2013年6月28日金曜日

グローバル化とTOEFL

教育評論家の梨戸茂史さんが書かれた「入試はTOEFL時代?」(文部科学教育通信 No318  2013.6.24)をご紹介します。


英語教育がTOEFLなる試験に前のめりだ。大学入試に取り入れる話も出ている。これには、賛否両論がある。TOEFLはそもそも海外大留学のための試験で、要求する語彙に日常会話では使わないような学術的なものが多く、日本入にとっては難易度が非常に高いとされる。自民党教育再生実行本部が4月、大学受験へのTOEFLを導入するということを柱とした「提言」をまとめた。

しかし、学校教育の到達度を測るには適さないという見方もある。特に、海外の大学への留学経験のある人からの意見だ。この提言の責任者(遠藤議員)ですら10点くらいしかとれないと言っている(朝日新聞5月1日)のだから、少々無責任な印象ですぞ。「高校卒業レベル」に設定した「45点」をはるかに下回る点数(現在主流のibtでは120点満点)。面白いのは国会議員もTOEFLを立候補要件にしてはどうかとか、官僚にも受験を義務付けようとしたら、国会議員には必要かどうかやら、役人の現役は除外してこれから公務員試験を受ける人からといった話があったらしい。どちらも笑止千万。

学校教育を変える方法がなぜTOEFLなのかというは、最初の疑問。ところで、現行の中学の教科書を見たことがありますか? 1年の英語では、最初は会話文が主流。本格的な文法や読解はおしまいの方にある。以前から、話し聞く英語に重点が置かれているのだ。つまりすでに英語学習はわれわれの時代からは大きく「変わって」きている。TOEFL反対論では、江利川和歌山大教授が、「学校教育だけで英語が話せるようになるというのは幻想」だとおっしゃる。東大入試や英検1級を超える場合もあるTOEFLの要求水準に、学校教育だけでもっていくのは困難で「『体育の授業の目標を国体出場レベルにしよう』といっているようなもの」という。おまけに英語嫌いを増やす危険性もある。学校教育というのは、英語が将来必要になったときに自分で学んで伸びられるよう、基本的な文法や音声、語彙などの土台づくりに目的を置くべきという(賛成だなあ)。先生いわく「私も英語教師です。英語ができる日本人が増えたらいいなと思います。遠藤さんも自助努力で必死にやれば、国際会議やレセプションで話せるようになります。どうかお願いですから、学校教育に責任を押し付けないでください」。もっともですよね。一方、アメリカ留学に求められる程度の学術英語のカは日本の大学生に必要であり、そのような学術英語のカを測定するには、現行のセンター入試の英語の試験よりも、TOEFLが適Lていると言う意見もある。しかし大学入試英語をTOEFLにしたら、TOEFL予備校ばかりが儲かリ、受験生は大変な時間的&経済的負担を負わされ、特別な英語の勉強のための経済負担が可能な家庭の子どもだけが有利になり、教育格差が一層拡大する。大学は同年代の半数が進学する全入の時代だ。だから、すべての大学、大学生に「アメリカ留学に求められる程度の学術英語のカ」は無理ですよね。

もうすこし、大きな話もある。英語圏で数年生活した経験でいえば、思考方法も「英語化」する。つまリ、いちいち日本語に翻訳して、日本語で考え、それをまた英語に翻訳して返事Lたりはしていない。「思考」を含めた日本人としてのアイデンティティである「日本語」を使わない英語の生活、行動なのだ。これって結構怖い話です。つまるところは、グローバル化としての英語教育は日本人を洗脳?し、「英語」の植民地化の流れの中にいると考えるべきものだろう。

それでも、これがどこかお隣の国の言葉だったら、いつの間にか、「日本」は同じ言葉をつかう「わが国の領土の一部」の証拠だ、といわれるよリマシかもしれぬ。


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