機能しない生活保護制度
「 福祉が人を殺すとき-貧困大国ニッポンで機能しない社会福祉- 」(2015年2月26日BLOGOS) をご紹介します。 『福祉が人を殺すとき』 という衝撃的なテーマの本がある。27年前に出版されたものである。 社会福祉を学ぶ者にとっては、バイブルのような存在として重宝されている文献だ。 今も色あせない生々しいルポルタージュである。 当時、この本を出版したのは、埼玉県内の福祉事務所で生活保護の相談支援を担当していたケースワーカーの寺久保光良氏である。 28年前に3人の子どもを残して、母子家庭の母親が栄養失調により餓死をした状態で発見される衝撃的な事件があった。 享年39歳である。本書はこの事件の詳細や背景を取材し、記録したものだった。 そのなかで、紹介される一節がある。 彼女が子どもたちに残した遺言のようなものだ。 母さんは負けました この世で親を信じて生きた お前たち三人を残して 先立つことは とてもふびんでならないが もう、お前たちにかける声が 出ない 起きあがれない なさけない 涙もかれ、力もつきました お前たち 空腹だろう 許しておくれ 母さんを これを書いた母親はどれほど苦しく絶望のなかで息を引き取ったのだろうか。 その姿を見ていた3人の子どもたちは何を想っていたのだろうか。 この悲惨な事件を福祉が機能しなかった社会問題として、「福祉が人を殺した」と寺久保氏は表現した。 実はこのような事件は日本において、その後も頻発する。 そして、これから先も生まれるかもしれない。 最近では、2012年1月に、同じく札幌市で病弱な姉(42)と知的障害がある妹(40)の二人が室内で餓死している状態で発見された。 福祉事務所に姉が3回も訪問して、生活保護の申請意思も示していたが、申請は受理されなかった。 福祉事務所の違法運用が指摘されているところだ。 寺久保氏は、生活保護制度が必要な人に届いて、十分に機能していれば、このような悲惨な事件は防げると考える。 それにもかかわらず、なぜ福祉は必要な人々のもとに常に届かないのか。 彼の重大な問題提起であり、その背景には生活保護に対する私たちの意識の問題が含まれていることが分かる。 寺久保...