2014年2月26日水曜日

名脇役

学校法人東邦学園愛知東邦大学 理事・法人事務局長/学長補佐の増田貴治さんが書かれた「大学職員の力量を高める」(文部科学教育通信 No333 2014.2.10)を抜粋してご紹介します。


石垣のように個々人を活かす

教職員の協働作業は、互いの立場や役割を認識するだけでなく、性格や専門的な能力などを、認識し合える機会となる。こうした機会を多く作り出し、教職員の相互理解、一体感の醸成へとつなげることである。職員には協働性を高める役割、”人や組織をつなげ、ひろげる”任務があり、重要性はますます高まるだろう。

教職協働を考えるに当たって、もう一つは組織の組み立て方を”レンガ作り”か、”石垣”にたとえるかである。異なる個人の持ち味や能力を活かそうと考えれば、同種の石や同型のレンガ造りよりも、石垣を積み上げる発想の方が、柔軟かつ強固な構造につながるのではないか。個々人の能力を最大限に発揮できるように組み合わせてこそ、最高のパフォーマンスが発揮されると考える。ただ、石垣はもう一つの特徴がある。窮屈でなく、息苦しくない代わりに、必ず”隙間”ができることだ。隙間が広がり過ぎると、石垣は崩れる。

それには、隙間を埋めていく目配りが欠かせない。実は大きな隙間が生じて、本学の未熟さを学外にさらけ出す手痛い失策があった。しかも、本学が重視してきた地域と連携した教育実践の中で起こしてしまった。

互いの眼差しを変えてみる

愛知東邦大学は2011年度、地元の名古屋市名東区役所から、区をPRするDVDの作成を依頼された。名乗りを上げた専門ゼミが中心となり、意気込んで取り組んでいるものと思い込んでいた。ところが昨年9月、学園の地域担当課長が打合せに区役所へ出向くと、地域担当の責任者が言いにくそうに、「少々申し上げにくいことですが・・・。実は完成した品物をまだ受け取っていないんです」と切り出し、本学職員は仰天した。2013年3月末に納品されるべきDVDを、期限から半年過ぎても届けていなかった。

調べてみると、完成させた作品を一旦は見てもらい、区長をはじめ幹部職員にプレゼンテーションをしていた。その場で数箇所、変更要請が入り、手直しを加えて最終版を納品するところまではこぎつけていた。ただ学生にとっては、意に沿わない修正だったようで、頓挫したという。やる気を失って放置していたとの説もある。プロジェクトに関わった当時の4年生は既に卒業。大慌てで担当教員が修正作業を行い、完成版を届けた。今は区役所のロビーで放映されている。

反省すべきは、職員を通じて区役所が頼んだプロジェクトを、大学執行部が担当ゼミに割り振れば役目を果したと、安直に済ませたことだった。進捗管理などはほとんど行われず、担当教員任せだった。学外と関わるこうした事業こそ、教職協働で取り組む必要があった。

失策は起きるべくして起きた。多くの教員が、ゼミ活動に職員が関与することを良しとせず、しばしば職員は用事・注文を聞いて回る”御用聞き”になることがあった。さまざまな教訓を踏まえて成功裏に終えられたのが、冒頭の少年サッカー大会である。

名脇役に話を戻そう。真っ先にイメージするのは、女優の故沢村貞子さん。名エッセイストでもある沢村さんは、実生活を「ほかに能がないからね。せめてせっせと働かなけりゃ」「母は自分が自分がと思わないで、みんながみんなが、と思っていた」と振り返っている。ひた向きで控えめな生き方が、名脇役としての演技にもつながったのだろう。教員との間合いの取り方は難しいが、沢村さんのように考えれば、職員としての仕事への向き合い方も変わっていくのではないだろうか。


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