投稿

2012の投稿を表示しています

今年も感謝

イメージ
今年もあと1日になりました。 今年最後の日記では、「 よかったなあ、という言葉 」(2012年12月30日 人の心に灯をともす)から印象に残った部分を抜粋してご紹介します。 たった一言で、打ちひしがれた心が元気付けられることがある。 渇いた砂に水がしみこむように、心にしみる言葉。 それは、どんな時でも、「よかったなぁ…」で始まる言葉。 どんなに、ひどい目にあっても、嫌な目にあっても、よかったなぁと、心から感謝できること。 感謝の言葉、「有り難し」とは、この世にある事が稀(まれ)なこと、つまり奇跡のようなこと。 その反対は、「当たり前」。 「当たり前」の日常が奇跡の連続だと気がつけば、そこに感謝が生まれる。 今年も、たくさんの方々にアクセスいただきまして誠にありがとうございました。 皆様、どうぞよいお年をお迎えください。 2012年は世界中で何が検索されたでしょうか。 今年を振り返ってみましょう。 Google

公務員優遇

イメージ
文教ニュース (平成24年12月17日 第2219号)に掲載された「 田舎者の貧乏人を公務員にさせないために 」をご紹介します。 ◇ 公務員宿舎が半減され、入居できるのは例外的になり、運良く入れても家賃は倍になるらしい。要すれば、これからは安く住めるところなんか世話してやらないよ、ということだ。 背景は「公務員優遇」批判である。二十代の頃から大学の同窓会に出るたびに「俺の給料は同級生のちょうど半分なんだな」と自虐してきた身としては、「いったい何と比べて優遇なのか」と言いたくもなるが、言っても逆効果なのは目に見えているから、公務員らしくダンゴムシのように黙って堪えよう。 廃止される宿舎には、かつて世話になった独身寮も入っている。 もし自分が若い時代に戻って、「宿舎はないよ、自分で住むとこ借りるんだよ」という話だったら、果たして公務員になっただろうか、公務員を続けることができただろうかと考えてしまう。 田舎者で正真正銘の貧乏な家に生まれ育った私が東京で大学時代に住んだ下宿は、四畳半でトイレは共同、風呂無し、家賃月1万6千円という、当時でも超格安の物件だった。夜中に目を覚ますと、ウサギほどもある巨大なネズミとよく目が合ったものだ。 役所に入ってからも最初はそこで粘ったが、銭湯が開いている時間に帰れることはなく、さすがにこれはかなわんと独身寮に入れてもらった。 そこでも風呂は週3日しかないし、11時にはお湯が止まってしまうので、毎晩2時前後に帰宅する私は、浴槽の底に15センチほど残った油のように黒光りするぬるい液体に、まず背中、次に腹と、体を裏返して浸からねばならなかったが、それでも無いよりはずっとマシだった。 寮に入れなかったら、私は「汗かきのくせに風呂に入らない臭い奴」としてしか公務員を続けられなかっただろう。 世の中不景気だから公務員を叩いて憂さ晴らしをしたいのも分からんではないが、こんなことをやっていたら、中央省庁の役人には、東京近辺の出身者か親が金持ちの人間しかなれなくなってしまう。いや、もしかすると、今回の公務員宿舎減らしも、金持ちと東京人の上流階級で政府を支配せんとする巨大な陰謀の一部であるか。国会も相変わらず二世三世の天下だし。人は生まれながらにして平等、なんて大ウソだわね。 そんなんで本当にいいのかね。...

大切なものを見過ごしていないか

イメージ
ブログ「 今日の言葉 」から「 大切なもの 」(2012年12月21日)をご紹介します。 ◇ この週末はChristmasですね。 この時期になるといつも思い出すお話があります。 大切なものを見過ごしていないかを思い出させてくれるお話です。 ---------------------------------------- バースワロウテイルさんより 【サンタクロースへの手紙】 私には、4歳になる息子と6歳になる娘がいる。 夫とは、訳あって4歳になる息子が産まれてから会っていない。 お世辞でも裕福とはいえない状況で、毎年クリスマスが近づいてくると私は仕事を増やしていた。 サンタクロースを信じている子供たちにプレゼントを買うために。 まったく苦だとは思わなかった。 子供たちの笑顔が見られるなら、なんだって出来る。 今年もサンタクロースにプレゼントのお願いの手紙を書いている子供たちをみながらそう思っていた。 その日の夜・・・ 子供たちが寝静まった頃、サンタクロース宛ての手紙を読んだ。 その手紙を読んだ瞬間、私は涙でいっぱいになった。 「さんたさんへ、 わたしたちは、さんたさんの ほんとうのすがたを、しっています。 ことしは、さんたさんのプレゼントはいらないから ママといっしょに、ケーキがたべたいです。」 仕事学のすすめ 2009年6ー7月 (NHK知る楽/木) 柳井正 NHK出版 発売日:2009-05 ブクログでレビューを見る»

夢をつなぐ

イメージ
ブログ「 魂が震える話 」より「 クリスマスのお話 」をご紹介します。とてもいい話です。 ◇ あるクリスマスの日の出来事です。 うちには6才の息子がいます。 我が家では、クリスマスイヴの夜、子供たちが寝静まった枕もとにおもちゃをそっと置いて、翌日の朝、子供たちが目を覚ました時に、おもちゃを見つけて、 「わ~、サンタがきた~!」 と、喜び、そして、そのおもちゃで遊ぶ、ということを年中行事にしていました。 その年もまた、同じように、子供たちの枕もとにおもちゃを置きました。 寝静まってから・・・。 次の朝、子供たちが起きた時に、「わ~、サンタがきた~!」 といつもと同じ光景が起こると思っていました。 そう信じていました・・・。 買ったおもちゃは、子供用のコンピューターでした。 そのコンピューターの電源を入れた時に、事件が起こりました。 電源をいくら入れてもつかないんです。 壊れていたんです。 お昼になるのを待って、買ったおもちゃ屋さんに電話を入れました。 責任者の方が出てこられて、こんな対応をされました。 「あー、故障ですか。それは申し訳ないですねー。 でもね、それは作ったメーカー側の責任なんです。 メーカーのお客様相談室に電話をしてください。 電話番号を言いますんでー」と。 少し「ん?」と思いながらも、おもちゃメーカーに、妻が電話をしたんです。 クリスマスの日に、おもちゃメーカーに電話してみるとわかりますが、繋がらないんですよね。 1時間に4回くらいの割合で、夕方くらいまでかけたんです。 タイミングも悪かったとも思うんですが・・・。 けれども、その日はとうとう繋がらなかったんです。 お昼をすぎた頃、息子は泣き始めました。 新しいおもちゃで遊べない。。。 泣く気持ちもわかるんだけど、その泣く息子を見て、妻は「あんた、ちょっとくらい我慢しなさいよ」 と・・・。 これはサンタさんからのプレゼントだから、僕も 「俺らが我慢しろよってのもおかしいだろ!」 と取り乱す一幕もあったんですが・・・。 しびれをきらして、夕方4時を回ったころに、買ったおもちゃ屋さんにもう一度、妻が電話をしました。 同じ人が出てきて、同じ対応をされました。 そこで、僕はち...

大勝の責任

イメージ
一昨日行われた衆議院議員選挙では、自民党が圧勝しました。これからこの国の教育の舵取りはどうなるのでしょうか。右傾化政権とも言われていますし、心配はつきません。 とりあえず、自民党が選挙前に作った「政権公約」を見ておきましょう。「教育・人材育成」(文部科学省所管事項)だけでも膨大な公約です。絵に描いた餅にならぬよう、しっかりと具現化してもらいたいものです。 それにしても、これだけの政権公約を書くためには、文教政策にかなり精通した能力を持つ必要があります。ネタ元はもしかして、文部科学省の官僚さんたちなのかもしれませんね。 ◇ 日本を取り戻す。自民党の「約束」です。 Ⅲ 教育・人材育成、科学技術、文化・スポーツ 「人づくりは国づくり」。日本の将来を担う子供たちは、国の一番の宝です。わが党は、世界トップレベルの学力と規範意識を備え、歴史や文化を尊重する態度を育むために「教育再生」を実行します。日教組の影響を受けている民主党には、真の教育再生はできません。 60 世界トップの人間力と学力を実現するための教育投資の充実 『教育基本法』の理念に基づき、「自助自立する国民」「家族、地域社会、国への帰属意識を持つ国民」「良き歴史、伝統、文化を大切にする国民」「自ら考え、判断し、意欲にあふれる国民」を育成します。そのための「教育振興基本計画」「新学習指導要領」を確実に実施するため、恒久的な財源を確保し、OECD諸国並みの公財政教育支出を目指します。第1期「教育振興基本計画」の成果を検証のうえ、教育基本法に則った第2期基本計画を策定し、実行します。 全国学力・学習状況調査を全国一斉の学力テスト(悉皆〈しっかい〉調査)に戻し、すべての子どもの課題把握、学校・教職員の指導改善に活かします。さらに土曜授業を実現します。 61 わが国を愛する心と規範意識を兼ね備えた教育 国旗・国歌を尊重し、わが国の将来を担う主権者を育成する教育を推進します。不適切な性教育やジェンダーフリー教育、自虐史観、偏向教育等は行わせません。規範意識や社会のルール、マナーなどを学ぶ道徳教育や消費者教育等の推進を図るため、高校において新科目「公共」を設置します。 中学・高校でボランティア活動やインターンシップを必修化し、公共心や社会性を涵養します。職業教育やキャリア教育、...

我が国の教育投資を考える

イメージ
文部科学省の 中央教育審議会 教育振興基本計画部会 (第23回、11月16日開催) 、同審議会 大学分科会 (第111回、11月27日開催 )において、「 教育投資の現状に関する考え方 」という資料が配付され議論されています。 いずれも議事概要がまだ公表されていませんので、議論の内容を確認することはできませんが、財務省の 財政制度等審議会・財政制度分科会 により行われた「 財政について聴く会」(文教・科学技術関係予算、平成24年11月1日開催 )における議論に対する文部科学省の主張といった性格もあるのではないかと思います。 (過去記事)  国立大学の予算を考える(大学サラリーマン日記) ◇ 関連して、 文部科学教育通信(No.305 2012年12月10日号) に掲載された記事「 文科省教育投資の現状に関する考え方を公表 」をご紹介します。 文部科学省はこのほど、教育投資の現状に関する考え方をとりまとめた。「 教育投資総論 」「 教職員定数改善 」「 大学教育 」の三つからまとめられており、 総論 では、「未来への投資」である教育投資が不可欠なことを、わが国の公財政支出の水準が国際的に低水準であることや、家計への教育費負担が著しく大きいこと、また少子化だからこそ一人一人の能力を高める「人材への投資」が必要になることなどから示している。 大学教育 については、国際競争力を支える高度人材の育成のため、質量両面の充実が必要だと結論。 特に、わが国の大学では社会人や留学生の受け入れが少ないことや諸外国と比べて人口あたりの博士号・修士号取得者が少ないことなどから、生涯にわたる学習機会の確保や高等教育における多様性に課題がある。また、諸外国に比べてわが国の大学は、授業料は高く、奨学金の受給率が低い。家計の教育費負担の軽減や少子化対策の観点からも無利子奨学金を充実することが重要だ。 このような中で、私学助成については一般補助の傾斜配分を強化し、現状でも約10校に1校程度 は不交付となっているなど、メリハリある資源配分を行っている。また、国立大学については平成19年までに15校減り86大学になるなど再編統合が行われ、各大学においても人件費の削減や有期教員の採用を増やすなど効率化が進められている。しかし、社会経済の構造的変化...

自分でやってみろ!

イメージ
記憶に残したいので転載させて頂きます。 ◇ リスクをとろう(人の心に灯をともす) ロビン・シャーマ氏の心に響く言葉より・・・ これだけは請け合います。 人生のたそがれどきを迎えて、死の床につくとき、あなたがいちばん後悔するのは、負ってきたあらゆるリスクではありません。 あなたの心を満たす最大の悲しみは、避けてきたすべてのリスク、つかまなかったすべての機会、立ち向かおうとしなかったすべての恐怖でしょう。 いいですか、恐怖の向こうには自由があるのです。 時代を超えた成功の原則に焦点を合わせてください。 「人生は数字のゲームにすぎません・・・リスクを負えば負うほど、報酬は多くなります」。 あるいは、古代ギリシアの悲劇詩人、ソフォクレスの言葉を借りれば、「運は勇気のない者にはめぐってこない」ということになります。 人生をまっとうするためには、もっとリスクを負い、恐れていることをしてください。 やっかいな状況に強くなり、いちばん抵抗のない道をすすむのをやめるのです。 もちろん、人があまり通っていない道を歩けば、いろいろなものに爪先をぶつける確率は高くなるでしょうが、どこかに行くにはその方法しかないのです。 フランスの小説家でノーベル賞をとったアンドレ・ジードは、「長い間岸を見失う勇気がなければ、新しい大陸を発見することはできない」といっています。 充実した人生を送る秘訣は、安全を探すことに日々をついやすのではなく、機会を追いもとめることに時間をさくことです。 私はセオドア・ルーズベルト元大統領のことばを書斎にかかげています。 大切なのは評論家ではない。 実力者がどのようにつまずいたか、善行家がどこでもっとうまくやれたかを指摘する人物はいらない。 顔を泥と汗と血でよごしながら、実際に現場で闘っている男。 勇ましく立ち向かっている男。 何度も判断をあやまって、期待にそえない男。 おおいなる熱意と献身についてわかっていて、りっぱな大義に身をささげている男。 最善の場合は、最終的に大成功をおさめた喜びを知っている男。 最悪の場合は、たとえ失敗したとしても、勝利も敗北もしらない、冷たくて臆病な連中とは違う、あえて勇敢に立ち向かって結果として失敗した男。 そういった男たちをこそ、称賛す...

沖縄の民意を政権選択の判断基準に

イメージ
記憶に残したいので、転載させていただきます。 2012選択 沖縄米軍基地 耐えがたき、この断絶(2012年12月14日 東京新聞社説) 米軍基地を減らす、なくす。そのためにいくら投票しても、その思いは届かない。日本の政治はいつになれば、沖縄県民との断絶を埋められるのでしょう。 三年前の前回衆院選では大いに語られながら、今回、ほとんど論戦にはなっていないことがあります。沖縄県宜野湾市にある米軍普天間飛行場の移設問題です。 前回衆院選で、当時の鳩山由紀夫民主党代表は、普天間飛行場は「最低でも県外」移設が望ましいと公約しました。 在日米軍基地の約74%が集中する沖縄。日々の騒音や事故、米兵による犯罪、戦争に加担するという心理的重圧など、基地の負担に苦しむ県民の間で、県外移設への期待が高まったのも当然です。 この選挙で沖縄県内四小選挙区すべてで県内移設反対の候補が当選したのも、政権交代に現状打破を託したからにほかなりません。 ただ、この期待は程なく裏切られます。首相に就いた鳩山氏が名護市辺野古への県内移設に回帰したからです。公約をいとも簡単に破ったことは許し難い。沖縄の民意は顧みられることがないのか。 沖縄県内四選挙区の候補者は今回、現職閣僚や日本維新の会などを除き、県外移設を主張しています。民主、自民両党の候補者を含めてです。いまや県外移設は県民の総意と言ってもいい。 鳩山発言に唯一、効用を見つけ出すとしたら、沖縄の民意を覚醒させたことかもしれません。 しかし、沖縄以外ではどうか。鳩山発言の「後遺症」からか、政権を争う民主、自民両党から普天間返還を実現する説得力のある主張を聞いたことがありません。 海洋進出を強める中国に対抗して、沖縄に基地を押し付けて日米同盟を強化する動きさえある。 前回の衆院選で、治外法権的な日米地位協定の「改定を提起」すると主張した民主党は、「運用改善」へとトーンダウンしました。 垂直離着陸輸送機MV22オスプレイの沖縄配備の是非も問われる選挙戦の最中に、米軍が本格運用開始を宣言し、日本政府がこれを追認するのも無神経です。 この三年間で沖縄と本土との断絶は、耐えがたいほどに広がってしまったのではないでしょうか。 日米安全保障条約が日本の平和に必要なら、基地負担は日本国民が等しく負うべきです...

高大接続の在り方

イメージ
前回に続き、日本経済新聞社編集委員の 横山晋一郎 さんが IDE 「取材ノートから」(2012年12月号) に書かれた論考を抜粋してご紹介します。 ◇ 高大接続特別部会 中教審・高大接続特別部会の審議が始まった。ある委員が「初等中等局長と高等局長が並んで座っているのを見て、文科省の本気度を感じた」と語るほど、初中教育行政と高等教育行政との溝は深く、高大接続問題は正面から取り上げられて来なかった。 だが、授業料無償化と98%の進学率で、高校教育は事実上の義務教育化を果たした。同時に、少子化と供給過剰で大学入試が選抜機能を失いつつある中で、高校と大学の教育をいかに円滑に接続させるかが、喫緊の課題になった。大学も高校も行政もいつまでも問題を放置できなくなった。 部会の最初の議論を聞いた限りでは、「卒業認定とは切り離した形での、高校教育の達成度を測る共通試験の導入」に前向きな意見が多かった。高校の取材でも、「大学入試に依存せず、高校教育の質の保証は高校が主体的に行うべきだ」という声を聞く。 「大学入試が高校教育を歪めてきた」。高校関係者がよく使う台詞だ。確かに、受験競争が過酷な時代には、受験対策最優先で高校が目指すべき教育が疎かになったのは間違いない。ただ、今や受験事情は様変わりした。高校も大学も推薦で進学し、一度も一般入試(筆記試験)を経験していない大学生も少なくない。一部の難関大学を除けば、入試圧力は明らかに低下した。 だが、入試圧力から解放されて、高校教育が改善されたという話はあまり聞かない。聞こえてくるのは、高校生の勉強離れの話ばかりだ。学習意欲をいかに持たせるかが、高校の最重要課題になっている。 そう考えると、高校が主体的に質の保証に取り組み、その一手段として達成度を測る統一試験を導入する考えは、誠にもっともだと思う。と言っても、いざ実行に移すとなると難問山積だ。似たような共通試験に大学入試センター試験があるが、センター試験は大学進学希望者が対象だ。高校の学習達成度を測る試験となると、進学者以外も対象にする必要がある。高校生の学力に大きな格差が生じている中で、実効性のある統一試験が可能なのだろうか。試験の実施時期や実施回数、実施主体と実施場所などを巡っても意見は割れるだろう。 達成度評価と卒業認定を分ける考え方も混乱を招き...

大学院教育の在り方

イメージ
前回に続き、日本経済新聞社編集委員の 横山晋一郎 さんが IDE 「取材ノートから」(2012年12月号) に書かれた論考を抜粋してご紹介します。 ◇ 大学院生の指導 教育学関係の学会大会を覗いた。10年以上前から取材している学会だが、今年は思わぬ体験をした。他の学会も同様だと思うが、この学会では大会発表は共通するテーマごとにくくられ、それぞれのセッション(2~2時間半)で3~5本程度の研究発表がある。個別発表ごとに質疑が交わされ、全部終わった後に総括討論が行われる。 “事件”はそんなセッションの一つで起きた。旧帝大系の大学院生二人の発表に興味を持ち早々と会場に陣取った。2時間のセッションで発表は3本。お目当ての発表は最後で、持ち時間は50分。メインの発表である。発表が終わり軽い質疑があった後、いよいよ総括討論に移ったが、なんと発表した二人の院生は「用事がある」と言ってさっさと退室してしまったのだ。 大学を取材するまで、学会発表はもっと敷居が高く権威あるものだと思っていた。だが、いくつかの学会を取材するうちに(理工系や医学系はわからないが)、学会自体が細かく分野を刻んで乱立しており、玉石混淆だと知った。それでもこれまで見てきた発表者は、報告への質問にきちんと対応し討論に加わる常識を持っていた。 それだけに、言いたいことだけを言って退室した発表者には驚いた。当然のことだが、研究は独りよがりであってはならない。専門家同士で議論を闘わす中で、問題点に気付いたり次の研究のヒントを得たりする。特に若い大学院生にと.って、学会発表とはそんな武者修行の場であるはずだ。一方的に発表して、「はい、さようなら」ではブログやツイッターで発信するのと変わらない。議論を放棄するならば、学会に来る意味がない。こんな基本すら誰も教えていないのだろうか。 そんな感想を学会関係者に話したら、最近は発表申請を出しておきながら、論文提出時になると「準備ができてない」とドタキャンする若手が多いという。「最近は大学院も増え、いろんな院生がいる。指導実態がわからない大学院も多い」とぼやく学会役員もいた。これだけで、全体を論じるつもりはないが、「大学院教育、これで大丈夫? 学会も大丈夫?」という思いは消えない。確かに、近年の大学院の量的拡大はめざましい。で、「質」はどうなの? ...

設置認可の在り方

イメージ
日本経済新聞社編集委員の 横山晋一郎 さんが IDE 「取材ノートから」(2012年12月号) に書かれた論考を抜粋してご紹介します。 ◇ 真紀子大臣と設置認可 原稿締め切り間際に、呆れたニュースが飛び込んできた。11月2日、田中真紀子文部科学相が、大学設置・学校法人審議会の答申を覆して来春開校予定の秋田公立美術、札幌保健医療、岡崎女子の三大学の新設を認可しないと言い出したのだ。しかも四年制大学が約800もあることを指摘して「教育の質が低下している」と語り、当面は大学新設を認めず、委員の大半を大学関係者が占める設置審の在り方など設置認可制度を抜本的に見直すとした。 突然の“政治決断”に波紋が広がった。何の瑕疵もないのに不認可とされた三大学は一斉に撤回を要求、私大団体も批判の狼煙をあげた。与野党を巻き込む政治問題に発展する中で、大臣は6日「新基準で再審査」へと方針転換を図ったが、7日には与野党の調整に押し切られて「現行制度で審査」と表明せざるを得なくなり、8日に正式認可した。 田中氏の文科相起用に「また騒動を起こすのではないか」と危惧する声が多かったが、まさにその通りの展開。騒動に巻き込まれた三大学はとんだ災難である。大臣に振り回され放しの文科官僚も気の毒だった。職を賭してでも大臣の暴走を食い止めようという気骨のある官僚はいなかったのかとも思うが、それだけ“真紀子パワー”は強烈だったということか。 とはいえ、騒動を「大臣の暴走」で片付けてしまうことには違和感が残る。確かに三大学の不認可は無茶苦茶だし、「認可前に建物を建て、教員も採用している」との批判は設置認可制度の理解不足を自ら暴露した。そうした点は大いに批判されるべきだが、一方で今の設置認可行政に疑問を抱く人は少なくないからだ。 最たるものは、18歳人口が減少を続け私大の四割が定員割れを起こしているのに、四年制大学が増え続けていることだろう。新設から数年で、募集停止に追い込まれた大学すらある。中央教育審議会が「質の保証」を声高に指摘しなければならないほど、大学教育への信頼は揺らいでいる。それでも大学は増え続ける。大学界が社会の常識と乖離していると言わざるを得ない。 これは、設置審委員の大半を大学関係者が占めることと無縁ではあるまい。中央官庁の審議会は...

嗚呼!退職手当の減額

イメージ
先の国会において、国家公務員の退職手当の支給水準を引き下げる法律が成立したことに伴い、国立大学法人も同様の措置を講じるよう、文部科学省大臣官房長から各国立大学長宛に、以下のような要請が行われています。 復興予算の財源捻出のために、国家公務員に準じて2年間の給与減額を強いられた矢先に、今度は退職手当の減額です。 最終的には、概ね4百万円/人ほどの減額となり、教職員の士気、生活水準は下がる一方です。法人化によって非公務員とされた国立大学法人の職員の給与や退職手当が、結局国家公務員に準じて機械的に決まってしまうことに憤りを感じます。 今回の措置と、自主的・自律的な経営が可能であるとした法人制度との矛盾を考えれば、多くの教職員は甘受できない複雑な心境なのではないかと思います。今後、教職員組合を中心とした法廷闘争が拡大していくかもしれませんね。 ◇ 独立行政法人及び特殊法人等における役職員の退職手当について (文部科学省大臣官房長→各国立大学法人学長、12月5日付) 標記について、内閣官房行政改革推進室長及び総務省行政管理局長から 別紙 の通り通知がありましたので、お知らせします。 つきましては、 別紙 を踏まえ、民間における退職給付の実情に鑑み退職手当の引き下げを行うことを内容とする今般の国家公務員の退職手当制度の改正に準じて、貴法人の役職員の退職手当について必要な措置を講ずるよう要請いたします。 別紙 独立行政法人及び特殊法人等における役職員の退職手当について (内閣官房行政改革推進室長、総務省行政管理局長→各府省官房長、11月30日付) 国家公務員の退職手当については、第181回国会において、国家公務員の退職給付の給付水準の見直し等のための国家公務員退職手当法等の一部を改正する法律(平成24年法律第96号。以下「改正退職手当法等」という。)が成立したところである。 これに関し、「国家公務員の退職手当の支給水準引下げ等について」(平成24年8月7日閣議決定。以下「平成24年閣議決定」という。)において、特定独立行政法人の職員を除く独立行政法人の役職員の退職手当について、「国家公務員の退職手当の見直しの動向に応じて、通則法等の趣旨を踏まえつつ、今般の国家公務員の退職手当制度の改正に準じて必要な措置を講ずるよう要請等を行う」とさ...

北朝鮮の脅威に備えよう

イメージ
北朝鮮が今月10日以降に発射を予告している事実上の長距離弾道ミサイルに関し、発射された場合の対応について、文部科学省から各国立大学法人に以下のような事務連絡が届いているようです。 ◇ 北朝鮮による「人工衛星」と称するミサイル発射に係る対応について(依頼) 12月10日(月)から22日(土)までの期間において、北朝鮮が「人工衛星」と称するミサイル発射を予告しております。北朝鮮が設定した落下区域等を考慮すると、我が国領域内に落下するケースは起こらないと考えられますが、万が一我が国領域内に落下する可能性も考慮し、所属職員等に対し、下記事項について周知していただくようお願いします。 記 万が一、落下物らしき物を発見した場合には、決して近寄らず、警察・消防に連絡すること 万が一、各機関において、落下物等による被害があった場合には、本件連絡先の被害状況連絡先(略)にも情報提供すること 何事もないことを祈りましょう。 成功の種を蒔く──わが子の本気を引き出すコーピングスキル50 田中ウルヴェ京 講談社 発売日:2012-09-21 ブクログでレビューを見る»

親父のほほえみ

イメージ
「 魂が震える話 」というメルマガ(ブログ)から。感じ方は人によって違うと思いますが、私は泣きました。 ◇ 父親のお弁当 小1の秋に母親が男作って家を出ていき、 俺は親父の飯で育てられた。 当時は親父の下手くそな料理が嫌でたまらず、 また母親が突然いなくなった寂しさもあいまって俺は飯のたびに癇 癪おこして大泣きしたりわめいたり、 ひどい時には焦げた卵焼きを親父に向けて投げつけたりなんてこと もあった。 翌年、小2の春にあった遠足の弁当もやっぱり親父の手作り。 俺は嫌でたまらず、 一口も食べずに友達にちょっとずつわけてもらったおかずと持って いったお菓子のみで腹を満たした。 弁当の中身は道に捨ててしまった。 家に帰って空の弁当箱を親父に渡すと、 親父は俺が全部食べたんだと思い涙目になりながら俺の頭をぐりぐ りと撫で、 「全部食ったか、えらいな!ありがとうなあ!」 と本当に嬉しそうな声と顔で言った。 俺は本当のことなんてもちろん言えなかった。 でもその後の家庭訪問の時に、 担任の先生が俺が遠足で弁当を捨てていたことを親父に言ったわけ 。 親父は相当なショックを受けてて、 でも先生が帰った後も俺に対して怒鳴ったりはせずにただ項垂れて いた。 さすがに罪悪感を覚えた俺は気まずさもあってその夜、 早々に布団にもぐりこんだ。 でもなかなか眠れず、 やっぱり親父に謝ろうと思い親父のところに戻ろうとした。 流しのところの電気がついてたので皿でも洗ってんのかなと思って 覗いたら、 親父が読みすぎたせいかボロボロになった料理の本と遠足の時に持 ってった弁当箱を見ながら泣いていた。 で、俺はその時ようやく、 自分がとんでもないことをしたんだってことを自覚した。 でも初めて見る泣いてる親父の姿にびびってしまい、 謝ろうにもなかなか踏み出せない。 結局俺はまた布団に戻って、 そんで心の中で親父に何回も謝りながら泣いた。 翌朝、 弁当のことや今までのことを謝った俺の頭を親父はまたぐりぐりと 撫でてくれて、 俺はそれ以来親父の作った飯を残すことは無くなった。 親父は去年死んだ。 病院で息を引き取る間際、 悲しいのと寂しいのとで頭が混乱しつつ涙と鼻水流しながら 「色々ありがとな、飯もありがと...

大学情報公開の現状と課題(2)

イメージ
川嶋太津夫 (神戸大学教授)さんが書かれた「 教育情報公表の現状 」( IDE-現代の高等教育 No.542  2012年7月号 )を抜粋してご紹介します。 ◇ 2 教育情報公表の課題 平成22年6月に文部科学大臣政務官名で出された学校教育法施行例の一部改正の通知文書によれば、改正の趣旨は「大学等が公的な教育機関として、社会に対する説明責任を果たすとともに、その教育の質を向上させる観点から、公表すべき情報を法令上明確にし、教育情報の一層の公表を促すこと」である。 しかし、教育情報の公表の現状を見る限り、社会に対する説明責任も質の向上への効果も道半ばの感が強い。特に、今回対象とした国立大学の現状には、筆者自身が国立大学に勤務している当事者として強い不満を感じざるを得ない。公立大学は、「教育情報公表ガイドライン」をいち早く策定し、各大学ウェブのトップページの分かりやすい場所に、同じフォーマットで教育情報を公表することとし、すでに実施するとともに、公立大学協会のウェブから各大学の教育情報の公表サイトへのリンクを張っている。「国民への約束」として機能強化を謳う国立大学こそ、率先して国民への説明責任を果たすべきであろう。 最後に、設置形態に関わらず、教育情報の公表をめぐる課題を整理して、小論を終えることとしたい。 第一に、今回の改正の趣旨のポイントは、「公開」ではなく「公表」にある。公開は、「情報公開」と言われるように、情報を必要とする側が情報を利用できる状態にしておくことである。たとえば、学生による授業評価の報告書を図書館の参考図書コーナーに置いておけば「公開」したことになる。評価結果を知りたいと思う人は、図書館に行けば情報を入手できる。言い換えれば、図書館に行く人だけが情報を得ることができ、図書館に行かない限り情報を入手できない。それに対して、「公表」とは、その情報を必要とするかどうか に関わらず、世間に発表し、広く周知することである。つまり、情報を有する側が、積極的に情報を提供することが「公表」である。このように考えると、多くの大学の現状は、「公表」には程遠く「公開」の状態に止まっている。 第二に、受験生、保護者、企業などのステークホルダーが求めている「情報」とは何であろうか。法定の情報はステークホルダーの希望を満たしているのであろ...

大学情報公開の現状と課題(1)

イメージ
黒田壽二 (金沢工業大学学園長・総長、日本私立大学協会副会長、中央教育審議会大学分科会大学教育部会副部会長)さんが書かれた「 日本における大学情報公開の理念と展開 」( IDE-現代の高等教育 No.542  2012年7月号 )を抜粋してご紹介します。 ◇ 1 大学の情報開示を求める社会的背景 社会は情報化時代になり、国際化、グローバル化の急速な進展により社会活動のあり方が大幅に変革してきた。国内では少子化、高齢化が深刻さを増している。そのような中で大学の教育研究活動も大きな改革を求められるようになり、平成3年に始まった大学設置基準の大綱化は数次に亘り実施され、各大学の画一化から多様化、個性化、特色化へと舵が切られた。このことにより大学が従来から社会一般に理解されていた大学像に大きな変革が起きてきた。もはや、大学の実態が社会から見えなくなってきたといっても過言ではない。同時に日本での少子化の影響も出始め、定員充足率が問われるようになり、一方では大学進学率は先進諸国に近づき50%を越え、所謂ユニバーサル段階の時代に至っている。大学は、「学生を選ぶ立場」から「学生に選ばれる立場」となってきた。このような時代には、大学自らが発する情報の質が重要な意味を持つようになる。 また、今回行われた教育基本法改正では、大学の項が設けられ、その第7条において、「大学は、学術の中心として、高い教養と専門的能力を培うとともに、深く真理を探究して新たな知見を創造し、これらの成果を広く社会に提供することにより、社会の発展に寄与する者とする」と規定された。また、学校教育法83条には大学の目的として、「大学は学術の中心として、広く知識を授けるとともに'深く専門の学芸を教授研究し、知的、道徳的及び応用的能力を展開させることを目的とする。大学は・・・その成果を広く社会に提供することにより、社会の発展に寄与するものとする。」と規定され、大学は研究・教育に加え社会貢献が求められるようになった。一般社会活動の一つに大学が位置づけられ、これまでのような社会と係わりが希薄な「象牙の塔」的振舞いが出来なくなった。 2 大学教育改革の促進 前述した大学設置基準の大綱化や簡素化によって大学自身での改革が可能になったのを受けて、大学設置基準や学校教育法では、大学が自ら行う自己点検・...

大学改革を困難にしているものは何か(3)

イメージ
前回に続き、 黒木登志夫 (日本学術振興会学術システム研究センター相談役、前岐阜大学長・名誉教授、東京大学名誉教授)さんが書かれた「 大学は自らの力で改革できるか 」( IDE-現代の高等教育 No.545 2012年11月号 )を抜粋してご紹介します。 ◇ 5 旧帝大はガバナンスの模範になっているか。 わが国の大学の中で、旧帝大系の7大学は圧倒的な存在である。しかし、大学のガバナンスという観点から見たとき、自ら改革を重ね、社会に開かれた新たな大学像を造るべく努力をしているであろうか。残念ながら、むしろ他の大学よりも遅れている点が少なくない。いくつかの例をあげてみよう。 東北大を除く旧帝大では、過半数に至るまで選挙を行い、学長(法人法には「総長」という呼称はない)を選考している。このため、学長選考に外部の意見が入る余地はなく、選考会議は形骸化している。東北大は、学長選考にあたり意向投票を排除しているように思われているが、実際には、教育研究評議会が意向投票を実施している。外部からの理事を置かず、文科省の移動官職を外部理事として扱っている旧帝大も、複数存在する。 部局の力、教授会の力が一番強いのも旧帝大ではなかろうか。部局の圧力のため、人事管理に関しても、いまだ定員制にしばられ、戦略的な人員配置のできない大学が少なくない。私が知っている限り、学長を初めとする執行部はみな改革に熱心であるが、部局の壁に妨げられ、ほとんど実行できないでいる。 旧帝大は、教育と研究だけではなく、ガバナンスにおいても他の大学の模範となって欲しい。 6 事務局は専門家集団になれるか 大学のガバナンスの中心となるのは、事務官である。事務がしっかりしていなければ大学は動かない。しかし、事務システムの制度改革は、まだほとんど手がつけられていない。ジェネラリストを養成するという方針によって、専門家が育たないのも大きな問題である。 法人化により、病院は企業的経営をせまられた。しかし、病院経営についてきちんとしたトレーニングを受けた事務官は非常に少ない。私が学長の時、病院経営専門の公認会計士を病院長補佐として、週の半分来てもらった。国立大学中第3位という巨額な借金(557億円)を抱えながら、病院が何とか経営できたのは、外部から来た専門家の力が大きかった。 英語で仕事...

大学改革を困難にしているものは何か(2)

イメージ
前回に続き、 黒木登志夫 (日本学術振興会学術システム研究センター相談役、前岐阜大学長・名誉教授、東京大学名誉教授)さんが書かれた「 大学は自らの力で改革できるか 」( IDE-現代の高等教育 No.545 2012年11月号 )を抜粋してご紹介します。 ◇ 3 戦略的な予算と人事が実行されているか 私は、法人化の最大のメリットは、運営交付金に積算根拠がなくなった(つまり「袋」でくる)ことと、非公務員化により定員制がなくなったことだと思っている。「袋」でくる予算は、大学が自らの判断で戦略的に使える。しかし、その額が年々減っているため、戦略よりも大学を維持するのがやっとというのが現状である。これ以上予算が減ったときには、大学は教職員をカットし、組織を「リストラ」するという困難な決断を迫られることになりかねない。そのような状況に備えるためには、大学教職員が危機感を共有し、部局よりも大学全体のガバナンスを考え、教育と研究の質を維持しなければならない。同時に、文科省も、様々な規制,たとえば上述したような予算と学生定員に関する規制を緩和し、迫りつつある困難な状況に、大学自らの考えで対応できるようにしなければならない。 そもそもの問題は、教育予算が一方的に減額され続けていることである。国が財政的に困難な状況にあることは十分に理解しているが、財務当局は、高等教育に対するグランドデザインを明らかにすべきである。われわれは、将来に対する展望をもてないのでいるのだ。 法人化前、非公務員化が問題になったとき、私にはその是非が判断できなかった。しかし、法人化してすぐに、非公務員化は定員制の廃止につながることを理解した。そのようななかで考えたのが「ポイント制」である。すなわち、教授100ポイント、准教授78ポイント、講師73ポイント、肋数60ポイントとし、定員の代わりに、ポイント数を各部局に割り当てるのである。 「ポイント制」は、全国の大学に普及しつつある。しかし、「ポイント制」により、承継職員定員以上に教職員数が増えたときには、退職金が手当てできなくなるのではないかと危惧するあまり実行できない大学もあると聞く。私の理解するところでは、大学の職員には背番号がついているのではなく、人数に見合った「座布団」が積まれているだけである。したがって、たとえ人数が増えても退職...

大学改革を困難にしているものは何か(1)

イメージ
黒木登志夫 (日本学術振興会学術システム研究センター相談役、前岐阜大学長・名誉教授、東京大学名誉教授)さんが書かれた「 大学は自らの力で改革できるか 」( IDE-現代の高等教育 No.545 2012年11月号 )を抜粋してご紹介します。 ◇ カリフォルニア大学の名学長といわれたクラーク.カー(Clark Kerr. 1911-2003)は、大学改革が困難であることを嘆いて、次のように言ったという。 「大学を改革するのは、墓地の移転と同じで、内発的な力に頼ることはできない」。 確かに、改革の必要性が繰り返し言われながら、大学の改革は遅々として進んでいない。大学に期待している政府、行政、財界のいらだちも分からないわけではない。しかし、正直な話、ガバナンスに一番問題があるのは、国会であり、政治家ではなかろうか。「政局」と「選挙区」という一字違いの二つの「キョク」にしか関心のない政治家が、国会という墓場の改革に取り組むなど期待できない。しかしこの問題にはこれ以上触れないでおこう。 カーが言うように、大学のガバナンスが一向に変わらないのは、大学の内部に改革への意欲がないためであるのは事実だが、同時に、それを困難にしているシステムがあるのも確かである。ここでは、それらの問題を、私なりの観点で考察してみたい。 1 文科省・大学の相互依存関係から抜け出せるか 大崎仁(元文化庁長官)著『 国立大学法人の形成 』は、国立大学法人化についての正史とも言うべき内容である。この本の中で、法人化によって、大学が「法人格」を獲得したことが繰り返し強調されている。「法人格」とは、権利義務が法律によって保証されていることを意味している。すなわち、国立大学は、一つの独立した存在として法律的に認められたことになる。法人化前、国立大学は、文科省の一地方組織に過ぎなかったことを考えれば、これは大きな進展である。 問題は、法人格の獲得を、文科省、大学の双方がどの程度認識し、実行しているかである。少なくとも、国立大学法人の発足当時は、多くの大学、学長たちには、文科省に対して新たな関係を樹立しようという意気込みがあったし、事実、文科省と緊張関係になったことも少なくない。『 落下傘学長奮闘記 』(中公新書ラクレ、2009)にも書いたように、私はそのような立場から、文科省に対して...

国立大学の予算を考える

イメージ
財政制度等審議会・財政制度分科会 (財務省)により行われた「 財政について聴く会 」(文教・科学技術関係予算、平成24年11月1日開催)に係る「 記者会見概要 」及び「 議事要旨 」が公表されていますので、 国立大学関係部分 について抜粋してご紹介します。 ちなみに、当日の 配付資料 は、次の2点。 文教・科学技術関係資料 (参考資料)文教・科学技術関係 記者会見(分科会長会見の模様) (田近分科会長代理) 26ページからが国立大学の問題です。ここに書かれたように、国立大学における人的資源、物的資源の配分の見直しを促す仕組み。それから、資金配分の現状と国立大学運営費交付金のめり張りのある配分。それから、セグメント情報等の開示、授業料ということです。これはさっと行かせてもらいますけれども、別に国立大学の人間だからというわけではないのですけれども、27ページ、これが国立大学が目指してきたもの。皆さんもご存じだと思いますけれども、平成13年、遠山プランというのがありました。これは大学をある意味で集約化して、公私トップ30を世界最高水準にと。それから平成16年に国立大学が法人化して、第1期というのが6年間だと思いますけれども、16年から21年。そして、現在は第2期に入っていると。そうした法人化の成果がどれだけ国立大学の運営に反映されたのかというのが、このペーパーのポイントになります。 ポイントだけですけれども、28ページに、国立大学というのは、評価されます。例えば教育水準の評価で、下ですね、教育の実施体制、内容、方法云々で、実は期待される水準を下回るものというのは、どれも1%。就職状況が1.8ですか。基本的にわずか1%で、これが評価になっているのかというような話。つまり何を言っているかというと、予算のめり張り、法人化した後、国立大学がどれだけ改善されたのかということです。 29ページが、メリハリの話になります。この表の一番左が一般運営費交付金。これが平成16年から24年度の合計で、したがって、非常に大きな額になるのですけれども、これは3兆になって、トップ10のシェアが42%。というか、見ていただきたいのは、右側に特別運営費交付金と書いてあって、これは各大学が文科省にこういうことをしたいということで申請して、ある意味で文科省から選ばれてと、こ...