記事紹介|大学不動産の有効活用
はじめに 昨年(2016)5月に国立大学法人法の一部を改正する法律案が国会で成立し、本年(2017)4月より、国立大学法人の資産の有効活用を図るための措置として、その対価を教育研究水準の一層の向上に充てるため、教育研究活動に支障のない範囲に限り、文部科学大臣の認可を受けて、土地等を第三者に貸し付けることができるとされたことはご案内の向きも多いかと思う。 本改正は、国立大学法人の財政基盤の強化にとって大きな効果をもつことが期待されるが、そもそもこうした措置がとられた背景には、公的セクター全体として不動産を有効活用しようという流れが影響しているといえる。 すなわち、公共施設等の整備・運営に、民間の資金や創意工夫を活用することによって、効率的かつ効果的な公共サービスを実現し且つ公的負担の抑制を図るべく、多様な官民連携事業を推進していこうとする大きな政策動向が根底にあるという捉え方である。 本稿では、地方公共団体を中心にその意義が大いに注目されている公的不動産(PRE-Public Real Estate)の利活用を巡る現状や国立大学法人法の今次改正の影響を踏まえて、大学法人が保有する不動産の有効活用に関する方向感につき私見を述べたい。 公的不動産(PRE)の利活用を巡る現状 わが国の不動産全体(2400兆円)のおおむね4分の1(590兆円)を占めるPREは、地方公共団体の庁舎や学校施設などが典型的なものであるが、その利活用は、「 経済財政運営と改革の基本方針2016 」(骨太方針)において政府全体で取り組むべき課題と位置付けられている。その具体的な目標として、「 日本再興戦略2016 」において、2022年までに人口20万人以上の地方公共団体で平均2件程度、事業規模4兆円が実施目標として掲げられ、関係省庁がそれぞれの諸施策を推進しているところである。 PRE利活用の意義について PREの利活用は、公共側および民間側双方にとって意義があるが、公共側にとっての意義は、大きく二点ある。一点目は、「財政健全化への貢献」である。たとえば、PREを民間事業者に賃貸すれば賃料収入を得ることができる。あるいは、民間事業者がPRE上の建物を保有すれば固定資産税収入等を得ることができる。つまり、公共側にとっては、新たな財源や税収の確保が可能となる。また、保有意...