生き残りをかけた改革の加速を
立命館アジア太平洋大学副学長・大学マネジメント研究会会長の 本間政雄 さんが書かれた論考「 大学改革実行プランの帰趨にかかわらず改革必須の情勢の認識を 」( Betwee 2012年10-11月号 )をご紹介します。(下線は拙者) ◇ なぜ今、唐突に「大学改革実行プラン」か 文部科学省の政策は、中央教育審議会を中心にさまざまな角度から議論され、大臣に提出された答申をベースとして形成される。文科省は答申を、政(与野党政務調査会、議連など)、官(予算を握る財務省、交付税を握る総務省)、関連団体(国立大学協会、日本私立大学連盟など)との調整・協議を経て、逐次法令化、予算化する。教育課程のあり方などの「重い」課題は国民的な合意が得られないとなかなか実行できないので、時間はかかるが、このプロセスは合理的である。 一方、短期的な、あるいは緊急性の高い課題は、このプロセスを経ず、文科省内部での議論だけで、あるいはせいぜい「調査協力者会議」等の専門家会議から、短期間で結論を得る。 6月4日に国家戦略会議に報告された「 大学改革実行プラン 」(以下、「プラン」)は、上記からすると異例である。プランには、中教審で議論されてきた政策だけでなく、国立大学の「ミッションの再定義」に基づく「国立大学改革プラン」の策定、大学の教育力などを測る「客観的評価指標の開発」といった重要施策も列記されている。にもかかわらず、2か月足らずの間に省内の課長級のワーキンググループでまとめられた。水面下で国大協と事前に調整した形跡はない。 こうしたプロセスは異例ではあるが、初めてではない。2001年6月に、文科省は「 大学(国立大学)の構造改革の方針(遠山プラン) 」を公表した。これは、①大胆な再編・統合による国立大学の数の大幅な削減、②国立大学の法人化、③競争原理の導入による国公私トップ30大学の形成という3つの政策を柱とし、既定路線の②は別として、①③は唐突に発表された。 今回のプランと「構造改革プラン」には共通点がある。いずれも、 (国立)大学のあり方に対する強烈な不満が政官財界にあり、中教審を通じた緩慢かつ微温湯的な改革に不信・不満を募らせていたことが背景 にある。 破綻寸前の国家財政に危機感を募らせる財務省は、大学の削減によって毎年1兆1000億円を超える国立大学への交付金...