「毎年黒字に」をやめた日本財政のこれから
国の家計簿にあたる「財政運営」のルールが、今年、大きく変わろうとしています。難しそうに聞こえますが、私たちの暮らしにも関わる話です。かみくだいてご紹介します。
「骨太の方針」って何?
「骨太の方針」とは、政府が毎年まとめる、国のお金の使い方の大まかな方向性のことです。今年の方針案では、これからの日本経済を成長させるために、国が積極的にお金を使っていく姿勢が打ち出されました。
具体的には、防衛や資源確保に関わる投資、そしてAIや先端技術など将来のビジネスにつながる分野への投資に、国がまず一歩を踏み出し、民間企業の投資を呼び込むという考え方です。単年度で予算を区切らず、複数年にわたって使い道を決めることで、企業が安心して長期的な計画を立てられるようにする狙いがあります。
実は、国の借金は増え続けている
とはいえ、日本の財政赤字は年々膨らんでいます。国の借金にあたる国債の残高は、今年度末には約1145兆円にのぼる見通しです。
借金が増えすぎると、国債の「信用」が下がり、国がお金を借りるときの金利が上がってしまうことがあります。金利が上がると、住宅ローンの支払いが増えたり、企業がお金を借りにくくなったりと、私たちの暮らしにも影響が及びかねません。
これまでの目標と、新しい目標
これまで政府は、「毎年の収支をきちんと黒字にする」という目標(基礎的財政収支の黒字化)を掲げてきました。2001年から続くこの目標には、無駄遣いを防ぐ役割もあったと言われています。
今回の方針案では、この「毎年の黒字化」という目標がなくなり、代わりに「国の借金の残高を、経済の規模(GDP)と比べて少しずつ減らしていく」という、より長い目で見た目標に切り替わりました。
この目標、本当にうまくいく?
この新しい目標が達成できるかどうかは、「経済がどれだけ成長するか」と「金利がどれだけ上がるか」という、2つの読みにくい要素にかかっています。
経済がしっかり育ち、金利の上昇が抑えられれば、借金の負担は軽くなります。逆に、経済があまり育たないのに金利だけが上がってしまうと、借金の負担はかえって重くなってしまいます。
政府は、AIや半導体などの成長分野への投資がうまくいけば、2040年度には経済の規模が今の1.6倍ほどに拡大するという見通しを示しています。ただ、日本は人口が減っていく国でもあるため、「そこまでの成長は本当に見込めるのか」と疑問視する声もあります。
まとめ
今回の目標の変更は、物価も金利もほとんど動かなかった時代から、物価や金利が上がっていく時代へと、日本経済が移り変わったことを映し出しているとも言えます。
経済を成長させるために自由にお金を使えるようになる分、それを将来の世代にきちんと返していく責任も、これまで以上に重くなります。政府にはそのことを忘れずにいてほしいものです。
https://news.web.nhk/newsweb/na/na-k10015176501000

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