2013年3月9日土曜日

国立大学の二極化

諸セミナー等における活発な発言により存在感を示している国立大学の学長経験者のひとりに、元三重大学長の豊田長康さんがおられます。

現在は、独立行政法人国立大学財務・経営センターの理事長をされており、学長時代から続けているブログ「ある地方大学元学長のつぼやき」や、ツイッターを通じた積極的な情報発信を続けておられます。

最近印象に残ったブログ記事としては、
があります。読んでいただくとわかりますが、「大学間の格差」についての危惧を示されています。

なかでも気になったのは、国の政策担当者、つまり文部科学省の役人の地方大学軽視の意識です。

最近、文部科学省が示した「大学改革実行プラン」をテーマとするセミナーやシンポジウムが、国公私立大学を問わず各地で盛んに開催され、文部科学省の担当者が基調講演やパネリストとして参加しています。

いくつかのものに参加しお話を聞く機会がありましたが、どうも、文部科学官僚という役人としての「上から目線」や「頭ごなしの改革」がちらついているような気がしてなりません。

これまで、各大学の真の改革を促すような政策を本当に十分にやってきたのか、度重なる高等教育政策失敗の責任をしっかりと検証し総括しているのかなど、大学人としては疑問符ばかりの政策を担当する方の話が、単なる評論家のように聞こえ、失望しているのは私だけでしょうか。

国の政策担当者である以上、まずは、我が国の高等教育の未来図を国民にしっかり示した上で、具体的な改革手法である政策を説明しなければ説得力はありません。

霞が関や虎の門という特殊な世界にのみ通用する常識を、そのまま地方に押し付けようとしても全く通用しないことを自覚し、政策の中心目線を常に現場に据える意識を持ち続けていただきたいと思います。

「地方の若者は地方以外のことを学べない」ということにならないよう、しっかりと我が国の高等教育の舵取りをしていただきたいと思います。