人にやさしく生きる
ブログ「 人の心に灯をともす 」から、 「 書き写したメール 」(2013年9月1日) を抜粋してご紹介します。 ◇ 早く帰りたい。 今から7年前。 街を歩く人たちが少し浮き足立って見え、イルミネーションが少しだけ寒さを忘れさせてくれる季節。 毎日、毎日、早く帰りたかった。 でも、仕事が終わらない…。 ほとんど毎日残業で、深夜0時をまわることもあった。 そんな中、唯一励みになったのが、同棲していた彼女からのメール。 「遅くまでご苦労様。身体に気をつけてね」 「今日も一人で残業かな?寂しくなったらいつでも電話してね」 「こんなに遅くまで凄いよ。私も起きて待っているね」 彼女からのメールのおかげで何とかその日その日を乗り越えることができた。 彼女は一度も文句を言わなかった。 何かあってもすぐ謝るから、ケンカにもならなかった。 そんな彼女が大好きだった。 年が明け、2月のはじめ、突然「別れたい」と言われ、何が何だかわからないまま別れることになった。 すべての荷物を運び出し、部屋を出て行く彼女を僕は見送ることができなかった。 彼女のすすり泣く声と震える声で言った「じゃあね」が悲しすぎて下を向いたまま手を振って別れた。 その年の冬は特に寒かった。 春が来て、夏が過ぎ、秋を迎えた頃、連絡が来た。 彼女が亡くなったと、彼女のお兄さんが教えてくれた。 信じられなかった。 彼女は病気と闘っていたのだという。 僕は電池が切れたように、その場に崩れ落ちた。 「なんでもっと早く帰ってあげなかったんだよ!」 「なんで別れるときに、しっかり理由を聞かなかったんだよ!」 「なんで内緒にされるような付き合いをしちゃったんだよ!」 自分を責めている僕を見て、お兄さんが渡してくれたのは少しボロくなったノート。 中は、僕が送ったメールの書き写しだった。 亡くなる前、力が入らない手で一生懸命書いたのだろう。 細く、きれいとは言えない字で書かれていた。 12月2日 遅くなってごめんね。今日こそは早く帰ろうと頑張っていたんだけど、結局はこの時間だよ(汗) もっと仕事ができる人間になるぞ! 12月5日 約束していた映画、また今度行こうね。 今日も遅くなちゃってご...