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社会から支持される大学であるためには(2)

さて、文部科学省は、現在、国立大学に文系学部の改組や廃止を求めた通知に対する反発の強まりを受け、火消しに追われています。 去る9月11日には、下村文部科学大臣が記者会見で、人文社会科学系については廃止ではなく見直しを求めたものだったとして「誤解を与える表現だった」と釈明。 また、9月18日には、日本学術会議の幹事会で、文部科学省の高等教育局長が「通知は大学の変革を促すのが目的で、人文社会科学系の学問を軽視しているわけではない」などと説明を行っています。( 幹事会説明資料|資料3「新時代を見据えた国立大学改革」 ) 国立大学の人文社会系については、従前から、ガバナンスの在り方など様々な問題が指摘されてきたところであり、文部科学省の考え方にも一理あるのは確かですし、「国立大の人文社会系学部は、学生や社会の側に立って授業の魅力を十分説明できていない面もある。また、分野によって専門知識の習得や社会問題への関心の喚起が乏しいなどそれぞれ課題があり、カリキュラムの偏りを正す工夫の余地がある。財政事情が苦しい中、投資に見合った人材育成を求める国の考えにもそれなりの背景はある。ただ、教員が減るなどして結果的に人文社会系分野の研究が衰退するとすれば問題だ。これ以上国に改革の口実を与えないよう、大学院などで研究機能を維持しつつ、教育では組織や内容を工夫するなどバランスの取れた改革が必要だ」(本田由紀・東京大大学院教授(教育社会学))( 2015年9月22日朝日新聞 )といった意見にも素直に耳を傾ける必要があるでしょう。 また、京都造形芸術大学の寺脇さん(元文部科学官僚)が「結局今回の騒動の責任がだれにあるのかうやむやで終わらせようとしている。そもそも今回の大学の組織見直しの問題も国立大だけではなく私立も含めた大学全体の問題としてとらえるべきで拙速感は否めない」( 2015年9月26日毎日新聞 )と語っているように、このたびの混乱について、文部科学省は、自らの責任をうやむやにしない真摯な対応が求められます。 関連して、「 文教ニュース 」(平成27年9月7日号)という文部科学省関係の業界誌に掲載された、 国立大学法人支援課長の寄稿 (全文)をご紹介します。 批判に対する火消しの効果をねらったのか、あるいは、大学関係者の理解を得るための説明責任を果たすための行動...

社会から支持される大学であるためには(1)

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下村文部科学大臣が、新国立競技場の整備計画が白紙撤回されるに至った一連の混乱の責任を取り、9月25日に辞任を表明しました。しかし、安倍首相から慰留を受け、10月の内閣改造までは続投するようです。まさに「10月改造を事実上の引責とし、誰も深手を負わない茶番劇」(報道)です。 計画の白紙撤回により、多くの時間と税金の無駄を生み、あげくには国際的な信用を失墜した責任は極めて重大であるにも関わらず、遅きに失した今回の無責任な対応は、納得のできるものではありません。 さて、その下村大臣がこれまで力を入れてきた政策の一つが「 国立大学改革 」でした。 文部科学省が、国立大学の第三期中期目標・中期計画の策定に当たって、全国立大学に対し留意を求めるため6月に発出した「 国立大学法人等の組織及び業務全般の見直しについて 」と題する通知を巡って、大きな論争が巻き起こりました。 問題となったのは、この通知の中に書かれた 組織の見直し に関わる記述『「ミッションの再定義」で明らかにされた各大学の強み・特色・社会的役割を踏まえた速やかな組織改革に努めることとする。 特に、 教員養成系学部・大学院、人文社会科学系学部・大学院については、18歳人口の減少や人材需要、教育研究水準の確保、国立大学としての役割等を踏まえた組織見直し計画を策定し、組織の廃止や社会的要請の高い分野への転換に積極的に取り組むよう努めることとする』 の後段(太字)部分です。 一部の国立大学ではこれに即応する形で、教員養成学部(新課程)を廃止し新学部を構想、あるいは、人文社会系学部の見直しを行うなど、教育組織の再編を進めています。 例えば文部科学省は、次のような資料を公表しています。 より詳細にお知りになりたい方は、「 平成28年度 国立大学の入学定員について(予定) 」(文部科学省ホームページ)をご覧ください。平成28年度開設予定の学部等の内容(財務省への概算要求ベース)が記載されてあります。 なお、余談ですが、上記通知文の前段に書かれてある「 「ミッションの再定義」で明らかにされた各大学の強み・特色・社会的役割を踏まえた速やかな組織改革に努めることとする 」についても大きな問題をはらんでいると個人的には考えています。 文部科学省の「 国立大学改革プラン 」に基づき策定され...

政治の貧困と政治家の気概(2)

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このたびの安全保障関連法案の委員会採決(参議院)をご覧になりましたか。情けない、あきれてものが言えない醜態でした。これが国権の最高機関のあるべき姿でしょうか。一国民として、とてもこの国の未来を託す子どもたちに説明できるものではありません。 国会議員の資質の劣化については、これまでも幾たびも指摘されてきましたし、国民の政治離れの大きな要因の一つにもなっています。 今回もそうでした。次の三つの記事(抜粋引用)は、当を得ていると私は思います。(全文をお読みになりたい方は、各見出しをクリックしてください。) 政治家の劣化と政治権力の空洞化|2015年7月20日 YamaguchiJiro.com 今、 安保法制と並んでいくつかの重要な政策決定が行われようとしている。それらに共通しているのは、かつて丸山真男が日本の戦争に至る政策決定を分析する中で析出した「無責任の体系」である。丸山によれば、日本における無責任な政策決定には次のような特徴がある。 第一に、現実を直視せず、希望的観測で現実を認識したような自己欺瞞に陥る。第二に、既成事実への屈服。事ここに至っては後戻りできないと諦め、誤った政策をずるずると続ける。第三に、権限への逃避。 誤った政策が事態を悪化させることを認識しても、自分にはそれを是正する力はないと、自分の立場、役割を限定したうえでそこに閉じこもり、政策決定の議論 から逃避する。こうした特徴を持つ無責任な政策決定によって、日本は70年前、敗戦という破局にいたった。 それから70年、最近の重要な政策決定を見るにつけ、政治家、官僚というエリートの無責任体質は変わっていないと痛感する。その悪しき意味での持続性には、驚嘆、嘆息するしかない。 安保法制について言うべきことは多いが、ここでは一点だけ批判しておく。自衛隊の海外における他国軍への後方支援活動は安全だと政府は 言い張る。しかし、野党や多くの識者が指摘しているように、後方支援は武器、弾薬、燃料等の補給活動、すなわち兵站である。兵站は戦闘そのものである。これを安全な後方支援と名付けるのは日本政府の勝手ではあるが、国際的に通用する論理ではない。日本の同盟国と戦っている敵国は遠慮なしに自衛隊を攻撃するに違いない。集団的自衛権を行使して戦闘に参加するならば、最初からその本質を自衛隊員と国...

政治の貧困と政治家の気概(1)

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過去最長の95日間の延長幅をとった第189通常国会は、本日(9月27日)閉会しました。去る9月19日未明には、この国の形を決める重要なことがありました。安全保障関連法案の可決・成立です。皆さんはどのように受け止めておられますか。 国の将来を決める極めて重要な法律でしたが、その成立過程は混乱の連続でした。成立後、安倍首相は「将来の子供たちに平和な日本を引き渡すために必要な法的基盤が整備された」と語っています。 果たしてそうでしょうか。私にはそうは思えません。70年もの間、憲法の下で平和を堅持してきたこの国を容易に戦争ができる国にし、未来ある子ども達を戦争に巻き込み、戦闘や殺戮を繰り返す大きなリスクを背負わせることにしたのではないでしょうか。そして、野党民主党の岡田代表が語ったように「憲法の平和主義、立憲主義、民主主義に大きな傷跡を残した」のではないでしょうか。 安倍政権は、これまで、着々と憲法を空洞化させる行動を進めてきました。日本版NSC、特定秘密保護法、防衛装備移転三原則、そして仕上げは今回の安保関連法です。 今回の法律の成立過程では、様々な問題が指摘されてきました。特に、憲法違反の法律を与党政府が数の力で押し切った(憲法違反を国会が堂々とやってのけた)こと、憲法解釈を変えて戦争をやれるようにした(政権交代があるたびに、解釈がどんどん変わってしまうことになる)ことなど。そして、このような問題が、ほとんど議論されずに法律が成立してしまったこと。もはや、立法も司法も行政のために死滅してしまったのではないかと残念でなりません。 最近、驚愕のニュースが飛び込んできました。 防衛省が始めた軍事技術研究資金の公募で、なんと 東京工業大学(国立)など計9件が採択された とのこと。報道では、研究予算不足を背景に防衛省研究への関心が高まっているとのことでしたが、先の戦争への反省が消し去られ、歯止めが利かない恐ろしい国へ変質しつつあるように思えてなりません。 さて、安全保障関連法の成立過程で報道された様々な記事のうち、自分の心に留め置きたいと考えた記事をいくつか抜粋してご紹介します。(全文をお読みになりたい方は、各見出しをクリックしてください) 沖縄戦 7歳一人ぼっち 戦災孤児の戦後70年|2015年5月18日 沖縄タイムス 今、日...

難民問題で浮き彫りになった日本の閉鎖性

報道によれば、去る9月10日(木曜日)にISIL(アイスィル)(いわゆる「イスラム国」)の機関誌において、日本の「在外公館」への攻撃呼びかけがなされたことを受け、翌11日(金曜日)の内閣官房長官記者会見において、当該機関誌で言及されたインドネシア、マレーシア、ボスニア・ヘルツェゴビナの3か国を含む全ての在外公館に警備の強化を指示するとともに、在留邦人に対しても注意喚起を行っている旨の発言が行われています。 また、既に外務省は、海外の全ての大使や総領事に対し、現地の情報機関や警備当局と連携を密にし、情報収集に当たることなどを指示する訓令を出すとともに、特に攻撃の対象として挙げられた3か国の大使には、現地に住む日本人や日本人学校と連絡を取り、安全確保に万全を期すよう指示したということです。 大学関係では、11日(金曜日)に、文部科学省高等教育局学生・留学生課留学生交流室から、各国公私立大学、各国公私立高等専門学校宛にメールが配信され、各大学等においては、危険情報が発出されていない地域等であっても、学生等が引き続き海外に滞在又は新たに派遣される場合は、報道及び渡航先最寄りの日本国大使館又は総領事館から最新の情報を入手するとともに、 外務省が実施している渡航登録サービス(たびレジ、在留届け) への登録を学生等に周知徹底するなど、学生等の安全の確保に十分御配慮するよう注意喚起が行われています。 近時、大学のグローバル化が強力に推進される一方で、このようなリスク管理が益々重要になってきています。 さて、現時点では大学に直接に関係するものではありませんが、我が国のグローバル化の進展に関わって、気になる記事がありました。 最近、シリアやハンガリーなどからヨーロッパへ大挙して流入する難民問題が大きく報道されています。もとより一部地域の問題ではなく、世界的に解決しなければならない大きな課題の一つですが、記事によれば、我が日本は、非常に微妙な立ち位置にあるようです。 自分のこととしてよく考えたいものです。抜粋してご紹介します。(全文は、 こちら「難民問題が浮き彫りにする諸矛盾:グローバルな負のインパクトの連鎖反応」 ) 日本にとっての難民問題 (下線は拙者) 難民問題はグローバルな国際秩序の負の側面を象徴しており、各国間での協力が欠...

変貌する国立大学の概算要求

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第三期中期目標期間の始まりである来年度から、国立大学法人に対する運営費交付金の配分方式が大きく変更されます。 変更の考え方や大まかな内容は既に次のとおり公表されています。 第三期中期目標期間における国立大学法人運営費交付金の在り方について(審議まとめ)(平成27年6月15日)ほか また、文部科学省からは、各国立大学に対して、上記「審議まとめ」の翌日付で「 平成28年度における国立大学法人運営費交付金概算要求における留意点等について 」(平成27年6月16日付文部科学省国立大学法人支援課、学術機関課連名事務連絡)と題する通知が行われ、各国立大学は、この通知を参考に概算要求に向けた検討を進めるよう指示されています。 これまで、概算要求に関する具体的な情報提供も少なく、さらには、提出までの時間のない中での大作業が求められることもあり、関係者は多忙を極める夏になりそうです。 文部科学省からの通知の詳細について、ご紹介します。 ◇ 平成28年度における国立大学法人運営費交付金の重点支援について 第3期中期目標期間における国立大学法人運営費交付金の在り方については、「第3期中期目標期間における国立大学法人運営費交付金の在り方に関する検討会」において「 審議まとめ 」が平成27年6月15日にとりまとめられた。 本通知は、「審議まとめ」を踏まえ、平成28年度概算要求における重点支援に向けた観点や留意点等について、あらかじめ示すものである。 Ⅰ 機能強化の方向性に応じた重点支援 <国立大学法人> 1 基本的な考え方 国立大学法人における教育研究活動は、それぞれの目標・理念や経営戦略に則り、中期目標及び中期計画に沿って、自主性・自律性を発揮しながら取り組むべきものである。その際には、中央教育審議会など国の各種政策提言を踏まえ、各大学において積極的に取組を進めるとともに、各大学が形成する強み・特色を踏まえた機能強化の方向性に沿った取組を更に進めていくことが求められる。 このため、各大学が国の各種政策との関連性・整合性も踏まえ、機能強化の方向性に沿った戦略を明確にした上で、学内資源の再配分を前提としつつ、機能強化に向けて行う取組に対して、次の観点から重点支援を行うこととする。 強み・特色を踏まえた機...

国立大学長会議における高等教育局長説明ー情報セキュリティ対策など

(続き) 情報セキュリティ対策について ご存じのとおり、先般、日本年金機構において、サイバー攻撃により約125万件もの個人情報が漏えいするという重大な事案が発生した。 各大学におかれては、学生や教職員、附属病院の患者に関する個人情報等、機密性の高い情報を多数有している。また、各大学の保有する個人情報漏洩を防止するということに限らず、昨今では、第三者への攻撃の仲介拠点として大学のサーバが利用されるような事案も発生しており、十分な対策が必要。 今回の年金機構の件を決して対岸の火事と見なすことなく、大学には、厳重なセキュリティ体制が求められるということを認識いただき、改めて、各大学のセキュリティ対策が十分されているかという見直しを徹底して行っていただきたい。 また、情報セキュリティ対策は、ウイルス対策ソフトや侵入検知機器を導入したところで、100%防御できるものではない。報道によれば、日本年金機構の事案については、攻撃者が用意した標的型メールを職員が開いてしまったことでウイルスに感染したことが原因であると言われている。最後は、システムを利用する教職員の日頃からの心がけが重要となる。 また、国立大学のサーバが簡易なパスワードを設定していたために、不正アクセスを受け、そのサーバから外部へ多量の通信が行われるという事案も発生している。各大学内における、教職員への研修・訓練の実施等を併せて徹底していただくようお願いする。 今回、情報セキュリティ対策の考え方に関する資料をお配りさせていただいている。最後のページにあるように、情報セキュリティ対策について、大学内の情報システム部門だけで判断していると、どうしても予算面の制約や、担当部署、担当者からの業務効率化要求を受ける形で、セキュリティ対策が甘くなってしまう可能性がある。 各大学におかれては、組織全体で守るべき情報資産を明確化するとともに、必要となる情報セキュリティ対策を明確化していただきたい。また、その対策に必要な予算・時間・リスクを組織内で共有し、組織としての経営判断をしていただきたい。 今後、今回の年金機構と同様の事案を発生させないよう、各大学におかれては、くれぐれも注意いただくよう強くお願いする。 学位論文不正及び補助金不正について ※  研究不正、研究費の不正使用について...

国立大学長会議における高等教育局長説明ー高大接続改革

(続き) 高大接続改革について 昨年12月の 中教審答申 を受けて、文部科学省として策定した「 高大接続改革実行プラン 」では、「各大学の個別選抜の改革」について、アドミッション・ポリ シーの充実の観点から関係法令の改正や、入学者選抜全体の多面的・総合的な評価への転換を推進するため大学入学者選抜要項の見直し等を、 「「高等学校基礎学力テスト(仮称)」及び「大学入学希望者学力評価テスト(仮称)」の実施」について、学力の三要素をはじめ、これからの時代に求められる力を育成・評価するための両テストの在り方についての一体的な検討の実施等を、 「高等学校教育の改革」について、課題の発見と解決に向けた主体的・協働的な学びの推進とともに、「何を教えるか」ではなく「どのような力を身に付けるか」の観点に立ってそれらを育むことができるような学習指導要領の見直し等を、 「大学教育の改革」について、三つのポリシーの一体的な策定による、大学教育の質的転換・個々の授業科目を超えた、カリキュラムマネジメントの確立と、この中におけるアクティブ・ラーニングなどの飛躍的増大等を、 一体的に進めていくこととしている。 特に、4番目の大学教育の改革については、幅広い教養や高い専門性を備え、社会の変化に対応し、未来を切り拓く原動力となる人材の育成が求められている。 このような大学教育を実現するためには、 大学教育を通じて学生にどのような力を身に付けさせて卒業させるか そのためにどのような教育を実施するか 教育を実施するに当たってどのような学生を受け入れるのか という点について、一貫した観点を持って教育を行うことが必要。 そのため、まず、各大学における入学者受入れの方針(アドミッション・ポリシー)、教育課程編成・実施の方針(カリキュラム・ポリシー)、学位授与の方針 (ディプロマ・ポリシー)の3つのポリシーの充実が必要。文部科学省としては、中教審での検討を経て、大学における3つのポリシーの一体的な策定について 平成27年度中に省令に位置付けたいと考えている。 その上で、各大学において、3つのポリシーに基づく全学的な改革を一体的に進め、学生の学びの質を転換していただくことが必要。 高大接続の改革は、単に大学入学者選抜の在り方にとどまらず、大学や高等学校の教育も...

国立大学長会議における高等教育局長説明ー国立大学法人等の組織及び業務全般の見直し

(続き) 「国立大学法人等の組織及び業務全般の見直しについて」について 6月8日付で通知した「 国立大学法人等の組織及び業務全般の見直しについて 」は国立大学法人法に基づき、平成28年度からの第3期中期目標・中期計画の策定に資するため、国立大学法人評価委員会の意見を聴いた上で、現在の第2期における国立大学法人の組織及び業務の全般にわたる検討を行いとりまとめたもの。 その内容は、組織の見直し、教育研究等の質の向上、業務運営、財務内容など多岐にわたるが、いずれも第2期、特にその後半の改革加速期間における取組の進捗や、国立大学に対する社会の期待・要請の高まり、今後の高等教育政策、科学技術・学術政策の方向性などを踏まえたものとなっている。 すなわち、 大臣から説明 があったように、国立大学を取り巻く様々な改革は、教育面、研究面、経営面など各面にわたって相互に有機的なつながりを持って進められているので、本日のこの会議を通じて、政策全体の大きな方向性を十分認識していただいた上で、各大学における第3期中期目標・中期計画の検討をお願いする。 特に、組織見直しについては、「「 ミッションの再定義 」を踏まえた速やかな組織改革に努めることとする」とした上で、教員養成系及び人文社会科学系の学部・大学院について、「18歳人口の減少や人材需要、教育研究水準の確保、国立大学としての役割等を踏まえた組織見直し計画を策定し、組織の廃止や社会的要請の高い分野への転換に積極的に取り組むよ う努めることとする」としている。 「 ミッションの再定義 」を踏まえ、教員養成分野については、今後の人口動態・教員採用需要等を踏まえ、量的縮小を図りつつ、教員の質的充実のための機能強化を推進することとされ、具体的にはいわゆる「新課程」の廃止等、組織編成の抜本的見直し・強化を推進することが必要と考えている。 また、人文社会科学系については、養成する人材像のより一層の明確化、身につける能力の可視化に取り組み、既存の組織における入学並びに進学・就職状況や減少傾向にある18歳人口動態も踏まえつつ、全学的な機能強化の観点から、定員規模・組織の在り方の見直しを積極的に推進し、強み・特色を基にした教育・研究の質的充実、競争力強化を図ることが必要と考えている。 文部科学省としては、教員養成系・人文社会...

国立大学長会議における高等教育局長説明ー運営費交付金の在り方検討会審議まとめ・平成28年度概算要求

(続き) 運営費交付金の在り方検討会 審議まとめ及び平成28年度概算要求について 第3期中期目標期間における国立大学法人運営費交付金の在り方については、昨年11月から検討会を設置し、10回に亘る議論を経て、6月15日に 審議まとめ がとりまとめられた。ポイントを説明させていただく。 まず、第3期において、国立大学が目指す姿として、各国立大学が形成する強み・特色を最大限にいかし、自ら改善・発展する仕組みを構築することにより、持続的な「競争力」を持ち、高い付加価値を生み出していくことにある、とされている。 その上で、第3期における運営費交付金の在り方としては、 運営費交付金は、国立大学法人が安定的・持続的に教育研究活動を行うために必要不可欠な経費である 各国立大学法人が自らの努力で増収を図った場合に、運営費交付金を減額しない という基本的な考え方を維持しつつ、 各国立大学法人のビジョンに基づき、機能強化を迅速に実現するための手段とする とともに、 各国立大学法人の規模、分野、ミッション、財務構造等を踏まえ、きめ細かな配分方法を実現するとともに、透明性を高める必要がある とされている。 その上で、第3期における運営費交付金の配分にあたっては、「機能強化の方向性に応じた重点配分」と、「学長の裁量による経費(仮称)」の2つの新たな仕組みを導入することとされている。 1つめの、「機能強化の方向性に応じた重点配分」については、国立大学の多様な役割や求められている期待に応える点を総合的に勘案し、機能強化の方向性に応じた 取組をきめ細かく支援するため、予算上、3つの重点支援の枠組みを新設することとされている。 2つめの「学長の裁量による経費(仮称)」については、学長のリーダーシップの発揮を予算面で支援し、組織の自己変革や新陳代謝を進めるため、教育研究組織や学内資源配分等の見直しを促進する仕組みを設けることとされている。 文部科学省としては、今後、この審議まとめを十分に踏まえ、平成28年度概算要求に向けて、具体的な検討を進めていくとともに、国立大学法人が知識基盤社会を支える中核として、今後も更なる機能強化を図るために、必要な予算の確保に努めてまいりたい。 各国立大学におかれては、学内のIR機能の強化や積極的な情報公開など、本...

国立大学長会議における高等教育局長説明-国立大学経営力戦略

前回に続き、「 国立大学法人学長・大学共同利用機関法人機構長等会議 」(6月16日開催)における 高等教育局長の説明 内容を数回に分け抜粋しご紹介します。 ◇ 吉田高等教育局長説明 国立大学経営力戦略の策定について 国立大学改革に関しては、平成25年11月に 国立大学改革プラン を策定し、第3期中期目標期間において、持続的な「競争力」を持ち、高い付加価値を生み出す国立大学を実現することを目指し、取組を進めてきた。 来年度から始まる第3期においては、各大学において、これまでの機能強化の取組を生かしつつ、より一層、高い機能を発揮できるよう、更なる新陳代謝・自己変革の取組を押し進めていただきたい。 今日、我が国社会の活力や持続性を確かなものとする上で、新たな価値を生み出す礎となる知の創出とそれを支える人材育成を担う国立大学の役割への期待は大いに高まっており、国立大学には、「社会変革のエンジン」として「知の創出機能」を最大化していくことが求められる。 この「知の創出機能」を最大化させていくための改革の方向性を、今回、文部科学省として取りまとめたものが「 国立大学経営力戦略 」。 国立大学が、その役割を一層果たしつつ、今後更なる改革を進めていく上では、学長のリーダーシップやマネジメント力、多様な財源に裏付けられた財務基盤、新陳代謝・自己変革の促進といった、「経営」の視点が重要。 各学長におかれては、既存の枠組みや手法等にとらわれない大胆な発想を持ち、本年4月から施行されたガバナンス改正法の下、強いリーダーシップを発揮し、組織全体をリードする将来ビジョンを構築いただきたい。 その際、確かなコスト意識と戦略的な資源配分を前提とした経営的視点で大学運営を行うことで経営力を高め、そのことを、教育研究機能の強化につなげていただきたい。 文部科学省としては、基盤的経費である運営費交付金を確保しつつ、自己改革に取り組む大学にメリハリある重点支援を実施するとともに、財務基盤の強化のために必要な規制緩和を行うべく、検討を進めていく。 本戦略を実行するにあたっての具体的な方策については、「Ⅱ.経営力を強化するための方策」にお示ししている。 このうち、「1.」は「第3期中期目標期間における国立大学法人運営費交付金の在り方に関する検討会」の議論の...

国立大学長会議における文部科学大臣挨拶

来年度から始まる3回目の 国立大学法人の中期目標期間を見据えた様々な動き が活発化しています。 6月8日には、次期中期目標・中期計画への反映が求められる「 組織及び業務全般の見直しについて 」と題する文書が文部科学省から発出されました。このうち、特に「教員養成系や人文社会系の組織見直し」については、報道で大きく取り上げられています。 また、6月15日には、次期中期目標期間における 「 国立大学法人運営費交付金の在り方 」に関する審議まとめ がとりまとめられ、これを踏まえた「平成28年度の概算要求上の留意点等」が各法人に通知されました。 さらに、6月16日には、今後の国立大学の経営力の強化に資する方針として「 国立大学経営力戦略 」が文部科学省により示されました。 いずれも、近時、強力に進められている国立大学改革の具体化ですが、これまでにない大きな制度変更も含まれていることから、大学現場での関係者の理解が深まるには少々手間がかかりそうです。 さて、6月16日にこの時期恒例の「 国立大学法人学長・大学共同利用機関法人機構長等会議 」が開催されました。国立大学を取り巻く状況変化を中心に、文部科学大臣や関係局長が説明を行っています。 「 大臣挨拶 」と「 高等教育局長説明 」のメモが関係者に共有されていますので、抜粋してご紹介します。 ◇ 下村文部科学大臣挨拶 国立大学は、これまで、我が国の高等教育と学術研究の水準の向上と均衡ある発展のためにその役割を果たしてきた。 他方、社会は、急速な少子高齢化、グローバル化、新興国の台頭による競争激化などの急激な変化に直面している。社会が直面する変化と未来に対する不安とそれに伴う閉塞感を打破するためには、新たな価値を生み出す礎となる知と、それを担う人材が不可欠。そこで、国立大学には「社会変革のエンジン」としての役割が期待されている。 その「エンジン」となり得るためには、国立大学は、それぞれの特色を活かし、 主体的な思考力や構想力、想定外の困難に処する判断力を育成するとともに、協調性と創造性を合わせ持つことができるような人材を育てる大学教育への質的転換 国内外の経済需要や産業構造の変化、雇用ニーズを踏まえた、学術研究、技術、文化などを活かし、価値やイノベーションを創出する人材の育成 1...