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本当の効率とは

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論考「つながる組織づくり」(岩田雅明 氏)( 文部科学教育通信 No292 2012.5.28 )から引用しご紹介します。 ◇ どこの大学でも、非正規職員というものは存在しているであろうし、その比率は徐々に高まる傾向になっているのではないかと思う。これは企業でも同じである。なぜかといえば、もちろん人件費の抑制のためである。また不景気になると、真っ先に削減されるものの一つに研修費が挙げられる。これらの動向から感じられるのは、組織の最も重要な構成要素であり、組織の成果を左右する大きなカギとなる『人』に関する支出を、単なるコストとしか見ていないということである。コストとしてとらえれば、当然ながら、できるだけ削減するという方向になってしまう。しかし、『人』は組織の成果を左右する、最も大切なものである。それは単なるコストではなく、むしろ投資である。投資であるならば、それを削減するということでなく、より大きな成果を得られるようになることをめざすべきである。 段ボール製造で国内最大手のレンゴーは、2009年4月、業績悪化による雇用調整という事態が大手企業で続出していた中で、派遣社員千人全員を正社員化するという決断をしたことが「日経ビジネス」に紹介されていた。この決断の背景にあるのが、同じ仕事をしている社員の処遇に差をつけるべきでないという、社長の信念であると。まさに『人』に要する費用をコストではなく投資と考え、一体感のある、『人』を活かす組織にすることで、より大きな成果を上げていこうという考え方であると思う。 同社の人件費は、年間4~5億円の増加になったという。ところが、皆が同じ処遇になったことで現場の社員の意思疎通が大変良好となり、工場内の清掃、整理、整頓といった面も大幅に改善されたとのこと。その結果、製品のロス率が大きく低下し、2009年第一四半期の営業利益は前年比81%増、純利益は2倍になったという。まさに投資大成功、といったところである。 成功の智恵―道をひらく名言・名句 (PHP文庫) 江口克彦 PHP研究所 発売日:2001-03 ブクログでレビューを見る»

ラッキーに見える人間

自分が今、いかに苦労しているかとか、忙しくてどれだけ大変か、をまわりにアピールする人がいる。しかし、経営が苦しいとか、忙しくて倒れそうだ、と深刻そうに言われても、まわりは少しも明るくはならない。 まわりに多くの人が集まる人には、明るくて、軽(かろ)やかで、居心地のいい雰囲気がある。たとえどんなに苦しくても、ニコニコとして、少しも苦労を見せない人だ。 松下幸之助翁を初めとして、多くの成功した人は、「自分は運がよかった」と言う。病気で倒れたり、倒産の危機に瀕(ひん)したときでさえ、自分は「ツイていた」という。 いつも笑顔でいれば、笑顔になるようなことがやってくるという。いつも深刻そうな顔をしていれば、深刻な出来事がもっとやってくる。いつも「ツイている」「ラッキーだ」と言っている人には、ツイていること、ラッキーなことがやってくる。 「ラッキーに見える人間」 忙しさや苦労を微塵(みじん)も見せない、余裕のある人でありたい。(「 人の心に灯をともす 」から)

「大学データブック2012」から見えてくるもの(4)

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前回に続き、「 大学データブック2012 」から主な要点を引用しご紹介します。  第5章 大学教育の内部質保証  1 自己点検・評価  1-1 自己点検・評価の実施状況 実施率9割。自己点検・評価は大学の定常活動に。 自己点検・評価を「毎年実施」している割合は全体の45.4%、毎年ではないが実施している割合が45.2%(「数年毎に定期的実施」+「不定期に実施」)であり、ほとんどの大学で自己点検・評価が実施されている。国立大学では「不定期に実施」(30.4%)している割合が相対的に高い。自己点検・評価の開始年度をみると1990年代前半に開始する大学が増えたものの90年代後半は一端収束し、1999年に義務化されてから、開始する大学が再び増加した。 1-2 自己点検・評価の体制と役割 半数以上が専任部門を設置。「企画」「情報収集」「報告書とりまとめ」が基本的な役割。 半数以上の学部長が、「自己点検・評価の専任部門を常設」と回答(53.9%)。大学では現在自己点検・評価の体制づくりが進んでいる。自己点検・評価の専任部門・担当者の主な役割としては、「報告書のとりまとめ」(81.1%)、「自己点検・評価活動の企画」(80.1%)、「自己点検・評価に必要な情報収集」(72.5%)が多い。公立大学や私立大学では、関係部門の連絡・調整や、大学教育に関する課題の分析も担う割合が高い。 1-3 自己点検・評価において重視する情報 今後求められる情報は、「学びの状況」「学習成果」「就職状況」。 「日常的に収集して利用」しているのは、「就職状況に関する情報」(60.4%)がもっとも多い。「今後重視する」情報で最も多いのは、「学生が習得した能力(学習成果)に関する情報」(75.9%)、「学生の学習状況に関する情報」(75.2%)、「就職状況に関する情報」(71.4%)である。この傾向は設置者別にみても、概ね同様の傾向である。 1-4 自己点検・評価の目的と達成状況 評価を活かした、教育・研究の改善が課題。 目的の重視度(「非常に重視」+「やや重視」、以下同)でもっとも高いのは、「教育活動の改善」(91.8%)であるが、その達成度は78.5%にとどまる。目的の重視度と達成度のギャップがもっとも大きいのは、「研究活動の改善」で重視...

「大学データブック2012」から見えてくるもの(3)

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前回に続き、「 大学データブック2012 」から主な要点を引用しご紹介します。 第4章 大学から社会へ 1 仕事・将来への展望と準備 1-1 大学生の仕事観・社会観・将来観 8割の学生が、「仕事を通じて社会に貢献することは、大切なことだ」と考えている。「いい友だちがいる」ことは将来の幸せのための重要なファクター。 「仕事を通じて社会に貢献することは、大切なことだ」という考えを支持している(「とてもそう思う」+「まあそう思う」、以下同)大学生が8割強。社会観については、「努力すればむくわれる社会だ」と考える学生は半数以下(42.8%)で、「競争が激しい社会だ」(79.0%)という認識の方が強い。また、将来については「いい友だちがいると幸せになれる」という考えを92.1%が支持し、「とてもそう思う」だけでも52.7%と、大学生にとって友だちの存在は大きい。大学生は、競争が激しいと認識しながらも、他者への貢献や人とのつながりを重視している傾向がうかがえる。 1-2 卒業後の進路の検討・準備を始めた時期 卒業後の進路を考え始めた時期は大学3年生以降が6割、進路に向けた準備・活動の開始時期は大学3年生の後期以降が6割。 大学卒業後の進路を考え始めた時期は、大学入学後が8割で、そのうち大学3年生以降が6割である。具体的な準備・活動の開始時期についても4割が就職活動の始まる大学3年生の後期に開始しており、4年生に開始する割合(「大学4年生の前期」+「大学4年生の夏休み以降」)も足すと6割が3年生の後期以降に準備 ・ 活動を開始している。 2-1 就職活動で重要だと思うこと 重要なのは自分の考えをわかりやすく口頭で伝えられること。 民間企業を受けた大学生に就職活動を通して重要だと感じていることをたずねたところ、「自分の考えを口頭でわかりやすく伝えること」「自分なりの考えをまとめられること」が9割以上(「とても重要」+「まあ重要」、以下同)を占める。一方、「海外経験が豊富なこと」や「インターンシップの参加経験があること」を重要と感じている割合は2割程度である。 2-2 内定の得られる学生とそうでない学生の違い キャリアセンターでは、内定の得られる学生は「自分なりの考えをまとめる力」「文章力や口頭での表現力など基礎的な力」が優...

「大学データブック2012」から見えてくるもの(2)

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前回に続き、「 大学データブック2012 」から主な要点を引用しご紹介します。 第2章 大学生の学習・生活 1 大学で過ごす時間 1-1 通学日数 1・2年生では7~8割の学生が週5日以上通学。4年生になると文系・理系で大きな差。 大学生の1週間の平均通学日数は4.4日で、週5日以上大学に通っている学生が約6割である。学部系統別には、「医 ・ 薬 ・ 保健」系統がもっとも多く、平均通学日数が5.0日、9割が週5日以上大学に通っている。さらに4つの学部系統に絞って学年別の平均通学日数をみると、1・2年生では学部系統によらずほぼ毎日通学している学生が多いが、4年生になると「人文科学」「社会科学」系統は大きく減っている。 1-2 授業の出席割合 授業の9割以上に出席する大学生が全体の7割。 授業の平均出席割合は、9割以上出席している学生が4学年全体で69.7%で、1年生は79.6%にのぼる。学部系統別では、「医 ・ 薬 ・ 保健」系統の出席割合がもっとも高く、66.4%が10割出席している。一方、「社会科学」系統では10割出席は30.8%にとどまる。学年別には1年生から4年生にかけて出席割合は全体的に低くなっていくが、特に「社会科学」系統で、学年が進むほど、顕著に低くなっていく様子がわかる。 2 授 業 2-1 大学での学びの役立ち感 大学生の約7割が「大学の授業で学んだことは将来役に立つ」と感じているが、学年があがるにつれ減少傾向。 大学での学びを、「大学の授業で学んだことは将来役に立つ」と肯定的にとらえている大学生が69.2%(「とてもそう思う」+「まあそう思う」、以下同)、「授業に限らず大学で学んだことは将来役に立つ」については78.1%と、どちらも多くの学生が大学での学びを将来に有用であると考えている。「大学の授業で学んだことは将来役に立つ」について、学年別にみると、1年生で74.4%が肯定しているのに対し、4年生では64.8%と9.6ポイント低くなっている。学部系統別には「医 ・ 薬・ 保健」系統で85.5%と肯定の回答がもっとも高いが、「社会科学」系統では、64.3%ともっとも低く、両者で21.2ポイントの差がみられる。一方「授業に限らず大学で学んだことは将来役に立つ」については学年別、学部系統別...

「大学データブック2012」から見えてくるもの(1)

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これからの大学教育のあり方を考える材料を提供することを目的として、Benesse教育研究開発センターが2011年度までに実施した様々な調査結果の中から、高等教育(学士課程教育)に関連するデータを選択して編集した「 大学データブック2012 」から主な要点を引用しご紹介します。 この報告書では、大学教育改革に役立ちそうな調査結果が次の5つの観点から整理されています。 高校生の学習・進路選択の状況 大学生の学習・生活の状況 海外留学の課題 就職活動の現状、社会で求められている力 大学の内部質保証の課題 第1章 高校から大学へ 2 大学受験・進学 2-1 大学受験に対する意識 5~6割の高校生が「行先がなくなるのは怖い」「できるだけ楽に済ませたい」と回答 親子とも「学力を伸ばすよい機会だ」と回答した比率がもっとも高かった。しかし、受験は「学力を伸ばすよい機会だ」「成長を促すよい機会だ」と回答した比率は、親が子どもよりも10ポイント前後高い。他方、子どもは親よりも、「受験に失敗し、行先がなくなるのは怖い」が15ポイント以上、「できるだけ楽に済ませたほうがよい」が20ポイント以上高い。 2-2 大学進学に対する意識 子どもは親よりも、「大学に行けば社会で活躍するための実力がつく」、親は子どもよりも、「大学に入ったら勉学に力を入れてほしい」と考えている。 「大学で過ごすこと自体が子どもの人生経験として貴重だ」「大学で学問に取り組めば専門性を高めることができる」と回答した比率は、親子とも約9割と高い。一方で、子どもは親よりも、「大学に行けば社会で活躍するための実力がつく」、親は子どもよりも、「大学に入ったら勉学に力を入れてほしい」と考える傾向がある。大学進学後の親の心配としては、72.9%が「大学卒業後にすぐに就職できるかどうか」を心配しており、もっとも高い。 2-3 大学を選ぶ際に重視すること 親子とも、「専攻したい学問分野があること」をもっとも重視している。子どもは「入試難易度」「キャンパスの雰囲気」、親は「授業料負担」「就職実績」を重視。 大学選択の際にもっとも重視するのは、親子とも「専攻したい学問分野があること」である。第2位以降は、子どもは「入試の難易度が合っている...

受け身の教育から能動的な学修へ

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中央教育審議会大学教育部会の主催により開催された「大学教育改革地域フォーラム­」において、議論の導入として使われた映像が公開されています。

学士課程教育の改革

論考「 大学教育の改善に必要なこと-中教審審議まとめを読んで 」(桜美林大学大学院・大学アドミニストレーション研究科教授 山本眞一 氏)( 文部科学教育通信 No291 2012.5.14 )を抜粋してご紹介します。 中教審が新たな審議まとめ 大学改革が引き続き進行中である。しかしその改革の中心は、2005年の中教審将来像答申を境目として、それまでの高等教育システムの外枠すなわち制度に関わるものから、そのシステムの運用とりわけ教育の内容・方法の改善に軸足を移すようになっている。質保証やグローバル対応を中心概念としたこの新たな動きは、最近いよいよ佳境に入りつつあるようだ。そのような折、今年3月、中教審大学分科会大学教育部会から審議まとめが出た。この審議まとめは「予測困難な時代において生涯学び続け、主体的に考える力を育成する大学へ」という、従来の審議会では副題として表記されるべきものがメインのタイトルに付けられており、読む者には、ある種の抵抗感と同時に、極めて斬新な印象を与える。それだけでもこれからの大学改革の核心を何とか表そうとした政策当局の苦心が窺えるものである。以下、この審議まとめを中心にこれからの大学教育の改善に必要なことについて、若干の考察を加えてみたい。 この審議まとめは5つのパートから成っている。第一は「予測が困難な時代と大学の責務」と題して、そのような時代に対応できるよう学士課程教育は「学生の思考力や表現力を引き出し、その知性を鍛え、課題の発見や具体化からその解決へと向かう力の基礎を身につけることを目指す能動的な授業」でなければならないとする。またそのためには十分な学修時間を確保する必要があるが、実態としては学修時間が不足していることを問題視している。 第二には、その十分な学修時間は学生の主体的な学びの確立のために必要であり、単に学修の量だけではなく質を伴うものとしてとらえなければならないとし、また国際的な信頼の源泉として学修時間の確保が不可欠だとも言っている。 第三に「個々の授業が学士課程教育の質的転換に向けて進化するために」は、授業を担う教員がそのことを自覚し、努力することが必要だとする。そのためには、学生の学修到達度を図る方法等の研究・開発の推進、大学における教育情報の活用・公表を目的とする「大学ポートレート(仮称)」...

PTA会費について考える

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最近、PTA会費についての記事がいくつか目に止まりました。 PTA費、学校運営に流用 12府県市の監査で改善要求(2012年5月10日朝日新聞) 大阪府や名古屋市など12の府県・政令指定市の一部の公立高校が、保護者らから集めた金を公費の代わりに学校経費に充てたとして、2007~11年度の県や市の監査で改善を求められていたことが朝日新聞の調べで分かった。PTA会費や後援会費といった学校徴収金を校舎修繕費や教職員手当などに充てていた。こうした実態を問題視し、文部科学省も9日、全国調査に乗り出した。 学校の経費は、学校教育法で「設置者(府県や市)の負担」とされる。負担の範囲について、文科省の担当者は「給与や施設の建設・修繕など学校本来の役割に必要な経費」と説明する。 朝日新聞は、市立高校のない相模原市を除く全66の都道府県・政令指定市の教育委員会に07~11年度の公立高校の学校徴収金について尋ねた。その結果、12府県・市の監査で、使途を示して「公費負担すべきだ」などと指摘されていた。 (関連記事) 市立中でPTA会費流用…保護者が返還請求(2012年5月9日 読売新聞) 中国地方でもPTA会費充当(2012年5月11日 中国新聞) 「学校に係る経費をPTAがどこまで負担すべきなのか」「会費が何に使われているのか」については、これまで不明確であり不透明すぎたような気がします。また、明確にされていても、残念ながら適切に守られてきたようには思えません。 今回は、教育熱心なPTAが多いことで知られる国立大学法人の附属学校を例にしてご紹介します。 国立大学法人のうち、教員養成系の大学や学部には、幼稚園、小学校、中学校(以下「附属学校等」といいます)が設置されています。ここに在籍する幼児、児童、生徒の保護者に「 負担を求めることが適当でない経費等 」については、既に、文部科学省から通知(「附属学校の運営に要する経費等の取扱いについて」(平成12年6月13日 文部省高等教育局大学課教育大学室長通知))が出されており、以下のように明確にされています。 PTAは附属学校の教員が構成員となっているため、形式の如何を問わず、当該学校等への金員や物品の提供等(以下「寄付」という。)を目的とする会費の徴収や募金活動をすることはできないこと。 附属学校等の後...

何かが欠けている

本当の進むべき道が判らないまま、超え方だけを人に教わろうとしている。 教科書やテレビやコンピュータ画面ばかりを見て、現実を見ようとしない。相手の現場に立とうとしない。小賢く振舞いながらも、生き方に迷っている。 薪を踏みつけにし、火種を掲げて先を急ぐ。 遠い未来に夢を抱かずに、今日と明日の幸せだけを求めている。 出来ない理由を分かろうとせず、汗を流そうとせずに、結果と豊かさだけを求めている。 力を尽くし、物事に動ぜず、他を受け入れる心の広さ。これは、どんな状況、いつの時代でも必要な心構えだ。 戦後、日本人は、何かを「命がけ」でやることを否定してしまった。覚悟しないで生きられる時代は、いい時代である。だが、死を意識しないことで、日本人は「生きる」ことをおろそかにしてしまってはいないだろうか。(明日葉 No12 2006.10.1 から引用)

政府は不退転の決意が必要(土光敏夫)

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国民の皆様へ 明日をもって、行革審はその任期を終え、解散いたします。顧みれば昭和56年3月鈴木内閣によって臨調が設置され、中曽根内閣に引き継がれ、さらに行革審となって、今日まで5年3か月約2千日になります。 この間、国民の皆様の絶大なるご支援を得て、臨調・行革審は、全国民的課題である行政改革の推進に努めて参りました。臨調発足当時、行政は肥大化し、財政はまさに危機的状況にありました。このままでは、戦後のめざましい復興を成し遂げ、自由世界第二位の経済対策を実現してきた国民の活力が、失われてしまうのではないかと、私は深く憂慮しておりました。 我が国の将来にとって、国民の活力を維持・発展させるとともに国際社会の一員として責任を果たすことが何より必要であり、それはまさに国家の存立と盛衰にかかわる重大事であります。その意味で、臨調は「活力ある福祉社会の建設」と「国際社会に対する積極的貢献」という行政の二大目標を提示したのであります。 この目標実現の前提として、「増税なき財政再建」の基本方針を厳守し、国民負担比率の上昇を極力抑制しつつ、行財政の改革をやり遂げることが不可欠であります。それは、行政には抜本的な制度・施策の見直しと厳しい削減努力を要請するものであり、国民の皆様には行政に対する甘えを捨て自立自助の努力を求めるものであります。 これまで政府・国会、地方公共団体は、全力を挙げて行政改革に取り組まれ、医療・年金・電電改革等見るべき成果を上げてこられました。しかしながら、国鉄改革をはじめ中央・地方の肥大化した行政の役割の見直し・規制緩和等なお多くの問題が残されております。また、公債依存度はある程度減少したとはいえ、赤字国債依存脱却という当面の財政再建目標の達成はなお困難な状況にあります。 行政改革に倦み、歳出抑制に疲れ、また国際収支の不均衡是正や内需拡大を重視するあまり、行財政改革路線の転換を強く主張する向きもないわけではありません。しかし、市場開放と民間活力の発揮が強く要請されている現在、思い切った行政改革の断行がまさに必要なのであります。 いま、ここで行財政の改革をあきらめられるならば、これまでの努力は水泡に帰し、行財政は再び肥大化の道をたどり、ようやくほの見えてきた明るい希望も消え去るでありましょう。私はこのことが心配でならないのであります。 ...

ITマネジメントの確立

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論考「大学の情報化とITマネジメントを考える」(筑波大学大学研究センター長・ビジネスサイエンス系教授 吉武博通 氏)( リクルート カレッジマネジメント 174 May-Jun.2012 )を抜粋してご紹介します。 ◇ 何を集約し共通化することで全学最適を実現するか 大学の情報化に関してよく言われることは、学内の各部門で様々なハード・ソフトが使われ、それぞれにデータが蓄積されているにも拘らず、それらをより有効かつ効率的に活用するための、全学レベルでの最適化の仕組みが整っていないというものである。 国立大学に例をとると、初期の計算機導入の目的は学術研究のための計算機利用やプログラミングなどの情報処理教育にあった。大型汎用計算機が導入され、その運用を学術情報センターなどの組織が担い、学内各組織からの要請を受けて、提供する機能やサービスを漸次拡大してきた。 その一方で、分散処理化の流れを受けて、個々の教育研究組織が独自にサーバーやソフトウェアを導入したり、人事・財務などの業務部門が個々にシステムを導入したりという動きが加速されてくる。その結果、学内の様々な部門で異なるハード・ソフトが用いられ、システム相互間の連携、大学全体のシステム構成や費用構造の把握が容易に行えない状況が生まれる。 法人化以降の国立大学がセンターの上部組織として情報環境機構などの組織を置き、副学長の担当を明確化するなどの措置を講じていることの背景に、このような事情がある。同様の体制整備は私立大学や公立大学でも見受けられ、センターと共に図書館を機構等の組織下に置くケースもある。 現在でも、学部・研究科などの組織ごとに自己決定しようとする意識は根強く、ITに詳しい教員のいる組織では、それらの教員の考え方に強く影響を受けることもあるといわれている。組織とシステムの両面において個々の自律性が高いことは大学の大きな強みでもあるが、大学が保有する知や情報の連結・活用、限られた経営資源の効率的投入といった観点からも、集約や共通化は必要である。 ITの導入や利用に関する業務のどこまでを各組織に委ね、何を集約し共通化することで全学最適を実現するか、大学における一つの重要な課題である。 中小規模の大学こそ経営層の関心と理解が不可欠 前述の状況は規模の大きな大学ほどより顕...

能力向上の方法を知る(ドラッカー)

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貢献という意味での自己開発は、なされるべきことから始まる。自分ではなく課題からスタートする。外の世界のニーズと機会に自らの能力と強みをマッチさせるとき成果が得られる。 具体的には二つの方法がある。一つは、すでによく行っていることをさらによく行うこと、すなわち改善である。もう一つは、それまでとは違うことを行うこと、すなわちイノベーションである。いずれもが重要である。 イノベーションに力を入れ改善を怠ることは間違いである。次のステップを可能とする小さなステップを見つけ続けていかなければならない。もちろん改善にばかり力を入れ、やがてイノベーションを行うべき時がくることを忘れることも、同じように愚かというべきである。 イノベーションは自己開発には不可欠のスキルである。しかも問題があるときではなく、うまくいっているときにこそイノベーションは行わなければならない。日常の仕事を注意深く見て「いま知っていることをみな知っているとして、いまこれを始めるか。成果を生んでいるか、安逸を貪っているだけか、成果を期待しえないことに力を入れているのではないか」を問わなければならない。 歩む道を変え、違う世界を見、新しい目的地に向かうとき、自己刷新がもたらされる。うまくいっているときこそが、外からの助け、良き師の助けが必要なときである。成果をあげるほど、目の前の仕事、緊急の仕事に没入しているおそれがある。そのとき、経験豊かな師が、「それは意味のあることか。自らの最高のものを引き出しているか」を聞いてくれる。 貢献の能力の向上には具体的な方策がある。例えば、教えることが最高の方法の一つである。先生のほうが生徒よりも多くを学ぶ。もちろん誰もが教える機会をもてるわけではない。教えることがうまいわけでもない。楽しんで教えられるわけでもない。しかし、誰でも似た機会はもてる。他人の能力向上を助ける機会はいくらでもある。部下や同僚の成果を向上させることに正面から取り組んだことのある者ならば、教えることが、自らの能力の向上にどれだけ役に立つかを知っているはずである。 能力の向上のための方法のひとつとしては自己採点がある。私の経験からすれば、これは謙虚さを学ぶ最善の方法でもある。私にとっては、できたはずのことと、実際にできたことのギャップを目にすることほど辛いことはなかった。しかしさすがの...

承認の共同体

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論考「共同体としての組織づくり」(日本私立大学協会私学高等教育研究所研究員 岩田雅明 氏)( 文部科学教育通信 No291 2012.5.14 )をご紹介します。 ◇ 人を活かす組織 ドラッカーが著書『マネジメント』の中で、「人こそ最大の資産である」、「組織の違いは人の働きだけである」といっているが、平素、いろいろな大学を見ていて全く同じことを感じている。前稿で、募集状況があまり良好でない大学はチャレンジ精神が重視されない風土があると書いたが、そのような組織は、もったいないことに最大の資産である人を活かす機会をつくっていないのである。取り巻く環境が順風だった時代には、新しいチャレンジの必要性を感じる組織は少なく、いろいろな人の意見を受け入れること、新しいことにチャレンジすることは、むしろ対立や混沌を生み、失敗という結果も予想される無用のことだったといえる。 しかし、現状のように少子化という構造的な逆風が吹く環境の中では、選ばれる大学にならなければならない。18歳人口は、2021年度になると現在より10万人程度減少することになる。仮に半分が大学に進学すると仮定しても、5万人の入学者が減少することになる。5万人といえば、小規模な大学で考えると200から300校程度の入学者に相当する数である。このため、各大学ともこの先10年間の18歳人口の安定期に、それぞれの存在意義を高める方策を企画し、実行していく必要があるといえる。 先に大学の危機の時代を迎えたアメリカの、マーケティングの著名な研究者カレン・フォックス博士は、2008年に来日した際にインタビューに答えて次のように語っている。「危機に直面した大学が再生するための方策は、3つしかない」と。博士のいう3つの道とは、規模を縮小するダウンサイジング、他大学によるM&A、そしてイノベーション、変革である。 日本の大学の現状を見てみると、既にダウンサイジングやM&Aといった道を選択した大学も出てきている。もちろん人口減少の時代であるから、市場を調整するという意味でのダウンサイジングや、補強しあうM&Aは有用な選択といえる場合も少なくないであろう。しかし最適な選択肢は、やはり時代のニーズに対応したイノベーションという道である。既存の制度の上に立っての大学経営では、社会の活性化は図れないのである。 ドラ...

成長の原理(ドラッカー)

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仕事が刺激を与えるのは、成長を期しつつ、自ら興奮と挑戦と変化を生み出すときである。これが可能となるのは、自らと仕事の双方を新たな次元で見るときである。 指揮者に勧められて客席から演奏を聴いたクラリネット奏者がいる。そのとき彼は初めて音楽を聴いた。その後は、上手に吹くことを超えて音楽を創造するようになった。これが成長である。仕事のやり方を変えたのではない。意味を加えたのだった。 自らの成長につながる最も効果的な方法は、自らの予期せぬ成功を見つけ、その予期せぬ成功を追求することである。ところがほとんどの人が、問題にばかり気をとられ成功の証しを無視する。 報告書も問題に焦点を当てている。最初のページには、前期の業績不振についての要約がある。しかし、そこには当初の計画や予算よりもよい成績を記すべきである。そこにこそ予期せぬ成功の兆しが現れる。最初は無視してしまうかもしれない。「放っておいてくれ。問題の解決に忙しいんだ」 私は訪問看護の非営利組織を運営している女性を知っている。彼女は残業の増加を見て、抑制するのではなく原因を調べた。看護が忙しいのはむしろ午後六時過ぎであることを知った。医療の進歩のおかげで、病気の人が働けるようになり、夜間の治療が増えたためだった。 成長のプロセスを維持していくための強力な手法を三つあげるならば、教えること、移ること、現場に出ることである。第一に、うまくいったことをどのように行ったかを仲間に教える。相手が学ぶだけでなく、自らが学ぶ。第二に、別の組織で働く。そこから新たな道が開かれる。第三に、一年に何度か現場で働く。 ある病院のトップマネジメントの一人が、数年前ストか何かのために、病棟で働かなければならなくなった。毎日がドラマだった。学ばざるをえなかった。真剣にならざるをえなかった。今日その病院では、年に一週間、経営管理者はすべて病棟で働く決まりになっている。 成長のための偉大な能力をもつ者はすべて自分自身に焦点を合わせている。ある意味では自己中心的であって、世の中のことすべてを自らの成長の糧にしている。 ドラッカー名著集 4 非営利組織の経営 P.F.ドラッカー ダイヤモンド社 発売日:2007-01-27 ブクログでレビューを見る»

維新と占領、二つの「過去」を精算せよ(土光敏夫)

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明治時代からわれわれは、先進国に追いつけ追い越せといわれてやってきた。その結果、百年にして、最近ようやく追いついて、あるものは追い越すようになった。しかし、日本の法律や条例などは、古いものがそのまま残っており、太政官布告が未だに現存しているほどだ。こうしたものは、われわれの前進を阻むものだ。また、終戦後、進駐軍が法律や制度、組織をつくった。昭和20年代に決まったものが、それ以来、少しも修正されていない。戦後の日本の変化は、非常に大きく、ずいぶん直すべきものがある。明治維新と占領体制--この二つの過去が現在まで残している問題を改革しなければならない。 現在の日本は、経済的には、インフレも少ないし失業者も少なく、安定している。しかし、外国からは、包囲攻撃をくっており、このまま日本が発展するとは思わない。21世紀に向かって、日本がこれから進むには、国際的にも国内的にも、改正すべき点は多々あり、路線を修正しなければならず、日本は大きく変換せざるをえない。それが、行財政改革なのだ。 土光敏夫 21世紀への遺産―人生・人間・政治・会社・未来 志村嘉一郎 文藝春秋 発売日:1988-01 ブクログでレビューを見る»

沖縄復帰を想う日

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今日は、沖縄が本土に復帰して40年目の節目の日でした。2つの記事をご紹介します。 沖縄施政権返還40周年 いまだ「復帰」なし得ず(2012年5月15日 東京新聞) 1972年5月15日、戦後、米軍による統治が続いていた沖縄の施政権は日本に返還された。以来40年。沖縄は本当に日本に復帰したと言えるのか。 復帰当日の午前10時半、東京・九段の日本武道館と那覇市民会館とをテレビ中継で結び、政府主催の沖縄復帰記念式典が始まった。 沖縄返還を主導した式典委員長の佐藤栄作首相は声を詰まらせながら、こうあいさつする。 「沖縄は本日、祖国に復帰した。戦争で失われた領土を外交交渉により回復したことは史上極めてまれであり、これを可能にした日米友好の絆の強さを痛感する」 「本土並み」程遠く 自らの外交成果を誇る佐藤首相に対し、那覇会場に出席していた屋良朝苗沖縄県知事のあいさつからは、復帰をめぐる県民のやり切れない思いが伝わる。 「復帰の内容は必ずしも私どもの切なる願望がいれられたとは言えない。米軍基地をはじめ、いろいろな問題を持ち込んで復帰した。これからも厳しさは続き、新しい困難に直面するかもしれない」 沖縄返還の基本方針は「核抜き本土並み」だ。核抜きとは、沖縄に配備されていた核兵器の撤去、本土並みとは、日米安全保障条約と関連取り決めが沖縄にも変更なく適用されることを意味する。同時に、沖縄県土面積の12・6%を占める米軍基地を本土並みに縮小することでもあった。 佐藤首相は「沖縄の基地は、当然日本の本土並みになるべきものだから順次撤去、縮小の方向にいくと思う」と国会答弁しており、県民の期待も高まっていた。 しかし、沖縄の米軍基地の現状はどうか。県土面積に占める割合は10・2%と依然高く、在日米軍基地の約74%は沖縄に集中する。四十年を経ても「本土並み」は達成されていない。屋良知事の懸念は残念ながら的中したのである。 人権ないがしろに 沖縄の米軍基地はなぜ減らないのか。米軍が「アジア・太平洋の要石」と位置付ける沖縄の地理的な優位性、中国の海洋進出や北朝鮮の軍事挑発に代表される戦略環境の変化など、理由付けしようと思えば、いくらでもできる。 しかし、 最も根源的な要因は、沖縄県民の苦悩に寄り添って現状を変えようとする姿勢が日本政府にも、本土...

国立大学法人の給与減額支給措置

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去る5月11日、「政府は、閣議後の閣僚懇談会で、国立大学法人に対し、給与削減に向けた労使交渉を急ぐよう要請する方針を正式に確認するとともに、国立大学法人への運営費交付金を、給与引き下げに見合う分だけ減らす方針を申し合わせた」との報道がありました。これは、東日本大震災の復興財源の捻出を目的とするもので、2月に決まった国家公務員の給与削減に合わせた措置ということです。 安住財務大臣閣議後記者会見の概要(平成24年5月11日)(抜粋) 冒頭発言 閣僚懇で独立行政法人等の人件費について、ご存じのとおり国家公務員が法律改正を行って引き下げたわけですけれども、公的部門全体でこれに倣ってもらいたいということで、減額分を今それぞれの法人と管理側で話をしておりますけれども、これを是非急いでほしいということと同時に、次の予算編成の際には、運営費交付金により人件費が賄われている独法等については、国家公務員の給与削減と同等の給与削減相当額を算定し運営費交付金等から減額をしたい旨、私の方から申し上げました。 質疑応答 (問)先程の運営費交付金のことですけれども、次の予算編成においてということで仰られましたので、そうしますと13年度から3年間運営費交付金がその分独法等で減るというふうに考えてよいのかということと、地方公共団体、地方公務員とかあるいは教職員の人件費に関しても同じような考え方を来年度の予算編成で求められるのでしょうか。 (答)独法の給与見直しについては次の予算編成のタイミングでしっかり行っていきたいということですから、これは補足いたしますが、今のお話というのは地方や教職員に及ぶのかということでありますけれども、法律上は及んではおりません。ただ公的セクター全体でということを私は申し上げているわけですね。ですから国や独立行政法人がそうしたことを行っているということをよく見ていただいて対応していただければありがたいと思っております。 (問)対象となる独法ですけれども、国から財政的な支援を受けていない公的機関に対しても給与の引下げを求めるということでしょうか。 (答)102法人全てでお願いをしております。ですから労使交渉も行って組合側にもご理解をいただくようなことを是非急いでやっていただきたいと。我が方もそうなんですけれども、印刷局や造幣局、鋭意話し合いを行って...

沖縄復帰40周年

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5月15日、沖縄(琉球諸島及び大東諸島)の施政権がアメリカ合衆国から日本に返還(1972年)されてから、ちょうど40周年を迎えます。 沖縄県宜野湾市で開かれる記念式典には、野田首相も出席するようですが、普天間飛行場の移設など、未だ解決の糸口さえ見えない米軍基地問題に、沖縄県民の苦悩は深まるばかりです。 5月12日放送の「報道特集」では、「復帰40年・・・なお続く沖縄の苦悩」がテーマの一つになっていましたが、豪華な米兵のための基地外住宅には空いた口がふさがらないほど驚いたと同時に、怒りがこみ上げてきました。みなさんは、以下の写真や記事をご覧になりどう思われますか? この機会に改めて「沖縄」のことを考えてみませんか。 【基地外住宅】米国のテレビドラマの世界に迷い込んでような豪邸が立ち並ぶ(北谷町) 【基地内住宅】思いやり予算で建設したにもかかわらず空室がある(キャンプ瑞慶覧) 画像出典: 【沖縄発】基地外の豪邸に住む米兵(JanJan) 一方、こちらは、同じ日本国民の税金を使った東日本大震災の被災者用仮設住宅です。まるで収容所、あるいは難民キャンプの様相です。絶対におかしいですよね、納得できませんよね。 画像出典: 東日本大震災/福島県/復興の記録/画像/映画情報ならスタジオ ガル 仮設住宅にはお年寄りも多く、孤独死も後を絶たないといいます。 画像出典: TBS News そんな中、元気をくれる若者達がいます。 福島の仮設住宅に花描こう 福島の高校生20人(2012年5月12日 朝日新聞) 日本人だけが知らない 世界から絶賛される日本人 黄文雄 徳間書店 発売日:2011-12-28 ブクログでレビューを見る»

大学では遅すぎる?

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前回に続き、 IDE(2012年5月号) 「取材ノートから」の記事を抜粋してご紹介します。 大学教育を考える上で暗澹たる思いになる調査結果が相次いだ。 日本数学会は、昨年4-7月、全国の国公私立大学48大学生の新入生ら約6千人を対象に数学力テストを実施した。出題は統計や論理、代数など5分野から小中高で習う基本問題を出題。約4割は理工系学生だ。 驚いたのは平均の定義と性質を尋ねた問題。「生徒100人の身長の平均が163.5cmだった。この結果から確実に正しいと言える事には○、そうでないものは×を付けなさい」という問いで、1)身長が163.5cmより高い生徒と低い生徒はそれぞれ50人ずついる、2)100人全員の身長を足すと16,350cmになる、3)身長を10cmごとに区分すると、160cm以上で170cm未満の生徒が最も多い--の3つを○×判定させた。当然2)以外は×だが、3つとも正しく答えた大学生は76.0%に過ぎなかった。驚かされる事項は他にも多くあるが、切なくなるので以下、省略。 もう1つは日本青少年研究所の高校生意識調査。昨年6-11月、日米中韓4カ国の高校生計約8千人を対象に行った。「将来も含めて海外留学したい」と考える高校生は、韓国82.2%、中国58.2%、米国52.9%に対し、日本は最低の46.1%。日本の高校生の「留学したくない」理由(複数回答)は、「自分の国が暮らしやすい」(53.2%)、「言葉の壁がある」(48.1%)、「外国で一人で生活する自信がない」(42.7%)の順。「経済的に難しい」を挙げた高校生は、日本は19.5%に対し、米国46.5%、中国43.3%、韓国43.1%。「面倒だから」は、日本38.5%、米国15.7%、中国33.0%、韓国31.7%の順だった。 いずれも大きく報道されているので、詳細は述べないが、「人材の高度化」とか「グローバル人材の育成」という議論が何とも空虚に聞こえる調査結果ではないか。「今の若者は・・・」と批判する前に、この国の学校教育はどこかで大きく誤ったことを素直に認めたい。大学も初中教育の話だと無関心は許されない。5割以上が4年制大学へ進み、短大や専門学校も含めれば高校生の7割以上が進学する現実を前に、小中高大を見通した学校教育の在り方を見つめ直す時期に来ている。(日本経済新聞社...

学生に勉強させるには

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IDE(2012年5月号) 「取材ノートから」の記事を抜粋してご紹介します。 中央分科会大学教育部会が3月末、「 予測困難な時代において生涯学び続け、主体的に考える力を育成する大学へ 」と題する審議まとめを公表した。ここ数年、中教審は大学教育に関して幅広く審議を重ねてきたが、正直なところ戦線を拡大し過ぎた感は否めない。広げ過ぎた大風呂敷を力業で折り畳んだ。そんな印象のまとめである。 まとめは、大学教育が直面する大きな目標を「若者や学生の『生涯学び続け、どんな環境においても”答えのない問題”に最善解を導くことができる能力』を育成すること」と規定し、その上で「学士課程教育の質的転換」を訴えた。さらに、「質の高い学士課程教育に不可欠な学生の学修時間が極めて少ないのが実態」と指摘し、大学に対し、学生にもっと勉強させるように求めた。高度成長期に適用した「企業は大学教育に多くを期待しておらず、入社後の社内教育と実務上の経験や実践で人材を伸ばしている」、「昔から大学生は勉強しておらず、それでも卒業後社会で十分に活躍してきた」という認識の転換も迫った。 前段の部分はなるほどと思って読んだ。特に大学教育の目標を、このように明快でわかりやすく、しかも今日的な課題に則した形で示したのは大いに共感する。問題は後段だ。確かに、大学生が勉強していない事は明らかだ。もっと勉強させるというのは、正論だろう。にもかかわらずなぜか違和感が残る。 勉強すればいいのかは分かる。でも、いったい何を勉強すれば良いのか。経済学部の学生ならば、分厚い経済学のテキストを何冊も理解すればそれで良いのか・・・? まとめは、シラバスやアクティブラーニング、サービスラーニング、アセスメントテスト、ルーブリックなど授業法や学修成果測定に関しては詳しく記述している。だが、いずれもテクニカルな話という印象は否めない。一方で、大学が何を学ばせ、学生が何を学べば、「予測困難な時代を生き抜く力」や「生涯学び続ける力」、「主体的に考える力」が身につくのか、肝腎要の部分は曖昧なままだ。文部科学省が日本学術会議に審議を依頼した「参照基準」の話は出てくるが、今ひとつクリアでない。 まとめは、理学、保健、芸術分野の学生に比べ、社会科学分野等の学生の学修時間が少ないと指摘した。確かにその通りなのだが、考えてみ...

創造性を高める「重荷主義」(土光敏夫)

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私はだいたい、人は能力以上に働かなければならないという重荷主義を信奉する。その人が百キロのものが持てるとすれば、百二十キロのものを持たせ、百二十キロが持てれば、百四十キロを持たす。人間を能力以下に置くのは、むしろ罪悪である。人間尊重とは、ヘビー労働をかけ、その人の創造性を高めることだ。 やり甲斐、働き甲斐は、やってみてはじめて出てくる。やりもしない、働きもしないで、どうしてそのような喜びが得られるだろうか。生き甲斐にしてもそうだ。精いっぱい生きる努力をして、はじめて生きる喜びを知るのだ。 遊んでいて金がもらえるような仕組みを放置する経営者は、人間尊重をしていない経営者といえる。ただし、「働け」「より創造性を高めろ」と、口でいうだけでは責任ある行動とはいえない。そのための場を与え、きちんとレールを敷いてやるのが、経営者の役目だ。 私の履歴書 土光敏夫 日本経済新聞社 発売日:1983-01 ブクログでレビューを見る»

高等教育に関する経済同友会の提言

4月25日に開催された、 中央教育審議会教育振興基本計画部会(第16回)の資料 のうち、公益社団法人経済同友会が作成した「 『第2期教育振興基本計画』の策定に対する意見 」を抜粋してご紹介します。 1 初等・中等教育に関して (1)基礎力の必要性(略) (2)大学入試・受験勉強の問題点-高等教育との接続のあり方 高校における受験偏重の学習が、高校生の学力に悪影響を及ぼしている。例えば、早い段階で私立文系クラスなどを選択すると、数学や理科をほとんど勉強することはない。一方、私立理系クラスでは社会や国語をほとんど勉強することはない。大学では、いわゆる文系の学部でも、数学や理科(サイエンス)の知識は必須の場合が少なくなく、逆も同様である。 推薦入試やAO入試で入学する学生の中には、基礎学力が相当に不足している学生も少なくない。そのため、大学の授業についていけない学生も多いという指摘もある。したがって、入学者の基礎学力が不足している場合には、大学が責任をもって、補修等により基礎学力を身に付けさせるべきである。 (3)キャリア教育の重要性 大学におけるキャリア教育が義務化されたが、高等教育機関によっては入学時点ですでに専攻が確定し、入学後の選択余地がない場合も多いため、キャリア教育は、進路指導も含め、初等・中等教育の段階から行う必要がある。 キャリア教育を行うに当たっては、単に職業の内容を教えるのではなく、中学・高校で学んでいる各教科が、経済社会にどのように関係しているのか、経済社会を理解する上でどのように役に立つのかなど、生徒が学ぶ意義を自覚できるよう、具体的にわかりやすく教える工夫も必要である。 2 高等教育に関して (1)「質保証」問題の早期解決 「質保証」問題は10年以上も議論をしているが、実行の段階に移行しない。何をやるべきかの議論は尽くされており、一刻も早い実行を望む。 例えば、「質保証」問題を解決するためには、「質」の水準(良し悪し)を計測する何らかの基準が必要である。学士課程の専門教育(学部の3、4年)については、日本学術会議において学問分野毎の「参照基準」の策定作業が行われているが、この策定を急ぐべきである。また、日本の大学教育で最も弱いとされる「教養教育」についても「参照基準」、又は基本概念的なも...

高等教育政策の目指すべき方向性

論考「 国立大学法人化政策の課題とその対応 」(東京財団)を抜粋してご紹介します。 はじめに そもそも、大学の受益者は「学生」と「社会」である。これは大学の機能である「教育」を通じて人材を育成し、もって社会に広く貢献することによるものであり、また、もう一つの機能である「研究」を通じて真理の探究や新しい技術開発や社会の構築が可能となることによる。だが、いまの大学は受益者である学生と社会を向いた運営ができているだろうか。 実際に現場である大学では、法人化以降、文部科学省への依存が進み、行政頼みのマネジメントと事務組織の硬直化に陥っている。その影響は研究と教育、双方に及んでおり、研究や教育に割ける時間の削減、質の高い論文数の減少等の影響をもたらしている。 1 国立大学法人化の経緯と現状 (略) 2 現場から見た課題 (1)文科省ばかりを向いたマネジメントと事務組織の硬直化 国立大学法人は、国の予算編成がきわめて厳しい中、運営費交付金に対して効率化係数(1%)や附属病院の経営改善係数(2%)が適用されている。そのため、人件費を除く基盤的経費が制度上毎年削減され、法人化以降年々増える人件費が交付金では賄えなくなってきており、大学の経営、とくに経費面での改革が迫られている。法人化によって組織と資金の自由度を高められたにもかかわらず、組織改革や予算節減などの経営課題の解決は進んでいないのが現状だ。中でも、本来、経営面では、学務のプロである学長とは別に、経営のプロである理事長が経営改革に臨むべきなのだが、現時点で学長と理事長とを分離した国立大学は全く無い。2009年の事業仕分け(行政刷新会議)において有識者の仕分け人より、こうした現状に対する問題意識を尋ねられた文科省の返答も、国立大学法人の学長職と理事長職の分離に関しては否定的であり、企業経営能力に長けた民間経営者は理事(非常勤)として入っていれば十分で、必要に応じて文科省や他省庁から国の業務に精通した適任者(官僚)を理事会へ派遣すれば足りるというものであった。 学長兼理事長の下、大学の現状は何も変わっていない。本来であれば、理事長を兼務する学長の下、従来の教授会中心のボトムアップ型の組織から学長・理事長主導のトップダウン型組織に転換しているはずだが、そうはなっていない。ボトムアップ型の教授会が...

行政改革、消費税導入のためのパフォーマンスにならないように

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政府は去る5月1日、岡田副総理の下に有識者からなる「行政改革に関する懇談会」を設置すると発表しました。岡田副総理は同日の定例会見で、同懇談会の目的について、「行政改革の必要性について、大所高所からご議論いただきたい」と述べています。連休明けの7日に初会合は開かれます。 消費税導入のための口実とならないよう、原点に立ち返った抜本的改革を断行し、あるべき姿を徹底して追求してほしいと思います。 岡田副総理記者会見要旨(平成24年5月1日 首相官邸ホームページ) 既にいろいろ報じられておりますが、「行政改革に関する懇談会の開催について」であります。お手元に資料もお配りしておりますが、行政刷新会議の有識者議員、つまり大臣以外の委員、議員に内閣特別顧問である稲盛京セラ名誉会長を加えた10名の方にお願いしております。 なお、行政刷新会議の有識者議員については、住友商事の代表取締役会長である岡素之さん、この方は行政改革について、今、行政刷新会議の下で、規制改革分科会を担当していただいているわけですが、それから、小幡純子さん、上智大学法科大学院教授、それから、連合の古賀さんの3名を追加することにいたしました。小幡さんは行政法の専門家であり、古賀さんについては労働会の代表、かつ従来行政刷新会議のメンバーであった草野議員の後任になるものでございます。 この懇談会について、早速連休明けに開催したいと、5月7日17時からを予定してございますが、まずは、行革について、大所高所から御議論いただきたい。行革の必要性について、御議論いただきたいというふうに思っております。今まで行政改革に関して土光臨調始め各種の会議が設置をされてまいりましたが、それぞれ時代の要請に応じて、なぜ行革を行わなければならないのか、というところから始まって議論していただいたわけであります。そういうものを参考にしつつ、あまり時間をかけるつもりはないのですが、少し行革の必要性、基本的考え方について、最初の1、2回は御議論いただきたいというふうに思っております。 その上で、具体的な内容について、例えば、総人件費の問題でありますとか、その他、それこそ正しくこれから御議論いただいて整理していただくわけですが、テーマごとに大所高所からの御議論いただきたいと考えております。なお、先程言いましたように、稲盛さん以外は行政刷新...