2014年6月3日火曜日

居場所の違いを理解する

愛読しているブログの一つ「外から見る日本、見られる日本人」から世界の中のニッポン、目線の合わせ方」(2014年05月28日)をご紹介します。


5月23日の読売新聞の一面は「タイ軍クーデター」「ウルムチ爆発死者31人」「北、韓国側を砲撃」というアジア外交の記事が紙面を占拠しています。たまたまそういうニュースが重なったとしても今の日本はグローバル化の中で世界情勢と強いかかわりを持ち続けています。

安倍首相は外国人労働者への門戸緩和、外国人移民の検討、外国人旅行者をオリンピックまでに3000万人へなど外国人が来る日本をイメージしています。それは旅行のみならず日本の生活を通じて日本人との融合が前提になっていきます。

東京神田。金曜日の夕方、人々が街に繰り出す時間、立ち飲み屋に群がるのは外国人サラリーマン達。明らかに近辺で勤めていると思われる白人男性数名が立ち飲み屋で談義している姿をみて全く違和感を感じないのは外国ではパーティーなどが立ち飲みだからでしょう。以前行った新宿の外国人でごった返すビアバーでもいす席があるものの立ち飲みで人が溢れていました。

一方、人手不足に悩む日本の飲食業界は究極の機械化。居酒屋ではメニューは全部手元の端末から自分で注文。原則、店員は注文を聞きに回ってこないからこの端末で注文しない限りいつまでたってもビールにありつくことは出来ません。多分ですが、これは外国人にとって理解しがたいことです。なぜならばレストランとは食事の品質、店の雰囲気、サービスの三拍子がそろってこそワークします。だからどれだけうまいものを食べさせるとしても例えばサーバーがワインの種類さえ分からなければお店は失格になるのです。先日入った居酒屋で「日本酒はどんなのがありますか?」と聞いたところ思い出すように言った銘柄は全部焼酎。学生アルバイトさんにとって日本酒や焼酎の銘柄は分からなくてもサワーとかハイボールならわかるということでしょうか?

冒頭のアジアのニュースについても一般的な日本人ならば見出しだけ見て内容を読まず、そんなことがあるのか、と遠い外国の縁のない話と思っている人が大半でしょう。それよりもスポーツの結果とか奇妙な殺人事件や社会問題満載の社会面の記事に精通して語ってしまうということでしょうか。

確かに日本から一歩も出ず、海外旅行はパッケージのみ、となれば外国人と話をする必要もなくまるでバスでサファリパークに行ってガラス窓越しに動物を見ることと同じになってしまいます。その人たちにクーデターとかテロ、国境を接した隣国と打ち合いなどは全く想定する必要のない事件なのでしょう。

ですが、10年後には都会や観光地を中心に日本が外国人で溢れかえるとすればどうでしょうか?お隣さんは外国人という時代がもうすぐやってきます。国家戦略特区では外国人へのアパートの短期貸しが可能になります。週末になるとパーティーで大騒ぎ、あるいはゴミは窓からポイする習慣がある外国人も目にすることになります。それに対してどうアプローチするのでしょうか?まさか、警察に通報することになれば警官は外国語をマスターしなくてはいけません。それとも黙って泣き寝入りで「やっぱり外国人は嫌だ」と言いふらすことになるのでしょうか?

しかし、私のように外国に住んでいてもとてつもない常識外れの人には時々お目にかかります。その時どうするかといえば直接、間接的にその人に諭し続けるのです。普通、1,2回言われれば分かるものです。諭し方もあります。それでもだめなら警察に通報するでも訴えるでもとにかく、論理的にそれを止めさせる手段がいくつかステップとして備わっています。外国人は言われれば分かるのですが、日本人は言う、理解してもらう、討論する、諭すという手段を持ち合わせていません。日本人同士でもいきなり怒鳴り込まれるようなところですから外国人にはさっぱり訳が分からない状態になるのでしょう。

日本は否が応でも外国と付き合っていかねばなりません。それは外国語をしゃべることではなく、きちんと向かい合って説明する、抗議するというプロセスが必要です。突然、「おいこら!」「バカヤロー」では意味をなさないということを日本人は学んでいかねばなりません。

そのためには外国で今なぜ、そのような紛争や問題が生じているのか、その背景を考えてた上で居場所の違いを日本人がまず理解するが大事です。外国人がそれをすればよい、という意見はあるでしょう。しかし、外国人が100%日本を理解してやってくることはまずありません。ましてや日本も地方ごとに独特の文化、風習はあります。まずは外国人と向き合うことが大切です。そしてそのためには外国で何が起きているのか、せめてニュースを読む癖から入るのはとっつきやすい入門編であると言えましょう。