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食いものにされているのではないか文教施設予算

文部科学省の前文教施設企画部長が収賄の疑いで先日逮捕されました(逮捕時、国立高等専門学校校長)。 最も襟を正すべき文部科学省の役人がこのような不祥事を起こしたことは、国民はもとより教育関係者にとっては正直言って大きな衝撃です。 多くの様々な教育問題に立ち向かって懸命に努力している人達を愚弄する教育担当官庁の役人の犯罪。その背景にはいろいろと根深い事情があるやに報道されていますが、いずれにしても、後を絶たないこの類の話にはただただあきれ、閉口するばかりです。 天下り100人超=施設部門から-文科省 (2008年4月15日 時事通信) 文部科学省や国立大学の施設担当部署を経験した職員で、2001年から5年間に建設、設備工事会社に再就職したのは100人を上回っていることが15日、時事通信の集計で分かった。 国立大の施設整備をめぐっては、同省の元幹部が警視庁に収賄容疑で逮捕された。集計では同省や国立大の施設部門が、天下り先として業界に依存してきた実態が浮き彫りになった。 人事院が毎年発表する「営利企業への就職の承認に関する年次報告」などを基に、文科省文教施設企画部(旧文教施設部)や地方工事事務所、国立大の施設担当部署に勤務した同省OBの再就職先をまとめた。 この結果、少なくとも建設会社に34人、空調や電気などの設備工事会社に69人が再就職したことが判明。これら103人のうち、同省文教施設企画部を最後に退職したのは8人、国立大からの退職者は95人に上った。 再就職後の肩書は「顧問」「技術部長」が目立った。設備会社で設計積算統括部の担当部長に就いた大学職員もいた。 前同省文教施設企画部長大島寛容疑者(59)が逮捕された汚職事件で、贈賄側の会社顧問倉重裕一容疑者(58)がかつて在籍した五洋建設には、大学の施設部長1人が建築部調査役として再就職していた。 103人以外には、建材会社や設計会社に入った工事事務所長、大学課長がいた。大学病院の管理課を辞め、空調会社に再就職した例もあった。 国立大法人化で天下りが「隠れみの」に (2008年4月15日 時事通信) 全国で年間20人前後が建設・設備業界に天下っていた国立大学だが、2006年以降は職員の再就職の実態を把握することが難しくなった。国立大を経て退職する文部科学省職員も多いが、「大学...

教職協働に向けた大学職員のとるべき道

前回に続き「教職協働」に関する話題です。前回は、教職協働に向けた課題の一つとして、教員と職員の関係改善、教員の職員に対する意識改革についてやや辛口のコメントを交え書かせていただきました。 大学に内存する問題から目をそらしていては、いつまでたってもあるべき姿は現実のものとはならず、明日への一歩を踏み出すことはできません。 私が尊敬し愛読させていただいているブログの一つに「大学プロデューサーズ・ノート」があります。少々古い時期のものですが、教員と職員の関係について触れている「就職先は「母校の職員」変わる東京大学」(2006年10月13日)の一部をご紹介します。(全文は、この日記の最後にある「大学教育」をクリックしてください。ブログを移転されましたが、現在でもランキングの上位に位置しています。) 「会議となると、教員が前に座り、職員は後ろの席でメモを取り始める。それが当たり前になっていた」という東京大学・上杉理事のご指摘が紹介されておりますが、これはおそらく、日本のほとんどすべての大学に当てはまるものだと思います。 ちょっと東大から話がそれますが、我が国の大学では、未だに教員=アタマ、職員=手足という役割分担を行っている大学が少なくないのです。 以前の記事で、広報の素人である教員が持ち回りの「広報委員会」で意見を集めて広報方針を立て、(プロであるはずの)職員はただ決定事項を拝領し粛々と実行のための事務処理に努めるという、大学に見られがちなガバナンス構造について書きました。こういった組織風土は、変えようと思ってもなかなか変わるものではありません。 このような二元体制になってしまう理由は色々あると思いますが、ここでは簡単に3つだけご説明します。 教員、職員それぞれが「こうあるべきだ」という意識を変えられていない 両者の属する組織のガバナンスが違っている 教員と職員のスキル・能力に大きな格差がある 職員のことを、あたかも召使いか何かであるかのように思っている教員というのは、おそらく全国どこの大学にもいます。心の底で「職員が考えた案なんか信用できるか」という意識を持っておられる方も、残念ながら、少なくないと思います。 またそれをいいことに、自ら意見を出さず、責任もとらないポジションに甘んじている職員が、やはりどこの大学にもいると思います。「...

大学経営において職員と教員は対等である

ここしばらくは、職員(事務職員)に関わる能力開発や組織・業務の改革について書いてきました。 しかし、残念ながらそれだけでは大学の改革を進めることはできません。 なぜならば、大学というところは、文部科学省や自治体などの役所と違って、単一の職種で組織が構成されているのではなく、様々な職種の人達が働く職場だからです。 大学は、民間企業のように、理事長あるいは学長の一声に構成員全てが素直に従うような職場ではなく、長年の慣例に従った合意形成を重んじるがため、一つのことを決めるのに屋上屋を重ねる手続きを踏んで、ようやく数ヵ月後に動き出すといったスピード感のない体質が現在でも残っています。民間企業がそんなことをやっていたらすぐにつぶれてしまいますよね。部局(教授会)自治を背景とした悪しき民主主義が相変わらずはびこっていると言っても過言ではないでしょう。 そんな中で、教員と職員との関係改善は、大学経営の健全化を図る上で重要な課題の一つです。これまで多くの大学では「教員が上で職員が下」という身分格差が当然のこととされ、「職員は教員の下働きを行う者」という取り扱われ方でした。 知識基盤社会の到来、18歳人口の減少、大学間競争の激化と個性化の重視など、大学を取り巻く環境が大きく変化している中で、大学経営の強化が従前にも増して重要になってきているにもかかわらず、大学の中で「教職協働」がなかなか進まないのは、職員の能力開発不足ももちろんですが、教員の職員に対する蔑視意識が根強く存在しているからにほかありません。(すべての教員がそうであるということではありませんが。) とても残念なことではありますが、先月、このような記事が報じられました。 三重大准教授「辞めてしまえ」 パワハラで出勤停止処分 (2008年3月7日 中日新聞) 三重大国際交流センターの男性准教授(53)が、複数の職員に「おまえなんか早く辞めてしまえ」などと計18回にわたり、暴言を浴びせたり、ひぼう中傷メールを送ったりするパワーハラスメント(職場上の地位を利用した嫌がらせ)を繰り返したとして、同大は7日、出勤停止6カ月の懲戒処分にした。 同大によると、准教授は一昨年8月から昨年9月までの約1年間、同センター職員らに「事務が何をえらそうなことを言っているんだ」と直接言ったり、自分の書いた文書を手直...

事務改革の取組み-京都大学の巻

前回ご紹介した豊橋技術科学大学とは一味違った京都大学における事務改革をご紹介します。 少し古い話になりますが、「今、ここから一歩踏み出そう!『私』の隣に座る『あなた』へのメッセージ」と題した若手事務職員を中心としたプロジェクトチーム「KUF」による提言が京都大学のホームページで公表されています。 若手事務職員中心の改革行動は、少なくとも国立大学が国の時代にはあまり耳にしませんでしたし、将来の京都大学を担う事務職員の真摯な取組姿勢は、おそらく全国の若手事務職員に勇気とやる気を十分に与える契機になったことでしょう。 京都大学のホームページに書かれた彼らからのメッセージは次のようなものでず。 学生及び教職員の皆様へ(KUFプロジェクト・チーム) 7月25日(火曜日)に、京都大学における事務改革のひとつの取組として、若手事務職員の提言を役員等に聞いていただくという趣旨で「役員等と若手事務職員との懇談会」が開催され、私たち若手事務職員有志から成るKUF(Kyoto University's Future)プロジェクト・チームが、「今、ここから一歩踏み出そう!」というテーマでプレゼンテーションを行いました。 KUFプロジェクト・チームでは、京都大学及び京都大学職員の将来について、今後も本学の学生及び教職員の皆様とともに考えていき、よりよい京都大学を創っていきたいという思いから、4ヶ月間の活動の成果を綴った「KUFプロジェクト報告書」及び「理想の京都大学職員像」を広く皆様にご覧いただくこととしました。 是非、ご意見やご感想をいただき、私たちの次のステップへつなげていきたいと考えています。 「KUF」の報告書 における 前文 は次のとおりです。 1.はじめに 「こうやってみんなで話すっていう雰囲気が今はないよね。」「今日は楽しかった。また集まろう!」 2004年、冬 。私たちの「 若手勉強会」を 立ち上げるきっかけとなる出来事でした。場所は、京都大学近くのカフェ・レストランのソファー席。その後に発起人となる若手職員数名は、わずかな期間しか京都大学での勤務経験のない職員ではありましたが、京都大学、日本の大学、世界の大学を取り巻く環境がめまぐるしく変わっていく様子を目の当たりにし、京都大学職員として自分たちはどうあるべきなのか、何...

事務改革の取組み-豊橋技術科学大学の巻

近時、多くの大学で力を入れて取り組まれていることの一つに「事務改革」があるのではないでしょうか。 事務職員個々人の職能開発も重要な課題ではありますが、組織改革、業務改善、人事評価制度の構築など、大学として取り組まなければならない課題は多く、スピード感をもって改革に邁進することが、大学間競争に勝ち抜く絶対条件になっているといっても決して大げさではありません。 また、事務改革を大学全体として着実に進めていくためには、学長をはじめとする経営トップが、大学にとって、事務組織の果たすべき役割や機能を強化することが不可欠であるとの十分な認識の下、事務改革を事務職員に丸投げすることなく、自らが改革の推進役として、強力なイニシアティブを発揮することが極めて重要なのではないかと思います。 この日記でも登場したことのある山形大学前学長の仙道氏など、事務改革や事務職員の職能開発の推進に情熱を注がれてこられた(あるいは注がれている)学長は決して少なくないと思います。 これからご紹介するのは、豊橋技術科学大学(国立大学法人)における事務改革の取組みについて、前学長の西永頌(ただう)氏が執筆されたもの(文部科学教育通信 No184 2007-11-26掲載、執筆当時は学長)です。 豊橋技術科学大学が自身のホームページで紹介されている資料を拝見した時に、大規模大学に比べスタッフ数等においてハンデのある単科大学でもここまでできるのかと正直驚き、感心させられました。 西永学長の下で成し遂げた事務改革は、多くの大学の手本となることでしょう。 はじめに 本学は、「技術科学」の教育・研究を使命とし設立された工科系の単科大学です。小規模大学ではありますが、先の21世紀COEプログラムに2件、今年度のグローバルCOEプログラムにも1件採択されるなど、研究力に自負をもっています。しかしながら、本学が日本で、世界で、存在感をより高め、この時代の荒波に打ち勝つためには、教員の教育・研究力を高めることはもちろん、教員とともに歩むべき事務局、事務職員の改革も必須であると考えています。 また、教育再生会議における第2次報告(平成19年6月)の「地域・社会に貢献する大学・大学院の再生」の中で「国立大学は、大学事務局の改革を進め、事務職員の一層の資質向上と合理化等、経営の効率化を行う」こと...

「新しい大学職員」の創造へ

大学を取り巻く状況が激変している中で、大学経営の重要性が益々高まっています。とともに、経営責任者である法人の長(理事長・学長)を支えるスタッフの力、特に大学事務職員の能力開発が緊要な課題になっています。 去る3月1日(土曜日)、東京において「 大学事務職員の能力開発の在り方に関するシンポジウム 」が開かれました。 このシンポジウムは、この日記でもよくご紹介している広島大学高等教育研究開発センター長の山本眞一氏が中心となって企画されたもので、「近年、関心と必要性が高まっている大学事務職員の能力開発の在り方について、科学研究費補助金による研究成果の発表を題材に、また、放送大学大学院の授業科目「大学のマネジメント」の開設を契機として、さまざまな立場からこの問題を議論する」ことを趣旨として実施されました。 シンポジウムの概要は、日本私立大学協会のホームページ( 教育学術新聞 )に記載されてありますので興味のある方はご覧ください。 このシンポジウムでは、文部科学省高等教育局企画官の鈴木敏之氏による講演のほか、山本氏から「大学職員のエンプロイヤビリティー向上方策について」と題する報告がありました。 これは、山本氏が科学研究費補助金による調査研究の一環として、平成19年1月、全国の大学(短期大学を除く)の事務職員3,670名に対して実施したアンケート調査の結果報告ですが、1,405名から得られた回答がよく分析されており、国公私立大学それぞれの特色がわかりやすく説明されました。 報告された資料のうち主な部分をご紹介します。 1 回答者のプロフィール 今回の調査は、事務局長(相当職を含む)から一般職員まで、幅広く調査対象としたため、職位や現職の分野もさまざまである。国立大学では総務、財務系の職員の回答が相対的に多く、私立大学では総務のほか、教務学生系職員の回答も多かった。 勤続年数について、私立は同一大学に長く勤務し、公立大学はその対極、国立大学は両者が合わさっているという特徴や、私立大学職員の学歴水準が相対的に高いのは、過去3回の調査と同じ傾向である。公立大学で現職位の年数が同一大学での勤務年数を上回るのは、県庁等での職位との連続性があるためと考えられる。 2 職員の能力開発の必要性(必要ありとの回答) 国立:98.3%、公立:91.4%、私...

あらためて、教育振興基本計画

昨日(18日)、中央教育審議会総会が開催され、「教育振興基本計画について(答申案)」が答申案どおり了承されました。 答申本文→ http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo0/gijiroku/001/08041711.htm この答申案については、この日記でも、特に我が国の教育を支える財政措置の保障に関する具体的記述に欠ける点について、教育現場で仕事をする立場、あるいは子どもを持つ親の立場から、少々辛口のコメントをさせていただきました。 2008.04.07/骨抜きになった教育の未来 2008.04.14/大学への財政投資の必要性 本日(19日)の朝日新聞社説においても、同様の指摘が行われています。(20日付「山陰中央新報論説」を追加) この社説(論説)は、国民の声そのものだと思います。政治家や役人は真摯に受け止め行動すべきです。 教育基本計画-中教審はどうしたのか (2008年04月19日付朝日新聞社説) これでは話が違う。初めての教育振興基本計画をつくるため、文部科学相の諮問機関である中央教育審議会が出した答申のことである。 基本計画は、06年に改正された教育基本法に基づき政府が決める。「教育立国」を掲げ、10年先のあるべき姿を見据えて今後5年間に取り組むべき施策を示すものだという。 教育現場が抱える課題は多い。とくに深刻なのは学力低下問題だ。学力格差をどう縮めるか。考える力をどう育むのか。そのためには、教師の数や質の向上が欠かせない。 だから、この答申で最も注目されたのは、教員を増やすなど予算のかかる措置が具体的にどう描かれるかだった。日本の教育への公的支出の割合は、先進国のなかでも低い。教育への投資は、日本の教育を底上げするには避けて通れない課題である。 ところが驚いたことに、答申には具体的な提言が見あたらないのだ。 中教審は、授業時間と内容を増やす方針を盛り込んだ今回の学習指導要領改訂を答申する際にも、大前提として教員を増やすなどの条件整備が欠かせない、と明言していた。それを放棄したと言われても反論できまい。条件が追いつかないまま、ただがんばれと言われる現場はたまらない。 どうしてこんなことになったのか。答申には、財政措置の必要性にさらっと触れた...

教職員の職能開発

去る3月25日に「学士課程教育の構築に向けて(審議のまとめ)」と題する報告書が、中央教育審議会大学分科会制度・教育部会によってとりまとめられたことは、既にこの日記でもご紹介した *1 ところですが、この報告書の中では、教職員の職能開発の重要性、特にFDの実質化(中身の見直し)や、両輪としてのSDの重要性が提言されています。 個人的に重要と考える部分についてご紹介します。 職能開発の重要性 言うまでもなく、学士課程教育の実践に直接携わっているのは教員であり、また、管理運営等を担っているのは職員である。ここまで述べてきた「3つの方針」に貫かれた教学経営を行う上で、これら教職員の資質・能力に負うところは極めて大きい。個々の教職員の力量の向上を図るとともに、教員全体の組織的な教育力の向上、教員と職員との協働関係の確立などを含め、総合的に教職員の職能開発を行うことが大切である。こうした認識に立って、本節では、ファカルティ・ディベロップメント(FD)やスタッフ・ディベロップメント(SD)それぞれの改善充実の方策について述べる。 求められるFDの実質化 これまでの大学改革では、教職員の職能開発のうち、特にFDの推進に力点が置かれてきた。FDについては、論者によって様々な定義や説明がなされるが、行政的には、「教員が授業内容・方法を改善し向上させるための組織的な取組の総称」とされてきている。制度上は、中央教育審議会の答申に基づき、平成11(1999)年、各大学がFDを実施することに関する努力義務が定められた。その後、FDの実施については、平成19(2007)年度から、大学院に関して義務化され、平成20(2008)年度からは新たに学士課程での義務化が予定されるなど、逐次、制度面の対応が図られてきた。また、平成18(2006)年12月に成立した教育基本法では、教員に関する条文の中で、教員は「絶えず研究と修養に励み、」職責を遂行しなければならないこと、そして、「養成と研修の充実が図られなければならないこと」が新たに規定された。 こうした制度化に伴ってFDは多くの大学に普及し、平成17(2005)年度の実施率は約8割となっている。相応の規模の大学では、大学教育センター等にFDセンターの機能を担わせており、これらの組織の関係者...

評価と資源配分

国立大学法人は今年、第1期中期目標期間(平成16~21年度)の業績評価(暫定評価)を受けることになっています。 そして、この評価の結果は、各大学へ配分される次期中期目標期間の運営費交付金の算定に反映されることになっています。 この評価結果の資源配分への反映については、法人化当初から予告されてはいましたが、具体的な考え方や内容はこれまで全く明らかにされていませんでした。 しかしながら、今期の中期目標期間もあと2年足らずとなったこともあり、また、昨年の夏閣議決定された「経済財政改革の基本方針2007」(いわゆる骨太方針) *1 を踏まえ、去る4月14日、文部科学省は、全国の国立大学長を召集し、「第2期中期目標期間における国立大学法人運営費交付金の配分に関する見直しの方向性」について説明を行いました。 配付された資料の内容は次のとおりです。 (方向性1) 第1期中期目標期間における各大学の努力と成果を評価し、資源配分に適切に反映させることを通じ、競争的環境を醸成し各大学の切磋琢磨を促す。 (方向性2) 第2期中期目標期間を通じ機動的に各大学の改革を支援し、教育研究水準の向上等に向けた各大学の継続的な努力や、大学の多様化、機能別分化を促す。 (方向性3) 各大学の特性・状況に配慮しつつ、大学経営の効率化を促す。 説明を直接聞いたわけではないので何とも言えませんが、資料を見る限りでは、事柄の重大さの割には、あまりにもあっさり、かつ抽象的な内容だったので拍子抜けしました。 おそらく、ルールの細かい制度設計は、現在、財務省との折衝を繰り返しながら進められているのでしょう。 国立大学自身はもとよりですが、文部科学省の担当者の皆様には、「国立大学の役割・使命・存在意義」を改めて問い直していただき、「経済格差が教育格差を産まない仕組み」と「努力する者が報われる合理的な制度」の構築に全力を傾注していただき、我が国の将来をかけ財務省との闘いに是非勝利していただきたいと切望いたします。 国立大学の予算に対する国民の興味関心は相変わらず希薄なようですが、報道は次のような記事を配信しています。 国立大の「努力」で交付金上下 外部の評価もとに (2008年4月14日 朝日新聞) 国立大の主な経費を支える運営費交付金について、文部科学省は個々...

大学への財政投資の必要性

前回の日記では、中央教育審議会が示した「教育振興基本計画の答申案」について「骨抜きになった教育の未来」と題して少々辛口のコメントを書いてしまいました。 これまで政府系の会議などで、事あるごとに多くの有識者が「高等教育への公財政支出増の必要性」を訴えてきているにもかかわらず、一向にその気配すら伺えません。 「道路」も大事でしょうが、政治家も役所もこの国の行く末を大事に思う気持ちが本当にあるのであれば、もう少し「教育」について本気と思えるような行動をとって、先進国並みの公的負担を確保し、家計負担を少しでも低くすることにより、国民の生活に安心と希望を与えてくれてもいいような気がするのですが。 こだわるわけではありませんが、安西祐一郎慶應義塾長はじめ3人の有識者の方々が連名で出された提言の教育振興基本計画への反映は、我が国の教育の未来に希望をつなぐ意味で、多くの関係者が望んでいたことではないかと思います。財務省の経済原理によって軽々しく取り扱われるようなものではなかったのではないかと思います。 今日は、安西氏をはじめとする有識者の方々の提言について、 山本眞一 氏(広島大学高等教育研究開発センター長)が文部科学教育通信(No192 2008.3.24)に寄せられた「 2025年の高等教育システム 」の抜粋をご紹介します。 ◇ 大学への公財政支出大幅増の提言 去る2月8日、中央教育審議会委員である安西祐一郎、郷通子、金子元久、木村孟の4氏の連名で「教育振興基本計画の在り方について」と題する文書が公表された。高等教育への大幅投資増を主張した「檄文」として紹介した新聞記事もあったようだが、文書の趣旨はその冒頭の「グローバルな知識基盤社会の時代を迎え、日本の大学教育の質の維持・向上をいかに図っていくかは緊要な課題である。人口減少社会の我が国が危機を乗り越え、活力を維持していく成否は、大学の在り方にかかっている」として、「教育振興基本計画」では、その理念を具現化することが必要である、という主張に表れている。 このような提言が改正教育基本法に基づく教育振興基本計画に盛り込まれるとすれば、これは高等教育関係者にとっては朗報に違いない。なぜならわが国の高等教育に対する公財政支出は、諸外国に比べて極めて貧弱であり、現状打破を図るには相当思い切った政策転換を行...

骨抜きになった教育の未来

「教育振興基本計画」(答申案) 去る4月2日に開催された中央教育審議会教育振興基本計画特別部会において「教育振興基本計画」の「答申案」が示されました。 答申案本文: http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo7/shiryo/08040303.htm 2月29日に示された「答申素案」については、既にこの日記でもご紹介したところ *1 ですが、今回の「答申案」は、基本的には「答申素案」をベースにしつつも、十分満足のいく出来にはなっていないようです。 まずは今回の「答申案」の中心部分となる章「今後5年間に総合的かつ計画的に取り組むべき施策-特に重点的に取り組むべき事項」のうち、高等教育関係の主な部分をご紹介します。 キャリア教育・職業教育の推進と生涯を通じた学び直しの機会の提供の推進 ○専門的職業人や実践的・創造的技術者の養成の推進 大学・短期大学、高等専門学校・専修学校等における実践的な職業教育を促す。特に、国際的に活躍できる高度専門職業人を養成するため、専門職大学院等の教育の高度化を促すとともに、各分野の評価団体の形成を促進する。 さらに、実践的・創造的な技術者を養成するため、高等専門学校の振興のための計画を策定し、その実現に向けた取組を行う。 ○生涯を通じて大学等で学べる環境づくり 個人のキャリア形成や地域活動への参画等のため、生涯にわたる学習へのニーズに対応し、大学・短期大学、専修学校等における社会人等受入れに必要な環境の整備を促すとともに、大学等と産業界等との連携による取組への支援により、大学等における社会人受入を促す。 大学等の教育力の強化と質保証 ○社会からの信頼に応え、求められる学習成果を確実に達成する学士課程教育等の実現 学士課程で身に付ける学習成果(「学士力」)の達成等を目指し、各大学等において教育内容・方法の改善を進めるともに、厳格な成績評価システムを導入するよう優れた取組を促す。 また、教員の教育力の向上のための実効ある取組を全大学等で展開していくよう優れた取組を促す。 さらに、大学等の設置認可や認証評価制度、情報公開を含めた包括的な教育の質保証の在り方について、中央教育審議会において検討し、必要な方策を講ずる。 ○国公私を通じた...

大学職員という仕事

九州などではこの週末がちょうど桜の見頃を迎えるようですが、キャンパスに咲く満開の桜の下を通学する新入生の姿を見るのは毎年のことながらとてもいいものです。 新入生とともに足取りが軽やかなのは大学職員の新人さんです。 新社会人としての大きな夢と少しばかりの不安を持ちながらの仕事や生活のスタートだったここ1週間はとても大変だったのではないかと思います。お疲れ様でした。 今、大学はいろんな意味で変動の最中にあり、大学職員やその業務の在り方については、かつてない大きな変革が求められています。特に、若い職員の方々の肩には、将来の大学の運命がかかっていると言っても過言ではないほど、彼らの役割は今後益々重要となり、彼らが中核となり様々な分野で大学の改革を積極果敢に進めていくことが、引いては我が国の高等教育、国民生活の発展につながっていくものだと思います。 今日は、この春に新しく採用された大学職員の皆さんにエールを贈る気持ちで、上杉道世氏(前東京大学理事、現独立行政法人日本スポーツ振興センター理事)が書かれた「誇りある大学職員となる」(文部科学教育通信2008・1・14掲載)の主な部分をご紹介します。 教員と職員の関係を変える 大学職員をめぐる将来のイメージを私は次のように捉えている。 これまで職員と教員の関係は、職員は事務室にこもって、同じ大学の中なのに教員と職員の二つの別の世界があるかのようだったが、将来は、職員は学長や部局長と一体となって大学経営を担い、教員の教育研究を専門的な知識能力を持って直接に支えるようになる。 そのためには、これまで膨大に存在した間接業務を徹底的に縮小し、経営判断や教育研究に直結する業務を仕事の中心とする。これまで縦割り階層性のピラミッド型の組織であったが、フラットで柔軟な業務本位の組織になる。 職員は自分と大学の将来を見据えながら、幅広い経験を積むと同時に、各自の能力適性に応じて専門性を高めていく。職員はコミュニケーションを基本とした納得性の高い評価を通して、実力と業績に基づく処遇を受ける。 職員が教員や学生とともに働き、交流する機会が増え、大学経営と教育研究を支えているのだという実感を持つことができるようになる。これらを通して自分の存在感を持つことができる。誇りを持つことができる。 大学という職場のすばらしさ ...

高等教育政策の動向

恒例になりつつありますが、文部科学省高等教育局が配信しているメールマガジン(2008.3.31 No25)のうち主なものをご紹介します。 [政策動向] 中央教育審議会大学分科会第67回について ■大学分科会について-2つの評価機関の認証について答申- 3月25日、大学分科会(分科会長:安西祐一郎慶應義塾長)第67回が開催されました。 1)各部会等の審議状況について ○教育振興基本計画特別部会関係  ・答申素案 等 ○大学分科会制度・教育部会関係  ・新制度(「共同学部・共同大学院」(仮称)制度)の概要(案)及び骨子(案)  ・国公私立大学等を通じた大学間連携支援の在り方について(論点整理メモ) ○大学分科会大学院部会関係  ・専門職大学院に関する今後の検討課題について(案)  ・博士課程修了者等の諸問題について(論点整理メモ) 等 ○大学分科会留学生特別委員会関係  ・留学生特別委員会の設置  ・「『留学生30万人計画』の骨子」を取りまとめるにあたっての検討課題(案) 2)「学士課程教育の構築にむけて」(審議のまとめ) 制度・教育部会長から「学士課程教育の構築に向けて(審議のまとめ)」について報告が行われました。 3)認証評価制度 認証評価制度や実施の在り方について専門的な調査審議を行うため、大学分科会の下にある現行の「評価機関の認証に関する審査委員会」を改組し、「認証評価特別委員会」を設置することが決定されました。 また、平成19年12月18日付けで諮問があった「特定非営利活動法人日本助産評価機構」及び「財団法人大学基準協会」に関する専門職大学院の認証評価機関としての認証について審議が行われ、答申されました。 具体的には、「特定非営利活動法人日本助産評価機構」については、専門職大学院の課程に係る助産分野の評価を行う機関として認証すること、「財団法人大学基準協会」については、専門職大学院の課程に係る経営分野(経営管理、会計、ファイナンス、技術経営)の評価を行う機関として認証することについてそれぞれ適当と認める旨答申されました。 今後、両法人は、文部科学大臣の認証を経て、平成20年度から当該分野の専門職大学院の評価を行う予定です。 4)その他 「大学における厳正な学位審査体制等の確立について」(平成2...

人事は人材育成の視点で

今日から4月。新しい年度の始まりです。 ある意味では暦年の元旦に相当する日でもあり、新人から年配の方に至る多くの方々が心新たに1年のスタートを切る大事な日と言えるのかもしれません。 最近は、多くの国立大学で、年度決算や法人評価の作業の関係から、従来の4月から7月に定期異動の時期を変更するところが増えているようですが、いずれにしても、人事異動は、それぞれの方にとっては、人生に影響を与える大変重要な転機といっても過言ではなく、中には複雑な想いで今日という日を迎えられた方もおられるのではないかと思います。 恐らく一般のサラリーマンの方でも同様なのでしょうが、思い通りにならなかった異動であったとしても、今日からは気持ちを切り替え、前向きに、そして愚直に生きていくことがなにより大事ではないかと僭越ながら思う次第です。 3月30日に放映されたNHK大河ドラマ「篤姫」では、島津斉彬が、慕っていた篤姫を追って江戸行きを志願していた肝付尚五郎(のちの小松帯刀)ではなく、他人のために自分は何をなすべきかを常に考えていた西郷吉之助(のちの西郷隆盛)を参勤の供に選んだ場面がありました。尚五郎は得心いかず意気消沈しますが、師匠から、薩摩でしかできないことをすべきではないかと諭されました。 両者とも我が国の歴史に名を残す重要人物になっていくわけですが、いわゆる人事異動による心の迷いはいつの時代にもあったのだと内心ほっとしたような気がします。 そうは言っても、やはり人事異動はサラリーマンにとっては極めて大事なものです。 今日は、 上杉道世 氏(前東京大学理事、現独立行政法人日本スポーツ振興センター理事)が、文部科学教育通信という雑誌に載せられた「 人事は人材育成の視点で 」をご紹介します。 人事担当者や管理職員の方々にはよく読んでいただきたい内容です。 大学職員のキャリアプランを考える 人事異動について、従来のイメージはどうだっただろうか。自分の人事については、いろいろな思いがあってもじっと抑えて「おまかせします」と言うのが美徳のようだった。 一方、人事担当者の方は、個々の職員の情報収集はある程度やっていたが、人事異動案の作成に当たっては、全員をもれなく全部のポストに貼り付けるのが最優先であり(これは確かに必要なことだ)、その際に、対象となるポストの序列と...