2010年12月5日日曜日

大学業務の生産性をいかにして高めるか (4)

職務の設定と戦力の配分


職員個々の職務遂行、組織の編成と運営という順に論じてきたが、最後に職務の設定と戦力の配分について述べたい。

大学の業務は、教育研究や学生支援など教学に関わる「直接業務」、それらの基盤となる経営に関する業務などの「間接業務」、新たな課題の設定とその企画・推進に関わる「戦略的業務」の3つに大別することができる。

直接業務は大学の本来機能そのものであり、入試や学位認定などミスが許されない業務が多い。これらの業務についても効率化は必要であるが、完璧さときめ細やかさが何よりも優先されなければならない。

そのことを前提にしながら大学全体の生産性向上を実現するためには、間接業務を可能な限り簡素化・効率化するとともに、それによって捻出した時間や労力を戦略的業務にシフトしていく必要がある。

企業では直間比率が重要な管理指標になる。つまり、営業・調達・生産などの直接部門に対して、総務・経理・人事などの間接部門が多過ぎないかが絶えず問われているのである。

学長・理事長をはじめとするトップマネジメントは大学全体の業務のバランスや戦力配置に目を配り、間接業務から直接業務や戦略的業務にシフトできるように、またそれぞれの業務においてもルーティン業務から創造的な業務にウェートが移るように、職務の設定を行い、戦力の配分を行ってい必要がある。

教職員の働く姿の中で最も強く印象に残るのは入試業務である。特に厳冬の路上に立ち受験生を誘導する職員の姿は大学ならではの光景であり、これらの地道な仕事によって大学が支えられていることを毎年実感する。

派手さや新しさはないが強い責任意識をもって着実に実行される業務と、教育研究や経営の質を高めるための創造的・挑戦的業務の両方が相俟って、大学の生産性が高められなければならない。(おわり)