2014年8月31日日曜日

鎮魂と追悼

8月も今日で終わり。本日の「天声人語」(朝日新聞)から「8月の言葉から」をご紹介します。


立秋をはさむ二つの原爆忌。そして、迎え火と送り火のはざまで戦没者を想(おも)う敗戦忌。不戦を誓い、鎮魂と追悼に頭(こうべ)を垂れた8月の言葉から

▼栃木の明良(あきよし)佐藤さん(70)は、8月15日から新年が始まる「戦後カレンダー」をつくり続けて30年になる。終戦の昭和20年を元年とする独自の「戦後暦」で数え、この新年は戦後70年だ。「今度戦争が起これば戦後という言葉は使えない。その意味では戦後であり続けることが平和のあかし」

▼がんで余命宣告をされた鹿児島の女優、たぬきさん(本名・田上〈たのうえ〉美佐子さん、59歳)が、病を押してこの夏も平和を願う舞台に立った。「どれだけ命が大切で、重いか。平和の大切さをみんなで考えたい。だから私は今を生きる」と

▼修学旅行の男子中学生5人から「死に損ない」と暴言を吐かれた長崎の語り部森口貢(みつぎ)さん(77)が言う。「あの生徒たちとゆっくり話ができればなあ。生意気な時期もある年齢。あのことが傷にならなければいいが」

▼東京の公園で憲法9条を守る署名を集めてきた蓑輪喜作さんが85歳で死去。柔和な笑顔は、若者たちから「九条おじさん」と慕われた。残された歌に〈むきあいて 九条話はたのしかり 一人一人が孫のような顔〉。6万筆を1人で集めた

▼岐阜県高山市であった短歌コンクール「八月の歌」入選作に愛知の中1、中村桃子さんの一首。〈セーラーの衿(えり)のラインが一本になった理由は戦争だった〉。3本が1本に。通う学校の制服の歴史を調べて、詠んだ。