また、国公私立を問わず、自分達自身で職能開発に取り組む意識の高い事務職員グループや団体も出現*1しており、大学職員の輝く未来を予感させてくれます。特に、大学を取り巻く厳しい現状を踏まえれば、10~20年後の大学経営を支える若手職員には、とりわけ強い期待が寄せられています。
今日は、国立大学に勤務する若手職員の能力開発、引いては国立大学の経営向上・継続的な発展を支援するために、独立行政法人国立大学財務・経営センターが実施している「国立大学法人若手職員勉強会」をご紹介します。
この勉強会は、昨年度(平成19年度)から始まった全国規模の研修会ですが、勉強会の企画そのものから若手職員が行うという自主性を重んじる大変素晴らしいものだと思います。現に昨年参加した若手職員からは、刺激のある意義のある勉強会だったとの報告を受けています。
このたび、今年が2回目となるこの勉強会の実施要領が公表されました。「白ら考え、行動できる職員を目指して」という副題の付けられた勉強会の概要は次のようなものです。
1 目 的
国立大学等の経営向上及び継続的な発展を支援する。
2 背 景
国立大学等は、法人化後もその果たすべき使命は基本的に変わるものではないが、内的環境・外的環境ともに変化が早く、予測しにくい環境下にある。一方、法人化後の国立大学等の経営にあっては、事務職員の役割と責任は極めて大きいものになっている。そのため、個々の職員における資質・能力の向上が肝要であり、国立大学等全体の組織・経営環境の改善や各国立大学等の将来構想の構築などに資することが期待されている。
3 目 標
- 国立大学等とそれを取り巻く環境等について主体的に学ぶ
- 国立大学等職員として働くモチベーションを刺激する
- 自らのキャリア形成を意識する機会とする
- 所属機関内のみならず他機関の職員とのネットワークを構築する契機とする
- 成果をそれぞれの機関へとフィードバックする
4 対象者
若手事務職員(概ね経験年数3年から10年程度で、年齢・職位・職務分野等は不問)で各国立大学法人2名以内
5 開催日
平成20年11月17日(月曜日)~18日(火曜日)
6 内 容
- 基調講演:平山健一氏(前岩手大学長)
- 実例研究:「第1回若手勉強会、その後」
- グループワーク:「自らのキャリアを考える」-自分の「これまで」と「これから」
- 分科会:「国立大学の目指すべき方向」-自大学の「これまで」と「これから」、私たちの「これまで」と「これから」
- 情報交換会
なお、この勉強会への参加に当たっては、事前レポートの提出が義務付けられています。
今回は、今年3月に、社団法人国立大学協会が刊行した報告書「国立大学の目指すべき方向-自主行動の指針-」*2がテーマとされており、報告書が示している5つの指針の中から特に関心のある事項を取り上げレポートを作成することになっているようです。
報告書「国立学の目すべき方向-自主行動の指針-」が示す5つの指針とは次のようなものです。
指針1 公共的性格の再確認と社会への貢献の明確化
- 社会全体に貢献する公共的存在であることを明確にする
- 高等教育の機会の保障や地域社会への貢献など公共的価値を実現する
- 教育システム全体の均衡ある発展に寄与する
- 各大学の多様な特色を活かした使命・目的を明確にする
- 個性的な大学の実現に向けた改革・改善を継続する
- 設置形態にとらわれない大学間の協力と連携・連合を推進する
- 優れた研究活動を基礎とした教育内容を提供する
- 学ぶこ.との意味と価値を実感できる教育内容を提供する
- 国際的通用性のある教育システムを構築する
- 学位の質を保証する適切な評価システムを確立する
- 基礎的・基盤的研究活動の一層の活性化を推進する
- 全人類的課題解決に向けたプロジェクト研究を措進ずる
- 医療と人材養成などを通じて地域社会に貢献する
- 地域社会の活性化につながる知的・文化的拠点機能を充実する
- 自主性と自己責任を基軸とした戦略的経営を行う
- 大学の活性化につながる柔軟で効率的な大学運営を行う
- 大学の諸活動の透明性を高め説明責任を果たす
昨年度の第1回勉強会の内容はこちらをご覧ください。
*1:例えば、「国立大学一般職員会議・コクダイパン」:http://jimupan.blog77.fc2.com/
*2:この報告書は、各国立大学が第2期中期目標・中期計画を策定するに当たり、「国立大学として求められている共通の役割に加え、各国立大学が、自らの将来を展望し、自主的な行動計画を策定するための基本的な方向」を示したものです。:http://www.janu.jp/active/txt6-2/200803houkoku.pdf