第Ⅰ 総 論
2 成長への道筋
(2)全員参加・世界で勝てる人材を育てる
(日本の若者を世界で活躍できる人材に育て上げる)
今や日本の若者は世界の若者との競争にさらされている。将来の日本を担う若者が、国際マーケットでの競争に勝ち抜き、学術研究や文化・国際貢献の面でも世界の舞台で活躍できるようにするためには、まず何よりも教育する側、すなわち学校を世界標準に変えていくことを急がなければならない。
日本の大学を世界のトップクラスの水準に引き上げる。このため国立大学について、運営の自由度を大胆に拡大する。世界と肩を並べるための努力をした大学を重点的に支援する方向に国の関与の在り方を転換し、大学の潜在力を最大限に引き出す。また、「鉄は熱いうちに打て」のことわざどおり、初等中等教育段階からの英語教育を強化し、高等教育等における留学機会を抜本的に拡充し、世界と戦える人材を育てる。
(3)新たなフロンティアを作り出す
(オールジャパンの対応で「技術立国・知財立国日本」を再興する)
日本は現在でも高い技術力を有しており、国や大学の研究機関も民間も世界の先端を行く研究を行い、将来有望な技術シーズを数多く保有している。それにもかかわらず、最終製品段階の国際競争で他国の後じんを拝することが多いのは、国、大学、民間の研究開発が、出口を見据えずバラバラに行われ、それぞれの持ち味を十分に活かしきれていないことが原因である。
「総合科学技術会議」の司令塔機能を抜本的に強化し、日本が負けてはならない戦略分野を特定し、そこに国、大学、及び民間の人材や、知財、及び資金を集中的に投入するドリームチームを編成することで、世界とのフロンティア開拓競争に打ち勝って新たな成長分野を創り出していく。
また、世界の先を行く基礎研究の成果を一気に実用化レベルに引き上げるための革新的な研究を徹底的に支援し、iPSプロジェクトのような成功例を次々と生み出していく。国の総力を結集して「技術で勝ち続ける国」を創る。さらに、日本人の知恵・創造力を発揮して、世界最高の「知的財産立国」を目指す。
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5 「成長への道筋」に沿った主要施策例
(2)全員参加・世界で勝てる人材を育てる
(日本の若者を世界で活躍できる人材に育て上げる)
③大学の潜在力を最大限に引き出す(国立大学改革等)
<成果目標>
◆今後10年間で世界大学ランキングトップ100に10校以上を入れる
(ⅰ)先駆的な取組を予算の重点配分等で後押しする国立大学改革に直ちに着手する。今後3年間を改革加速期間とする。【本年夏に国立大学改革プランを策定】
①年俸制の本格導入、企業等外部からの資金を活用した混合給与などの人事給与システムの改革
②大学や学部の枠を越えた教員ポスト・予算等の資源再配分及び組織再編、並びに大学内の資源配分の可視化
③上記の先駆的な取組の成果を踏まえ、運営費交付金全体を戦略的・重点的に配分する仕組みを導入する。【2016年度から導入】
(ⅱ)学校教育法等の法令改正を含め、抜本的なガバナンス改革を行うこととし、所要の法案を次期通常国会に提出する。また、必要な制度の見直しを行い、世界と競う「スーパーグローバル大学(仮称)」を創設する。【来年度から実施】
④世界と戦える人材を育てる
<成果目標>
◆2020年までに留学生を倍増する(大学生等6万人→12万人)
(ⅰ)初等中等教育段階からの英語教育を強化する。このため、小学校における英語教育実施学年の早期化、教科化、指導体制の在り方等や、中学校における英語による英語授業実施について検討する。【今年度から検討開始】
(ⅱ)グローバル化に対応した教育を行い、高校段階から世界と戦えるグローバル・リーダーを育てる。このため、「スーパーグローバルハイスクール(仮称)」を創設する。【来年度から実施】
(ⅲ)意欲と能力のある高校・大学等の若者全員に、学位取得等のための留学機会を与える。このための官民が協力した新たな仕組みを創設する。【本年8月末までに結論】
(ⅳ)国家公務員総合職試験や大学入試等に、TOEFL等の国際的な英語試験の導入等を行う。【国家公務員総合職試験は2015年度から導入】
(3)新たなフロンティアを作り出す
(オールジャパンの対応で「技術立国・知財立国日本」を再興する)
①国の総力を結集して「技術で勝ち続ける国」を創る
<成果目標>
◆今後5年以内に科学技術イノベーションランキング世界1位(世界経済フォーラムでは現状5位)
(ⅰ)戦略分野を特定し、出口を見据え、総力を結集して研究開発等を推進しイノベーションにつなげていくための司令塔として、「総合科学技術会議」の機能を強化する。これにより、府省の縦割りを廃し、産学官の連携を抜本的に強化し、高い科学技術力が最終製品・サービスまで到達できていない我が国の現状を打破する。【本年8月までに法改正を含む工程表策定】
(ⅱ)戦略分野の市場創造のため、「総合科学技術会議」が中心となり、コア技術を特定し、基礎研究から出口(事業化、実用化)までを見据えたロードマップに基づく、府省の枠を越えた取組を行う。この取組に対して複数年にわたり重点的に資源を配分する「戦略的イノベーション創造プログラム(仮称)」を創設する。【本年8月末までに結論】
(ⅲ)京都大学山中教授による再生医療研究などFIRSTプログラムが世界トップ水準の高い研究成果を創出していることを踏まえ、FIRST後継施策とも呼ぶべき「革新的研究開発支援プログラム」を創設する。【本年8月末までに結論】
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第Ⅱ 3つのアクションプラン-日本産業再興プラン
2 雇用制度改革・人材力の強化
経済のグローバル化や少子高齢化の中で、今後、経済を新たな成長軌道に乗せるためには、人材こそが我が国の最大の資源であるという認識に立って、働き手の数(量)の確保と労働生産性(質)の向上の実現に向けた思い切った政策を、その目標・期限とともに具体化する必要がある。
このため、少子化対策に直ちに取り組むと同時に、20歳から64歳までの就業率を現在の75%から2020年までに80%とすることを目標として掲げ、世界水準の高等教育や失業なき労働移動の実現を進める一方で、若者・女性・高齢者等の活躍の機会を拡大する。これにより、全ての人材が能力を高め、その能力を存分に発揮できる「全員参加の社会」を構築する。
③多様な働き方の実現
個人が、それぞれのライフスタイルや希望に応じて、社会での活躍の場を見出せるよう、柔軟で多様な働き方が可能となる制度見直し等を進める。
○研究者等への労働契約法をめぐる課題に関する検討
労働契約法の若手研究者のキャリア形成に対する影響を懸念する指摘もあることから、研究現場の実態を踏まえ、研究者等のキャリアパス、大学における人事労務管理の在り方など労働契約法をめぐる課題について関係省が連携して直ちに検討を開始し、1年を目途に可能な限り早急に結論を得て、必要な措置を講ずる。
⑤若者・高齢者等の活躍推進
全ての人が意欲さえあれば活躍できるような「全員参加の社会」の構築を目指す。特に、我が国の将来を担う若者全てがその能力を存分に伸ばし、世界に勝てる若者を育てることが重要であり、若者・女性活躍推進フォーラムの提言を踏まえつつ、成長の原動力としての若者の活躍を促進する。
○若者の活躍推進
・インターンシップに参加する学生の数の目標設定を行った上で、地域の大学等と産業界との調整を行う仕組みを構築し、インターンシップ、地元企業の研究、マッチングの機会の拡充を始め、キャリア教育から就職まで一貫して支援する体制を強化する。また、関係団体等の意見を踏まえつつ、インターンシップの活用の重要性等を周知し、その推進を図る。さらに、若者等が経済状況にかかわらず大学等で学ぶことができるよう、奨学金制度を充実する。
・学修時間の確保、留学等促進のための、2015年度卒業・修了予定者からの就職・採用活動開始時期変更(広報活動は卒業・修了年度に入る直前の3月1日以降に開始し、その後の採用選考活動については、卒業・修了年度の8月1日以降に開始)について、中小企業の魅力発信等、円滑な実施に向けた取組を行う。
・大学、大学院、専門学校等が産業界と協働して、高度な人材や中核的な人材の育成等を行うオーダーメード型の職業教育プログラムを新たに開発・実施するとともに、プログラム履修者への支援を行うなど、社会人の学び直しを推進する。また、高等専門学校について、地域や産業界との連携を深めつつ、社会や企業のニーズを踏まえた学科再編などを促進する。また、若者等の学び直しの支援のための奨学金制度の弾力的運用や雇用保険制度の見直し等を行う。
⑥大学改革
大学改革全般に関する「教育再生実行会議」の提言を踏まえつつ、国立大学について、産業競争力強化の観点から、グローバル化による世界トップレベルの教育の実現、産学連携、イノベーション人材育成、若手・外国人研究者の活用拡大等を目指す。このため、大学評価システムの構築、大学や学部の枠を越えた教員ポスト・予算等の資源再配分及び組織再編、大学内の資源配分の可視化、外国人研究者の大量採用、年俸制の本格導入、企業等の外部からの資金を活用した混合給与などの人事給与システムの改革、運営費交付金の戦略的・重点的配分の拡充に直ちに着手する。今後3年間で大胆で先駆的な改革を後押しして改革を加速し、第3期中期目標期間(2016年度から)開始までに改革を完成させる具体的・包括的な改革プランを早急に取りまとめる。
また、必要な制度の見直しを行い、世界と競う「スーパーグローバル大学(仮称)」を創設する。今後10年間で世界大学ランキングトップ100に我が国の大学が10校以上入ることを目指す。
○人材・教育システムのグローバル化による世界トップレベル大学群の形成
・人材・教育システムのグローバル化、英語による授業拡大など、積極的に改革を進める大学への支援の重点化に直ちに着手する。
○イノベーション機能の抜本強化と理工系人材の育成
・産業界との対話を進め、今年度内に、教育の充実と質保証や理工系人材の確保を内容とする理工系人材育成戦略を策定し、「産学官円卓会議(仮称)」を新たに設置して同戦略を推進する。
・今後10年間で20以上の大学発新産業創出を目指し、国立大学のイノベーション機能を強化するため、国立大学による大学発ベンチャー支援ファンド等への出資を可能とする。このため、所要の法案を速やかに国会に提出する。
○人事給与システム改革による優秀な若手及び外国人研究者の活躍の場の拡大
・今後3年間で、国立大学における1,500人程度の若手及び外国人研究者の常勤ポストの提示を目指し、年俸制の本格導入や企業等の外部からの資金を活用した混合給与の導入に直ちに着手する。
○大学改革を支える基盤強化
・国立大学法人評価委員会等の体制を強化し、大学改革の進捗状況をきめ細かくフォローする。
・教授会の役割を明確化するとともに、部局長の職務や理事会・役員会の機能の見直し、監事の業務監査機能強化等について、学校教育法等の法令改正の検討や学内規定の見直しも含め、抜本的なガバナンス改革を行うこととし、所要の法案を次期通常国会に提出する。
・教員ポスト・予算等の大学内の資源配分の可視化、運営費交付金の戦略的・重点的配分の拡大に直ちに取り組む。さらに、2016年度から新たな評価指標を確立し、運営費交付金の在り方を抜本的に見直す。
⑦グローバル化等に対応する人材力の強化
世界に勝てる真のグローバル人材を育てるため、「教育再生実行会議」の提言を踏まえつつ、国際的な英語試験の活用、意欲と能力のある若者全員への留学機会の付与、及びグローバル化に対応した教育を牽引する学校群の形成を図ることにより、2020年までに日本人留学生を6万人(2010年)から12万人へ倍増させる。優秀な外国人留学生についても、2012年の14万人から2020年までに30万人に倍増させること(「留学生30万人計画」の実現)を目指す。
また、産業構造の変化に対応した学び直し等の機会を拡大する。
○国家公務員試験や大学入試等へのTOEFL等の活用
・2015年度の国家公務員総合職試験から、外部英語試験を導入するとともに、大学入試や卒業認定へのTOEFL等の活用を促進する。
○意欲と能力のある若者全員への留学機会の付与
・高校・大学等における留学機会を、将来グローバルに活躍する意欲と能力のある若者全員に与えるため、留学生の経済的負担を軽減するための寄附促進、給付を含む官民が協力した新たな仕組みを創設する。また、支援策と併せて、姉妹校締結や海外の大学と単位互換の取組等、大学の教育環境整備を進めるなど、必要な措置をパッケージとして講ずるための具体策を本年8月末までに検討を進め結論を得た上で、概算要求等に反映させる。
・就職・採用活動開始時期変更【再掲】を行うほか、多様な体験活動の促進に資する秋季入学に向けた環境整備を行う。
・留学機会の確保と併せ、優秀な外国人留学生獲得のための海外の重点地域を選定し、大学等の海外拠点の強化や支援の充実による戦略的な外国人留学生の確保を推進するとともに、留学経験者の把握等ネットワークを強化するなど、優秀な外国人留学生の受入れを促進する。
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3 科学技術イノベーションの推進
近年、研究開発の成果が円滑に実用化につながらず、これまで優位を誇ってきた日本のものづくり産業が新興国との競争で苦戦するなど、「技術で勝ってビジネスで負け」、さらに一部では「技術でも負ける」状況になっている。伸び悩む我が国の研究開発投資を推進することにより、「科学技術創造立国」として復活させることが必要である。今後、早急に政府の体制を立て直し、戦略分野を中心に研究開発を推進するとともに、その成果を実用化し、さらには市場獲得につなげるため、知的財産戦略や標準化戦略を推進する。これらにより、イノベーション(技術力)ランキング(世界経済フォーラムのランキングでは、日本は現状第5位)を今後5年以内に世界第1位にするとの目標を掲げつつ、「技術でもビジネスでも勝ち続ける国」を目指す。
このため、「総合科学技術会議」の司令塔機能を強化し、省庁縦割りを廃し、戦略分野に政策資源を集中投入する。政府の研究開発成果を最大化するため、大学や研究開発法人において科学技術イノベーションに適した環境を創出するとともに、出口志向の研究開発と制度改革を合わせて大胆に推進し、実用化・事業化できる体制を整備する。また、民間の積極的な研究開発投資の促進に加え、自前主義からオープンイノベーションへの展開を加速し、実用化・事業化へとつながる科学技術イノベーションの好循環を生み出す。
政府一体となり科学技術イノベーション総合戦略(本年6月7日閣議決定)を強力に推進することは、成長戦略の実現にとって鍵となる。このため、関連施策との一体性を確保しつつ、以下の施策を重点的に推進する。
①「総合科学技術会議」の司令塔機能強化
省庁縦割りを廃し、成長戦略に基づく資源配分の実現のために必要な「総合科学技術会議」の司令塔機能の強化に向けて、組織の充実、予算要求(内閣府計上)、法律改正等を含む工程表を本年8月末までに策定し、来年度から実行に移す。
○政府全体の科学技術関係予算の戦略的策定
・政府全体の科学技術関係予算について、「総合科学技術会議」が予算戦略を主導する新たなメカニズムを来年度概算要求段階から導入する。
○「総合科学技術会議」事務局機能の抜本的強化
・関係府省、産業界、大学等の協力を得ながら、専門的知見を有する優秀な人材の長期登用などにより事務局体制を強化する。
・企画・立案に必要な国内外の関連情報を収集し、調査分析する機能を強化するため、関係府省や政府系シンクタンクとの連携を図る。
・イノベーション創出加速のため、「総合科学技術会議」の運営に当たって、産業界の活力を積極的に活用する。
○アウトカムを重視したPDCAの積極的推進
・国家的課題の解決推進のため、アウトカムを重視した研究開発のPDCAを推進するとともに、イノベーションの創出・環境整備等に係る状況(進捗、障害の有無等)を分析・評価し、必要な場合に関係府省に改善措置を求める。
②戦略的イノベーション創造プログラムの推進
「戦略市場創造プラン」を実現する上で、科学技術イノベーションが果たす役割は極めて大きい。国家的に重要な課題を解決するため、コア技術を特定し、基礎研究から出口(実用化・事業化)までを見据えたロードマップに基づく取組により、戦略市場を創造する。このロードマップに基づく府省横断型の取組に対して複数年にわたり重点的に資源を配分する「戦略的イノベーション創造プログラム(仮称)」を創設する。本年8月末までに「総合科学技術会議」において具体策を固め、国全体の研究開発予算について、効率化・効果の最大化を図る観点から見直しを行った上で、所要の予算を内閣府に計上する。
○戦略的イノベーション創造プログラムの創設
・各省に対する総合調整機能を効果的・効率的に発揮させるため、内閣府に「戦略的イノベーション創造プログラム(仮称)」を創設し、産業界、学界及び各府省と連携し、基礎研究から出口までを見据えた研究開発等を推進する。
○プログラムの推進体制
・ロードマップの策定、各府省の関連施策の調整、プログラムディレクターの任命等、実効性あるPDCAを行う体制を整備する。
③革新的研究開発支援プログラムの創設
現在のFIRST(最先端研究開発支援プログラム)の成果をしっかりと実用化する。さらに、研究開発全体の基盤の底上げにつなげていくため、成長戦略の一環として、米国DARPA(国防高等研究計画局)の仕組みを参考に、長期的視点からインパクトの大きな革新的研究テーマを選定し、権限を有するプログラムマネージャーの責任の下で、独創研究を大胆に推進するプログラム(革新的研究開発支援プログラム(仮称))を創設する。現行FIRSTの予算執行面での特長を活かしつつ、本年8月末までに検討を進め結論を得た上で、概算要求等に反映する。
テーマ選定に際しては、将来の経済社会・産業の在り方に大きな変革をもたらすものとし、選定過程における産業界の有識者の関与を高める。
④研究開発法人の機能強化
成長戦略の実現に資する研究開発を集中的かつ効果的に推進するため、研究開発法人に対する業務運営の効率化目標の在り方を見直し、研究開発内容や評価を踏まえたメリハリある予算を実現するなど研究開発法人の機能強化を図る。
○世界最高水準の新たな研究開発法人制度の創設
・研究開発法人については、関係府省が一体となって、独立行政法人全体の制度・組織の見直しを踏まえつつ、研究開発の特性(長期性、不確実性、予見不可能性及び専門性)を踏まえた世界最高水準の法人運営を可能とする新たな制度を創設する(次期通常国会に法案提出を目指す)。
○具体的な改善事項への対応
・法的措置が必要なものと運用によって十分に改善が可能なものを早急にしゅん別し、給与、調達、自己収入の扱い、中期目標期間を越えた繰越等の改善が必要な事項に関し、現行制度においても、運用上改善が可能なものについては速やかに対応を図る。特に、外部資金を積極的に活用するインセンティブを与えるため、自己収入(寄附金収入分等)を確保した分運営費交付金が削減される仕組みは直ちに見直す。
⑤研究支援人材のための資金確保
研究者が研究に没頭し、成果を出せるよう、研究大学強化促進事業等の施策を推進し、リサーチアドミニストレータ等の研究支援人材を着実に配置する。
また、大学等における研究支援人材の確保に向けた自主的な取組を促すとともに、競争性を有する研究資金の制度において、間接経費30%の確保に努める。さらに、長期的・安定的に研究支援人材を確保するため、人材の類型化や専門的な職種としての確立、全国的なネットワーク化等を産学官の連携の下で取り組む。
これらの方策について、本年8月末までに検討を進め結論を得た上で、概算要求等に反映させる。
⑥官・民の研究開発投資の強化
民間研究開発投資を今後3年以内に対GDP比で世界第1位に復活することを目指し、研究開発投資にさらにインセンティブを与えるため、産学官のオープンイノベーションの推進、研究開発法人・大学が所有する研究開発設備等の有効活用の促進、研究開発型ベンチャーへの技術開発・実用化支援、知財戦略・国際標準化の推進、イノベーションを促進するための規制改革などの取組を実施するとともに、研究開発税制の活用促進など企業の研究開発投資環境を整備する。
これらの取組により、官民合わせた研究開発投資を対GDP比の4%以上にするとの目標に加え、政府研究開発投資を対GDP比の1%にすることを目指すこととする。その場合、第4期科学技術基本計画(2011年8月19日閣議決定)期間中の政府研究開発投資の総額の規模を約25兆円とすることが必要である(同期間中に政府研究開発投資の対 GDP比率1%、GDPの名目成長率平均2.8%を前提に試算)。これらを踏まえ、我が国の財政状況が一層悪化し危機的な状況となる中、財政健全化との整合性の下、基本計画に掲げる施策の推進に必要な経費の確保を図ることとする。