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「学生のため」が大学を潰す? 大学無償化制度の知られざる副作用

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大学無償化、聞いたことありますか? 「大学無償化」という言葉、ニュースなどで耳にしたことがある人は多いと思います。正式には「修学支援新制度」と呼ばれるこの制度、実は今、思わぬ形で大学の統廃合を加速させているのをご存じでしょうか。 今回は、この制度がどんな経緯で生まれ、なぜ「学生のため」の仕組みが大学を苦しめる結果になっているのかを、できるだけわかりやすく整理してみます。 そもそもどんな制度? 2020年度に始まったこの制度は、低所得世帯の学生を対象に、次の2つの支援をセットで行うものです。 授業料の減免 (私立大学の場合、最大で年約70万円) 返済不要の給付型奨学金 (私立大学の場合、最大で年約91万円) 住民税が非課税の世帯を中心に、年収に応じて段階的に支援額が決まる仕組みです。 効果は劇的でした。非課税世帯の子どもが大学や短大などに進学する割合は、制度導入前の約40%から、直近では推計63%まで上昇しています。利用した学生の3人に1人は「この制度がなければ進学をあきらめていた」と答えているというデータもあり、経済的な理由で進学を諦めていた家庭にとって、まさに画期的な政策だったと言えます。 実はかなり急ごしらえだった この制度、実は消費税率が8%から10%に引き上げられるタイミングで、その増収分の一部を財源に、選挙前に急遽打ち出された目玉政策としてスタートした経緯があります。 制度の骨格が固まったのは、方針が示されてからわずか2カ月後。予算規模の大きな一大事業にもかかわらず、非常に短期間で設計が進められたため、既存の仕組みとの整合性をとるのに担当者たちが苦労した、というエピソードも残っています。 「学生のため」のはずが、大学への圧力の道具に 制度がスタートした当初から、支援を受けるには大学側が一定の条件(機関要件)を満たす必要がありました。たとえば「外部人材を理事に2人以上入れる」「実務経験のある教員の授業を一定単位数以上用意する」といった内容です。 これに対しては、大学関係者から「学生を人質にとるような要件だ」「大学の自治に踏み込みすぎている」といった反発もありました。それでも、「学生のためになるなら」と、多くの大学が渋々この...

止まらない建設業の倒産 ~ なぜ「町の職人さん」ほど厳しいのか ~

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2025年、建設業の倒産件数は2,014件となりました。前の年より4.6%増え、4年連続の増加です。2013年以来、実に12年ぶりに2,000件を超えました。 コロナ禍だった2021年には1,065件まで減っていたのですが、そこからわずか4年で約2倍にまで増えてしまったのです。全業種の倒産のうち、建設業の増加分が約4分の1を占めており、日本全体の倒産件数を押し上げる大きな要因になっています。 2,014件 2025年の建設業倒産件数(前年比+4.6%) 12年ぶり 2,000件超えは2013年以来 「町の職人さん」の倒産が急増中 今回のデータで特に注目したいのが、倒産する会社の「顔ぶれ」が変わってきているという点です。 建設業には大きく分けて3つのタイプがあります。 総合工事業 :家やビルを一棟丸ごと請け負うゼネコンや工務店など 職別工事業 :大工、とび、鉄骨、塗装、内装など、特定の作業を専門に行う職人さんたち 設備工事業 :電気、通信、水道・空調(管工事)などを手がける会社 2013年と2025年を比べてみると、次のような変化が起きています。 774件 総合工事業(2013年比 -33.1%) 814件 職別工事業(2013年比 +9.7%) 420件超 設備工事業(11年ぶりの水準) なんと、 職別工事業の倒産件数が、2000年以降はじめて総合工事業を上回りました 。つまり、大きな会社よりも、街の「職人さん」の会社のほうが、より厳しい状況に置かれているということです。 なぜ職人さんの会社ほど苦しいのか 理由は、こうした職別工事業の多くが「下請け」という立場にあることです。 下請けの会社は、元請け(発注元)から仕事をもらう立場なので、価格を強く交渉することが難しく、資材費や燃料費が上がっても、それを工事代金にうまく上乗せできないケースが多いのです。 DATA 実際のデータを見ると、2025年に倒産した建設業のうち、従業員が1〜4人という小規模な会社が74.3%を占めています。5〜9人まで含めると91.4%、つまり 倒産した会社の9割以上が、従業員10人未満の小さな会社 でした。一人親方や、数人だけで営んでいる会社ほど、資金繰りの余裕がな...

学校法人旭学園 中期計画所見 - 令和7年度決算は何を裏付けたか

学校法人旭学園が公表した「中期計画(2026〜2030年度)」を読み、私なりに評価をまとめてみました。さらに、同時期に公表された令和7年度事業報告書・決算書類と突き合わせることで、「この計画は現実を見据えたものだったのか」を検証してみたいと思います。 1. 中期計画とは何か まず前提として、この「中期計画」は旭学園が独自に思い立って作った任意の文書ではなく、私立学校法の制度の中で作成が求められている文書だという点を押さえておきたいと思います。 2019年(令和元年)の私立学校法改正により、事業に関する中期的な計画の作成という考え方が法律に盛り込まれ、2020年4月から施行されています(なお私立学校法はその後、令和5年改正を経て条文構成が整理されている点には留意が必要です)。この改正では、 文部科学大臣が所轄庁となる学校法人について、中期的な事業計画の作成が制度上求められる こととなり、しかもその作成にあたっては学校教育法上の「認証評価」の結果を踏まえることとされています。背景には、私立大学の経営破綻や運営を巡るトラブルが相次いだことを受けて、理事会が中長期的な視点に立った計画的な経営を行い、学生の学ぶ権利を守るべきだという文部科学省の問題意識があります。文部科学省の審議会では、計画期間は原則5年以上とし、教学・人事・施設・財務等の事項を盛り込むことが望ましいとされています。 旭学園は、学校教育法上「大学」の一種とされる佐賀女子短期大学を設置していることから、 もともと文部科学大臣所轄学校法人 にあたり、この中期的な計画の作成が求められる立場にありました。今回、 武雄アジア大学の開学により、中期計画の中で扱う経営課題はさらに大きくなった ことになります。つまり今回の中期計画は、旭学園が自主的な広報として発信したものであると同時に、私立学校法の制度の下で作成される中期的な事業計画でもあるわけです。この点を踏まえると、計画の中身がどこまで具体的で実効性のあるものになっているかは、単なる「経営方針の表明」以上に、学校法人に期待されるガバナンス上の説明責任を果たせているかという観点からも問われることになります。 その上で、武雄アジア大学の開学という大きな転換期を迎えた旭学園が、少子化という厳しい経営環境の中で、5つの設置組織(武...

優秀な人ほど忙しい理由

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世の中にはたくさんのタイムマネジメント(時間管理)のテクニックがありますが、実は「仕事ができる人」ほど、そのテクニックのせいで逆に忙しくなっているという驚きの事実をご存知でしょうか。 今回は、そんな優秀な人が陥りがちな罠と、本当に必要なアプローチについて、分かりやすくまとめてみました。 1. 効率よくなるほど、なぜか仕事が増える不思議 世の中の「時間管理テクニック」は、仕事をサクサク終わらせるためのものです。 しかし、仕事ができる人は 「時間が浮いたら、空いた時間にまた別の仕事を詰め込んでしまう」 という習性があります。結果として、便利ツールを使う前よりも忙しくなり、疲れ果ててしまうのです。 2. 「全部自分でやった方が早い」というブレーキ 優秀な人ほど、次のような心のブレーキを持っています。 「やるからには完璧にやりたい」 「他の人に任せるより、自分がやった方が確実だし早い」 このせいで、本当は他人に任せていい雑務まで自分で抱え込んでしまい、時間がいくらあっても足りなくなります。 3. これからは「時間の管理」ではなく「体力の管理」 本当に大切なのは、24時間をどう細かく分けるか(時間管理)ではなく、 自分の元気や集中力をどう保つか(エネルギー管理) です。 元気な時に大事なことをやる: 疲れている時にダラダラやるのをやめ、一番頭が冴えている時間に一番大事な仕事を当てる。 「やらないこと」を決める: スケジュールを詰め込むのではなく、「この仕事は断る」「これは誰かに任せる」と決めて、自分の心と体の余裕を守る。 ■ 一言でいうと… 仕事ができる人に必要なのは、手帳をキレイに埋めるテクニックではなく、 「勇気を持って仕事を断る・人に任せる」 ということ、そして 「自分の体力をすり減らさないルール作り」 です。 【元記事情報】 タイトル: Why Most Time Management Techniques Fail Hi...

研修を「変革」の引き金に

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1. 会社が変わるには「掛け声」より「日々の習いごと」 会社のトップが「今日から生まれ変わろう!」とスローガンを掲げても、それだけでは社員の行動は変わりません。 大事なのは、日々の研修や勉強の機会です。会社が「何を学ばせようとしているか」を見ることで、社員は初めて「うちの会社はこういう方向を目指しているんだな」と肌で理解し、会社の空気(文化)が少しずつ変わっていきます。 ※本内容は Forbes Business Council に掲載された Ayush Gupta氏のコラム を基にしています。 2. 「やり方」ではなく「あり方」を教える これまでの一般的な研修は、仕事のやり方や知識(「〇〇の手順」「法律のルール」など)を教えるものでした。 しかし、本当に会社を良くする研修は、 「どんな気持ちや姿勢で仕事に向き合うべきか(マインドセット)」 を教えるものです。 × 従来型: 「マニュアル通りに動く方法」を教える ◆ 変革型: 「変化が起きたときに、自分で考えて動く姿勢」を育てる 3. 「成長できる場所」だと感じると、人はがんばれる 「会社から一方的に受けさせられる退屈な研修」ではなく、「自分の成長につながる仕組み」が整っていると、社員の気持ちが変わります。 「この会社は自分を大切にしてくれている」と感じられると、社員のやる気やアイデアが自然と湧き出てきて、結果的に会社のピンチを救うような強い組織になります。 ✒️ 一言でいうと 変化の激しいこれからの時代、生き残る強い会社とは「研修の回数が多い会社」ではなく、 「社員が一番上手に、前向きに学び続けられる会社」 です。

「給料だけ」で人は動かない理由

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「給料を上げれば、みんなもっとやる気を出して働くはず!」 そう思いがちですが、実は人間の心理はそこまで単純ではないようです。 ある経営情報誌の記事に、 「ただお金を増やすだけでは、社員のモチベーションや生産性は上がらない」 という面白いデータが紹介されていました。 ブログを読んでくださる皆さんにも、分かりやすくギュッと縮めてご紹介します! 😲 実験1:お金の「渡し方」で成果が3倍変わる アメリカの会社で、従業員への「ご褒美のルール」を変えてみる実験が行われました。 ・ ただ「成果に応じたボーナスを出すよ」と言われたグループ → 成果は 11%アップ にとどまった。 ・ 「この具体的な行動をしたらボーナスを出すよ」と言われたグループ → 成果がなんと 31.7%アップ ! ・ お金ではなく、上司から「よく頑張ったね」と褒められたグループ → 成果が 24%アップ (ただボーナスを出すより効果的!)。 ここからのヒント 人は「とにかく売上を上げろ」と言われても、どう動けばいいか迷います。「この行動が評価されているんだ」とハッキリ分かり、さらに 「ちゃんと見てもらえている、褒められた」と感じること が、お金と同じくらい強力なやる気の源になるのです。 🚴‍♂️ 実験2:給料が上がると、逆に頑張らなくなる? スイスの自転車配達員を対象にした、さらに意外な実験です。 配達1件あたりの給料を期間限定で25%アップしたところ、配達員たちは「稼げるうちに働こう」と、働く日数は増やしました。 しかし、いざ勤務が始まると、 1日あたりの配達件数はいつもより落ちてしまった のです。 ここからのヒント 人間は、自分の中に「これくらい稼げれば十分」という目安を持っています。そのため、お給料が上がると 「いつもより少ない力で目標に届いてしまう」ので、もう一踏ん張りしなくなる ことがあります。お金を増やせば無限に頑張れるわけではない、というのはリアルな人間の心理ですね。 ⚠️ 注意:目先の「数字」だけで評価すると、職場がギスギスす...

「売る人」より「親切な先生」が勝つ時代

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これからのビジネスにおいて、従来の「買わせよう、買わせよう」と顧客を追いかける古いマーケティング手法は通用しなくなると言われています。今、本当に求められているのは、出し惜しみなく役立つ知識を提供する「親切な先生」のようなアプローチです。海外の最新ビジネス論点から、これからの時代の新しい顧客関係のあり方を分かりやすく解説します。 1. 「売り込み」は嫌われるし、お金もかかる 昔は「広告を出して、見込み客を集めて、ぐいぐい営業して買わせる」というやり方が主流でした。 しかし、現代の私たちはネットの広告や溢れる情報を見飽きており、売り込まれそうになると警戒して逃げてしまいます。そのため、企業側にとっても「大金をはたいて広告を出しても、全然売れない(顧客獲得の効率が非常に悪い)」という深刻な状況が生まれています。 2. 「売る人」ではなく「学校の先生」に 今、最も信頼されるのは「契約を迫ってくる営業マン」ではなく、**「中立で、分かりやすく教えてくれる先生」**のような存在です。AIなどが普及し、嘘か本当か分からない情報が溢れる世の中だからこそ、人々は「本当に信頼できる確かな情報源」を探しています。 「まず、相手の困りごとを解決する知識を、無料でぜんぶ教えてあげる」 「そんなことをしたら、自分でやられてしまって商品が売れなくなるのでは?」と思うかもしれません。しかし、実際は逆です。無料で小さな悩みを解決してあげると、相手は「この人は本物だ、信頼できる」と感じます。そして、もっと大きくて難しい問題にぶつかったときに、「あの信頼できる人に、お金を払ってお願いしよう」と戻ってきてくれるのです。 3. 具体的にどうすればいいのか(...

記事紹介|早く帰れる。でも、燃えていない。

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「残業を減らしましょう」——ここ数年で、この言葉はすっかり当たり前になりました。国が法律で残業時間の上限を定め、多くの会社が「早く帰る文化」を推し進めてきた、いわゆる 働き方改革 です。 では実際、私たちの働く環境はどう変わったのでしょうか。2026年6月、人材・組織の調査を専門とするパーソル総合研究所が、約4,000人の会社員を対象に大規模なアンケートを行い、その「成果」と「副作用」を同時に明らかにしました。 ■ まず、うれしいニュース——残業は確かに減り、体と心は楽になった 調査の出発点は2018年との比較。働き方改革が本格化する前と後で、何がどう変わったかを調べました。 まず、残業時間は明確に減っています。一般社員(メンバー層)は月に約 6.7時間 、管理職(上司層)は約 9.0時間 も減少しました。「残業が当たり前」だった時代から、大きく様変わりしたことがわかります。 −6.7h 一般社員の月間残業 (2018年比) −9.0h 管理職の月間残業 (2018年比) +5.3h 一般社員の月間睡眠 (増加分) 7.1% 「もっと働きたい」 と思う人の割合 早く帰れるようになったぶん、睡眠時間も増えました。一般社員で月に5時間以上、管理職でも4時間以上のプラスです。「燃え尽き症候群(バーンアウト)」も改善し、人生全体の満足度も上がっています。 また、「もっと残業して稼ぎたい」と思う人はわずか7.1%。大多数は「現状維持か、もっと減らしたい」と考えていることもわかりました。そして重要なのは、 残業が減っても会社の業績が落ちた証拠は確認されなかった という点です。「残業を減らしたら会社が回らなくなる」という心配は、データ上は当てはまらなかったようです。 ■ しかし、ここに落とし穴があった——「早く帰れる」が生んだ、静かな問題 では、何もかも改善したのでしょうか。じつはそうではありませんでした。調査では、残業削減の「しわ寄せ」として、職場にじわじわと広がる変化も記録されています。 ...

記事紹介|「人を活かす」本当の条件

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■ 「人は宝」なのに、なぜ首を切られるのでしょうか 「社員はわが社の宝です」——会社説明会や社長の挨拶で、よく耳にする言葉です。ところが景気が悪くなれば真っ先に人員削減が始まり、AIが普及すれば「人の仕事を置き換えられる」という話ばかりになります。 言葉と現実がこれほどまでにズレているのは、いったいなぜなのでしょうか。 この問いに50年以上前から向き合っていたのが、経営学者のピーター・ドラッカーです。 ■ そもそも、なぜ会社は人を雇うのでしょうか ドラッカーはシンプルにこう言います。 「人が雇われるのは、その人の得意なことのためだ」 と。 人間はときにミスをしますし、手間もかかります。それでも雇うのは、その人にしかできないことがあるからです。会社の役割は「その得意なことを成果に結びつけること」であって、弱点を責めたり細かく管理したりすることではない——それがドラッカーの考えです。 ■ 「任せると損をする」という上司の勘違い では、なぜ現実には「人を活かしきれていない」のでしょうか。ドラッカーはその原因として、上司が「部下に任せると自分の立場が弱くなる」と思い込んでいることを挙げます。 しかし実際は逆です。部下がしっかり責任を持って動くほど、上司はより大切な判断に集中できるようになります。チーム全体の力も自然と上がっていきます。「任せること」は「負けること」ではないのです。 ただし、ただ丸投げするだけではうまくいきません。 ①やりがいのある仕事の設計 、 ②「自分の仕事がどう役に立ったか」が見えること 、 ③成長できる機会 ——この三つが揃ってはじめて、人は自分から前向きに動き出します。 ■ AIが来ても、問いは変わりません 生成AIが広がり、「自分の仕事が奪われるのではないか」と不安を感じている方も多いことでしょう。しかしドラッカー...

記事紹介|エンゲージメントと生産性

仕事への情熱がパフォーマンスの原動力となっている従業員を求め、そのモチベーションを奨励し、育てる戦略に投資する企業が増えている。 しかし、情熱を育むことを追求する中で、雇用主は経済的安定、社会的地位、家族への義務など、ほかの動機を持つ従業員のニーズを見落とし、軽視している可能性があることが、筆者らの最近の調査で明らかになった。こうした従業員は会社の成功に重要な役割を果たしているが、仕事に対する情熱がないと思われているために、目に見えないペナルティを課せられている可能性がある。 情熱に価値を置く組織は、一部の従業員にとって疎外感を生む可能性があることを、マネジャーは認識する必要がある。根底にある動機にかかわらず、従業員それぞれの貢献を認め、称えることは、彼らの帰属意識と目的意識を高め、ひいてはエンゲージメントと生産性を向上させる。 もしあなたが仕事を愛する従業員なら、そのせいで同僚に対して批判的になり、彼らへの支援の仕方に影響が及ぶ可能性があることを、心に留めておかなければならない。すべての人にとって、情熱があることが仕事をする理由である必要はない。家族の世話をしたり、セーフティネットとして福利厚生が必要だったり、仕事に対する真の情熱をまだ見出せていなかったりする従業員もいるかもしれない。 組織は、多様な動機を持つ従業員に対して福利厚生や特典が魅力的かどうかを検討すべきだ。仕事への情熱から仕事に魅力を感じる従業員もいれば、柔軟な勤務形態や能力開発の機会へのアクセスが動機となる従業員もいるだろう。さまざまな福利厚生や特典を提供することで、リーダーは多様な動機を持つ従業員に魅力的な職場をつくり、優秀な人材を維持することができる。 成功には情熱が欠かせないという考え方が一般的だが、すべての従業員は、働く動機にかかわらず、その個性と貢献度を評価されなければならない。リーダーは、従業員の多様な動機を認識し、情熱中心の枠にはまらない従業員を不当に扱うのではなく、あらゆる動機を支援し、評価する包摂的な環境をつくるべきだ。 出典: 仕事を愛しすぎる人が組織に与える悪影響 働く動機にかかわらず個性と貢献度を評価せよ|DIAMOND ハーバード・ビジネス・レビュー 

記事紹介|地域の未来を創造する

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▶問題提起:人口減社会での地方私大の役割と私大の再編・統合の課題  大森 昭生 共愛学園前橋国際大学 学長 地域の 〝来賓〞 ではなく来賓に胸章を付ける側へ 地域から頼られる存在になるために大学ができることを考えてみると、まず必要なのは、地域の一員として雑巾がけから始める覚悟。「第二の建学」と言えるレベルの、学長の固い意志です。かつての本学しかり、大学には、地域に〝目を向ける〞〝手を貸す〞といった、一段上から見守るような意識がないでしょうか。地域の催しがあれば、胸章を付けられる来賓として招かれるのではなく、来賓に胸章を付ける事務局側にならなくては、地域と同じ足取りでは歩めません。 そして、粘り強くアプローチすること。本学も、地域の信頼を得たと言えるまでに10数年かかりました。自学が地域を知らないうちは、地域も自学を知りません。「目を向けてくれない」と思ってしまうのは待ちの姿勢だからで、先に声をかけなければいけないのはこちらです。両思いになるまで諦めずにプロポーズしてください。 地域連携を重視した人事も不可欠です。地域連携室をつくれば連携が進むわけではなく、あらゆる教職員に、常に「地域と何ができるか」を考える姿勢が求められます。地域の一員である旨を示すビジョンを掲げ、賛同する人を採用し、一員たる活動を評価する制度が、それを支えるでしょう。本学も、地域を舞台とした教育や活動への理解を、研究実積と同じくらい重視する教員採用を続けてきたからこそ、ことさら自学で企画しなくても、地域からのオファーで次々と地域での学びや研究が生まれる好循環をつくれています。 さらに、地域内の大学が連携しているなら、若者の流出状況データを持ち寄って統合してはいかがでしょう。国立、私立大学は原則、自治体の管轄外であり、地域外に転居しても住民票を移さない若者が多いため、「進学時、就職時にどれだけの若者が流出したか」の詳細は、教育機関が協力し合って初めて実態がつかめます。前橋市では、プラットフォーム設立時に課題抽出のため共同IRでこのデータを集計、人材定着施策の基礎資料としています。 「経営困難校は退場」 で本当にいいのか 2021年、法人間の移管が成立し、明和学園短大を本学の短期大学部としました。これもプラットフォームの成果の一つです。共に地域活性化に取り組む中で人材育成の熱意が共有され、まずは現場レ...

記事紹介|大学は誰のために存在するのか

今回は大学改革についてです。目下検討の渦中にあるテーマなのです。近年日本の大学の国際競争力低下が深刻です。世界大学ランキングのトップ100位に日本からは2校のみ、最近では中国をはじめアジアの大学が躍進しており、日本が相対的にさらに見劣りしてきました。欧米のみならず多くの国で大学が科学技術や文化の発信拠点となっており、例えば米国のシリコンバレーが世界的な起業都市となったのはスタンフォード大学の存在なくしては考えられないと言われています。 大学のガバナンスが課題 社会の基礎作りに果たす教育の役割は絶大です。特に社会のエリート、リーダー作りには大学教育のあり方が大きく関わっています。日本では175の国公立、592の私立など、788の大学がその責任を担っているのです。世界と肩を並べられる教育の提供に向けて、大学は社会に対し責任を負っております。 日本の大学が持つ課題はさまざまありますが、最も重要なのが「大学のガバナンス」でしょう。大学は誰のために存在するのでしょうか。いわずもがな「学生のため」にあるべきなのです。そしてより良い人材を社会に送り出すという社会的役割を担っているのです。しかし現在の日本では、大学がブランド化し、その看板によって社会人として有利に巣立つといったステップが当然とされています。本来、社会にダイナミックな力を与えるのは在学中の教育の中身、教育の充実度なのです。 学生ではなく教職員のための経営 しかし、今の大学は学生に最高の教育を与えられるように組織されているのでしょうか。一例ですが、大学責任者の選任方法です。ほとんどの大学が、教職員による選挙で学長を選ぶ制度を、採用しています。被選挙人は選挙人のために仕事をするのが当たり前なので、結局は教職員が過ごしやすいような大学経営になってしまいます。要は学生のためではなく、教職員のための学校運営になるのです。その結果、例えば講師になれば定年まで身分が保障され、よほどのことがなければ教授となれる。 また、教師側が評価させることがなく、あるいは評価があってもそれが処遇に反映されることがない硬直的な人事制度がほとんどです。大学の先生には切磋琢磨(せっさたくま)してより良い教育を行うという、処遇面でのインセンティブがないのです。どんなに怠けていても同待遇で定年を迎えるという不思議な世界となっています。米国の大学などでは優秀...

記事紹介|大学という組織をうまく機能させるためには何が必要か、優れた組織とは

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「改革」という名の「組織弄り」に陥っていないか 社会に必要な財やサービスの多くが「組織」によって生み出され、日本の就業者の約9割が雇用者として「組織」で働く時代である。当たり前のように感じられるが、雇用者が就業者の半数以上を占めるようになってからわずか数十年しか経っていない。 組織とは何か、組織と個人の関係をどのように考えればよいのか、組織をうまく機能させるためには何が必要か、といった点について、日々組織と関わりながら、私たちはどれほど深く考えてきたであろうか。 とりわけ、組織への帰属意識が低いといわれる教員が多数を占める大学では、このような疑問すら湧きにくい状況にあったと思われる。そのようななかで、大学の活動領域は広がり、教育をはじめ組織的取り組みがこれまで以上に求められ、ガバナンスやリーダーシップが強調されるようになった。学内組織の新設や統廃合こそが改革との風潮も、政策当局を含む関係者の間で広がっている。そのことに右往左往させられる大学の現場の声も聞こえてくる。 組織を理解することなく、組織の中の個人を理解することなく、「組織弄り」を繰り返すことほど危ういことはない。誰のための、何のための改革なのかという疑問や徒労感が現場を覆い、学生や学問にじっくり向き合う物理的・心理的余裕も失われていく。 組織マネジメントは興味の尽きない創造的営為 主体的に考える力を身につけさせるための教育改革、基礎研究の深化と社会的課題を解決するための応用研究の展開、地域・社会への貢献、これらを促すための競争的環境の創出や評価の確立等、いずれも重要な課題である。 問題は、大学という組織がこれらの課題を効果的・効率的に処理できる装置として機能し得る状態にあるのかという点である。装置の処理能力を知ることなく、原材料を投入し、フル稼働させれば、やがて装置は故障し、修復に多大な時間と費用を要することになる。組織と機械は違うとの反論もあろうが、組織を構成する人間は機械以上にデリケートであり、期待以上の力を発揮することもあれば、期待に応えてくれない時もある。 製造現場を歩くと、機械装置の状態に目を配り、微かな異音も聞き逃すまいとする技術者・技能者の姿を目の当たりにする。ましてや組織は生身の人間の集まりである。その処理能力や状態を知ることは容易ではない。機械装置に対するものとは比較にならないレベルの目配...

記事紹介|創造的な日本人の潜在力を殺している組織風土

個人がいかに創造的であっても、属する組織が反発想症に冒されていると、能力は発揮されないままに終わります。 その典型は、官僚組織です。 先例主義、新しい試みの拒否、形式主義が蔓延する環境は、発想には最悪の環境です。 かつて役所で仕事をしていたときのこと、決裁を取りに行ったら、「局長の考えをまず聞いて来い」といわれたことがありました。 局長がイエスならイエスだというわけです。 また、日本の大企業の多く(とくに伝統的な産業の企業)は、官庁より官僚的です。 こうした組織が、創造的な日本人の潜在力をなんと無駄にしていることか。 これらのエネルギーが解放されたら、日本は大きく変わるでしょう。 問題は、個人の能力でなく、それを殺してしまう社会制度なのです。 組織の指導者や経営者の最も重要な仕事は、組織をこのような病から守ることです。 多くの日本の組織において問題なのは、失敗が許されないことだ。 日本の官庁では、失敗や判断ミスはありえないことになっている。 だから、「とりあえず試行して、結果を見る。駄目なら修正する」という行動方式がとれないのだ、と野口氏はいう。 こうした環境では、試行錯誤はできず、絶対確実なことしか行われない。 これは、ジャーナリズムの責任も大きい。 アメリカでは、新しく生まれるベンチャー企業の8割は失敗すると言われている。 そして、日本では認められない敗者復活戦もある。 その結果、日本では、小さな失敗を認めないために、知らないうちに大きな失敗を犯してしまうという、笑えない現実がある。 失敗が許される組織、アイデアを生かす組織に… AI時代、新たな「超」発想が求められている。 (出典) AI時代の「超」発想法|人の心に灯をともす

記事紹介|没個性から自分事へ

日本の終身雇用システムでは、従業員を解雇せずに使い続ける組織であることが何よりも重要だった。そのためには、「誰にでもこなせる仕事」をたくさん作り、その仕事をローテーションして、誰かから引き継ぎ、誰かへ引き継ぐ仕事の仕方になる。つまり、個性や、自分にしかできないやり方を導入する奴は危険分子となってしまう。 誰がやっても同じ成果が出るような組織が大事だ どんな上司にも評価される奴が偉い 自分がやってうまくいったやり方は他の人もできるように工夫しろ こういったことが当たり前のようにはびこると、だんだん「当事者意識」は薄れていくもの。なぜなら、どんなに「自分事」として仕事に取り組んでも、その評価は全く違う軸、つまり他人が模倣できるか、誰でも同じようなことができるか、という切り口で見られるので、自分の個性、成果が残っていかないから。 上記の3つはグローバルに評価すると、 誰がやっても同じ成果になるということは、もっとできる奴が能力を惜しんでいる、つまり基準そのものが低い可能性が高い どんな上司にも評価されるということは、個性がなく、主張がない、意志のない人間である可能性が高い 他の人のことを考えるくらいだったらぶっちぎりの成果を出す方に力を使ったほうが組織のためになる 「当事者意識」というのは、仕事を「自分事」として捉え、自分の全能力、全可能性を懸けて立ち向かうこと。ビジネスマンにとっては、仕事が競技会。まさに「全身全霊」を懸けて仕事に臨むのが当たり前のこと。 問題は、チャレンジせず、差別化を図ることもなく、やらされ仕事を続けている人が、人の上に立ったとき。その部署は迷走し、仕事はつまらなく、何も変わらないまま次の人に引き継がれる。そして何も成長しない。これが平成の30年間、多くの日本の大企業の内部で起こってきたこと。 将来に不安がない、ということは現状が心地よすぎるということ。現状が心地よいということは自分のポテンシャルな能力を発現しないまま生きているということ。不安があるからこそ前進を考える。前進を考える人は「自分事」として課題にチャレンジする。課題を解決したいから。 そして自分事として仕事をした人は、その仕事の経験が次につながる。本気で取り組んだことは何であっても、必ず肥やしになっていく。そういう経験を積み重ねれば、間違い...

記事紹介|議論しないための会議、議論させないための会議室

このような非生産的会議が一向になくならないのはなぜなのでしょう。議長役のファシリテーションスキルの低さにも大きな原因があるように思います。 大学の経営に関わる教職員は、自分の経験だけに頼る会議運営ではなく、スキル習得のための特別の訓練を受ける必要があるのかもしれません。(以下抜粋引用) ◇ 悲しいことに、まずは寝ている人がいる。なぜ寝るか。自分の役割がその会議の設定の中になく、発言も求められないからである。なんの緊張感もないまま座っていられるから、グーグー寝られるのだ。貢献しようとする意欲も知識もない。なまじ参加人数が多いことが最大の原因だろう。そもそも、こういう人は会議に必要とされていないので、出席しなくて良いのだ。 また、“魅せる”演技が上手な俳優もいる。組織的な成果を生み出すためではなく、いかに自分は気が利いていて優秀なのかをアピールすることや、上司をいかにうまくヨイショするかということだけを真剣に考えて発言する人である。見るからにイマイチな人なのだが、それにもかかわらず見事に出世していく(ちなみに、マキアヴェリは前掲書で君主が有能かどうかは側近を見ればわかると説き、また同時に人はどうしても身びいきであるため、自分をよく言う者にだまされやすく、お追従者を避けるのがどんなに困難かということにも言及していた)。 さらにもっとひどいのは、会議といいながら議論をさせないように計算されている会議室が多いことだ。政府関係の会議などを見ると、巨大な部屋に大きなロの字形の席を構築し、30メートル先の人に向かってマイクで話をするような設計になっている。 それぞれの状況を確認する報告会のようなものであればこれでも良いが、議論をするための会議であれば、およそありえない形状だ。主催者も事務局も、あまり意見が活発に出ないことを心底願っているのだろう。 会議をつつがなく終わらせることは、成果でもなんでもない。本来会議とは、実質的な成果を生み出すために参加者の衆知を結集するのが目的のはずだ。そうであるならば、年齢やポジションに関係なく、その場に貢献できる可能性のある人を招き、その場で丁々発止のやり取りがなされ、個々人の知恵が相乗効果を生むような環境を作ることが必要だ。 もちろん、一言も発言しない人がいてはならないし、寝る役員に居場所などあってはならない。 ...

記事紹介|”ワンチーム”は一日にして成らず

同様に、国立大学教職員の帰属意識の希薄さには時折閉口してしまうことがあります。多様な職種の混在、ガバナンスやマネジメントの脆弱さなどが起因していると思われますが、もう少し一体感を高めることはできないものかと思うのは私だけでしょうか(以下引用抜粋)。 ◇ 米ギャラップによる世界各国の企業を対象に実施した従業員のエンゲージメント(仕事への熱意度)調査結果。日本は「熱意あふれる社員」の割合が6%、米国の32%と比べて大幅に低く、調査した139カ国中132位と最下位クラス。企業内に諸問題を生む「周囲に不満をまき散らしている無気力な社員」の割合は24%、「やる気のない社員」は70%。 かつて「会社人間」と言われた日本の会社員は勤務先への帰属意識を徐々に無くしてきた。それでも仕事への熱意がなぜここまで低下したのか。どうすれば改善するのか。ギャラップのジム・クリフトン会長兼最高経営責任者(CEO)に聞いた。 ―どうすれば改善しますか。 主な原因は上司にある。上司の言ったことを、口答えせずに確実にやれば成功するというのが従来のやり方だった。このマインドセットを変えないといけない。上司と部下が一緒になってどう結果を出すか、部下をどうやって成長させていくかを考えることが上司の仕事になる。 それには部下の強みが何かを上司が理解することだ。これまでは弱みを改善することに集中するのが上司の仕事だったが、得意でないことが強みに変わることはない。無気力な社員の半数は自分に合っていない仕事に就いている。合った仕事に変えるだけで無気力な社員を半分に減らせる。 (出典) 「熱意ある社員」6%のみ 日本132位、米ギャラップ調査|日本経済新聞  から

「変革への抵抗」をいかにとらえるか

大学で様々な改革(そこまでいかなくても、これまでやったことのない新たな取組)をやろうとすると、そこには大なり小なり必ずと言っていいほど抵抗が生まれます。 変化を好まない組織風土や教職員の意識・言動が大きな障壁となって立ちはだかり、個人の犠牲をいとわない正義感あふれる改革者を潰そうとします。抵抗勢力との闘いは心身ともにしんどいものです。 組織変革における抵抗勢力の捉え方を少しポジティブに考えてみようという記事に出会いました。自分なりにポイントを整理してみましたが、理屈ではわかっても現実は正直厳しいです。 ◇ 組織変革において「変革への抵抗」はつきものである。 組織にとって「大切なもの」を「変えよう」とするから「抵抗」が生まれる。 組織にとって「大切ではないもの」を変えようとしても、誰一人として「抵抗」しない。なぜなら「変えようとしているもの」がさして「大切ではない」から。 ということは、「抵抗勢力のいない組織変革」は存在しない。 <変革への抵抗勢力に対するリーダーの選択肢> 抵抗勢力を生み出さないように「根回し」を行う(=組織政治的合意の形成) 抵抗勢力を「排除するべきもの」ととらえて、いかに、それを排除するかという視点にたつ(=抵抗勢力の排除) 抵抗勢力が生まれるのは「あって当然」と考え、それをポジティブにとらえなおす。 <志向したいポジティブな考え> 組織変革への抵抗はごちそうである(抵抗勢力なんて生まれてあたりまえ。それを好機ととらえるくらいがちょうどいい) 組織変革への抵抗によって、むしろ強固な変革を創り出していけるのではないかという視点 <変革への抵抗による効果> 変革への抵抗によって、変革の目的が問い直されて、よりクリアになる 変革への抵抗は、組織内の会話を活性化し、変化に対する方向性を「Active」な状況にする 変革の抵抗があることによって、組織変革のレベルがあがり、施策の実装のクオリティがあがる 変革の抵抗によって、組織メンバーが「本音で何を思っているのか」が顕在化される 変革の抵抗を乗り越えることで、「新たな強固な組織へのコミットメント」がつくりだされる (出典) 組織変革のときに必ず生まれる「抵抗勢力」は「根回し」か「排除」か「ごちそう」か? | 立教大学 ...

記事紹介|イノベーションに挑戦する

一般的に「企業は営利を追求するためにある」と考えられている。 しかしドラッカーは、これに異を唱える。 彼は、「利益は企業活動を支える最低条件でしかなく、それが目的なのではない」という。 会社という組織は、まず社会に貢献するために存在するというのが彼の見解だ。 では、企業にとっての社会貢献とは何か? その第一は「顧客の創造」である。 企業は顧客が求め、それを満足させる製品やサービスを提供することでしか生き残れない。 顧客が求めるものをいち早く察知し、その欲求に応える商品を提供してはじめて、欲求が購買に変わり、企業は評価される。 つまり常に顧客の需要を汲み取り、その意識に見合ったものを提供していくことが、第一に企業が果たすべき社会貢献なのである。 だからドラッカーは、「顧客の創造」を第一に考える。 顧客を創造しないかぎり、企業は生き残れない。 「企業の価値を決めるのは顧客」だからだ。 顧客は気に入った製品やサービスを手に入れるために対価を払う。 その対価を多く集められる企業だけが、“価値が高い優れた企業”という評価を得られる。 たとえばアップルのiPhoneやiPadが「かっこいい」と若者たちの共感を呼び、大ブレイクしたことはご存じだろう。 その半面、顧客の創造に失敗すれば、企業はその使命を果たすことができない。 欲求に応えられないと売り上げという目標を達成できず、市場から撤退せざるを得ない。 したがって、企業が自らの発展と社会貢献を願うなら、「顧客を創造」していかなければならない。 顧客が価値を認め、求めるのは「製品そのものではなく、それらが提供する“効用”」である。 効用は「満足感」と置き換えてもよいかもしれない。 したがって企業は、製品やサービスを通じて彼らを満足させるよう、絶えず働きかけていかねばならない。 企業にはそのためのマネジメントが不可欠だ、その第一の武器になるのが「マーケティング」である。 ここでいうマーケティングとは一般にいわれているような、「市場調査」でもなければ「販売テクニック」でもない。 人々の欲求を察知し、消費、利用してもらえるような満足を与える戦略を練ること。 言いかえれば、「売れる仕組みづくり」である。 マーケティングとは、「顧客は何を求め...

記事紹介|一流の研究者・教育者が、優れた経営者になれるとは限らない

大学は社会からの期待に応えるために、一層の改革が求められており、中でも学長のリーダーシップに対する期待は大きい。近年、学校教育法改正などの制度見直しで学長の権限は大きくなり、同時に責任も一層重くなったのに、大学関係者の間では「学長を中心とする大学経営人材が育っていない」という見方が多い。 欧米諸国では大学の管理職は大学経営に関する教育研修を受けてから就任するのが一般的だ。だが、日本では研修の受講率も高くないし、受講しても大学団体などが主催する半日程度の研修がせいぜい。内容も文部科学行政の解説や個別大学の事例発表などを聞くインプット型が中心である。 東京大学が2015年に実施した「大学上級管理職調査」では、学長は他の大学上級管理職と比べて業務の範囲が広く、業務に必要な能力も多様で、極めて困難な仕事に取り組む専門職であることが再確認できた。学長の多くは、学部長や副学長などの学内役職を経て就任しているが、学内役職経験の有無と学長としての職務遂行力の間に明確な関連もみられない。 こうした結果から、日本でも学長などの大学経営人材の育成に真剣に取り組まなければならないと考えるようになった。「学長を育てる」というとおこがましく聞こえるかもしれないが、実際に多くの学長と接すると、それが切実に求められていることを実感する。 学長人材育成が最も進んでいる米国では、実践者によるノウハウの蓄積をもとに実践へのヒント集のような本も多く出版され、様々な研修の機会も多い。参考になる視点は多いが、日米では意思決定と執行の仕組みが異なるため、そのまま参考にできない点も多い。日本の実情に合ったヒント集の作成や研修の充実が急務であり、それには少なくとも3つの課題があると考える。 第1は優れた学長人材がどのような点を重視して経営しているのか、また彼らがどのように育ってきたのかという経験知を集積すること。第2は初任者の学長が大学を経営していくうえで、どのような困難に直面し、悩んでいるのかを把握すること。第3はそうした悩みを共有し、ヒントを得ることができる相互研さんの場を増やし、ネットワーキングの支援をして、その効果を検証していくこと――である。 それでも、近年の国公立大学は参加者同士の意見交換を取り入れた研修が増加傾向にある。気になるのは私立大学で、制度的に多様なガバナンス形態が認め...