2014年11月30日日曜日

国立大運営費交付金配分ルールの見直しなど(1)

国立大学法人関係者の方々は既にご承知のとおりですが、文部科学省は、現在、平成28年度からの国立大学法人第三期中期目標期間における国立大学法人運営費交付金の在り方等(具体的には、運営費交付金の配分方法等の仕組み、予算配分に反映するための評価等、その他第三期中期目標期間における制度設計等)についての検討を進めています。

検討会の設置そのものは、上記のとおり、「国立大学改革プラン」に基づく本年10月の高等教育局長決定による既定路線ですが、財務省の財政制度等審議会財政制度分科会において、文科省における検討に先手を打つ形で、財務省の論理に沿った検討の方向性等が示されています。

今後の文部科学省、財務省の動向を注視する必要がありますね。























(関連報道)

3割を改革経費に=国立大交付金配分ルール見直し-財務省(2014-10-22時事通信)

財務省は22日、教育研究に必要な経費を国が国立大学法人に支給する一般運営費交付金の配分ルールを見直す方針を固めた。同交付金の約3割を「改革経費」と位置付け、新たな評価に基づき配分する。取り組みが優れた大学に交付金を重点配分するのが狙い。27日に開く予定の財政制度等審議会(財務相の諮問機関)にたたき台を示す。

財務省が見直しを検討しているのは、国立大学法人運営費交付金(2014年度予算1兆1123億円)のうち教員らの人件費などに充てている一般運営費交付金(同9130億円)。現在は教員数などに応じ一律に配分されている。

改革の具体案は、国立大学を3グループに分類し、複数の指標に基づき評価。「世界最高の教育研究の拠点を目指す大学群」は、研究論文の数、招聘(しょうへい)した外国人研究者数などの指標を重視。「全国的な教育研究拠点を目指す大学群」はアジアを引っ張る技術者の養成状況などを、「地域活性化の中核的拠点を目指す大学群」は地域への人材供給などを評価指標に挙げている。

文部科学省は13年11月に発表した「国立大学改革プラン」で運営費交付金の配分に、改革への取り組みに応じ、めりはりを利かせる方針を示している。財務省案の新たな大学評価システムは、これを後押しするものだ。


国立大学交付金、成果で配分 財務省案、統廃合も(2014-10-27共同通信)

財務省は27日、財政制度等審議会の分科会を開き、国立大学に配る運営費交付金の改革案を示した。交付金の3割程度を「改革経費」とし、論文数や若手登用といった指標で成果を評価し配分する仕組みに見直す。文部科学省と協議し、2015年度の導入を目指す。

成果を上げている大学に重点配分する一方、不十分な大学は減額されるため、競争原理が働いて大学の統廃合につながる可能性がある。

運営費交付金は14年度予算で1兆1123億円を計上しているが、大部分が教員や学生数に応じて配分されるため、各大学の取り組みや改革姿勢が反映されにくい。


40人学級復活を議論=生活保護の見直しも-財政審(2014-10-27時事通信)(抜粋)

財務省は同日(10月27日)の財政審で、教育研究に必要な経費を国が国立大学法人に支給する一般運営費交付金の配分ルールを見直す必要性を訴えた。同交付金の約3割を「改革経費」と位置付け、研究論文の数といった新たな評価に基づき配分する内容だ。


国立大交付金に成果主義 政府方針、16年度にも(2014-10-28日本経済新聞)

政府は国立大学への運営費交付金(2014年度は1兆1123億円)の配分に成果主義を導入する。大半を学生数や教員数など規模に応じて配分する現状を改め、研究や人材育成など成果に基づいて配分する仕組みを入れる。文部科学省を中心に来年夏までに評価基準をつくり、16年度にも採用する。人口減少をふまえ、大学間の連携や統廃合を促す狙いもある。

国立大への交付金は14年度に約9千億円分を規模に応じて配分する。この一般経費とよぶ資金枠の一部に競争原理を取り入れる。財務省は27日の財政制度等審議会(財務相の諮問機関)で、一般経費の最低でも3割程度に成果主義を導入すべきだと提案した。文科省は慎重に対応するとみられ、成果主義の資金枠は導入当初は最大でも3千億円程度になりそうだ。

新基準では、現在は86ある国立大を3つのグループに分け、評価する。世界最高の教育・研究拠点、全国的な拠点、地域の中核拠点の3つの方向性を各大学が明確にし、それぞれ異なる評価手法を取る方向だ。財務省は27日の審議会で、世界最高の拠点をめざす大学では、論文数や研究成果の実用化、海外大学との連携などを評価指標とする独自案を示した。

各大学への予算配分の固定化を避け、競争原理を入れることで、大学の取り組み次第で多くの資金を得られるようにする。各大学が得意分野に注力することで、それ以外の分野で他大学との連携や統廃合が進む可能性が出てきそうだ。

今後の人口減の進展を受け、18歳人口は14年度の118万人から、30年後には76万人にまで減るとの推計がある。財政難もあり、政府内には支えるべき学校施設の選別の必要性を指摘する声もある。定員割れや収支悪化が相次ぐ私立大の再編も急務で、政府は大学間の連携や学部統合を後押しする助成金を15年度に新たに設けることを検討する。


国立大の交付金、配分見直し検討 11月に有識者会議(2014-10-28日本経済新聞)

下村博文文部科学相は28日の閣議後の記者会見で、国立大学の運営費交付金の配分方法の見直しについて、11月5日に有識者会議を設置し、具体化に向け検討を始めることを明らかにした。来夏までに結論を出し、2016年度予算から新たな配分方法を採用する。

下村文科相は「各大学の強みや機能強化の方向性に応じた支援及び評価を行い、高い付加価値を生み出す国立大の実現を目指したい」と話した。

文科省は昨年11月に発表した「国立大学改革プラン」で、現在はほぼ機械的に割り振られている約1兆円の運営費交付金について、最大4割を各大学の取り組み内容に応じて配分する方針を打ち出している。


(参考資料)

日本経済再生本部 産業競争力会議ワーキンググループ 第1回 新陳代謝・イノベーションWG(平成26年10月21日開催)配付資料

資料2 国立大学法人運営費交付金の在り方、大学ガバナンス改革について(文部科学省提出資料)