2013年6月27日木曜日

今後の国立大学の機能強化に向けての考え方

前回ご紹介した、国立大学法人学長・大学共同利用機関法人機構長等会議における下村文部科学大臣の挨拶の中にもありましたが、このほど、文部科学省は、国立大学の機能強化に向けて「今後の国立大学の機能強化に向けての考え方」を明示しました。全文をご紹介します。


今後の国立大学の機能強化に向けての考え方(平成25年6月20日文部科学省)

我が国は、急速な少子高齢化、グローバル化、新興国の台頭による競争激化など社会の急激な変化に直面しており、持続的に発展し活力ある社会を目指した変革の遂行が求められている。大学は、社会の変革を担う人材の育成やイノベーションの創出といった責務に応えるために、社会における大学の機能の再構築等に取り組んでいく必要がある。

現在、国立大学については、「大学改革実行プラン」(平成24年6月)を踏まえ、「ミッションの再定義」を始点とした機能の強化に取り組んでいる。今回、「これからの大学教育等の在り方について」(平成25年5月28日教育再生実行会議第三次提言)、「日本再興戦略」(平成25年6月14日閣議決定)及び「第2期教育振興基本計画」(平成25年6月14日閣議決定)を踏まえつつ、第2期中期目標期間(平成27年度まで)の後半3年間を「改革加速期間」として設定し、以下に示す観点を中心としてさらに機能の強化に取り組むこととする。

1 「ミッションの再定義」を通じて、各大学の有する強みや特色、社会的役割を明らかにする。

○文部科学省と各大学は「ミッションの再定義」を本年末をめどに取りまとめ、全国的又は政策的な観点からの強みや各大学として全学的な観点から重視する特色、担うべき社会的な役割を明らかにする。これにより、国立大学の有する「世界水準の教育研究の展開拠点」、「全国的な教育研究拠点」、「地域活性化の中核的拠点」などの機能の強化を図る。

2 大学のガバナンス改革、学長のリーダーシップの発揮を通じて、各大学の有する強みや特色、社会的役割を踏まえた主体的な改革を促進する。

○「ミッションの再定義」等のプロセスで明らかにする各大学の有する強みや特色、社会的役割を中心として、国立大学の機能の強化を図るため、各大学は、人材や施設・スペースの再配分や教育研究組織の再編成、学内予算の戦略的・重点的配分等を通じた学内資源配分の最適化に、学長のリーダーシップの下で主体的に取り組む。

○文部科学省は、学内資源配分の最適化や大学の枠を越えた連携・機能強化を含む先駆的な改革を進める国立大学を、予算の重点的配分を通じて支援する。また、学内資源配分の可視化を促進する。あわせて、国立大学法人評価委員会の体制の強化を促進し、国立大学改革の進捗状況をきめ細かくフォローする。

○文部科学省は、学長が全学的な改革にリーダーシップを発揮できる体制が確立できるように、教授会の役割の明確化、部局の運営を効果的に活性化するための学内組織の機能の見直しや監事機能の強化などのガバナンス改革に取り組む。

3 人材・システムのグローバル化による世界トップレベルの拠点形成を進める。

○急速に進む社会や産業界のグローバル化の中で、我が国社会の発展を支える観点から、大学は国内外の優秀な学生や研究者を集めつつ、国際的に活躍できる人材の育成や国境を越えた共同研究に積極的に取り組むことが必要である。世界水準の教育研究の展開を進める観点から、外国人教員の大量採用、海外トップクラスの大学の教育プログラム及び教員等の積極的誘致並びに英語による授業の拡大等に取り組むことにより、人材・システムのグローバル化を進める。

○文部科学省として、今後10年間で、世界大学ランキングトップ100に10校以上へのランクインなど、国際的存在感を高めつつ、国際的に活躍できる人材の育成を目指す。

4 イノベーションを創出するための教育・研究環境整備を進め、理工系人材の育成を強化する。

○新興国との激しい競争に直面し、少子高齢化が進行する我が国が、経済成長を維持し、国際競争力の強化を図るためには、イノベーションを絶え間なく創出していくことが求められている。各大学は、イノベーションを支える主要な担い手となる理工系人材の戦略的育成を図るため、今後産業界との対話を通じて策定される「理工系人材育成戦略」(仮称)を踏まえ、教育研究組織の再編成や整備を進める。また、文部科学省は、国立大学法人による大学発ベンチャーを支援するための出資を可能とするなどの制度改正に取り組む。

○文部科学省として、今後10年間で、20の大学発新産業を創出することを目指す。

5 人事・給与システムの改革を進め、優秀な若手研究者や外国人研究者の活躍の場を拡大する。


○国立大学が、グローバル化への対応を図るとともに、イノベーションの創出に適した環境となるためには、法人化のメリットを活用しつつ、若手研究者や外国人研究者といった多様な人材を引きつけていくことが欠かせない。このため、各大学は、退職金にとらわれない年俸制や学外機関との混合給与等の導入を促進することで、公務員型の人事・給与システムを改め、優秀な若手研究者や外国人研究者の常勤職への登用を進める。

○文部科学省として、今後3年間で、国立大学における1,500人程度の若手・外国人研究者へ常勤ポストを提示することを目指す。

6 国立大学として担うべき社会的な役割等を踏まえつつ、各専門分野の振興を図る。

○「ミッションの再定義」を先行して実施した3つの専門分野について、各大学ごとの強みや特色を伸長し、社会的な役割を一層果たすための振興の観点は以下のとおりである。

○教員養成大学・学部については、今後の人口動態・教員採用需要等を踏まえ量的縮小を図りつつ、初等中等教育を担う教員の質の向上のため機能強化を図る。具体的には、学校現場での指導経験のある大学教員の採用増、実践型のカリキュラムへの転換(学校現場での実習等の実践的な学修の強化等)、組織編成の抜本的見直し・強化(小学校教員養成課程や教職大学院への重点化、いわゆる「新課程」の廃止等)を推進する。

○医学分野について、超高齢化やグローバル化に対応した医療人の育成や医療イノベーションの創出により、健康長寿社会の実現に寄与する観点から機能強化を図る。具体的には、診療参加型臨床実習の充実等国際標準を上回る医学教育の構築、卒前・卒後を通じた研究医育成を推進する。また、独創的かつ多様な基礎研究を推進するとともに、分野横断・産学連携を進め、治験・臨床研究推進の中核となり、基礎研究の成果をもとに我が国発の新治療法や革新的医薬品・医療機器等を創出する。地方公共団体と連携し、キャリア形成支援等を通じた地域医療人材の養成・確保、高度・先進医療や社会的要請の高い医療を推進する。

○工学分野については、我が国の産業を牽引し、成長の原動力となる人材の育成や産業構造の変化に対応した研究開発の推進という要請に応えていくため、前述の「理工系人材育成戦略」(仮称)も踏まえつつ、大学院を中心に教育研究組織の再編・整備や機能の強化を図る。具体的には、エンジニアとしての汎用的能力の獲得を支援する国際水準の教育の推進など、工学教育の質的改善を推進し、グローバル化に対応した人材を育成するとともに、最新の高度専門技術に対応すべく社会人の学び直しを推進する。また、社会経済の構造的変化や学術研究・科学技術の進展に伴い、各大学の強みや特色を生かしながら先進的な研究や学際的な研究を推進するとともに、研究成果を産業につなげる観点から地域の地場産業も含め広く産業界との連携を推進する。

※その他の分野についても、「ミッションの再定義」に取り組みつつ、今後、各専門分野の振興の観点について順次明確化を図る。

7 「国立大学改革プラン」(仮称)を策定するとともに、運営費交付金の在り方を抜本的に見直す。

○文部科学省は、「ミッションの再定義」の取りまとめ作業と並行して、この「考え方」をもとに各専門分野の振興の観点や具体的な改革工程を盛り込んだ「国立大学改革プラン」(仮称)を、本年夏をめどに策定する。

○文部科学省は、各国立大学の改革成果を考慮しつつ、教育や研究活動等の成果を踏まえた新たな評価指標を確立するとともに、第3期中期目標期間(平成28年度以降)は、国立大学法人運営費交付金の在り方を抜本的に見直す。