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危機を乗り越える

世界を吹き荒れる厳しい不況の嵐が、様々な人の生き方を変えようとしています。 派遣、非正規雇用者が次々と職を失い、路頭に迷い、極寒の路上生活を余儀なくされています。 とてもつらいことですが、是非とも目標をひたむきに追い求め、強く生きて危機を乗り越えていただきたいと心から願うばかりです。 日系3世の君へ(2008年12月27日 朝日新聞夕刊:論説委員室から) お元気ですか、智恵美さん。 日系ブラジル人3世の君とは、3月に静岡市で開かれたシンポジウムでお会いしましたね。柳瀬フラヴィア智恵美というのが本名でした。 9歳の時に来日した君は、苦学しながら3年前、国際基督教大学に合格しました。「将来は、外国人差別のない社会を作りたい」。壇上からそう訴える君に満場の拍手が送られたのを覚えています。 あれから9カ月、不況の嵐が日系ブラジル人社会にも吹き荒れています。 静岡県で派遣労働者として働くご両親について聞くと、電話口の君は「いつ両親が解雇されるか、心配でたまりません」とつらそうでした。 日本にいる日経ブラジル人30万人の子弟のうち、大学進学を果たした若者はわずかです。多くの後輩が君の後に続いてほしいのに、不況の嵐が子どもたちの生活をめちゃめちゃにしています。 親が仕事を失って授業料が払えず、ブラジル人学校を中退する子どもが増えています。もともと日本語の壁がある上に学校に通えなくなっては、荒れる子どもが増えても不思議ではありません。 いてもたってもいられないのでしょう、君は年末、失業した日系ブラジル人のために浜松市のボランティア団体で働くとのことでした。 暗い年の瀬です。でも君は「危機は乗り越えていかねば」と言います。そのたくましさが新年に幸運を招き寄せることを切に祈っています。 関連記事 ブラジル人学校、消えゆく生徒 失業の親、学費払えず(2008年12月28日 朝日新聞) 日本の学校になじめずブラジル人学校に通う子どもたちが、その居場所も次々に奪われている。製造業の現場を支えてきた日系ブラジル人労働者たちが「派遣切り」などで職を失い、授業料を払えなくなっているからだ。冬休みが終わって新学期を迎える時、友だちはどれだけ減っているのだろうか。 《続き》 http://www.asahi.com/national/upda...

国立大学の平成21年度予算予定額

国立大学は今日から年末年始の休暇に入りました。と、のんきなことを言っている世情ではないわけですが・・・。 さて、 平成21年度の政府予算案 も確定し、国立大学の予算の内容も大枠見えてきています。 国立大学の運営費交付金(税金を原資として各大学に配分されるお金)については、効率化ルールを徹底し、各年度の予算額を名目値で対前年度比1%減(年率)とする「骨太方針2006」の決定に基づき、全体として対前年度▲118億円減の11,695億円が確保されました。また、12月22日には平成21年度の国立大学の入学定員(予定)が発表されましたが、今年度は医学部の大幅な入学定員増(361人)が大きな特徴になっています。 詳細について、独立行政法人国立大学財務・経営センターが配信するメルマガ(平成20年12月26日号)の中から関係記事を抜粋してご紹介します。 1 平成21年度国立大学法人予算内示の概要 平成21年度の国立大学法人(大学共同利用機関法人を含む90法人)の予算案の概要は以下のとおりです。 < 国立大学法人運営費交付金 > 国立大学法人等における教育研究活動を継続的・安定的に支えるとともに、社会のニーズに対応した様々な取組を支援するために必要な基盤的経費 平成21年度予定額 11,695億円 〔対前年度▲118億円減〕(平成20年度予算額11,813億円) 【増▲減要因】閣議決定(骨太方針2006)による▲1% < 国立大学法人等の事業費 > 平成21年度予定額 21,757億円(受託事業収入等2,652億円を除く) (内訳)運営費交付金 11,695億円、自己収入 10,062億円 < 教育研究組織の整備 > (1)新規分野・先端的分野に必要な人材養成のための大学院の整備 (2)社会的要請の強い人材養成のための学部等の整備・医学部定員増 ほか (3)これまでの入学実績に応じた大学院博士課程入学定員の減 (4)高度専門職業人養成のための専門職大学院の整備 (5)その他の組織整備 < 特別教育研究経費 > (980億円) 新たな教育研究ニーズに対応し、各国立大学等の個性や特色に応じた意欲的な取組を支援 (詳細) 平成21年度国立大学法人予算案概要(大学共同利用...

認知症との闘い

天声人語(2008年12月25日 朝日新聞)(抜粋) 「刑事コロンボ」で知られる米国の俳優、ピーター・フォークさん(81)が認知症を患っていると報じられた。家族を見分けられない状態と聞き、片手を上げて辞去するコート姿が浮かんだ。 日本でも元女優、南田洋子さん(75)の闘病がテレビで紹介され、大きな反響を呼んだ。夫の長門裕之さん(74)による懸命の介護とともに、老境を控えた身にはひとごとではない。著名人の余生に起きた異変に、長寿時代の定めを思う。 老人医療の専門家、フレディ松川さん(62)の近著『フレディの遺言』(朝日新聞出版)を読んだ。前半の「遺言」は、自分が認知症になった時を思い、家族やヘルパーへのお願いをあれこれ連ねたもの。後半は医師として、介護や予防の勘所を説く。 〈私の目をしっかりと見て、優しい声で話しかけてくれたら、きっとあなたが大好きになります〉〈私の心が寂しいとき、私が若いころに大好きだった曲を聞かせてください〉。 温かな挿絵を交えた短文は切なく、哀(かな)しい。だがこれらは、記憶がこぼれ始めてからでは伝えられない。約2千人を看取(みと)った経験が紡ぎ出した、声なき伝言といえる。 理解しがたい言動を目の当たりにした時、叱(しか)れば患者はおびえ、症状が高じかねない。逆に優しく接すれば、軽度に保つこともできるという。 ◇ 世の中には経験したことのある人でなければわからないことがたくさんありますが、「認知症」という病気の大変さは、患者自身やその介護をする家族など当事者でなければなかなか理解できないものです。 私事で恐縮ですが、私の実母も2年ほど前から、財布や通帳などの紛失など度重なるもの忘れに始まる認知症の症状が見られるようになり、最近では、つい先ほど話したことも覚えていない情けない状態にまで悪化しています。 加えて、本人の性格もあるのかもしれませんが、人に対する猜疑心が強くなり、同居している父や近親者とのトラブルも絶えません。また、人の言うことを素直に聞く耳を持たなくなり、病院に行くことも拒み続けており、仕事や家族の都合で遠く別居している私としては、そばについて介護することもままならず、この先病状の悪化にどう対応したらいいのか解決の糸口さえ見つけることができていません。 世の中にはこういった不治の病である認知...

「明日はわが身」を考えない愚かな公務員

前回の日記でもご紹介しましたが、社会の皆様を対象とした「2008年の出来事」に関するアンケート調査では、残念ながらネガティブな内容のものが上位を占めました。特に最近では、アメリカ発金融危機に端を発する世界同時不況を背景とした厳しい雇用情勢が社会的問題となっており、我が国においても深刻さを増しています。 仕事はもちろん生活の基盤となる住居までも失い路頭に迷う方々が激増しています。これからどうやって生きていけばいいのか、奈落の底に追い落とされた多くの方々を一日も早く救い出し、来る新年に希望の光を見出すことのできる政策が求められます。 深刻な雇用崩壊を記した記事があります。 ◇ 自動車産業、契約切りの嵐 「頭が真っ白」「住む場所は…」(2008年12月15日 産経新聞)(抜粋) 「業績が急激に悪化している。申し訳ないが12月26日で辞めてもらうことになった」 「いすゞ自動車」栃木工場(栃木県大平町)の期間従業員、吉田喜代治さん(48)=仮名=が“契約切り”を宣告されたのは先月17日のこと。仕事中に突然、休憩室に呼び出された。製造工程責任者と労務課長から、A4判の解雇予告通知書を手渡された。9月末に、来年4月7日までの半年契約が結ばれていたはずだった。 この日だけで6人が契約打ち切りを通告された。その光景を見ていた吉田さんの同僚、星野貞雄さん(60)は「部屋から出てくる仲間は目が血走り、顔色がなかった。声をかけられなかった」と話す。 いすゞが打ち出した人員削減は、栃木、藤沢(神奈川県)工場の期間従業員や派遣社員の計1400人。 トヨタ3000人▽日産1500人▽マツダ1400人▽三菱1100人▽富士重工業800人…。ほかの自動車メーカーでも削減が行われる。1年前まで、戦後最長を記録した日本の景気拡大を牽引(けんいん)してきた自動車産業を襲った雇用崩壊。その勢いは、まるで今年の流行語になった「ゲリラ豪雨」のようだ。 「信じられない。頭の中が真っ白になった」と吉田さん。次に浮かんだのが「住む場所はどうなるのか」。会社側は「12月26日から1週間は住んでも構わない」と言ってきた。「1週間後ってことは1月3日。そんな時に開いている不動産屋なんてあるのか…」。その後、3月末まで6畳一室の寮を利用できることにはなったが、雇用への不安を抱えたまま年末年始を...

2008年の様相

今年も残りわずかになりました。毎年のことながら我が家では、暮れの週末は年賀状作りと家の大掃除で大騒ぎです。何事もぎりぎりにならないと動き出さない悪弊はなかなか直りそうにありません・・・。 年賀状を書きながら、自分や家族の今年一年を振り返りつつ、社会で起こった出来事を思い浮かべてみました。今年もいろんなことがありましたね。社会の皆様の印象に残ったニュースも様々だったのではないでしょうか。ちなみに、「ヤフーバリューインサイト」という会社が調査した結果を見てみましょう。 「あなたの2008年」と題するこの調査 によると、印象に残った2008年のニュースは、「ガソリン価格上昇」が85%で1位。以下、「食品偽装事件(事故米など)」(71%)、「食品への有害物質混入事件(メラミンなど)」(64%)など、ネガティブなニュースが上位を占めています。1位の「ガソリン価格上昇」は、いずれの年代でも高く、性別・年代に関わらずインパクトを与えたようです。また、「食品偽装事件(事故米など)」では、年代が高いほどスコアが高くなる傾向が見られ、特に女性の40代以上で関心が高かったようです。 また、学校法人産業能率大学が、企業経営者を対象に「2008年に最も優れていた社長は誰だと思うか」「社長が選ぶ今年のビジネスキーワード」に関する アンケート調査 を行っています。結果を見てみると、「サブプライム」(1位=圧勝)、「原油価格高騰・下落」(2位)、「世界同時不況」(4位)など、当然のことながら経営に直結する問題が上位を占めているようです。 ビジネスキーワード 1位 サブプライム 2位 原油価格高騰/下落 3位 リーマンショック 4位 世界同時不況 5位 食品偽装 6位 金融危機 7位 景気後退 8位 メタボ 9位 ワーキングプア 10位 燃油サーチャージ さて。皆さんの2008年はいかがでしたか?

ゆず湯

我が家では、週末は子どもたちと父親である私が一緒にお風呂に入ることになっています。普段は仕事でなかなかコミュニケーションの時間がとれないためです。と言っても、とても狭いお風呂なのでみんなで一緒に湯船にゆっくり浸かって会話するといったことは不可能なのですが・・・。昨日、いつものようにお風呂に入ろうとしたところ、柑橘系のいい香りが。なんと湯船には「ゆず」が浮かんでいました。そういえば「冬至」。季節を感じながらいつもよりゆったりと温まることができました。 ところで、皆さん、冬至にゆず湯に入る理由をご存知でしょうか。お恥ずかしながら、私は古くからの慣習という程度しか知りませんでした。子どもから質問され即答することがかなわず彼らの軽蔑の眼差しに親の面子を潰されそうになったので早速調べてみました。ご存知でなかった方は一緒に勉強しましょう。「 湯の国WEB 」というサイトからの引用です。 「1年中でもっとも昼が短く、夜がいちばん長くなる冬至(とうじ)。冬至にゆず湯の風呂に入ると、『1年中風邪をひかない』という言い伝えがあります。なぜ冬至にゆず湯なのかというと、「冬至」に「湯治(とうじ)」が、かけられており、また、「柚子(ゆず)」だけに「融通(ゆうずう)が利く(きく)ように」という願いがこめられていると言われています。もちろん、柚子(ゆず)がこの時期に旬を迎えることにもよります。 柚子の精油成分には、蜜柑の皮と同じく血行を促進させる働きがあり、風呂に入れると身体を芯から温めます。新陳代謝も活発になるので、疲れや痛みもとれ、冷え性にも効果があります。ゆず湯は、日ごとに厳しくなっていく寒さに備えるための冬の風呂です。」 ゆず湯の作り方・効能については、以下をご参照ください。 http://www.yunokuni.com/bath12/0412.html 季節を感じる機会の少なくなった気ぜわしい現代の生活だからこそ、こういった先人が培ってきた古来の慣習を大事にして、少しでもゆとりのある生活が送れるよう心がけたいものです。そのことが子どもたちへの真の教育にも繋がっていくのではないでしょうか。

高等教育政策の動向

去る12月18日、麻生内閣発足後初めての教育再生懇談会が開催されました。報道によれば、麻生総理は、教育を国家戦略の中心に据える考えを示し、「公教育の充実」に向け、早急に具体策をまとめるように要請したようです。また、教育再生懇談会は、総理に教科書の充実など教育の「質の向上」に向けた具体策を提言した第2次報告を提出したようです。 首相「教育を国家戦略の中心に」 再生懇メンバーも拡充へ(2008年12月19日 産経新聞) http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/081219/plc0812190046000-n1.htm 教育再生懇談会では、これまで初等中等教育を中心に議論が行われてきましたが、今後高等教育に関する議論が進行していくものと思われます。 今回の会議で示された資料 「大学全入時代の教育の在り方について(論点メモ)」 のうち、前回の日記でご紹介した高等教育予算との関連が深い部分を抜粋しておきたいと思います。 高等教育に対する公的支援の在り方 優れた教育研究を進めるための、大学への公的支援の在り方とは何か。大学への支援が納税者の支持を得られ、かつ、大学教育の質の向上に資するようにするには、どのように支援方法を変革することが必要か。 1 質の担保を前提とした高等教育に対する公的支援について 質の担保をなおざりにし、量的拡大に応じて公的支援を増額することは納税者の賛同を得られないのではないか。質を担保した大学については、学力不問入試などによる学生の確保に囚われることなく、安定的な経営ができるよう、公的支援を増やすべきではないか。反対に、質の担保が得られない大学を公的支援の枠から外すことで、選択と集中を図るべきではないか。 2 高等教育に対する公的支援の拡充について (1)運営面への支援 国立大学運営費交付金、私学助成、各種GPなどの公費についても、「質が担保された大学」のみを対象とすることについてどう考えるか。 (例)質が担保された大学への公的支援の重点化に際しては、私費負担軽減の観点から、授業料の上昇を抑制する。 (2)家計負担への支援 家計負担の大きな日本の高等教育の実態を踏まえ、優秀で意欲のある学生に教育機会を与えるために、どのような方策を講じるべきか...

平成21年度予算が見え始めた

今年もあとわずか。中央のお役所では、明日からいよいよ予算編成の大詰めを迎えます。とはいっても、最近は昔と違って短期間で終わらせるため、かなり形式化しているようですが。文部科学省は、18日、平成21年度予算編成に係る財務大臣及び総務大臣との事前折衝を行い、以下のような合意を得たことを公表しています。 大臣折衝日時:平成20年12月18日(木)14:40~14:55 大臣折衝実施場所:財務大臣室 対応者:塩谷文部科学大臣、中川財務大臣、鳩山総務大臣 義務教育費国庫負担金等について 【文部科学、財務、総務大臣】 教職員定数については、教員が子どもに向き合う環境をつくるため、行政改革推進法の範囲内で、定数増800人を含む1,000人の定数措置。 退職教員等外部人材活用事業については、新学習指導要領の先行実施における理数教科の授業時数の増に対応するため、非常勤講師の配置を倍増の14,000人に拡充する予算措置。 定数増については、地方の現場を混乱させないよう、教育部門の人員配置の効率化に努力するとともに、地方行革に一層の指導力を発揮すること。 私立学校助成費等について 【文部科学、財務大臣】 1 私学助成 平成21年度私学助成予算については、「基本方針2006」に基づき、△1%の4,456億円とする。 そのうち、私立大学等経常費補助については、対前年度31億円減の3,218億円、私立高校等経常費助成費等補助については、前年度同額の1,039億円とする。ただし、この私立大学等への補助の減額に関連し、私立大学における教育研究活動の充実に資するための経費を別途措置。 2 国際化拠点整備事業(グローバル30) 我が国の高等教育の国際競争力の強化、留学生等に魅力的な水準の教育等を提供するとともに、留学生と切磋琢磨する環境の中で国際的に活躍できる高度な人材の養成を行うための環境整備を目的とする「国際化拠点整備事業」を新たに措置。 3 大学教育充実のための戦略的大学連携支援プログラム(地域コンソーシアム) 複数大学の連携・共同による、地域と一体となった人材養成や教育の質保証等を支援し、大学の特色化や機能別分化等を図る「大学教育充実のための戦略的大学連携支援プログラム」を拡充。 4 大学教育・学生支援推進事業 各大学における就職活...

人をほめる

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私たちが日々生きていく中で、簡単そうでなかなかできないのが「人をほめる」ことです。愚直に、ひたむきに生きてこそ、心から人に感謝の念をいだくことができる、素直にそれを言葉にすることができる、今の自分はそのような自分だろうか、多忙な生活のほんのひと時、自分を見つめ直す機会を持ちたいものです。 ハーバード大学教授を務めた、19世紀の著名な心理学者ウイリアム・ジェームズは「人間の本性の最も根源的な特徴は、自分を評価してほしいという欲求である」と言っている。 あなた自身のことを考えてみよう。自分の努力を認めてほしいと思っているはずだ。だから「よくできたね」とか「あなたのおかげで助かったよ」と言われると幸せな気分になる。それは他の人たちも同じだ。 自分がほめられることばかり求めるのをやめて、まず人をほめることを始めてみよう。 では、相手の努力を認めて評価するときに考慮すべきことは何か。 感謝の言葉を述べる習慣をつける。誰かが仕事を手伝ってくれたら、メールか手書きのハガキを送ろう。電話でもいい。レストランでいいサービスをしてもらったら、ウエイターやウエイトレスにお礼を言おう。相手はあなたの言葉に感謝するし、あなたも気分がよくなる。 誠意をこめて相手をほめる。しらじらしいお世辞を言うと、相手はあなたに下心があることを見抜く。ほめ言葉は相手を利用するために使ってはいけない。相手をほめるときは、真心をこめてほめるのだ。 人をほめる習慣をつけて、確実にそれを実践すれば、あなたはその他大勢から抜け出し、さらに成功をおさめることができる。自分ひとりの力だけでは決して成功できない。成功するには、他の人たちの協力が不可欠だ。あなたが周囲の人たちの努力を認め、高く評価するなら、その人たちはあなたに一層協力してくれるようになるだろう。(ジェフ・ケラー「成長の法則」より) 成長の法則 ジェフ・ケラー ディスカヴァー・トゥエンティワン 発売日:2006-06-15 ブクログでレビューを見る»

秋田大学の取り組み

秋田大 総額1000万円の緊急学生支援策(2008年12月16日 毎日新聞) 秋田大学 は15日、景気悪化などの影響で学費や生活費の支払いに困窮している学生に対し、総額1000万円程度の奨学金や生活支援金を貸与する独自の緊急支援策を発表した。 同大によると、授業料を払えないといった相談が数件ある。景気悪化に加え、株価の急落で円高・ウォン安が進む韓国からの留学生も含まれるという。 そうした学生を支援するため、10万円を上限とする生活支援金を無利子貸与。また学部生、留学生や大学院進学予定の学生で、家計の急変で学費納入が困難になった人は入学金や授業料相当額を無利子貸与する。同大が教職員や企業からの寄付金で積み立ててきた教育研究支援基金約1500万円のうち1000万円程度を拠出するという。 いずれも卒業、修了後3年以内に返済することと返済計画書の提出が条件で、原則として日本学生支援機構の奨学金や銀行ローンなどを利用できない学生が対象。年内にも申し込みを受け付ける予定という。 (参考) 緊急支援(秋田大学奨学資金)の申込みについて(秋田大学ホームページ) (関連記事) 北大が留学生に貸付金制度 円高直撃、経済面で支援(2008年12月11日 北海道新聞) 私費留学生に緊急奨学金 東京外大 円高対策で支給へ(2008年12月11日 読売新聞) 山形大が私費留学生に貸付制度 円高による負担軽減へ(2008年12月16日 山形新聞) 韓国人留学生に5万円 室工大が支給 円高、ウォン安で困窮(2008年12月18日 北海道新聞) 「落ち着いて学業継続を」 弘大が円高で留学生に助成金(2008年12月18日 陸奥新報)

命をつなぐ -がんばれ!宮原敬助くん-

映画・テレビでも有名になりました「チーム・バチスタの栄光」で取り上げられている難病が「 拡張型心筋症 」。心臓の筋肉が拡張し薄くなりやがては死に至る特定疾患指定の難病です。 現在、熊本赤十字病院に入院し闘病中の宮原敬助君(1991年生)のドイツ・バードューンハウゼン心臓病センターでの心臓移植を実現しようとする支援活動が進められています。 今回は、その支援活動に取り組んでおられる大分在住の男性(40代)のブログを通じ、命の尊さ、命をつなぐために勇気ある行動を懸命に続けておられる方々の姿をお伝えしたいと思います。 「勇気をありがとう。。。季節を旅して」 (勝手ながら抜粋させていただきます) 2008年12月3日 「たった一つの命」  熊本県の高校生が今、心臓の筋肉が薄くなり、死に至る難病と闘っています。9月重症心不全となり、余命数カ月と宣告され、心臓移植でしか生きる残る道がなくて、ドイツに行き、早急に手術を受ける為には、保険が効かないので8600万円が必要となっています。私はこの新聞記事を読んで、自分に問いかけ、行動してみました。 2008年12月4日 「人間の助け愛」   私は、そのクラブさんの事務所の壁に飾られていた『額縁』に目が止まりました。そこには、いくつかの会社の教訓が書かれていましたが、『一人でも改革は始まる』と書かれてて、私はその教訓を見た時に、本当にいい勇気をもらえたって感じでした。 以前、鹿島アントラーズのサポーターの方で、ご家族の方が難病にかかり、多額のお金が必要となった時に、全国のサッカーの試合会場で、募金活動が次々に展開され短時間で目標の金額が集まったそうです。スポーツに限らず、どんな分野においても、皆が力を合わせれば、『命』を必ず救う事が出来ると思います。人間の助け愛!! 2008年12月6日 「募金活動記」    私は今まで生きてきた人生の中で、今日ほど『人の温かさ』を感じた日はありませんでした。たくさんの方に募金して頂き、また募金活動に至るまで、たくさんの方々に私は助けられました。大変、お世話になり、本当にありがとうございました。感謝!! 2008年12月8日 「様々な人間愛」    たくさんの『優しさ』ありがとうございました。募金活動当日、私が会場で感動したシーンが数々ありました。いろんな...

国立大学法人評価もいよいよ大詰め

法人化により新たに導入された国立大学法人の中期目標期間における業務実績評価も、各大学からの実績報告書の提出(本年6月末)、各大学への訪問調査(この秋)を経て、いよいよ評価結果のとりまとめが大詰めを迎えています。 このたび、国立大学法人評価委員会からの要請を受け、各大学の教育研究評価を行うことになっている、独立行政法人大学評価・学位授与機構から、各大学に対し今後のスケジュール等について以下のような通知(12月9日付)がありましたのでご紹介します。 国立大学法人の教育研究評価について 1 基本方針 教育研究の質の向上と個性の伸長に向けた、各法人の主体的な取組を支援・促進する評価 評価の透明性・公正性を確保し、説明責任を果たす評価 各法人の自己評価に基づく評価 2 内容 教育研究評価では、以下に掲げる2つの評価を行う。なお、今回行う評価は、上記基本方針「個性の伸長に向けた、各法人の主体的な取組を支援・促進する」という観点から、定量的・外形的な面からだけで評価するものではありません。 (1)中期目標の達成状況 法人全体を対象とし、教育研究に係る目標について、関連する中期計画の実施状況を分析することにより、中期目標の達成状況を把握。その際、現況分析の結果を参照。したがって、各法人における目標・計画に即して評価を行うものであり、各法人を相対的に評価するものではありません。 【判断の視点】 取組の実施の可否だけではなく、その取組が有効に機能しているか、教育・研究の質が向上しているか、或いは高い質が維持されているか、という視点で判断。 【評価結果】 中期目標の達成状況を「非常に優れている」「良好である」「おおむね良好である」「不十分である」「重大な改善事項がある」の5段階で判定。このうち「おおむね良好である」が標準的な評価。 (2)学部・研究科等の現況分析 学部・研究科等を対象とし、各組織の目的に照らして、教育研究の水準と質の向上度を分析することにより把握。したがって、各学部・研究科等の目的に照らして評価を行うものであり,、各学部・研究科等を相対的に評価するものではありません。 【判断の視点】 水準の判断は、各学部・研究科等の目的に照らして、それぞれの組織において想定する関係者の期待にどの程度応えているか、という視...

高等教育政策の動向

独立行政法人国立大学財務・経営センターが発行するメールマガジン(12月12日付、第31号)の中から主な記事をご紹介します。 【特別寄稿】 「経営改善係数撤廃への長い道のり」 (三重大学長 豊田長康氏) 今(H20年12月)、文科省では次期中期目標期間(以下次期中期と略)の制度設計について、運営費交付金の算定ルールの具体的な数字も検討されつつあり、大詰めの段階と思います。私はH16年の法人化以来、国大協の「大学経営委員会」(現経営支援委員会)に設けられた「大学附属病院の経営問題WG」(現病院経営小委員会)の座長(現小委員長)として国立大学病院の経営問題に係わってきたので、ここに至るまでのWG(小委員会)の活動を振り返ってみたいと思います。 → http://cz.biglobe.ne.jp/cl/W0399/1/2201000109/1433760 米国州高等教育管理者協会(SHEEO)における経営支援の取組について 平成20年10月、当センターへ来日された米国州高等教育管理者協会(State Higher Education Executive Officers:SHEEO)理事長のポール・リンゲンフェルター氏及びSHEEO-NCES連携担当・情報管理担当ディレクターのハンス・ロランジュ氏に協会で行っているスタッフ・ディベロップメントや経営支援事業について、インタビューを行い、そのインタビューをもとに経営支援の取り組みをまとめました。 → http://cz.biglobe.ne.jp/cl/W0399/17/2201000109/1433760 国際シンポジウム・研究会のご案内(申込受付中) テーマ:「高等教育システムの改革とその結果」 内容: http://cz.biglobe.ne.jp/cl/W0399/18/2201000109/1433760 日時:平成21年1月26日(月)10:00~17:30 会場:学術総合センター一橋記念講堂 備考:同時通訳あり(日英)、参加費無料 申込期限:平成21年1月13日(火) 第45回高等教育財政・財務研究会(平成20年12月20日開催) テーマ:「マスコミから見た国立大学」 講師:三上直行氏(東洋経済新報社第1編集局「週刊東洋経済」副編集長) コメント:米澤彰純氏(東北...

日本の良さ伝え育てる

赤子を背負い、ぼろぼろの服を着て勉強する安徽省の村の子供が次々とスライドに映し出される。「他人の痛みを感じられるか。それがマナーの基本です」 上海外語大の講堂で、万里紅さん(42)が就職活動を控える大学生向けに開いた講座。意外な演出に学生たちは引き込まれた。 万さんは上海の高校を卒業し国有企業に勤めていた87年、12歳年上のスウェーデン華僑と結婚。だがあこがれた海外生活は、つらい日々だった。料理店を経営する夫は自由な外出を許さず、国際電話もかけさせない。夫は賭け事にふけり、2年後に離婚。息子を取り戻そうとしたが、かなわなかった。 疲れ切った万さんはアジアを放浪、96年に日本を訪れる。箱根の旅館でおかみがひざまずいてお辞儀する姿に驚いた。閉店時間を過ぎても笑顔で見守る百貨店員に感心した。日本語学校を経て東京経済大へ。ゼミの教授は家族のように接してくれた。 卒業した02年、中国進出を目指す企業を支援する会社を友人と設立すると、顧客から耳にしたのは「中国人はマナーが悪い」。そこで、マナー講座を上海で始めた。 礼儀作法や服装の工夫、化粧法も教える。日本人の礼儀正しさや気配りをほめる。 「反日感情があるから控えたほうがいい」と言われても意に介さない。「私の青春を取り戻してくれた国、日本の良さを多くの人に伝えたい」 78年からの改革開放とともに日本への国費留学が始まり、その後、私費留学が急増。とくに上海出身者が多かった。彼ら「留日組」が今、活躍している。 (2008年12月10日 朝日新聞夕刊)

無駄な会議を無くしませんか

大学における会議の「無駄」については、以前にもこの 日記 で取り上げました。 大学には、びっくりするほどたくさんの会議があります。また、「こんな会議、時間の無駄なのでは?」と感じる会議も山ほどあります。でもなぜか会議はなくなりません。なぜなのでしょうか。答えは簡単です。「会議でみんなで物事を決めることや、会議に出席することに意義がある」と考えている役員や教職員がいるからです。 大学に置かれた多くの会議のメンバーは役員と教員で占められています。最近は事務職員の経営参画の重要性が少しずつ認識されはじめてきましたが、大半の会議では、事務職員には発言権がなく、「陪席」「列席」といった形で会議に臨んでいます。したがって、会議の構成員ではない事務職員が「無駄な会議はやめませんか」と提案したところで実現するはずがありません。逆に、会議賛成派の教員達から「仕事に対するやる気がない」と睨まれるだけです。 しかし、無駄な会議は大学の経営効率化を阻害する大きな原因となっていることは誰の目から見ても明らかです。国からの税金投入が年々削減されていく中で、もはや大学には、非生産的な会議を放置する余裕はありません。即刻、不要な会議を廃止し、必要最小限の会議について有効活用に向けた取り組みを進めるべきなのです。 「無駄な会議」というキーワードでネット検索してみると、実に多くの記事にヒットします。民間、公的機関を問わず、いかに無駄な会議が多いか、解決方策をさがし求め悩んでおられる方がいかに多いかがよくわかります。では、「無駄な会議」とはいったいどのような会議なのでしょうか。日本ファシリテーション協会が発表している「 ファシリテーション白書2008年度 」の中に、会議ファシリテーションに関するデータが掲載されてあります。この中に、「会議がうまくいかなかった要因」という項目があります。面白いので回答のあった全ての要因を転記します。 いつも発言する人が決まっており、発言しない人もいる 会議中はホンネが出ず、終わってから意見が出てくる 何のための話し合いなのか、目的や内容がよくわからない 資料を読めばすむようなことを、話し合いの場でやっている 意見がまとまらず、時間をかける割には何も決まらない あいまいな結論や次回への持ち越しが多い 進行が行き当たりばったりで、成果の出るの...

入試ミスをなくすために

本格的な入試シーズンが到来し、受験生・保護者の皆さん、大学の入試担当者の皆さんなど関係者の方々は、これから益々大変なご苦労をされることになります。 この季節になると決まって入試問題作成ミスや合格発表ミスに関する記事が目につき始めます。緊張感や危機感の欠如をはじめ、様々な理由や原因があるのだろうと思いますが、いずれにしても入試は、受験生(場合によっては保護者)のその後の人生を大きく左右する大変重要なものですので、大学は細心の注意を払い万全の体制の下で実施しなければならないことは言うまでもありません。 入試問題作成ミスの原因の一つとして、作成後のチエック(体制)の不備がよく指摘されます。入試問題という特殊な情報を厳格に管理しなければならないため、少数の限られた教員間でのチエックにならざるを得ない事情はあるにせよ、学部を超えたチエックなどいろんな工夫の仕方があるのではないかと思います。 また、入試問題の作成方法そのものにも改善のメスを入れる必要があると思います。どの学部にも共通する入試科目なのに、学部別、ひどい場合は学科別に問題を作成している場合が少なくありません。なぜ共通化できないのでしょうか、大学全体として統一した入試問題を作成することがなぜできないのでしょうか。 ここにも「部局自治」の問題が根深く存在します。「学部あって大学なし」の悪しき思想や慣習が、受験生はもとより、教職員の入試コストの低減・効率化を阻んでいます。統一が可能であるにもかかわらず、同じ入試科目の問題を多くの教員の人的コストをかけ作成し、チエックする、あるいは管理するといった状態をいつまでも放置しておくことは即刻改めなければなりません。 大学というところは、なかなか自浄作用が効率的・効果的に機能しません。入試に関する上記のような重要な課題は、本来であれば、関係委員会や最終的には教育研究評議会という国立大学法人法に規定された会議において、徹底的に議論し改善しなければならないものです *1 。しかし、残念ながら、教育研究評議会の先生方は、大学の管理、運営、組織といったマネジメントに関する議論、しかもあらさがしの上に言葉尻を捉えた批判が大好き(おかげで無意味な時間が延々と続くのです。)で、彼らが本務とする教育、研究、そして学生支援といったことにはほとんど興味も示さず議題にも上りません。「...

「針」とは何のためにあるのか

今日、夕刊の中にとても不快な思いをする記事がありました。 針さん、ありがとう (2008年12月8日 朝日新聞) 福岡市中央区の●●ファッションデザイン専門学校で8日、1935年の創立から続けている恒例の針供養があり、学生ら220人が参加した。和服姿の学生たちは、祭壇の前に置かれた3丁の豆腐に、折れ曲がったりした針を1本ずつ丁寧に刺し、技術の向上を祈願した。 針供養と称し、「豆腐」という大切な食材に不用になった針の山を築くという行為、しかも専門学校という教育機関が200人を超える学生に行わせていることに強い疑問と憤りを感じました。 私の妻曰く、そんなに目くじらを立てることではないのでは・・・。しかし、世界にはその日の食べ物にも困っている人々が数え切れないほどいるというのに、いくら安価な「豆腐」とはいえ、本来私たちの口に入る食べものを「針の墓場」にしていいのだろうか、針を刺した学生達がまだ安眠をむさぼっている早朝から、汗水流して丹精こめて造った豆腐がこんな残酷な扱いを受けることを知った豆腐屋さんはどう感じるだろうか、学生達がいずれ親となり子どもを育てる時に、果たして正しい教育ができるだろうかetc、無性に腹が立ったのでした。 偶然にも、同じ夕刊に次のような記事が載っていました。こじつけかも知れませんが、専門学校での出来事は、このような事件につながらないとも限りません。 パンに縫い針混入、11個に計12本 (2008年12月8日 朝日新聞夕刊) 山口市中央4丁目のスーパー●●で4、5日に販売したパンに縫い針が混入しているのが相次いで見つかり、その数は菓子パンや食パン11個で計12本に上ったことがわかった。同店の被害届を受けて山口署は偽計業務妨害の疑いで捜査している。 【追加記載】 私の無知、認識不足により、やや言いすぎの日記を書いたようです。 昨日から今朝にかけて「針供養」に関するニュースがやたら多いので不思議に思い調べたところ、なんと12月8日は「針供養の日」とか。古くから、豆腐や蒟蒻といったやわらかいものに針を刺すことにより供養を行うしきたりのようです。それにしても食べものを・・・。 針供養(Wikipedia) http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%87%9D%E4%BE%9B%E9...

国立大学におけるITの活用

業務の効率化を図るためのツールとして「IT」を活用することはもはや常識ですが、活用の意義を見誤るといいますか、活用の仕方についての十分な検証を怠ると費用対効果等の面で大学に大きな痛手を与えることになります。 今回は、全国の国立大学法人の監事さんから選ばれた方々で組織された「業務効率化タスクフォース」が、平成19年11月末に公表した報告書の中から、国立大学の「ITシステム活用に係る課題」を抜き出してみたいと思います。個人的にはご指摘は全て妥当と考えます。 課題1 統合化されていない組織 教員グループと事務系職員グループで、別の組織になっているところが多い。各事務組織で開発・運用するため、システム毎にそれぞれのベンダーに任せきりの状態になりやすく、結果として、大学全体のIT戦略作成、IT基盤設計、システム連携等の障害になっている。 課題2 要員育成 経費削減目的のための過度のアウトソーシング化、ベンダーへの設計・開発・保守の任せきりなどにより、学内に必要なスキルを持つ業務システム担当やIT担当の要員が育成できていない。その結果、パッケージソフトウェア採用時に技術的問題を考慮せずにカスタマイズ要求をしてコスト・パフォーマンスを悪化させること、当初から必要な機能を付けなかったために多額の機能追加費用を負担することなどが発生している。要員育成の必要性はかねてから認識されてはいる。ベンダーやNII(国立情報学研究所)等の外部研修には参加させている。しかしながら、IT専門職員の必要なスキル・キャリアパス・処遇等が明確ではなく、育成体制ができていない。また、業務システム担当職員のベンダー依存意識を改革する必要がある。 課題3 大学の姿勢 業務改革、組織改革、ITシステムを一体のものと考えていない。情報システム責任者が業務改革、組織改革のチームに入ることによりトータルで効率化を達成するという仕組みができていない。したがって、IT戦略を考慮していない業務改善に沿う形で情報システムが導入されるため、システム導入が根本的な業務効率化につながっていない。(「業務効率化できるシステムか、継続的な業務改善ができるか、システム・人間の業務全体が効果的に設計されているか、中長期的な視点で目標に向かって進んでいるか」)ITの高度活用によって大学の経営を変えていこうとい...

求められる管理職像-2

国立大学の事務組織は、法人化前からそうでしたが、「事務局長-部長-課長-副課長(課長補佐)-係長-主任-係員」といった多層のヒエラルキーによって構成され、その弊害として、「タテ割り、硬直化した組織、年功序列、低給与水準」等が指摘されてきました。そこで法人化後多くの大学では、組織と人の力を最大限に発揮できる組織づくりに力を注いできました。特に、「組織のフラット化と柔軟化」は重要なテーマとされ、例えば、迅速な意思決定をより可能にするため、経営トップである学長と現場との距離をできるだけ近づける、具体的には、役員の下に担当事務組織を直接配置する方式に変更するなどの取り組みを行っています。その結果、文科省からの天下りと批判されている事務局長や、定年までの待機職である部長を廃止する大学も増えてきています。確かに、実質的には役員と現場を抱える課長とのラインが太く強固であれば仕事はうまく進むわけで、その間に屋上屋を重ねるような階層はもはや不要なのかもしれません。 大学改革を一層進めていくためには、このような官僚体制としての事務組織を再構築するとともに、業務の必要性など根本に立ち返った見直し、SDなど職務能力の開発(専門化)、努力した者が報われる厳格な職員評価・人事考課の確立といった多様な課題の解決に向け取り組んでいかなければなりません。そして、こういった諸改革の成否は、結局は「人」に依存します。改革成就のためには、多くの職員が一丸となって経営者の掲げるビジョンと戦略を共有し、各々がその役割・責任を全うすることが何より大事になってくるわけですが、その職員達を迷わすことなく引っ張っていける力量のある管理職の存在がカギになります。 特に、腰掛人事と揶揄される文科省の命令によって各地を2~3年ごとに転々とする課長以上と違い、副課長(課長補佐)さん方は、基本的には当該大学の生え抜きであり、深い愛校心と広い人間関係を持った人達です。中には、当然ながらいわゆる年功序列によってその地位を築いた方もいらっしゃいますが、最近では、大学におけるキャリアパス制度の充実などから、優秀な人材層が整いつつあります。また、法人化以前には不可能だった「プロパー職員の管理職(課長以上)への内部登用制度」も定着しつつあり、今後10~20年先が楽しみです。 前置きが長くなりました。今回は、今後の戦略的な大学経...

国立大学の予算の課題

「 平成21年度予算の編成等に関する建議 」(財政制度等審議会)については既に この日記 でもご紹介いたしましたが、この建議に至る審議会での議論(というよりは財務省からの一方的な説明)の様子(= 文部・科学関係議事録 )が最近公表されました。建議の方が先に公表されてしまったため、今さら議事録を読んでも仕方ありませんでしたが、読んでみると財務省の説明者(主計官)の発言と建議に書かれた文章が面白いようにピタピタと一致するので、改めて財務省の思惑どおりの審議会運営、財政政策の誘導が行われているんだなあと認識させられた次第です。 議事録の中で文部・科学担当の主計官は、「国立大学の予算の課題」に関して主に次の6点を主張されています。 平成22年度から国立大学法人は第2期の中期計画に入る。その際には、競争的な環境、透明性、そして学部・学科ごとの厳格な相対評価を踏まえて、競争的な資金配分を行っていくことが重要。 第1期(中期目標期間)では、一律1%削減が行われてきたが、経費の効率化がどこまで行われているのか必ずしも判然としない。今後は、大学の特性、学部ごとの評価を考慮し、国が支援すべき研究、人材育成について運営費交付金を交付するといった考え方で進めていくことが重要。その際、研究コストは学部ごとに交付額を傾斜配分する、あるいは教育コストについても学費等の自己収入で賄うといった考え方も踏まえて検討していくことが必要。 国立大学の運営費交付金は毎年1%の削減だが、実は共同研究費あるいは寄付金等の収入努力によって、全体の事業費は毎年数百億円のペースで増えてきている。こうした努力をさらに進めていくことが必要。 大学の類型によって、あるいは同じ類型の中でも大学によって教員1人当たりの外部資金は相当差があり、こうした差を踏まえて、各大学の機能分化を進めていくことが重要。 国立大学の授業料は、私立大学あるいは諸外国の大学に比べると、まだかなり低い水準。ここ数年据え置いてきているので、第2期(中期目標)の期間に向けて、授業料の水準の在り方について引き続き議論していくことが重要。 国公私を通じた教育改革支援経費と、国立大学運営費交付金の中で個別大学ごとに計上する特別教育研究経費は、項目にもかなり重複があるので整理していくことが必要。 僭越ながら若干コメントさせていただ...

予算額目標から成果目標へ

去る26日、財政制度等審議会により「平成21年度予算の編成等に関する建議」が取りまとめられ、いよいよ予算編成も山場を迎えます。高等教育関係予算の実情、とりわけ国立大学関係については、これまでこの日記でも詳細にわたりご紹介してきました。 (参考) 国立大学予算の削減(1) http://daisala.blogspot.jp/2008/09/blog-post_8030.html 国立大学予算の削減(2) http://daisala.blogspot.jp/2008/09/blog-post_6691.html 訴求力に欠けた要望書  http://daisala.blogspot.jp/2008/11/blog-post_2283.html 日記の内容から国立大学を取り巻く大変厳しい財政事情がご理解いただけるのではないかと思うのですが、最近では、 朝日新聞が報じた全国の国立大学長アンケート 結果からも、各学長の本音を感じ取ることができます。この記事によれば、92%(77大学)の学長が、「法人化により国立大学間の格差が広がった」と回答され、「過去の資産のある大規模大に資金が集中している」「旧帝大は余裕があるため、新たな展開を可能にしている、格差拡大は『地力の差』にある」といった意見が寄せられています。また、法人化後の問題点として、「各大学とも毎年1%を目安に教育研究経費の効率化が求められ、全体として法人化した04年度より600億円もの運営費交付金が減額されたこと、一律削減により、もともと財政基盤の異なる旧帝大と地方大(特に教育系単科大)の格差が広がった」ことなどが指摘されています。このような厳しい状況の中、各大学は、例えば、運営費交付金の削減分を外部の研究資金や寄付金などで補う努力を続けてきているわけですが、ある学長が「外部資金獲得は大規模有名大学あるいは医理工系分野に有利に働く」と指摘されているように、地方大学の限界も垣間見えてきます。 国立大学に身を置く者の一人として申し上げれば、確かに国の時代に比べれば、いわゆる「人、物、金、スペース」といった資源の不足感は否めませんし、声を大にして社会に訴えることも必要なことです。しかし、それでは国立大学(の学長さん)は、国立大学とは縁もゆかりもない社会の人達、あるいは、私立大学に多額の授業料を負担している...

格差社会と学費の問題

景気の低迷による国民生活への影響が益々深刻化している現在、「政局より政策」を標榜していたはずの政府の無策に近い対応は、結局は選挙対策の感が否めず、景気回復へ向けた多くの国民の期待を裏切るばかりか、次第に苦しみの奈落へ引きずり込もうとしています。特に、所得の格差拡大は、憲法で保障された「教育を受ける権利」をも否定するかのような社会現象を生じさせています。 家計に置きかえてみればわかりやすいかもしれません。子ども達の将来を保証することになるであろう教育に可能な限りの投資をしておきたいと考えるのは親心としては一般的なことですし、現に我が家では、お父さん(私)の小遣いが母親の独断と偏見でいつの間にか娘の習い事の月謝に転換されていきます。なんとも情けない話ではありますが、これが、高等教育に係る学費の問題ともなると、その金額の大きさから、お父さんのお小遣いを節約するどころの話ではすまないことになります。最近では世相を反映してか、家計に与える教育費負担の問題を取り扱う記事が目につくようになってきました。 1,024万円 高校入学から大学卒業までの教育費(2008年11月16日 東洋経済) 「国の教育ローン」を利用した勤労者世帯(平均年収622万円)を対象とした日本政策金融公庫の調査によると、高校入学から大学卒業までの7年間の教育費は子ども1人当たり1024万円(私大理系の場合は1141万円)に。自宅外からの通学となると、これにアパート等の入居や家財道具購入のための48.6万円、年間96.0万円の仕送りが加わる。対象世帯には小学校以上に在学している子どもが平均1.8人おり、彼らにかかる在学費用の世帯年収に対する割合は平均34.1%。年収200万~400万円の世帯では55.6%にもなる。しかも、これら学齢期の子どものいる世帯の6割近くが住宅ローンを抱え、上記在学費用とローン返済額との合計は、世帯年収の45.9%もの規模となっている。 全文→ http://www.toyokeizai.net/life/living/detail/AC/4d3d5b7cbda4fa963408537dae158d54/ 私立大下宿生は214万円 入学費用、国立自宅の2倍(2008年9月30日 共同通信) 今春の大学、短大の新入生が出願から入学までにかかった受験費用や学費、住居費...

ちょっと一息

この日記を書き始めてちょうど1年が経過しました。飽きっぽい性格の割にはよく続いたものだと妙な達成感に浸っていたところ、先週末、日記の内容についてクレームが入りました。クレームをいちいち公表することはいたしませんが、要は、最近の私の日記に関して「他人が書いた論考を長々と丸写しするのは問題ではないか」というご意見でした。著作権等を侵害する行為ではないかとのご指摘なのでしょう。 確かにこの日記では、これまで、私が読者の皆様にお勧めしたい論考等を抜粋又は全文転載する形でご紹介してきました。これは、私の未熟な文章による説得力のない主張をご披露するよりは、識者の方々が書かれた原文をお読みいただくことが何よりも適切と判断したことによるものです。もちろん、引用させていただいた論考等は、インターネットや雑誌等で広く公開されているものですし、著者のお名前や出典を明らかにするなど、著作権等の侵害や悪意による引用といった疑念を抱かれないように留意してきたつもりでした。 しかし、残念ながら厳しいクレームを頂戴することになりました。先週末からクレームへの対応、つまり、この日記を有益な情報として読者の方々に受け止めていただくためには、今後どのような編成内容にすべきなのか考えてきましたが未だ答えを得ることはできていません。この日記の存続にかかわる重要な課題だと思いますので、少し時間をかけて試行錯誤していきたいと思います。

求められる管理職像-1

前回の日記でも触れましたが、「やる気の湧く職場」を創造していくために「幹部職員の養成」が不可欠であることは論を俟たないところです。 今回は、日本福祉大学常任理事の 篠田道夫 さんが「文部科学教育通信」(No206、207)に寄稿された 「戦略経営の確立に向けて-リーダーシップの確立-」 をご紹介します。 戦略を遂行していくためには、リーダー(理事長や学長に相当するのだろうと思いますが)の強いリーダーシップ(先見性のある戦略の明示と構成員への浸透、そのための組織化)が求められ、戦略を重点課題ごとに組織や個人に分配し具体化し実践の課題に落とし込んで行動指針にまで高め、組織的に実現する「戦略の分配」が必要であること、また、戦略の実現のためには、現場のニーズや問題点、競争環境を把握している中堅幹部が戦略策定にも参画し、かつ策定後はその実践の先頭に立つことが求められること、そして大学現場ではどのような管理者像が求められるのかなどについて指摘されています。 リーダーによる戦略の分配 こうした戦略を遂行していくためには、当然、強いトップのリーダーシップが求められる。今日のリーダーに求められるのは、先見性のある戦略を明示すること、構成員に戦略を浸透させ納得を得ること、そして構成員の行動を目的達成に向けて組織することである。 トップには戦略への確信、責任感、信頼性、そして先頭に立って改革を推進する強い姿勢が求められる。しかし戦略は一人では実現できない。ここに戦略の分配という手法がとられることになる。戦略をテーマごと重点課題ごとに組織や個人に分配し、具体化し、実践の課題に落とし込んで、行動指針にまで高め、組織的に実現するための手法である。分配に当たっては、戦略の全体目標と分配する部門目標との関係性や整合性を明確に説明づけることがポイントとなる。戦略の部門における位置づけや意義の理解を前提に、分配する組織や人(責任者)の特定、期限の明示、権限の付与等が必要である。大学においては、これらの分配は会議体で行われることが多いが、一般に課題遂行責任(者)や期限が曖昧な場合が多い。方針や政策を会議体で決定する場合、「誰が、いつまでに」を常に意識的に明確にすることが、実行性を保障する最大の要件である。 その上で、この戦略の具体化(分配)を担う経営、管理運営組織をどう編成するか...

やる気を引き出す職場と人材育成

書店に行くとこのようなタイトルの付いた本が所狭しと積み上がったコーナーを目にします。民間企業、お役所など多くの職場で社員や職員がどれだけやる気をもって仕事に取り組めるかが、組織や個人が求めるそれぞれの成果を最大限引き出すための重要な「鍵」になっているのではないかと思います。 前回ご紹介した、愛媛大学経営情報分析室の秦 敬治氏のお話の中にも、「教職協働」を進めるための大学の組織づくりに必要なこととして、ドラッカーの言葉「現代の組織は上司と部下の関係ではない。それはチームである」を引用した上で、1)教職員の強みを引き出せるような組織や制度を作ること、2)教職員を同じ立場で仕事させる機会を作り出すこと、3)重要ポストにおける教職員の割合を検討すること、4)職員が「極めるため」のサポートを惜しまないこと、が述べられています。 これは、主に「教員と職員との関係」に視点を置いたものだと思いますが、私は、「上司と部下との関係」つまりは、「学長、役員、幹部職員という大学の経営に最も責任を有する者が真剣に考え実行しなければならないこと」としても十分当てはまることではないかと思います。 大学の中には、「仕事ができない、しない、させない」管理職、上司という位置にあぐらをかき、自分の保身だけを大事にして仕事をするような人間として尊敬できない管理職が思いのほかたくさんいらっしゃるような気がします。残念ながら、若手のモチベーションや未完の能力を開発し向上させるために、本気になって汗をかくような管理職はごくごくわずかなような気がします。 こういった現状をいち早く打開しなければ、「やる気を引き出す職場」にはなりえないし、効果的な「職能開発」は不可能です。 今回は、 桜美林大学大学院国際学研究科大学アドミニストレーション専攻 の 田中 修 さんが書かれた 「事務職員のやる気を引き出す職場の見直し-共通理解に裏付けられたアイデンティティある事務組織-」 (2008年1月、修士論文要旨)(抜粋)をご紹介したいと思います。 ◇ この益々競争が激化する環境下で、高等教育機関としての大学がこの趨勢に対応していくためにはどういった改革を進めていけばいいのだろうか。その重要課題が「事務職員のやる気を引き出す職場の見直し」である。共通理解に裏付けられたアイデンティティある事務組織体制の...

教職協働に何が必要か

近時、多くの大学人が重視している課題として、大学における教育組織と事務組織が良きパートナーシップを確立すること、あるいは教員と事務職員が相互に連携しあう体制を整えて学生に対応することが挙げられると思います。 今回は、 国立大学マネジメント研究会 (会長:本間政雄 学校法人立命館副総長、元京都大学理事・副学長)が発行する会誌「 大学マネジメント 」(2008年6月号)から、 愛媛大学経営情報分析室 の 秦 敬治 氏が 「これからの教職協働-GP活用による実践例-」 と題して行った 講演 の概要(抜粋)をご紹介したいと思います。 秦氏は、西南学院大学で20年間職員として財務の仕事をしながらサッカー部の監督、九州大学修士・博士課程での修学を経て、2006年度より愛媛大学経営情報分析室准教授として活躍されており、今回の講演では、1)教員や職員個人の能力やスキル、2)組織や制度、業務分担、3)組織文化、個々の教職員が持つ意識の問題といった視点から「教職協働」を分析されています。 教職協働のコツ-職員には何が必要か 教職協働実現のために職員には何が必要かということですね。相手を変えるのはなかなか難しいです。私はいつも学生に言っています。性格は変えられないけど行動は変えられる、他人は変えられないけど自分は変えられる。組織や制度を大きく変えるとか、職員が教員に働きかけてあるいは教員が職員に働きかけて相手を大きく変えることはなかなかできないので、自分が変わらなければなりません。 1)「専門性の向上」と「論理的思考力」 今日お見えの多くの方が大学の職員でいらっしゃいますので、職員に焦点を当てた場合、どういったお話ができるかなと思い、「専門性の向上」と「論理的思考力」に着目してみました。初めに、 大学行政管理学会 の大学職員研究グループで、全国の国公立大学の学長と私立大学の理事長に対してアンケートを行ったと申しましたが、その結果を見ますと、教職協働推進の課題として「職員の専門性と能力の向上が必要だ」と答えた学長もしくは理事長は140名、56.9%です。「教職協働が必要だと言うけれども、職員が専門性を身につけたり能力を上げなければうまくいかないんだ」ということを経営陣は感じているんですね。それを皆さんがどう受け取るかということです。 「複数の素養を効果的に機能さ...

コストカットに向けた取り組み-2

前回に続き、大学における「コスト削減」について考えてみたいと思います。今回は、本年6月27日に、総務省が取りまとめた「行政事務のコスト削減の検討の視点」というレポートをご紹介します。 このレポートが取りまとめられた趣旨は、以下の「前書き」を読めばご理解いただけるところですが、要すれば、「最近の国の行政機関における不適切な無駄遣いの多発を受け、前福田総理から指示のあった「 政府における無駄の徹底的な排除に向けた集中点検-『ムダ・ゼロ』への取組み 」の徹底を図るため、国の行政機関におけるコスト削減に向けた職員の意識改革、コスト削減の仕組みやチエック機能などについては、民間企業の努力や成果を十分に認識・活用していくことが重要である」とのことのようです。 レポートは、国の行政機関を対象としたものですが、書かれた内容は、私達の職場である「大学」にも十分適用できるものではないかと思いますし、指摘内容を正面から受け止め、今後のコストカットに向けた取り組みに反映できればと考えています。 行政事務のコスト削減の検討の視点 (平成20年6月27日、総務省行政評価局民間のコスト削減手法に関する研究)(抜粋) 前書き 国の行政機関においては、「 行政コスト削減に関する取組方針 」(平成11年4月27日閣議決定)等に基づき、コスト削減に取り組んできたところであるが、これまでその取組が十分な成果を上げてきたとは言い難い。理由や背景としては、次のような点が考えられる。 予算の獲得に重点を置きがちである。 組織のトップも末端の職員も、主眼は予算の獲得にあり、日常的なコスト削減の意識が希薄である。 予算の節約や効率化によるメリットが明確になっていないので、コスト削減に切実感を持って取り組んでいない。 結果的に、節減の取組は「スローガン」に終わりがちである。 これらに対して、民間では、売上げの増加のための企画や販売も重要ではあるが、最終損益で「プラス」とするためには、コストの管理も重要である。利益が生じなければ自らの給与に跳ね返ることとなるので、末端の従業員に至るまで、節減努力やコスト削減のインセンティブが常に働いている。 国の行政機関がコスト削減の取組を進め一定の成果を上げるためには、このような両者の違いを十分に認識して、「掛け声」だけでなく、トップから率先...

コストカットに向けた取り組み-1

国公私立の設置形態の如何を問わず、大学における「コスト削減」は、健全な大学経営を維持発展させる上で極めて重要な課題です。 現下の大学を取り巻く厳しい状況に鑑みれば、今後、大学は、相当のコスト削減なしには、現在の教育研究条件を支える資源を経続的に供給することはやがて困難になり、教職員の待遇もそれによって影響を受ける可能性は十分に念頭に置かなければなりません。(もはや手遅れという大学も出現してきておりますが・・・。) このため、まずは、自らの周囲にあるコストの削減に関心を向ける必要があります。コストを何割カットすることができるかどうかは、大学の将来にとって決定的に重要となります。コスト削減を行うことは単に財政的なプラスをもたらすのみならず、大学全体を活性化し、新しい試みに道を拓くという積極的な意味を持っています。 特に、大学内の管理的経費については徹底的な見直しを行う必要があります。例えば、次のような観点からの見直しが必要ではないでしょうか。 全学共通的な管理的経費を集約管理することにより統一的な縮減に努める。 民間機能を活用することにより、効率的・効果的な業務の遂行が可能なものについては、積極的に外部委託を導入し、経費(人件費等)の抑制を図る。 一般競争入札の積極的な導入、規格の共通化、一括購入方式の促進など、購買方式を見直すことにより物品調達コストを抑制する。 施設設備のエネルギー経費の抑制を図るため、既存の設備・機器等の更新を含め、施設設備エネルギー・マネジメント体制を構築し、施設に節減システムを組み込む等の方策を推進する。 機器や備品等を一元管理し、共同利用体制を導入することにより固定経費を抑制する。 事務分掌の見直し、会計制度の弾力化、権限委譲、情報化・電子化等により、事務の効率化、事務経費の削減を図る。 やや抽象的ですね。では具体的な事例をご紹介します。早稲田大学の事例です。 早稲田大学では、「財政改革推進本部」(財革本部)というものを立ち上げ徹底したコスト削減活動を行っています。とあるセミナーで配られた資料(ちょっと古いかも)を基にポイントをご紹介します。 ■財革本部立ち上げの背景 私立大学における予算・決算を消費収入超過とすることは、かなり難しいことである。しかし、大幅な「黒字」を実現させることは極めて困難であると...

社会から見た国立大学(3)

前回に続き 「国立大学法人における外部人材の活用方策に関する調査研究報告書」 のポイントをご紹介します。今回が最後です。 文科省の広域人事の問題、幹部職員の問題、人事権の行使は学長の責務 事務の合理化は、結局誰かが泥をかぶって様々な抵抗勢力と戦いながらでないとできない。例えば職員について形骸化している評価制度を実質化しようと提案すると、すぐに職員組合から反発が起きる。だから、事務局長が強い意志でもって何としてもやらなくてはいけない。学長が前へ出てしまうと、ややこしいことになってしまう。法人化の前から国立大学の学長がよく言うのは、「学長と事務局長とが本当に意気投合できるときにこそ改革をやる。それでうまくいかないときはやらない」と。局長が代わったときにまたやるということは事務局長の役割が決定的に重要ということ。 理事は充分やる気があって、テーマによっては一生懸命にやっている。けれども体制、意識とかスピードということになってくると、やっぱり事務局のガードが強い。事務局長というのが常に組織を掌握している。各理事が自分の下に事務組織を持っているのだけれども、それは横できちんと事務局長が掌握している。言ってみれば一種の二重構造。 広域人事で全国の大学を2~3年で回っている人達は、最初は国立大学や高専に採用された人達で、20代に見込まれて文科省に転任した人達。係員、係長として、政策立案、政策の実務設計、調査・分析、政策の執行、予算配分などの実務面をこなした経験を豊富に持っており、全国的、ポジションによってはグローバルな視野で仕事をしている。概ね38歳で、大学に課長として出て、半分くらいは40代前半で本省に戻り課長補佐としてさらに高いレベルで政策立案・執行に携わる。大体46~47歳で大学の部長として出る。こういう彼らだから、例外はあるが、知識、識見、仕事のスピード、人脈、判断力、実行力において大変優れている。彼らの問題は、在任期間が平均して短いことから、どうしても腰掛け的な中途半端な気持ちで仕事に取り組むことと、もう一つは、任期が短いこととも関連するが、彼らに中長期の目標がないこと。○○大学○○課長に命ずるという辞令をもらっても、やはり2~3年で代わるという気持ちがどこかにあるから、大学のこともあまり本気で勉強しないし、まして2年か3年の在任中に、リスクを冒してま...

社会から見た国立大学(2)

前回に続き「 国立大学法人における外部人材の活用方策に関する調査研究報告書 」のポイントをご紹介します。 大学経営における責任者の不在、論功行賞ではない役員人事を 学長の選考もさることながら、現行法の中では、どのような人に役員になってもらうかという役員会の人選がかなり重要。文科省からの出向でない職員の法人役員への登用を積極的に進めなければだめである。地方採用で国立大学に勤めて長年やってきた人は、その大学のことについては一応のキャリアを持っており、自分のキャリアを高めた人に、法人の役員になってもらう。今の学長選挙というのはどうしても学内意向投票的。だからどうしても選挙対策に貢献した人を役員として周りに置くのではないか。本当にマネジメントなりガバナンスの能力の裏付けがあって、教育研究も一生懸命やった教員が役員として参画しているのかどうか。学内理事としてどういう人を選ぶのか、学外の理事もどういう形で登用するか、これが重要なポイントである。 理事の権限が明確になっていない。事務組織は相変わらず昔のままで、そこに理事という職種が入り込んできただけで、理事のそれぞれの権限が明確になっていない。ある仕事が進んでいるのか、進んでいないのか、役員会で聞いても誰も答えない。誰が責任を持つのかと聞くと、学長が「私です」と手を挙げる。法人の長は学長だが、学長は多忙だから全ての仕事を全部やれるわけはない。そこを執行部である理事がきちんと自分の責任で、自分の仕事がどこまで進んでいるかをきちんと常に役員会なりに報告をして理解を求める必要がある。 国の時代は、財務内容の詳細というのは事務方が握っていた。事務方はできれば、教員側には詳しい情報は教えないというのが本当のところ。それが法人化によりガラリと変わって、役員会の中で財務関係の議論をすることになると、学長も副学長も教員であり、財務というのははっきり言って詳しい話はわからない。そのため依然として、事務方が上げてきた案なりでそのまま通っていく。役員会でも経営協議会でも実質的な議論はやられていない。形骸化している。大学の運営という面では管理機能はあるけれども、大学の経営という視点からの議論が役員会では少ない。むしろ規定の改正ばかりが多く上がってきて終わってしまう。財務内容の勉強とか議論はない。 役員の中に、「大学を経営するとは何...