見過ごされた県政の歪み――蔵内氏問題から問う福岡県の行政責任
福岡県議会の蔵内勇夫前議長をめぐる一連の問題について、連日のように報道が続いています。ワンヘルス関連事業への巨額の公費投入、関係団体への経費負担、県職員の派遣、さらには県議会棟の施設を関係団体に長年提供してきた問題など、次々と明らかになる事実に、県民の関心も高まっています。 こうした報道に接するたびに、私が強く感じるのは、問題の追及が蔵内氏個人の政治的責任に偏りすぎてはいないか、ということです。 もちろん、長年にわたって県政に大きな影響力を持っていた政治家の責任を明らかにすることは重要です。しかし、今回の問題を本当に解明し、福岡県政の健全化につなげるためには、もう一つ、決して見落としてはならない重大な問題があります。 それは、蔵内氏の意向や関係団体への支援を認め、実行してきた福岡県庁自身の責任です。 ■ 政治家が要求しても、行政には判断する責任があります 地方自治体の行政は、特定の政治家や有力者の意向を実現するために存在しているのではありません。県民全体の利益を守り、県民から預かった税金を適正かつ効率的に使うことこそ、行政の基本的な使命です。 仮に有力な県議会議員が特定の事業を強く推進したとしても、それを予算化し、契約を結び、実際に公金を支出するのは県の行政組織です。したがって、県には、その事業に公益性があるのか、投入する税金に見合う効果が期待できるのか、他の事業との公平性は保たれているのかを、独立した立場で判断する責任があります。 例えば、アジア獣医師会連合の福岡オフィスをめぐっては、事務所の賃料や光熱費などを県が全額負担し、さらに県職員を派遣してきました。報道によれば、事務所経費と職員を合わせた県の負担は1億円を超えています。 ワンヘルス福岡オフィスへの県負担 賃料・光熱費など 約6,500万円 2023年7月~2026年6月 派遣職員の給与 約4,333万円 2023年4月~2026年8月 合計負担額 約1億833万円 ※報道された各期間の金額を合算した概算です。期間はそれぞれ異なります。 関連費用についての報道(FNN) ここで問われるべきなのは、蔵内氏が誘致を働きかけたという事実だけではありません。なぜ県は全額負担という条件を受け入れたのでしょう...