大学、とりわけ国立大学は「手続き」に拘る社会である。上は学長から下は助教に至るまで、「真理の追究を職務とする研究者としては、上下の区別はなく、みな平等である」という意識が強く、「上(責任者)が決めたことに下が従う」というカルチャーがそもそも存在しない。このため、大学として何か一つの結論を出そうとする場合、学長以下の執行部(今でいえば役員)が臨機応変に決定し、その結果責任を負う、というやり方はほとんど認められず、結論を得るまでのプロセスの中で、広く構成員の意見が反映される(あるいは、意見がなくとも、構成員の意見表明の機会が保障される)よう、所定の「手続き」が確実に履行されていることが最も重視される。それを象徴的に示しているのが、大学のトップたる学長を選任する際に多くの国立大学でいまだに実施されている学内構成員の意向調査(投票)である。一般の企業や官庁では信じがたい文化だが、ちょうど地域の自治会とかPTAのような自治組織が、構成員の全員参加という形式に拘るところや、その結果、総会開催に当たって構成員からの白紙委任状を求めるところと近い感覚がある。その意味では、国立大学が法人化されようが、学長専任の法令上のルールが変わろうが、組織のトップが依然として学内の同僚教員から選ばれる限り、「手続き」に拘る大学文化を大幅に変革することは困難であるとも言える。そして国立大学協会は、そうした国立大学の文化の上に存在する団体であった。