止まらない建設業の倒産 ~ なぜ「町の職人さん」ほど厳しいのか ~
2025年、建設業の倒産件数は2,014件となりました。前の年より4.6%増え、4年連続の増加です。2013年以来、実に12年ぶりに2,000件を超えました。
コロナ禍だった2021年には1,065件まで減っていたのですが、そこからわずか4年で約2倍にまで増えてしまったのです。全業種の倒産のうち、建設業の増加分が約4分の1を占めており、日本全体の倒産件数を押し上げる大きな要因になっています。
「町の職人さん」の倒産が急増中
今回のデータで特に注目したいのが、倒産する会社の「顔ぶれ」が変わってきているという点です。
建設業には大きく分けて3つのタイプがあります。
- 総合工事業:家やビルを一棟丸ごと請け負うゼネコンや工務店など
- 職別工事業:大工、とび、鉄骨、塗装、内装など、特定の作業を専門に行う職人さんたち
- 設備工事業:電気、通信、水道・空調(管工事)などを手がける会社
2013年と2025年を比べてみると、次のような変化が起きています。
なんと、職別工事業の倒産件数が、2000年以降はじめて総合工事業を上回りました。つまり、大きな会社よりも、街の「職人さん」の会社のほうが、より厳しい状況に置かれているということです。
なぜ職人さんの会社ほど苦しいのか
理由は、こうした職別工事業の多くが「下請け」という立場にあることです。
下請けの会社は、元請け(発注元)から仕事をもらう立場なので、価格を強く交渉することが難しく、資材費や燃料費が上がっても、それを工事代金にうまく上乗せできないケースが多いのです。
一方で「勝ち組」も生まれている
もちろん、すべての職人さんの会社が苦しんでいるわけではありません。業界関係者によると、小規模な会社の中でも「二極化」が進んでいるといいます。
好調な会社に共通するのは、顧客からの信頼が厚く、仕事が途切れないことです。1つの取引先だけに頼るのはリスクがありますが、複数の信頼できる顧客を持つことで、リスクを分散しながら、値上げの交渉もしやすくなっているようです。
元請け側の会社も、信頼できる職人を確保しようと必死です。人手不足のいま、良い職人さんの「囲い込み」を急いでいるのは、中小企業も大企業も同じです。
会社が「職人」を社員として雇う時代へ
こうした流れの中で、面白い動きも出てきています。
大手住宅メーカーの積水ハウスは、2023年から職人さんを正社員として採用する取り組みを進めています。今年5月には「3年連続で100名を超える採用ができた」と発表しており、手応えを感じているようです。長い目で見て、自社で施工できる力を確保しておこうという狙いです。
さらに驚くのが、建設とは全く関係のなかった会社が、自前で工事をする会社を作り始めていることです。
例えば、フィットネスクラブを展開するRIZAPグループは、今年の4月に建設業への本格参入を発表しました。自社のジムの内装工事はもちろん、オフィスや美容室、クリニックなど幅広い業種向けにも工事を請け負うそうです。グループ内で最大500人を建設業に配置転換し、資格取得なども支援するといいます。
また、半導体の製造装置を扱うある商社も、工場への設置工事を自社で行えるようにする計画を進めています。工事業者がなかなか見つからず、せっかく装置を早く納品しても、実際に稼働するまで時間がかかってしまう。それなら自分たちで工事までやってしまおう、という発想です。
まとめ:「施工力」が貴重な資源になる時代
建設業では、働き手の不足に加えて、職人さんの高齢化も深刻な問題です。そのため「工事を実際にやってくれる力=施工力」そのものが、簡単には手に入らない貴重な資源になりつつあります。
- 資材費や人件費が上がる中、施工力を確保できる会社とできない会社の差が広がっている
- 元請け企業は下請けの囲い込みを急いでいる
- 建設業と無縁だった異業種の会社までもが、自前で工事をする体制づくりに乗り出している
建設業を取り巻く環境は、私たちが思っている以上に、大きく変わり始めています。
https://www.tsr-net.co.jp/data/detail/1203016_1527.html

コメント
コメントを投稿