数多くのニュースを見たり聞いたりする毎日ですが、心温まるニュースは意外と少ないものです。この日記では、時折、目についた明るい話題をご提供しようと以前から「ためになる話・いい話」のカテゴリーを設けています。
今回は、最近の話題として3つほどご紹介します。相互の関係は全くない話ですが・・・。
日本研究のかげり(2009年3月6日 朝日新聞論説委員室から)
海外での日本研究が予想以上のスピードで退潮しつつある。
国際日本文化研究センター所長の猪木武徳氏が、隔月刊誌、「をちこち」(国際交流基金刊)の特集でそう嘆いている。
米国人の優れた日本史学者が米東部の有名大学から任用を拒まれた。独ヘッセン州ではマールブルク大学日本研究所の閉鎖が決まった。日本研究がかつてほど重要とされなくなっているらしい。
こうした例は、おそらく氷山の一角なのだろう。欧米では、日本研究の拠点を中国を加えた東アジアの研究施設に再編する動きが進んでいるという。
ただその一方、個別の研究をみると、日本人以上に日本をよく知る外国人研究者が次々と生まれている。
やくざの親分と知り合い、裏社会の実相を見たイスラエル人学者。全国のジャズ喫茶店主を訪ねて異文化との出会いについて対話を重ねた米国人学者。「をちこち」にその活動が紹介されている。
徳之島の闘牛、奥飛騨の獅子舞、講談などの話芸と、テーマの多彩さには目を見張る。かっこいい「クール・ジャパン」発見の試みも目立つ。
こうした若手の日本研究者の活動を支えようと、日本財団は、オックスフォードなど英国の12の大学に資金を出し、日本研究の講師ポストを設けた。
「将来の日本研究の水準を下げてはならないと思い、決断した」と田南立也常務理事。不況で苦しいのはわかるが、政府や企業も続いてほしい。
アフガン神学校建設に寄付 伊藤さんの両親が基金から(2009年3月10日 共同通信)
アフガニスタンで昨年8月に殺害された非政府組織(NGO)「ペシャワール会」(福岡市)の農業支援スタッフ伊藤和也さんの両親が10日、アフガン復興に役立てるため設立した基金の中から、同国東部に建設中のマドラサ(イスラム神学校)の備品購入費約200万円を同会に寄付した。
静岡県掛川市に住む伊藤さんの父正之さん(61)と母順子さん(56)は福岡市を訪れ、伊藤さんの活動を紹介する写真展の開幕式典に出席後、寄付金を贈呈。正之さんは「全国の皆さんから温かい支援をもらった。現地で子どもたちのために大切に使ってほしい」と話した。ペシャワール会は黒板や机などの購入に充てるという。
同会は約600人の学童が教育を受けるマドラサを3月末に完成予定。福元満治事務局長は「マドラサはイスラム過激派の養成所という誤解もあるが、通常の初等教育や孤児の養護施設の役割を担い、現地に欠かせない施設だ」と話している。
亭主関白(2009年3月11日 朝日新聞論説委員室から)
福岡市の全国亭主関白協会(全亭協)が設立10周年を迎える。ここでいう「関白」は、家庭内の天皇である妻を補佐する地位をさす。「いかにうまく妻の尻に敷かれるか」を日々研究している。
作家でタウン誌プロデューサーの天野周一会長(56)は一「風呂・めし・寝る」の3語に象徴される典型的な旧来型の亭主関白だった。99年に友人、知人4人が立て続けに妻に三行半をたたきつけらた。その話を何げなく妻にすると、「次はあなたの番よ」と矢が飛んできた。
それを機に、旧来型に決別した。しゃれ半分で始めた全亭協の会員は当初11人。団塊世代が定年を迎え、熟年離婚が社会問題化したのを契機に急増した。いまや40、50代を中心に17力国の約7千人にまで膨らんだ。昨年暮れには「世界亭主サミット」が東京で開かれた。
全亭協が提唱する夫婦円満の極意の一つは「愛の三原則」。ありがとうをためらわずに言おう。ごめんなさいを恐れずに言おう。愛してるを照れずに言おう。
「実行すれば、晩酌の発泡酒が普通のビールに変わるなど次々に奇跡が起きる」と天野会長は笑顔で語る。
もう一つの極意が「非勝三原則」。夫婦げんかの際に「勝たない、勝てない、勝ちたくない」。妻は絶対に謝らず、反論すれば、昔のことを蒸し返される。亭主が負けるのが鉄則だそうだ。
封建的な体質で知られた九州男児にしてこれである。世の旧亭主関白も観念する潮時なのだろうか。