2013年5月31日金曜日

教育再生実行会議 第三次提言

去る5月28日、教育再生実行会議による、第三次提言「これからの大学教育等の在り方について」が、安倍総理に提出されました。

提言の中では、確実な実行を担保するため、実施主体(国、大学、地方公共団体、企業など)が明確にされています。

このうち、「大学」が実行すべきこととして提言されている部分について、抜粋してご紹介します。

全体版についてはこちらをご覧ください
   

1 グローバル化に対応した教育環境づくりを進める。


①徹底した国際化を断行し、世界に伍して競う大学の教育環境をつくる。
  • 大学は、優秀な外国人教員の増員や教員の流動性の向上のため、年俸制を始め、教員の能力等に応じた新しい給与システムの導入を図る。また、日本人教員の語学力、特に英語による教育力を向上させ、英語による授業比率を上げる。外国人教員の生活環境の整備・支援(英語による医療、子どもの教育、配偶者の就労支援等)、大学事務局の国際化などトータル・サポートのための体制を整備する。
  • 大学等は、外国の大学や現地企業等との連携により海外キャンパスの設置を進め、海外における魅力ある日本の教育プログラムの実施を図る。

②意欲と能力のある全ての学生の留学実現に向け、日本人留学生を12万人に倍増し、外国人留学生を30万人に増やす。
  • 大学は、大学入試や卒業認定におけるTOEFL等の外部検定試験の活用、英語による教育プログラム実施等の取組を進め、学生に実践的英語力を習得させ、海外留学に結び付ける。外部検定試験については、大学や学生の多様性を踏まえて活用するものとする。また、英語力の優秀な学生には更なる語学の習得も重要であり、例えば、東アジアにおけるグローバル化への対応として、実践的中国語等の習得を目指すことなども有用である。
  • 大学は、海外の大学との交換留学や単位互換を進めるとともに、秋入学やクォーター制など国際化に対応した学事暦の柔軟化を図る。
  • 優秀な外国人留学生の戦略的な受入れ拡大のため、国、大学等は、ワンストップで留学を可能とする海外拠点を整備し、入学手続の共通化・簡略化を含め、渡日せずに入学許可や奨学金の支給決定をする仕組みを構築する。また、英語による授業、日本語教育、宿舎整備等の生活支援や優秀な外国人留学生の日本企業への就職支援を充実・強化する。

2 社会を牽引するイノベーション創出のための教育・研究環境づくりを進める。

  • 大学は、専門分野の枠を超えた体系的な博士課程教育の構築など大学院教育を充実するとともに、幅広い人材の交流による新たな発想からイノベーションが創出されるよう大学院入試の在り方の見直しを図る。また、テニュア・トラック制の普及・定着、研究費や研究スペースの十分な確保など若手研究者の研究環境を整備する。さらに、産学官の連携を図り、大学は多様なキャリアパスの開発・開拓と実社会にマッチした大学院教育を行うよう責任を果たす。
  • 産学が一体となって新産業の創出を図るため、大学は、企業の技術開発部門との人事交流や、企業人の学び直しを通じて、研究者と企業の連携による事業化のマネジメントができる人材の育成を図る。特に地方においては、研究開発の拠点としての機能を強化する。 

3 学生を鍛え上げ社会に送り出す教育機能を強化する。

  • 大学は、課題発見・探求能力、実行力といった「社会人基礎力」や「基礎的・汎用的能力」などの社会人として必要な能力を有する人材を育成するため、学生の能動的な活動を取り入れた授業や学習法(アクティブラーニング)、双方向の授業展開など教育方法の質的転換を図る。また、授業の事前準備や事後展開を含めた学生の学修時間の確保・増加、学修成果の可視化、教育課程の体系化、組織的教育の確立など全学的教学マネジメントの改善を図るとともに、厳格な成績評価を行う。
  • 大学において、学内だけに閉じた教育活動ではなく、キャリア教育や中長期のインターンシップ、農山漁村も含めた地域におけるフィールドワーク等の体験型授業の充実を通じて社会との接続を意識した教育を強化する。その際、学生が働く目的を考え自己成長を促す長期の有給インターンシップを産学の連携により進めていくことも考えられる。
  • 初等中等教育を担う教員の質の向上のため、教員養成大学・学部については、量的整備から質的充実への転換を図る観点から、各大学の実態を踏まえつつ、学校現場での指導経験のある大学教員の採用増、実践型のカリキュラムへの転換、組織編制の抜本的な見直し・強化を強力に推進する。また、学生の学校現場でのボランティア活動を推進するなど、大学と学校現場との連携を強化する。

4 大学等における社会人の学び直し機能を強化する。

  • 大学・専門学校等は、職業上必要とされるより高度な知識等の習得や、新たな成長産業に対応したキャリア転換に必要な知識等の習得など、産業界や地方公共団体のニーズに対応した高度な人材や中核的な人材の養成のためのオーダーメイド型の教育プログラムを開発・実施する。
  • 大学・専門学校等は、産業界や社会人の学び直しニーズにマッチするよう、社会人教員の活用などによる先駆的な授業科目の開発、産業界との協働による実践的な職業教育プログラムの開発などの取組を進める。
  • 社会人が学びやすい環境を整備するため、大学・専門学校等は、短期プログラムの設定や通信による教育の充実、ICT 等の活用を進める。

5 大学のガバナンス改革、財政基盤の確立により経営基盤を強化する。

  • 国立大学は、年俸制の本格導入や学外機関との混合給与の導入などの人事給与システムの見直し、国立大学運営費交付金の学内における戦略的・重点的配分、学内の資源配分の可視化に直ちに着手し、今後3年間で大胆かつ先駆的な改革を進める。
  • 国や大学は、各大学の経営上の特色を踏まえ、学長・大学本部の独自の予算の確保、学長を補佐する執行部・本部の役職員の強化など、学長が全学的なリーダーシップをとれる体制の整備を進める。学長の選考方法等の在り方も検討する。また、教授会の役割を明確化するとともに、部局長の職務や理事会・役員会の機能の見直し、監事の業務監査機能の強化等について、学校教育法等の法令改正の検討や学内規定の見直しも含め、抜本的なガバナンス改革を行う。


(関連報道)教育再生、安倍カラー前面 教授会の権限縮小 伝統教育を重視(2013年5月29日 産経新聞)

政府の教育再生実行会議(鎌田薫座長)の第3次提言は、2つの安倍カラーが出た。一つは大学教育のグローバル化、もう一つは伝統教育の重視だ。特に、「大学自治」を振りかざして大学改革に消極的な教授会については、役割を厳格にすることで、学長主導の大学改革を後押しする狙いがある。

教授会は、カリキュラムの設定、学生の処分や入退学の決定、教授の採用に深くかかわり、大学の運営に存在感を示してきた。学校教育法には「大学には重要な事項を審議するため教授会を置かなければならない」とあり、ある大学関係者は「『重要事項』を拡大解釈して大学を事実上支配してきた」と説明する。

提言は、「教授会の役割を明確化し、学校教育法等の法令改正の検討や学内規定の見直しも含め、抜本的なガバナンス改革を行う」とした。教授会の権限を弱めることを通じ、グローバル化や組織改革で大学の生き残りを図ろうとする学長がリーダーシップを発揮しやすい環境を整備するねらいがある。今後、教授会を学長への助言機関に変えることなどが想定される。

また、鎌田座長は28日、首相官邸で記者団に「(提言では)日本人としてのアイデンティティー確立や日本文化発信に関する記述を強化した」と説明した。

提言は、真の国際人は外国語で日本の文化を紹介できる人物であるとの基本理念を打ち出した。

その上で、小中高校を通じて「国語教育やわが国の伝統・文化についての理解を深める取り組みを充実する」と明記した。英語で日本史や茶道を学ぶことが想定される。素案の段階にはなかった「日本文化について指導・紹介できる人材の育成や指導プログラムの開発等の取組を推進する」との記述も加えた。


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