2013年9月1日日曜日

社会的責任を果たすためには

桜美林大学大学院・大学アドミニストレーション研究科教授の山本眞一さんが書かれた「大学経営人材に期待されるもの」(文部科学教育通信 No.32 2013.8.12)から、気になった部分を抜粋してご紹介します。



いよいよ役・教・職の協働が必要に

さて、以上の発表を含む今回のような研究会が開催されるゆえんは、大学のマネジメントが、ガバナンスのための制度枠組みだけではなく、これを担う人材、すなわち私が言う「大学経営人材」の質やその質の確保のための人材養成と深く関わり合いを持っているからである。大学は企業や官庁とは異なり、さまざまな専門分野の教育・研究に当たる教員を数多く抱える組織体である。また、大学は営利を目的とする企業や、法令に基づく事務を取り扱う官庁とは違って、学術研究とその応用を手段として社会に貢献することが使命であり、行動基準の多くは学問そのものから出てくるという点で、極めて複雑・多様である。大学を経営しようとする者は、この大学という組織の特性を良く理解した上でなければ、その任務を十分に果たすことができない。

とはいえ、大学は孤高の存在ではなく、社会によって支えられた一つの制度として動いているから、社会の他の成員の支持がなければ、その役割は果たせない。つまり、教育・研究・社会貢献という機能を活用することによって、社会に対して責任を持たなければならない。とりわけ、近年のように大学と社会との関係が緊密になっている中では、社会の他の部分とどのように協力をし、また折り合いをつけていくかということは非常に重要なポイントである。その意味で、民間的発想を大学経営に取り入れるとか、法令遵守を徹底するとかいうことも、それが大学の本質を壊さない限りにおいては、十二分に考慮しなければならないだろう。

現実はどうかと言えば、これまでのように大学を巡る環境が、政治的にも経済的にも安定的で、かつ学生数を十分に確保できていた時代においては、大学は経営するものではなく、管理・運営ができさえすればそれで良かった。したがって、学長とそれを支える事務局、そして教員の利益を代表する評議会や教授会の意見のそれぞれをうまく調整できれば、少なくとも外見上は十分に通用するものであった。教授会自治は大学運営にとって極めて深刻な障害である、と文句を言う学長もいたが、前例踏襲と漸進的改革で大学運営ができていた時代は、ある意味では大変幸せな時代であったであろう。1990年代に入り、大学を巡る環境は極めて流動的になり、かつ大学の諸活動に対する社会からの要求もエスカレートしてきている。これに対処するには、役員・教員・職員が協働関係を構築しつつ、力を合わせることが最善の策ではないだろうか。


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