経営的視点からみた大学のあるべき姿とは(3)
近年、国立大学の現場は、運営費交付金の削減や評価の強化、新たな業務の急増等で大変疲弊した状態にあり、早急にガバナンス改革、事務改革、人事制度改革、財政改革を本気になって取り組む必要があります。 特に、今後の大学経営にとって、「ガバナンス改革」は重要な課題と思われ、学長以下構成員が一丸となって取り組まなければなりません。しかしながら、一般的に企業における経営の概念として用いられている「ガバナンス」 *1 を、使命・役割が全く異なる大学にそのまま当てはめて考えることは適切ではなく、それぞれの大学に求められる経営の在り方に最適な「ガバナンス」の構築を目指すことが必要ではないかと思います。 ◇ 今日は、日本総合研究所主任研究員の中原隆一氏が書かれた「 大学におけるガバナンス 」(2008年8月25日)をご紹介します。 近年大学改革の流れの中で、大学においてもガバナンスやアカウンタビリティ等の企業の経営概念が適用されてきている。大学進学率が上昇し、多くの人々が大学への関心を深め、大学と社会との関わり合いが拡大していることが背景にある。 ここではコーポレート・ガバナンスの概念を大学に適用することに関しての注意点を検討してみたい。なおコーポレート・ガバナンスについては様々な考え方がなされているが、「最終的には企業が誰のものか」、「どのように企業の活動をコントロールしていくか」に収斂する。本稿においても「大学は誰のものか」、「どのように大学の活動をコントロールするか」の視点を踏まえて、ガバナンスの仕組みを検討してみたい。 大学の組織体としての特異性 筆者は各大学の経営改革や業務改革等をお手伝いする機会があるが、コーポレート・ガバナンスという視点からみると、 大学が組織体として特異な存在 であることをしばしば感ずることがある。どのような点が特異か、以下3点について述べる。 第一は 教職員の意識 である。 わが国の企業では企業と従業員を運命共同体としてとらえる傾向がある。終身雇用制が崩れ弱まりつつあるが、企業は従業員とともにあるという意識は依然根強く残っている。わが国企業のガバナンスにはこの共同体意識が少なからず影響している。共同体意識の下、日常的な運営はトップ主導よりもミドルやボトム主導で行われていることが多く、従業員が企業活動をコントロールしてい...