程類の整備内容の適切性について、評価結果において言及がない(15法人)
  • 国の契約の基準と異なる規定が設けられていることの適切性について、評価結果において言及がない。(42法人)
3)二次評価(総務省)意見
  • 規程類の整備内容の適切性について厳格に評価すべき。
  • 「法人の現状」に見られる事例について整理。例えば、包括的随契条項について、その適切性を検証すべきと指摘。
2 随意契約見直し計画の実施・進捗状況に関する評価意見
1)法人の現状

○独立行政法人全体における競争性のない随意契約は金額ベースで9,829億円。平成18年度実績に比べ8ポイント減少。
○各法人が定める随意契約見直し計画の実施状況等をみると、次のような事例がみられる。
  • 競争性のない随意契約の金額が平成18年度実績に比べ増加しているもの(22法人)
  • 随意契約見直し計画において、平成19年度中に措置することとしている事項がある法人(51法人)
2)一次評価(各府省)にみられる課題
  • 競争性のない随意契約の金額が増加した理由について、評価結果において言及がない(20法人)
  • 平成19年度中に措置することとしている事項について、評価結果において言及がない(10法人)
3)二次評価(総務省)意見

随意契約見直し計画の実施・進捗状況について、随意契約の金額が増加している原因等も含め評価結果において明らかにすべき。

3 関連法人との業務委託に関する評価意見
1)法人の現状
関連法人*3を有する独立行政法人は42法人(19年度末現在)。 このうち、関連法人と業務委託契約を締結しているもの38法人。

2)一次評価(各府省)にみられる課題
  • 評価結果において関連法人との契約について言及がない(3法人)
  • 評価結果において関連法人との契約の妥当性についての言及がない(4法人)
3)二次評価(総務省)意見

関連法人との契約について、契約方式や応募(応札)条件等を十分に検証した上、競争性・透明性の確保の観点から、関連法人に対する業務委託契約の妥当性について評価結果において明らかにすべき。

4 一般競争入札における1者応札に関する評価意見
1)法人の現状

独立行政法人における般競争入札件数(24,168件)のうち1者応札となっているもの10,768件(45%)。事業類型別にみると、研究開発型の法人における1者応札の割合が最も高く60%、政策金融型が最も低く28%。

2)一次評価(各府省)にみられる課題
評価結果において1者応札率が高い*4ことについて言及がない(9法人)
3)二次評価(総務省)意見

一般競争入札において1者応札率が高い法人については、法人の業務を勘案した上で、一般競争入札において制限的な応札条件が設定されていないかなど、競争性・透明性の確保の観点から厳格な検証を行い、必要に応じ、改善方策の検討などを促すとともに、その結果を評価結果において明らかにすべき。

5 その他個別の評価意見(意見の例)
【経済産業省所管日本貿易振興機構】

本法人においては、物品の購入等にあたり、虚偽の納品書等を納入業者に提出させたり、所定の検収を行わないまま物品が納入されていないのに納入されたこととしたりするなどの適正でない会計経理が行われており、適正な契約事務が十分履践されていなかったことが判明した。今後の評価に当たっては、契約事務の適正な実施を確保するため、今回の不正経理の発生原因や本法人の内部監査体制、本法人が講じた再発防止策等の検証結果を踏まえ、物品の購入に係る検収等、当該事務の実施について、厳格な評価を行い、その結果を評価結果において明らかにすべきである。


会計検査院顔負けの鋭い突っ込みです。
「文部科学省所管の独立行政法人」(26法人)に対しては、次のような指摘が行われています。

1 契約に係る規程類に関する評価結果(抜粋)
しかしながら、6法人*5については、会計規程等において、国の契約の基準と異なる規定が設けられているが、このような規定が設けられていることの適切性について、評価結果において言及されていない状況がみられた。
例えば、国の場合、随意契約によることができる具体的要件が定められているが、独立行政法人の場合、随意契約要件として「業務運営上特に必要があるとき」と具体的に定められていない条項(いわゆる「包括的随契条項」)が規定されているものがある。同条項は安易に適用された場合の弊害が大きいと考えられ、法人の業務の特性等を踏まえてあらかじめ想定される随意契約にならざるを得ないものについてはできる限り具体的に定めるべきであり、その規定の整備内容の適切性について検証し、評価結果において明らかにする必要があると考えられる。

したがって、貴委員会は、契約に係る規程類の整備内容の適切性を確保する観点から、今後の評価に当たって、国の契約の基準と異なる規定については、「独立行政法人における契約の適正化について(依頼)」(平成20年11月14日総務省行政管理局長事務連絡)をも踏まえて評価するとともに、評価結果において明らかにするよう留意されたい。
2 随意契約見直し計画の実施・進捗状況等に関する評価結果(抜粋)
しかしながら、9法人*6については、1)当該法人の随意契約見直し計画において、平成19年度内に取り組むこととしている事項についての取組状況に関する検証結果が、評価結果において言及されていないとの状況や、2)当該法人における競争性のない随意契約の金額について、19年度実績が18年度実績と比較して増加しているにもかかわらず、この原因等の検証結果が、評価結果において言及されていないとの状況がみられた。
したがって、今後の評価に当たっては、随意契約見直し計画の実施・進捗状況等の検証結果についても評価結果において明らかにするよう留意されたい。


各独立行政法人評価委員会による評価の甘さが厳しく指摘されています。と同時にこれは、指摘された機関に対する「警告」でもあることを忘れてはなりません。

それでは、文部科学省はこれまで、契約の適正化に関し各機関に対しどのような指導を行ってきたのでしょうか。一例をご紹介します。以下は、毎年、各国立大学の財務担当部課長を対象に開催される「国立大学法人等財務管理等に関する協議会」における文科省の調達担当責任者の説明要旨(平成18年度)です。
1 公共調達の適正化に向けた取り組みについて

公共調達については、昨年の公共工事における大規模な入札談合の摘発を契機として、官製談合はもとより天下り先との不透明な随意契約の実態など、公共調達の在り方が国会、マスコミ等で大きく取り上げられている。

政府では、このような状況を踏まえ、「公共調達の適正化に関する関係省庁連絡会議」において「公共調達の適正化に向けた取り組みについて」を決定した。

取り組みの具体的内容は、
  1. 平成17年度において締結した随意契約の緊急点検を実施すること
  2. 本年6月を目途にその点検結果を公表すること
  3. 点検の結果、見直しの余地のあるものについては、直ちに一般競争入札等へ移行すること
  4. 見直しの余地のあるもので一般競争入札等への移行に時間を要するものについては見直し計画を作成し、点検結果と併せて公表すること など

この取り組みは、政府機関について適用されているものであるが、業務の公共性並びに運営の透明性の確保については、国立大学法人等においても同様であることなどから、国立大学法人等の関係法人に対しても、平成18年3月7日付け官房長通知もって同様の取り組みの実施について、要請を行った。

また、別途、総務省行政管理局からは「独立行政法人における随意契約の適正化について」として、各省の官房長に対して、
  1. 随意契約の基準を具体的に規定している業務方法書又は会計規程等をホームページ上で公表すること
  2. 国の基準も参照しつつ、一定額以上の随意契約(理由等を含む。)について、ホームページ上で公表することとし、その旨を業務方法書又は会計規程等に盛り込むこと
の2点について各独立行政法人に対して要請するよう依頼があったところであり、各法人への周知については、各法人所管局課を通じて行っている。

随意契約の在り方等については、社会的に大きくクローズアップされているところであり、各国立大学法人にあっても政府のこのような取り組みの趣旨を十分ご理解のうえ、随意契約の適正化に努めるようお願いしたい。

2 落札率1案件の対応について

競争入札における落札率の問題に関しては、平成14年度の文部科学省の競争入札において、落札率1(予定価格と落札価格が同額)となった案件が他省庁に比べて多発している実態について、国会・マスコミ等において大きく取り上げられた。

平成16年度の調達における落札率1案件の割合は、平成14年度の約28%から約16%へと減少し、若干の改善はみられるものの、他省庁に比して依然として高い状況にある。

通常、非公開である予定価格と供給者の入札価格が一致する案件が多発している事態は、供給者側への予定価格の漏洩や談合の存在等の疑義を惹起しかねず、国民の理解は得られにくい事態と認識される。

各法人においては、引き続き安易に落札率1となる案件が生じないよう最善の御努力をお願いしたい。

(参考)平成14年度落札率が「1」となった競争入札案件の状況について(文部科学省)

1 調査結果(全体概況、落札率が1となる理由、1社入札が多い理由、予定価格の漏洩等の有無)
http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/16/07/04072002/002.htm#top


2 改善の方向(落札率1事業への対応、1社入札への対応、新たな契約手法の検討・開発、フォローアップ)
http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/16/07/04072002/004.htm#top


*1:「その他随意契約とする特別の理由があるとき」など、随意契約とすることができることについて、包括的にしか定めていない条項

*2:公益法人であることのみを要件として随意契約とするとがきる条項

*3:独立行政法人と人事、資金、取引等、一定の関係を有する法人であり、特定関連会社、関連会社及び関連公益法人等がある。

*4:一般競争入札のうち1者応札となっているものの割合が50%を超えており、かつ、同一の類型に属する法人全体における一般競争入札のうち1者応札となっているものの平均割合を超えていること。

*5:物質・材料研究機構、放射線医学総合研究所、国立美術館、理化学研究所、宇宙航空研究開発機構、日本原子力研究開発機構

*6:国立科学博物館、日本学生支援機構、国立高等専門学校機構、国立大学財務・経営センター、メディア教育開発センター、放射線医学総合研究所、国立美術館、日本芸術文化振興会、日本原子力研究開発機構

2009年1月9日金曜日

学生への就職支援

経済不況、失業等に関する報道が連日のように紙面を賑わす中、大学にとっては、「新卒者の採用内定取消し問題」が深刻化しています。

卒業前に内定取消しを受けた場合、学生への打撃は極めて大きく、社会全体にも大きな不安を与えるものであり、大学においては、内定取消しを受けた学生に対し、適切かつ速やかな支援が必要となっています。また、今後、さらなる経済状況の悪化が懸念されることから、各大学の就職支援の取組を強化し、きめ細かな就職支援を行っていくことが必要となっています。

今日は、文部科学省が作成した資料(同省のピーアールを兼ねた資料のようですが・・・)から、同省(及び大学)がこれまで取り組んできた「新卒者の内定取消し問題への対応を含めた学生の就職支援への対応」状況についてご紹介したいと思います。

1 大学等における対応に関する周知徹底

○文部科学省より、新規学校卒業者の内定取消し問題について、各大学等において公共職業安定所と連携しつつ、適切な対応を行うよう周知徹底。
⇒「新規学校卒業者の採用内定の取消しに対する適切な対応について」(平成20年11月12日:高等教育局学生支援課)
⇒「新規学校卒業者の採用内定取消し等への対応について」(平成20年11月28目:生涯学習政策局・初等中等教育局・高等教育局担当課長名)

2 実態把握に向けた緊急調査

○内定取消しに関する実態は、ハローワークが一元的に把握するとともに、企業に対する指導を徹底することになっているが、文部科学省としても大学等における対応状況について、次のような緊急調査を実施し、実情把握。
⇒休講期間中(年末年始や休日を含む)の学生相談体制など、内定取消し問題に関する各大学・専修学校・高等学校の対応状況を緊急調査。
⇒文部科学大臣等による都内の大学等の就職支援部門の訪問、実情把握。

3 全国ブロック別情報交換会議の開催

○内定取消しの現状や取組に関する各大学・専修学校との情報交換会議を全国ブロック別に実施。文部科学省職員も参加。

4 関係団体等から構成される会議の開催

○文部科学大臣より、日本経団連など主要経済団体に対し要請文を発出。
⇒「新規学校卒業者の内定取消し問題等への対応について」(平成20年12月15日:文部科学大臣名)

○関係団体から構成される会議を開催し、各団体における対応や個別の大学等の具体的な取組状況について情報交換。
(大学)
大学関係団体で構成される「就職問題懇談会」を12月19日(金)に緊急開催。就職問題懇談会として、各大学が、1)年末年始を含めて学生の相談体制を確保することや、2)学生の希望を踏まえつつ、内定取消し企業への対応や学生のメンタルヘルスなどにきめ細かく対応することを申し合わせるとともに、内定取消し問題で主要経済団体に要請することを決定

5 厚生労働省等関係機関との連携

○内定取り消しにあった学生が参照できるマニュアル等を(独)日本学生支援機構などの関係機関のホームページに掲載するなど情報提供。

○厚生労働省が作成する学生職業センター等の特別相談窓ロ等を周知する資料を各大学へ配布。

6 (独)日本学生支援機構における情報提供

○大学の就職担当職員の研修会や「学生支援情報データベース」において、就職支援に関する情報(各大学の窓ロ、学生及び教職員支援プログラム、調査結果、政府関係資料等)について情報提供。

7 新卒者の内定取消し問題への対応を含めた大学等の就職支援への取組に対する支援措置(平成21年度予算案)

○「大学教育・学生支援推進事業」
うち就職支援の強化など総合的な学生支援の取組(新規採択分) 24億円程度措置
新規学卒者の内定取消しなど学生の雇用が不安定となっていることに対応するため、本事業のうち、学生支援推進事業において、私立大学を中心に各大学の学生への就職支援の強化など総合的な学生支援の取組を推進。
このほか、「大学教育充実のための戦略的大学連携支援プログラム」も活用して就職支援の取組などを強化。

○社会人の学び直しへの支援
社会人の「学び直し」のニーズに対応するため、社会人の再就職やキャリアアップ等に資する優れた実践的教育プログラムの開発・普及を推進。 18億円程度(「社会人の学び直しニーズ対応教育推進プログラム」により措置)

○専修学校を活用した就業能力向上支援
若者の早期離職者・フリーターやニート等の再就職を希望するが知識・技術の不足等により再就職が困難となっている者に対し、必要な就業能力を向上するための取組を推進。 5.4億円程度措置

○高等学校就職支援教員(ジョブ・サポート・ティーチャー)
高等学校において、就職を希望する生徒に対する就職相談、企業求人の開拓、求人や職場見学の情報等の収集及び提供を行う教員を配置。地方交付税により措置(平成20年度:30道府県、116人)

○高等学校におけるキャリア教育の在り方に関する調査研究
高等学校における外部の専門的人材の活用方法等の調査研究。 1億円程度措置


(参考)
内定を取り消された学生への対応を含む就職支援に関連して各大学等が取り組む事項(ガイドライン)(抜粋)(平成20年12月19日 就職問題懇談会)

1 内定取消し問題に関する取組事項について
  • 土日や長期休業中(年末年始を含む)など休講期間中の相談体制の確保(電話やメールによる相談への対応など)

  • 内定が取り消された場合の対応について、掲示板や文書による学生・教職員への周知

  • 内定を取り消された学生個々に対して、本人の希望を踏まえた相談に加えて、内定を取り消した企業との交渉のフォローアップや学生の心の悩みへの対応なども含めきめ細かく対応

  • 悪質な内定取消し企業への対応など法的権限が必要な対応についてのハローワークとの連携

  • (独)日本学生支援機構における就職支援に関する情報提供(ホームページ)の活用

2 一般的な就職支援に関する取組事項について
  • 就職が決まらなかった卒業生に対する求人情報の提供

  • 卒業生を雇用して行う体験発表会や就職相談会の実施

  • 父兄・保護者を含めた就職相談会の実施

  • ビジネスマナー講座、プレゼンテーション能力養成講座、種々の資格取得講座の開設

  • 就職担当窓ロ職員と各学部の教員との連携

  • 教職員による企業訪問や企業との情報交換会の実施などによる求人確保

  • ホームページや大学独自の就職情報誌、パンフレットの配布や学内説明会の実施による学生への情報提供

  • 土日や休業期間中でも学生に求人情報を届けられるよう、在学生・卒業生の情報をデータベース化するとともに、メーリングシステムを導入

(関連記事)

被害学生800人超…内定取り消し悪質企業公表 「ウチは大丈夫」社長が断言も数週間後に経営破綻(2009年1月8日 ZAKZAK)


内定取り消し問題が深刻化している。厚生労働省は“被害”を受けた学生の数を1月末をめどに公表予定だが、800人を超すのは確実な情勢。なかには、社長が学生に「ウチの経営は問題ない」と断言しながら数週間後に経営破綻し、内定取り消し-というひどいケースもあった。同省は4月ごろ、一定の基準に抵触した内定取り消し企業の名前を公表する。《続く》

「新卒者 内定取消し」のニュース検索結果

2009年1月7日水曜日

七草がゆ

今日は“七草(ななくさ)”です。

我が家でも、人日の節句(1月7日)の朝に7種の野菜が入ったかゆを食べるという風習に則り、今朝は七草がゆをいただきました。

七草(春の七草)とは、「芹(せり)、薺(なずな)、御形(ごぎょう)、繁縷(はこべら)、仏の座(ほとけのざ) 、菘(すずな)、蘿蔔(すずしろ)」のことで、七草がゆを食するようになったのは室町時代以降のようです。(平安時代などいろんな説があるようですが・・・)

七草がゆをいただくと無病息災で一年を過ごせるという言い伝えがあります。また、おせち料理で疲れた胃を休め、野菜が乏しい冬場に不足しがちな栄養素を補うという効能もあるようです。

七草の効能(説も含めて)としては、
  • 芹(せり) 解毒・食欲増進・神経痛・リウマチ
  • 薺(なずな) 高血圧・貧血・食欲増進
  • 御形(ごぎょう) せき止め・痰きり・利尿作用
  • 繁縷(はこべら) 歯槽膿漏・催乳・健胃整腸
  • 仏の座(ほとけのざ) 体質改善
  • 菘(すずな) 骨粗鬆症・腸内環境改善
  • 蘿蔔(すずしろ) 骨粗鬆症・腸内環境改善 などがあるようです。

最近では、七草(がゆ)セットなるものが、スーパーなどに置いてあるようですので、是非召し上がって日本の四季を感じてみてはいかがでしょうか。

2009年1月6日火曜日

国立大学の組織等の見直し議論がスタート

文部科学省は、昨年12月25日(木曜日)に全国の国立大学長を召集し、第1期中期目標期間の終了を約1年半後に控え、国立大学法人法の規定に従い、国立大学法人の組織の在り方等についての議論を開始することを示しました。

これは、文部科学大臣は、「国立大学法人法第35条において準用する独立行政法人通則法第35条」において、国立大学法人の中期目標期間終了時に、業務を継続させる必要性、組織の在り方その他の組織及び業務の全般にわたる検討を行い、所要の措置を講じるものとされていること、また、その検討を行うに当たっては、国立大学法人評価委員会の意見を聞かなければならないこととされていることを受け、国立大学法人評価委員会にワーキンググループを設け、専門的な観点から検討を行うこととしているものです。

会議当日に文部科学省が配付した資料によれば、ワーキンググループの構成員は、委員として、荒川正明(新潟県健康づくり・スポーツ医科学センター長、新潟県福祉保健部・病院局参与)、飯吉厚夫(中部大学総長)、拓植綾夫(芝浦工業大学長)、寺島実郎(株式会社三井物産戦略研究所所長、財団法人日本総合研究所理事長)、宮内忍(宮内公認会計士事務所所長)の5氏が、専門委員として、牟田泰三氏(福山大学長)が選任されているようです。

また、検討事項(案)として示されている事項は、1)組織の見直しに関する事項、2)業務全般の見直しに関する事項(大学の教育研究等の質の向上に関する事項、業務運営の改善及び効率化に関する事項、財務内容の改善に関する事項、自己点検・評価及び当該状況に係る情報の提供に関する事項、その他業務運営に関する重要な事項等)となっています。(これらは、現行の中期目標・中期計画の事項と同じなので、具体的な検討項目はこれから決まってくるのではないかと思われます。)

国立大学法人の中期目標期間における評価結果は、まもなく原案が決定され、各大学への提示・意義申し立てを経て確定することになっています。各年度評価では行われなかった「教育・研究」の評価結果がはじめて公にされること、また、評価結果は、平成22年度以降の運営費交付金の算定に反映されることになっており、上記国立大学の組織の在り方等の議論と相まって、各大学は、期待と不安とともに、今後の不透明な先行きに悶々とした日々を送ることになりそうです。

(参考)中期目標期間終了時に文部科学大臣が行う「所要の措置」に関する国会答弁

御指摘の国立大学法人法案で準用しております独立行政法人通則法第35条に言います「所要の措置」といたしましては、一般的には当該法人の廃止あるいは組織の見直し等が含まれるものとされているところでございます。

しかしながら、国立大学法人につきましては、法案第3条に規定された教育研究の特性への配慮義務などを踏まえまして、中期目標期間の終了時における検討結果につきましては、まず各国立大学法人においてこれをしっかりと受け止めて、次期中期目標期間における大学運営に責任を持って反映させることが大前提となっているところであります。

また、効率的な運営といいますものは国立大学法人にとっても重要であるわけですが、例えば学内の教育研究組織の編制などについて、業績評価と関係なく機械的にスリム化を図るというようなことはしない考えでございます。(平成15.7.8 参議院文教科学委員会 遠山敦子文部科学大臣発言)

出典:国立大学法人法コンメンタール(国立大学法人法制研究会)

2009年1月5日月曜日

目標を達成できると信じる / 常に最善を尽くす

「派遣切り」「派遣村」。今年の新語・流行語大賞の候補に上りそうな言葉が早くも生まれています。

日比谷公園(東京都千代田区)に昨年末出現した「年越し派遣村」が5日朝に閉鎖されました。村には約500人の労働者が宿泊していましたが、5日朝から、都内4か所に用意された旧学校施設などへの引越作業が始まったそうです。

元派遣社員など仕事や家を失った皆さんの心中は察するに余りありますが、これからが勝負。希望と夢を失わず、1日も早い暮らしの再建を祈っています。

これらの方々の中にこの日記を見る機会のある人はおそらく皆無であることを承知しつつ、「成長の法則」 (ジェフ ケラー 著)の中から、2つの言葉をお贈りしたいと思います。
 

目標を達成できると信じる

目標がなかなか達成できないとき、どうすれば希望を持つことができるだろうか。それにはふたつの選択肢がある。ひとつは、楽観的になって、自分は必ず目標を達成できると信じること。もうひとつは、悲観的になって、自分には目標は達成できないと思い込むことだ。

成功者はみな、自分の抱いている思考が結果を決定すると言っている。ポジティブな思考を抱けば、ポジティブな結果をもたらす。時間はかかるかもしれないが、いつかは必ず成功する。それに対し、ネガティブな思考は遅かれ早かれネガティブな結果をもたらす。要するに、人生では、予想しているものを手にするということだ。

もちろん思考だけで結果がもたらされるわけではない。自分が何かを成し遂げることができると確信すれば、いかなる困難があろうとそれを乗り越えようという気になる。ポジティブな思考はポジティブな行動につながるのだ。

それに対しネガティブな思考はポジティブな行動につながらず、すぐにあきらめてしまいやすい。イギリスの名宰相ベンジャミン・ディズレーリが言っているとおりだ。

「行動が必ずしも幸福をもたらすとはかぎらないが、行動のないところに幸福はない」

ほとんどの場合、悲観的になると悪い結果をもたらす。したがって、悲観的になることは百害あって一利なしである。たとえば、景気がどうであろうと、お金を稼いでいる人は必ずいる。成功している人は、人生と仕事にポジティブな見通しを持っているのが特徴なのだ。


常に最善を尽くす

最善を尽くさないときに最も被害をこうむるのは、ほかならぬあなた自身だ。人間は習慣の生き物である。人を二種類に分けると、最善を尽くそうと努力する習慣が身についているか、何をするにもいい加減に済ませてしまうことが習慣になっているか、どちらかだ。

いずれにせよ、習慣はそう簡単には変えることはできない。今日は手抜きをしても「明日は最善を尽くせばいいと考えるのは甘い。そんなことはできないのである。最善を尽くすのは常に今日であるべきなのだ。

安定した仕事を探し求める人がいる。間違えてはいけない。安定した仕事などというものはない。仕事が安定するかどうかは、あなたの姿勢しだいである。仕事を安定させるカギは、卓越した業績をあげ、スキルを伸ばし続けられるかどうかにかかっている。それに加えポジティブな姿勢と協調性があれば、周囲から高い評価を得られるだろう。

たとえ最善を尽くして働いても、生涯同じ会社で働けるという保障はない。しかし、最善を尽くすことによって、あなた自身が成長することを忘れてはいけない。あなた自身が確固たるスキルを身につけていれば、どういう状況におかれても不安はない。あなたの能力と情熱を評価してくれる環境を必ず見つけることができるはずだ。



ディスカヴァー・トゥエンティワン
発売日:2006-06-15

2009年1月4日日曜日

高等教育政策の動向

中央教育審議会(山崎正和会長)は、昨年12月24日に開催された総会において、「学士課程教育の構築に向けて」と題した答申を塩谷文部科学大臣に提出しました。

また同時に、「高等専門学校教育の充実について」と題する答申を提出されるとともに、塩谷文部科学大臣から、「今後の学校におけるキャリア教育・職業教育の在り方について」の検討が新たに中教審に諮問されました。

答申:学士課程教育の構築に向けて

本文、概要等(文部科学省ホームページ)
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo0/toushin/1217067.htm

答申に関し各紙は次のようにコメントしています。

大学生の学習目標「学士力」規定を 中教審が答申(2008年12月24日 朝日新聞) 

答申は、「大学全入時代」が迫る中、日本の大学が与える学位(学士)の質を保ち、国際的な通用性を高めることが狙い。1)知識・理解、2)汎用的技能、3)態度・志向性、4)統合的な学習経験と創造的思考力の4分野で、コミュニケーションの能力や自己管理力など計13項目を学士力の指針として列挙。大学には、学位の授与を厳格化し、水準を確保していくことなどを求めた。
大学入試をめぐっては、推薦入試や、面接などを重視して選抜するAO入試が広がり、学生の学力不足を指摘する声が強まっている。今回の答申では、大学の入り口段階での対応策として、高校段階でどれだけ学力が身についているかを客観的に把握するための「高大接続テスト(仮称)」の検討も進めるよう提言した。
《全文》http://www.asahi.com/national/update/1224/TKY200812240076.html

「学士力」 卒業認定を厳しくしたい(2008年12月25日 産経新聞)

かつて「学士」といえば高い教養と専門性が尊敬された。学士という言葉自体、死語のようになり、さらに大学全入時代を迎えて学生の質が急速に低下した。
受験勉強で疲れ入学後は勉強しない。授業に出なくても簡単に優やAの成績が取れる。日本の大学にはこんなイメージが根強い。実際、学生の学習時間は授業を含めても1日平均でたった3時間半という調査結果もある。
米国の大学のような厳しい卒業認定は、中教審などで過去にも提言された。文科省は大学設置基準を改正するなどし、講義のやり方など教育方法改善や成績評価基準の明示などを促している。
教育内容の改革に取り組む大学は多い。しかし、成績の悪い学生に厳しく退学勧告するような大学はごく一部だ。
答申では、取得単位の成績の平均が基準に満たないと落第する米国型の「GPA(グレード・ポイント・アベレージ)」の導入など厳しい成績評価方法を例示している。こうした評価法を実際に導入している大学もある。改革を怠れば大学間の差は開くばかりだ。
学力試験なしで入れるような推薦入試などにも見直しを求めている。大学入試は小、中、高校の教育への影響が大きい。大学の教育方針と関連させた入試方法の改善が重要だ。
大学をめぐる環境は厳しさを増している。就職活動は年々早まり、景気悪化のなか、大学の就職課は1年生から学生に発破をかけている状況だ。就職支援も確かに重要だが、企業側は就職活動のテクニックの上手な学生を求めているわけではない。
答申は大学には「目先の学生確保」が優先される傾向があるとクギを刺した。変化する時代には基礎をしっかり持った資質が必須だ。学部教育が本来の役割を果たすよう見直すときである。
《全文》http://sankei.jp.msn.com/life/education/081225/edc0812250334000-n1.htm

答申:高等専門学校教育の充実について

本文、概要等(文部科学省ホームページ)
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo0/toushin/1217069.htm

諮問:今後の学校におけるキャリア教育・職業教育の在り方について

諮問理由

産業構造の変化や雇用の多様化・流動化、様々な分野での国際競争の激化、少子高齢化の進行など、社会全体が大きく変化するなか、学校には、社会人・職業人として自立した人材の育成が強く求められている。
一方で、フリーター・若年無業者や、新卒者の早期離職が問題となるなど、学校から社会・職業への移行が必ずしも円滑に行われていない状況も見られる。
このような状況に鑑み、平成18年に改正された教育基本法においては、教育の目標の一つとして、「職業及び生活との関連を重視し、勤労を重んずる態度を養うこと」が規定され、本年7月に閣議決定された教育振興基本計画においても、「特に重点的に取り組むべき事項」として「キャリア教育・職業教育の推進」が挙げられたところである。
これらを踏まえ、今後の学校におけるキャリア教育・職業教育の在り方について、中長期的展望に立ち、総合的な視野の下、検討を行う必要がある。

諮問理由説明(文部科学省ホームページ)
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo0/toushin/1217075.htm

諮問に関し各紙は次のようにコメントしています。

キャリア教育を諮問、ニート対策に 文科相(2008年12月24日 産経新聞)

非正規雇用の増加など、就業をめぐる社会構造が変化する中、就職して3年以内に離職してしまう若者は、中卒者で約7割、高卒者で約5割、大卒者で約4割にのぼっている。また、フリーターの若者は180万人を超え、ニートも60万人を上回っており、不安定な就業形態や勤労離れが社会問題化している。
中教審では今後、高校や大学での職業体験やインターンシップなど、社会人へのスムーズな移行に向けた対策のほか、多様化する生徒のニーズに応じた職業教育のあり方などを、小、中学生から高校生、大学生まで幅広く検討する見込み。
《全文》http://sankei.jp.msn.com:80/life/education/081224/edc0812241322008-n1.htm


今後の学校における体系的なキャリア教育の在り方を考える (2009年1月2日 KKSブログ)

社会が複雑化、多様化する中、経済のサービス化、終身雇用・年功型賃金・新卒一括採用といった雇用慣行の変化、非正規雇用の増加、企業における職業教育訓練の縮小など、我が国の産業構造・就業構造は大きく変化してきています。
このような中、学生・生徒等の職業に関する興味・関心や進路も多様化するとともに、約181万人のフリーター、約62万人の若年無業者の存在や、新卒者の早期離職(就業後3年以内の離職者が中学校卒業者で約7割、高等学校卒業者で約5割、大学等卒業者で約4割)が問題になるなど、学生・生徒の社会・職業への移行が円滑に行われていない状況が見られます。
内定取り消しなどの暗いニュースが多い現今だからこそ、子どもたちに少しでも夢や希望を与えられるようなキャリア教育を一刻も早くおこなう必要があるのではないでしょうか。中央教育審議会から出る結論が現場にきちんと反映されて良い体制が発足されると良いですね。
《全文》http://www.kknews.co.jp/wb/archives/2009/01/post_2592.html

2009年1月3日土曜日

日々是好日(にちにちこれこうじつ)

あけましておめでとうございます。 今年も皆様にとりまして佳き年でありますようお祈り申し上げます。 元旦は、日本海側など雪の年明けになった地域もあるようですが、私の帰省先でも朝方雪がちらつく大変寒い一日でした。幸い写真のように雲の隙間から美しい初日の出を見ることができました。 今年の干支は「丑」、まずは、朝日新聞のコラムを2つ(抜粋)ご紹介します。




天声人語(2009年1月3日 朝日新聞)
届いた年賀状には、丑(うし)年のせいか、「ゆったり」「マイペース」などを誓うひと言が目についた。せかせか、いらいら。現代人の性急さから牛は遠い。悠々と動ぜぬたたずまいが、とりわけ今は共感を呼ぶのかもしれない。
暮れの紙面に、本紙との記者交流で来日したニュージーランド紙のレベッカ・パーマーさんが書いていた。東京で暮らした3カ月の間に、待つことがずいぶん苦手になったそうだ。「便利さや快適さ、効率などへの期待がずっと増した。要するに、私はベストなものを今すぐほしがるようになった」。日本社会の魔法だろう。
〈吾々(われわれ)はとかく馬になりたがるが、牛には中々なり切れない〉。あの夏目漱石の言葉を反芻(はんすう)しながら、元日の朝、牛歩の価値に思いをはせてみた。

青鉛筆(2009年1月3日 朝日新聞)
佐賀市の県立佐賀城本丸歴史館で2日、新春恒例の「大筆書き」が披露された。6畳ほどの大きさの色紙に向かうこと約30分。牛と富士山を描き、「猛一寸(もうちょっと) モー一歩の 富士廼(の)山」と寄せると、筆づかいに見入っていた人たちから拍手が送られた。
「猛スピードとは無縁の牛のようなしっかりした足取りで、富士山のような高い目標へと歩んで」と富永さん。不況に苦しむ日本経済も好景気への高みへと登れるか。」

天声人語に引用されていた「吾々はとかく馬になりたがるが、牛には中々なり切れない」という夏目漱石の言葉。有名な言葉のようですが、これは、50歳の漱石が20歳半ばの芥川龍之介・久米正雄に宛てた手紙の中で、「無暗にあせつてはいけない。ただ牛のように図々しく進んで行くことが大切である」ことを牛に例え諭した言葉だそうです。

大正5年(1916年)8月24日
この手紙をもう一本君らに上げます。君らの手紙があまりに溌溂としているので、無精の僕ももう一度君らに向かって何かいいたくなったのです。いわば君らの若々しい青春の気が、老人の僕を若返らせたのです。(中略)
牛になる事はどうしても必要です、吾々(われわれ)はとかく馬になりたがるが、牛には中々なりきれないです。
僕のような老猾なものでも、只今(ただいま)牛と馬とつがって孕め(はら)める事ある相(あい)の子位な程度です。
あせっては不可(いけ)ません。頭を悪くしては不可せん。根気づくでお出でなさい。
世の中は根気の前に頭を下げる事を知っていますが、火花の前にには一瞬の記憶しか与えて呉れません。
うんうん死ぬ迄押すのです。それ丈(だけ)です。
決して相手を拵(こし)らへてそれを押しちゃ不可せん。
相手はいくらでも後から後からと出て来ます。そうして我々を悩ませます。
牛は超然として押して行くのです。
何を押すかと聞くなら申します。
人間を押すのです。文士を押すのではありません。

私がいただいた年賀状の中に同様のことを書かれた方がいらっしゃいました。2年前退職された私の上司でおられた方の言葉です。

職を辞して早2年、生まれ故郷の田舎の生活にも慣れ、煙草もやめ、ゴルフ・麻雀・スナックなどは死語となりつつあります。(健康にはグ~ですが刺激もない)
今日の厳しい政治経済の環境と現職の人のことを思うと複雑な心境にもなります。
「牛の歩みも千里」の例え*1に倣い一歩いっぽ前に進むのみです。

現役を退かれても、ポジティブに、謙虚に自分の人生を捉え一歩づつ進んでいこうという真摯な姿勢は見習わなければなりません。今は老いてしまった小学校時代の恩師の年賀状にも考えさせられました。

シルバーマークの歳を迎えます。
その重みを宝に背伸びすることなく、「日々是好日」*2をモットーに生きていきます。

暮らし、仕事、あらゆる分野でスピードや効率が求められ、時間に追われ自分を見失ってしまいがちな時代には大変難しいことではありますが、そういう時代だからこそ、何事もポジティブに、愚直に、ひたむきにこつこつと自分の目標に向かって一歩一歩進むことが最も大切であることを心に刻んでおくことが必要なのだろうと思います。私の新年もそういう生き方を目指していきたいと思います。


*1:牛の歩みも千里:たとえ牛のように歩みが遅くても、こつこつ努力を続けていればやがては大きな成果を得られるものだ、というたとえ。

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