2009年10月14日水曜日

信頼を公益に結びつける

自分にとっての生きがいを考えるとき、”他人の役に立つ”ことに、自分の存在価値を見出したいと思っている人は多いのではないでしょうか。

人には様々な夢や生きがいがありますが、自己実現をめざして前向きに生きていく人は、利己的な人間社会を排し、人々の真の平等と幸福を求め行動しているような気がします。

いい記事を目にしましたのでご紹介します。「信頼」とは何か、「公益」とは何か、一度は考えてみることも必要なのかもしれません。


「信頼」を広げる

モノやサービスの恩恵を受ける有形の経済が発展し尽くしたものの、人間は果たして幸せになったか。むしろ、その奥に真の幸福の別の形があるように思う人が増えていないだろうか。

有形の正反対、すなわち無形の資産。その核心となる部分に「信頼」がある。これを社会的な事業として広げる取り組みが始まった。環境コンサルタントのアミタ(東京)を経営する熊野英介さんが個人的に資金を出して公益法人「信頼資本財団」を作った。

信頼は、手で触って確かめられるものではない。例えば良質な関係性に包まれている「安心感」、「心の平穏」が保たれている状態、あるいは人間の卓越した性質、偉さ、勇気や胆力、包容力、優しさや思いやりなどもろもろの要素の複合体、と言えるかも知れない。

財団は、信頼のかけらとして、多くの人から寄付を継続的に集め、それを元手に社会に必要な事業を行う。

例えば、1万の人の輪から月々各200円を5年にわたり寄付してもらう約束を取り付ける。いずれ1億2千万円が集まる計算なので、同じ額をすぐ調達して託児所を建てる、といったことだ。

「こういう人の輪づくりこそが『信頼の可視化』につながる」と熊野さんは言う。いわば、人間性の一番発揮されにくい部分をお互いに結びつけ、社会の安全網など「強さ」を築く挑戦だ。

実際の事業アイデアはこれから募る。妙案が集まってほしい。(2009年10月5日 朝日新聞夕刊 論説委員室から)