2014年10月6日月曜日

中教審軽視の大学ガバナンス改革

IDE:現代の高等教育(2014年7月号)から、「拙速な大学改革案の審議」をご紹介します。


2014年4月25日に、大学ガバナンス改革をめざす学校教育法改正案が閣議決定された。法案の成立の可否はこの稿が刊行されるときには明らかになっているだろう。法案そのものの内容についても検討する余地はあると思うが、ここで記しておきたいのは、この法案に関連する中教審の審議と立法過程についてである。詳細な検証は、高等教育政策研究者に委ねたいが、中教審の審議はすべて発言者名を含めて公開されているので、客観的に検証することが可能である。以下、議事録から審議の経緯をみたい。

この問題は、中教審組織運営部会では大学ガバナンスの問題として、2013年6月から12月まで7回審議された。審議の中で教授会を諮問機関にという委員の提案があるが、複数の委員はこれに反対しており、賛成する意見はみられない。また、続く12月の大学分科会では、学校教育法改正には賛成の意見は複数見られるが、諮問機関化の提案に対して、反対意見が特に大学関係者から出されている。しかし、12月の総会では、諮問機関化が再び提案されており、これについて文部科学大臣は、検討させていただきたいとしている。その後2月の大学分科会については、現時点では議事録が公開されていないので、どのような審議がなされたか不明である。2月や3月の総会では目新しい点は見られない。こうした中教審の審議の末、学校教育法改正案は、閣議決定されたのである。

以上が議事録から見た中教審の審議の経過であるが、学校教育法改正について、とりわけ教授会の諮問機関化について、委員の意見は必ずしも一致していないことは明らかである。しかし、このような中教審の審議とは別に、この法案については、首相の私的諮問機関である教育再生実行会議が主導的な役割を果たしているように思われる。既に、2013年5月の「これからの大学等の在り方について(第3次提言)では「教授会の本来の役割を明確化するとともに(中略)…学校教育法等の法令改正の検討」が提言されている。

さらにいえば、それ以前の政府の「骨太方針」や「新再興戦略」や文部科学省「教育振興計画」にも大学ガバナンスの改革が提案されており、現にこれらの動向については、第1回の組織運営部会に資料として配付されている。また、これらと並行して自由民主党も大学ガバナンス改革について提言を出している。

このように、詳細にみれば中教審でも改正についてとりわけ教授会の諮問機関化について委員の問でも意見が割れた。にもかかわらず、閣議決定までの経緯を見ると、中教審以前から改正ありという結論だったという疑念も拭いきれない。大学改革で拙速な議論は最悪だろう。大学改革について、このような審議のあり方は、将来に禍根を残すことが懸念される。(がいすと)

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