2014年10月14日火曜日

研究費不正使用に係る間接経費の削減

過日改正された「研究機関における公的研究費の管理・監査のガイドライン(実施基準)」では、「組織の管理責任の明確化」に係る取組として、機関における不正調査の最終報告書提出の遅延や体制整備の不備に応じて競争的資金制度における間接経費措置額の削減を行うこととされています。

(関連記事)
「研究機関における公的研究費の管理・監査のガイドライン(実施基準)」の改正について(文部科学省)

文部科学省研究振興局長名で、「間接経費措置額の削減割合の基準等」が、各大学長等宛に通知されていますのでご紹介します。


1 体制整備に不備がある機関に対する間接経費措置額の削減について(ガイドライン第7節)

(1)間接経費措置額の酬減基準について

ガイドラインの第7節における「履行状況調査」及び「機動調査」の結果に応じて付与した「管理条件」(改善事項)について、文部科学省がその翌年度から実施する「フォローアップ調査」において履行が認められないと判断した場合は、「フォローアップ調査」の翌年度から表1のとおり間接経費措置額の一定割合を削減することとする。

また、文部科学省が実施する「履行状況調査」及び「機動調査」の結果、機関における体制整備に重大な不備があると判断した場合又は機関における体制整備の不備による不正と認定した場合は、管理条件(改善事項)を付与するとともに、その翌年度から表2のとおり間接経費措置額の一定割合を削減することとする。


(表1)「フォローアップ調査」の翌年度から間接経費措置額を削減する場合

「フォローアップ調査」の結果、「管理条件」(改善事項)の履行が認められない回数に応じた削減割合は、 1回→5%、2回→10%、3回以上→15%(表形式を小生において加工)

(注)間接経費措置額の15%の削減措置を講じている年度の「フォローアップ調査」において、管理条件(改善事項)の履行が認められない場合は、翌年度以降の競争的資金の配分を停止する。


(表2)管理条件(改善事項)付与の翌年度から間接経費措置額を削減する場合

「フォローアップ調査」の結果、「管理条件」(改善事項)の履行が認められない回数に応じた削減割合は、「管理条件」(改善事項)付与の翌年度→5%、1回→10%、2回以上→15%(表形式を小生において加工)

(注)間接経費措置額の15%の削減措置を講じている年度の「フォローアップ調査」において、管理条件(改善箏項)の履行が認められない場合は、翌年度以降の競争的資金の配分を停止する。


※「履行状況調査」、「機動調査」及び「フォローアップ調査」の結果については、文部科学省が研究機関及び配分機関に通知することとする。

※「フォローアップ調査」は、「管理条件」(改善事項)の着実な履行が認められるまで、対象機関に対して毎年度1回実施することとする。

※「管理条件」(改善事項)の履行期限(1年)は、「『管理条件』を付与した日」から起算することとし、「フォローアップ調査」は、履行期限到来後に実施することとする。

※「フォローアップ調査」において、「管理条件」(改善事項)の履行に進展がある場合及び履行が認められない場合は、履行期限を1年延長し、翌年度も「フォローアップ調査」を実施することとする。

※「管理条件」(改善事項)の履行が認められない回数について、付与した「管理条件」(改善事項)の履行が、前年度の調査と比べ進展がある場合は回数を計上せず、進展がない場合に回数を計上することとする。

※間接経費措置額の削減の対象となるのは、文部科学省及び文部科学省が所管する独立行政法人から配分される全ての競争的資金とする。


(2)間接経費措置額の削減措置等の解除について

間接経費措置額の削減措置の解除については、文部科学省が実施する「フォローアップ調査」の結果、「管理条件」(改善事項)の着実な履行又は履行に進展があると判断した場合に、その調査結果の通知をもって配分機関がその翌年度から解除することとする。

なお、配分の停止の解除については、文部科学省が実施する「フォローアップ調査」の結果、「管理条件」(改善事項)の着実な履行又は履行に進展があると判断した場合に、その調査結果の通知をもって配分機関が解除することとする。


2 機関における不正調査の最終報告書提出の遅延に係る間接経費措置額の削減について(ガイドライン第8節)

配分機関は、機関が告発等を受け付けた日から210日以内に、最終報告書が提出されない場合は、提出期限を過ぎた日数に応じて、表3のとおり間接経費措置額の一定割合を削減することとする。

ただし、最終報告書提出の遅延に合理的な理由がある場合は、当該理由に応じて配分機関が別途、最終報告書の提出期限を設けることとしており、その提出期限を過ぎた日数に応じて、表3のとおり間接経費措置額の一定割合を削減することとする。

(表3)提出期限を過ぎた日数に応じた削減割合は、
 30日未満→1%、60日未満→2%、90日未満→3%、120日未満→4%、150日未満→5%、180日未満→6%、180日以上→10%(表形式を小生において加工)

※最終報告書提出の遅延の対象は、不正に関する告発等のあった競争的資金のうち、平成26年度予算以降(継続も含む。)のものとする。

※間接経費措置額の削減については、不正に関する告発等があった競争的資金における翌年度以降の1か年度の間接経費措置額を対象とする。

※間接経費措置額の削減の対象となるのは、文部科学省及び文部科学省が所管する独立行政法人から配分される競争的資金のうち、最終報告書の遅延がある当該競争的競争的資金とする。