2010年1月30日土曜日

子どもの貧困撲滅プロジェクト

先日、ブレーンヒューマニティーというNPO(兵庫県西宮市)が、街頭募金活動によって得た資金を基に、生活保護世帯の子どもに、塾や予備校などで使えるクーポンを提供するという学習支援活動を始めたという記事を目にしました。日本初の試みのようですが、不況に苦しむ家庭を助けるとてもいい活動ではないかと思いますし、今後注目していきたいと思います。

子どもの貧困撲滅プロジェクト Chance for Children

2010年1月29日金曜日

地道に努力する

多くの人は地道に努力を重ねるのをいやがる。そして、すぐに欲求を満たそうとする傾向がある。

これは時代の風潮かもしれない。しかし、楽をして金儲けをしようという誘惑に決して引っかかってはいけない。たとえば、「○○の株に投資すれば確実に儲かる」といった話に乗るのは、あまりにも危険だ。

「一夜にして成功するには十年かかる」という格言がある。場合によっては、それ以上かかることもある。マクドナルドの創業者レイ・クロックはこう語っている。「私は一夜にして成功をおさめたと思われているが、その一夜というのは三十年だ。思えば長い長い夜だった」

多くの実業家は、成功して大金を儲けるようになるまでに、何年も低賃金で働きながら努力を積み重ねているものだ。ビル・ゲイツにしても、すぐに大富豪になったわけではない。

財を成した人のほとんどは、自分を信じ、努力を重ね、規律を守り、障害を乗り越えた結果として金持ちになったのだ。


ディスカヴァー・トゥエンティワン
発売日:2006-06-15

2010年1月28日木曜日

国立大学法人への市場化テストの導入・第1弾

「市場化テスト」という言葉を耳にされた方は多いのではないかと思います。

このたび、国立大学協会から各国立大学宛、「内閣府の官民競争入札等監理委員会公共サービス改革小委員会国立大学法人分科会において、平成22年6月の公共サービス改革基本方針の改定に向け、国立大学法人の事務(施設の管理運営業務・図書館業務)を公共サービス見直しの対象業務として検討が進められている」旨の情報提供がありました。

具体的には、上記分科会において、首都圏7大学(東京大学、東京医科歯科大学、東京学芸大学、東京工業大学、お茶の水女子大学、一橋大学、政策研究大学院大学)から当該業務内容についてヒアリングを実施し、改善の取組み状況等に関する議論を行うことになっているとのこと。また、全国立大学法人に対し、施設管理運営業務及び図書館業務の民間委託に関するアンケート調査を実施し、同分科会の評価結果に反映するとの情報もあるようです。

この市場化テスト、個人的には以前から興味があり、国立大学経営の効率化・合理化に資する導入価値の高い制度ではないかと思っています。既に自治体では積極的に導入されているところもありますし、教育・研究という業務の特性に配慮しなければならないといった国会の付帯決議などを踏まえつつも、管理的な業務・運営に関しては導入に向けて前向きに検討してもいいのではと思っています。


この国立大学に関する市場化テストの概要について、国立大学協会から提供された資料の中から抜粋してご紹介します。

1 市場化テストとは


「市場化テスト」は、「民でできるものは民へ」の具体化や公共サービスの質の維持向上・経費の削減等を図るためのツールであり、官の世界に競争原理を導入し、官における仕事の流れや公共サービスの提供の在り方を変えるもの。具体的には、「官」と「民」が対等な立場で競争入札に参加し、価格・質の両面で最も優れた者が、そのサービスの提供を担っていくこととする制度。平成18年6月に「競争の導入による公共サービスの改革に関する法律(以下、「市場化テスト法」という。)」が制定され、制度開始。担当は内閣府官民競争入札等監理委員会事務局及び公共サービス改革推進室。

(参考)内閣府HP「市場化テストとは」

2 競争の導入による公共サービスの改革に関する法律制定の経緯


市場化テスト法においては、対象となる行政機関の範囲を第2条で規定しており、国立大学法人・大学共同利用機関法人についても、その対象となっている。そのため、公共サービス改革基本方針において官民競争入札及び民間競争入札の対象として選定された公共サービスについて、官民競争入札実施要項を定めることが義務付けられている。しかしながら、国立大学法人については、国会の附帯決議において、その特性に鑑み、市場化テストの適用について、慎重かつ適切に対応することとされている。

(参考)国会附帯決議
  • 国立大学法人、文化芸術や科学技術については、独立行政法人とは別途の国立大学法人制度を創設した趣旨、長期的かつ継続的な観点に立った対応の重要性などを踏まえ、それぞれの業務の特性に配慮し、本法の規定する手続に従い、慎重かつ適切に対応すること。(競争の導入による公共サービスの改革に関する法律国会附帯決議(平成18年4月19日 衆・行政改革に関する特別委員会))

  • 国立大学法人については独立行政法人制度と別途の制度を創設した趣旨を、文化芸術や科学技術の振興については長期的かつ継続的な観点に立った対応が重要であることをそれぞれ踏まえ、各業務の特性に配慮し、本法に規定する手続に従いつつ、慎重かつ適切に対応すること。(競争の導入による公共サービスの改革に関する法律国会附帯決議(平成18年5月25日 参・行政改革に関する特別委員会))

3 官民競争入札等監理委員会の概要


市場化テスト法では、内閣府に第三者委員会として官民競争入札等監理委員会を設置することとされており、監理委員会は、1)公共サービス改革基本方針の案の審議、2)官民競争入札実施要項等の審議、3)官民競争入札の落札者の決定に係る評価の審議、4)これらの事務等にかかる報告の徴収、勧告等を行うこととされている。

官民競争入札等監理委員会にはテーマに応じて委員会や分科会が置かれており、市場化テストの対象を議論するものとして公共サービス改革小委員会が置かれて、その中に国立大学法人分科会が平成20年7月に設置されている。本分科会における検討の一環として、内閣府において、各国立大学法人に、アウトソーシング実施状況等調査を行うとともに、アウトソーシング先進事例調査を昨年実施。

(参考)第1回国立大学法人分科会(平成20年7月28日)の配布資料

4 公共サービス改革基本方針と国立大学に関する記述


平成20年7月からの国立大学法人分科会における議論を踏まえ、平成21年6月に公共サービス改革基本方針が改定されており、国立大学についても以下のような記述が盛り込まれ、各国立大学法人等において、民間活用の一層の推進を検討することとされている。

(参考)公共サービス改革基本方針(別表)(平成21年7月10日閣議決定)
  • 国立大学法人については独立行政法人制度と別途の制度を創設した趣旨を踏まえ、業務の特性に配慮しつつ、経営効率化の観点から、既に他の国の行政機関等において官民競争入札等の対象とされ、質の維持向上及び経費の削減が期待される施設の管理・運営業務、内部管理業務、試験実施業務、医業未収金の徴収業務等について、官民競争入札等を含む民間活用の一層の推進を検討する。

  • 国立大学法人については独立行政法人制度と別途の制度を創設した趣旨、文化芸術や科学技術については長期的かつ継続的な観点に立った対応が重要であることを踏まえ、各業務の特性に配慮し、法に規定する手続に従い、慎重かつ適切に対応する。

5 高等教育関係における市場化テストの導入状況


高等教育関係では、これまでに日本学生支援機構の兵庫国際交流会館の管理・運営業務(平成21年12月)、大阪第二国際交流会館の管理運営業務(平成20年11月)、広島国際交流会館及び東京国際交流館プラザ平成の管理運営業務(平成19年12月)、大学入試センターの大学入試センター試験の出願受付業務・成績開示業務(平成21年4月)について民間競争入札を実施している。

6 今後のスケジュール


公共サービス改革基本方針については、毎年6、7月を目処に改定を行っており、新政権発足後初めての官民競争入札等監理委員会において、行政刷新担当大臣の指示で11の項目について公共サービスの見直しを本格的に進めることとされており、その中に国立大学法人施設の管理運営と国立大学法人の事務が盛り込まれている。

内閣府官民競争入札等監理委員会事務局としては、これを踏まえ、国立大学法人関係の議論の進め方を文部科学省に提示してきており、それによると、首都圏7大学については国立大学法人分科会の場において施設等管理運営の実態と図書館業務の実態等についてヒアリングを行うとともに、他の国立大学に対して同様のアンケートを実施し、市場化テストの対象業務を議論し、本年6月(予定)の公共サービス改革基本方針の改定に向けて作業を行っていくとのこと。

(参考)公共サービスの見直しの進め方(仙谷大臣配布資料)(第55回監理委員会(平成21年12月10日開催)配布資料)

(参考)第56回官民競争入札等監理委員会配布資料

7 まとめ


各大学の判断において対象業務を民間企業等に委託する場合と、市場化テストの対象にする場合の違いについては、第三者に委託するということでは違いはないが、市場化テストについては、1)市場化テスト法で業務の落札者に守秘義務やみなし公務員規定が課せられること、2)実施中の監督、実施後の評価などの仕組みにより実施業務の質を確保できること、3)官民競争入札等監理委員会の専門的見地からのレビューやアドバイスにより多面的に実施方法を検討できること等が考えられる。

ただし、これまで各大学の判断において対象業務を民間企業等に委託する場合に比べ、市場化テスト法(競争の導入による公共サービスの改革に関する法律)に則り実施する場合は、次の点が大きく異なる。

1)仕様書等入札に係る業務について、官民競争入札等監理委員会が審査
  • 他機関の実績(審査期間3ヵ月、業務内容の選定から業務開始まで約1年)を踏まえると業務開始までに時間を要すことが予想される。

  • 当該業務の仕様等については、官民競争入札等監理委員会による審査を受けることとなり、大学のマネジメントへの影響が懸念される。
2)業務開始後、業務実施中の監督や実施後の当該業務の必要性等を官民競争入札等監理委員会が評価
  • 業務実施による監督・評価のため、報告等を求められることとなる。

  • 市場化テストによる当該業務実施期間終了後、官民競争入札等監理委員会により、当該業務の必要性等について再評価を受けることとなる。なお、その評価結果を基にして他大学へ市場化テストの結果を促すことも考えられる。

以上のことから、市場化テストの導入の検討にあたっては、多面的な角度から判断することが求められる。

なお、現在、各大学の判断において民間企業等に委託している業務についても、市場化テストの手順を参考に、外部等の有識者からの意見を取り入れるなどして適時適切に見直しを行い、実施することが望まれる。

2010年1月27日水曜日

自分の大学の歴史を知る

私立大学に勤める事務職員と国立大学に勤める事務職員との違い、私のつたない経験から申し上げれば、同じ大学事務職員でも様々な意味で違いがあるように思えます。その代表的なものに「帰属意識」があるのではないでしょうか。

これまで、機会を捉えていろんなSD・FDセミナーに参加し、有識者や経験者の方々のお話を聞いてきましたが、そういった活動の中心となっているのは、ほとんどが私立大学の事務職員の方々です。

何がそうさせているのか、なぜそうなっているのか、一概に断定することはできませんが、私が思うには、私立大学の事務職員には、「建学の精神」という崇高な理念の下に、教育研究はもとより大学経営を担っているという責任感と自負心があり、日々大学や学生のために緊張感を持って懸命に自らのキャリアアップを目指した努力を重ねているという姿があります。

一方、国立大学の事務職員は、親方日の丸の庇護の下、努力してもしなくてもなんら変化の無いモチベーションの低い職場で相変わらず役人仕事に追われているという姿。(やや誇張であり、もちろん全ての国立大学事務職員がそうではありませんが)

したがって、当然ながら、知識・経験・能力、そして活力面において格段に差が開いているということではないでしょうか。

以前から感じていたことですが、国立大学には、自分の勤める大学、生活の糧である職場がどのような成り立ちで、どのような歴史を辿ってきたのか、独自の文化や特色はどういったものかなどについて知らない、もっと言えば無関心な事務職員が多すぎるような気がします。これは教員にも当てはまることです。

大学には、その大学を紹介するパンフレットが用意され、その中に必ずといっていいほど「大学の沿革」が書かれてあります。この沿革が頭の中に入っている、説明できる事務職員は、残念ながらほとんどいないといっても過言ではありません。(企業の方には不思議に思えるかもしれませんが)

長い間、文部科学省に附属する行政組織(国の出先機関)として生きてきた、身分は公務員、大学が潰れるといったことを全く考える必要がなかった国立大学の事務職員も、6年前の法人化によって、大学の経営に責任を持たなければならない立場に立たされました。その自覚と自分の大学を愛する心=帰属意識を持つことが今最も求められているように思います。

今、明治大学(東京都千代田区)で、約60の国立、私立大などから創設当時の校舎の写真や設立趣意書、制服など111点を集め、日本の各大学が幕末から現代まで、どんな時代を背負って生まれてきたかをたどる全国大学史展「日本の大学-その設立と社会-」が開催されているそうです(2月14日まで無休。無料)。主催者によれば、こういった「大学横断の歴史展」は初めてだそうですし、「大学の在り方が問われる今、その原点を見つめなおす機会」になればとの期待にも応え得る素晴らしい成果を収めることでしょう。

大学によっては、大学の位置する地域の名前を冠した「○○学」といった講座を開設し、学生や地域社会の方々へ提供しているところもありますし、高等教育学の一つとして当該大学の歴史を研究されている大学もあります。

これからは、日本の大学、あるいは自大学の歴史・伝統・文化について学ぶ機会を、事務職員研修のメニューとして位置づけ、大学という組織の一員としての帰属意識を高める取り組みを進めていくことも大事になっていくような気がします。

2010年1月26日火曜日

本土のための民主主義

沖縄県名護市長選で米軍普天間飛行場受け入れ反対派の候補が当選しました。

にもかかわらず、鳩山首相は、「ゼロベースで最適なものを選びたいので、あらゆる可能性がまだ含まれている」「(市長選の結果は)それはそれとして、一つの意思だと受け止める」と発言。平野博文官房長官は、「(名護市の選挙結果を)しんしゃくしなければならない理由はない」と発言。

マニフェストを掲げて大勝したことを「民意」だと語る民主党。沖縄の「民意」は切捨てなのでしょうか・・・。

天声人語(2010年1月26日 朝日新聞)

記者を続けていると、取材相手のはっとする言葉に出合うことがある。「民主主義はもうこりごりだ」は忘れがたい。コザ市(いまの沖縄市)の元市長で10年ほど前に97歳で亡くなった大山朝常(ちょうじょう)さんが、絞り出すような声で言った。

元教育者だった。沖縄戦で息子2人、娘1人、母と兄を失った。戦後は政治家として「基地はいらない」と訴え続けた。ところが減りもしない。本土による、本土のための民主主義が苦難を島に押しつけている。日本政府への深い失望が、「こりごり」の一語には込められていた。

そんな基地のひとつ普天間飛行場をめぐって、名護市の民意は移設への異議を申し立てた。市長選で、移設に反対する稲嶺進氏が現職を破った。結果は重い。政府が軽んずれば、「本土のための民主主義」が繰り返されることになろう。

心配なのは鳩山首相の腹のすわり具合だ。戻る橋を焼かれたとも言われる。風見鶏を決め込んでいて青くなったかもしれない。いずれにせよ数カ月で政治家としてのすべてが問われよう。もう「宇宙人」を言い訳にはできない。

戦争で壊滅し、戦後は基地の島になった故郷を「不沈母艦」にたとえて悲しんだのは詩人の山之口貘(ばく)だった。その密集ぶりは、米国防総省の元高官に「小さな籠(かご)に、あまりに多くの卵を入れている」と言わせもした。

「日本の安全保障じゃない。本土の安全保障のために基地がある」。そんな大山さんの声も耳の奥に残る。普天間という危うい卵をつまんで立ちつくす首相は、どこの籠に入れる心づもりなのか。

2010年1月25日月曜日

国立大2次試験と新型インフルエンザ

国立大2次試験の願書受付が今日から各大学で始まりました。締め切りは2月3日、前期日程試験が2月25日から、後期日程試験が3月12日以降に実施されることになっています。

さて、大学入試センター試験でも心配された新型インフルエンザですが、全国的に患者数が減少傾向にあることなどから、国立大学の中でも追試験を実施しない大学が出始めています。

また、去る1月21日(木曜日)、国立大学協会は各国立大学長宛に、「新型インフルエンザの流行状況等について」と題して、「新型インフルエンザのアセスメントに関するワーキング・グループ」(座長 濵口道成 名古屋大学長)が取りまとめたレポートを通知しました。

このレポートは、各大学が一般入試の特例措置の実施に当たって参考となるよう作成されたもののようですが、「直近の流行状況」としては、国立感染症研究所感染症情報センターの発表によると、2010年第1週(1月4日~1月10日)におけるインフルエンザの定点当たりの患者報告数は、前週(2009年第53週)の10.22から、9.18に減少しており、継続的に低下してきていること、また、そのピークは第48週にみられ、例年の季節性インフルエンザのピーク時のデータと同程度の数値を示していたこと。

次に、「前期・後期日程試験時期における流行状況等の予測」としては、直近の流行状況を総合的に勘案すると、前期・後期日程試験実施日における感染状況は、仮に季節性インフルエンザが流行した場合でも例年並みであると予測されること、また、南半球のように新型インフルエンザ流行により季節性インフルエンザの発症が抑制されれば、1月以降の当分の間のインフルエンザの流行は例年を越えない可能性も予測されること、しかしながら各大学においては、引き続き注視することが望まれること、などが主な内容となっています。

2010年1月23日土曜日

国立大学法人の在り方に対する意見募集

この日記ではここ数回、国立大学法人化の意味や国立大学法人の在り方に関する記事を書き、その中で、文部科学省が国立大学法人の在り方についての検証に着手することについてもご紹介しておりましたが、いよいよ正式に開始されるようです。

昨日、文部科学省のホームページに、「国立大学の在り方に対する意見募集」と題するパブリックコメント募集のページがアップされました。その趣旨は次のようなものです。

国立大学の法人化以降約6年が経過し、来年度から第2期中期目標期間を迎えます。
文部科学省では、引き続き、各国立大学法人が社会・地域の期待に応えつつ、継続的・安定的に教育研究を実施し、充実した学生支援を行っていくために、法人化後の教育研究活動、学内の人的・物的・財政的資源の配分、大学附属病院、大学附置研究所・研究センター等の現状分析を行い、国立大学法人化の検証を進めることとしています。
ついては、国立大学法人化の現状、成果、課題、今後改善すべき点等について、幅広く御意見をいただきたいと思います。

具体的には、次のような意見を募集するようです。
  1. 法人化後の教育研究活動の成果・課題
  2. ガバナンスに関する事項
    • 組織・運営に関する事項
    • 教職員に関する事項(人事関係含む)
    • 内部監査機能に関する事項
  3. 資源配分に関する事項
    • 学内の資源配分に関する事項
    • 自己資金調達に関する事項 等
提出期限は、平成22年3月末のようです。今後の国立大学法人の将来を占う大事なパブコメになるかもしれません。多くの方々の参画を期待したいと思います。

提出方法等の詳細は、文部科学省のホームページをご覧ください。
http://www.mext.go.jp/a_menu/koutou/houjin/1289380.htm

2010年1月22日金曜日

人に奉仕する

たしかにコネがあれば物事はスムーズに進みやすい。だが、特別なコネがなくても成功している人はたくさんいる。コネがないのを嘆いていてもしかたがない。自分のスキルを磨き、それをいかんなく発揮すれば、あなたは確実に成功するはずだ。その一方で、コッコッと人脈づぐりに励めばいいのである。

あなたが仕事やプライベートで出会う人はみな、あなたを支援してくれる可能性がある。これは大切なことだから、よく覚えておこう。

人脈づくりのカギは、相手への奉仕に専念することである。要するに、相手から受け取ることより、相手に与えることに意識を向ければいいのだ

相手に奉仕すれば、相手はあなたが支援を必要としているときに助けたいと思うようになる。あなたが受け取ることばかり考えているなら、人々はあなたを助けたいどは思わないだろう。

まず、相手に奉仕することを考えよう。そうすれば、いずれ相手から奉仕してもらえる。自分がした奉仕が自分に戻ってくるという意味で、これは「ブーメランの法則」と呼ばれている。


ディスカヴァー・トゥエンティワン
発売日:2006-06-15

2010年1月21日木曜日

大学事務組織改革の課題

大学の経営機能の強化にとって、事務職員の力量向上、その力量を遺憾なく発揮できるガバナンスシステムの改革は極めて重要です。参考になる論考が目にとまりましたので抜粋してご紹介します。

事務局体制構築の課題 職員の力量形成の調査を踏まえて(坂本孝徳 広島工業大学副総長・教授)


本稿は、私学高等教育研究所の「私大マネジメントの改革」プロジェクト研究の一環として日本私立大学協会加盟校を対象に今年度実施した「事務局職員の力量形成に関する調査」結果の素集計を踏まえ、事務局体制の構築についての課題と考えられる事項を概括的に取り纏め、本年度同協会事務局長相当者研修会で発表した内容の概要である。

事務局の役割と機能充実の課題

厳しい経営環境のなかにおける理事会の役割の重要課題は経営機能の強化であり、その一つとして明確な経営方針・指針としての中長期経営計画を提示することが求められる。そこでは、経営戦略や政策を決定するための情報の収集、調査活動に加え、それらを踏まえた経営計画や政策の立案、そして、経営計画や政策決定後の執行が事務職員により担われるのである。これらの実務を通して理事会を支援するのが事務局組織とその構成員である事務職員であり、そのためには事務職員の力量向上が喫緊の課題となるのである。

教職協働推進の課題

事務職員の行う運営業務の目的は、教育目標を達成するために教育研究の充実・向上を図ることに在ると言っても、決して過言ではない。そのためには、教育職員と協働して、事務職員と教育職員、運営と教学とが車の両輪となることが必要となる。教育改革を推進するに際して、事務職員の大多数は直接これらを支える業務を遂行しており、業務執行の場面での現実の問題や課題を踏まえ、改善に反映することが可能な立場にあるわけであるし、更に、事務職員の業務は常に運営と教学を統合せざるを得ない業務執行上の本質的特長を持っている。つまり、教育職員と協働してそれら改革の中心的役割の一端を担うのが事務職員であり、教職協働の推進が重要な課題となるのである。

IR機能導入の課題

事務局の「業務運営の現状評価」について見ると、目標や会議体に関する項目については概ね評価されている。しかし、IR機能・マーケティング・教育改革の推進などの企画的業務を推進する上での事項に関する評価は必ずしも高くはなく、今後の改善に向けた努力が期待される。なかでもIRについては、IR機能を業務運営のなかに導入することを検討することが課題となるであろう。特に、新たな経営課題を解決するための企画・立案においては、1)学生の教学データの収集・分析や教育改革に関するデータ・情報の収集・分析などの教育研究活動に関する調査研究、2)経営・管理上の情報の収集・分析や財政計画策定のためのデータの収集とシミュレーションなどの経営に関わる各種情報の収集と分析などに基づく、戦略的経営にIR機能は欠かせないものとなると考えられる。

体系的・総合的職員研修推進の課題

職員の研修に関する課題を挙げると体系的・総合的な研修が必要となると考えられる。そのためには、1)事務職員の在るべき姿としての人材養成像の設定、2)職務遂行基準等の具体化などによる事務職員の力量形成の体系化に基づく研修を実施、3)研修の体系化のなかで、学内研修と学外研修との関連性を持たす、4)学内・学外研修の効果には自ずと限界があるので、業務運営を遂行するなかでの育成(OJT)を推進、5)各種研修の成果、業務運営の成果については人事考課制度や目標管理制度を用いて評価、等に向けた努力が必要となる。

どの組織も「帰属意識」を強く持つ人によって支えられている。私大において、帰属意識の根底に置くべきものは「建学の精神」であり、それが抽象的なものならば具体的な可視化できるものにして「あるべき姿」として提示することが必要となる。そして、ただ単に、事務職員の力量の向上を求めるだけではなく、「帰属意識」を持った人材養成の在り方を考え、具現化することが肝要となろう。(アルカディア学報 No.383 日本私立大学協会)
http://www.shidaikyo.or.jp/riihe/research/arcadia/0383.html


日本私立大学協会は、このたびこの論考の執筆者である坂本氏を講師とした公開研究会を開催するようです。

日 時 平成22年2月19日(金)18:00-20:30
場 所 私学会館(アルカディア市ヶ谷)5階「大雪の間」
講 演
1 私立大学における戦略的経営-現状と課題
  両角 亜希子 氏(東京大学大学院教育学研究科専任講師)
2 経営政策支援組織としての事務局の構築と事務局職員の力量形成に関する課題
  坂本孝徳 氏(広島工業大学常務理事・副総長・教授)
  増田貴治 氏(愛知東邦大学理事・法人事務局長)
3 中長期計画に基づく私大マネジメントの改革
  篠田道夫 氏(日本福祉大学常任理事)

詳しくはこちらをどうぞ
http://www.shidaikyo.or.jp/riihe/kenkyukai/index.html

2010年1月20日水曜日

オピニオン 内館牧子氏

内館牧子さんといえば、日本相撲協会横綱審議委員会委員として横綱に苦言を呈するなど、はっきりものを言われる強烈なイメージがありますが、個人的にはとても魅力を感じる方です。この方の言われることってなぜかいちいち納得がいくんですよね。

このたび、国立大学協会の情報誌「JANU」で、内館さんの記事が目にとまりましたので、抜粋してご紹介します。


国立大学の学生は、恵まれた環境を自覚して、自分自身を徹底的に鍛え上げるべきです。

教える人を敬うことの大切き

いまの若い人たちは、とてもクールに大人を見ています。尊敬に値する人物か、そうではないか、冷静に、冷徹に見ています。「この人はすごい」と思えば、集中してしっかりと講義を聴く。そうでなければ、うわべはニコニコしていても、内心軽んじていますよ。

私は、教える側と学ぶ側が平等であるというのはあり得ないと思っています。教える側は、圧倒的な知識量や解釈の深さを持つべきでしょうね。そうすれば、学生は黙っていても畏敬の念を抱きます。そういう教授が教室に入ってくると、それだけで空気がピンと張りつめます。これは教える側の大前提で、そういう布陣でなければ、学問も教育も研究も成り立たないと思います。

教える内容をもっと高度に

「大学にもいろいろあって、二極化している」と、某私大の教授が言っていましたが、どんな大学であっても教える内容をもっと難しく高度にすべきだと思います。手取り足取りのサービスというのは、大学では一切必要ありません。突っぱねるところは、突っぱねればいいんですよ。

18歳人口が減って、緩くしないと学生が集まらないという事情もよく分かりますが、入口も中身も出口も緩くして、緩いままの学生が社会に出たとき、結局困るのは本人たちです。彼らが生きていく社会はどんどん厳しくなっているわけですから、いろいろな洗礼は大学生までのうちに受けておいたほうがいいんです。

社会に出て痛い目にあって、「このままじゃだめだ」と思ったら、学び直せばいい。いまは大学も社会へ広く門戸を開いていますから、大学に入り直す。大学院に行く。あるいは専門学校に通う。道筋はいろいろあります。自分で気づいたら、もう一度しっかりと勉強しなおすことが大切で、いまはそういうことが許される時代です。また、そうでなければ、国の力が衰えるのは目に見えている。

地方の大学で学ぶことの豊かき

大学相撲部の話ですが、「七大学相撲部対抗戦」というのがあります。旧七帝大の大会です。そのときに感じたのですが、地方の大学の学生たちって、なぜか意気揚々としている。不思議に思って、このことを東京大学を卒業された方たちの多い会合でお話したら、「それは地元の人たちが、その大学を愛し、誇りに思って、大事にしているからだよ。東京は大学が多いからそういうわけにはいかない」と言われて、目から鱗の落ちる思いでした。

事実、東北大学相撲部の学生たちは、仙台の人たちから大きな支援を受けています。お店でご飯を大盛りにしてもらったり、アルバイトに雇ってくれたり、大会のパンフレットにたくさん広告を出してくれたり。そこには心の通い合いもありますし、歴史に育まれた地域文化との交わりもあります。

国立大学は全国で86あるとのことですが、地方の大学で過ごすことには、東京では得られない豊かさ、視点の広がりを得られる。これは、卒業してからも、生きていく上での自分の背骨になると、確信を持って言えますね。

自分に見切りをつけるな

社会人学生になって気づいたのですが、今時の20代の若者でも、どこか自分に自信を持てないのは、私の若い頃と同じですね。まだスキルもない。将来への展望も見えない。表向きは多少突っ張っていても、心の中は不安で一杯。でもそういうときに、絶対に、自分に見切りをつけないことです。周囲の大人たちも、見切っちゃいけない。

どう生きていけばいいのか自信が持てないと、どうせ俺なんかとめげて、自分に見切りをつけたくなりがちですが、20代なんて自分に見切りをつけるような年代ではありません。その気になれば、何でもできます。先も長いですし、私はやりなおしは40代前半くらいまで効くと思う。早くから諦めるのはよくありません。シニシズム(冷笑主義)など、もってのほか。今は自信がなくても、人間は潜在的に持っているエネルギーがあるんですから、大丈夫。

私は、本来大学は、実業を教えるところではないと思っています。もちろん、専攻分野によっては技術的な知識の修得も必要でしょうが、本来は社会に出てすぐに役立つスキルを磨くところではないと思う。社会に出たら忙殺されてできないことを、腰を据えてじっくりと学んでほしいと思います。

恵まれている環境を自覚せよ

授業料にもびっくりしました。東北大学の場合、半期で26万円、年間で52万円でした。私は私大出身ですから、安さに驚きました。それで密度の濃い、素晴らしい授業をたっぷり聴けて、空いている時間は学部の授業にも出られる。ものすごく得をした気分になりました。でも学生たちは、それが当たり前だと思っていますね。

国立大学の学生は、税金を使わせてもらって、少ない自己負担で最高水準の教育を受けているのだということを、もっとしっかりと自覚するべきです。そうすれば、怠けたりさぽったりできないはずです。大学側もそのことを叩き込んだ方がいい。そういう恵まれた環境の中で、エリートを育てて頂きたいと思います。

私の言うエリートとは、一流の訓練を受けて鍛え上げられた、この国の未来を切り拓くたくましい人材という意味です。偏差値が高いだけの草食系ではない。知識の修得とともに、これからの世の中をまっとうに引っ張って行くリーダーの育成が、国立大学の基本的な使命ですよ。

若者は本をたくさん読み自分の意見をはっきりと

学生には、自分の専門領域以外の本を徹底的に読んでほしいと思います。古典でももちろんいいですし、特に明治、大正時代の日本の近代文学の作品に数多く触れてほしい。人間としての自分の裾野を広げることに必ずつながります。

それから、自分の意見を曖昧にせずに、はっきりと言うこと。

最近は、語尾を上げる半疑問の話し方が実に多い。「僕的にはー」だとか「みたいなー」というぼやかした言い方も多い。自分の文章に自分で(笑)なんて記入する。すべて物事を断定せずに逃げ道を作っているわけです。

周囲との軋轢を恐れているのかも知れませんが、こんな根性では社会でやっていけないし、国の体力が落ちますよ。多少周りとぶつかっても、自分の考えを自分の責任において自分の言葉で明確に主張することは、最終的には必ず理解される。そういう力強い姿勢を、これからの若い人たちに期待したいと思っています。


内館 牧子(うちだて まきこ)
1970年 武蔵野美術大学基礎デザイン科卒業
1988年 脚本家
2000年 日本相撲協会横綱審議委員会委員
2002年 東京都教育委員会委員
2005年 東北大学相撲部監督
2006年 東北大学大学院文字研究科修士課程修了

2010年1月19日火曜日

国立大学の法人化の意味

国立大学が法人化されて、まもなく6年が経過します。法律で定められた6年間の事業期間の区切りを迎えます。この機に国立大学の法人化の意味について振り返ることは、次期の6年間を占うためにも必要なことだと思います。

国立大学の法人化のねらいは、教育・研究の活性化にあります。なぜなら、教育・研究は国立大学の本業だからです。しかし、それには構成員の意識改革に依存する部分がとても大きく、残念ながら、企業ならばとっくに行われている改革が、今ようやく大学で行われています。

国立大学の法人化に際して、人が手当され、お金が手当され、設備が措置されたわけではありません。むしろ運営費交付金の毎年1%削減や人件費の5%削減が課せられました。国立大学法人に裁量権が委ねられたものの、競争原理が導入され、自己責任が課せられました。


法人化は、教職員の意識改革を通して教育・研究を活性化しようとするものです。法人化に相応しいマネジメント体制整備が必須条件となりました。

1 「大学運営」から「大学経営」へ
  • 学長を中心とするトップマネジメント体制の構築、合理的な「意思決定システム」の下、意思決定の迅速化と経営責任の明確化が必要になりました。
  • 業務実績等が自己評価を基に「第三者評価」にさらされることになりました。
  • 縦割り社会からの脱却と横の連携強化が重要になりました。
  • 「教学」とそれをサポートする「業務」を車の両輪として上手く機能(マネジメント)する必要が生じました。
  • 文部科学省が担ってきた企画や監査機能が法人に求められることになりました。

2 個性豊かな大学づくり
  • 大学の「ビジョン」が重要になりました。
  • 社会に大学のメッセージを発信することが重要性を持ってきました。
  • 「Demand Side」から「Supply Side」へ発想の転換が必要になりました。
  • 経営資源の「集中」と「選択」が必要になりました。

法人化の体制整備は避けて通れない道です。では、”法人法”の求める体制をいち早く整備した大学が、先んじられるのでしょうか?
法人化の求める体制整備だけでは評価に値するとは思いません。体制整備を基に経営効率化を一段と進め、これを教育・研究の活性化に繋げられれば評価されるのです。

しかし、体制整備がないと、教育・研究の活性化に限られた経営資源を振り向けられないのも事実です。法人化の本丸は、教育・研究の活性化で、体制整備はその手前に控えた存在といえるでしょう。

法人化で求められるものは、教育・研究の活性化、行政からの要請、法の遵守の3点です。ここでいう法の遵守とは、法人化に伴って労働基準法や労働安全衛生法の適用事業所となったことを示します。この3点は、三者択一ではなく、同時に達成しなければならない課題です。そうなればマネジメント体制の整備は避けて通れない道と指摘できます。法人化の体制整備は、教育研究の活性化の前提条件であり最低条件でもあります。


さて、法人化されたとて、文部科学省は様々な場面で国立大学に介入してきます。”拡大”認可行政を押し付けてきます。法律に定められた学長の人事権である理事、監事の選考、幹部事務職員の人事にまで手を出しています(文部科学省の現職課長が、権限をちらつかせながら、国立大学の学長に理事や副学長の斡旋をするという驚くべき”大学自治への不当な介入”を行っているとの話を聞いたことがあります)。法人化という制度に隠れて目に見えない強権を現在でも堂々と行使しています。

少し古い記事ですが、久々に、この日記ではおなじみの広島大学高等教育研究開発センター長 山本眞一さんの寄稿をご紹介します。

国の一部局-国立大学法人化との関係で-


国立大学が法人化されて今年で丸5年が経過した。6年間の中期計画終了まであと1年余り、各国立大学は第二期の中期計画策定時期を控え、大忙しになってくるであろう。また、これからの国立大学法人制度の成功のためには、第一期中期計画の間に何が起こったのかについても、書類の上だけではない現実の諸問題の分析を通じて明らかにしていく必要があると思われる。

法人化後の国立大学の自由度

さて、法人化の契機になったのは、国の行財政改革全般の大きな動きであったことは周知のことであるが、その際国立大学は、従来国の一部局あるいは文部省の内部組織であって、国の制度の制約の中で自由には動けなかったものが、法人化後ははるかに自由度が増すと喧伝されていたことを思い出す。確かに、ある意味ではその通りであろう。何といっても法人格を取得し、大学として必要な諸活動について当事者能力が増したことは、法人化の大きなメリットであったであろう。

ただし、この法人化は国立大学の私学化ではない。逆に言うと学校法人が持っている自主・自立性とは異なるさまざまな制約を前提としたものである。それは独立行政法人通則法が、この種の法人の任務として、公共上の見地から確実に実施することが必要な事業のうち、国が「直営で行う必要はない」が民間に任せておくと誰も引き受けないものを、独立行政法人に委ねて「効果的・効率的」に実施させる、という意味のことを述べていることからも明らかである。

国立大学法人は、一般的な独立行政法人ではなく、大学の特性に配慮するために特別の立法によって生みだされた制度ではあるが、しかしこの独立行政法人制度の趣旨の多くを踏まえた制度設計がなされている。たとえば、運営費交付金の交付、中期計画の認可や事後評価はその意味で、大幅に緩和されているとはいえ、政府が司令塔、国立大学が実施部隊という独立行政法人制度の持つ遺伝子は、ここに確実に組み込まれていると見なければならない。

自宅と借家のアナロジー

私は、2000年から2年間の間、この国立大学法人化に関する調査検討会議に専門委員として加わった経験があるが、会議の席で「私立大学が自宅だとすれば、国立大学は借家に住まうようなものではないでしょうか」という趣旨の発言をしたことを覚えている。

つまり、大事なことは自分だけで決めることはできず、何でも大家の了解をとらなければならないことを遠まわしに言ったつもりであった。

実際、法人化したとはいえ、経費の多くを国からの運営費交付金に依存している状況では、予算査定を通じての国の関与を避けることはほぼ不可能である。

人事制度についても大きくは民間準拠になっているが、しかし大事なところは国の制度と変わることはない。

つまりさまざまな面で、国の管理・監督がある以上、ある学長がいみじくも発言したように、手足を縛って泳げというものであるという批判も受けかねないのである。そのような中で、「国の一部局」から外に出て、果たして国立大学は以前よりも自主・自律性が増したであろうか。また、そうだと言えるとするなら、それにはどのような条件が必要なのであろうか。

この点について、私は公立大学法人について面白い話を関係者から聞いたことがある。それはある公立大学が法人化されたとき、その法人のナンバー・ツーである事務局長が、法人化以前は大学を設置する自治体の局長クラスと同格であったものが、法人化後はその自治体の担当課が所管する「民間事業者」の事務方のようなステイタスになってしまい、行政の内部事情を知ろうにも、情報源から遠のいてしまい、従来に比べてはるかに難しくなって大いに当惑したという話であった。

「官」からの距離が問題

確かに、欧米とは異なり、わが国のように官民の力関係が「官」の方に偏っている中では、官民が対等の立場で交渉し合うというよりも、「官」との距離そのものが問題になる。つまり「官」の中枢に近ければ近いだけ、自由度が増すというものである。よく、制度の細かい運用について、省庁の幹部は物分かりがよいが、末端の事務官は固い解釈をしがちであると言われるのも、このことと無関係ではない。ただし、組織が公務員的か民間的かでも、その自由度の高低は大いに異なるのではないだろうか。

そのようなことを図式化してみた。ここではさまざまな組織が、官すなわち国からの距離の大小と、その組織が公務員的か民間的かで場合分けしてある。従来の国立大学はその意味で、国に近くかつ教職員が公務員であったことからも分かるように極めて公務員的な組織であった。法人化によって国からの距離が遠くなったが、公務員的な性格が改まらない限り、ある意味での不自由さは避けようもなさそうである。

この先、国立大学法人が制度の枠組みの中で、できるだけ自由度を増して、責任ある自律的な組織として立ちゆくためには、何と言ってもこの公務員的な性格を薄め、民間的発想にもとづく経営を強めていくしかないであろう。

例えば、運営費交付金の増額のためには、単なる陳情の域を超えたさまざまな工夫や仕掛けを国立大学の側で考えねばならないだろうが、そのような知恵と覚悟は国立大学に果たしてあるであろうか。しかし、その場合でも大本である「官」からの距離が問題になるような社会をわが国が維持し続ける限り、その改善は容易ではない。広く社会システム全般の設計の見直し、つまり官と民との関係見直しまで含めた幅広い視点から、国立大学法人の在り方を.考えるべきではないだろうか。

それが、「国の一部局」のままの方が自由であったと皮肉を言われないための、最良の対応であると私は思う。(文部科学教育通信 No.215 2009・3・9)

2010年1月18日月曜日

国立大学法人の在り方の検証

社会的なインパクトが大きかった行政刷新会議による事業仕分け。今度のターゲットは「独立行政法人の抜本的見直し」のようですが、実は、国立大学法人も、独立行政法人通則法が適用(準用)されているれっきとした独立行政法人なのです。

国立大学法人は、教育研究の特性を踏まえ、独立行政法人通則法に基づく独立行政法人ではなく、国立法大学法人法に基づく独自の法人として設置されていますが、一方で、公共上の見地から確実に業務を推進する必要があり、国が設立し、財源措置が国に義務づけられている法人でもあり、かつ、その運営に当たっては法人の自主性が十分に尊重されるべきという枠組みでは独立行政法人制度と共通する部分もあることから、国立大学法人制度に固有の特例を必要としないものについては、独立行政法人通則法の規定が準用されることになっています。

今回の独法見直しに関する閣議決定(後記)を見る限りでは、見直しの対象にはなっていないようですが、今後どのような展開が待ち受けているか油断はできませんし、現に、去る1月8日(金曜日)の全国の国立大学長が集まった会合では、文部科学省から、国立大学法人の在り方については、国立大学法人評価委員会が次のようなスケジュールで検証を行うとの説明がなされたようです。
  • 有識者からの意見聴取(1月下旬以降)
  • 国立大学法人評価委員会における検証作業(1月下旬以降)
  • 全国国立大学法人からの意見聴取(2月上旬以降)

確かに、昨年末の事業仕分けでは、国立大学法人の運営費交付金に関する議論の焦点が「国立大学法人の在り方」にシフトしたような気がします。仕分けの取りまとめ役の枝野幸男衆議院議員からは「果たして国立大学は法人化して良かったのか」といった法人化そのものの意義について言及がありましたし、「多くの文部科学省の役人出身者が各大学に出向(世間では天下り)している」ことや、「まだまだ予算削減の余地はあり、経営努力が足りない」などの厳しい指摘もあったような気がします。

今回の文部科学省(国立大学評価委員会)の検証が、こういった事業仕分けにおける厳しいご指摘に影響されたものなのかどうかはわかりませんが、いずれにしても、間もなく第二期中期目標期間に突入する国立大学にとっては、第一期における様々な反省等も踏まえ、ふんどしのひもを締め直すいい機会なのかもしれません。


前述の学長会議において配付された「独立行政法人の抜本的見直しに関する動向(参考資料)」から抜粋してご紹介します。

1 独立行政法人の抜本的見直しについて(平成21年12月25日閣議決定)

●現在、優先度が高い独法についても事業仕分けを実施。この成果を踏まえつつ、年明け以降、独法の抜本的な見直しを実施。
(見直しのポイント)
1 基本姿勢
-全独法の全事務・事業について、国民的視点で、実態を十分把握し、聖域無く厳格な見直し
-独法制度自体の根本的見直しも含め、制度の在り方を刷新
-事業仕分けを通じて明らかになった組織、制度などの課題に取り組み、結論を得たものから順次速やかに実行
2 見直しの視点
-事務・事業の抜本的見直し
-独立行政法人の廃止・民営化等
-組織体制及び運営の効率化の検証
●内部ガバナンスについて法整備を行う

(関連事項)
●独立行政法人整理合理化計画(19年12月24日閣議決定)
-当面凍結し、抜本的な見直しの一環として再検討。ただし、随意契約及び保有資産に係る事項は見直しを継続。
●国の行政機関の定員の純減計画(18年6月30日閣議決定)の扱い
-計画上予定されていた新たな独法化案件による純減を除き継続。
●不要資産の国庫返納
-基金等の国庫返納ができるよう、速やかに通則法改正。

2 独立行政法人ガバチンス検討チーム

21年11月以降、行政刷新担当大臣の下、「独法ガバナンス検討チーム」を設置し、独法のガバナンスの在り方を検討。

3 研究開発法人の機能強化検討チーム

21年12月、研究開発を担う法人の機能強化検討チームを設置し、「国立研究開発法人」制度等について検討中。
-関係府省(内閣府、総務省、財務省、文科省、厚労省、農水省、経産省、国交省、環境省)の副大臣がメンバー。
-その他、21年11月に総合科学技術会議に「研究開発システムWG」が設置され、今後、検討する予定。


最後に、さほど関係はないと思いますが、これまで、総務省の政策評価・独立行政法人評価委員会が行ってきた二次評価(国立大学法人評価委員会が行った国立大学法人の業務の実績に関する評価の結果についての意見)を年度ごとにご紹介します。

平成16年度
  • 学長・機構長のリーダーシップを発揮させるための各法人における運営体制の整備や、学長・機構長裁量の経費・人員枠の確保等の状況について把握し評価しているところであるが、今後は、これらの体制や仕組みが法人運営においてどのように機能を発揮しているかという観点からも各法人の状況を把握し評価を行うべきである。

  • 業務運営や財務内容の改善について評価を行う際には、財務諸表等の分析結果を積極的に活用するとともに、経常損益・当期損益の主な内容・要因や経費節減に係る財務上の改善状況等について把握・分析した上で評価を行うべきである。また、今後は、これらを含めた重要な財務情報等についての経年比較を行った上で評価を行うべきである。

  • 国立大学法人の運営において財務上大きな比重を占める附属病院の財務状況については、病院における教育研究診療が一体的に行われている実態にも留意しつつ、業務費用の主要な内訳を把握することが求められること、また、現状では、費用計上の内容も法人間で異なっており、各附属病院間における比較が可能となるよう費用に関する情報を適切に把握することが求められることから、これらの情報を把握・分析した上で評価を行うべきである。

  • 「経済財政運営と構造改革に関する基本方針2005」(平成17 年6月21日閣議決定)において、公的部門全体の人件費を抑制することとし、こうした取組を通じ、法人に対する運営費交付金等を見直すこととされ、現在、各方面で議論が行われているが、今後の議論の動向も踏まえて、必要な評価を行うべきである。

平成17年度
  • 学長等による経営方針の明確化等の取組については、経営体制の効果的運用に関して注目される取組として評価した法人の取組も含め、各法人の実態や当該経営方針等の性格に留意しつつ、当該取組の進捗、機能発揮や見直しの状況等について継続的に評価を行うべきである。

  • 法人の実施している戦略的な資源配分の成果の事後チェック及び配分の見直しに関し、今後、法人の実施体制等の整備状況とその機能の発揮状況について継続的に把握し評価を行うべきである。

  • 経営協議会については、会議運営規則、議事要旨(議事録)及び法人運営に活用された指摘事項の具体例に関する資料を基に、必要に応じてヒアリングでの追加確認を行いつつ、その運営の合規性と活性化の状況、指摘事項の法人運営への活用について評価を行っている。法人運営における経営協議会の重要性を踏まえ、継続的にこのような評価を行うべきである。

  • 財務情報の活用については、各法人の財政規模、収支構造に着目して分類し、主要な財務指標について法人間比較と法人ごとの経年比較を行っている。また、法人ごとの経年比較結果については、財務内容の改善に関する取組等の評価の客観的裏付けとして活用しているところであり、今後、引き続きその充実を図るべきである。なお、昨年当委員会が指摘した各附属病院間における比較を可能とするための費用に関する情報の適切な把握については、会計基準等の改訂により対応がなされているが、今後、比較可能性をより高めるため、収益、資産等に関する情報についても適切に把握・分析した上で評価を行うべきである。

  • 法人運営に影響を及ぼすおそれのある各種事項に対する危機管理について、全学的・総合的な対応体制の整備状況について評価しているが、今後、引き続き予防的観点にも着目した危機管理についての評価を行うべきである。

  • 「行政改革の重要方針」(平成17年12月24日閣議決定)の総人件費改革の実行計画を踏まえ、各法人は中期目標に人件費削減の取組を記載するとともに中期計画に削減目標を設定している。国立大学法人評価委員会は、平成17年度の評価結果において、各法人に対し、今後、中期目標・中期計画の達成に向け、着実に人件費削減の取組を行うよう促しており、平成18年度以降は、その取組の進捗状況について評価を行うべきである。

  • 公的研究費の不正使用等の防止のため、総合科学技術会議が示した「公的研究費の不正使用等の防止に関する取組について(共通的な指針)」(平成18年8月31日)等に沿った、体制整備、ルールの整備・明確化等の取組状況についての評価を行うべきである。

  • 随意契約により実施している業務については、国における取組(「公共調達の適正化について」(平成18年8月25日付け財計第2017号。財務大臣から各省各庁の長あて。))等を踏まえ、各法人における一般競争入札の範囲の拡大、契約の見直し、契約に係る情報公開等についての取組状況等についての評価を行うべきである。

平成18年度
  • 各国立大学法人の中期目標の前文には、各国立大学の理念等である基本的な目標が記載されている。貴委員会は、各大学の基本的な目標の達成に向けた取組状況の評価に取り組んでいるが、その評価結果の説明には法人ごとに差異があり、大学の基本的な目標との関係においてどのような評価が行われたのか分かりにくいものもみられる。今後の評価に当たっては、各国立大学法人の基本的な目標の達成に向けた取組状況について、引き続き積極的に評価を行うとともに、評価の結果を分かりやすく説明するよう工夫すべきである。

  • 貴委員会は、本年度評価より、研究費の不正使用の防止のための体制・ルール等の整備状況についての評価を行っているが、その後も一部の国立大学法人において公的研究費の不正使用が発覚している例があることなどを踏まえ、公的研究費の不正使用の防止のための取組状況について、引き続き評価を行うべきである。

  • 随意契約の適正化の一層の推進について、政府全体で取り組んでいることにかんがみ、一般競争入札の範囲の拡大、契約の見直し、契約に係る情報公開等についての取組状況について、引き続き評価を行うべきである。

  • 国立大学法人会計基準の実務上のガイドラインに当たる「「国立大学法人会計基準」及び「国立大学法人会計基準注解」に関する実務指針」の改定により、財務諸表において開示すべき国立大学附属病院(以下「附属病院」という。)のセグメント情報については、平成18年度から物件費について診療経費と一定の教育研究経費とが区分され、更に19年度からは教員人件費についても各教員の勤務実態に応じて附属病院と医(歯)学部との切り分けが行われることを踏まえ、今後の評価に当たっては、従来にも増して、一般診療部門における経営の効率化の進展状況、経営努力が十分に行われているかといった点に着目した評価を行うべきである。

  • 各附属病院において、国立大学病院管理会計システム(HOMAS)又はこれに類する会計システム(以下「HOMAS等」という。)が導入されたことにより、従前に比べて附属病院の経営に係る分析手法及びHOMAS等により得られる各種統計データが整備されつつある。こうしたことを踏まえ、今後の評価に当たっては、附属病院を置く各国立大学法人が、例えば、HOMAS等により得られたデータを基に他の附属病院との比較検討による経営分析を行うなど、各種統計データ等を活用して附属病院経営の効率化に向けて取り組んでいるかといった点に着目した評価を行うべきである。

  • 大学共同利用機関法人の「外部研究資金その他の自己収入の増加」の評価において、「競争的研究資金の増加を目指す」との年度計画に対して、申請件数の増加に関する取組及びその数のみを注目される取組として評価結果に取り上げている例があるが、今後は年度計画の達成状況を評価するという観点から、申請の結果についても確認し、併せて評価すべきである。

  • 大学共同利用機関法人の共同利用・共同研究の評価結果においては、共同利用・共同研究者数や国内外の大学・研究機関の参加実績数値が記載されているが、それに基づき、どのように評価したのかが分かりにくいことから、今後は、その数値を踏まえ、法人の設立目的に照らした適切な運営が行われているかについて評価を行うべきである。

  • 中期目標期間開始以降、大学共同利用機関の組織・業務の統合による事務の一元化の取組による業務の効率化が期待されているが、その取組状況について、できる限り定量的に評価を行うべきである。

平成19年度
  • 公的研究費の不正使用の防止のための体制・ルール等の整備状況についての評価を行っているが、一部の国立大学法人において公的研究費の不正使用が発覚している例があることなどを踏まえ、公的研究費の不正使用の防止のための取組状況について、引き続き評価を行うべきである。

  • 法人運営に影響を及ぼすおそれのある各種事項に対する危機管理について、全学的・総合的な対応体制の整備状況について評価しているが、一部の国立大学法人において薬品管理等に係る法令違反が発覚している例があることなどを踏まえ、引き続き、各国立大学法人等が整備した危機管理に係る全学的・総合的な対応体制の運用状況について評価を行うべきである。

  • 随意契約の適正化の一層の推進について、政府全体で取り組んでいることにかんがみ、一般競争入札の範囲の拡大、契約の見直し、契約に係る情報公開等について評価を行っているところであるが、今後の評価に当たっては、国立大学法人等が作成した随意契約見直し計画の実施状況についても評価を行うべきである。

  • 昨年度当委員会が指摘した附属病院に関する評価については、収入増やコスト削減の取組における数値目標の設定状況、国立大学病院管理会計システム(HOMAS)又はこれに類する会計システム等により得られた各種統計データの活用状況を把握し、病院管理運営に関する実績等の評価を行っており、一部の法人に注目される取組がみられる。今後の評価に当たっては、国立大学法人会計基準の実務上のガイドラインに当たる「「国立大学法人会計基準」及び「国立大学法人会計基準注解」に関する実務指針」の改訂により、より実態に即したセグメント情報の把握が可能になったことを踏まえ、引き続き、先進的な取組を行っている附属病院の例も参考にしつつ、各附属病院の経営効率化の取組を促進する観点から評価を行うべきである。

平成20年度
  • 経営協議会については、議事要旨(議事録)及び学外委員の意見を法人運営に活用した具体例に関する資料等を基に、必要に応じてヒアリングでの追加確認を行いつつ、その運営の合規性や、学外委員の意見の法人運営への活用について評価を行っているが、法人が提出した資料や評価結果からは、学外委員の意見をどのように法人運営に活用したのかが分かりにくいものもみられる。今後の評価に当たっては、国民の幅広い意見を法人運営に適切に反映させる役割を持つ経営協議会の重要性にかんがみ、経営協議会が期待される役割を十分に発揮しているか明らかにする観点から、学外委員の意見の法人運営への一層の活用について、その情報の公表状況も踏まえ、評価を行うべきである。

  • 情報提供については、現在、各大学が公開することが必要と考えられる項目や方法を定めた指針の策定に向けて中央教育審議会で議論が行われているところであり、今後の議論の動向も踏まえて、国民に対する説明責任を十分に果たす観点から必要な評価を行うべきである。

  • 公的研究費の不正使用の防止のための体制・ルール等の整備状況についての評価を行っているが、一部の国立大学法人において公的研究費の不正使用が発覚している例があることなどを踏まえ、今後は、各国立大学法人等が整備した公的研究費の不正使用の防止のための体制・ルール等の運用状況についても評価を行うべきである。

2010年1月17日日曜日

国立大学の特色ある取り組み

東京都千代田区に、国立大学財務・経営センターという独立行政法人があります。(本部所在地は千葉市美浜区)

センターのホームページによれば、その設置目的は、「国立大学法人、大学共同利用機関法人及び独立行政法人国立高等専門学校機構(以下「国立大学法人等」という。)の施設の整備等に必要な資金の貸付け及び交付並びに国立大学法人等の財務及び経営に関する調査及び研究、その職員の研修その他の業務を行うことにより、国立大学法人等の教育研究環境の整備充実並びに財務及び経営の改善を図り、もって国立大学、大学共同利用機関及び国立高等専門学校における教育研究の振興に資すること」のようです。

独立行政法人改革の一環で、同じ文部科学省所管の独立行政法人である大学評価・学位授与機構との統合話があるようですが、国立大学法人にとっては、結構お世話になっている大切な機関でして、今後、機能縮小に向かわないよう願っているところです。

そのためというわけではありませんが、今日は、宣伝を兼ねて国立大学財務・経営センターが行っている業務についてご紹介したいと思います。


国立大学財務・経営センターに、経営相談室という組織が置かれていますが、ここが毎年調査・取りまとめを行っている「国立大学法人財務・経営に関する取組事例」の平成20年度版が昨年末公表されています。国立大学の財務を中心とした積極的な取り組みが理解できます。

国立大学法人財務・経営に関する取組事例(平成20事業年度)
http://cz.biglobe.ne.jp/cl/S12680.2201000109.1989231.4

(関連)国立大学法人財務・経営に関する各年度の取組事例
http://cz.biglobe.ne.jp/cl/S12680.2201000109.1989231.7

(関連)大学訪問調査による「取組事例」
http://cz.biglobe.ne.jp/cl/S12680.2201000109.1989231.8    


このほか、国立大学財務・経営センターでは次のような取り組みも行っています。センター発行のメルマガから抜粋してご紹介します。

財務レポート&環境報告書ポータルサイトの開設

法人化後、多くの国立大学法人は学内、企業や一般の方向けに財務状況等をわかりやすく説明するため、冊子やリーフレット作成するようになり、様々な形で公開されています。また、「環境情報の提供の促進等による特定事業者等の環境に配慮した事業活動の促進に関する法律」により特定事業者とされた法人は環境報告書の作成が義務付けられたこともあり、多くの法人が作成するようになりました。
http://cz.biglobe.ne.jp/cl/S12680.2201000109.1989231.16

経営改善方策に係る事例

財務・経営の改善に関し、広く情報を提供するため、経営改善、取り組みの事例を収集しております。現在、国立大学法人財務管理等に関する協議会等で発表された16件の事例を紹介しています。
http://www.zam.go.jp/m00/m0000000.htm

国立大学法人若手職員勉強会の開催

平成21年11月12日、13日の2日間、経営相談事業の一環として、国立大学等の経営向上及び継続的な発展を支援することを目的に若手職員勉強会を開催いたしました。企画・構成を国立大学法人に現に勤務する若手職員が担当し、「自ら考え、行動し、貢献できる職員を目指して」をメインテーマに、参加者自らが 主体的に課題に取り組み、発表するといった内容で、参加者には事前にレポートを作成いただくなど、より実践的なプログラムで実施いたしました。当日の発表 の成果などをホームページに掲載しておりますので、是非ご覧ください。
http://cz.biglobe.ne.jp/cl/S12680.2201000109.1989231.2

(関連)第3回国立大学法人若手職員勉強会を終えて(岐阜大学 高松大地)
http://cz.biglobe.ne.jp/cl/S12680.2201000109.1989231.3

(関連)国立大学法人若手職員勉強会について

平成20年度の成果を取りまとめたリーフレットとともに分科会で討議した内容について、成果をアップしています。
http://cz.biglobe.ne.jp/cl/S12680.2201000109.1989231.9

国立大学法人係長クラス勉強会の開催

平成20年度のグループワークで討議した内容について、成果をアップしています。
http://cz.biglobe.ne.jp/cl/S12680.2201000109.1989231.10

人事労務ワークショップの開催

平成21年度のワークショップで討議した内容について、成果をアップしています。
http://cz.biglobe.ne.jp/cl/S12680.2201000109.1989231.13

2010年1月16日土曜日

センター試験で思うこと

大学入試センター試験が、今日から全国725の会場で始まりました。志願者数は、前年より387人多い55万3368人だそうです。

今日は、公民、地理歴史、国語、外国語(筆記・リスニング)、明日は、理科1、数学1、数学2、理科2、理科3の合計6教科28科目の試験が行われます。

一部の地域を除き、天候は概ね良いようで、受験生も、受験生を受け入れる試験会場の大学もほっとされたのではないでしょうか。

このセンター試験、少し乱暴な言い方をすれば、”進学の分岐点”のようなところがあるような気がします。受験生が、自分の希望する進路と実現する可能性とのギャップを認識しなければならない最初のハードルみたいなもの。したがって受験生にとってはとても大事な二日間になるわけです。

一方、試験会場である大学では、大学ごとの個別試験と違って、全国統一の運用を行う必要から、失敗は許されないという緊張感が漂っており、何事もなく一日が終わることを願いつつ試験終了の時間を待つことになります。

センター試験に携わる大学の教職員は、全国では膨大な数になります。教職員は、受験生の一生を左右すると言っても過言ではないこの試験において、彼らが全力を尽くすことができるよう、事前の準備から本番が終わるまで様々な業務を担います。どのような業務があるのかについては、入試という性格上ご紹介することはできませんが、入試センターが作成したマニュアルに従い、正確かつ迅速に対応することが求められています。

また、今回は、新型インフルエンザへの対応という大きな課題がありますので、従来以上の苦労があります。今年は、志願者の受験機会の確保の観点から二週間後に追試験を行わなければなりません。国立大学の場合、個別試験においても同様とされておりますので、二年分の試験を一度に行うことになり、推薦入試などを含めると、この時期は毎週のようにどこかで入試をやっているといっても大げさではありません。

このようなことは、ニュースソースにはなりませんので、報道されることはありませんが、多くの人々が受験生の皆さんを支え応援しているということも忘れてはならないことだろうと思います。

それと余計なことですが、試験場入口に列を成してビラを配っている予備校の諸君は個人的には感心できませんね。「受験生、がんばれ!」ののぼり旗は結構なのですが、これから試験を受けようとしている高校生達に、予備校の入学パンフを配るのはいかがなものかと思うのですが・・・。

2010年1月15日金曜日

自分を愛する

人々はよく、自分を幸せにしてくれる人を探し求める。しかし、それは外的な働きかけによって内面に影響をおよぼそうとするやり方で、なかなかうまくいかない。誰かに幸せにしてもらうのではなく、自分で責任を持って幸せになろう

よい人間関係を築きたいなら、自分自身との関係に意識を向けるべきだ。あなたが自分を愛し、自分を大切にし、幸せになるよう前向きに努力すれば、同じように前向きで幸せな人を引き寄せることができる。「類は友を呼ぶ」ということわざのとおり、似た者どうしが惹かれあうということだ。

そういう人を見つけるために特別な努力をする必要はない。自分の仕事を愛し、常に幸せを感じるようになれば、人間関係はおのずから好転する。

特に作戦を立てる必要はない。自分らしくしていればいいのだ。もしあなたが自尊心の低いネガティブなタイプなら、あなたをよく扱ってくれない人を引き寄せるだろう。相手を責めてはいけない。あなたは自分にふさわしいと思う人を引き寄せているだけなのだ。

自分の心の持ち方を改善し、自尊心を高めるよう努力しよう。そうすれば、充実感の得られる人間関係を築くことができる。


ディスカヴァー・トゥエンティワン
発売日:2006-06-15

2010年1月14日木曜日

ハイチ地震救援金へのご協力をお願いします

ハイチで12日に起きた大地震は、死者が数万人規模に達する恐れが出てきました。通信回線が壊滅し被害状況がつかめない中、救援活動が始まっています。

ハイチでは今、瓦礫の中の下で救助を待つ人がいます。一秒でも早い救援が必要です。
地球の裏側の友人へ救援金のご協力をお願いします。


首都の路上に無数の遺体、泣き叫ぶ被災者 ハイチ地震(2010年1月14日 朝日新聞)

倒壊したビル近くの路上に、白い布をかけただけの数十体の遺体が並ぶ。大通りの歩道には、子どもの遺体が無造作に横たえられている。傍らで、血を流す被災者が天を仰ぐ。救急車も医師も圧倒的に不足し、生存者はあてどなく街をさまよっている。・・・
http://www.asahi.com/international/update/0114/TKY201001140175.html?ref=rss

ハイチ地震救援金の受付について(はてな)
カリブ海の島国、ハイチで12日起きた大地震は、首都ポルトープランスを中心に甚大な被害となっていることが日本赤十字社の報告やニュースメディアにより明らかになっています。
こうした状況を受け、はてなポイントによる「ハイチ地震救援金窓口」を開設いたします。皆様のご協力をお願いいたします。
http://d.hatena.ne.jp/hatenacontrib/20100114/1263439298

ハイチ地震救援金(yahoo)
2010年1月12日の現地時間午後5時(日本時間13日午前7時)頃、カリブ海地域のハイチ(人口1,000万人)で、マグニチュード7.3の大地震が発生しました。
日本赤十字社では、被災された方々を支援するため救援金の募集を実施しています。
ご協力よろしくお願いいたします。
http://volunteer.yahoo.co.jp/donation/detail/1301013/index.html

ハイチ地震被害の救援金を受付けます(日本赤十字社)
被災地における救援活動等を支援するため、皆様からの救援金を受付けています。
http://www.jrc.or.jp/contribution/l3/Vcms3_00001446.html

2010年1月13日水曜日

入学者選抜と経済支援

去る1月8日(金曜日)、東京・学士会館において、国立大学協会主催の国立大学長等懇談会が開催されました。議事は、前回ご紹介した国立大学関係予算案についての文部科学省からの説明が主たる内容でしたが、そのほかにも、国立大学を取り巻く状況に関連し、1)いよいよ今週末となった大学入試センター試験や、個別学力検査の円滑な実施への万全の対応、2)依然として厳しい経済状況を踏まえ、経済的支援を必要とする学生等に対する支援策の周知ときめ細かな対応が要請されました。

配付された資料から抜粋してご紹介します。

平成22年度大学入学者選抜について(要請)

平成22年度大学入学者選抜については、以下の点にご留意いただき、大学入試センター試験及び個別学力検査の円滑な実施に万全を期すようお願いします。

1 大学入試センター試験の円滑な実施について

大学入試センター試験は、各大学と大学入試センターが業務を分担し、それぞれ責任を持って共同して実施するものです。平成22年度大学入試センター試験についても、円滑な実施に向け遺漏のないよう関係職員に対しご指導等よろしくお願いします。特に、英語リスニングについては、今回から新しいICプレーヤーを使用することとなっており、従来以上に周到な対応が求められますので、諸準備に万全を期すよう、格段の配慮をお願いします。

2 新型インフルエンザの対策について

平成21年10月8日付け21文科高第172号「平成22年度大学入学者選抜に係る新型インフルエンザ対応方針」について(通知)」で、大学入試センター及び各大学へ受験機会の確保措置等について検討するよう要請したところです。
各大学においては、大学入試センター試験当日の各試験会場における衛生管理体制の構築に向けて、万全な対応をお願いします。また、今年度は迫再試験を本試験の2週間後に全都道府県で実施することとしており、各大学には多大な負担をかけることとなりますが、趣旨をご理解の上、ご協力をお願いします。
各大学の個別試験においては、既に対応を決定した大学の多くは何らかの確保措置を講じていただいており、御礼申し上げます。まだ対応を決定していない大学については、引き続き、検討をよろしくお願いします。

3 出題・合否判定ミスの再発防止について

平成21年12月8日付け21大振第49号「大学入学者選抜における出題・合否判定ミス等の再発防止について(通知)」で既に周知しているところですが、入試時期本番を迎え、各大学におかれては、出題・合否判定ミス等がないよう再度通知の趣旨にご留意いただき、入学者選抜の円滑な実施に万全を期すようお願いします。

(参考)
大学入試ミス増加・・・昨季283件、私大は6年で2.6倍に(2010年1月13日 読売新聞)
http://osaka.yomiuri.co.jp/university/examination/20100113-OYO8T00997.htm

大分大が前期入試出願書類で記載ミス(2010年1月13日 西日本新聞)
http://www.nishinippon.co.jp/nnp/item/145772


経済的理由により修学困難な学生等に対する支援策の周知について(通知)

このことについては、平成21年2月25日付け20文科高第881号で通知しているところですが、現下の経済状況は依然として厳しい状況にあります。

経済的理由により修学困難な学生等に対しては、既に各大学等において授業料減免や奨学金等の支援策を実施されていると承知していますが、支援を必要とする学生等やその保護者がそれらを活用できるよう、各大学等が実施している授業料減免や奨学金等の具体的内容及び利用方法について、学生等やその保護者への周知を図るよう、よろしくお願いします。

特に、入学料等初年度納付金については、経済的理由により納付困難な学生等に対しては納付時期の猶予など弾力的な取扱いを図り、大学等で学ぶ意欲のある学生等が経済的理由により修学を断念することがないよう、配慮をお願いします。

また、独立行政法人日本学生支援機構が実施している奨学金事業において、入学の際に一時金として貸与する入学時特別増額貸与奨学金については、その活用について学生等に周知するとともに、同奨学金が交付されるまで入学金等の納付時期を猶予するなど、きめ細かい対応をお願いします。

2010年1月12日火曜日

2010年度大学関係予算案の中身

去る1月6日(水曜日)に、文部科学省から各国立大学法人あて、平成22年度運営費交付金予定額の内示が行われました。これまでは、政府予算案の閣議決定と同時に各大学へ伝達されていましたが、今回は、予算編成が例年より極めてタイトな日程により進められ、かつ政治主導の見通しの悪い編成作業であったことなどが影響したのか、係数整理に手間取り、内示の伝達が越年してしまったようです。

今回各大学に伝達された内容は、これまでの運営費交付金算定ルールが変更されたこともあり、資料を読むだけでは理解することがなかなか大変です。ある大学の会計監査人(公認会計士)さんも、会計処理、決算への影響を含め分析するのが大変だとおっしゃっていました。


それでは、このたび閣議決定された平成22年度予算案は、大学にとってどのような意味を持つ内容なのでしょうか。まずは新聞から抜粋します。


教育の予算案、大幅に伸びたけど 明暗わかれた大学事業(2010年1月12日 朝日新聞)

大学病院を強化する予算や奨学金は増えたが、留学生の受け入れや大学の補助事業は大幅減に-。来る18日召集予定の通常国会に提出される2010年度の政府予算案で、教育予算全体の金額は大幅に伸びたものの、大学関連予算は事業によって明暗が分かれた。


削減の一方で、大学の経営基盤となる国からの「国立大運営費交付金」の一律の削減方針が撤廃された。運営費交付金は、自民党政権下の「骨太の方針」で毎年1%ずつ削られ、法人化後の5年間で720億円減っている。小規模の大学なら約20校の配分額にあたるという。

今回の予算案をみると、総額1兆1585億円と、結果的に0.94%減になった。厳しい経営状態自体は変わらないが、それでも国立大学関係者は、削減方針の撤廃に、ひとまず胸をなで下ろしている。また、文科省も「09年度2次補正での計上分を加えると0.2%減にとどまっている」としている。

また、私立大の経常費補助(私学助成)は、0.1%増の3222億円で4年ぶりの増額になった。

大学生への奨学金事業も大幅に改善されそうだ。予算額は前年度と同じだが、財政投融資や返還金の増額分を含めた事業規模は、6.1%増の1兆55億円に。貸与人数を3万5千人増やして118万人分とした。

医師不足対策では、医学部の定員増を受けて、医学教育や大学病院の機能強化のために25.3%増の68億円を計上した。そのうち、医師らの事務負担を減らすスタッフ雇用のために21億円が新しく盛り込まれた。

09年度の2次補正予算でも、医学部定員が増えたことに伴う整備事業に24億円が、周産期医療の整備には5億円が計上されている。
http://www.asahi.com/edu/news/TKY201001120194.html


次に、文部科学省は、予算案に関しどのような説明をしているのでしょうか。文部科学大臣談話を抜粋します。


平成22年度文部科学省予算(案)関係(文部科学大臣談話)(平成21年12月25日)

国立大学法人運営費交付金については、前政権下において、骨太2006で決められていたマイナス1%の削減方針を撤回しつつ、医学部定員増に伴う教育環境の整備充実や授業料免除枠の拡大などを図ることとしています。

医師不足解消のための医師等養成と大学病院の機能強化については、医師等の医療人材養成機能強化、大学病院で働く医師等の勤務環境の改善などを行うことといたします。

大学奨学金については、事業の健全性を確保するとともに、貸与人員で対前年度3万5千人増(無利子5千人、有利子3万人)の118万人の学生に奨学金の貸与ができるよう充実を図ります。また、8.5万人の国私立大学生に授業料減免をします。
http://www.mext.go.jp/b_menu/daijin/detail/1288759.htm


それでは、最後に、文部科学省が各大学に通知した資料から抜粋します。(資料のほとんどが担当者向けのマニアックな記述のため多くを省略しています。ご了承ください。)


平成22年度文部科学省予算(案)について

1 平成22年度文部科学省予算(案)のポイント
  • 「コンクリートから人へ」の理念に立ち、「人と知恵」を産み育てる施策に重点化
  • マニフェスト主要事項である高校の無償化を確実に実施
  • その他の事業については、事業仕分けの評価結果を踏まえた予算の見直しを行い、文部科学省予算については、過去30年間で最高の伸び率となる5兆5,926億円(対前年度3,109億円(5.9%)増)を確保

2 文教関係予算のポイント
  • 文教予算については、過去30年間で最高の伸び率(対前年度8.1%増)
  • 家庭の状況にかかわらず、全ての意思ある高校生等が安心して勉学に打ち込める社会をつくるため、公立高校の授業料を無償化するとともに、高等学校等就学支援金を創設することにより、民主党マニフェストを更に踏み込んだ内容を実現
  • 義務教育費国庫負担金については、教員が子どもと向き合う時間を確保するため、教職員定数を大幅に改善(4,200人(対前年度の5倍強))
  • 国立大学法人運営費交付金については、骨太2006以来の削減方針を撤回

3 高等教育関係予算案のポイント
  • 国立大学法人運営費交付金の確保 1兆1,585億円(△110億円)
    • 交付金総額について、骨太方針2006で決められていた毎年度△1%の削減方針を撤回(△1%未満の削減にとどめる)
    • (参考)第2号補正予算案(+82億円(附属病院の救急医療・基盤設備))を含めると対前年度28億円減(△0.2%)。更に国立大学法人等施設の整備 503億円(+62億円)

  • 附属病院に係る経営改善係数の廃止
    • 医学部入学定員増に伴う教育環境の整備充実(+13億円)、授業料減免枠の拡大(+14億円)、地域医療のセーフティネットの構築の体制整備(+79億円)などを推進

  • 私立大学等経常費補助の充実 3,222億円(+4億円)
    • 経常費補助総額について、骨太方針2006で決められていた毎年度△1%を見直し、対前年度4億円の増額(4年ぶりの増額)
    • 授業料減免補助の大幅拡大(2倍増)、地域における高等教育の機会の確保や自主的経営改善に対する支援、医学部定員増に伴う教育環境の整備充実などを推進

  • 医師不足解消のための医師等養成と大学病院の機能強化 68億円(+14億円)
    • 医師不足を解消し、質の高い医療サービスを安定的に提供するため、大学・大学病院において、医師等の医療人材養成機能を強化(26億円)
    • 大学病院における医師等の勤務環境の改善のための人員の雇用等による大学病院の機能強化を実施(新規22億円)

  • 大学奨学金等の充実 1,309億円(±0)事業費ベース1兆55億円(+580億円)
    • 事業の健全性を確保しつつ、貸与人員を対前年度3.5万人増(118万人の貸与)、無利子奨学金5千人増、有利子奨学金3万人増
    • 8.5万人の国私立大学生の授業料減免を実施
    • 無利子奨学金における支給開始時期の早期化(在学採用7月→4月)
    • 経済的理由による返還猶予者等に対する減額返還の仕組みの導入

  • 大学教育改革の推進 466億円(△135億円)
    • グローバルCOE、大学院GP、大学間戦略連携推進事業など国公私立大学を通じた質の保証や教育研究拠点形成の支援事業について、事業仕分け結果を踏まえ、効率化・重点化を図りつつ、若手研究者の研究の継続などに留意しつつ確実に実施

  • 学生の就業力の育成強化 30億円(新規)
    • 現下の厳しい雇用情勢を踏まえ、学生の卒業後の社会的・職業的自立につながる教育課程内外にわたる国公私立大学等の実学的取組(キャリアガイダンス)を支援する新たな事業(大学生の就業力育成支援事業)を創設

  • 大学間の国際交流の推進 38億円(△3億円)
    • 日中韓等のアジア地域での大学間交流の促進のため、国際化拠点整備事業を引き続き推進するとともに、成長分野(環境保全、エネルギー、情報通信等)での高度専門職業人材育成のための留学生受入れの新たな事業(新規5億円)を創設
    • アジア地域における質の保証に関する国際会議を来年度我が国で新たに開催

(参考)平成21年度第2号補正予算案(高等教育局関係)
  • 新卒者の就職支援態勢の強化 1億円
  • 救急医療の最先端機器の整備・病院基盤設備の更新 82億円
  • 医師不足解消のための医学部定員増に伴う教育環境の整備 24億円
  • 周産期医療環境の整備 6億円 計 113億円

国立大学法人運営費交付金予算額の推移

区分予算額差引対前年度額対前年度比
平成16年度1兆2,415億円
平成17年度1兆2,317億円▲98億円▲0.8%
平成18年度1兆2,214億円▲103億円▲0.8%
平成19年度1兆2,043億円▲171億円▲1.4%
平成20年度1兆1,813億円▲230億円▲1.9%
平成21年度1兆1,695億円▲118億円▲1.0%
平成22年度(案)1兆1,585億円(注)▲110億円▲0.9%

(注)平成22年度概算要求のうち、医療機械設備(82億円)については、平成21年度第2号補正予算案に前倒し計上


国立大学法人運営費交付金関連の主な係数について

区分根拠数値(平成21年度)平成22年度
予算案の対応
効率化係数運営費交付金算定ルール、中期計画教員給与相当額を除外した教育研究経費(一般管理費を含む)について、毎年削減(▲1%)廃止。但し平成22年度については、臨時減を実施
経営改善係数(附属病院)運営費交付金算定ルール、中期計画附属病院運営費交付金を受ける病院に毎年増収努力(2%)廃止
歳出改革閣議決定(基本方針2006)交付金予算額について毎年削減(平成23年度まで)(▲1%)廃止
人件費改革簡素で効率的な政府を実現するための行政改革の推進に関する法律平成18年度以降5年間で人件費について削減(▲5%以上)継続

2010年1月11日月曜日

失敗を歓迎する

積極的に行動し、どんどん失敗しよう。成功者はみな、成功するまで何度も失敗を経験している。何かをしょうとすれば、失敗を避けることはてきない。逆に言えば、失敗せずにできるようなことはたいしたことではない

あなたは幼いころ、いきなり歩くことができただろうか? 一度、親に質問するといい。「何度も倒れて、ようやく自分の足で立って歩けるようになった」と証言してくれるはずだ。

自転車の乗り方を覚えるときも同じだ。最初は補助車輪をつけて何度もバランスをとりながら失敗を重ね、ようやく自転車に乗れるようになったはずだ。

失敗は、結果的にうまくいかなかっただけである。失敗から学んで、やり方を修正し、粘り強く努力を積み重ねて、ようやく結果が出るのだ。

発明家は何かを発明するまで何度も失敗する。俳優はブレークするまで何百回もオーディションに落ちたり、無視されたり酷評されたりする。NBA史上最高の選手マイケル・ジョーダンは「私は何度も失敗したからこそ成功したのだ」と語っている。

周囲に迷惑をかけないかぎり、失敗は決して悪いことではないし、恥じることでもない。失敗は、成功への道の一部なのだ。粘り強く努力を積み重ねれば、失敗はやがて成功につながる。


ディスカヴァー・トゥエンティワン
発売日:2006-06-15

2010年1月10日日曜日

鳩山政権が試される年

2010年が明けて最初の1週間が過ぎましたが、皆さんそれぞれ誓いや目標を立てて生活や仕事をスタートされたのではないかと思います。私も今年1年、楽しく、愚直に様々なことに取り組んでいきたいと思っています。

今年いただいた年賀状を眺めてみると、「日本はこれからどうなるのか」「大学はこれからどうなるのか」といったキーワードが目立っていたような気がします。我が国では昨年劇的な政権交代が行われました。しかし不安定で先行き不透明な政権運営に国民の多くは不安を抱えています。景気低迷の影響も国民生活にずしんずしんと響いてきています。大学経営を取り巻く状況も更に厳しさを増すことになるでしょう。

去る5日(火曜日)の新聞に、官房長官が年頭の訓辞を行うために各府省の事務次官を招集した際、出席者から各府省の政務三役(大臣・副大臣・政務官)の政策決定の在り方に対する不満が出されたそうです。

政治主導を標榜し、これまで様々な行政システムを変え今後とも変えようとしている鳩山政権ですが、「今までのやり方と違う、意欲を持ってやっているが政務三役の指示が遅い、(官僚の)士気が下がっている」など、各府省の政務三役の力量不足が指摘されているようです。

確かに、文部科学省に勤める知人などから聴く話によれば、政策は何事につけても政務三役で決め実行することが基本となっているために、その下で働く職員に日頃から情報が降りてこず、政務三役が何を考えているのかがよくわからない、従来であれば、権限が委譲され任されていたような小さなことまで、政務三役の目を通す、判断を仰ぐことが激増しているといった状況のようで、鳩山政権は、これから副大臣、政務官をさらに増やすようですから、各府省では、事務次官の権限がさらに骨抜きにされるでしょうし、明日の見えない行政が続いていくことになるのでしょう。

財務省に勤務する知人の今年の年賀状にはこう書かれてありました。「政権交代への期待も空しく、国・地方の借金は更に積み上がり860兆円。そんなために命を摩り減らして働いているんじゃないと思いつつ、早く人間らしい生活を送りたいと今日も朝帰りの日々です。」

政権交代とは何か、それは果たして国民に希望や夢や幸せをもたらしたのか。今年は、鳩山政権が試される年、そして、国民に成果を具体的に説明する年ではないでしょうか。

2010年1月7日木曜日

生活支援策の悪用? 憤りを感じます!

一昨日にご紹介したばかりの「年越し派遣村」を退所した住まいの無い求職者を継続して支援するために、東京都が無料で提供している貧困者対策施設で、仕事や住まいを探しに宿泊施設の外へ行く交通費や食事代として国費2万円を受給した利用者のうち、約200人が、受給当日に禁止されていた無断外泊をしたことが報道されました。


東京都の派遣村200人、無断外泊 交通費2万円受給後(2010年1月7日 朝日新聞)

住まいのない求職者を対象に、東京都が昨年末から宿泊場所を無料提供して続けている生活再建支援で、利用者約560人のうち、約200人が6~7日、都が禁じた無断外泊をした。6日に都は宿泊施設の外へ仕事探しに行く交通費などとして、ほぼ全員に2万円を支給していた。
http://www.asahi.com/national/update/0107/TKY201001070240.html?ref=rss


いろんな人たちのご苦労があって生活再建の支援策として支給された大金が水泡に消えたという感じでしょうか。無断外泊の理由や2万円の使途が明らかにされていませんのでなんとも言えませんが、仮に目的外使用があったのであれば、厳正に対処すべきでしょう。

国費により支給された一人当たり2万円というお金の原資は、もしかすると国民の税金なのかもしれません。無断外泊して目的外に使用した人たちとさほど変わらない貧困生活を余儀なくされながらも、必死に働いて得たわずかな賃金の中から納めた血税が、今回のような使われ方をしたのであれば、それは決して許されざる裏切り的犯罪行為です。

お金を無駄に使うという点では、お金を支給した役所も同罪。もっと真剣に物事をよく考え行動してはどうでしょうか。

2010年1月6日水曜日

学長の権限とリーダーシップの活かし方

昨日(12月5日)、山形大学の結城彰夫学長は、新年を迎えるに当たって、山形大学が取り組む課題や目標をまとめた行動計画である「結城プラン2010」を発表しました。

このプランは、結城学長の就任以来、今回で3回目の作成となるもので、就任時の公約である 1)何よりも学生を大切にして、学生が主役となる大学創りをする、2)教育、特に教養教育を充実させるという2つの基本方針を実現するためのマニフェストとして位置づけられ、毎年、達成状況を検証しながら、新たな課題を設定し実現していくことにより、山形大学の改革を計画的・継続的に進めていく羅針盤になるものです。

この結城学長マニフェストは、全教職員のほか在学生や新入生にも配布・共有されるとともに、大学のホームページを通じて社会にも公表されています。

結城プラン2010(山形大学ホームページ)
http://www.yamagata-u.ac.jp/jpn/university/pdf/yukiplan2010.pdf


法人化に伴い、国立大学の学長の権限が強化されました。国(文部科学省)が持っていた権限を含め多くの権限が学長に委譲され、学長のリーダーシップによる更なる大学改革、教育改革が求められるようになりました。

この学長が持つ権限がいかに強大かについては、法人の経営者たる理事長と教学部門の学長による分権によって機能している私立大学と比較すれば、自ずと明らかであり、一部には、権限の一極集中による専権的支配を心配する声があるほどです。

法人化前、国立大学の学長は、表向き大学の代表者という位置付けにありながら、実際には、教職員の人事や学内予算の編成といった重要事項に関する決定権はほとんどなく、実質的には、最高議決機関である評議会及びそれを支配する教授会が権限を持つという構造で意思決定が行われていました。

したがって、学長が、大学の発展に資する取り組みを何かやりたいと考えても、まずは学内の実力者である学部長や、文部科学省から送り込まれた事務局長の賛同を得ること、その上で、学部自治=教授会の運営に影響力のある教員たちに、周到な根回しなどをする必要がありました。

ところが法人化後はこれが大きく変わりました。「学長は大学を代表し、業務を総括する」こととなったのです。理事を含め他の職員は学長が任命する、学長の選考は、教授会でも評議会でもない、学外者が半数を占める学長選考会議が行うこととなりました。

しかし、残念ながら、現実は、「意向投票」という名の下で教員による選挙が行われ、その結果どおりの学長選考を行っている大学も未だに多数存在しています。学内の政治状況が選挙の行方を左右する悪弊から脱却できていない、脱却しようとすらしない結果、最も適切な人材が学長として選ばれていない、実質的な学内支配をもくろむ一部の野心的教員達が傀儡政権を作り、論功行賞による役員人事を断行するというおぞましい状況は、常識ある国民に対して到底説明のつく話ではありません。法律は、もう選挙は必要ないと言っているのですから。


冒頭にご紹介した山形大学の結城学長は、この日記でも何度かご紹介したことがありますが、文部科学事務次官の職を辞し学長候補者になることが明らかになったその時点から、天下りという一点で散々揶揄され続けました。

しかしどうでしょうか。誰よりも大学や学生を想う真摯な姿勢、大学の経営トップとしての目標を掲げこれを広く公表し、着実に実現していく力量は、多くの大学関係者が手本とすべき学長の権限とリーダーシップの活かし方なのではないでしょうか。

2010年1月5日火曜日

格差社会、もう少し何とかならないものか

年末年始の恒例になりつつある「年越し派遣村」。このような”越年施設”の風景がテレビや新聞で報じられる社会の有様に、もう少し何とかならないものかと腹立たしく感じたのは私だけではないのではないでしょうか。

今回設けられた派遣村は、前回(東京・日比谷公園)の場合と違って、政府の要請を受けた東京都が、国立オリンピック記念青少年総合センター(渋谷区)に用意した”官製”の派遣村だそうで、前回の反省が生きた政権交代の効果という見方もあるようです。

この派遣村を利用した人は、前回の6割増の833人だそうで、前回、派遣村で年を越し、その後日雇いでしばらく食いつないだが、仕事が途絶えて路上生活に転じ、昨年末に再び派遣村に戻ってきた人も少なくないということです。

「命をつなぐ」という意味では、派遣村の効果は肯定されるべきですが、根本的な解決には全くなっておらず、なんとかして、職と住を失った人々がさまようことのない世の中をつくる取り組みを官民が総がかりで努力してやっていかなければなりませんね。

昨年末は、冷え込む景気の影響で、冬のボーナスを受け取ることができなかったサラリーマンのお父さんも多かったわけですが、この世には景気の影響をさほど受けずにすむ居心地のいい仕事もあるようです。

これからご紹介する記事、いずれも国民の税金がその仕事の報酬の原資になっていることを社会の皆様はしっかり知っておかなければなりません。


民間企業の冬のボーナスは厳しいが・・・国会議員はいくらもらえるの?(biz誠)

行政刷新会議による事業仕分けで、来年度予算の概算要求が次々に削られているが、なぜか「国会議員の特権」は仕分け対象には入っていない。例えば、 現職議員の冬のボーナスは、バッジをつけている期間に応じて186-310万円支給される。民間企業が昨年より大幅に減る中、わずか6%減という好待遇だ。サラリーマンの懐は”厳冬”が確定しているだけに、鳩山由紀夫政権の国民目線が問われそうだ。・・・


銀行マンの平均年収は691万円・・・最も高いのは(biz誠)

給与に関しては、公的資金の返済を終えていない中央三井トラスト・ホールディングス、りそなホールディングス、新生銀行の公的資金3兄弟に批判の目が向けられている。いずれも09年3月期の平均年収が前の期より19万~50万円も上昇しているためだ。金融界では「給与を上げる前に公的資金を返した らどうだ」との声も出ている。・・・
http://bizmakoto.jp/makoto/articles/0911/24/news048.html


いかがでしょうか。このような不条理がある一方で、中小零細の民間企業では、ボーナスどころか給与も減額の一途。そんな中でも、子どもの教育費は削ることはできず、家計に重くのしかかる現実。次に奨学金の問題に関する記事をご紹介します。(消去されていますので全文掲載します。)


教育転換:政権交代の波/6止 大学奨学金 「返済不要」の創設急務(2009年11月15日 毎日新聞)

「娘は大学を卒業するとき、奨学金だけで800万円もの借金を抱えて社会に出るのです」
夫がリストラに遭い、パートをしながら大学1年の長女(20)と高校3年の長男(17)を育てる山口県宇部市の女性(46)は、新政権が掲げる教育支援策に強い疑問を抱く。「子どもの未来のためと言いながら、お金のかかる大学生には目が向けられていない」と。
今春、隣県の私立大の理学部に進んだ長女は、有利子で月12万円の奨学金を独立行政法人「日本学生支援機構」(旧日本育英会)から受けている。高校3年間も奨学金で公立校に通った。通算7年、彼女の返済総額は800万円を超える。
長男は、体育教師を目指したこともあったが、家計の厳しさから大学進学を断念。来春から寮のある県内の建築会社で働く。「夢を追わせてあげたかった」。女性は無念さをにじませる。
家計が暗転したのは7年前。大手企業に勤めていた夫が、突然のリストラ。仕事は見つかったが収入は激減し、いま、女性のパート代を含め一家の年収は300万円を切る。
昨春、志望校を落ちて浪人した長女は、カラオケ店のアルバイトで夏季講習費を稼いだ。合格はうれしかったが、授業料は年間140万円。アパートの入居費用などもあり、女性は実家に頼み込んで母親(75)から200万円を借りた。「大変やねえ」の言葉に、「ごめん、元気でおってね」としか答えられなかった。
民主党が公約の目玉に掲げた教育支援策は、大学生の子どもを持つ家庭には届かない。1人あたり月額2万6000円を支給する「子ども手当」は中学生以下、「授業料無償化」は高校生が対象。2人とも通り過ぎた。
さらに、その財源と目される「特定扶養控除」の縮小が検討されている。現行は16歳以上23歳未満の子どもがいる場合、1人あたり63万円が所得の課税対象から外される。支援が受けられないうえに扶養控除もなくなれば「泣きっ面にハチです」と、女性は嘆く。
大学などの高等教育費の貧弱さは他国と比較しても際立つ。経済協力開発機構(OECD)の調査によると、06年の公的財源から高等教育への支出は、対国内総生産(GDP)比でわずか0.5%。加盟28カ国中最下位だ。逆に保護者による私費負担の割合は67.8%で、OECD平均(27.4%)を 大幅に上回る。ノルウェーはわずか3%だ。
東京大大学総合教育研究センターの小林雅之教授(教育社会学)によると、ヨーロッパ、特に北欧では大学の授業料は無償で、生活費のための奨学金制度も充実しているという。文部科学省によると、08年度の全国の大学、短大、高等専門学校の中退者のうち「経済的な理由」で退学した割合は15.6%。小林教授は「返済しなくていい給付型奨学金と授業料減免の拡充策を早急に検討すべきだ」と話す。


上記のような苦労話を読んだ後で、次のような記事を読むと「どないなっとんだ、この国は!」と腹立たしさが勢いピークに達します。こんな格差社会放置していいはずはありません。


隠れ天下り、外務・経産・文科省所管の3独立法人でも(2009年12月6日 朝日新聞)

厚生労働省所管の独立行政法人が天下りOBを高給の嘱託職員にしていた問題で、新たに外務、経済産業、文部科学各省がそれぞれ所管する3独法が、中央官庁の天下りOB計5人を、天下り凍結の対象外の非常勤職員などのポストで雇用していたことが、朝日新聞の調べで分かった。人件費削減などの規制を免れた「隠れ天下り」が各省庁に広がっている実態が明らかになった。
3独法で計5人の天下りOBは、常勤の役職員扱いではないため給与水準が公表されない。さらに、独法などの人件費は、05年度を基準に06年度以降の5年間で5%以上削減されることが法律で決まっているが、5人の給与は削減対象外の事業費から支出されていた。また、政府は、国家公務員OBが占めていた独法の役員ポストへの天下り凍結を決定したが、この5人は対象外だ。
国際交流基金では、文科省と財務省のOB各1人を参与として雇用。年収は役員に準じた約1300万円で、個室も与えられていた。基金関係者は「予定を管理している秘書もいる。組織内では役員と同等に思われている」と証言している。
石油天然ガス・金属鉱物資源機構は、経産省と総務省のOB各1人を非常勤特命参与として雇っていた。日本学術振興会では、文科省OB1人が審議役に就いており、部長級だが役員会にも出席しているという。・・・
http://www.asahi.com/politics/update/1206/TKY200912050431.html?ref=rss


隠れ天下り、7独立行政法人11ポストで 総務省調査(2009年12月8日 朝日新聞)

厚生労働省所管の独立行政法人が同省OBらを嘱託職員として雇用していた問題を受け、総務省は8日、98あるすべての独法を対象に、年収1千万円以上を得ている非正規の嘱託職員の調査結果を発表した。厚労、文部科学、総務の3省が関連する7法人の11ポストで、こうした「隠れ天下り」が確認され、最大で 1326万円の年収を得ていた。・・・
http://www.asahi.com/politics/update/1208/TKY200912080212.html?ref=rss


独法8割が不適切支出 高額手当や福利厚生(2009年12月9日 共同通信)

総務省の政策評価・独立行政法人評価委員会(委員長・岡素之住友商事会長)は9日、2008年度の時点で国が所管していた全101の独立行政法人(独法)のうち84法人で、国家公務員より高額の手当や職員のレクリエーション費補助など、不適切な支出があったことを明らかにした。
委員会は同日、各府省が設置している独法の監視機関に対し、支給額などをチェックして是正するよう文書で通知。独法は世論の批判を受け、親睦費やクラブ活動費などの補助廃止を進めているが「国民の不信感は一掃されていない」(岡委員長)と指摘した。住居手当や扶養手当を含む給与水準は過半数の51法人が国を上回っており、各府省は独法への天下り問題も含めて一層の見直しを迫られそうだ。
内閣府所管の「沖縄科学技術研究基盤整備機構」の場合、研究を統括する代表研究者の住居手当の上限が月16万円。国の手当は2万7千円で、内閣府の監視機関も「速やかな見直しが必要」と指摘していた。
経済産業省所管の「経済産業研究所」「原子力安全基盤機構」など4法人では、通勤手当の上限が月10万円と国の5万5千円を大きく上回った。
http://www.47news.jp/CN/200912/CN2009120901000769.html

2010年1月4日月曜日

大学間連携FD・SD

大学でFDやSDを進めて行こうとする時に、まずぶち当たる障壁が、大学としての組織的取り組みに発展させることの困難さだと聞いたことがあります。

総論賛成各論反対の実質的抵抗勢力が、FD・SDの取り組みを無力化しようとする、その結果、いつまでたっても教員・職員の職能開発への方向性が定まらないし、引いては、教育や学生の質の低下を招くことになり、各種評価では散々な目にあうといった経験は、真摯な教職員であれば経験されていることではないでしょうか。

FD・SDをくじけずに続けていくために「大学間連携」によって推進していく方法があります。中央教育審議会答申「学士課程教育の構築に向けて」(平成20年12月24日)においても、教職員の職能開発に関する「大学間の協働」の必要性が次のように指摘されています。


現状と課題

個々の教職員の力量の向上を図るとともに、教員全体の組織的な教育力の向上、教員と職員との協働関係の確立などを含め、総合的な教職員の職能開発が大切になっている。

ユニバーサル段階において多様な学生が入学し、教学経営の在り方及びそれを担う教職員の在り方も大きな変化を迫られることになる中、その改革に向けた組織的な取組は急務である。

しかしながら、上記のような教職員の職能開発に関する課題を乗り越え、実効ある取組を進めていくには、個々の大学の努力に期待するのみでは限界がある。

教員や大学職員の職能開発の取組が活発な海外の事例を見ると、拠点的組織やネットワーク、学会や職能団体など、個別大学の枠を超えた支援の体制や基盤が発達していることが伺える。

改革の方向

こうした海外の事例も参照しながら、大学間の協同の体制づくりに向け、関係者が主体的な努力を払うとともに、国としても、大学教育を振興する基盤整備の一環として、適切に関与していくことが必要である。

その際、国立大学等の大学教育センター等における取組が各地域で進展しつつある中で、教員や大学職員の職能開発プログラムの開発・実施や、センターの共同運営など、大学間連携や支援に関する組織的な役割や貢献を果たし、ネットワークを広げていくことを期待したい。


現実に、この中教審が提言したFD・SDの大学間連携が各地で積極的に進められています。ちなみに、昨年末、京都FD開発推進センターというところが主催した2009年度第2回FDセミナー「大学間連携を活かしたFD・SD-より実質的な改善・開発を目指して-」に参加してきましたので、概略ご紹介します。

このセミナーは、2009年12月13日(日)14:00-17:00に、大谷大学講堂(京都市北区小山上総町)で開催されました。主催者によれば、参加者は約260名(うち、教員、事務職員半々)だったようです。

主催は、京都FD開発推進センターで、このセンターは、2008年度、より実効性の高いFDプログラムの構築を目指して京都地域の18大学・短期大学が連携協定を結び、文部科学省に採択された「戦略的大学連携支援事業」を組織的に推進するために設置された組織で、京都地域の教育力を長期的に支援していくことを使命としています。

セミナーは、「FDネットワークつばさ」の中心的役割を担う山形大学高等教育研究企画センターの教員、事務職員のそれぞれから報告が行われる形で進められました。


大学間連携を活かしたFD -義と愛のある協働的大学づくりを目指して-

講師 杉原真晃(山形大学高等教育研究企画センター准教授)

○大学間連携によるFDの必要性は、
  1. 知的、物的、人的、財政的リソースの効率的利用
  2. 他校との交流による自校の特色の発見、多様化
○山形大学が挑戦する大学間連携を活かしたFDは、
  1. FDネットワーク“つばさ”
  2. 4大学の連携によるビデオ版授業改善ティップス集「あっとおどろく大学授業NG集」
○大学間連携を活かしたFDネットワーク”つばさ”

(理 念)
  1. 実践的FD
  2. 持続的発展

(活 動)
  1. 授業改善アンケート
  2. 公開授業と検討会
  3. FD合宿セミナー
  4. FDワークショップ
  5. 授業支援クリニック(個別支援型FD)
  6. ベストティーチャー賞・新人賞
  7. 学生FD会議(学生モニター制度)
  8. FDシンポジウム
  9. FD合同研修会 など

○大学間連携を活かしたFD:ビデオ版授業改善ティップス集は、
  • 山形大学、静岡大学、東京工芸大学、北星学園大学の教員が協働して作成
  • 各大学での事例・学生の声をもとに一般化した12本の「NG集」

    1. ダメ教師かな?
    2. 学生を見下す
    3. 身内自慢
    4. 放任教授
    5. 後部座席満席です
    6. 重ね書き
    7. 僕たちに怒っても・・・
    8. 一方通行
    9. えこひいき
    10. 情報の嵐
    11. 教師の時間
    12. 黙る人

○NG集の特徴としては、
  1. 特に初任者を対象
  2. 良い授業ではなく問題のある授業→質の保証、共通性、抵抗感の軽減
  3. エンターテイメント
  4. 短時間→わかりやすさ、楽しさ、見る側の負担の軽減
  5. 学生の意見、教員の教育経験から抽出した授業改善のポイント→実践性の向上
  6. FDネットワークの産物→複雑・多様な事例、アイディアの検討による汎用性、共通性、多様性の確保
  7. 話題の提供による情報交換の場の形成→同僚性、FDコミュニティ
  8. FD講演会やワークショップ等でのツール→自己研鑽、相互研鑽等、多様な活用方法

○NG集の反響としては、
  1. 学内外での視聴
  2. 新聞掲載、テレビ放映
  3. 山形大学高等教育研究企画センターホームページにおいて視聴が可能(順次、動画をアップ)

○NG集の成果としては、
  1. わかりやすくインパクトがある→負担感、抵抗感が低い、記憶に残る
  2. 見やすく、楽しく授業について考える→和やかな雰囲気、積極性・主体性
  3. ビデオを基に自分の授業を振り返る。教員同士のコミュニケーションが促進される。(授業改善の工夫、学校や学生の事情、授業に関する自らの考え等)→授業・教育システムの省察と改善、同僚性の構築、コミュニケーションの促進、FDコミュニティの形成

○山形大学の「大学間連携FD」
  1. 公開・透明化・共有化による情報交換、相互研鑽→利用可能なリソース、参加可能なプログラムの選択による負担の軽減、安心感
  2. 欠点の補充とは異なる発見、創造型プログラム→発見や創造の成果を見える形にすることによる負担感の軽減、喜び・達成感
  3. 希望ある未来に向けた持続可能なFD、大学間連携FD=Future Dream

大学間連携を活かしたSD -大学の垣根を越えた職員の相互理解を目指して-


講師 川田正之(山形大学高等教育研究企画センター/エリアキャンパスもがみ事務局職員)

○山形大学が行ってきたSDの歴史の紹介
  • 第1回 山形大学創出プロジェクト

    • 平成15年2月、前学長と小田教授との間で「山形大学発の新しいことを大学全体の取り組みとして進めていこうとするとき、従来の方式だけでは対応できない。新しいプロジェクトを考えよう。」と、合宿形式のSD研修を実施 

  • 第2回 山形大学活性化プロジェクト

  • 第3回 SUCCES

    • 目的:職員の企画・立案・調査・交渉・プレゼンテーション能力の開発
    • 内容:職員が地域社会(県内市町村)に飛び出し、具体的なプロジェクトを創出する。

  • 第4回 「あっとおどろく大学事務改善」執筆・編集・刊行

    • 目的:事務職員のこれまでの仕事の評価・点検・日々の仕事の見つめ直しや改善
    • 内容:大学事務改善本の執筆、編集、刊行

○大学間連携のSD研修会の開催(2009年5月実施)

(経 緯)
  • 教育改善を推進する事務職員の研修の必要性(つばさFD協議会)
  • 山形大学は、FDで先行。合宿セミナーやつばさ事業において、自然な形で外の大学と連携し、大学間で連携することの重要性を体感
  • 中教審答申(平成20年12月24日)-学士課程教育の構築に向けて-
  • これまで山形大学で実施してきたSD研修の成果
  • 「あっとおどろく大学授業NG集」の反響
(特 徴)
  • つばさ加盟校をはじめとする全国の国公私立の大学・短大・高専から参加(40名)
  • 多様な職種・職階・年齢(人事担当者、上司の推薦、若手職員から部長まで)
  • プロジェクト創出型-NG集のDVD作成

○あっとおどろく大学事務NG集
  • 大学事務に共通する17のNG例を抽出、一事例1分程度、ユーモア感覚を交えて制作
  • NG集は、FDネットワークつばさのホームページで公開


    1. 学生との接し方
    2. 低い意識
    3. えこひいき
    4. 整理整頓
    5. 前例踏襲主義
    6. 同僚の仕事を手伝わない
    7. これって会議?
    8. メモをとろう
    9. 指示をしない上司
    10. 仕事の丸投げ
    11. 空気の読めない上司
    12. ホウレンソウがない
    13. たらい回し
    14. メールで伝言
    15. 鳴り続ける電話
    16. 無言の職場
    17. 頼まれる人


SD研修参加者からの意見
  • 日常では認識できない“NG”に対する再認識ができた。
  • 知らず知らずのうちにNG職員になっているのでは?と考えさせられた。
  • 意識・意欲の向上につながった。

まとめ 教職協働で進めるFD/SD

深野政之 京都FD開発推進センター 専門研究員
  • 職員の意識改革
  • 職員の能力向上
  • 専門的知識の習得
が極めて重要である。