2014年9月28日日曜日

文科省天下り人事の功罪

久々に、文部科学省から国立大学法人への天下り(出向)人事に関する記事を目にしました。

国立大9割に 文科省「天下り」 理事ら幹部77人出向」(2014-09-01東京新聞)

全国の国立大学法人86校のうち約9割にあたる76校で、計77人の文部科学省出身者が理事や副学長、事務局長などの幹部として在籍していることが分かった。事実上の「天下り」を通じ、国立大の運営に文科省の意向が反映されている恐れがある。

文科省が自民党の無駄撲滅プロジェクトチーム(PT)に提出した資料で明らかになった。PTでは、文科省と国立大との人事交流を若手職員に限るなどの改善を提起する方針だ。

資料は4月1日現在で、文科省から国立大への出向者をまとめた。課長級以上の管理職は国立大ほぼ全ての83大学で、計239人が在籍している。

2013年の同省幹部の出向者は、75大学で75人。管理職は83大学で247人いた。12年は幹部が70大学で70人、管理職は80大学で239人だった。

6月に国会で成立し、来年4月から施行される改正学校教育法は教授会の権限を限定し、学長主導の大学改革を促す。同法の改正では、学長を補佐する副学長の職務範囲を拡大した。副学長への出向を通じ、国立大への文科省の影響力が一層強まる可能性がある。

文科省は「各学長から要望があった際、該当する人がいれば協力をする」(人事課)と要請に応じた人事交流と説明している。

文科省出身の理事2人がいる東京大は「文部科学行政全般に幅広い知識や経験を有した人材は、本学の発展に貢献いただけると期待し、総長(学長)が任命した。出向終了後は文科省に戻るので天下りではない」(広報課)としている。


法人化後10年が経過し、時間の経過とともに正常な違和感が麻痺してきた中で、第三期中期目標・中期計画の策定に向けた検討が始まるこの時期に、改めて文部科学省の人事介入について検証することは大変意味のあることではないかと思います。

文部科学省から理事、事務局長、部長、課長等として配属され、文部科学省の意向に従って全国、あるいは地域ブロックを転勤する事務系管理職の在り様については、このブログでも何度かご紹介しましたし、私見を述べさせていただきました。

国立大学法人の将来を左右する重要な課題ではないかと思います。文部科学省の悪しき権限(権益)を断ち切り、まさに今求められる学長権限の実質化を図り、真の意味での自主性・自律性を確保しなければなりません。

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