6,000円から30万円へ——共生社会のゆくえ

日本に在留する外国人の手続き費用が、この秋、大きく変わろうとしています。制度の内容と、そこにある論点を整理しました。

制度の概要

日本に在留する外国人は、就労、留学、結婚など目的に応じた在留資格を取得し、数年ごとにその更新手続きを行う義務を負っています。出入国在留管理庁はこのたび、当該手続きにかかる手数料を大幅に引き上げる政令案を公表しました。改定は10月1日申請分より適用される見込みです。

引き上げの内容

現行、在留資格の変更・更新手数料は一律6,000円ですが、改定後は在留期間に応じて1万円から7万5,000円に、永住許可については1万円から20万円へと引き上げられます。

一例を挙げますと、「定住者」の資格を有する4人家族が5年ごとに更新を行う場合、これまで2万4,000円であった負担は約30万円に達します。実に10倍を超える引き上げ幅です。

政府の説明とそれへの疑義

政府はこの措置を、外国人にも応分の負担を求める「応益負担」の原則によるものと説明しています。しかし、外国人材が深刻な労働力不足を支え、納税義務も等しく果たしていることを踏まえれば、手続きに要する費用は社会全体で分かち合うべきであるとの見方も根強くあります。とりわけ、非正規滞在者の送還費用までもが在留外国人全体の負担に組み込まれている点については、排外主義的であるとの批判も出ています。

難民認定申請者への影響

とりわけ厳しい状況に置かれるのが、難民認定を申請する人々です。申請から最初の1年間で在留期間の更新を4回行う必要があり、その支払額は従来の2倍となります。加えて、申請から8カ月間は就労が認められません。

生活困窮者向けの減額措置も設けられてはいますが、その対象は保護費受給者に限定されています。2024年の実績を見ますと、申請者約1万2,000人に対し保護費受給者はわずか710人にとどまり、大多数の申請者が実質的な救済を受けられない構造となっています。

なお、英国、カナダ、フランス、ドイツといった国々では、難民認定申請にかかる手数料そのものが存在しません。国際的な水準に照らしても、日本の対応の厳しさが際立つ結果となっています。

展望

円安と経済の低迷により、就労先としての日本の求心力は既に陰りを見せています。今般の手数料引き上げは、こうした「日本離れ」の傾向に一層拍車をかける懸念があります。

政府は近年、外国人政策の厳格化を相次いで進めており、今回の措置もその延長線上にあります。しかし、拙速な制度改定は「外国人もまた日本社会の一員である」という共生の理念に逆行しかねません。

在留外国人に経済的重圧を課すこのような政策が、差別や偏見の助長につながらないか——私たちもまた、真摯に問い直す必要があるのではないでしょうか。

出典:〈社説〉在留手数料上げ 外国人差別を助長する(東京新聞デジタル、2026年7月15日)
https://www.tokyo-np.co.jp/article/501524

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