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【続編】福岡県議会3億円視察 報告書公開も費用は未公表

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前回の記事(6月20日)では、福岡県議会の海外活動費(海外視察など)として、これまでに総額約3億円が支出されてきたことをめぐる問題についてお伝えしました。 その後も、この問題をめぐって新たな動きが相次いでいます。 県議会は海外視察の報告書を新たに公表し、ホームページには海外活動の成果を説明するQ&Aを掲載しました。一方で、県民から指摘が相次いでいた費用の詳細は公表されておらず、説明のあり方を疑問視する声も上がっています。 さらに、県議会とは別に問題となっている「部課長会」のパーティー券購入問題では、服部誠太郎知事が第三者評価委員会を設置する方針を表明しました。 ここでは、6月20日以降に明らかになった主な動きを整理します。 1.海外視察報告書7件を新たに公表 しかし費用は掲載されず 県議会は6月25日、自民党など主要4会派によるプロジェクトチーム(PT)の会合を開き、これまで未公表だった海外視察報告書7件をホームページで公開しました。 海外視察をめぐっては、県民や議会内外から「成果が見えにくい」「情報公開が不十分ではないか」といった批判が相次ぐ中、県議会は報告書を公表しました。 一方で、PTでは視察にかかった具体的な費用については報告書へ掲載しない方針も決定しました。 そのため、公開された資料だけでは、視察ごとの費用対効果や、これまで報道で指摘されてきた宿泊費などについて十分に検証することはできません。 「どのような活動を行ったか」は示された一方で、「いくらの税金が使われたのか」は依然として明らかにされていない状況です。 2.県議会ホームページにQ&A掲載 海外活動の成果を説明 報告書を公表した同じ6月25日、福岡県議会はホームページに「海外活動に関するQ&A」を新たに掲載しました。 Q&Aでは、 国際大会の誘致 経済交流の促進 海外との人的ネットワークの構築 など、海外活動による成果を紹介しています。 県議会は「県民の批判を真摯に受け止める」としていますが、一方で視察費用の詳細は公表されておらず、報道や県民からは成果だけでなく費用も含...

記事紹介|女性が働き続けられる環境づくりこそ

全国81大学のうち「不適切な事案」が9校、「その可能性の高い事案」が1校――。文部科学省が医学部入試をめぐる調査の結果を公表した。東京医科大事件を機に広がった不公正疑惑は一区切りを迎えたが、なお多くの疑問や課題が残る。 ひとつは、「可能性」を指摘された聖マリアンナ医科大が否認を貫き、第三者による検証も受け入れない姿勢を見せていることだ。社会への説明責任をどう考えているのか。また、不正があったとまではいえないが、同窓会の推薦者リストが入試担当者に渡るなど、疑惑を招きかねない行為が10校以上で見つかった。「公正」への意識を欠いた大学のいかに多いことか。 入試が迫ったこの時期まで調査・公表がずれ込んだのも、受験生のことを思えば遅きに失したと言わざるを得ない。 今回あらわになったのは、入試の公平・公正が簡単に骨抜きにされてしまう恐ろしさだ。 女子差別をしていた東京医科大は「女性は出産や育児で職場を離れることが多く、周囲の負担になるから」と説明し、一部理解を示す声もあがった。本末転倒も甚だしい。女性が働き続けられる環境づくりにこそ、力を注ぐべきではないか。 医学部入試ではほぼすべてで面接が行われる。医師としての適性を見るためだが、評価の裁量幅が大きく、恣意(しい)が紛れ込みやすい。面接を担当する教職員の男女比や年齢構成を見直す。特定の人物に合否の決定権が集中しない仕組みにする。そうした工夫が求められる。 調査を踏まえ、文科省は入試の公正さに関する考え方を示した。性別はもちろん、年齢や浪人歴、出身地などの属性を、合否判断の尺度に持ち込まないことを基軸にすえている。 司法試験のように受験回数を制限する試験もあるが、理由を説明し、オープンな議論を経て決めたものだ。ひそかに浪人生の評価を一律に切り下げる行為が許されないのは当然だ。 地元出身者の優遇はどうか。たしかに地域に医師を確保するのは社会の要請だ。だがその場合も、募集要項に明記しなければ受験生を欺くことになる。 考えるべきは医学部だけではない。「1点刻みの競争から多面的な評価へ」をうたう入試改革を控え、裁量の範囲か否かの線引きは一層難しくなる。大学間で協議し、納得度を高める手立てを全体で講じてほしい。 志願者や合格者の男女比などの情報を幅広く公開して人々のチェックを受けるのも、不正を防ぐう...

記事紹介|続・信頼回復

文部科学省が、組織ぐるみの「天下り」のあっせんについて中間報告を発表した。 外部の弁護士を中核とする調査班によって、法の網をくぐる行為の広がりと、手法の悪質さが明らかになりつつある。 内閣府の再就職等監視委員会が国家公務員法に違反、もしくはその疑いがあると指摘した計38件のうち、今回、文科省自身が27件を違法だったと認めた。関与した官僚は前川喜平前事務次官を含め20人に及ぶ。 あっせん作業の手順を引き継ぎ、共有するための人事課内のメモも2種類見つかった。あっせんが「業務」として位置づけられていた事実を物語る。 うち一つは監視委対応マニュアルというべきもので、天下りのあっせん役を担っていた文科省OBの氏名は明らかにしないようにと明記されていた。 後ろ暗さがあるからこその隠蔽(いんぺい)ではないか。前高等教育局長の早稲田大への天下り疑惑を監視委が調べた際、人事課職員が関係者に口裏合わせを求めたことと並んで、許しがたい。 当のOB自身を学長予定者とする大学の設置申請に関するやり取りも、調査対象になった。 驚くことに、申請内容を審査する審議会の情報が、まったく関係のない人事課職員に漏れ、OBに伝わる可能性があったという。文科省内のコンプライアンスのあり方に重大な疑念を抱かせる出来事といえよう。 文科省はさらに調査を進め、来月、最終報告を発表する方針だ。行政や税金の使い道がゆがめられていなかったかを、徹底的に調べる必要がある。 違法行為をうんだ原因について、松野文科相は「規制への認識が十分でなく、省内の順法意識が欠けていた」と述べた。 だが根本的な問題は、再就職先を必要とする文科省と、設置認可や補助金の獲得を有利に運びたい大学との、持ちつ持たれつの関係にあるといえる。 この十数年、文科省は改革を促すために大学を競わせ、めがねにかなったところに補助金を出す政策を続けてきた。大学側からは「国の狙いをいち早くつかみ、繁雑な事務手続きをこなすには文科省出身者の力が不可欠」との本音が漏れてくる。 加えて、来年からの18歳人口の急減期を前に、経営の行く末を心配する大学は少なくない。再就職だけでなく、文科省職員の現役出向も広がっている。 調査班は事実関係の解明にとどまらず、こうした官と学の...

記事紹介|信頼回復

白鳥は 悲しからずや 空の青 海のあをにも 染まずただよふ(若山牧水) 新年早々、痛恨の不祥事が明るみに出た。1月20日付で関係者の処分が断行され、文部科学省に衝撃が走った。公務員天下り規制法令違反、人事課による隠ぺい工作。文部科学省への国民の信頼は著しく低下した。 天下り問題は、全省庁に共通する問題である。また、これにとどまらず、文部科学省と国立大学との人事交流や出向人事を捉えて、前行革大臣は、「国立大学は文部科学省の植民地か。」と指摘している。 ワープロ事件、リクルート事件、施設整備汚職事件など過去の大不祥事に比して、今回は贈収賄事件ではないものの、大臣官房人事課が震源地であり、また、文部科学省と大学との関係を根本的に問われる点で極めて重い。 文部科学省そして文教行政は危機的局面を迎えている。文部科学省は、事件の徹底した調査とその公表、再発防止策に、迅速かつ精力的に取り組み、国民の信頼回復に努めなければならない。 冒頭の牧水の有名な句は、文部科学省の知人からの今年の年賀状に取り上げられていた。オリジナルは、青春期の孤独感を表現した作品だが、知人は、特定の色(意向)に染まらずに自立性を確保したいこと、あるいはその難しさを示唆したようだ。 今年は、昨年以上に何が起きるかわからない、これまでの常識が通用しない年となるであろう。ダボス会議では、皮肉にも中国の習近平国家主席が、多国間の自由貿易体制の重要性を指摘し、米国トランプ政権の保護貿易主義傾向を非難した。 今後、「理念」よりも「利益」を重視するトランプ政権の誕生によって世界は多極化、無秩序化していく恐れがある。日本は、国際情勢の中で漂流することなく、地道に国力を強化しつつ、複眼的、長期的に、米国、中国、ロシア等との関係を構築する必要がある(中西輝政・ウエッジ1月号)。教育、科学技術、文化、スポーツなどの分野でも国際的視点からの政策展開が一層求められる。 今回の不祥事を受けて、職員の士気の低下が心配だ。しかし、文部科学省は、「悲しみを抱えて漂う」のではなく、今こそ自身と世界の難局へ果敢に対峙し、着実に施策を実施して行かなければならない。 文教ニュース ・文部科学時評「難局を乗り越える」|平成29年2月6日 から

記事紹介|文部省は一国にとりて必ずしも必要欠くべからざる機関にあらず

高橋是清(1854~1936)はもちろん、幾度となく戦前の日本経済を救った希代の国際金融政治家である。ただ、もうひとつの大事な顔がある。自由主義がもたらす恩恵を信じ、官僚主義や軍国主義と闘った政党政治家のそれだ。 なかでも面目躍如たるのは、原敬内閣の蔵相だった1920(大正9)年に提出した「内外国策私見」だろう。 第1次世界大戦後の国際協調と大正デモクラシーの時代だった。その変化をとらえ、内閣の統制が及ばない陸軍参謀本部と海軍軍令部の廃止や、農商務省から農林、商工両省への改編などを意見した。そのラジカルさは軍部の反発を恐れた原首相が印刷を差し止めたほどだった。後に高橋が蔵相として軍事予算の増大に抗して陸軍若手将校の恨みを買い、2・26事件に倒れたことを思えば、歴史の因縁でもある。 だが先見性に富んだ「私見」の射程はそれにとどまらない。最後の第4項目で高橋は、文部省の「全国画一的」な教育行政を憂え、「発奮努力の精神を喪失せしむる」弊害を指摘してこう提言した。 -小中学校の施設経営監督は地方自治体に委(まか)せよ。大学への国庫補助は必要かもしれぬ。だが学長選挙も内部行政も文部省の手を煩わせず大学に自治の精神を発揮させよ。官立大学の特典を廃止し私立大学と自由に競争させ学術の発達進歩を計れ。文部省は一国にとりて必ずしも必要欠くべからざる機関にあらず。 結論は表題に明白だ。 「文部省ヲ廃止スルコト」 ◇ 永田町界隈(かいわい)でひどい話はさんざん見聞きしてきた方だが、今回の文部科学省の天下りあっせん問題には息をのむ。 言うまでもなくこの役所は、私立大学に対し設置認可などの許認可権を持ち補助金を交付する立場だ。利害関係などというのは生やさしく、大学側からみればまさに生殺与奪の権を握る「特権」的な存在なのである。 にもかかわらず、大学担当の前高等教育局長が早稲田大へ「天下る」よう組織的にあっせんしていた。官製談合事件の反省から改正された国家公務員法の禁止のルールを踏みにじる違法行為である。 しかも現職の事務次官が審議官だった時にあっせんに関与しており辞任した。隠蔽(いんぺい)のため早稲田大に口止めし、口裏合わせの想定問答集まで用意していた。そこまで明るみに出ていて、さすがに調査は完全に第三者に任せるかと思いきや、それさえ曖昧(あいまい...

記事紹介|続・続・根絶を願う、文科省の失態

平成29年1月26日(木)衆議院・予算委員会  10時14分から34分まで (カッコ内は私(河野太郎)の解説です) 河野太郎君 自由民主党の河野太郎です。まず再就職等監視委員会にお伺いをいたします(委員長又は事務方のトップである事務局長のいずれかが答弁するということでした。委員長だと答弁書を全部読み上げることになって時間がもったいないなと思ったので、事務局長でもOKにしたところ、事務局長の答弁になりました)。今回の文科省の天下り問題の発覚のきっかけとなったのは何だったのでしょうか。 内閣府再就職等監視委員会事務局長 再就職等監視委員会は、内閣人事局が四半期ごとに公表しております管理職員の再就職届出情報、その他様々な情報について監視を行っております。平成28年3月当該再就職の届出が公表され、その中に、元文科省の高等教育局長が、早稲田大学に再就職した旨の報告が含まれておりました。(事前の説明では、退職してから再就職まで2か月足らずと短かったことが目を引いたとの説明がありましたが、それについてはこの答弁で触れていません。文科省の天下りには新ルール後で、退職の翌日再就職というのもあり、質問時間に余裕があればその件についても触れたかったのですが、そのためにはもう一度、監視委員会事務局長に退職してから再就職の期間について質問をしなければならなくなりました。結局、時間が足らず、これについては触れるに至りませんでした) この公表情報をもとに、文科省に対して照会の上、関係者への聞き取り、あるいは証拠を精査した結果、文科省の人事課職員が元局長の情報を早稲田大学に提供し、また、元局長自らが利害関係のある大学に求職活動していた疑い、そしてそれらを人事課が隠ぺいを図ろうとしていたことが認められたということでございます。 河野太郎君 総理の指示で、内閣人事局がこの問題を調査するということになっていると思いますが、霞が関が霞が関の調査をしただけでは、世の中の信頼を得られないわけで、内閣人事局の調査に当然外部の目が入ると考えておりますが、山本大臣それでよろしいでしょうか。 山本幸三国家公務員制度担当大臣 総理から今回の事案はあってはならないことであって、国民の疑念を払拭するために、全省庁に対して、徹底的に調査し、その結果を明らかにする、しっかり調査するよう、そして報告する...

記事紹介|続・根絶を願う、文科省の失態

文部科学省による官僚の天下りの実態が明らかになった。 政府の再就職等監視委員会が国家公務員法に違反する、もしくはその疑いがあると指摘した例は4年間で38件にのぼる。 組織ぐるみで法を曲げ、口裏合わせをして隠蔽(いんぺい)を図る。その姿勢に憤りを覚える。 教育を担う官庁が見せた無軌道ぶりは、文教政策への深刻な不信と疑念を招いた。この先どんな顔で、子どもたちに「道徳」を説くのだろうか。 監視委が調査を始めたきっかけは、大学の設置認可や私学助成を担当する高等教育局の前局長の動きだ。2年前の秋、退官からそう日をおかずして早稲田大の教授になった。 大学は、教授の業務を「政策の動向の調査研究」「文科省の事業に関する大学への助言」とウェブサイトで紹介していた。 少子化が進み、大学の経営環境は厳しい。いかに国の政策を先取りして予算を獲得するかに、多くの大学は懸命だ。 そこに有力な文部官僚が天下る。世間の目を気にしてしかるべきなのに、逆に関係を誇示するような記載は、感覚のマヒを雄弁に物語っている。 監視委によると、前局長は文科省在任中から求職活動をし、人事課は前局長の履歴書を作って早大に送ったうえ、面談日程の調整までしていた。 官民の癒着をなくそうと、07年に国家公務員法が改正された。現役の役人による求職活動も、省庁側による再就職のあっせんも禁止になった。前局長の例はこのどちらにも触れる。 さらに驚くのは、文科省が人事課経験のあるOBに、退職予定者の個人情報や外部の求人情報を伝え、マッチング作業をさせていたと、監視委が認定したことだ。辞任した事務次官もこの仕組みを使ってあっせんに関与していたという。事実ならば省をあげての脱法行為というほかなく、悪質度は極めて高い。 文科省は、監視委と連携して再就職の例を洗い直し、問題ありと判断した場合は、自主的な退任を求めるなどの対応をとるべきだ。再発防止に向け、職員や大学に対し、法の内容を徹底させることも欠かせない。 徐々に変わりつつあるとはいえ、中央官僚の世界には、同期入省者が次官に就任したら、他の者は定年前でも退職する不文律があり、再就職先の確保は大きな関心事になっている。 安倍首相は、他省庁でも違法な再就職がないか調査を指示した。当然の措置だ...

記事紹介|根絶を願う、文科省の失態

今野浩(こんのひろし)さんが自分の学者人生をもとに書いた『工学部ヒラノ教授』は苦労話が満載である。研究費を申請するが何度もはねられる。ようやく認められたときには、文部省から天下った教授から、自分が口をきいてやったからだとにおわされた。 どこまでよくある話かは分からない。ただ、大学が文部科学省の意向を常に気にしているのはたしかだろう。学部の設置を認めてくれるのか。大学の予算はいくらつくのか。そんな影響力が、露骨な天下りの温床になったのだろうか。 文科省が大揺れである。組織的に再就職をあっせんしつつ、問題を隠すため口裏合わせの工作もしていた。OBを間にはさむ仕組みも作り、あっせんを見えにくくしていた。国家公務員法違反やその疑いが指摘される行為は30件以上にのぼり、官僚トップが辞任した。 あきれるのが、大学を担当する局長から早稲田大教授になった吉田大輔氏の例である。「国の政策の動向の調査研究」「文科省の事業に関する連絡調整や助言」などが大学での仕事とされていた。あからさまな大学と役所の仲立ちとしか思えない。 政府は他省庁でも問題がないかを調べるという。当然だろう。天下り規制が強化され10年がたつ。制度そのものに不備がないか、この際点検してほしい。 安倍晋三首相はきのうの演説で、明治の学制の序文を引いて「学問は身を立(たつ)るの財本(もとで)ともいふべきもの」と述べた。学問の場が役人の身を助ける道具に使われるなら、嘆かわしいというほかない。 (天声人語)文科省の露骨な天下り|2017年1月21日朝日新聞  から ◇ 文部科学省が国家公務員法に違反して、前局長の早稲田大学への「天下り」を組織的にあっせんした疑いがあることが分かった。前川喜平事務次官が引責辞任に追い込まれ、次官を含む幹部7人が懲戒処分された。これで一件落着なのか。 教育行政を受け持っているのだから、ほかの省庁以上に、次世代の範となる振る舞いが期待されているはずだ。 ところが、実際はどうだっただろうか。文科省が受け持つスポーツに例えれば、こういうことだ。スポーツには、どの競技者にも公平なルールがある。ところが、ばれてしまえば謝るが、ばれなければ構わないという「範」を子供たちに示してしまった。 もしくは、「うちには一般のルールは適用されない」という思い上がった意識があっ...

研究者をいかに育てるか

「 (耕論)STAPの教訓 郷通子さん、榎木英介さん 」(2014年12月19日朝日新聞) をご紹介します。 この1年、科学界を揺るがしたSTAP細胞の「発見」は、誰も存在を証明できない事態に暗転した。大きな教訓は、研究者をいかに育てるか。競争の激しい生命科学の分野で後進を育成してきたベテランと一線の若手は、どう考える? ■多額研究費は逆に人材育てぬ 郷通子さん(前お茶の水女子大学学長) 今回の問題を通じて浮上した大きな課題の一つは、研究者の育成、つまり、大学院での教育はどうなっているか、ということでしょう。私は、このままでは日本の科学は危うい、と思っています。 実験ノートが話題になりましたが、そうした研究に関する基本的なことは、大学院に入って最初に教わるべきことです。 私自身が指導していたとき、学生とは必ず毎週1回、1対1で話をしていました。生データと研究ノートを持ってきてもらって、見ながら議論する。それをやっていれば、独立した研究者になっても基本的なことを知らない、などということにはならないはずです。 <考えさせること>  最初にどう学ぶか、は非常に重要です。私はお茶の水女子大から名古屋大の物理の大学院に進みました。ノーベル賞を受賞した益川敏英さんと同期でした。今年のノーベル賞の赤崎勇さん、天野浩さんも含め、なぜ名古屋大からの受賞が多いのかとよく聞かれます。旧帝大の中で最後にできた若い大学ということもあり、上下関係もあまりなく、自由な雰囲気があったと思います。 博士論文は、早稲田大の指導教員のもとで書きましたが、名古屋大と共通していたのは、先生は決して研究テーマを与えずに学生に考えさせることです。学生の側にも、たとえ大変でも面白い研究をやるんだ、簡単なものはやるまい、という気概がありました。 最近は、研究テーマを先生が与えることが多くなっているようです。「すぐ論文が書ける」「面白いが5年がかりになるかも」などいくつか並べると、多くの学生はすぐ論文が書けるテーマを選ぶ。 先生も学生も、早く成果を出さなければと、迫られています。 論文もそうです。一流誌に何本も論文を発表している大学院生に聞くと、先生が書いた、という。そのほうが効率がいいからでしょう。私が指導していたとき、最初は論理構成もめちゃめちゃで、どうやって論理を...

公正な研究の推進に向けて

理化学研究所における小保方問題など、近時、研究活動における不正事案が後を絶たず、大きな社会問題になっています。 この間、文部科学省では、「研究活動における不正行為」や「研究費の不正使用」に関する防止策についての検討が行われ、特に、研究活動における不正行為への対応については、以下のように、副大臣をトップとするタスクホースや、ガイドラインの見直し・運用改善等に関する協力者会議における検討を経て、このたび、ようやくガイドラインの見直しが行われたことはご案内のとおりです。 (文部科学省における検討の経緯) 「研究における不正行為・研究費の不正使用に関するタスクフォース中間取りまとめ」(平成25年9月26日 文部科学省) 「公正な研究活動の推進に向けた「研究活動の不正行為への対応のガイドライン」の見直し・運用改善について」(審議のまとめ)(平成26年2月3日 文部科学省) 「研究費の不正使用、研究活動における不正行為の防止について」(「平成27年度科学研究費助成事業公募要領等説明会」等資料)(文部科学省) 「研究活動における不正行為への対応等に関するガイドライン」(平成26年8月26日 文部科学大臣決定) (関係機関による提言等) 声明「科学者の行動規範-改訂版-」(平成25年1月25日 日本学術会議) 「科学研究における不正行為の防止と利益相反への適切な対処について」(平成25年7月23日 日本学術会議会長談話) 「研究活動に係る不正行為及び研究費の不正使用の防止に向けて」(声明)(平成25年8月9日 国立大学協会) 提言「研究活動における不正の防止策と事後措置-科学の健全性向上のために-」(平成25年12月26日 日本学術会議) 「研究不正行為への実効性ある対応に向けて(案)」(平成26年9月19日 総合科学技術・イノベーション会議配付資料) また、先月末には、東京と大阪を会場として、文部科学省によるガイドラインに係る説明会が開催され、出席者から入手した情報によれば、主に次のような内容の説明が行われています(ほぼ配付資料の内容と重なっておりますが)。 なお、新たなガイドラインは、平成27年4月1日から適用され、平成27年3月31日までをガイドラインの適用のための「集中改革期間」とし、大学等の研究機関は、期間内にガイド...

研究倫理教育の実践

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このたび、文部科学省では、「 研究機関における公的研究費の管理・監査のガイドライン(実施 基準) 」(平成26年2月改正)の周知徹底を図るべく、その内容を取りまとめたコンテンツを制作、公表しました。各研究機関における効果的な活用が求められています。 「研究機関における公的研究費の管理・監査のガイドライン(実施基準)」に係るコンプライアンス教育用コンテンツ(文部科学省) 文部科学省では、各機関が公的研究費を適正に管理するために必要な事項を示すことを目的として、平成19年2月に「研究機関における公的研究費の管理・監査のガイドライン(実施基準)」を策定・運用してきました。 しかし、昨今、不正事案が社会問題として大きく取り上げられる事態となったことを受け、従前のガイドラインの記述の具体化・明確化を図り、平成26年2月に本ガイドラインを改正いたしました。 この度、改正したガイドラインに定められている事項のうち、国として公的研究費の管理監査の観点から、各機関に共通する内容を取りまとめたコンテンツを制作いたしました。 本コンテンツを各機関のコンプライアンス教育に活用するなどにより、研究費の管理・監査体制の構築に役立ててください。 なお、本コンテンツは、ガイドラインの内容の主要な事項を全て網羅するため、研究者向けと管理者向けそれぞれ1時間程度で作成しています。 したがって、各機関においては、構成員に特に周知を図る必要がある箇所や、各機関におけるコンプライアンス教育内容と重複する箇所などを考慮し、例えば、コンテンツの一部を省略し、特に必要と判断する箇所を活用(印刷用PDFの利用も含む)するなど、効果的に活用いただきますようお願いいたします。 管理者向け Section1 研究費制度の概要 Section2 ガイドラインの要請事項(1)~不正防止の取組~ Section3 不正の基礎知識と事例紹介等 Section4 ガイドラインの要請事項(2)~不正発覚後の対応~ Section5 ガイドラインに関する質問と回答 【印刷用】 研究機関における公的研究費の管理・監査のガイドラインについて(管理者向け)  研究者向け Section1 研究費制度の概要 Section2 ガイドラインの要請事項(1)~不正防...

文章作法の基本

山本眞一 さん(桜美林大学大学院・大学アドミニストレーション研究科教授)が書かれた「 「コピペ」と研究倫理~許されない理由とは 」( 文部科学教育通信 No.339 2014.5.12 )をご紹介します。 コピーは書き写すこと 私は30歳代の終わりの頃、家族を連れて一年間米国に滞在し、現地の生活を経験したことがある。用務は、文部省(当時)と人事交流をしていた連邦政府のNSF(国立科学財団)の客員研究員として、米国の学術政策や大学の研究活動について調査を行うことであった。首都ワシントンの郊外、バージニア州のアナンデールという地区に住宅を借り、隣近所の付き合いから、ショッピング、学校のことなど、生活者ならではのさまざまな見聞ができたことはなかなか貴重な経験であった。 小学校三年生だった息子は、現地の小学校に入れた。彼の地では日本人のための補習学校はあったが、日本人学校のようにフルタイムで生徒を受け入れる学校がなかったからである。 ただ、その学校では英語が母国語でない生徒のためにESL(English as a Second Language)というクラスが開講されていて、息子もその授業に出ることになった。 最初の日、教師は英語で書かれたテキストを示しつつ、「これをコピーしなさい」と言ったそうであるが、息子は大いに困惑したという。彼はコピーと言われたので辺りを見回したが、どこにもコピー機らしきものが見当たらなかったからである。しかし程なく、日本語の世界における語感とは異なり、英語でいうCopyとは文章を書き写すことだということが分かった。つまり、テキストを手本にしてその文章を自分のノートに写しなさいと教師は指示したのであった。 手本を書き写すということは、日本でも米国でも、学習過程の基本である。とくに型を重視する日本の教育では必須のことであろう。私自身も、数字やかな、そして漢字を学ぶために、特別なノートに薄く印刷されたそれらの文字を鉛筆でなぞりながら何度も練習した記憶がある。文字だけではない。学習過程において、他人が書いた文章を書き写すことも、また学習者のためになると一般的に信じられている。ある新聞社のコラムが大学入試(国語)によく採用されるからとして、そのコラムを書き写したり、さらには高齢者のボケ防止に役立つからとして、それを書き写すための専用...

研究不正問題とイノベーションの推進

理化学研究所における研究不正問題も、新たな疑惑が重なって、益々混迷の一途といったところですが、去る4月14日(月)に開催された 総合科学技術会議 においても、本事案についての議論が行われています。 会議後に行われた 山本内閣府特命担当大臣の記者会見要旨 を抜粋してご紹介します。 本日、17時35分から第119回総合科学技術会議の本会議を開催致しました。 研究不正の関係については下村文部科学大臣の方から、STAP細胞論文の経緯について、理化学研究所は3月31日に研究論文の疑義に関する調査委員会が報告書をとりまとめて、4月1日に記者会見を行ったと。STAP論文の問題に対して一定の結論は出したという御報告がありました。 理研(理化学研究所)では、本件を踏まえて研究不正防止等の着実な実施を図るために、4月4日に、もう皆さんよく御存じですが、野依理事長を本部長とする研究不正再発防止改革推進本部を設置したと。さらに外部有識者6名の改革委員会のお話もありました。4月10日に立ち上がったと。研究不正や過失の防止に係る規定、運用の改善、若手研究者が最大限に能力を発揮できる体制の整備などの論点を含め、研究不正を防止するための研究所の体制とか規定、運用等の課題、改善策について議論を開始しましたということで、文部科学省としては今後の若手研究者の活躍にも配慮しつつ、理研において可能な限り早期かつ厳正に、再発防止のための必要な対策がとられるよう引き続き求めていきたいという話がありました。 さらに文部科学大臣の方から、総合科学技術会議の有識者議員の意見書について、研究不正の疑いのある事案が頻発している現状は看過しがたい、憂うべき事態だと。現在、研究活動の不正行為への対応ガイドラインの見直しに係る検討をやっていますと。ガイドラインの見直しに当たっては、対応が個々の研究者の自己責任のみに委ねられている面が強かったことから、今後は、大学等の研究機関が責任を持ってこの問題に取り組むように求めたいと。特に、研究倫理教育の強化、不正行為を事前に防止する取組を推進していきたいという話がありました。 今般のSTAP細胞の事案から見出される課題等を踏まえるとともに、総合科学技術会議の有識者の皆様からのご意見も真摯に受けとめて、今後の検討に生かしていきたいというお話がありました。 最後...

国立大学法人評価で「研究不正防止への取組」を確認

近時、「研究活動における不正」や「研究費の不正使用」が社会問題として大きくクローズアップされています。 文部科学省では、こうした状況を受け、このたび、各国立大学に対し、「平成25事業年度に係る業務の実績に関する報告書」(国立大学法人評価委員会が行う年度計画の達成状況評価のために、各国立大学が毎年6月末までに文部科学省へ提出する資料)の作成に当たって、「研究不正防止に関する取組状況」の記載を求めました。 文部科学省国立大学法人評価委員会事務局からの通知(平成26年4月11日付、各国立大学法人評価担当部課長宛事務連絡)を抜粋してご紹介します。 ◇ 公的研究費の不正使用等の防止に関する取組状況について 昨今の研究に関する不正事案の発生等を受けて、昨年、文部科学省に「研究における不正行為・研究費の不正使用に関するタスクフォース」が設置され、平成25年9月26日には「 中間取りまとめ 」が公表され、組織の管理責任の明確化など、今後講じるべき具体的な対応策等が示されるとともに、これを受けて各ガイドライン等の改正を行い、平成26年度から運用されることとなっています。 また、平成25年12月24日付け事務連絡「 平成24年度における国立大学法人及び大学共同利用機関法人の業務の実績に関する評価の結果への意見について 」でお知らせしたとおり、総務省政策評価・独立行政法人評価委員会からも、国立大学法人評価委員会に対して厳格な評価を実施すべきとする意見が述べられています。 今後の年度評価においては、公的研究費の不正使用の防止及び研究活動における不正行為の防止に関する取組状況について、以下の方法で確認を行います。 1 公的研究費の不正使用について 平成25年度評価では、各法人において当該年度に公的研究費不正使用防止に向けて取り組んだ事項、特に24年度以前に比べて強化を図った事項について、実績報告書の「(4)その他の業務運営に関する特記事項」欄に具体的に記載してください。 また、「 研究機関における公的研究費の管理・監査のガイドライン(実施基準) 」が平成26年2月18日に改正され、平成26年度から運用されることになっていることから、各法人における新たな基準、指針等を踏まえた体制整備等の状況及び各法人のルールの運用や監査実施等、ガイドラインの内容が適切...

個人あて寄付金の適正経理

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このたび(平成25年2月1日付)、文部科学省高等教育局長及び同研究振興局長の連名により、各国立大学法人学長等宛に、「 「教員等個人宛寄付金の経理」の適正な取扱いについて 」と題する通知が行われています。 主な内容を抜粋して整理すると次のようになります。個人あて寄付金の適正な取扱いが求められています。 会計検査院の平成23年度決算検査報告 において、国立大学法人における「教員等個人宛て寄附金の経理」について、一部個人経理している事態は、各法人における寄附金規則に違反しているとして、19法人が不当事項とされたこと。また、これまでも同様の内容で、平成15年度は9大学が処置要求事項とされ、平成18年度には5法人、平成22年度には3法人が不当事項と、重ねて指摘されていること。 このような状況を踏まえ、国立大学法人の平成23年度評価においても、平成22年度に不当事項とされた3法人については、業務運営・財務内容等の状況(その他業務運営に関する重要目標)において、課題事項として指摘され、評定が一段階下げられていること。さらに、上記評価に対する 政策評価・独立行政法人評価委員会の二次評価 においても、度重なる会計検査院からの指摘を踏まえ、国立大学法人評価委員会委員長に対して「教員等個人に対して寄附された寄附金について、各法人における寄附金の取扱いを定めた規則等に基づかない不適切な処理がみられることを踏まえ、再発防止を図るため、各法人の教員等に対する規則の遵守などコンブライアンスの徹底に向けた取組状況について評価を行うべきである」との意見があったこと。 このような一連の事態は、国立大学法人及び大学共同利用機関法人の社会的信用を損ないかねない状況と受け止めており、各法人におかれては、速やかに対処すべき重大な問題として受け止め、 別紙 (以下)を参考としつつ、今後における適正な取扱いに万全を期されたく、研究担当理事及び財務担当理事などへの周知徹底とともに、監事におかれては、内部統制システムの構築・運用の状況など、業務監査の充実をお願いしたいこと。 (別紙)「教員等個人宛て寄附金の経理」の適正な取扱いについて 以下、参考としてお示しするものですが、各法人におかれては、これにとどまらず、独自の取組みも加えるなどして、真に実効性のある取組みを進めていただきますよう、お願...

会計検査院の決算検査報告にみる国立大学法人の課題

去る11月5日、平成21年度の決算検査報告が会計検査院の西村正紀院長から菅総理に手交されました。 この決算検査報告には、平成21年度の歳入歳出決算、政府関係機関の収入支出決算等について、会計検査院が平成21年次中(21年10月~22年9月)に実施した会計検査の成果が収録されています。 会計検査院のホームページに掲載された資料から、国立大学法人及び関係独立行政法人に関する指摘事項等を抜粋してご紹介します。 それにしても、会計検査院の資料は一般国民にはなかなか読みづらく、ホームページでの掲載方法もなんどもクリックしなければ求める記事がでてこないなど、もう少し国民にわかりやすい情報提供に努められてはいかがでしょうか。 会計検査院の存在意義を国民に明確に示していくことはとても大切なことではないかと思いますが。 平成21年度決算検査報告の概要(抜粋) 詳しくはこちらをご覧ください。 http://www.jbaudit.go.jp/report/summary21/index.html 不当事項 ▼独立行政法人日本学術振興会・科学研究費補助金の経理が不当 http://www.jbaudit.go.jp/report/summary21/pdf/fy21_futo_91.pdf ▼国立大学法人山口大学・研究用物品の購入に係る経理が不当 検査の結果、国立大学法人山口大学は、平成16年度から21年度までの間に大学院等に所属する15名の研究者から納品書、請求書等の提出を受けるなどして研究用物品の購入代金を業者に支払っていた。 しかし、この購入代金のうち126,743,002円については、実際には上記15名の研究者が、業者に架空の取引を指示して虚偽の納品書、請求書等を作成させ同大学に架空の取引に係る購入代金を支払わせていたものであり、その全額を業者に預けて別途に経理するなどしていた。 以上のように、事実と異なる会計経理を行い、代金を支払っている事態は、会計規則等に違反していて、126,743,002円が不当と認められる。 意見を表示し又は処置を要求した事項 ▼国立大学法人における目的積立金の取扱いについて(文部科学大臣あて) 業務を効率的に行ったため費用が減少した結果発生したものと認められない利益が、...

研究の前にモラルの修得を

最近、研究不正に関する2つの記事が目にとまりました。一つは、琉球大学大学院医学研究科の教授が学術誌に発表した論文に不正があったとして懲戒解雇された件、もう一つは、宮崎大学農学部教授による研究成果報告書に実験内容のねつ造が認められた件です。 研究者が命とする「論文」がデーターのねつ造で作成されたり、ほかの論文の無断使用などで成り立つ ことがあるとすれば、それはまさに犯罪行為です。研究不正については、この日記でもこれまで何度も取り上げていますが、研究者の人間としてのモラルの低さ、機能しない不正防止策にはいいかげんいやになります。特に国立大学法人の場合、研究資金は、内部からだろうが外部からだろうが、ほとんど税金が原資です。納税者への謝罪と当事者や責任者への厳罰など真摯な対応が求められます。 論文不正 組織としての防止策を(2010年8月29日 沖縄タイムス) 「大学の研究の自由は、不正がないという前提で保障されている。不正論文は大学を死に至らしめる重大な誤りだ」 数年前、論文のデータ捏造(ねつぞう)が発覚した関西の大学で、責任者はそう謝罪し、信頼の回復を強調した。 真実を追究する研究にとって、疑義を生じさせる不正はそれだけ深刻で、研究全体の信頼を損なう恥ずべき行為ということだ。 琉球大学大学院医学研究科の40代の教授が学術誌に発表した論文に不正があったとして懲戒解雇された。 実に、かかわった50編のうち38編で、過去の実験結果を毎回の結果のように装い使い回し、ほかの論文で使ったデータの出典を明示せずに別の論文に転用したりしていたという。 38編のうち11編は同教授の指導の下に書かれた大学院生の学位論文だった。これにより学位が取り消される可能性もあるというから、影響が懸念される。 同教授は「データを偽造したと言われても仕方ない」「論文作成のルールに疎かった」など不正を認めている。あまりに稚拙な言い訳とモラルの低さに驚く。 論文不正に対し琉大側は会見で「医学研究の信頼を著しく失墜させる行為」「多数の大学院生の学位が取り消される可能性を考えると、社会的にも大きな問題」と説明している。38編という数の多さからすると、その根は深く、気付かなかった責任もまた問われる。 不正の発覚は、論文が掲載された米学術誌の編集責任者からの指摘によるも...

学校の先生様「本業」をお忘れなく

北海道教職員組合による違法献金問題。子ども達に極めて大きな影響を与える学校の先生達の不正には、唖然とするばかりです。国民意識との乖離がありすぎる。もしや大学でも同様のことが行われているのではと不安でたまりません。 それなりの理由や歴史的背景はあるのでしょうが、組合活動を含め、なぜ教育者がこのような行動をとるのか、普通の国民感覚からは全く理解できませんし、情けない限りです。 【主張】北教組幹部ら逮捕 公金流用の悪質さ解明を(2010年3月2日 産経新聞) 北海道教職員組合(北教組)の幹部らが、民主党の小林千代美衆院議員の陣営に違法に選挙資金を提供したとして札幌地検に政治資金規正法違反容疑で逮捕された。 政治的中立が求められる教職員の団体が選挙の集金組織となり、本来教育の質向上に使われるべき税金の「主任手当」が裏金としてプールされ流用された疑いがある。事実とすれば悪質であり、教組の違法な資金提供について徹底解明してもらいたい。 北教組側の逮捕者には、委員長代理の長田秀樹容疑者や書記長が含まれる。長田容疑者は昨年8月の衆院選で小林陣営の選対委員長を務めていた。組合ぐるみで特定政党の政治家を支援し、違法献金を重ねていたのである。 さらに問題なのは、小林陣営への違法な選挙費用に充てられた疑いがもたれている「主任手当」は、「教務主任」や「学年主任」などを担当した教員個人に支給される公金であることだ。北教組では主任教員である組合員に拠出させ、プールしていたという。この金を北海道教育委員会に返還し、道教委がその都度、北教組に返送していた時期もある。 教育公務員特例法で、教職員の政治活動、選挙運動は禁じられている。だが罰則規定がないこともあり、北教組では教職員を動員した違法な選挙活動を行っている問題が以前から指摘されていた。 今回の事件発覚後も、北教組が家宅捜索を受けた2月15日付で北教組石狩支部が「捜査状況を見守る」とした上で、これまで同様に選挙運動強化を求める内部文書を出していた。 組合ぐるみの選挙は北教組だけの問題ではない。過去に日教組傘下の山梨県教組で同教組出身の民主党の輿石東氏(現参院議員会長)を支援するため、組合員から寄付金を集める政治資金規正法違反事件があった。 今回の事件で小林議員本人は「知らなかった」などとし、職にとどまっ...

不正の根絶に向けて

1月15日付の時事通信 によると、与党の会計検査院プロジェクトチーム(林芳正座長)は、不正経理にかかわった公務員に新たに懲役3年以下の罰則を設ける「不正経理防止法案」をまとめたようです。これは組織的な裏金づくりなどを抑止することをねらいとしており、議員立法で今国会提出を目指すとのこと。また、会計検査院が指摘した不正事項について、改善状況の報告を各省庁に義務付ける会計検査院法改正案も了承されたようです。 これまでの度重なる公務員の不正、不祥事等に業を煮やし、いよいよ国を挙げて厳格に臨まねばといったところなのでしょうが、多額の税金を納める立場から見るとやや遅すぎた感もあります。 以前この日記 で、次のようなことを書きました。 会計検査院は、まだまだ検査の深化が足りない。公務員体質に起因する怠慢、あるいは組織防衛的な利己主義はこの世から断固排除する必要があり、それができるのは、独立した強固な地位や権限を与えられた会計検査院しか現行制度上ない。検査報告そのものも、国民に容易に理解しやすい姿で書かれていないし、直接目に触れる機会も十分に用意されていない。 また、より深刻なのは、氷山の一角とはいえ、検査報告により指摘を受けた大学が、国民から負託された税金の不適切な使途について、どれだけ真面目に罪の意識を持っているのか、あるいはそれを恥辱だと認識し改善しようとしているのかが国民には皆目わかるようにはなっていない。 仮に会計検査院のフォローアップの結果、改善されていないような悪質な状況であれば、当該組織あるいは当事者に対して、会計検査院に与えられた権限を駆使して強制力を持った厳罰を課すべきだ。 厳罰化が不正の根絶にどれほどの効果をもたらすか議論のあるところではありますが、少なくとも会計検査院による検査の実効性を高め、税金の無駄遣いを無くす契機になるのではと期待しているところです。 さて、一般の企業や社会の皆様の中には、会計検査院の検査というものがどういうものなのかよくイメージできない方もおられるのではないかと思います。そこで、今回は、平成20年度に会計検査院が国立大学法人を対象に行った会計実地検査の結果、どのような指摘(正確には「講評事項」といいます。)がなされているのか、最近(平成19年12月分)のトレンド(事項と簡単な事例)をご紹介しましょう。随分と多岐に...

契約の適正化

この日記でも既に何度かご紹介していますが、国立大学法人を含む独立行政法人の業務実績については、各年度終了後、各府省の独立行政法人評価委員会(国立大学の場合は、国立大学法人評価委員会)が評価(=一次評価)を行い、総務省の 政策評価・独立行政法人評価委員会 が、一次評価の客観的かつ厳正な実施を確保するため、各府省の評価委員会の評価結果について横断的評価(=二次評価)を行い、各評価委員会に対して必要な意見を通知することとなっています。 去る1月7日(水)、総務省の政策評価・独立行政法人評価委員会は、各府省の独立行政法人評価委員会等における平成19年度における独立行政法人等の業務の実績に関する評価の結果(契約の適正化に係るもの)についての意見を取りまとめ公表しました。 この評価結果は、各独立行政法人の平成19年度の業務実績に係る各府省の評価委員会の評価結果のうち、「 契約事務に関する事項」 についての評価結果を取りまとめたものです。 (注)政策評価・独立行政法人評価委員会は、平成20年9月5日付けで 「入札・契約の適正化に係る評価における関心事項」 (以下抜粋)を各府省評価委員会に提示しており、今回の具体的な指摘は当該関心事項に示された項目について検証・評価して取りまとめたもののようです。 入札・契約の適正化に係る政策評価・独立行政法人評価委員会独立行政法人評価分科会の評価における関心事項は以下のとおりである。 (1)契約に係る規程類、体制の整備状況等に係る評価 契約方式、契約事務手続、公表事項等、契約に係る規程類の整備の有無、及び規定内容を把握した上で、整備内容の適切性について評価を行っているか。 契約事務に係る執行体制を把握し、当該体制が契約の適正実施確保の上で適切なものとなっているかについて評価を行っているか。内部審査体制や第三者による審査体制が整備されていない場合、法人の業務特性(専門性を有する試験・研究法人等)、契約事務量等を勘案し、これらの体制を整備する必要性について評価を行っているか。また、整備されている場合、競争性・透明性確保の観点から有効に機能しているかについて評価を行っているか。監事による監査は、これらの体制の整備状況を踏まえた上で行っているかについて評価を行っているか。 「随意契約見直し計画」の実施・進捗状況や目標...