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生き残りをかけた改革の加速を

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立命館アジア太平洋大学副学長・大学マネジメント研究会会長の 本間政雄 さんが書かれた論考「 大学改革実行プランの帰趨にかかわらず改革必須の情勢の認識を 」( Betwee 2012年10-11月号 )をご紹介します。(下線は拙者) ◇ なぜ今、唐突に「大学改革実行プラン」か 文部科学省の政策は、中央教育審議会を中心にさまざまな角度から議論され、大臣に提出された答申をベースとして形成される。文科省は答申を、政(与野党政務調査会、議連など)、官(予算を握る財務省、交付税を握る総務省)、関連団体(国立大学協会、日本私立大学連盟など)との調整・協議を経て、逐次法令化、予算化する。教育課程のあり方などの「重い」課題は国民的な合意が得られないとなかなか実行できないので、時間はかかるが、このプロセスは合理的である。 一方、短期的な、あるいは緊急性の高い課題は、このプロセスを経ず、文科省内部での議論だけで、あるいはせいぜい「調査協力者会議」等の専門家会議から、短期間で結論を得る。 6月4日に国家戦略会議に報告された「 大学改革実行プラン 」(以下、「プラン」)は、上記からすると異例である。プランには、中教審で議論されてきた政策だけでなく、国立大学の「ミッションの再定義」に基づく「国立大学改革プラン」の策定、大学の教育力などを測る「客観的評価指標の開発」といった重要施策も列記されている。にもかかわらず、2か月足らずの間に省内の課長級のワーキンググループでまとめられた。水面下で国大協と事前に調整した形跡はない。 こうしたプロセスは異例ではあるが、初めてではない。2001年6月に、文科省は「 大学(国立大学)の構造改革の方針(遠山プラン) 」を公表した。これは、①大胆な再編・統合による国立大学の数の大幅な削減、②国立大学の法人化、③競争原理の導入による国公私トップ30大学の形成という3つの政策を柱とし、既定路線の②は別として、①③は唐突に発表された。 今回のプランと「構造改革プラン」には共通点がある。いずれも、 (国立)大学のあり方に対する強烈な不満が政官財界にあり、中教審を通じた緩慢かつ微温湯的な改革に不信・不満を募らせていたことが背景 にある。 破綻寸前の国家財政に危機感を募らせる財務省は、大学の削減によって毎年1兆1000億円を超える国立大学への交付金...

成長が重視される組織風土の形成

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東京大学大学院教育学研究科大学経営・政策コース講師の 両角亜希子 さんが書かれた論考「 単年度計画への反映と学内共有が将来計画の実質化のカギ 」( Betwee 2012年10-11月号 )を抜粋してご紹介します。(下線は拙者) ◇ 実質化のための4つのポイント 中長期的な観点から計画を策定する私立大学は増えているが、単に策定するだけで改革推進に効果があるわけではない。計画や政策を立案するだけでなく、それが浸透し、教職員の行動に結び付いてこそ、効果を上げていることがわかってきた。このように 将来計画を「実質化」するには、何に注意を払うべきか 。ポイントを挙げる。 ①自学の状況を把握する 自学の実態を知るために分析している情報を、図表3(略)に示した。受験生推移や志願者動向、授業評価、就職状況、財務分析、学生満足度などの基本情報は多くの大学で分析されている。しかし、 「地元の高校生のニーズ」(32%)、「卒業生を採用する企業の意見」(37%)など、ステークホルダーのニーズと自学の現状の関係は、十分な分析を行っていない大学も多い 。 大学に対する厳しい意見も含めて実態を把握して、その乖離を埋めるための情報を集め、生かすことが重要 だ。 また、 「学生の学習実態調査」(40%)もそれほど高くないが、学生の満足度や就職状況等との関連性を含めて分析することも有効 だと考えられる。大学では自己点検評価や認証評価など、さまざまな情報収集・評価活動が行われているが、こうした 価値ある情報を有機的に結び付けておらず、したがって十分に活用できていないケースも多い のではないか。 学内に眠っている貴重な情報の収集・活用はトップのイニシアチブによって進める必要がある だろう。 ②財政計画と結び付ける 図表4(略)には、将来計画を策定するうえで重視する点をまとめた。67%の大学が計画の財政的裏付けや見通しを「とても重視」と回答しているとおり、財政計画と結び付けることが重要である。私高研の調査(2009年)では、 中長期計画が財政計画と関連している大学(101校)の帰属収支差額比率は8.3%、そうでない大学(57校)は-1.9%で、財政と結び付いた計画が収支の健全さにつながっていることが明らか になっている。なお、この結果は大学の規模などの諸条件による影響を除...

リーダーシップの本質

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経営者の政治 私が知っている偉大な経営者達はだいたい政治と距離を置きます。政治は経営の邪魔さえしなければよいと考えているからです。しかし、私が知っている偉大な経営者達は見事な政治力を持っています。彼らの政治力は社内の結束と社外のマーケティングに大変な威力を発揮しています。 一見矛盾のようですが、そうではありません。政治家達の政治と経営者達の政治が違うのです。本来、政治には一つの意味しかありませんが、「経済は一流、政治は三流」と言われる中、政治家の政治と経営者の政治がどんどんかけ離れて行きます。 一人でも多くの社員に理解されるように、一人でも多くの顧客に評価されるように、一人でも多くの株主に魅力を感じてもらえるようにと、良い経営者は日々頑張ります。これは政治家の数の原理とまったく同じです。自分側の人数を増やし、ライバル側の人数を減らすことは経営の政治の基本であり、本来、これは政治家の政治の基本とまったく同じです。ただ、経営者たちは知らずにやっているだけです。 サルやオオカミの群れにも政治が存在する訳です。政治は何も難しいことや汚いことではありません。群れで行動する時に、社会が形成する時に必要最低限の仕組みに過ぎないのです。 政治力が一番求められるのは群れのリーダーです。ゆえにリーダーシップの本質は政治力です。本来、政治は「大人の汚い権力闘争」でもなければ、人間特有のものでもありません。政治は生命現象の一部であり、社会形成のツールなのです。 漢字から考察しても「政治」の本来の意味が見えてきます。「政」は「正しい文人、文化」です。「治」は「台」を築き上げて水をおさめるという意味です。 古代の黄河流域では、民の最大の脅威は洪水でした。氾濫した黄河が大切な農作と農地を台無しにするだけではなく、家や家族の命も奪ってしまうからです。この時のリーダーは農民をまとめ上げ黄河の水を治める人でした。 「大禹」という人が最初に土堤(台、ダム)を築き上げて洪水を治める限界を看破したリーダーです。いくらダムを高く造っても、洪水が運んできた土砂で底が上がってくるのでいずれ決壊します。彼は住民や農地の少ないところのダムを敢えて決壊させ、洪水を導く方法を提案しました。 総論に賛成しても決壊場所に家と農地があった民は、その具体論に反対するのです。彼らを説得し、反対を...

子どもの夢

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中山和義氏の心に響く言葉より… 「江ノ電の運転手になりたいという病気の子どもの夢を叶えてもらえないでしょうか?」 ある日、こんな手紙が江ノ電の会社に届きました。 難病と戦う子どもたちの夢を叶えることを支援している団体「 メイク・ア・ウィッシュ 」からの手紙でした。 その手紙に書かれていた子どもは「拡張型心筋症」という先天性の難病で入院していた16歳の新田明宏君でした。 「江ノ電を運転したい」と男の子が強く思うようになったのには、理由があります。 幼い頃から病気のために、運動が思いきってできない男の子を癒してくれたのが電車でした。 お母さんが「外で遊べない息子のために」と思って買ってくれた電車のおもちゃが大好きでした。 お父さんもそんな男の子を、休日のたびに電車に乗せてあげていました。 電車の中でも、ゆっくりと街中を走る江ノ電が特にお気に入りでした。 中学生の頃になると男の子の電車への思いは、ますます強くなります。 ところが、男の子が15歳の時、病状が悪化します。 入院した男の子は、大好きな鉄道にも乗れなくなってしまいました。 それどころか、男の子の病状は、もはや治療する方法がない状態でした。 病院の先生はベッドの上でも時刻表を離さない男の子を見て、「もう、この子を助ける方法はない。 こんなに鉄道が好きで、運転手になりたいと心から思っているこの子の夢を、何とか叶えてあげたい」と思い、メイク・ア・ウィッシュに連絡しました。 運転の当日、この日は11月にしてはとても暖かい日でした。 救急車で藤沢駅に到着した男の子が、運転手の制服に着替え、付き添われながら運転席に座ると、江ノ電がゆっくりと駅を出発しました。 普段は無人の駅もありましたが、この日はすべての駅に駅員が待機して、運転席にいる男の子に直立不動で敬礼しました。 またスタッフは運転免許を持たない男の子に、運転席に座るだけではなくて、何とか本当に電車を運転してほしいと強く思っていました。 スタッフが用意した免許を必要としない検車区間に電車が進むと、男の子はレバーを握り、自分の力だけで電車を動かしました。 その間、男の子は病気だとは思えないような笑顔で、目を輝かせながら電車を運転していました。 その3日後、夢を叶えた男の子は遠くに旅立ちます。 その後、男の子の話...

統計分析能力の開発

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北陸先端科学技術大学院大学大学院教育イニシアティブセンター特任准教授の 林透 さんが書かれた論考「 大学職員に求められる統計知識 」( 文部科学教育通信 No.302  2012.10.22 )をご紹介します。 ◇ 必要不可欠な知識 大学は管理運営の時代から経営の時代を迎えたとよく言われる。大学経営人材として期待される大学職員に求められる知識・能力等に関する価値観も大きく変化しているように思われる。しかし、そのような価値観の変化に適応した力量形成の機会の設定や提供がまだまだ少ないことも確かであろう。 国立大学法人化以前であれば、法律・規則に関する業務が重要視され、人事担当者であれば人事院規則9-8を理解して給与決定に長けること、会計担当者であれば予算決算及び会計令(予決令)に基づいた予算執行に長けることが尊重された。教務・学生生活担当者においても様々な内規に縛られながら定形的な対応に終始することが多かったのではないか。そのような日常業務において、旧文部省を中心とした関係省庁が刊行するハンドブックや質疑応答集が重要な参考書となっていたように思われる。最近刊行された『国立大学法人法コンメンタール』や『大学の教務Q&A』などは、今日の大学現場にとって非常に役立つ書であることは間違いない。 一方において、大学経営の必要性が叫ばれる中で、大学現場を掌る大学職員の力量形成に役立つ書は、まだまだ意外に少ないのではないか。教科書的なものとしては、山本眞一著『大学事務職員のための高等教育システム論』や早田幸政・諸星裕・青野透編著『高等教育論入門』などがあるが、高等教育制度に関する体系的知識や大学職員としての基本的心構えを解説する域に留まっている感が否めない。 近年の大学経営の展開や大学職員を取り巻く環境について詳細に眺めてみると、大学職員が担う職務が、単なる行政的事務処理から高等教育リテラシーを要する企画分析業務に移行しつつある中で、大学職員の専門性を支える知識・能力として「統計分析に関する基礎知識」の修得が不可欠となっているのではないか。それを裏付けるものとして、東京大学大学経営・政策研究センターが行った『 全国大学事務職員調査 』において、大学職員が必要とする知識・能力として、「データを収集し、分析する能力」(次ページ回答集計表参照)(略...

大学におけるリーダーシップ-信頼と対話

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日本私立大学協会私学高等教育研究所研究員の 岩田雅明 さんが書かれた論考「 大学におけるリーダーシップとは 」( 文部科学教育通信 No.302  2012.10.22 )をご紹介します。 ◇ リーダーシップの現状は 取り巻く環境が厳しさを増し、先行きの不透明感が強くなってくると、大学業界においてもリーダーシップに対しての関心が高くなってくる。ただしその関心は、主として外部の関係機関等から寄せられるものであって、肝心の内部ではリーダーシップを待ち望む声というのは、そう多くはないように思われる。もともと大学という組織は命令一下、皆が同じ方向を向いて進み出すという風土が最も欠けている組織の一つといえる。以前、ある大学の学長がこんなことを話していた。「学長というのは、野球でいえば監督のようなものだろうと考えて就任した。ところが、こちらがバントのサインを出しているのに、選手は平気で普通に打っていってしまう。監督と違うんだなと思った」と。また、別の大学では、学長が一生懸命に考えだした教育のコンセプトに対して無関心な教員が多く、ほとんどの教員が自分の授業の中にそのコンセプトを全く取り入れていないと嘆いていた。 確かに自然に学生が集まってきていた恵まれた時代にあっては、教員は研究と授業を自分のやり方で担当していればよかったし、職員も与えられた業務をルールに従って正確に処理するいうことで十分であった。そこには特に上からの指示というようなことは必要ではなく、管理者としても、不満を持たない程度の職場環境と待遇の維持を図ることで順調な経営が保てたのである。したがって、これまでの大学においてはリーダーシップを発揮する場はほとんどなく、また求められてもいなかったのである。 それが少子化の進行と、それにもかかわらずの大学の増加という社会の変化により、大学は選ぶ立場から選ばれる立場へと、立ち位置の変更を余儀なくされた。そうなってくると、これまでの業務の繰り返しということでは他大学との差別化を図ることができなくなってきて、顧客のニーズや社会の求人ニーズの動向といったマーケティング情報や、自大学変革認識といったことを意識していくことが、いきおい必要になってきた。このような事態への対応は、、個人レベルの問題ではなく、組織全体で取り組まなければ効果は出てこない。誰かが率先し...

大学入学者選抜の課題

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桜美林大学大学院・大学アドミニストレーション研究科教授の 山本眞一 さんが書かれた論考「 高大接続について考える 」( 文部科学教育通信 No.302 2012.10.22 )をご紹介します。 ◇ 大学入試の容易化の中で 大学入学は、今も昔も若者にとって将来を左右する人生の大きな通過点である。まして進学率が50%を超え、マーチン・トロウの分類でいうユニバーサル段階に入ってからは、大学進学は権利というよりは義務のようなものになって、学ぶ意欲に乏しい者までもが大学に行かざるを得ないような状況になってきている。学校基本調査のデータを見れば分かるが、いまや企業や公務の事務職に就く新規学卒者の8割は大学卒業ということで、半世紀前の高卒者とほぼ同じ割合にまで上昇してきた。逆に言えば、高等学校卒業だけで事務職に就くことが、近年とみに困難になってきている。もちろん販売職や生産工程・労務作業職としての仕事があるではないかと言われることもあろうが、これも産業構造の変化に伴い企業が工場を海外に移したり、あるいは販売職への大学卒業者の進出によって、予断を許さない。 もちろん大学へ進学する者が増えることは、グローバル化・知識社会化の中で、ある意味では必然であり、かつ望ましいことでもあろうが、問題は近年、大学生の学力低下が叫ばれるようになってきたことである。その原因にはいろいろあるだろうが、ひとつの大きな原因に大学入試の容易化があると言われている。かつての大学入試は相当な激戦であった。 たとえば比較的最近の1990年代初頭でも、入学志願者(現役・浪人)120万人に対して入学者(短大を含む)は80万人、3人に2人しか入学できないという難しいものであった。これに対して本年の入学志願者は73万人で、入学者は67万人であり志願者の9割以上が入学する時代になっている。この数字だけを見ても入学はきわめて容易化していることが分かる。 入学が容易化するとどうなるか? 必然的に大学入試そのものが容易化することになる。それは定員割れの私学が四大で4割を超え、短大では7割に及ぶという厳しい現実がこれをあらわしている。当然のことであるが、定員割れあるいはこれに近い大学は、入学者の選抜を行うのではなく、入学者を確保するという方策を採らざるを得ない。したがって、当初は厳しい入学者選抜試験の緩和を...

言葉というもの

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最近日常生活で聞く日本語に唖然とすることが多い。 例えば、「ワタシ的には」、「文部科学省的には」という「的」の使い方である。二十代の部下から言われ新人類の言葉かと思っていたが、五十過ぎの同僚までこう言うので驚いている。「私は」というのを婉曲に言いたいのだろうか。それとも英語の”as far as I am concerned”のような調子で、自分の見解だということを強調したいからだろうか。日本人の心性からして多分前者かと思うが、よく分からない。確か柳田國男が何かの文章で「最近の人はやたら『的』を使う。『悲愴的』などと言われると虫唾が走る」と書いていた。柳田翁は天国で現在の「的」をどう見ておられようか。 もう一つの例は、ファストフード店、コンビニエンスストア(それにしてもカタカナというのはなんと我々の語彙を豊富にしてくれるのだろう!)等で聞く「これでよろしかったでしょうか」という対応である。昔なら「これでよろしゅうございますか」と言うところなのだが。恐らく、多国籍企業の顧客マニュアルあたりにある丁寧表現の”Would it be suitable for you?”を過去形に誤訳したからではないかというのが筆者の推測。 さらに、東日本大震災後よく聞く「元気をもらいました」「力をもらいました」という言い方。以前ならば「元気づけられました」「力づけられました」と言ったところだが、最近は元気や力はもはや我々の内にはなく、授受の対象になったかのようである。もっとも、これには大震災の惨禍とそれにもかかわらず努力する人々への応援の気持ちが背景としてあるのかもしれない。 言葉は時代と共に変わる。しかし言語の規範性を担保しておかないと、一部の者しか分からぬ表現が横行することになりかねない。その意味で国語政策は重要である。正確な言葉の使い方についての啓発パンフレットや、ウェブサイトを作ったらよいのである。表現の自由は重要だが、誰もが理解できなければコミュニケーションの手段としての言語の役割を果たせない。また、言語は我々の思考方法を規定し条件付けるのだから、明晰な思考のためには厳密な言語の使用が求められる。 言語の使用法に注意しなければならないのは、マスコミの脚光を浴びる人たちのみではない、我々一人一人なのだと ワタシ的には 思う。(出典: 文教ニュース 「文部科学時...

「本業」に専念させてくれ

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学校現場で日々起こる問題に、いちいち国が出て直接対応するのは無理な話だ。 マンパワーが足りる筈が無いし、もっと意地悪いことを言えば、そもそも国に現場の問題を解決できる能力のある人材がどれだけいるのか。 後ろから「やれ、やれ」と言うだけなら素人でもできる。現場で苦闘している人間からすれば、「だったらお前らがやってみろ」と言いたくなるだろう。 国が最優先でやるべきことは、はっきりしている。現場の力を高めることだ。 そのためには、教員が子どもたちと直接向き合う、いわば「本業」に専念できる時間を増やし、それ以外の仕事を減らすことだ。調査や会議を減らし、部活動や家庭支援や地域行事などの負担を軽減し、事務職員やスクールカウンセラーなど周辺の体制を強化することだ。 大学についても「評価疲れ」という話をよく聞く。評価が無用とは言わないが、評価の作業のために教員の「本業」である教育研究の時間が削られているというなら、それは文字通りの本末転倒だろう。 国の仕事でも、行革や無駄の削減が重要なのは間違いないが、今のように「仕分け」や「独法見直し」などで毎年毎年同じような作業を繰り返しやらされるのは、時間とエネルギーのロスであるだけでなく、職員の「本業」である政策立案の能力を高める上でもマイナスだし、士気も高まる筈がない。せめて、一度やったテーマは向こう5年間は取り上げないといったルールくらいできないものか。 国も地方も現場も、金も人も足りないのは明らかなのだから、少ない人員とコストでより多くの仕事ができるようにする道を考える他はない。そのためには、今いる職員がそれぞれの場で可能な限り「本業」に集中できるようにするしかない。 「金がない、人も増やせない、無駄を省け」と言う割に、どうしてそういう方向での発想が出てこないのか、全く不思議だ。もしかすると皆、本業以外の仕事が忙し過ぎて、そんな本筋の思考をする余裕さえ無くなりてしまっているのだろうか。恐ろしい話である。 〔以下、実につまらない補足〕 念のため断わっておくが、筆者は調査や部活動などが教員の「本業」でないと考えている訳ではない。しかし仕事には「ど真ん中」のものと周辺のものがある。その「ど真ん中」のものを本稿では「本業」と表現したまでである。くだらないイチャモンを付けないように。(出典: 文教ニュース...

何のための大学改革?

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桜美林大学大学院・大学アドミニストレーション研究科教授の山本眞一さんが書かれた論考「 再び学修時間の確保について-大学教員セミナーでの議論- 」( 文部科学教育通信 No301 2012.10.8 )から抜粋してご紹介します。(下線は拙者) 何のための大学改革? 最後の講演者は、朝日新聞専門記者の山上浩二郎氏である。同氏は「近年の大学改革をどうみるか」という題で、中教審答申と大学改革実行プランを中心として、ジャーナリストの目から見た考えを述べた。今回の答申をとりまとめた中教審大学教育部会では、テーマ探しに苦労した結果、当初の「大学の機能別分化」の議論から「大学教育改革」へ移っていったこと、答申内容は三月の審議まとめよりも内容が薄まった印象があるが、大学や教員側の問題よりも学生の責任に向けられてはいないか、大学改革実行プランについては、近年の大学改革が財務省による財政問題に主導されているように、文科省自身が外圧の中にあること、打開のためには財政を増やすことや教育の密度を濃くすることが大事で、今の大学改革がどこを向いているのかという観点から今一度の整理が必要であること、など外部の人間だからこその直言が聞けた。 四つの講演を受けた後は、分科会に分かれて夜遅くまで参加者の間で議論が行われ、二日目には全体討論となった。討論ではまず、学修時間の確保の方策について話し合われた。参加教員はいずれもこれには、ひとかどの意見と実績があるようで、授業のさまざまな工夫についての紹介があった。他方、大学の多くの教員は過去の答申を含めて中教審の動きに無関心であり、この答申の実行には困難を伴うとの声もあった。また、単位制の趣旨はともかく、理工系や医療系では目いっぱいのカリキュラムが組まれているので、これ以上学生に学修時間を求めても無理ではないかとの意見があった。これはかなり現実を踏まえた意見であって、問題の核心は専門職との関連の薄い人文簿社会科学系の問題であることがよくわかる。他方、人文・社会系では学生の就職と大学時代の学修との関係を疑問視する意見も出て、結局、企業が求める人材像に大学が合わせることがいかに難しいか、正課の時間の充実よりも正課外の活動をもっと評価しなければ現実に合わないのではないか、などかなり厳しい意見もあった。 全体会を司会して感じたのは、多くの教員の...

大学ポートレートの先行実施

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「大学ポートレート(仮称)」につきましては、文部科学省に設置された「 大学における教育情報の活用支援と公表の促進に関する協力者会議 」の「 中間まとめ 」において整備を進めることが確認され、現在、 独立行政法人大学評価・学位授与機構 に設けられた「 大学ポートレート(仮称)準備委員会 」において、具体化に向けた検討が精力的に行われています。 このたび、平成24年度中に行う「先行実施」に関し、文部科学省高等教育局長、大学ポートレート(仮称)準備委員会委員長の連名により、各国公立大学長に対し、以下のような依頼がありましたのでご紹介します。(下線は拙者) ◇ 「大学ポートレート(仮称)」先行実施への御協力について(学校基本調査の回答で使用したデータの提供について)(依頼) 1 「大学ポートレート(仮称)」に関する検討の経緯 今日、大学における教育研究の質の保証・向上や、財政投資に対する説明責任、国内外の大学間連携等の観点から、大学が自ら教育研究活動の状況を公表し、情報発信を進めることが強く要請されています。 諸外国(米国、英国、EU、韓国等)でも、これらについて、データベースやウェブサイトを通じた情報発信の取組が進んでいることは御存じのとおりです。 我が国では、文部科学省の「大学における教育情報の活用支援と公表の促進に関する協力者会議」の「中間まとめ」(平成23年8月5日)において、 大学団体等の自主的な連携を通じて、教育情報の活用・公表のための共通の基盤として「大学ポートレート(仮称)」の整備を進める ことが提言されました。 これを受けて現在、大学団体等の関係者の参画を得て、独立行政法人大学評価の学位授与機構に設けられた「大学ポートレート(仮称)準備委員会」で、具体化に向けた検討を進めていただいている段階です。 この準備委員会においては、「大学ポートレート(仮称)」の実施時期について、 平成26年度からの本格展開を図る。 それに先立ち、学校基本調査の回答に含まれる基礎的な情報について、各大学の協力を得て、平成24年度中に先行実施を行う。 との方針が示され、本年5月10日の中央教育審議会大学分科会大学教育部会に御報告いただきました。 この方針は、本年6月に文部科学省が公表した『 大学改革実行プラン 』にも盛り込まれ、また...

国立大学運営費交付金の執行を可能に

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相変わらず政治は機能不全状態です。特例公債法案が未成立のため、去る8月31日の閣議において、財務大臣より、9月以降の執行抑制について要請があったことは報道等によりご案内のとおりです。 執行抑制については、基本的に全ての経費が対象となっており、国立大学法人運営費交付金も含まれています。既に、文部科学省から各国立大学法人に対し、具体的な運営費交付金の執行抑制金額(3か月ごとに予算額の50%以上の支払を留保)、請求手続き等についての通知が行われており、その中で、現下の厳しい財政事情を理解のうえ、内部資金の活用を含めた資金繰りにつての検討と、執行抑制についての協力要請が行われています。 なお、この執行抑制は、特例公債法成立までの間、国の予算の支出時期の調整を行うものであり、予算を削減するものではないとのことですが、給与等人件費比率の高い大学においては、資金の交付を抑制される期間によっては、短期借入等を余儀なくされる状況も想定されるところです。 9月14日付で、文部科学省の担当部署から各国立大学の財務担当部課長宛に、国立大学法人運営費交付金の執行抑制に伴う対応について、次のようなアンケート調査が行われています。 1 今回の執行抑制における9~11月の対応について 定期預金等の解約 国債等の売却 寄付金等の内部資金の一時融通 支払時期の先送り 短期借入 その他 2 上記で「短期借入」と回答した大学はその理由 定期預金等の解約、国債等の売却、支払時期の先送り等を行うが、これらの内部資金融通は、限界があるため 定期預金等の解約、国債等の売却を行えば、短期借入をする必要はないが、逸失利益等が大きいため、短期借入を行う。 その他 集計結果が公表されていないため、各国立大学の資金繰りがどのような状態になっているのかわかりませんが、いずれにせよ、政治家は政争にかまけていないで、国民のために優先すべき仕事に汗を流すべきではないでしょうか。 (関連報道) 予算:執行抑制策を閣議決定(2012年9月7日毎日新聞) 政府は7日の閣議で、赤字国債の発行に必要な特例公債法案の今国会での成立が見込めなくなったことを受け、地方交付税の支払い延期を柱にした予算の執行抑制策を決めた。政府が予算執行の抑制に踏み切るのは初めて。総額約5兆円程...

国立大学のミッションの再定義

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去る10月11日(木曜日)、学術総合センター一橋講堂(東京都)において、「 国立大学のミッションの再定義に関する説明会 」が開催されました。 この説明会は、本年6月に文部科学省が示した「 大学改革実行プラン 」を具体化するための「 ミッションの再定義 」を文部科学省と各国立大学間で進めるに当たり、文部科学省からその趣旨や必要となるデータ等の提出についての説明が行われたものです。 ◇ 説明会の概要は以下のとおりです。(出典:文教速報 第7785号 平成24年10月15日) 国立大学の「ミッションの再定義」で説明会 板東高等局長「ビジョンを示し強み・特色を打ち出す」 国立大学の機能強化の充実へ-。文部科学省は、国立大学の機能強化に向けた大学改革実行プランに基づく「国立大学のミッションの再定義」に関する説明会を10月11日午前10時30分から学術総合センター2階の一橋講堂で開催した。 説明会の冒頭、板東高等教育局長は、今回のミッションの再定義について「国立大学のそれぞれの分野の果たしている役割を明らかにし、“強み、特色”を打ち出していく。将来に向けてのしっかりとしたビジョンに立って、これからどういう社会的な機能を果たしていくのかを明らかにしていくことが求められている」と意義を強調した。 また、大学改革実行プランの策定の背景には、大学全体に対する社会、経済の切実な期待があり、期待の裏腹としての厳しい意見があると指摘。様々な課題を抱える産業界が求める人材育成のミスマッチ、依然としてある敷居の高さ、国際的な視点からみたときの我が国の大学全体の競争力の低下傾向-などがあり、昨年の東日本大震災を契機として、改革のスピード、規模の充実が求められているとの認識を示した。 その上で、国立大学には、国の中核となる人材育成、国際水準の研究、産業、地域の課題など、様々な対応が期待され、教育研究の成果を通じた社会貢献、地域貢献、国際貢献が求められ、激しい変化の中でどう機能の再構築のためのガバナンスの改革充実に取り組んでいくのかが問われていると訴えた。 引き続いて高等教育局の芦立国立大学法人支援課長が国立大学改革の概要について説明。この中で芦立課長は、「国立大学運営費交付金は法人化以降、900億円減ってしまったけれども、現状において、1兆2千億円を超える経...

大学のブランディング

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日本私立大学協会私学高等教育研究所研究員の岩田雅明さんが書かれた論考「 マーケティングミックス 」( 文部科学教育通信 No301 2012.10.8 )をご紹介します。 ◇ ポジショニングが決まると 前稿の最後で、大学の立ち位置であるポジショニングについて述べたが、ポジショニングが決まると、おのずと差別化のポイントも決まってくる。例えば食堂でいえば、大衆的な食堂というポジショニングを取ると決めた場合、量や価格といった実質的な点が差別化のポイントとなってくるという具合である。そうなってくると、ターゲットとしている顧客への訴求ポイントも決まってくることになる。すなわち、いい雰囲気にするために内装等に凝るということでなく、盛りの良さや低価格設定ということに店のパワーを集中し、そのことを顧客へのアピールポイントしていくこととなる。 また自組織のポジショニングが明確になるということは、同時に誰を顧客とするかを決めるターゲッティングも決まるということになる。そうなると、魅力をアピールする際にも、対象となる顧客のニーズを踏まえたアピールが可能となり、誰を対象としているのか分からない、焦点の定まらないアピールとならずに済むことになる。 このようにポジショニングを決めるということは、差別化を図り、その魅力を適切に対象顧客に伝えていくためには不可欠のことといえる。この点を大学の場合で考えてみると、意外とこのポジショニングができていないケースが多いように思われる。すなわちユニクロのごとくすべての学生をターゲットとしているのではないかと思われるケースや、自学に対しての客観的な評価とずれているポジショニングをとっている例が見受けられる。自学の持てる有限の資源を効果的に活用するためには、力を入れる分野を選択し、そこにパワーを集中させることが不可欠である。そのためにも、どのような立ち位置で教育を実践していくかを決めるポジショニングが重要になってくるのである。ポジショニングがきちんと決まれば、ターゲットとする受験生のニーズに合致した広報活動の展開も可能となる。 マーケティングの4P マーケティングといえば、この4Pが連想されるというほどポピュラーなものになっているが、内容はProduct(製品、商品)、Price(価格)、Place(販売方法...

国立大学の改革

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文部科学省が策定し、本年6月に公表した「 大学改革実行プラン 」については、改めて詳細にご紹介する必要もないと思いますが、次の2つの大きな柱と8つの基本的な方向性から構成されています。 1 激しく変化する社会における大学の機能の再構築 大学教育の質的転換、大学入試改革 グローバル化に対応した人材育成 地域再生の核となる大学づくり(COC (Center of Community)構想の推進) 研究力強化(世界的な研究成果とイノベーションの創出) 2 大学のガバナンスの充実・強化 国立大学改革 大学改革を促すシステム・基盤整備 財政基盤の確立とメリハリある資金配分の実施【私学助成の改善・充実~私立大学の質の促進・向上を目指して~】 大学の質保証の徹底推進【私立大学の質保証の徹底推進と確立(教学・経営の両面から)】 このうち、「国立大学改革」では、全国に86ある国立大学法人の全ての大学・学部の使命・役割を再定義し改革策を打ち出すほか、大学や学部の枠を超えた再編成も促すことになっています。 また、一つの国立大学法人が複数の大学を運営したり、国公私立大学が共同で教養教育を行う組織を設置したりすることが可能となる制度を整備することも掲げられています。 国立大学の再編については、ご存じの方も多いと思いますが、今回のプランで初めて言及されたのではなく、2004(平成16)年度の法人化の際にも検討が行われています。 また、実際に法人化前に100校以上あった国立大学は、同一県内にある国立大学と国立医科大学などの統合等により、現在では86校(大学院大学を含む)になっています。 このたびのプランの具体的実行過程において、どのようなことが起きるのか予想だにできませんが、法人化への移行を経験された方の中には、疑心暗鬼の目で見ている方も少なくないのではないでしょうか。 今後の動向を注視していかなければなりませんね。 参考までに、法人化直前に文部科学省により取りまとめられた、いわゆる「遠山プラン」に関する記事(出典:文部科学教育通信「国立大学法人法コンメンタール(歴史編)」)と、「遠山プラン」に関する天野郁夫さんの論考を抜粋してご紹介します。 よく読むと、当時と今回の状況に類似点があることに気が付きます。国立大学の再編統...