吉武博通 さん(筑波大学大学研究センター長・ビジネスサイエンス系教授)が書かれた 「 人事管理を確立して強い職員組織をつくる 」(リクルート カレッジマネジメント187 / Jul. - Aug. 2014) をご紹介します。(下線は拙者) 職員は教員と並ぶ大学の競争力の源泉 人材育成を担うべき大学は、その構成員である教職員の能力を十分に伸ばし、引き出せているだろうか。本連載では様々な角度からこの問題を論じてきたが、今回は職員の人事管理に焦点を当てて、現状の課題を整理し、今後のあり方を考えるうえでの視点と方法論を提示することにしたい。 経営的側面はもとより、教育、研究、学生支援、国際化、地域・社会貢献など大学の幅広い領域において、組織的な取り組みの強化が求められる中、職員の業務は多様化・高度化し、役割の重要性は飛躍的に増している。教員と並び、大学の競争力を左右する最大の経営資源であることは言 うまでもない。 国公私立を問わず、その認識は広く共有されつつあり、SD(Staff Development)はFDと並ぶ重要な能力開発への取り組みとなっている。大学や機関・団体等が提供するプログラムも増え、自ら積極的に自己啓発に励む職員も多い。 このような状況を、 職員の能力や組織の生産性の持続的向上を通じて、大学の競争力強化に着実に繋げていかなければならない が、現状はどうであろうか。 4年前の調査であるが、東京大学大学院教育学研究科大学経営・政策センターが、国公私立大学737校に調査票を配布し、5,909名(回収率33.5%)の回答を得てまとめた 『大学事務組織の現状と将来-全国大学事務職員調査-(報告書)』(2010年6月) を手掛かりに検討してみたい。 否定意見が目立つ職場の人事制度に対する考え その中で、「職場の人事制度に対する考え」で注目すべき回答結果が示されている。 回答は、「そう思う」、「ある程度そう思う」、「あまりそう思わない」、「そう思わない」の4つから選択させるものだが、「能力や適性が生かされた人事異動が行われている」に対して、「そう思う」はわずかに2.0%、「ある程度そう思う」の28.7%を加えても、肯定意見は約3割にとどまっている。国公私で大まかな傾向は変わらないが、私立大学では肯定意見が28.8%とやや低く、「...