2010年11月20日土曜日

再事業仕分けの功罪

先日、行政刷新会議による事業仕分け第三弾が終わりました。

特に後半(11月15日(月)~18日(木)の4日間)で行われた仕分けは、これまでの事業仕分けや国丸ごと仕分け(行政事業レビュー)の対象となった事業についての”再仕分け”と言われるもので、文部科学省(大学)関係のいくつかの事業が対象になりました。

文部科学省(大学)関係の事業については、11月18日(木曜日)に実施され、ネット中継も行われましたので、職場のパソコンからのぞき見た方々もおられたのではないでしょうか。

再仕分けの評価結果については、様々な意見が飛び交っていますが、事業仕分けの意義と、我が国の高等教育の発展・充実に資する政策を天秤にかけ、あるべき姿を追求することは大変難しいことです。

しかし、これまでの政権下ではなかったこのような透明性の高い行政レビューが、国民の目の前で行われるようになったこと自体は高い評価を得ているのではないかと思います。

事業仕分けの行く末については、行政刷新会議においても総括されることになると思いますが、せっかくですので、国民に対しても意見を求めてはいかがでしょうか。

再仕分けの対象となった大学関係事業

  • グローバルCOEプログラム
  • 博士課程教育リーディングプログラム
  • 大学教育質向上推進事業(大学教育・学生支援推進事業)
  • 大学生の就業力育成支援事業
  • 地域・社会の求める人材を養成する大学等連携事業(大学教育充実のための戦略的大学連携支援プログラム)
  • 国際化拠点整備事業
  • 大学の世界展開力強化事業

事業仕分け第三弾(大学関係)の詳細と評価結果の詳細
http://www.shiwake.go.jp/details/2010-11-18.html#A-26


関連報道

13大学、国際化事業の拡充訴え 再仕分けに反発 (2010年11月16日 日本経済新聞)

大学の国際化を推進する文部科学省の国際化拠点整備事業(グローバル30)に採択されている13大学が16日、東京都内で記者会見し、行政刷新会議の再仕分けの対象になっている同事業について「これ以上の削減は国際社会の信用を失う」として拡充強化を訴えた。
会見したのは、東京大、京都大、東北大、早稲田大、慶応義塾大など国立7校、私立6校の副学長ら。「縮減は信義に反し、国の未来に反し、政府の利益に反する」(阿川尚之慶応義塾常任理事)などと再仕分けに反発した。
グローバル30は、英語による授業の充実などで海外からの留学生を多数受け入れたり、戦略的な国際連携を推進したりする事業で2009年度に始まった。30大学を採択する予定だったが、13大学の採択で止まっており、昨年の仕分けを受けて今年度予算額は3割減の30億円になっている。
http://www.nikkei.com/life/news/article/g=96958A9C93819695E3E4E2E1988DE3E4E3E3E0E2E3E29180EAE2E2E2;da=96958A88889DE2E0E3EAEAE7E6E2E0E3E3E0E0E2E2EBE2E2E2E2E2E2

公営ギャンブル、天下り廃止を=再仕分け最終日-刷新会議(2010年11月18日 時事通信)

政府の行政刷新会議(議長・菅直人首相)は18日、過去の事業仕分けの結果を検証する「再仕分け」の4日目の作業を行い、10月下旬の特別会計の見直しを含めた仕分け第3弾の全日程を終えた。・・・文部科学省の大学関係予算では、仕分け人から「予算の重点化が図られていない」といった厳しい意見が続出。就職相談体制の強化を後押しする「大学教育質向上推進事業」などが廃止と決まった。個性的な大学院を支援する「グローバルCOEプログラム」に対しては、1割以上の予算縮減を要請した。・・・
http://www.jiji.com/jc/c?g=pol_30&k=2010111800611&m=rss

事業仕分け結果の詳報(2010年11月18日 共同通信)

【競争的資金(同)】各府省の研究関連事業の調整などを目的とする科学技術振興調整費(要求額281億円)に質問が集中。必要に応じて文科省から各府省の予算に移し替えられるのが特徴だが、ここ数年の実績はわずかで、仕分け人は「歴史的使命を終えたのでは」と指摘。継続事業の終了後に廃止と判定した。ほかの競争的資金も「似たような制度を集約するよう昨年求めたが、改善が不十分」として、全体として1割程度の予算縮減とさらなる集約を求めた。
【大学関係事業その1(同)】大学院の研究拠点を支援するグローバルCOEプログラム(264億円)は「予算の3分の1削減を求めた過去の議論が反映されていない」と仕分け人が反発、確実な実施を求めた。政府の新成長戦略に基づき新規要求した、優れた人材を輩出する大学院の構築を目指す博士課程教育リーディングプログラム(51億円)は、COEプログラムの衣替えで、大学が取り組むべき改革の内容が不明確として「見直し」と判定した。
【大学関係事業その2(同)】(1)実践的な専門教育による就業能力向上(29億円)(2)今後の成長分野に対応した教育カリキュラム開発など(72億円)(3)地域に根差した雇用に直結した人材養成(37億円)―を主な目的とする3事業はいずれも廃止と判定された。就業能力向上には「大学の通常予算で行うべきだ」との指摘や、財政力のある大学も支援対象となることへの批判が出た。成長分野対応も「旧態依然のカリキュラムを変える効果があるのか」と疑問視された。
【大学関係事業その3(同)】英語で学位が取れるコースの設置を進める国際化拠点整備事業(35億円)と、米中韓の大学と単位互換を促す世界展開力強化事業(30億円)について、仕分け人は事業目的を認めつつも「コストが極端に高い」「将来的なビジョンが見えない」などと指摘し、ともに予算配分などを白紙から見直すべきだと判定した。・・・
http://www.47news.jp/CN/201011/CN2010111801001025.html

高木文科相 仕分け人廃止判定「不満を持っている」(2010年11月19日 スポニチ)

高木義明文部科学相は19日の閣議後会見で、行政刷新会議の「再仕分け」で大学生の就業能力向上を目指す同省の事業が廃止と判定されたことについて「不満を持っている。新卒者の就職問題は極めて大きな社会問題。今後、首相官邸と十分に協議し、充実させたい」と述べた。
仕分け人から「大学の本来業務なので通常の予算を使って実施すべきだ」などの意見が出たことに、高木文科相は「本来業務ということでくくるべきものではない。大学も苦しい中でやりくりして頑張っている」と強調。
今後の仕分けの在り方に関し「さまざまな意見があり、議論しないといけない」と語った。
http://www.sponichi.co.jp/society/flash/KFullFlash20101119029.html

30学会会長らが抗議声明=再仕分けで「国家基盤崩壊」(2010年11月19日 時事通信)

日本化学会や日本物理学会など30学会(会員数計約39万人)の会長らは19日、政府の行政刷新会議の再事業仕分け結果に抗議し、高度な人材育成と科学技術予算の強化を求める連名の声明を発表した。・・・
http://www.jiji.com/jc/c?g=pol_30&k=2010111901024&m=rss