一昨日行われた衆議院議員選挙では、自民党が圧勝しました。これからこの国の教育の舵取りはどうなるのでしょうか。右傾化政権とも言われていますし、心配はつきません。
とりあえず、自民党が選挙前に作った「政権公約」を見ておきましょう。「教育・人材育成」(文部科学省所管事項)だけでも膨大な公約です。絵に描いた餅にならぬよう、しっかりと具現化してもらいたいものです。
それにしても、これだけの政権公約を書くためには、文教政策にかなり精通した能力を持つ必要があります。ネタ元はもしかして、文部科学省の官僚さんたちなのかもしれませんね。
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日本を取り戻す。自民党の「約束」です。
Ⅲ 教育・人材育成、科学技術、文化・スポーツ
「人づくりは国づくり」。日本の将来を担う子供たちは、国の一番の宝です。わが党は、世界トップレベルの学力と規範意識を備え、歴史や文化を尊重する態度を育むために「教育再生」を実行します。日教組の影響を受けている民主党には、真の教育再生はできません。
60 世界トップの人間力と学力を実現するための教育投資の充実
『教育基本法』の理念に基づき、「自助自立する国民」「家族、地域社会、国への帰属意識を持つ国民」「良き歴史、伝統、文化を大切にする国民」「自ら考え、判断し、意欲にあふれる国民」を育成します。そのための「教育振興基本計画」「新学習指導要領」を確実に実施するため、恒久的な財源を確保し、OECD諸国並みの公財政教育支出を目指します。第1期「教育振興基本計画」の成果を検証のうえ、教育基本法に則った第2期基本計画を策定し、実行します。
全国学力・学習状況調査を全国一斉の学力テスト(悉皆〈しっかい〉調査)に戻し、すべての子どもの課題把握、学校・教職員の指導改善に活かします。さらに土曜授業を実現します。
61 わが国を愛する心と規範意識を兼ね備えた教育
国旗・国歌を尊重し、わが国の将来を担う主権者を育成する教育を推進します。不適切な性教育やジェンダーフリー教育、自虐史観、偏向教育等は行わせません。規範意識や社会のルール、マナーなどを学ぶ道徳教育や消費者教育等の推進を図るため、高校において新科目「公共」を設置します。
中学・高校でボランティア活動やインターンシップを必修化し、公共心や社会性を涵養します。職業教育やキャリア教育、農山漁村地域での体験学習等を推進します。あわせて「村祭り」など地域に根差した伝統・文化や、スポーツクラブ、サークル活動などの地域の絆を守り、コミュニティを支える取り組みを支援(「伝統文化親子教室」の創設など)します。
62 公教育における国の責任体制の確立
義務教育については国が責任を果たすとの理念に立ち、教育の正常化を図ったうえで、教育の地域間格差が生じないよう、義務教育費国庫負担金については、国が全額負担することを含め検討します。
さらに、地方自治の精神を尊重しつつ、いじめの隠ぺいなど、地方教育行政において、法令に違反している、あるいは児童生徒の「教育を受ける権利」を著しく侵害するおそれのある場合、公教育の最終責任者たる国(文部科学大臣)が責任を果たせるよう、『地方教育行政の組織及び運営に関する法律』を改正します。
63 激動の時代に対応する、新たな教育改革(平成の学制大改革)
世界トップの教育立国とするため、幼児教育の無償化、小学校5・6年生への教科担当制の導入、飛び級制度、中学・高校において未達成科目の再チャレンジ、義務教育化を含めた高等学校の理念・あり方等、現行の6・3・3・4制の是非について検討し、子どもの成長に応じた柔軟な教育システムとするため、新時代に対応した「平成の学制大改革」を行います。あわせて、改正教育基本法に対応した関係法令の見直し・改正を行います。
小・中学校卒業時における学力評価や高校での達成度試験の実施を図り、確実に学力を身につけさせます。あわせて、高校在学中に何度でも挑戦できる達成度テスト(日本版バカロレア)の創設や、それを前提とした論文、面接、多様な経験重視で潜在力を評価する入試改革など、大学全入時代の大学入試のあり方そのものを検討します。
高校授業料無償化については、所得制限を設け、低所得者のための給付型奨学金の創設や公私間格差・自治体間格差の解消のための財源とするなど、真に公助が必要な方々のための制度になるように見直します。
大学の9月入学を促進し、高校卒業から入学までのギャップターム(半年間)などを活用した大学生の体験活動(国とふるさと、環境を守る仕事、例えば、海外 NGO、農業・福祉体験、自衛隊・消防団体験等)の必修化や、学生の体験活動の評価・単位化を行い、企業の採用プロセスに活用します。
一度社会に出てからも、学び直しができるよう、社会人が再び大学で学べるシステムを導入し、キャリアアップの機会保障と再チャレンジを促進します。
64 教育委員会※の責任体制の確立と教育行政の権限のあり方の検討
地方分権を受けて、自治体の教育政策決定や教育行政運営において、首長や地方議会の役割が高まっています。いじめ問題でも明らかになった、形骸化・名誉職化しているなどの批判がある教育委員会の責任体制を再確立し、本来の職責を果たせるよう、教育の政治的中立を確保しつつ、自治体の教育行政に民意を反映させ、効率的・迅速に運営する必要があります。
例えば、首長が議会の同意を得て任命する常勤の「教育長」を教育委員会の責任者とするなど、国と地方の間や、地方教育行政における権限と責任のあり方について、抜本的な改革を行います。
65 真に教育基本法・学習指導要領に適った教科書の作成・採択
教育基本法が改正され、新しい学習指導要領が定められてから、初めての教科書の採択が、小学校と中学校で行われ、本年は高校の教科書採択が行われましたが、多くの教科書に、いまだに自虐史観に立つなど、偏向した記述が存在します。
真に教育基本法・学習指導要領に適った、「伝統と文化を尊重し、それらをはぐくんできたわが国と郷土を愛する」ための教科書で、子どもたちが学ぶことができるよう、教科書検定制度や、副読本なども含めた教科書採択の構造について、文部科学大臣が各教科書共通で記載すべき事項を具体的に定める、複数の説がある際は、多数説・少数説を明記し、数値については根拠を示す等、抜本的に改革し、いわゆる「近隣諸国条項」に関しては、見直します。
66 安心して、夢の持てる教育を受けられる社会の実現
質の高い教育ときめ細かい指導を行うために、わが党の考えを受け入れて改正された『公立義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数の標準に関する法律』に基づき、教職員定数のあり方全般について検討を行います。さらに東日本大震災の被災地に対する教職員の加配やスクールカウンセラーの充実等を引き続き措置し、あわせて被災地の教職員の心のケアも図ります。
いじめや不登校の解決のため、スクールカウンセラーの充実等、問題を早期に発見し、適切に対応できる体制をつくります。
小・中・高で17万5千人を超える不登校者、5万5千人を超える高校中退者(平成22年度)を減少させるための教育を実現します。
真に公助が必要な児童・生徒が安心して学校に通えるよう、就学援助制度の拡充(援助の対象や国庫補助など)や、給食費の無償化、給付型奨学金の創設、特に私学における低所得者の授業料無償化等を行い、家庭の経済状況に関わらず、志ある子どもたちの夢を徹底支援します。
67 いじめを無くし、一人ひとりを大切に(『いじめ防止対策基本法』の制定)
文部科学省が11月22日に公表した「いじめの緊急調査」の結果は、驚愕すべきものでした。本年4月からの半年間で、いじめの認知件数が、昨年度の2倍を超える14.4万件であったことに加えて、「児童生徒の生命又は身体の安全がおびやかされるような重大な事態に至るおそれがある事案」(これは「いじめ」ではなく「犯罪」に他なりません)の件数が、278件にものぼりました。学校現場は、極めて深刻な状況にあります。
「いじめは絶対に許されない」との意識を日本全体で共有し、加害者にも、被害者にも、傍観者にもしない教育を実現します。
第一に守るべきは、いじめの被害者です。いじめを繰り返す児童生徒への出席停止処分や、行為が犯罪に該当する場合は警察に通報する(いじめと犯罪の明確な区別)、道徳教育の徹底など、今すぐできる対策を断行します。
『いじめ防止対策基本法』を制定し、全都道府県や全市区町村において『いじめ防止条例』を制定する、いじめ対策アドバイザーを設置するなど、統合的ないじめ対策を行うとともに、いじめ対策に取り組む自治体を、国が財政面などで強力に支援します。
68 公私間格差の是正・私学助成の拡充
公教育において私学が果たしてきた重要性に鑑み、私学の建学の精神を尊重しつつ、『私立学校振興助成法』の目的の完全実現(教育条件の維持・向上、修学上の経済的負担の軽減、経営の健全性向上)のため、公私間格差の解消を図るとともに、2分の1を目標に私学助成の拡充を目指します。
69 教育の政治的中立を確保するための「新教育三法」
教育公務員を「教育専門職」と明確に位置づけ、「教育公務員倫理規程」(仮称)を制定して、職務規律を確立します。
『教育公務員特例法』違反者に対する罰則規定を設け、教職員組合(日教組等)の政治的中立確保及び、選挙活動・強制カンパ等の違法活動を防止します。教職員組合の収支報告を義務づけ、公金を原資とした資金の透明化を図るとともに、違法活動団体は、 『地方公務員法』に定める人事委員会の登録団体から除外します。『義務教育諸学校における教育の政治的中立の確保に関する臨時措置法』の徹底を図り、教育委員会等に必要な調査を義務づけるための法改正を行います。
北海道教職員組合による民主党議員への違法献金事件では、教育委員会が行った勤務実態調査により、勤務時間中の組合活動など数多くの違法行為の実態が明らかになりました。わが党はこれを厳しく追及し、給与(義務教育費国庫負担金)の不正受給にあたるとして、会計検査院による調査を実施させました。これを受けて、北海道・札幌市の教育委員会が、すべての教職員を対象とした再調査を行いました。11月26日に、北海道教育委員会が調査結果を公表しましたが、4千人以上の不適切・不自然な勤務実態が判明し、1千3百万円あまり(うち国庫負担金約4百万円)の給与が返還対象となるという、極めて問題のある結果でした。
わが党は、引き続き、教育現場の正常化に徹底的に取り組みます。さらに、わが党の指摘により発覚したPTA会費の不正使用について、徹底的に全国調査を行わせ、再発を防止します。
70 教師力を向上し、適切な教育内容を確保
世界のリーダーとなる日本人を育成できる力ある教師を養成するため、大学・大学院卒業後、准免許を付与し、インターンシップ(1~2年間)を経て、採用側と本人が自ら適性を判断し、インターンシップ修了後、認定の上、本免許を付与して正式採用する、「教師インターンシップ制度」を導入するなど、教師力向上のための改革を行います。
メリハリある給与形態の確立や優秀教員認定及び教員が子どもたちに没頭できる教育システムを構築し、真に頑張っている教師を徹底的に応援します。教員の勤務評価及び、それに基づく処遇が適切に行われるよう、教育長及び校長の責務を設けます。
教育長、指導主事、校長、主幹、教諭等の役割と責務を法律上明記し、責任体制を確立します。教員人事への教職員組合等の介入を排し、教育委員会の責任のもと、バランスのとれた教員配置を実現します。任意設置となっている主幹教諭を「必置」とし、一部の地域で教職員組合に流用されている主任手当、及び主任制度を廃止します。
教職員の資質向上と教育水準の維持・向上のため、教員免許更新制度の運用面での課題を是正し、実効ある制度設計を行います。一方、指導力不足教員は教壇に立たせません。
さらに、わが党政権時代の「教員の長期社会体験研修事業」のように、現職の教員を民間企業や、社会福祉施設などに派遣して交流を図ることなどにより、教員の視野の拡大を図るとともに、社会人教員の採用や特別免許状の発行の拡大などを行い、多様な人材を確保します。
71 安全・安心な学校環境の構築
災害からの子どもたちの生命・身体の安全の確保に加え、津波からの避難ビルとなるなど地域の避難所として重要な役割を果たしている学校施設について、天井材などの非構造部材を含め耐震化・老朽化対策を加速させます。あわせて、災害時においては学校施設が避難所となることから、独立して域外と連絡可能な通信設備の設置や、自家発電装置の設置、プロパンガス設備、井戸の設置、汚水対策として浄化槽の設置等、学校施設の防災拠点としての整備を進めます。さらに、各自治体が財政上、困窮していることに鑑み、国からの補助率のかさ上げを含め、追加的な支援のあり方について、早急に検討します。
東日本大震災の教訓を活かし、保護者が帰宅困難になった際などに、子どもたちを学校に留め置いて安全を確保するなど、保護者や子どもの立場に立った災害対応体制を整備します。
地震・台風・火災などの災害を身近な危険として認識し、日頃から備え、災害の被害を防ぐため、地域の実情に合った「防災教育」を充実します。
あわせて、通学路の安全を確保するなど、子どもたちが安心して通学できる学校環境を整備します。
72 幼児教育の充実・強化と幼児教育の無償化
『教育基本法』の定めの通り、幼児期の教育は、生涯にわたる人格形成の基礎を培う重要なものです。すべての子どもに質の高い幼児教育を保障するとともに、国公私立の幼稚園・保育所・認定こども園を通じ、すべての3歳から小学校就学までの幼児教育の無償化に取り組みます。
就学前の多様化する教育・保育ニーズに柔軟に対応するため、幼稚園・保育所・認定こども園の教育機能の充実・強化を図ります。
73 家庭教育の支援体制強化
すべての教育の出発は家庭教育であり、『教育基本法』では、保護者が子どもの教育について第一義的責任を有すること、国や地方公共団体が家庭教育支援に努めるべきことを定めています。幼児教育の前提として、安定した家庭の存在が不可欠であり、孤立しがちな若い親に対し、家庭教育を支援する施設をきめ細かく設置する等の支援体制を強化します。
74 読解力を高める国語教育
国語科は各教科等の学習の基盤であり、小・中・高等学校を通じて国語教育の一層の充実を図ること、特に、読解力、知識・技能の活用等、思考力・判断力・表現力の育成を重視することが必要です。そのため、国語科の授業について、「子どもの言語能力を育てる授業」へと改善し、具体的には、OECD/PISA調査の読解力の育成のため、子どもが「聴いて→考えて→つなぐ」学習を展開します。
75 英語(外国語)教育の充実
「教育振興基本計画」には「小学校段階における外国語活動を含めた外国語教育の充実」を目指す「新学習指導要領」の着実な実施が盛り込まれています。国際的共通語となっている「英語」のコミュニケーション能力を身に付けることは、子ども達の将来のためにも、わが国の一層の発展のためにも、非常に重要な課題であり、今後とも外国語教育の充実を図ります。
76 理数教育及び才能教育の大幅な充実・強化
次世代を担う理数好きな子どもを増やすため、体験活動や実験教室の充実、理工学部の学生や企業関係者等の外部人材の活用、さらには理数教育に携わる教員の指導力向上等、初等中等教育段階での理数教育を大幅に充実します。
将来、世界のリーダーとなるような明確な目的意識を持つ子どもの育成に向けて、優れた資質を伸ばし、育てる才能教育を強化します。「スーパーサイエンスハイスクール※」を一層拡充するとともに、国際科学オリンピックに参加する児童生徒数の大幅な増加を促進し、国際的な交流機会を拡大します。
77 真に外国人との友好を築く日本語教育
外国人の子どもが公立学校に通っても、日本語が分からない等の理由により授業についていけず、不就学になる者が多いとの指摘があり、日本語指導員の配置等、学習者の日本語能力に応じたきめ細かな受入体制を構築します。
外国人の大人に対する日本語教育は、体制が十分に整備されているとは言えません。外国人に対する日本語教育の質と量を十分に確保するためには、日本語を学習する機会の拡充が必要であり、『日本語教育推進法』を制定し、「生活者としての外国人のための日本語教育事業」等を継続的に実施・充実させるなど、真に外国人との友好を育むための環境整備を行います。
78 一人ひとりを大切にし、充分に力を伸ばす特別支援教育
養護教諭の複数化の充実、特別支援教育コーディネーターの機能強化、高等学校への支援員の配置、発達障害のある児童生徒の実態調査を検討した個々の生徒に必要な教育環境の整備、ICT等の技術を活用した教材等の研究、指導内容・方法の工夫改善、障害のある生徒に配慮した高校入試の実施、中・高連携による進路指導の充実、特別支援学校等と産業界との連携による実践的指導の実施、障害者就労支援コーディネーターの配置、国立大学法人附属学校における特別支援教育の推進・充実等に重点的に取り組みます。
すべての小中高教員が特別支援教育の基礎を身につけられるようにし、発達障害を含む障害のある子ども一人ひとりの教育的ニーズに応じた適切な教育を推進します。
79 受験一辺倒でない多様な選択肢を持つ教育
人材育成に関する社会の要請に応えるため、普通高校以外に、最先端の職業教育を行う専門高校を整備する等、多様性・専門性のある選択ができるようにします。
高等教育における産学連携を強化するとともに、専門学校の果たしてきた実績に基づき、職業教育に特化した新しい高等教育機関を創設し、『学校教育法』上の地位についても検討します。現状の専修学校・各種学校の存在意義を十分認識して、他の学校群との制度的格差の解消を目指し、財政的支援や教育内容の充実に向けての公的支援等を図ります。
大学等と産業界・地域社会とのより幅広い連携協力の下で、インターンシップを充実させます。地域密着型のコミュニティカレッジ化により、技能習得と就労を支援します。
80 高等教育政策・大学政策の積極的な推進(大学ビッグバン)
「大学力」は国力そのものであり、質・量両面の充実・強化が必要です。経営が悪化したり、質が著しく低下した大学の改善を促し、成果が認められない時は退場を促す仕組みの確立や、社会や学生ニーズの観点からの新規参入認可プロセスの明確化など、大学強化のための設置基準の見直しを行います。
世界トップレベルの大学は特区化し、諸規制を撤廃します。オープンラボ、研究サポートスタッフの設置を義務化します。世界トップレベルの大学の博士号を持つ若手研究者の大量スカウト、資金支援などを行います。
大学教育の質の保証徹底を義務化し、評価に基づく資金の重点配分(授業評価、教員の業績評価の厳格化等)を行います。
開かれた教育と研究体制をつくり、学長のリーダーシップを強化するため、学長と教授会の役割の明確化や、学長を支えるスタッフ(理事、副学長、財務等の専門スタッフ)の抜本的強化、学長裁量経費の充実などを行います。
私立大学の収入の約8割は学生納付金であり受益者負担が重く、国公私立大学の設置形態論・経費の受益者負担論の見直し等を行い、財政支出の仕組みを再構築します。地域共創(大学と地方・地域社会、産業の連携)運動を積極的に推進します。
81 国立大学法人運営費交付金等の安定的な確保
わが国の基礎科学の中核を担っているのは、多様な人材が集い、教育活動や研究活動を行っている大学ですが、近年、その安定的な教育研究活動を支える基盤的経費(国立大学法人運営費交付金及び施設整備費補助金、私学助成)が大幅な減少傾向にあります。
これにより、教員数の維持や施設・設備の管理・運用等で、多大な困難が生じていると指摘されていることから、わが国の基礎科学を強化する観点からも、これらの基盤的経費を安定的に確保します。
東日本大震災の被災地にある大学が、被災地復興の拠点として研究やプロジェクト実践を進められるよう、重点化して支援を行います。
82 大学院教育の抜本改革
大学院について、研究活動のみならず教育活動を一層重視し、文系・理系それぞれの設置目的に応じた多様性を確保して、体系的かつ集中的な人材育成の取り組みを強化します。社会の多様な場で活躍する人材を育成・確保するため、産業界や優れた人材育成の取り組みを行っている公的研究機関等との密接な連携・協力を推進し、社会人が学べる環境を整備するなど、大学院における教育活動を強化します。
世界をリードする大学院の形成を促進するとともに、世界水準にある大学院の層に厚みを持たせるため、世界最先端の優れた教育研究活動を行う大学や、特定分野で質の高い教育研究活動を行う大学等に対する重点的支援を強化します。教育研究活動の閉鎖性・排他性を排除するため、学問分野別に細分化されて設けられている学協会の改革を促進します。
83 博士課程学生に対する支援強化及び若手研究者の活躍促進
入学金や授業料免除の対象拡大、給付型奨学金の創設、ティーチング・アシスタント及びリサーチ・アシスタントの充実など博士課程学生への経済支援を抜本的に拡充し、学生全員が安心して学べる環境を整備します。
単なる任期付きではない若手研究者のポストを大幅に増やすとともに、キャリアパスを多様化するため、産業界の研究職や知的財産管理等の研究支援に携わる専門職等での活躍を促進します。公的研究機関等における、ポスドクなどを対象とした専門人材育成の取り組みを支援し、活躍機会を拡大します。若手研究者が自立して研究に専念できるようにするための新たな研究資金制度として、当該研究者の名前を冠した「冠プロジェクト」を創設します。
84 「留学生30万人計画」と学生・研究者の国際交流の積極的推進
「留学生30万人計画」の実現を目指し(当面20万人目標)、国・地域・分野等に留意しつつ、優秀な留学生を戦略的に獲得します。東日本大震災の影響により、日本で学ぶ留学生や研究者が減少しないよう、日本の学校や研究機関の教育研究活動に関する情報発信の強化、生活支援など在学時の受け入れ環境づくり、卒業・修了後の就職支援など社会の受け入れの推進を図ります。
わが国の学生や若手の研究者が内向き志向にあると指摘されており、世界で活躍する優れた人材の育成を強化するため、高校生を含む学生の留学機会を拡大するとともに、若手をはじめとする研究者の海外研鑽の義務づけや機会の大幅拡大を推進します。
世界水準の教育研究活動を展開するためには、海外から優れた研究者を受け入れ、協働で研究活動に取り組むことが不可欠であり、奨学金の充実や受け入れ機関の体制整備、周辺の生活環境の整備等を推進し、優秀な留学生や海外からの研究者の受け入れを大幅に拡充します。
85 『スポーツ基本法』に基づく「スポーツ立国」の実現
スポーツを国家戦略として推進するため、わが党主導により議員立法で制定した『スポーツ基本法』に基づき、「スポーツ立国」を実現するための諸施策を強力に推進するとともに、スポーツ庁、スポーツ担当大臣を新設します。
スポーツを人間の調和のとれた発育に役立てるため、文化や教育と一体として捉え、競技的価値のみならず、教育・健康・国際交流促進などを拡充することにより、スポーツを国民に浸透させ、その文化的・教育的価値や社会的責任を高めます。
オリンピック等国際大会で日本人選手が活躍できるよう、ナショナルトレーニングセンター※の利用を無料化する等、国際競技力向上に向けた諸施策を推進するとともに、わが国の復興を示す象徴として、2020年東京オリンピック・パラリンピックを招致するため、国立霞ヶ丘競技場を全面改修し、被災地での競技開催とキャンプ地の全国展開を実現します。あわせて、2019年ラグビーワールドカップの成功に全力を尽くします。さらに、各競技の国際大会の誘致に取り組みます。
学校における体育や運動部活動の充実、全国体力・運動能力等調査の結果の活用による子どもの体力向上の取り組みを推進します。国民体育大会、総合型地域スポーツクラブ、指導者養成事業など各種スポーツ振興事業の充実を図り、国民各層のスポーツの生活化を促進します。
86 スポーツ振興体制の充実・強化
スポーツ振興に対する一層の財源を確保するため、独立行政法人日本スポーツ振興センターの実施する「スポーツ振興くじ」の拡充を行い、助成対象団体等が申請しやすいシステム整備を検討します。また、寄付金の全額が法人税の損金算入の対象となるよう、指定寄付金のあり方について検討します。
生涯スポーツの振興並びに競技力の向上を実現していくため、スポーツ関係団体・組織の一層の充実・活性化を目指し、プロ、アマチュアを問わないアスリートの雇用促進や引退後の選手の生活の保障も合わせたセカンドキャリアの活用をはじめ、優れた人材並びに財源の確保を図り、地域スポーツ社会における人材の好循環と社会貢献を目指します。そのために、スポーツ立国戦略にあるワンストップの「セカンドキャリアセンター」の創設を検討します。
87 世界に誇るべき「文化芸術立国」の創出
文化が新たな国富を生み出す観点からも、既存施設の改修や人材の積極的育成など、世界に誇るべき「文化芸術立国」を目指します。日本文化を戦略的に海外発信するため、伝統的な文化・芸術の継承・発展を引き続き推進するとともに、アニメなど新たな日本ブランドとしてのメディア芸術の振興や人材育成、制作者の待遇改善を図ります。文化交流の相手先と内容の重点化、優れた芸術の国際交流の推進、海外の日本語教育拠点の拡充等を行います。
文化芸術の創造性が産業や地域の活性化に結びつく取り組みを行う「文化芸術創造都市」が全国各地に形成されるよう支援します。また、義務教育期間中に、すべての子どもが、質の高い文化芸術を最低2回(伝統文化と現代文化を各1回)は鑑賞・体験することができるようにするとともに、地域に伝わる伝統芸能などを、親や子ども達にしっかりと伝えるための「伝統文化親子教室」を創設します。
わが国の文化関係予算は高い水準にあると言えず、「文化芸術立国」の創出に向けて、予算の増額を目指します。
88 文化芸術活動の支援、文化財の後世への継承
文化芸術団体の円滑な活動のため、専門的人材の育成や意欲的・先進的な活動に対して、手厚い支援を行います。寄付文化の醸成を図るための税制上の優遇措置を検討します。東京には伝統寄席演芸の鑑賞の場(国立演芸場)がありますが、関西にはないため、関西(大阪)における「国立伝統芸能演技場」(仮称)の設立について検討します。
東日本大震災で被災した文化財の復旧を進めるとともに、地震や火災等の災害から文化財建造物を護るための防災対策を推進します。貴重な民俗文化財について、後世に確実に引き継いでいくため、映像記録(デジタルデータ)等の作成を推進します。
89 世界遺産・無形文化遺産などの保存・活用
昨年、小笠原諸島と平泉がユネスコの「世界遺産」に登録されました。わが国には、12件の文化遺産、4件の自然遺産があります。さらに、地域に根付く伝統・慣習など文化の多様性を象徴する「無形文化遺産」では、能楽や人形浄瑠璃文楽、歌舞伎など20件が登録されています。また、国連食糧農業機関の「世界農業遺産」には、新潟県佐渡市と石川県能登半島が登録されています。
これらの世界遺産・無形文化遺産などの保存・活用を図ることによって、海外への日本文化の発信及び諸外国との相互理解の増進や、わが国の文化を再認識し、歴史と文化を尊ぶ心の育成、文化財の次世代への継承などを積極的に推進します。
90 「科学技術・イノベーション推進」の国づくり
震災復興の原動力として「科学技術・イノベーション推進」の国づくりを目指すため、人材・予算・制度や研究体制の改革など、科学技術基盤を根本から徹底強化します。安保・外交、経済・財政、規制改革等の総合戦略として科学技術イノベーション政策を位置づけ、官邸のリーダーシップを発揮するための司令塔を整備します。特に、福島第一原子力発電所事故対応の教訓を踏まえ、政治決定と科学的助言の機能強化を図ります。
第4期科学技術基本計画で掲げている25兆円を上回る政府研究開発投資総額を目指し、必要な経費の確保を図ります。
「事業仕分け」により停滞してしまった地域発のイノベーション創出を改めて強力に推進し、地域の元気を科学技術により取り戻します。
世界をリードする新たな知の資産を絶え間なく創出し続けていくためには、研究者の自発性や独創性に基づいて行われる研究の一層強力な推進が不可欠であり、これを支える科学研究費補助金をはじめとする競争的資金について、その多様性や連続性を確保しつつ、大幅に拡充します。同時に、すべての競争的資金について、間接経費30%を確保します。
91 イノベーションの実現に向けた制度改革
新たな産業や雇用を創出するため、企業だけでは実現できない革新的なイノベーションを産学連携で実現するとともに、イノベーションを妨げる各種規制を官邸=司令塔主導で抜本改革します。
研究開発税制やエンジェル税制の対象拡充等の税制改革や、ベンチャー支援の充実等の制度改革、特許等の知的財産の迅速な保護及び円滑な利活用を促進するための知的財産制度の改革、イノベーションの隘路となっている規制や社会制度等の改革を強力に推進します。国際標準の獲得を目指す各国の動きが一層活発化していることから、特に、アジア諸国等との連携・協力の促進を念頭に置いて、官民協働による戦略的な国際標準化活動を抜本的に強化します。
わが国が優れた先端技術を持つ基幹インフラについて、建設から運用、人材養成への寄与までを一体システムとしてとらえ、官民協働による海外輸出・展開活動を大幅に強化します。
92 世界に冠たる研究開発拠点の形成
イノベーションを生み出していくためには、大学や公的研究機関、産業界等が集い、協働で研究開発に取り組む「場」の構築が必要です。特に、わが国の強みを有する分野において、地域資源等も柔軟に活用しつつ、オープン・イノベーションに対応した「競争」と「協調」による世界最先端の研究開発拠点を形成します。
わが国が世界の頭脳の獲得における中核的な地位を占めていくためには、国内のみならず海外の優れた研究者を惹きつける国際的な研究ネットワークの拠点形成が不可欠であり、「世界トップレベル研究拠点(WPI)」の大幅な拡充や、素粒子分野の大規模プロジェクトであるILC(国際リニアコライダー研究所建設)計画等を含む国際科学イノベーション拠点作りに日本が主導的な役割を果たすなど、世界水準をしのぐ優れた研究活動を行う大学や公的研究機関などに対する支援を抜本的に強化します。
93 科学技術の国際活動の強化
わが国の科学技術水準の一層の向上を図り、自然災害や感染症等、地球規模で発生する深刻な課題の解決に積極的に貢献するためには、諸外国との連携・協力を一層強化することが不可欠です。先端分野での科学技術協力や 0DAを活用した科学技術協力等、科学技術外交を大幅に強化するとともに、新興国の科学技術力の急伸等に時機を逸せず対応し、国家存立のために必要な科学技術を強力に推進します。また、優れた教育活動や研究活動を行う国内の大学と海外の大学との連携・協力を進め、外交面からも、これらの教育研究活動の積極的な活用を促進します。
さらに、海外動向の収集・分析体制を確立するとともに、安全保障に関わる技術等の管理を強化します。一方で、国際的な核不拡散体制の強化に向けて、わが国の技術を積極的に活用し、これに貢献していきます。
94 戦略的宇宙政策の推進
国際的なプレゼンスの確保と日本の国益のために、必要な予算を確保し、宇宙科学の推進と不断の研究開発に加え、国民生活の質の向上のための利用の促進、安全保障対応、産業振興等を加速させます。
宇宙の開発利用体制は、『宇宙基本法』の理念と、宇宙基本計画に明記された5年間2兆5千億円の事業試算に基づき、ロケットなどの輸送系及び衛星システムの開発・整備・運用など宇宙の開発利用を強力に推進するための重要分野・重点プロジェクトへの資源配分を行う等、戦略的な宇宙政策を実施していきます。そのために、予算編成に権限を有する内閣府の宇宙政策委員会及び、執行機関である独立行政法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)の理事長及び理事に国家観をもった人員を配置し、内閣総理大臣の重要な政策の一つとして、宇宙科学の振興、宇宙産業基盤の振興、わが国の安全保障、シーレーン確保、戦略的ODA、資源外交、海洋政策等と宇宙政策等と密接に連携させます。