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9月, 2026の投稿を表示しています

勉強ができるのに、仕事ができない人がいるのはなぜか

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学生時代、成績はぱっとしなかったのに、社会に出たらものすごく仕事ができる人。逆に、いい大学を出て、頭の回転も速いはずなのに、なぜか職場でうまくいかない人。 そういう人たちを見て、こう思ったことはないでしょうか。 「勉強なんて、結局仕事の役には立たないんじゃないか」 あるいは逆に、自分が勉強を頑張ってきた側だとしたら、こう感じたこともあるかもしれません。 「あんなに勉強したのに、それが仕事で全然活きている気がしない」 どちらの感情も、すごくよく分かります。そしてどちらも、間違ってはいません。今日は、この「モヤモヤ」の正体を、できるだけ普通の言葉で解きほぐしてみたいと思います。 先に結論めいたことを言ってしまうと、「勉強ができる力」と「仕事ができる力」は、まったくの別物ではありません。かなり重なっている部分があります。ただ、仕事ではそれを、人間関係や感情、利害、予測不能な状況といった「現実の面倒くささ」の中で使わなければならない。そこにズレが生まれるのだと思います。 「あの人、頭はいいのに」という違和感の正体 職場にいませんか。難しい資格を持っていたり、有名な大学を出ていたりするのに、報連相がうまくできない人。相手の意図をうまく汲み取れない人。人の話を最後まで聞けない人。 こういう人を見ると、私たちはつい「頭がいいはずなのに、なんでそんなことも分からないんだろう」と思ってしまいます。でも、これは実は、そんなに不思議なことではありません。 たとえば、足がめちゃくちゃ速い人が、必ずしも泳ぐのが得意とは限りませんよね。走る力と泳ぐ力は、そもそも別のものだからです。 同じように、「難しい問題を解く力」と、「その場の状況を見て、ちょうどいい一言を選ぶ力」は、求められる能力がかなり違います。片方をものすごく鍛えても、もう片方が自動的にうまくなるわけではないんです。 人は誰しも、自分が置かれた環境や、これまでにくぐってきた経験を通じて、それぞれ違う能力を鍛えています。受験勉強にたくさんの時間を注いできた人もいれば、部活やアルバイト、人付き合いの中でもまれてきた人もいる。どちらが正しいという話ではなく、単純に、鍛えてきた筋肉の種類が違うだけなんです。 「勉強は仕事の役に立た...

無償化のかげで大学がやっていること——対象校リスト更新から見えた現場の緊張感

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昨日、文部科学省から「高等教育の修学支援新制度の対象機関(確認大学等)の公表(令和8年9月2日)」が公開されました。これは一枚の告知文というより、全国の大学・短大・高専・専門学校のうち、この制度の対象として国や自治体から確認を受けた膨大な数の学校名を一覧化した、いわば"名簿"の更新です。新規に加わった学校もあれば、要件を満たせず消えていく学校もある——この一覧は、いわば大学業界の「合格発表」と「卒業判定」が同時に行われているような性格を持っています。 普段は見出しをスクロールして通り過ぎてしまうようなお知らせですが、この一覧が定期的に更新され続けているという事実の裏には、全国の大学・短大等の事務局が一年を通じて積み重ねている、地道で緊張感のある作業があります。今回は、このお知らせをきっかけに、修学支援新制度を「維持し、動かし続ける」大学現場で何が起きているのかを調べてみました。 そもそも「機関要件」とは何か 本題に入る前に、キーワードとなる「機関要件」について説明します。 高等教育の修学支援新制度は、学生に給付型奨学金や授業料等の減免を提供する制度ですが、その支援の対象となるには、国が定める機関要件を満たした「確認大学等」に在籍していることなどが必要です。この「機関要件」には、大きく分けて2つの側面があります。 教育の質に関する要件 :実務経験のある教員による授業を一定数以上配置しているか、シラバス(授業計画)を整備しているか、GPAなど客観的な指標で成績評価を公表しているか、といった教育内容の水準を問うもの 経営の健全性に関する要件 :財務諸表(貸借対照表・収支計算書)を公表しているか、定員に対してどれだけ学生が実際に在籍しているか(収容定員充足率)、といった経営面の健全性を問うもの 簡単に言えば、「税金を使って学生を支援するのだから、支援する側の学校も、教育の質と経営の両面で一定の水準を満たしていてほしい」という国からの条件が機関要件です。そしてこの条件は、一度クリアすれば終わりではなく、対象校は毎年度、機関要件を満たしているかどうかの確認を受け続ける必要があります。 「新規追加」の裏にある審査プロセス 一覧に新しい学校が加わるということは、そ...

泥水を忘れない心

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俳優・森繁久彌さんが、九州公演で『屋根の上のヴァイオリン弾き』を演じていたときのことです。 客席の最前列で、一人の少女がずっとうつむいていました。舞台に集中してくれない――そう感じた森繁さんたちは、少女のそばで演技をするたびに床を強く踏み鳴らし、気を引こうとしました。それでも少女は顔を上げません。 ところがアンコールの幕が上がったとき、少女は初めて顔を上げました。その両目は、閉じられたままでした。 うつむいていたのではなく、彼女は目の見えない人でした。全神経を耳に集め、心の中で舞台の情景を思い描こうとしていたのです。それを「居眠り」と決めつけ、心ない仕打ちをしてしまった――真相を知った森繁さんは、舞台の上で涙を流したといいます。 当時すでに、森繁さんは芸能界に君臨する大御所でした。それほどの人が、たった一人の観客のために、そこまで心を砕こうとしていたということ。そして、自分の思い込みを恥じ、素直に涙を流せたということ。この初々しさ、心の柔らかさこそが、多くの人が年齢とともに失っていくものではないでしょうか。 森繁さんが生前、好んで口ずさんでいたという都々逸があります。 「ボウフラが 人を刺すよな蚊になるまでは 泥水飲み飲み、浮き沈み」 ボウフラは、蚊になるまでの間、泥水の中で浮いたり沈んだりしながら生きています。人も同じで、何かを成し遂げた人ほど、その下積み時代――泥水をすすり、浮いたり沈んだりを繰り返した苦労――を忘れてしまいがちです。しかし、その苦しかった時代を折に触れて思い出せる人だけが、いつまでも初々しく、柔らかい心を保つことができるのです。 どんなに経験を積んでも、人は失敗をします。年を重ねたからといって、人格が完成するわけではありません。年長者の考えが、若者の考えより必ず正しいとは限らない、とも言われます。むしろ、いくつになっても人の痛みがわかる感性――それは、何度も泥水をすすり、天国と地獄のような浮き沈みをくぐり抜けてきた人だけに与えられる特権なのだと思います。 大人になるにつれて、多くの人はその感性を鈍らせてしまいます。「感じ...

奨学金の金利、もう上限間近。これから借りる人も、返済中の人も今知るべきこと

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金利が上がっているというニュースを見るたびに、教育費に関わる方々の間では、少し違う二つの不安が生まれているのではないかと思います。 これから奨学金を借りようとしている方は、「今から借りたら、高い金利で固定されてしまうのではないか」。 すでに奨学金を借りている方は、「自分の返済額は、これから増えていくのではないか」。 似ているようで、実は問いの中身が違います。今日は、この両方の疑問に、それぞれきちんとお答えしていきたいと思います。 最初に、用語を整理しておきましょう 日本学生支援機構(JASSO)の貸与型奨学金は、正式には「第一種奨学金」「第二種奨学金」と呼ばれますが、この名前だけではどちらがどちらか分かりにくいので、この記事では次のように呼ぶことにします。 無利子奨学金 (正式名称:第一種奨学金)……金利がかからない奨学金 有利子奨学金 (正式名称:第二種奨学金)……金利がかかる奨学金 金利上昇が関係してくるのは、基本的に 有利子奨学金だけ です。まずこの区別を頭に入れておくだけで、不安の輪郭がかなりはっきりします。 これから借りる方は、まず「自分はどこまで無利子奨学金を使えるのか」を確認することが、金利の不安そのものを小さくする第一歩になります。すでに借りている方も、「自分が借りているのは無利子奨学金か、有利子奨学金か」を、この機会に一度確認してみてください。無利子奨学金であれば、実はこの先の金利上昇はまったく関係がありません。 実は、金利はすでにここまで上がっています 抽象的な話に入る前に、まず現在の数字をお見せしたいと思います。 JASSOが公表している貸与利率の推移を見ると、有利子奨学金の利率は、ここ数年で大きく上昇しています。たとえば、令和3年度4月(2021年4月)に貸与を終了した場合、利率固定方式は0.268%、利率見直し方式は0.003%でした。それが令和8年度8月(2026年8月)には、利率固定方式が 上限の3.000% 、利率見直し方式が2.200%となっています。 特に固定方式は、0.268%から3.0%へと、5年ほどの間に11倍以上に上昇しています。 「金利が上がっている」というのは、決し...

行政書士を考える⑧ 熊本地震で見えた「街の法律家」のもう一つの仕事――被災者と行政をつなぐ

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令和8年7月28日、熊本県で最大震度7を観測した地震が発生しました。「令和8年熊本地震」です。 県内の広い範囲が甚大な被害を受け、いまも復旧・復興への歩みが続いています。 大きな災害が起きると、消防、警察、自衛隊、医療関係者、建設業者、ボランティアなど、実に多くの人々が現場に立ちます。 その中に、あまり知られていないながら、静かに重要な役割を担う専門職がいます。 行政書士です。 以前このシリーズの第⑤回「 行政書士を考える⑤ 手続きは、目に見えない「二次災害」だった 」で、被災された方が発災直後から数ヶ月にわたって直面する、罹災証明・支援金申請・相続・事業再建といった手続きの重なりを、地震そのものとは別の「もうひとつの災害」として取り上げました。今回は、その手続きの山を実際に支えている専門職の姿に焦点を当てたいと思います。 熊本県行政書士会の取り組みを調べていくと、この資格の、普段とは違う顔が見えてきました。 それは、 被災者と行政の間をつなぐ仕事 です。 1.被災者支援の重要な入口――「罹災証明書」 家が損壊した。では次に、何をすればよいのでしょうか。 多くの支援は、まず「罹災証明書(り災証明書)」の取得から始まります。罹災証明書とは、地震などの災害によって住宅がどの程度の被害を受けたかを、市町村が調査のうえ証明する書類です。 これは単なる「被害の証明書」にとどまりません。住宅の被害の程度によって、その後利用できる支援の中身が変わってくるからです。生活再建支援金、住宅の応急修理、税や保険料の減免、各種の融資――。 地震 → り災証明書 → さまざまな支援制度 という一本の道筋があるからこそ、最初の一歩であるり災証明書が重要になるのです。 2.しかし、その「申請」自体が高い壁になります 「役所に行って申請すればよいだけではないか」と思われるかもしれません。しかし、被災した本人にとって、それは決して簡単なことではありません。 家が壊れている。避難している。車が使えない。高齢である。けがをしている。家族もまた被災している――。 前回の記事で触れたように、心も体もすり減っている中で書類と向き合わなければならないこと自体が、大きな負担になります。近年はオンライン申請を導入する自治体も増えましたが、便利...