投稿

3月, 2008の投稿を表示しています

大学等における履修証明(certificate)制度

前回のブログでも少しご紹介しましたが、平成19年12月26日に施行された改正学校教育法により、大学が各大学の判断により学位に準じる「履修証明書」を授与できる制度が創設されました。 従来の科目等履修制度や公開講座をさらに発展させるため法律上位置づけられたもので、、大学院、短期大学、高等専門学校、専門学校も証明書を授与できることになっています。 具体的要件は、学校教育法施行規則(省令)において規定されており、証明を出せるプログラムを「120時間以上」に限定、また、開講する際に文部科学省に届け出る必要はありませんが、教育内容や受講資格などの情報の事前公表が義務付けられているようです。 制度の概要を文部科学省が作成した資料から少しご紹介します。 趣 旨 教育基本法第7条及び学校教育法第83条の規定により、 教育研究成果の社会への提供 が大学の基本的役割として位置づけられたことや、中教審答申の提言等を踏まえ、 平成19年の学校教育法改正により、履修証明の制度上の位置付けを明確化 これにより、各大学等(大学、大学院、短期大学、高等専門学校、専門学校)における社会人等に対する多様なニーズに応じた体系的な教育、学習機会の提供を促進 制度の概要 以下の要件を満たす 履修証明プログラム を大学等が提供できることとした。 対象者: 社会人 (当該大学の学生等の履修を排除するものではない) 内容:大学等の教育・研究資源を活かし一定の教育計画の下に編成された、 体系的な知識・技術等の習得 を目指した教育プログラム 期間:目的・内容に応じ、 総時間数120時間以上 で各大学等において設定 証明書:プログラムの修了者には、各大学等により、学校教育法の規定に基づくプログラムであること及びその名称等を示した 履修証明書を交付 質保証:プログラムの内容等を公表するとともに、各大学等においてその質を保証するための仕組みを確保 ※学生を対象とした 学位プログラムとは異なり、単位や学位が授与されるものではない 。 基本的考え方 プログラムの目的・内容として、多様かつ高度な、職業上に必要な専門的知識・技術取得のニーズに応じたもの、資格制度等とリンクしたもののほか、生涯学習二一ズヘの対応など 多様な目的・内容のプログラム を想定 プログラムの目的・...

高等教育関係の法律改正など

去る3月17日(月曜日)にメルパルク東京において、文部科学省主催の大学設置等に関する事務担当者説明会が開催されました。 この説明会は、大学設置等の認可申請等の事務手続きに関して、大学設置基準等の改正内容や申請書類の変更点等について、適正な事務処理に係わる事項の周知を図ることを目的として開催されたものですが、文部科学省としてはなにぶん初めての試みのようで、2階席まで満員に近い状況で、しかも午後半日休憩なしの説明でしたが、大学の置かれた厳しい状況を反映してか、ほとんど席を立つ人もなく、説明後の質疑応答も驚くほど多くの熱心な質問が飛び交いました。 当日は文部科学省の担当官から次のような内容の説明が行われました。 最近の設置認可の問題点について 学校教育法、大学設置基準等の改正について 設置基準等改正に伴う様式記入方法の変更について 学部等の設置届出等について 設置計画履行状況調査について 認可申請における留意点等について 寄附行為変更認可申請書類作成上の留意点について 当日の会議資料のうち、平成19年度に改正された学校教育法や大学設置基準のポイントについてご紹介します。 ◇ 学校教育法等の一部を改正する法律の概要(高等教育関係) 教育基本法改正及び中央教育審議会答申等を踏まえ、学校教育法の規定を次のとおり改正(平成19年6月27日公布、12月26目施行) 大学等の目的関係等 1)大学に関する事項 教育基本法に大学の基本的役割に関する規定(第7条)が置かれたことを踏まえ、現行の大学の目的に関する規定(新第83条)に、教育研究活動の成果を広く社会に提供することにより、社会の発展に寄与するといった趣旨を追加 2)高等専門学校に関する事項 高等専門学校の目的に関する規定(新第115条)についても、大学と同様に改正 このほか、公立大学法人が高等専門学校を設置できるよう規定を整備 大学等の情報提供等に関する事項 大学は、教育研究活動の状況に関して、情報を公表するものとするといった趣旨を規定(高等専門学校、専修学校及び各種学校についても同様の趣旨の規定を整備) 専修学校及び各種学校は、教育活動等の状況についての評価に努めるものとするといった趣旨を規定(※大学及び高等専門学校については既に新109条で...

共同学部・共同大学院制度

既に報道されていることですが、現在、中央教育審議会では、いわゆる「将来像答申」や「骨太2007」等を踏まえ、地域の国公私立大学・短期大学が連携して教育研究資源を最大限に活用し、地域の活性化、多様で特色ある教育研究を推進するための仕組みを支援する仕組み、具体的には、「 国公私を通じ、複数大学が共同で教育課程を実施し、連名で学位授与を可能とする共同学部・共同大学院制度」の創設に向けた検討が進められています。 中教審 共同学部制度骨子案を了承 大学設置基準改正へ(2008年3月8日付北海道新聞) 中央教育審議会(中教審)の専門部会は7日、国公私立の複数大学が共同で学部や大学院をつくり、連名で学位授与を行う「共同学部・共同大学院制度(仮称)」の骨子案を示し、大筋了承した。 少子化で大学が生き残りをかける中、経費負担を抑えて特色ある教育研究に取り組めるようにする。 中教審は今夏までに、文部科学省に答申、文科省は大学設置基準を改正する。2010年度から入学を認める計画だ。 同制度は、複数の大学が共同で教育課程を編成する仕組み。現行の設置基準では、学生数に応じて教員数や施設を整備する決まりだが、複数大学で必要な教員数や施設を満たせばよい規定に改正する。 同制度がスタートすれば、地方の小規模な大学でも、他大学と組むことによってコスト負担を抑えて地域の人材育成の需要に応えられるようになる効果が期待される。また、単独で新しい学部を設けることは難しくても、高度な研究分野に進出することが可能となる。 大学連携で学部共同設置、2010年春に開始・文科省が基準改正へ(2008年3月9日付日本経済新聞) 文部科学省は複数の大学が共同で学部や大学院を設置できるようにするため、今夏をメドに大学設置基準を改正する方針を決めた。 2009年中に大学側から設置申請を受け付けて審査したうえで、10年4月から共同学部がスタートする見通しだ。 設置審査では連携するそれぞれの大学が一定数以上の必修科目を置くことや、各大学に所属する教員が分担して講義をすることなど、大学間でバランスが取れていることを条件にする。 大学間の意思統一を図るための協議会を設置することも求める。 報道向けにリリースされた内容は定かではありませんが、去る3月7日(金曜日)に開催された中央教育審議会大...

中教審答申(教育振興基本計画関係)素案

中央教育審議会で検討されている教育振興基本計画関係の答申の素案が、文部科学省のホームページに公表されています。 ■教育振興基本計画特別部会(第13回)議事録・配付資料 http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo7/shiryo/08030301.htm このうち、高等教育関係部分(抜粋)をご紹介します。 第2章 今後10年間を通じて目指すべき教育の姿 (1)今後10年間を通じて目指すべき教育の姿 ■社会を支え、発展させるとともに、国際社会をリードする人材を育てる 1)高等学校や大学等における教育の質を保証する 大学等の個性化・特色化を進め、それぞれの機能に応じた教育研究活動を促す。 また、大学等における教育の質の保証・向上に向けた制度を整備・確立する。これらを通じ、教養と専門性を養い、社会の各分野を支え、発展させていく資質・能力を確実に養うことを重視する。 あわせて、生涯を通じていつでも必要な学習を行うことのできる機会を充実する。 2)世界最高水準の教育研究拠点を重点的に形成する 国際的競争力を持ち、世界の英知が結集する教育研究拠点を重点的に形成し、知的な貢献ができる人材を育成するとともに、大学の教育研究の高度化を通じて「知」の創造・継承・発展を支える。また、「留学生30万人計画」を策定し、優れた学生を多数受け入れることのできる体制を確立する。 第3章 今後5年間に総合的かつ計画的に取り組むべき施策 (2)施策の基本的方向 《基本的方向3》 教養と専門性を備えた知性豊かな人間を養成し、社会の発展を支える 今後の「知識基盤社会」において、「知」の創造と継承・発展を担う高等教育は、個人の人格形成や、生涯にわたる学習活動の場としても、社会・経済・文化の発展・振興や国際競争力の確保等の国家戦略の上でも、極めて重要な役割を果たすこととなる。また、環境問題をはじめとする地球規模での課題への対応においても、人材育成をはじめ、高等教育に期待される役割は大きい。 このような中で、高等教育に対する様々な需要に的確に対応するためには、大学・短期大学、高等専門学校、専門学校が、各学校種ごとにそれぞれの位置付けや期待される役割・機能を十分に踏まえた教育や研究を展開する...

果たして学位は能力の証明か

ディグリー・ミル(又はディプロマ・ミル)の問題、昨年の暮れに全国の大学の実態を文部科学省が公表した以降もポツポツと新聞紙面を賑わせています。 そもそも「学位」とは何なのでしょうか。お国の事情で学位の位置付けや効果も様々なのでしょうが、今回は、我が国の、特に大学教員にとっての学位について考えてみたいと思います。 広島大学高等教育研究開発センター長の山本眞一氏が書かれた「大学教員と『ニセ学位』」(文部科学教育通信 2008年2月25日号掲載)の抜粋をご紹介します 大学教員にとっての学位 大学教員には学位が必要だという認識は、近年とみに強まってきている。 このため、大学によっては、博士の学位のない教授は博士課程の学生の主任指導教員にはさせないという内部規律を持っているところがあったり、また、博士の学位のない教員が出身大学で論文博士号をとろうとして、血の出るような努力をしたりしている例がいくつもある。 ちなみに、大学設置基準の規定を見ると、教授の資格として列挙されている中で、第一には「博士の学位(外国において授与されたこれに相当する学位を含む)を有し、研究上の業績を有する者」とあり、第二に「研究上の業績が前号の者に準ずると認められる者」と規定されており(同第14条)、その他これらによらない資格でも教授にはなれるのだが、博士の学位というものが第一に挙げられていることからみても、これがいかに重要であるかはよくわかる。 もう30年ほど前の話になるが、私が旧文部省に勤めていた折、大学設置審の教員審査の場に付き合ったことがある。 とくに理工系の場合に審査員である大学教授たちが申請書類に目を通す際に、まず口にするのが博士の学位であり、それがない教員の場合いろいろ難しい議論があるということを、当時は学士号しかなかった私は、半ば好奇の目でその様子を眺めていたものである。 なぜなら、当時の私には大学を出て就職する際に、学位が必要な職種があるということが信じられなかったからである。 今日、博士学位はさらに重要に 近年、博士課程中退ではなく実際に博士号を取得していることが教員採用や昇進にきわめて有利に働くようになってきた。 以前ならば文系の博士課程は、教員就職のための待機場所という性格が強かったが、そこにも研究者として自立して研究する能力...

高等教育への投資

国際比較におけるわが国の高等教育に対する公財政支出の低さについては、これまでも政府内の諸会議においてさんざん議論されてきたところですが、一向に改善の兆しが見えてきません。 厳しい財政事情や国民的関心の低さを反映してのことでしょうが、国家の未来を担う「ひと」への投資は、もう少し重視されるべきではないかと思います。 去る2月8日開催の中央教育審議会教育振興基本計画特別部会において、大学分科会を兼務する安西祐一郎慶應義塾長、郷通子お茶の水女子大学長、金子元久東京大学大学院教育学研究科長、木村孟独立行政法人大学評価・学位授与機構長の連名による「教育基本計画の在り方について-『大学教育の転換と革新』を可能とするために-」と題する意見書が提出されたことは前回この日記でご紹介しました。 この意見書のうち、高等教育への財政支出の必要性を述べた主な部分をご紹介します。わが国の現状を「鎖国的」と酷評されておりとても印象深い意見書です。 ◇ 諸外国に比して高等教育への公財政支出の規模が少ないことは、つとに指摘され、平成17 年の中央教育審議会答申「我が国の高等教育の将来像」でも欧米並みの水準を目指すべき旨が提言されている。 今般の教育振興基本計画では、過去の答申内容と整合性を確保し、投資拡充の方向性を明記することは当然であるが、それに止まらず、当面の計画期間を、長期的な展望の中で位置づけつつ、目標やその達成に向けた工程等を描いていくべきである。 益々熾烈となる国境を越えた人材獲得競争の流れの中、国際的に遜色ある投資水準では成算は無い。本提言では、国際競争で優位にあるアメリカを目安とし、少なくとも同国との懸隔を拡大させないことを狙いとした。また、学費上昇等による私費負担の増大に鑑みると、機会均等、さらには「人生前半の社会保障」や少子化対策の観点からも、教育費の家計負担の軽減が不可欠であるとの認識に立って検討を行った。 その結果、我々は、できる限り速やかに公的投資を年間5兆円程度の規模に拡大させることが必要であると考えた。こうした投資増により、はじめて国際競争に伍しつつ、幅広く知的市民を育成することを可能とする教育研究環境が形成されよう。 もとより、我々は、現下の厳しい財政事情について決して無理解ではない。 しかし、先進諸国が高等教育への投資を競い合う...

高等教育政策の動向

文部科学省高等教育局から配信されている高等教育政策に関する情報メルマガ(2008年2月28日号)のうち主なものをご紹介します。 ■中央教育審議会大学分科会の動向について 大学分科会制度・教育部会学士課程の在り方に関する小委員会(第12回)について -答申に向けて学士課程教育の在り方について議論- 2月15日、大学分科会制度・教育部会学士課程の在り方に関する小委員会(主査:黒田壽二金沢工業大学総長)の第12回会議が開催されました。 この会議では、学士課程教育の在り方について、年度内の「審議のまとめ」に向け、昨年9月の審議経過報告から修正を行うべきポイントについて意見交換が行われました。次回以降、制度・教育部会と合同で、文案の審議を開始する予定です。 大学分科会大学院部会(第40回)について 2月21日、大学分科会大学院部会(部会長:荻上紘一独立行政法人大学評価・学位授与機構教授)の第40回会議が開催されました。 この会議では、1)専門職大学院に関する今後の検討課題について、2)博士課程修了者等の諸問題について意見交換が行われました。 1)専門職大学院に関する今後の検討課題については、「専門職大学院の教育研究活動等に関する実態調査」のデータ等に基づき、現状の問題点や今後の検討課題について意見交換を行いました。 2)博士課程修了者等の諸問題については、分野別の博士課程修了者数や、就職者数等のデータに基づき、意見交換を行いました。委員からは、 博士課程の社会のニーズとのミスマッチについて、専門領域の蛸壺に入りすぎているのをどう打開するか。企業側には特に人文社会系のドクターを敬遠する意識があるが、企業と意思疎通を図るなどして打開が必要。 博士課程の入口においてスクリーニング機能がほとんどないのが課題。 将来が不安だからということで、学生が博士課程に魅力を感じず、優秀な学生が博士課程に進学しなくなることについては大きな危機感をもっている。 経済的支援は非常に重要。十分な能力を有する博士課程学生に生活費相当程度の経済的支援を行うことなしに、国際的水準の大学院教育を達成することはできない。 等の意見が出されました。 ■教育基本計画に関する意見書「大学教育の転換と革新」について -安西大学分科会長へのインタビューから-...