2010年2月27日土曜日

浅田真央は輝いていた

バンクーバー冬季五輪は、2010年2月25日(日本時間26日)、フィギュアスケート女子のフリーが行われ、浅田真央選手は自己最高の得点で銀メダルを獲得しました。

浅田選手とともに、日本代表である安藤美姫選手、鈴木明子選手、そして、選手たちを支えた方々全員の努力と健闘に心から拍手を贈ります。


エッジに削り取られ、氷の破片が飛び散る。銀盤に刻まれる無数の傷は、彼女たちが身を削った時間の証し。数秒、数ミリ単位の努力を重ねた若き舞姫たちの、4年間が圧縮された4分間。全員に勝たせてあげたい、そう祈りたくなる戦いだった。

19歳の少女達が織りなした至高のライバル関係。同じリンクにむかう両国民の熱い視線。この二人のおかげで、隣国との距離がまた縮まった気がする。(2010年2月26日 朝日新聞「素粒子」から)

2010年2月24日水曜日

会社のために誠実に働く

ポジティブな考え方をすることは、成功するための最も重要な資質のひとつだ。

ネガティブな考え方は、その持ち主を悪い方向へ導くだけではない。それはガン細胞のように組織内に広がり、士気と生産性を低下させる。

それに対し、ポジティブな考え方の持ち主がひとりいるだけで職場の雰囲気がよくなり、仕事がうまく進む。顧客の評価も高くなり、売上が伸びる。そして、経営者はそのことをよく知っているのである。

さらにいえば、経営者は従業員に規律と信頼性を求めている。つまり、あなたが毎日時間どおりに出勤して、仕事に専念することを期待しているのだ。また、経営者はあなたが仕事をうまくこなすだけの経験と資格を持っていることも期待している。

経営者の評価を得るために、以上のような条件を満たそうと努力することはゴマすりでも点数稼ぎでもない。会社に雇われている人間として当然の義務であり、何よりあなた自身が成功し幸福になるための近道なのである。


ディスカヴァー・トゥエンティワン
発売日:2006-06-15

2010年2月21日日曜日

フェアトレード

今月14日は、バレンタインデーでした。チョコレートの原料はカカオ豆ですが、その原産国であるガーナやナイジェリア、コートジボアールなどの農場では、人身売買で連れてこられた何万人もの子どもたちが、休みも賃金もなしに危険な仕事に携わっているそうです。

このカカオ豆を安価に大量生産するために根付いている児童労働を撤廃すべく、NPOなどを中心とした世界的な取り組みが進められていますが、世界で流通しているチョコレートの中には原料のカカオ豆が過酷な奴隷労働によって生産されていること、奴隷の多くは10代の少年たちであること、彼らはだまされたり親に売られて農園に連れてこられていること、自分たちが作っているカカオで一体何が作られるのか(チョコレートというもの)を知らない子どもたちであること、そしてそのような人々の犠牲の上でチョコレートを口にしていることを、チョコレート好きの私達日本人はしっかり覚えておかなければなりませんね。

詳しくは「子供の奴 隷が作るチョコレート」をご覧ください。
http://mscience.jp/cocoa.htm


「フェアトレード」という言葉があります。途上国の農民は、自分たちで作ったものの価格を自分たちで決めることはできないそうです。仲買人に足元を見られ、生産コストを下回るほどの安い価格で買い叩かれてしまうそうです。また、途上国では、労働者の権利が守られないことが多く、労働環境が劣悪で、受け取る賃金が不当に安く抑えられているのが現状だそうです。

さらに、途上国では、貧しさゆえに教育を受けられない、だから低賃金の仕事にしか就けない、だからさらに貧しくなる、だから子供が学校に行けない、だからその子供も学校に行けない・・・という悪循環が繰り返されています。

こういった状況を解決するためには、安全で安心できる物を継続的に生産することができ、生産者が十分暮らしていける価格や賃金を保障する必要があります。生産者を経済的に支援し、彼らが安心して働ける場を作り出し、貧困から抜け出す手助けをすること、そして子どもたちが学校に行けるようにすること、それが「フェアトレード」の目的だそうです。

以上は、次のサイトから引用させていただきました。詳しくはこちらをご覧ください。
フェアトレード情報室
http://mscience.jp/index2.htm


話は変わりますが、今週、国立大学法人大分大学で、2年間分2億4500万円の超過勤務手当の不払いに関する記事が大きく報道されました。国立大学法人では、大分大学に限らず、未だにサービス残業を美化する風土が残っていることは否めません。使命感・責任感をもって業務を遂行すること自体は納税者も十分理解するところだろうと思いますが、労働法令の遵守という観点からは改めるべきところは改めていくべきでしょう。

今回の不払いの報道をよく見てみると、労働基準監督署の指摘に基づいたものではなく、大学自身の業務監査の結果に基づいた行動のようです。大学によっては、怪しい実態があるにもかかわらず見て見ぬ振りをする、あえて監査の対象にしない、あえて公表しないというところもあるわけで、大分大学の場合には、法人化によって導入された監査制度がしっかりと大学経営の中で機能し、大学にとって不利な情報であっても透明性をもって社会に対する説明責任を果たしているというという点においては、高く評価されるべきことではないかと個人的には思ったところです。

2010年2月19日金曜日

国立大学法人の在り方の検証

国立大学法人の第一期中期目標期間が今年度で終了すること、あるいは先の行政刷新会議事業仕分けにおける指摘を踏まえ、現在、国立大学法人の在り方について、様々なところで議論が行われています。

今後、枝野行政刷新担当大臣の下で独立行政法人改革が進められることになっていますが、このことが国立大学法人に影響を及ぼしかねないという懸念も広がっています。

事業仕分けのように短期間に答えを出すような改革では、ともすれば感覚的な議論が進む危険性があり、乱暴な話が出てくる懸念があります。文部科学省が主体となって、全国の国立大学法人はもとより、多くの国民の意見をしっかり反映したものとして作り上げていかなければならないと思います。

そのためには、現在文部科学省が行っているパブリックコメント「『国立大学法人の在り方』に対する意見募集」に様々な立場の多くの方々が意見を投じていただきたいと切に願っているところです。


■検証事項(例)
  1. 法人化後の教育研究活動の成果・課題
  2. ガバナンスに関する事項(組織・運営に関する事項、教職員に関する事項(人事関係含む)、内部監査機能に関する事項)
  3. 資源配分に関する事項(学内の資源配分に関する事項、自己資金調達に関する事項)など
■意見提出期限 平成22年3月末

■意見提出方法等詳細はこちらをご覧ください。
http://www.mext.go.jp/a_menu/koutou/houjin/1289380.htm


参考までに、最近ある団体によって行われた「国立大学法人の現在の状況」についてのアンケート調査の結果を抜粋してご紹介します。パブリックコメントを考える際の参考になるかもしれません。

1 法人化による自主的な大学経営


  • 法人化されたとはいえ財政面での自由度は限定的。国立大学全体の方向性については政府の所管であり、個別大学の自主性はその方向性のきわめて狭い範囲内のものにすぎない。
  • 中期目標、中期計画の記載内容や評価への対応、運営費交付金に係る効率化係数、中期計画最終年度終了時における剰余金の処分権限や競争的研究資金の拡大など、政府の意向も依然として大学経営に影響を与えている。
  • 「自主的な大学経営」のためのマネージメントスタッフ育成の取組みが物足りない。
  • 大学経営に対する執行部の意識も未だ未成熟であり、構成員まで法人化に対する認識が十分徹底したとはいえない状況。
  • 財政自主権も財源(パイ)そのものも乏しい状況の中で、大学経営を大学の自由な判断で自律的に行うことは難しい。
  • 財政基盤が脆弱な小規模・地方大学では、基盤的経費の継続的削減と人件費抑制策の下で、財政的窮迫が常態化 している。その結果の、人事の停滞・縮小、教育研究費の傾向的減少等々は、枚挙にいとまがない。
  • 外部資金獲得にシフトし、そこに多大なエネルギーを割かざるを得ない経営戦略の下では、教育重視の大学づくりや自由な発想による息の長い基礎研究等が後背に押しやられ、将来にわたる社会の均衡ある発展を支える、大学の基礎体力・ポテンシャルの低下は目に見えている。問題の根源は、「行財政改革」を高等教育機関・大学に無定見に持ち込んだ政治判断の錯誤にあり、内実において、すでに経済の世界で、その矛盾を露呈した「市場原理」による効率主義・成果主義を大学経営に機械的に導入したことにある。「独立した法人格」や「予算、組織等の規制の大幅な縮小」の効果を、形式ではなく実質的なものにするには、まず先進国並みの公的経費を高等教育につぎ込むことである。もはや個別の大学の経営努力で解決できる限界を超えている。大学版「格差」と「貧困」を見過ごすのでなく、文字通り「国家100年の計」に立った大学政策こそ喫緊の課題。
  • 中期末の精算などを含め、文部科学省からの縛りが制約となっていたり、余りに形式的判断を重視した評価機構による中期計画の評価などを意識すると、大胆で柔軟な大学運営の改革は難しい。大学の側にも、自主的な大学経営の最終的な着地点に関する十分な認識が不足している。
  • 予算や評価制度によって文科省に縛られているので、真に自主的な大学経営など程遠い。

2 民間的発想のマネジメント手法の導入


  • 民間では評価されることが、公務員としては評価の対象とならない。
  • 経営協議会で具体的な資源配分に関わる意見が議論される状況には至っていない。
  • 役員会・経営協議会とも、民間的発想に近い。しかし、国立大学法人は今も国の支援のもとで”倒産”はしない。
  • 大学の教職員の大部分は、法人化前の大学教職員であり、その時代の発想、思考法は大きく変わっていない。大学運営全体に民間的発想を導入しようとする姿勢に乏しく、浸透するのにはまだ時間を必要としよう。
  • 役員会の権限の強化、教職員の評価制度の導入などは民間的発想の例であるが、まだ、学部自治に配慮するとか、縦割りの事務組織の課題などもあり、過渡的な段階。
  • やりくりできる手持ちの「資源」に乏しい地方大学は、「トップマネジメント」を実効的に機能させて、自らの大学ミッションを全学的・戦略的に展開しうる基礎的条件を欠いている。大学は、「利潤の極大化」や「採算」、「効率」を第一義とする民間企業とは 異なる組織原理で運営される機関である。大学同士が切磋琢磨し、自らの教育研究のレベルと質を高めあう競争的環境は必要としても、いわゆる「民間的発想」をそのまま持ち込み、大学経営を競争原理の駆動にまかせて、性急に効率や成果を求めるのは、「角を矯めて牛を殺す」ことになりかねない。大学が、激変する社会と時代の要請に応えるには、絶えざる教職員の意識改革の下で、教育研究組織の改革・進化と業務の特性にあった経営システムの構築、一体的で活力ある組織運営を図ることに如くはない。
  • 学長直属のマネジメント組織を構築し、トップダウンによる施策が実施可能となった点で民間手法が一部取り入れられた。しかし、大学という組織の特性から従来からの教授会等の合意によるボトムアップの体制も残っており、両者をうまく併用していく必要。
  • 文部科学省の行政組織としての規制が、予算・人事の面で依然として残っているので、民間的発想によるマネジメントには相当な隔たりがある。
  • 全学的意思決定に極めて時間を要し、権限委譲も不十分且つ 業務の効率化・合理化への対応にも、時間を要している現状。

3 学外者の参画による経営システムの制度化


  • 経営協議会の実態は大学側の膨大でかつ詳細な 書類説明に大部分の時間が費やされ、学外者との実質的な審議が出来ない形式的な会議になっている。
  • 日常の大学運営において、学外者(特に民間)の参画は限定的であり、現時点でシステムが実質的に制度化されたとは言い難い。
  • 経営協議会にかけるべき事項として文科省から求められている事項は、形式的な判断を求めることになりかねない事項が多い。より一層学外の民間委員を資産として生かす工夫を試みるべき。
  • 学外者の人選の問題や、大学経営にどう活かすか、まさに大学自体の力量が問われる。
  • 実態的には人件費抑制を理由に、監事とともに学外理事の非常勤化が広がっている。もちろん、「学外者の参画」を実効的に機能させるには、人選(アテ職的な)とともに会議の持ち方(テーマや時間設定、運営、開催 頻度、情報提供など)の検証と、「参画」の実を確認できる仕組み等が工夫されなければならない。大学経営への「学外者の参画」が形骸化しているという声が少なくないのは、その点に問題を残しているから。
  • 役員会の活力、経営協議会メンバーの構成等は良いが、”経営へ”更により特化した討議に乏しい。
  • 経営協議会などは回数も少なく、現実的な具体的提言や指摘を戴くには、現時点の大学の置かれている状況について精通した深い意見をもつ適切な人材の人選も問題。委員の任命も学長任命であり外部意見が取り入れやすい方策といえるのか疑問。運用上の問題も今後検討が必要。

4 非公務員型による弾力的な人事システム


  • 組織あるいは人事 (昇進・異動)に関する発想・考え方は変わっておらず、また人事制度の基本である個人評価制度は形を作りつつある段階で、「弾力的な人事システム」と言えるまでにはなっていない。
  • 労働基準法の世界に移行したとはいえ、雇用する立場と雇用される立場との関係、すなわち契約という 概念が未だ確立されていない。
  • 国家公務員に準じた給与体系となるため、退職手当等にかかる部分についての弾力化が課題。
  • 「非公務員型」と言いながら、法人化後も、実質的には総人件費「抑制」計画に組み込まれ、人事院勧告制度など「公務員準拠」の縛りの中で、大学の状況や自由な判断での「弾力的な人事システム」の構築・運用もままならない状況。
  • 教職員の能力・業務に応じた給与システムは、大学の場合、問題の「能力・業務」をどこまで適切かつ客観的に評価できるかに懸かっていよう。とくに教員の人事評価では、 本来の業務たる教育研究の特性から、その「能力・業務」の客観的評価に難しさが残り、制度化は難渋している。自己評価・申告による「教員評価」 は、制度的にはほぼ定着したが、給与・手当、研究費等、物的インセンティブと結びつけた「人事評価」制度には、学内合意になお時間を要するかに見える。
  • 「能力・成果」を生かした地域社会への還元は、さまざまな分野で広がり、定着しつつあるが、それが「産学連携」→外部資金獲得に 一般化されると、地域社会における大学の存在価値が矮小化されてしまう畏れがある。地域社会との連携の価値は、獲得した外部資金の多寡のみで測れない筈。
  • 学長に人事の「任命権」(形式)はあっても「決定権」(実質)がないのが現実であり、財政面での実質的裁量権・自主権のなさと軌を一にしている。相次ぐ人件費削減の中で、後任補充の凍結など、各部局ともぎりぎりの人員配置で凌いでいる中で、学長が実質的に「人事権」 を生かせるだけの、人件費(定数)のユトリがないのが実態。
  • 部局の長など教育研究組織の長等については選考の権限は関係部局にあり、資質に問題がある場合の任権限はあるが、教員人事に対するガバナンスは低いと言わざるを得ない。
  • 事務職員についても主要ポストに異動官職が就いており、文部科学省のコントロールを受けている感がある。
  • 給与制度も国家公務員の給与制度に準じており、独自のものは無い(事実上できな い。)。
  • 「非公務員型」と言っても「見なし公務員」としての制約は大きい。教員人事は教授会主導であり、職員人事もこれまでとあまり変らない。また、国立大学には独自の人事システムを導入するだけの法人化後の人的・ 時間的な余裕があまり無かったのではないだろうか。
  • 「能力・業績に応じた給与システム」については、民間企業人の視点では緊張感が生まれる制度とは言いがたい。
  • 能力・業績に対する本格的評価制度が確立していない。
  • 学長の任命権に実質が伴わない現状ではその主導での全学的人事は困難。
  • 根本となる給与システム、退職手当等公務員同様のままであり、相変わらず人事院の勧告遵守の姿勢が変わっていない。
  • 文科省による官職異動が続く限り、弾力的な人事システムの構築は不可能である。文科省の派遣人事が内定してから学内人事というのは”独立”した法人というには程遠い。大学の自由な裁量による人事は経営にとって重要な根幹の一つ。
  • 人材を教育し育成しようとする意識が薄く長期の人事戦略がない。特に、職員の必要能力の明示、キャリアプランの設計、一環した研修体系もない状況。

5 第三者機関による評価の導入


  • 評価を受ける大学側の対応の煩雑さ、 時間の消費、そのための人員確保等々、問題が多い。加えて第三者評価に”甘さ”が感じられる。
  • 第三者機関による評価については 評価基準、評価方法、評価委員の構成など、改良すべき点がある。将来の高等教育の在るべき姿を反映したものであって欲しい。
  • 中期目標・計画で細々と項目を列記しており、現状では評価委員が当該大学の達成状況を想像するのが困難で、結局自己評価を追認することになって、第二期の目標・計画においては、第一期のプロセスを踏まえて高評価を受けやすい計画の策定になっているのではないか。
  • 評価のための負担が大きすぎるため、重要な教育・研究・業務遂行に関する支障となっている。
  • 何よりも評価の基準が明確になっておらず、 また、高い計画目標を掲げて未達成となるよりも無難な計画目標を掲げて達成するほうが高い評価を得られる傾向がみられるので、制度がうまく機能し ていない。
  • 評価の前提となる目標及び計画のあり方、評価の基準、評価者のあり方が、評価プロセスを通じて大学の業務内容が実質的に高められていくかたちになっているか疑問。
  • 本来、個別の大学が固有のアセットに基づいて何を進めることが社会的なニーズを満たすことになるのか、本来大学のあるべき姿はいかなるものか等に関する格調の高い評価は全くなされていない。この種のレベルの評価作業に対応する大学側の準備と対応の努力を見る限り、得られるものに比して、余りに無駄が多いと言わざるを得ない。

(参考1)行政刷新会議における国立大学法人運営費交付金の事業仕分け

【判定結果】国立大学のあり方を含めて見直しを行う

【とりまとめコメ ント(抜粋)】
現在の国立大学のあり方については、そもそも独法化したのがよかったかどうかということに始まって、運営費交付金の使い方、特に教育研究以外の分野における民間的手法を投入した削減の努力、あるいは、そもそも交付金の配分のあり方、こういったことを中心として、広範かつ抜本的に、場合によっては大きく見直すということも含めてその中で交付金のあり方について見直していただきたい。

(参考2)国立大学法人について
http://www.mext.go.jp/component/b_menu/shingi/giji/__icsFiles/afieldfile/2010/01/28/1289460_01_1_1_1.pdf

2010年2月18日木曜日

国立大学法人への市場化テストの導入・第3弾

現在、国立大学法人の業務のうち、施設管理運営業務と図書館運営業務への市場化テストの導入について、内閣府に置かれた「官民競争入札等監理委員会公共サービス改革小委員会国立大学法人分科会」において検討が進められています。

このことは、この日記でも既にご紹介しているところですが、上記国立大学法人分科会は、去る2月2日(火)の東京学芸大学、一橋大学に続き、2月10日(水)には、お茶の水女子大学、東京医科歯科大学、2月15日(月)には東京大学、東京工業大学からヒアリングを行っています。


ヒアリングの結果、国立大学法人分科会から各大学に示されたコメントを、公表されている資料から抜粋してご紹介します。

なお、会議資料等の詳細はこちらをご覧ください。
http://www5.cao.go.jp/koukyo/kanmin/kokudai/kokudai.html

国立大学法人お茶の水女子大学


  • 施設管理業務の包括化を検討した結果、「管理経費が上乗せされ割高となるとの結論を得た」とのことであるが、一度、専門の業者を入れて、個々の事務に「先生」ではかけられないプレッシャーでコストカットの指示をだしてもらって整理すると、次回からは大幅なコストカットが実現する。必ずコストダウンできるはずなので、もう少し研究された方がいいのではないか。

  • 施設管理業務の包括化発注については、業務のまとめ方によっては高くつく場合もあるが、いろいろと経験を積むことにより、効率化が図れるのではないか。

  • 施設警備については、一定の評価基準を超えた場合は翌年度以降も引き続き契約を行っているとのことであるが、これでは複数年度契約のメリットが出ない。調達改善は、まず規模のメリットを活かすことと競争が機能する環境を整備することが必要。複数年度契約は契約規模を大きくするひとつの手段であり、法人化により債務負担行為という予算上の制約から脱した点を活用すべきだ。

  • エレベーターの保守などの保守点検業務については、設置メーカーは安全性を売り込んでくるが、メーカー系の保守会社のみが安全性を確保できるとは限らない。

  • 保守点検業務の選定基準に「官公庁等への実績」を入れると新規参入を阻害してしまう。施設管理は市中のビルと変わらないはず。

  • 随意契約の少額基準が500万円というのは高すぎるのではないか。随意契約を行なう具体的な理由が正当化できることが重要。金額基準以下の場合は複数者からの見積もりをとっているといっても、いつも同じ業者の見積もりでは意味がないので競争させる工夫が重要。

  • 仕様書の中には、新規事業者が参入しづらい項目が入っている場合が多いので、仕様書の中味を点検する必要があるのではないか。

  • 営繕コストについて、業者が固定していることが多いので厳しくチェックをすると削減できる場合が多い。経営協議会のメンバー等外部の人で建設関係のコネクションのある人に相談するとかなり予算の削減が可能なので、活用してみてはどうか。

  • 教室等の学会や試験等への貸出しはどの程度の収益となっているのか。館山や志賀高原の施設の外部利用が進んでいる点は評価する。

  • 図書館運営業務の効率化を考える場合に、「教育研究と密接している業務」ということを大前提としてしまうと、それ以上民間委託の議論ができなくなる。教育研究との密接度を個々の事務ごとに整理することが重要。

  • 飲料販売機の業者を見直す公開入札で1社に絞ると大幅に収入が増加する。生協との関係の問題はあるが、1社となると契約金を受け取れるし、1本あたりのマージンも増加し、また、希望する他者の製品も置いてくれる。

  • 経費の節減は1校のみで行なうことには限界がある。他大学と提携して行えば、規模のメリットが得られるので、特定の分野でやれるものがないか、検討してみてはどうか。

  • 運営費交付金が厳しく削減される中で、一般管理費を削減していくことは重要なこと。その手法として、公共サービス改革法の民間競争入札の活用も考えられるのではないか。効率化して削減できた分、教育研究費にも充てられるのではないか。

国立大学法人東京医科歯科大学


  • 診療報酬の未集金の徴収についてはどのような工夫を行なっているのか。外部委託による効率的な回収が行なえているのか。

  • どの大学も大学独自の特殊性を主張する傾向にあるが、どこまで特殊なのか、また、特殊だと対外説明が可能なのか、を整理することが大事。全体を病院と病院以外を区分し、病院でも、どの部分が特殊なのか、一般化できない限度はどこなのかを見極めることが重要。それを見極めた上で一般化できるものについては、契約の統合をできるもの、規模のメリットを活かせるものもあるのではないか。その上でどこまで競争入札が可能なのか、効率化を図る上で市場の競争原理を働かせることが可能なのかを検証することが重要ではないか。

  • 少額の随意契約の上限が500万とのことだが、業務の特殊性から随意契約が必要なものについては、大学の意思として主張すべき。ただし、中央省庁の上限が100万円であることと比べると大きすぎるのでどのように見直すのかを検討する必要がある。

  • 会計規則に従うとしても、国立大学法人化前と同様の会計規則のままで、法律上の根拠を失っている規定も多いのではないか。法人化されたことに伴い、内規を見直すべき部分もあるのではないか。

  • 大学設備の基準についても文部科学省が策定した全国一律の基準のままでいいのか、大学独自の観点から見直すことも検討が可能ではないか。

  • 経営協議会からはどのような指摘があるか。外部意見を活用して営繕や改築にメスを入れることにより、改善できる部分があるのではないか。

  • 調達形態を変えても実施する業者が固定的なケースもある。担当者は「他の業者が応札してくれない。」というであろうが、工夫して乗り越えるべき課題である。随意契約のケースで、競争させるために見積り合せをする場合でも、常に「新規業者が入る可能性がある」という形にすると価格が下がる。大学が示す仕様書から、実質的に新規業者を排除してしまう表現を削除することが必要。

  • 見積り合せに新規業者が参入することで、2割から3割程度コストが下がった事例もある。新規参入者が見つからない場合に銀行に相談すれば、複数の同業者が見つかる場合があるので、事前勧誘は問題があるが、様々な情報収集が可能となる。

  • その他経常収益が上がってきている理由は何か。

  • 資金運用で成果が上がっている理由は何か。

  • 試薬の調達費用について、個々の医師が個別購入している場合はかなりの金額になるのではないか。試薬の調達についても、個別ではなく一括で調達することにより、相当の効率化が可能。個々の医師が特定メーカーの特定試薬にこだわるであろうが、幅広い商品を取り扱う業者が間に入れば一括調達が可能となる。

  • 国立大学法人評価委員会から随意契約の見直しが進んでいないという指摘がある。

  • 運営交付金が削減される中で教育研究を充実させるために、「難しさ」をやらない理由にはせず、どうすればできるのかを考える方向で検討し、経営効率化を推進いただきたい。

国立大学法人東京大学


  • 施設管理の契約の包括化や複数年度に取り組む姿勢を高く評価。

  • 医学部附属病院の改革がこの5、6年でかなりの成果をあげて収益が明らかに改善しているが、具体的には何が功を奏したのか。

  • 診療報酬の未収金の徴収についてはどのような工夫を行なっているのか。外部委託による効率的な回収が行なえているのか。

  • 寄付金にかなり努力され、金額も大きいがまだ増える見込みなのか。また、どのような使用方法を想定しているのか。

  • エレベーターの設備保守業務については、メーカーは安全性を売り込んでくるが、合理的な理由がある随意契約、また、一部を少額随意契約としていることの理由は何か。包括契約化するなどの価格交渉は十分に行なえているのか。

  • 医学部附属病院の清掃業務の契約が2本に分かれている理由は何か。数年前に貴学の調達改革を行なった際には早期の結果が重視されたため、病院は対象外とされた経緯がある。病院清掃を研究棟と入院棟に分けて契約している現状はそれ以前の状況を継続しているだけのものではないのか。

  • どの大学も大学独自の特殊性を主張する傾向にあるが、どこまで特殊なのか、また、特殊性について対外説明が可能なのか、を整理すること、どの部分が特殊なのか、一般化できない限度はどこなのかを見極めることが重要。特に運営交付金の制約がある中で、交付金予算の配分方法も簡単には変更されない。新規事業等を始めるためには、既存の経費の削減や予算の配分方法等について根本的な見直しを検討せざるを得ないのではないのか。

  • 図書館業務の契約がすべて単年度の随意契約となっているのは見直しが必要。大学図書館の研究との関連性を強調するだけではなく、まずは各従業員が現状どのような業務をどの程度実施しているかを把握し、どの業務なら外部委託が可能かを考えていくことが重要。

  • 図書館の利用のされ方、学生や時代の変化に対してどのように対応しようと考えているか。

  • 複数年契約を進めている中で、駒場キャンパスの清掃や警備が単年度のままであるが、包括化や複数年度の契約化など見直しが必要。

  • 少額の随意契約が認められる上限が、法人化の際に省庁と比べて引き上げられたことに関し、貴学は「1000万円が上限なのは事実だが、500万円超のものは複数の見積合わせを実施している、金額が引き下げられれば事務が煩雑となり定員等が削減される中では職員が業務で対応できなくなる」と主張しているが、他の中央省庁や独立行政法人と比べて大学の経費等の削減が特に大きい状況にはなく、また、事業規模や定員が大きな貴学は他の大学からも最も余裕があるとみなされている中では、貴学の主張は、納税者に対して説得力のあるものとはいえない。

  • 電力費用をかなり削減されているとのことだが、費用を削減できた具体策は何か。

  • 損益計算書における人件費が高額となっているが、その理由は何か。教員や職員の給与水準は他大学と比べて高くはないのか。

  • 大学生協は、「大学から業務を委託されている」ことを理由に固定資産税が免除されてきたが、現在は様々な業務が民間委託される中で、大学生協は特別な存在とは看做すべきではなく、競争する業者のひとつと取り扱うのが適当。生協との関係が業務委託とするならば、競争入札にかけることもなく従来どおりというのは、どのような考え方によるものか。生協の行う食堂事務等も民間業者との競争の中で委託しなければサービスも向上しない。

  • 教育研究の充実が重要な一方、運営費交付金が削減される厳しい環境の中でご努力されているが、更に経営の効率化に取組んでいただきたい。

国立大学法人東京工業大学


  • 施設管理運営業務について、貴学では単年度契約のものが多い。複数年度契約をすれば民間参入が容易となり、決裁手続も減る等合理化できるのだが、単年度契約をしている理由はあるのか。

  • 複数年度契約を行っているものがすべて随意契約なのは問題。現段階で来年度に一般競争で複数年度化を検討しているものはいくつあるのか。

  • 貴学が施設管理業務の包括発注に関して「入札不調、請負者の債務不履行等が生じた場合に契約に係る全ての業務に支障が起こり、教育・研究に多大な被害を及ぼす」おそれを懸念する旨言及しているのは、受注する企業側の現状について十分な情報収集ができていないため。

  • 契約担当者が、大学が法人化される前と同様、単に「予定価格など契約関係書類の作成」することのみが仕事である体制を続けていると、受注側がどのような発注の形態を好むのかなどの情報収集や、施設管理業者の受注の現状の勉強ができない。世の中の業界の動向を知らずに「リスクがある」というのは不毛な議論。

  • エレベーターの保守点検業務については随意契約となっているのは理由があるのか。

  • 点検等及び保守契約を随意契約で行なう場合に、契約金額の妥当性を検証できているのか。横の比較などの削減の努力を行っているのか。また、点検等及び保守契約以外に、随意契約は行っていないのか。

  • 少額の随意契約が認められる上限が、法人化の際に引き上げられたことに関し、「金額が引き下げられれば事務が煩雑となり定員等が削減される中では業務ができなくなる」と本日前半に東京大学が主張したが、他の中央省庁や独立行政法人と比べて大学の経費等の削減が特に大きい状況にはないので、納税者に対して説得力のある意見とはいえない。

  • 50万円以上の契約については、複数業者から見積合わせをしているとのことだが、いつも同じ4社や5社から見積もりを取っているようであれば競争原理は機能しなくなる。常に新規事業者が参入してくる体制にしないと価格は下がらない。新規事業者が見積りに参入しているかなどをきちんとモニタリングをしなければ実質的な効率化が図れない。そのような契約の監査にも十分に手が行き届いているのか。

  • 各種の施設管理業務を包括化発注すると、最初は全体のマネジメント部分を上積みして見積価格を提示してくるので個別業務発注よりも高くなるため、引下げ交渉で摩擦も起こる。だが、包括化の過程で、各業務の流れが明らかになり、また、業務の見直しで長い目で見ればコストカットが実現する。必ずコストダウンできるはずなので、もう少し研究された方がいいのではないか。

  • 運営費交付金が厳しく削減される中で、一般管理費等を削減していくことは重要なこと。その手法として、公共サービス改革法の民間競争入札の活用も考えられるのではないか。これからも経営の効率化のための見直しを進めていただきたい。

2010年2月14日日曜日

いよいよ第二期中期目標期間のスタートです

2月12日(金曜日)に、来年度から始まる国立大学法人の第二期中期目標・中期計画が文部科学省の国立大学法人評価委員会の分科会で了承されました。17日(水曜日)の総会を経て文部科学大臣が認可することになります。

今後、全国86の国立大学法人は、認可された中期計画に基づく平成22年度の年度計画を策定、具体的な事業を進めていくことになります。

(関連)国立大学法人:文科省評価委分科会が中期目標原案を了承(2010年2月13日 毎日新聞)

2010年2月13日土曜日

目先の報酬にとらわれないで働く

成功をおさめるためには、欲望を満たすことを先のばしにする必要がある。成功者は成功するために必要な代償は喜んで前払いし、すぐに報酬が手に入らなくても気にしない。

企業の役員になった人たちのそれまでの仕事ぶりを調べてみると、それほど高い給料をもらわずに何年間も勤勉に働いてきたことがわかる。自分が重要な仕事をするだけの価値があることを長期にわたって会社に実証し、ようやく昇進を勝ち取って財を成したのである。

同じことが、自分で事業を立ち上げて成功した人たちにもあてはまる。新規事業には多くの経費がかかるだけでなく、最初はお客が少なく、収入もかぎられている。この時期、経営者は経費を削減し、ぜいたくをしないようにしなければならない。しかし、披らがそういう犠牲を払うことをいとわなかったのは、数年後には事業が発展し、収入が増え、豊かなライフスタイルを創造できることを確信していたからだ。


ディスカヴァー・トゥエンティワン
発売日:2006-06-15

2010年2月11日木曜日

国立大学法人への市場化テストの導入・第2弾

先日のこの日記で、現在、内閣府において国立大学法人への市場化テストについての検討が行われていることをご紹介しました。
http://daisala.blogspot.jp/2010/01/blog-post_4764.html

国立大学では法人化以降、取り巻く厳しい財政状況、中でも毎年の人件費削減に対応するため、組織・業務のスリム化とともに、経費削減・省エネ対策など懸命な努力が続けられています。

こういった取り組みの有効な方策の一つとして「市場化テスト」を国立大学法人が、内閣府における検討の結果を待つまでもなく、自ら主体的に検討し可能な部分から導入していくことは、大学経営の健全化のみならず、”税金の無駄遣い”防止の意味からも大切な事ではないかと思います。


去る2月2日(火曜日)に、内閣府の「官民競争入札等監理委員会公共サービス改革小委員会国立大学法人分科会」は、東京学芸大学、一橋大学から、当該大学の経営改善状況と施設管理運営業務、図書館運営業務の現状と課題についてのヒアリングを行いました。

公表された資料の中から、議論のポイントと委員から出されたコメントを抜粋してご紹介します。

議論のポイント(両大学共通)


経営改善の取組状況について
  1. 運営費交付金以外の計上収益の見通しはどうなっているのか。

  2. 一般管理費等経常経費を削減するためにどのような方針を持っているのか。
図書館運営業務の現状について
  1. 本年度、公共サービス改革法に基づく官民競争入札を行ったアジア経済研究所図書館、ジェトロビジネスライブラリーの場合、以下に掲げる業務(略)を入札対象範囲としたが、これらの業務について、貴学の場合は正規職員が行っているのか、非常勤職員や学生アルバイト等が行っているのか。

  2. 従事者数が○○人というのは、日常的に○○人の体制で業務を行っていると言うことか。その中で非常勤職員や学生アルバイト等は何人ぐらいか。

  3. 時間外開館の場合に外部委託している業務は、時間内の場合でも外部委託が可能ではないか。これらの業務は非常勤職員や学生アルバイトで対応しているのか。

議論のポイント(東京学芸大学)


施設管理運営業務の現状について
  1. 小金井団地の随意契約の内容は何か。

  2. 竹早団地の随意契約の内容は何か。

  3. エレベーターの保守契約をメーカー毎に行っているのは是正すべきではないか。

  4. 植栽は、特定の造園業者と長年にわたって契約する状況となっていないか。契約相手と契約金額が分る資料を明らかにしてもらえないか。

  5. 中小企業を含めた新規参入者の増加を図る観点は重要であるが、官公需についての中小企業の受注の確保に関する法律により、東京学芸大学が文部科学省や国の行政機関から特定の指導を受けているのか。

  6. 包括的発注を行うために中心となる企業が様々な中小企業を含めたコンソーシアムを組むという契約形態が存在するが、そのような方法を含めて検討すべきではないか。

  7. 清掃や管理業務、施設警備で単年契約を繰り返しているということは、それを管理監督するマネジメントの作業を外部委託できておらず、その分の仕事を正規職員が抱え込んでしまっていると言うことではないか。

  8. 外部の侵入者が児童生徒に危害を加える事態を想定して警備を外注するためには、どのような工夫が考えられるか。

  9. 中央省庁の少額随契が100万円以下とされているのに対し、東京学芸大学が500万円以下の基準というのは額が大きすぎるのではないか。
図書館運営業務の現状について
  1. 資料(古書)修復劣化対策業務とは、具体的にどのような業務なのか。また、この業務の一括発注が困難と助言した業者はどのような業者なのか。

  2. 中央省庁の少額随契が100万円以下とされているのに対し、東京学芸大学が500万円以下の基準というのは額が大きすぎるのではないか。

議論のポイント(一橋大学)


施設管理運営業務の現状について
  1. 平成19年度に国立キャンパスの建物設備保全業務と警備業務を包括化して入札を行ったところ、個々の契約に比し割高になったとのことであるが、一般論として、包括契約にしたほうが個々の契約より安価にあると考えられるが、一橋大学の場合に割高となった原因はどのように分析されているのか。

  2. 複数年契約は2年が適切と考えているのか。3年、5年等、どのように契約期間を考えるべきと捉えているか。

  3. 施設管理を総合評価方式によらず、個々の業務について価格競争方式の一般競争入札としているが、質の悪い業者を排除するためにどのように工夫しているか。

  4. 神田キャンパスについて、国立情報学研究所(主担当)や他機関が契約の包括化や複数年化に同意した場合は貴学も同意すると考えてよいか。

  5. 貴学の少額随意契約の上限はいくらか。

委員等のコメント


東京学芸大学
  • 各種の施設管理業務を包括化して、コンソーシアムを組む大きな企業体に包括的に発注すると、最初は全体のマネジメント部分を上積みして見積価格を提示してくるので個別業務よりも高くなるものだが、企業側と費用削減のための直接交渉をきちんと行えば、当初の個別発注よりも低い価格に落ち着くもの。

  • 施設管理業務の包括化・複数年度契約のメリットは、1)費用を1割から2割削減できること、2)全体の事務の流れとそのマネジメントの仕方が明らかになり効率的な管理が可能となること、3)個々の職員にコスト意識が芽生えること。

  • コピー機のレンタルの一括発注は費用削減効果が大きいし、さらにコピー機(物品)の調達から「コピー機能(役務)の調達」へと根本的に契約内容を変えて効果をあげた事例もある。貴学では既に行っているのか否か?

  • 私立大学の経営の場合、付属の小学校等の経営改革を行うと大学全体の経営改善に効果が出るが、国立大学の場合も付属の機関の経営努力が大学の経営改善につながる仕組をつくることはできないのか。

  • 「教育系大学は、総人件費の抑制を求めると、生徒数相応の教師が必要な付属学校の人件費の削減が困難なために、大学本体の人件費を更に削減しなければならなくなるという問題を抱えている」との説明は理解する。

  • 国立大学法人として経営改革を行うためには、経営協議会の活性化が不可欠である。また、そこにビジネスのわかる人が入ると改革が進む。

  • 経営改革には内規の見直しの視点も重要。東京大学の経営改革の際に、改革を行おうとすると「内規があるのでできない。」と職員にいわれることがあった。だが、その内規の中身の多くは法人化前と同じもので、法人化前はきちんと法律の根拠があったものの、法人化後は法律の根拠のない内規にすぎないということもよくあった。

  • 「官公需についての中小企業の受注の確保に関する法律」は、中小企業が包括化契約のコンソーシアムの一部である場合も中小企業の参加を実績としてカウントしてくれるのかを確かめる必要がある。国鉄改革の際には、当局が経営危機に直面した国鉄にコストの高い中小企業の受注を義務付けようとしたことに対して異議を唱えた前例があるので、大学も経営状況が厳しいのであればその旨を当局に明確に伝える工夫も考えた方がよいのではないか。

  • 「中央省庁の少額の随意契約の上限が100万円であることに対し、貴学の上限が500万円であるのは見直しが必要ではないか」という内閣府の指摘に対し、合理的な理由があるのであれば明確にした方がよいのではないか。

  • 「エレベーターの保守契約をメーカーと行うのは是正すべきでは」という内閣府の指摘に関しては、メーカーは必ずメーカーが管理した方が安全である、と大学の契約担当者に主張してくる。契約担当者は事故の際の責任問題を恐れるので、最終責任は担当者にではなく大学にあることを明らかにして担当者の負担に配慮すること、メーカーも入れた一般競争入札とすることが重要であり、そうすれば価格は下がるもの。

  • 清掃業務等が個別に単年度契約となっているのは一括した契約を検討すべきではないか。

  • 図書館業務については、「利用者の教育」機能等としてすべての業務に大学としての専門性を求めるのではなく、大学固有の維持すべき機能を選別すること、また、正規職員が行うべきとしている業務は本当に民間にノウハウが無いのかを確認することが重要。

  • 大学施設を外部企業や試験、映画等の撮影等に貸し出す試みはどの程度行っているのか。

  • 飲料販売機の設置が複数の企業で行われている場合は大学に何のメリットもない。一旦、すべての関係をキャンセルし、一括導入の入札を行うべきである。入札では大学側から様々な飲料等の要求も可能であるし、企業側が契約更改の場合の資金提供等を申し出てくることもある。生協との関係が問題となる場合は、生協を入札に参加させることも考えられるのではないか。

  • 教育関係の大学としては寄付金等収益が大きいがどのような努力がなされているのか?

  • 教育研究の充実が重要な一方で、人件費や一般管理費が増大し、運営交付金も見直し対象となる厳しい環境の中でご苦労されているが、これからも経営の効率化のための見直しを進めていただきたい。

一橋大学
  • 通常、大学運営においては学部自治が優先しがちであるが、学部の壁を越えた一括契約が進んでいることは非常に先進的事例であり、模範である。先進的な経営改善を更に進めていただきたい。

  • 多くの寄附金を集め、大学の規模からしても非常に大きな基金を設けているのが顕著であるが、どのように集めているのか。

  • ハーバード大学等海外では多額の寄附金を「基金」として運用し、その収益で様々な活動を行っているが、日本の国立大学法人の場合、法人法上そのような「基金」の位置づけがなく、法人化してもなお資金運用の自由度が小さい。貴学のような「基金」に関しては、より自由な運用が可能となるよう制度の見直しが必要ではないか。

  • 平成19年度の委託契約に際し、業務を包括化したところ割高になったとのことであるが、民間事業者も当初は管理的経費を多く見積もり高額になることが考えられるものの、「さらにもう一度」と相手を揺さぶって個別経費をチェックする等の業務仕様の工夫により、安価な契約とすることは十分可能である。さらなる検討が必要ではないか。

  • ソーラー・パネルの設置は体育館等設置場所を拡大すると長期的に節約となるものではないか。

  • 図書館業務の外部委託の期間が単年となっている理由が、毎年違う学年暦に対応する必要があるためとのことであるが、開館日数などの基本的な仕様で契約した上で、毎年休館日を設定するなどの対応により、複数年契約は十分可能であり、検討すべきではないか。

  • 夏休みや日曜日等に試験、企業や映画撮影に施設を貸し出す取組はどの程度行われているのか。

  • 神田、小平において同じ建物、同じ敷地に所在する他機関との共同契約が行われているが、これらをさらに進めて、他の機関や他の業務にも拡げることが可能ではないか。

  • 「中央省庁の少額の随意契約の上限が100万円であることに対し、貴学の上限がそれを上回る場合は見直しが必要ではないか」という内閣府の指摘に対し、合理的な理由があるのであれば明確にした方がよいのではないか。

  • 経営の効率化に関し、多くの先進的な取組を進められている。大学の教育研究を充実させるためにも、市場化テストの手法も含めて、これらの先進的取組を検討、推進頂きたい。

2010年2月9日火曜日

Re・Japan! PROJECT

久々にいい言葉に出会いました。電車通勤の方の中には既にご存知の方もおられるかもしれません。記事にしているブログもたくさんありました。

駅ホームの雑踏の中、電車を待つちょっとの間、足を止めてご覧になってください。心が澄んだような気になると思います。坂本龍馬によく似合う言葉です。


もう一度、ニッポンから何かを。

空を飛べないから、飛行機がうまれた。
会えないから、電話がうまれた。
孤独だから、歌がうまれた。

何かのせいにして
そこに立ち止まるのは簡単なこと。
何かに迷ったときは
つらいこと、むずかしいことのほうを選ぼう。
だってそれは
他のひとがやらない可能性が高いものだから。

最近誰かがテレビで言っていた。
「やらなきゃいけないことを好きになることだ」
いい言葉だ、と思った。

さあ、変わろう。



さあ、もういちど日本を元気にしよう。

背伸びをしていると背が伸びるんだって、誰かが言っていた。
それは身長の話ではなくて仕事の仕方の話だった。
自分より優秀なひとたちと仕事をし続けると、
いつのまにかその人たちの仕事のクオリティが
自分の仕事の基準になっていく、という意味の話だった。

苦しいし、大変なんだけど、そうやってもがいているといつのまにか風景が変わるんだ、
とその人は笑いながら言っていた。いい顔だなぁ、と思った。

自分はまだペーペーでそんな凄い人たちと仕事をするような資格なんかないから、
みたいな遠慮がない人間のほうが世の中を変えていたりする。
そういえば。あのひともそうだ。

時代のせいにしたりするのはカンタンだ。
景気のせいにするのはラクチンだ。
でもそういう時のほうが何かを変えるのもカンタンなはずだ。
だってみんな変わりたかったりするんだから。

日本を、世界を、というようりはまず先に自分を。
自分の気分をなんとなくポジティブにしてみませんか。

それが、この、Re.Japan project。
いちばん最初にReしてみたいのは自分。
まず気持ち。そう。
何かをやめるのはいつでもできるんですから。


2010年2月8日月曜日

大学を設置する責任の重み

去る2月5日、文部科学省は、大学等の設置認可時に当該大学に付した留意事項等が適切に履行されているかどうかをチエックする「設置計画履行状況調査」(アフターケア)の結果を公表しました。

毎年のことながら、今回も多くの大学が改善に向けた指摘を受けています。指摘された大学は、”教育に責任を持つ”ことをもっと真剣に考えるべきでしょうし、文部科学省は、この結果をもっとわかりやすく社会に明らかにして、志望校選びの指針として活用できるようにしてもいいのではないでしょうか。

今回公表された調査結果のうち、一般の大学等に関するものと、教職大学院に関するものを抜粋してご紹介します。

設置計画履行状況等調査結果の概要(平成21年度)


  • 一部には、当初の計画策定の甘さや、設置計画を着実に履行する必要性に対する認識不足などを背景に、履行状況が不十分である事例が見られた。
  • 設置認可後から完成年度に至るまでの間における各種変更計画に係る手続に対する理解不足により、教員の新規採用又は担当科目の追加若しくは昇進の場合に大学設置・学校法人審議会の教員審査を受けていないなど、変更の際必要な手続きを経ていないという、極めて不適切な事例も見られた。
  • 各大学においては、認可された設置計画は「各大学が社会に対して着実に実現していく構想を表したもの」であること、大学設置・学校法人審議会会長が大学の設置・運営に関わる全ての方に対して、改めて大学を設置する責任の重みを十分に自覚いただくよう要請するコメントを出していることを十分認識するとともに、適切な対応をとるように改めて強く求めたい。

注意を要する主なもの

1 教育課程関係

  • 開設初年度より、専任教員の就任辞退による未開講科目があるので、当初の設置計画の履行に支障が生じないよう、教員の年齢構成に配慮しながら適正な人員配置に努めること。
  • 授業科目中、対策講座等の資格取得を目的とした科目については、大学の教育として相応しくないため、当該科目の内容等について見直すこと。
  • 医療栄養学科においては、教育課程の必修等の区分の変更や廃止科目が多数見受けられるため、改めて教育課程の体系性を確認するとともに、教育課程に変更があった場合には、学生に対して十分に説明すること。

2 教員関係

  • 専任教員について、大学以外に業務を持っている者が多く、教員全体の週当たり勤務日数の水準も低い。また、専門学校の教員と兼務している実務家教員については、大学院と専門学校の業務を渾然一体として行っているという点も見受けられる。大学設置基準第12条において、専任教員は「専ら」大学における教育研究に従事するものとされている点に留意し、専任教員の役割・責任の在り方に関し、教育研究上の体制、管理運営への参画、勤務形態などの面の改善について速やかに取り組むこと。

3 ファカルティ・ディベロップメント

  • 単に講演会を開催することをFDとするのではなく、その趣旨は大学院設置基準第14条の3に規定される「当該大学院の授業及び研究指導の内容及び方法の改善を図るための組織的な研修及び研究」であることを十分に理解し、取り組むこと。

4 施設設備関係

  • 学生のニーズを踏まえ、引き続き専門図書の充実、電子ジャーナル及び電子ブック等の整備に努めること。特に、通信教育課程であることに鑑み、本へのアクセスについて特段の配慮をすること。
  • 当初計画における運動場が駐車場として使用されていることについては不適切であるため、今後早急に運動場として使用できるよう整備すること。

5 管理運営、その他

  • 編入学者の単位認定について、大学教育の水準に相応しい内容であるか精査した上で、科目毎に個別に認定を行うこと。
  • 届出により設置された学部等については、専任教員が未就任となった結果、大学設置基準に照らして専任教員数が不足している事例など、学部等の設置計画に対する準備不足が見られたものがあった。
  • 一部の大学院大学では、施設・設備等をはじめとして、設置計画を十分に履行しているとは言い難い面が見られるとともに、大学の運営においても事務組織等に課題が見られる大学があった。
  • 単位数に見合う授業時間の確保、シラバスの記載内容の統一、授業評価アンケートのフィードバック、自己点検・評価、情報公開への取組などが不十分であった大学が散見された。これらについては、各大学において、法令等の正しい理解のもとに再度確認し、必要に応じて改善に努めていただきたい。
  • 設置後の履行状況を記載したアフターケア報告書を、大学として積極的に公開することは大変意義のあることから、引き続き、大学側の承諾が得られたものについて、文部科学省のホームページに大学のリンクを貼ることにより、情報提供を行うこととしたい。

教職大学院設置計画履行状況等調査結果の概要(平成21年度)


1 教職大学院に求められる役割の再確認

教職大学院が、教員養成政策の大きな柱として創設された経緯を踏まえ、大学教員一人一人の教員養成に係る意識改革を進め、学部と大学院を通した教員養成のモデルを示し、我が国の教員養成の改革に資することが教職大学院の使命であることを踏まえた取組が求められる。

(1)学部段階を含め教職課程全体の改善のモデルの提示

今後、学部段階を含む教職課程全体に具体的にどのような改善が図られたのか、各大学で教育委員会等の視点を加味した検証を行うとともに、これらの取組をさらに系統的・組織的に広げることが重要である。

(2)学部との一貫性の中での学部新卒学生の養成

教職を目指す学生や教育委員会等に対し、教職大学院で学ぶことの意義が広く伝わるようにすることが重要である。また、教育委員会との連携は、現職教員の派遣に際して教育委員会との協議を重ねている大学が多いが、学部新卒学生の養成については十分な議論が行われていない。学部新卒学生の採用試験合格者への名簿搭載期間の延長や採用試験・研修の免除等を実現するためにもさらなる連携が期待される。さらに、学部段階からの接続コース(現在3大学)の設置を種々の形で促進することは、学部との一貫性の中で教職大学院の意義を広げる上で有益である。

(3)現職教員の再教育

今後、例えば、平成20年度より学校教育法上に定められ、各県で導入が進んでいる主幹教諭や指導教諭に求められる資質・能力を養成するなど、各教育委員会が具体的に設定するキャリアパスに沿った養成を行うことで、教職大学院が現職教員のキャリアパスの一環として明確に位置づけられ、教職大学院での修学への動機付けとなることが期待される。

2 「理論と実践の融合」によるカリキュラム、教育方法の確立

「理論と実践の融合」という新しい教員養成のカリキュラムや教育方法の開発を進めるため、実務家教員と研究者教員との協働体制の整備が不可欠である。また、現職教員学生と学部新卒学生の合同教育の在り方や、実習の位置付け・在り方を十分検証する必要がある。

(1)実務家教員との協働

今後、実務家教員と研究者教員の協働体制の強化により「理論と実践の融合」による新しいカリキュラムや教育方法の確立が図られることが期待される。一方、運営面での協働体制などが不十分な大学もあり、そのような大学では、両者の協働体制を図ることが急務である。

(2)現職教員学生と学部新卒学生の合同教育の在り方

各大学では、引き続き、合同教育により十分な教育効果が得られているのか検証を行い、その良さを活かしつつ、両者の力を最大限に引き伸ばすことができるきめ細やかな指導体制を構築することが必要である。

(3)実習免除と実習体制の整備

  • 免除の基準やその運用が明確でない大学も見られ、特に全部免除を行う大学では、免除の実績とそれが教育効果に与えている影響を分析し、必要に応じ、より厳格な基準への見直しを検討したり、カリキュラム全体で実践性が十分に担保されているかの検証が求められる。
  • 担当教員が定期的に現任校に訪問し指導を行ったり、校務分掌の見直しなどにより職務の負担軽減を教育委員会等に依頼するなど、大学が責任を持って効果的な実習を行う体制を整備した上で現任校実習を行うことは、学校現場への影響を最小限にしながら優秀な現職教員学生を集められる点で有効な手段のひとつとも考えられる。
  • 実習課題と実習校のマッチングが不適切であったり、実習の趣旨が実習校に十分に周知されていないといった大学も引き続き見受けられ、今後、実習の成果が十分にあがるよう実習校との協力体制の整備が不可欠である。

3 教育委員会等との連携

教育委員会等との連携のための組織の実質的な運用に努め、教職大学院の設置趣旨について一層の理解を図るとともに、カリキュラムや教育方法などの運営全般に関して教育委員会等の要望・意見を踏まえた改善を行うことが求められる。
  • 各大学では教育委員会等との連携のための組織は設置されているが、今後、その組織の実質的な運用に努め、教職大学院の設置趣旨に関して一層の理解を図り積極的な連携協力のための共通認識を確立するとともに、カリキュラムや教育方法などの運営全般に関し教育委員会等の要望・意見を踏まえた改善を行うことが求められる。
  • 連携を深めるためには、教育委員会から派遣されている実務家教員を通して結びつきを進め、教職大学院のみながらず学部段階を含めた教育委員会等との継続的な連携体制を構築する必要がある。

4 入学者の確保

学生の質を保ちつつ、安定的に定員を確保する方策が重要である。そのためには、各大学で入学者の確保に向けた改善方策を一層進めながら、長期的視点に立ち、上記1~3の教育内容の質の保証を図るための取組を積み重ねていくことが基本となる。
  • 平成21年度入学者選抜で24の教職大学院中、11の教職大学院で定員未充足となっている。主な理由は、1)教育委員会からの派遣者数の伸び悩み、2)学習・成果の理解への不十分さ、3)修了後のインセンティブの問題、4)都市部の教員採用数増加による進学者の減少、5)学生の経済的負担の問題、6)現職教員の多忙のための学習機会の確保の困難さ、7)広報期間・募集期間の不十分さ(特に21年度新設大学)といった点があげられる。
  • 各大学では、学部新卒学生確保のため、教員採用試験の免除、試験合格者への名簿搭載期間の延長等のインセンティブの設定や、現職教員学生の派遣に関し教育委員会との協議を重ねたり、授業料減免や企業等から寄附を募り奨学金を充実させるなど必要な努力は進めているが、入学者確保に向け一層の努力が不可欠である。特にコース別定員を設定している場合には、コースごとの適切な定員充足に努めることが求められる。一方、学生の質を保ちつつ安定的に定員を確保するためには、長期的視点に立ち、上記1~3の教育内容の質の保証を図るための取組を積み重ねていくことが基本となる。

5 教員組織整備とFD活動

教育水準を確保するためには、教育内容の改善のための組織的な研修等を通して直接の教育活動を担う教員の質の確保・向上を図ることが重要である。また、「理論と実践の融合」という教職大学院の基本方針を踏まえ、教育課程全般にわたり科目担当者同士の授業内容に関する連携がきわめて重要である。
  • 一部の大学で実務家教員の年齢構成のバランスを欠くなどの状態が見受けられており、順次是正が求められる。
  • FD活動については、学生アンケートや教員相互の授業公開を実施している大学がある一方で、学生の意見等が教育課程の充実・改善に必ずしも十分に反映されていない、授業公開を行う教員が一部にとどまっているなどのケースが見られた。このような取組を組織的かつ実効性のあるものとし、さらに全学的な取組に展開するよう努めることが急務である。

2010年2月7日日曜日

ハンガーフリーワールド

ハンガー・フリー・ワールド(HFW)というNGO(東京都千代田区)があります。HFWの活動目的は、飢餓のない世界を創ること。人間の最も基本的な権利の一つである「食料への権利」の実現を目指し、バングラデシュ、ベナン、ブルキナファソ、ウガンダで活動している非営利・市民組織です。

HFWの活動の一つに「書損じハガキを送ろう」というものがあります。家庭に眠っている書損じハガキや商品券などを全国から回収し、集まったハガキを飢餓や貧困に直面する人々の自立支援など、飢餓のない世界を創るための活動に役立てています。

集めているものは、書損じ・未使用ハガキ(官製はがき)、未使用切手、商品券、外国紙幣、使用途中・未使用テレホンカード、使用途中・未使用プリペイドカード、中古ゲームソフト、中古DVD、使用済みディズニーリゾートパスポート、ダイヤ・金・銀・プラチナ製貴金属(石・真珠付・一部分・破損品も可)です。あなたにでもできることがあるかもしれません。是非ご支援をお願いいたします。

送付先や問い合わせ先はこちらです。
http://www.hungerfree.net/whatyoucando/hagaki/index.html

実は、この活動、昨年、広島県北広島町の臥龍(がりゅう)山で事件に巻き込まれ亡くなられた、島根県立大1年の平岡都さんもサポーターとして飢餓のない世界のために募金活動などに尽力されていたそうです。彼女の遺志を大切にし、この活動が多くの方々に広がっていくことを心から願ってやみません。
http://www.hungerfree.net/notice091109.html

2010年2月5日金曜日

難民受入れという国際貢献

去る2月2日、日本政府は、タイで日本への移住を希望するミャンマー難民の面接を始めたそうです。これは、避難先の国で暮らす難民を別の国が受け入れる第三国定住*1制度を今年から試行するのに合わせて実施したものとのこと。アジアでのこの制度による受け入れは日本が初めてだそうです。

この制度、定着すれは今後本格運用する方針のようですが、日本語教育や就労先確保など、定住に向けた課題も多いようです。是非、克服して日本らしい国際貢献として進展していってほしいと思います。


難民受け入れ これも重要な国際貢献だ(2009年12月8日 西日本新聞)
国際貢献といえば、自衛隊の海外派遣をめぐる論争が頭に浮かぶ。途上国で医療や技術指導などに汗を流すボランティアをイメージする人もいるだろう。そういった「打って出る」だけではなく、「受け入れる」国際貢献もある。・・・
http://www.nishinippon.co.jp/nnp/item/139400

関連して心温まるニュースをご紹介します。日本もすてたものではありません。こういった心の輪がどんどん広がっていってほしいと思います。


松本を人道都市に(2010年2月1日 朝日新聞夕刊 論説委員室から)
日本にやってくる難民に長野県松本市を定住先に選んでもらい、生活や就職を支援しよう。そんな運動が起きている。
日本では今年秋から、タイに滞在中のミャンマー難民を受け入れる「第三国定住」の試行が始まる。3年間で計90人の予定で、松本の計画は彼らが対象だ。

言い出しっぺは、隣の筑北村出身で、国連難民高等弁務官事務所の駐日代表を務めた滝沢三郎さん(61)。

代表当時、難民受け入れを政府に働きかけながらも、定着後のことが気になっていた。日本が約30年前にインドシナ難民を受け入れた際、地域の協力が不十分だった反省もあった。

2年前、講演に訪れたふるさとで、同級生に囲まれた。難民とは縁のない人ばかりだったのに、興味を示してくれた。

地元で繊維卸会社を経営する横内義明さんもその一人。「仕事一筋できて、気がつけば60歳。ここらで何かやりたいとみな思っていたんだ」

昨年春、同級生仲間を中心に会を結成し、難民の実情を伝える映画祭やコンサートを開いた。12月の集会には菅谷昭市長も出席し、「松本を人道都市にしよう」と、側面支援を約束した。

寒さの厳しい信州を難民が選ぶのか。運動を継ぐ若い世代はいるか。課題は多いが「できない理由を挙げるより、できる理由を見つけたい」と滝沢さん。

松本深志高校19回生。経験も人脈も豊かな団塊世代が、世のためにひと肌脱ぐ。心意気が頼もしい。

難民受け入れ 求められる態勢整備(2010年2月11日 NHK解説委員室)(追加記載)

http://www.nhk.or.jp/kaisetsu-blog/100/36003.html

*1:第三国定住(だいさんごくていじゅう)とは、すでに難民キャンプで生活するなどして難民となっている者を、別の国が受け入れる制度。国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)は、自主帰還、庇護国への定着と共に、難民保護に必要不可欠な手段として挙げる。アメリカやヨーロッパの一部の国などが採用している。2008年6月時点で、タイへ逃れたミャンマー難民のうち3万人以上が、この制度によりアメリカ・カナダ・オーストラリアなどへ受け入れられた。この制度の対象となるのは、UNHCRが推薦する難民であるため、難民認定作業が容易になるとされる。また、日本の入管法の現在の運用では、難民認定の対象を、事実上、来日した外国人に限定するが、この制度を採用すると、難民が現在する地域に審査官が出向いて審査することも可能となる。(出典: ウィキペディア)

2010年2月4日木曜日

自分に必要なお金の額をわきまえ、自分の手で稼ぐ

お金は大切だが、お金だけでは幸せを手に入れることはできない。世の中にはお金では買えないものがたくさんあるからだ。たとえば、家族の愛情、友人、心の平和などなど。

結局、どういうライフスタイルを望むかによるのである。質素な生活をし、多くのモノを求めないなら、それほど多くのお金は必要ない。高級車に乗り、高価な服やアクセサリーを買い、高級レストランで食事をし、休暇をとって海外旅行に出かけるといった生活をしたいなら、たくさんのお金がいる。

自分が持っているお金の額について、他人や環境のせいにしてはいけない。自分が望むだけのお金を稼げていなくても、それを景気や上司のせいにすべきではない。それよりも積極的に行動を起こして自分の力で経済的安定を確保すればいいのだ。

勤勉に働いて、絶えずスキルを伸ばそう。そうすれば、会社にとってあなたは、より価値のある存在になり、もっと多くのお金が稼げる地位に就くことができる。


ディスカヴァー・トゥエンティワン
発売日:2006-06-15

2010年2月3日水曜日

足りない集中治療室、小児医療の現場

去年のことですが、ニュース番組「報道STATION」の特集(2009年11月18日放送)で、どうしてもご紹介したいと思っていたものがありました。


助かるはずの子供の命が救えない。子供のための集中治療室「PICU」不足が、深刻な問題となっている。全国の重症救急患者を受け入れるPICUは、12施設・108床のみ。この中でも、あらゆる症状の患者に対応できるものは、数施設に限られるという。先進国の中で、日本は子供の救急医療の整備が大きく遅れている。急がれるPICUの整備。しかし、少子化で小児科医療が不採算部門となり縮小、財政難となっている。切迫した小児救急医療の現場で奮闘する小児科医たちに密着した。
http://www.tv-asahi.co.jp/dap/bangumi/hst/feature/detail.php?news_id=7731

2010年2月2日火曜日

大学のリスクマネジメント

大学には様々なリスクが存在しています。そして、大学におけるミス、トラブル、事故、事件、不祥事、不正が連日のように報じられています。リスクマネジメントの重要性を痛感する毎日です。

今日は、国大協サービス*1というところが配信する「国立大学リスクマネジメント情報」というメルマガの中から、昨年1年間に発生した主な事例を抜粋してご紹介します。今後のリスクマネジメントを考える上で参考にされてはいかがでしょうか。


1 金融危機と資産運用

2008年9月のいわゆるリーマンショックを引き金に発生した世界的な金融危機が私大を直撃したことが大きく報道された。国立大学法人では、資産運用が限定的であるため、直接的な影響はなかったように見えたが、ハイリスク・ハイリターンの金融商品を求めた私大の浮沈は、自らの経営努力による教育・研究資金の調達という潮流にひとつの教訓を与えたとも言える。
  • X大学はデリバティブ取引による含み損が60億円程度になることを発表(1月19日)
  • NHKアンケート調査に回答した国立大の91%71校、私大の89%62校が金融取引により資産運用。国立大学では損失はなかったが私大の55%34校で損失(3月1日)
  • X大は20年度決算で269億円の支出超過と発表。有価証券の時価の大幅下落に伴う損失処理が主な原因(5月27日)
  • X大はデリバティブ取引で約68億円の損失が発生し、約45億円の有価証券評価損と併せて20年度決算で約80億円の赤字と発表(5月28日)

2 新型インフルエンザ

昨年春の新型インフルエンザの国内発生直後には多くの大学で臨時休業が行われた。その後の感染拡大に伴い、附属学校等では学級閉鎖なども行われ、大学の事業継続が懸念された。しかし、年末から流行も落ち着きをみせ、心配された受験生の大量感染の事態は回避できそうだ。国大協では、感染拡大防止と受験機会の確保のため、2次試験における追試の実施に努力することを決め、公私立大学とともに、入試センターや文科省に必要な対策を講じることを求めた。

3 非常勤職員の雇い止め

あまり一般紙が取り上げることはなかったが、国立大学固有の問題として非常勤職員の「雇い止め」の問題があった。
  • X大に非常勤職員として働いていた男性2人が「雇い止め」の無効と未払い賃金の支払いを求め提訴(7月1日)

4 入試ミス

追加合格措置を要した入試ミス(国公私大)
  • 正解が間違っており昨年受験生8人を追加合格(2月4日)
  • 採点のプログラムミスで9人を追加合格(2月20日)
  • X大は今春入試で誤答を正答とする採点ミスにより15人を追加合格(4月8日)
  • X大の入試「日本史B」で出題ミス。5人を追加合格、合格者4人の順位繰り上げ。出版社からの指摘で発覚(5月1日)
  • X大の入試「生物」で出題ミス。1人を追加合格。出版社からの指摘で発覚(5月8日)
  • X大の入試でパソコンへの登録ミスにより1人を追加合格(5月19日)
  • X大が1月に実施した入試で設問の文字脱落の出題ミス。1人を追加合格。試験問題見直し作業で発覚(6月12日)
  • X大が1月に実施した入試で選択肢に正答がない出題ミス。6人が追加合格(6月16日)
  • X大が2月に実施した入試で誤った解答で採点、27人が追加合格。11人は別入試で同大に入学。出版社からの指摘で判明(6月17日)
  • X大が1月に実施した入試で出版社からの指摘で選択に正答なしの出題ミスが発覚。また誤った解答を正答とする採点ミスも発覚。18人が追加合格。7人は別入試で同大に入学(6月17日)
  • X大が1月に実施した入試の出題ミスと採点ミスで10人が追加合格。8人は他入試で同大に入学、2人は入学を希望せず。出版社からの指摘で発覚(7月3日)
  • X大附属中学校が2月に実施した入試で採点ミス。一部答案に採点漏れがあり4人を追加合格(8月3日)
  • X大の卒業試験で担当教授が採点ルールを変更して採点したため平成17年度に3人、同20年度に5人が留年、両年度にさかのぼって卒業を認めると発表。採点には同教授一人しかかかわっていなかった(8月27日)
  • X大推薦入試で生物と数学で出題ミス。2人を追加合格(11月14日)

5 キャンパス、学生生活圏の安全

昨年は、大学の教授や学生が巻き込まれる衝撃的な事件が発生した。1月には大学の建物内で授業に向かう教授が教え子に刺殺されるという想像もできないような事件が発生した。7月には、夏祭り準備中のキャンパスで学生がナタを男児に突きつける事件、9月には大学構内で女子学生が乱暴される事件も発覚している。また、下宿先や寮への帰宅途中に女子学生が殺害される痛ましい事件も発生した。
  • X大学の教授が授業直前にトイレで刺殺(1月14日)
  • X大4年の学生が、地域交流イベント「夏祭り」の準備中のキャンパスで男児を羽交い絞めにし、ナタを突きつける。リュックサックにはガソリンの入った瓶も(7月26日)
  • X大構内で女子学生に乱暴しようとした疑いで県職員が逮捕。その後、別の同大女子学生への乱暴容疑で再逮捕(9月10日)
  • X大の女子学生のマンションから火災。発見された焼死体が同人と確認され、殺害されたものと判明(10月22日)
  • 広島で発見された頭部の遺体が10月下旬から不明のX大女子学生のものと確認。同大は、学生の遺棄事件をうけて希望する学生に防犯ブザーを配布(11月7日)

6 アルコール中毒死

昨年も、課外活動やサークルの新入生歓迎会等での急性アルコール中毒による学生の死亡事故が後を絶たなかった。
  • X大の合宿所でサークルの送別会で飲酒の19歳学生が布団でおう吐して死亡。大学は学生の飲酒を把握しないまま使用許可。宿泊を認めていなかったが学生14人が無断宿泊。職員の見回りや帰宅指導は行われていなかった(3月5日)
  • 合宿で飲酒後に死亡した学生の遺族が部員20人とX大に約1億円の賠償を求め提訴(3月18日)
  • イッキ飲み防止連絡協議会の調査によると昨年一気飲みで死亡した大学生らが全国で少なくとも5人いたと報道(3月28日)
  • ペンションで合宿中のX大サークルの打上げで学生が急性アルコール中毒で死亡(8月25日)

7 ハラスメント

昨年は、セクシャル・ハラスメントに加え、アカデミック・ハラスメントやパワー・ハラスメントの報道が目についた。両者の確定した定義は未だ無いようであるが、教育・研究や仕事における上下関係によるハラスメントであり、意識の改革を含めた予防策が急がれる。
  • X大学大学院で指導教授から適切な指導が受けられず単位を取得できず、自主退学に追い込まれたとして1334万円の支払いを求めた訴訟で、地裁は慰謝料30万円の支払いを命じる判決(2月17日)
  • X大学は学生に過剰な学習を強いる等のアカデミック・ハラスメントで准教授3人を諭旨解雇処分、女子学生3人へのセクハラ行為で准教授1人を懲戒解雇(2月20日)
  • X大学はアカデミック・ハラスメントにより自殺したと遺族が訴えている大学院生の自殺原因をめぐり、調査・調停委員会を設置していたと報道(2月22日)
  • 自殺したX大院生の両親がアカデミック・ハラスメントが原因として指導教員に5000万円の損害賠償裁判を提訴(3月6日)
  • X大は諭旨解雇した教授からアカデミック・ハラスメントを受けたという学生からの相談を2年間放置(3月26日)
  • パワハラを行ったとして講義停止等の職務命令を受け精神的苦痛を受けたとして県立大の教授が県に1100万円の損害賠償を求めた訴訟で、地裁支部は県に330万円の支払いを命じる判決(4月16日)
  • X大は教員の指導に過失があり、担当していた大学院生の自殺につながったとする調査結果を発表(5月13日)
  • X大教授2人がアカデミック・ハラスメントに関する大学の調査がずさんで精神的苦痛を受けたとして慰謝料等1400万円の支払いと再調査を求めて提訴(6月18日)
  • X大教授がアカデミック・ハラスメントを受けたとして前学部長と大学に500万円の損害賠償を求めて提訴(6月25日)
  • X大の女性職員が上司に過重な労働を指示され精神的苦痛を受けたとして大学に慰謝料220万円を求めた訴訟で、地裁は33万円の支払いを命じる判決。ストレス性障害の発症については因果関係を認めず(6月30日)
  • X大は、大学院生が昨年8月に自殺した問題で、准教授の指導に過失があったと認定、停職に相当と発表。准教授は既に退職しており実際の処分はできない(7月3日)
  • X大は、学生に7時間にわたる説教をするなどした准教授を減給の懲戒処分にしたと発表(7月21日)
  • X大に元勤務していた女性研究員がアカデミック・ハラスメントを受け雇用を打ち切られたとして教員2人と大学に慰謝料と未払い賃金計約720万円の支払いを求めて提訴(8月10日)

8 情報漏えい

コンピュータウイルスの感染が大学で拡大していることが報じられたが、社会的には証券会社、損保会社などで担当者が情報を盗み出すなど情報管理権限のある者の犯罪も起きた年だった。情報セキュリティでもこうした犯罪対策も考えなくてはならない時代となった。
  • USBを介したコンピュータウイルスへの感染が全国の大学で広まっていることが報道(1月24日)
  • X大学附属病院で1000台を超えるパソコン、サーバーがコンピュータウイルスに感染し診療業務に遅れ。患者の症状悪化や情報流出は無かった(2月27日)
  • 証券会社部長代理が全顧客約148万人の個人情報を引き出し、うち5万人弱分を名簿業者に売却。同社は部長代理を懲戒解雇するとともに刑事告訴の方針(4月8日)
  • 陸上自衛隊のほぼ全隊員約14万人の個人情報を持ち出し部外者に提供したとして1等陸尉が逮捕(8月31日)

9 教職員の不祥事

教職員の不祥事では、研究費の不正経理が多く見られたが、論文の盗用等の研究者の倫理の問題も報道された。また、残念なことに国立大学における横領や贈収賄事件も発生してしまった。
  • X大学の職員が収賄の疑いで逮捕されたことが報道(1月22日)
  • X大財務部係長が大学施設宿泊者経費と親睦会費から88万円を着服(3月7日)
  • X大は職員が架空の取引書類を作って科研費236万円を自分の口座に着服したと発表(3月25日)
  • 文科省所管独法の係長が収賄容疑で逮捕(4月7日)
  • X大は教員4人が約2800万円をプールし、約35万円を腕時計等の購入に私的に流用していたと発表(6月29日)
  • X大の管理職の男性が親睦会費約50万円を着服したとして依願退職していたことが報道(7月1日)
  • X研究所の主任研究員が架空発注の手口で約1100万円の損害を与えた背任容疑で逮捕される(9月8日)
  • X大病院の元栄養管理室長が食材納入を巡り30万円のわいろを受け取ったとして収賄容疑で逮捕。その他に約300万円の架空発注を行っていたことが大学の調査で明らかになっている(11月26日)
  • X大は、学生からの寄付金25万円を着服した職員を諭旨解雇したと発表(11月26日)

10 広がる薬物大麻汚染

大麻や薬物が大学生に広まり、所持や使用で多くの大学の学生や教員が逮捕され社会の注目を集めた。
  • 関西の4私大学長が薬物汚染で共同声明発表。情報交換を目的に連絡会設置(3月7日)

11 性犯罪

学生が起こす性犯罪も世間を大きく騒がせた。特に教育系大学の学生が起こした事件は大きく報道され、それに関する学生のネット上の書込みも問題となった。このような事件に対しては、大学は法律上の賠償責任は負うことはないと考えるが、教育機関として当然に社会的責任が存在することは確か。リスクマネジメントという観点はもちろん、教育的観点からの対応も必要。
  • X大学学生が強姦、強姦未遂容疑で逮捕・起訴されていたと報道。約10件に関与か(2月16日)
  • X大の男子学生6人が集団準強姦容疑で逮捕(6月1日)

12 休部、廃部

学生が起こした事件により課外活動が影響を受けることもある。大学の教育活動の一つと考えられる課外活動が部員の起こした事件により活動停止になったり、廃部となる事態も起こった。
  • 関東学生陸上競技連盟は、部員が大麻取締法違反容疑で捜査を受けたX大に対し、来年1月の箱根駅伝のシード権剥奪等の処分を決定(4月17日)
  • ボクシング部員2人が暴行事件で逮捕されたことを受けX大は同部の廃部を決定(6月18日)
  • X大レスリング部の学生が強姦致傷容疑で逮捕(9月28日)。同大学は同部を無期限活動停止の処分(10月14日)


*1:国立大学協会が実施する国立大学法人総合損害保険や各国立大学法人が手配する損害保険について、募集業務、契約締結業務、保険料集金業務、契約維持業務、事故報告に関する相談業務、リスクマネージメントや保険手配に関する相談業務を行う有限会社

2010年2月1日月曜日

文部科学省が組織・業務見直しヒアリング

先日、文部科学省から各国立大学宛に「国立大学法人と文部科学省との意見交換について」と題する通知がありました。

これは、各国立大学法人が現在、第二期中期目標・中期計画期間に向けた各種の検討を行っていることを踏まえ、各法人における現段階での組織及び業務の見直しの検討状況等を文部科学省が把握するために行われるものです。

こういったヒアリングは、例年行われておりますが、今回は、新年度からいよいよ第二期の事業期間に入ることから、突っ込んだ意見交換が予想されます。

実施要項によれば、1)実施期間は、平成22年2月15日(月)~3月31日(水)、2)国立大学法人側出席者は、担当理事、事務局長、担当部長等の5名以内、3)1法人当たり1時間程度、4)各法人における組織及び業務の見直しの状況、特に、学科・専攻別の入学者状況、第二期中期目標期間中の組織及び業務全般の見直しが意見交換の主なテーマとして予定されています。また、そのために、1)学科・専攻毎の過去3年間の入学定員・入学者数・充足状況、2)既存組織の見直し状況、3)平成21年6月文部科学大臣通知における組織見直しの事項毎の対応状況についての資料を事前に提出することが求められています。