2012年10月18日木曜日

国立大学運営費交付金の執行を可能に

相変わらず政治は機能不全状態です。特例公債法案が未成立のため、去る8月31日の閣議において、財務大臣より、9月以降の執行抑制について要請があったことは報道等によりご案内のとおりです。

執行抑制については、基本的に全ての経費が対象となっており、国立大学法人運営費交付金も含まれています。既に、文部科学省から各国立大学法人に対し、具体的な運営費交付金の執行抑制金額(3か月ごとに予算額の50%以上の支払を留保)、請求手続き等についての通知が行われており、その中で、現下の厳しい財政事情を理解のうえ、内部資金の活用を含めた資金繰りにつての検討と、執行抑制についての協力要請が行われています。

なお、この執行抑制は、特例公債法成立までの間、国の予算の支出時期の調整を行うものであり、予算を削減するものではないとのことですが、給与等人件費比率の高い大学においては、資金の交付を抑制される期間によっては、短期借入等を余儀なくされる状況も想定されるところです。

9月14日付で、文部科学省の担当部署から各国立大学の財務担当部課長宛に、国立大学法人運営費交付金の執行抑制に伴う対応について、次のようなアンケート調査が行われています。


1 今回の執行抑制における9~11月の対応について

  1. 定期預金等の解約
  2. 国債等の売却
  3. 寄付金等の内部資金の一時融通
  4. 支払時期の先送り
  5. 短期借入
  6. その他

2 上記で「短期借入」と回答した大学はその理由

  1. 定期預金等の解約、国債等の売却、支払時期の先送り等を行うが、これらの内部資金融通は、限界があるため
  2. 定期預金等の解約、国債等の売却を行えば、短期借入をする必要はないが、逸失利益等が大きいため、短期借入を行う。
  3. その他


集計結果が公表されていないため、各国立大学の資金繰りがどのような状態になっているのかわかりませんが、いずれにせよ、政治家は政争にかまけていないで、国民のために優先すべき仕事に汗を流すべきではないでしょうか。


(関連報道)

予算:執行抑制策を閣議決定(2012年9月7日毎日新聞)

政府は7日の閣議で、赤字国債の発行に必要な特例公債法案の今国会での成立が見込めなくなったことを受け、地方交付税の支払い延期を柱にした予算の執行抑制策を決めた。政府が予算執行の抑制に踏み切るのは初めて。総額約5兆円程度の支出の先送りで、財源の枯渇時期を当初想定していた10月末から11月末へ先延ばしする。
抑制策によると、9月4日に道府県に渡す予定だった地方交付税2.1兆円のうち、約1.4兆円の支払いを延期。10月と11月に約7000億円ずつ支払う。市町村分(約1.9兆円)と道府県分の残り(約0.7兆円)は今月10日に交付する。また、国立大学や独立行政法人向けの補助金などの支払いを50%以上留保するほか、政務三役の海外出張や備品購入の抑制で各省庁の行政経費を半分以下にする。一方、生活保護などの社会保障費や警察、防衛関係費、災害対策や震災復興費などは予定通り執行する。
財務省によると、執行抑制を続けても12月に入ると財源の残額は2兆円程度に落ち込む。同月は国債の利払い費などが膨らみ、10兆円近い支出が見込まれ、法案が成立しない状況が長引くと執行抑制の対象を拡大する必要に迫られる。安住淳財務相は「与野党が協力し、法案を早期に成立させてほしい」と改めて訴えた。


政府 予算執行の抑制を閣議決定(2012年9月7日NHKNEWS)

政府は、今の国会で「赤字国債発行法案」が成立しないことを受け、今のまま予算の執行を続ければ、今後、財源が足りなくなるおそれがあるとして、今月予定していた地方交付税の支出を一部先延ばしするなどとした予算の執行抑制を閣議で正式に決めました。
今年度予算の執行に必要な「赤字国債発行法案」は、8日に会期末を迎える今の国会で成立せず、一般会計90兆円のうち、38兆円余りの財源が確保できない事態になっています。
これを受け、政府は「従来どおりの予算執行を続ければ、財源が枯渇する懸念が現実のものとなりかねない」として、可能なかぎり予算の執行を後ろにずらす「予算執行の抑制」を、7日、閣議決定しました。
この中では、▽自治体の財源不足を補う地方交付税の支出を一部先延ばしするのをはじめ、▽国立大学への交付金と私学助成を半分以下に減額するほか、▽一般会計から特別会計への繰り入れの抑制などを行うとしています。
一方で、安全保障や司法・治安関係、災害対策、医療や介護など、支払時期が決まっているものについては、抑制の対象から外すとしています。
財務省によりますと、こうした措置によっておよそ5兆円の支出が抑制され、ことし11月末までの財源が確保できるということですが、国会が閉会して赤字国債発行法案の成立の見通しが立たない中で、追加の措置も予想され、対応によっては、今後、国民生活に直接影響が及びかねないことも懸念されます。
“さらなる抑制の可能性も”
安住財務大臣は閣議のあとの記者会見で、医療や介護といった国民生活や経済活動には、極力、影響が出ないよう配慮していく考えを示したうえで、「11月までに赤字国債発行法案が成立しない場合は、12月の支払いの請求に政府が応えられないので、10月に入った段階でさらなる抑制を行う可能性が高い。残念ながら今の国会が無理である以上、与野党で話し合いをしていただいて、臨時国会などで早期の成立をお願いしたい」と述べ、秋の臨時国会を念頭に、赤字国債発行法案の早期の成立を求める考えを重ねて示しました。
“赤字国債発行法案の早期成立を”
川端総務大臣は閣議のあとの記者会見で、「今月分の地方交付税は、市町村分については、財政力が弱いところもあるので全額の1兆9143億円を交付する。一方、道府県分の2兆1551億円は、今月から11月まで3回に分けて交付する。こうした異例の事態がないよう、赤字国債発行法案を早く成立させて欲しい」と述べました。
“国民の生活を中心に考えて”
全国知事会会長で、京都府の山田知事は東京都内で記者会見し、「地方側に何ら問題がないのに、兵糧攻めのようなことが突然起きることは、地方交付税制度の不信にもつながる。赤字国債発行法案の成立のめどは立っていないが、与野党問わず、国民の生活を中心に考えて解決すべき問題であり、安定した国政運営を強く望みたい」と述べました。


予算執行抑制策を閣議決定 3カ月で5兆円捻出(2012年9月7日日本経済新聞)

政府は7日、赤字国債発行法案が廃案になる現状を踏まえ、今年度予算の執行抑制策を閣議決定した。地方交付税や国立大学向けの補助金などの支払いを遅らせることが柱。9月から11月までの3カ月間で、最大5兆円を捻出する。財務省は11月末には「国の財源が枯渇する」との見通しを示し、赤字国債法案の早期成立を強く求めた。
今年度の一般会計90.3兆円のうち約4割の事業は、赤字国債に財源を依存する。国債発行に必要な法案が今国会で成立せず、政府は戦後初めてとなる予算の執行抑制を迫られた。
生活保護費の支給など国民生活に直結する分野は、執行抑制の対象外とした。地方交付税(抑制額は2.3兆円)や国立大学など独立行政法人向け補助金(同0.3兆円)、年金特別会計への繰り入れ措置(同1.1兆円)などを対象にし、支払時期や一般会計からの拠出時期を延期し、9月に3兆円、10~11月で各1兆円を捻出できるとした。
赤字国債ではなく、税収や税外収入でまかなえる歳出の限度額は46.1兆円にすぎない。財務省は10月末にはその限度額に限りなく近づくと強調してきたが、今回の抑制策で1カ月先延ばしできると見通しを修正した。ただ、12月には10兆円弱の支出が予定されているため「財源は枯渇する」という。
安住淳財務相は7日の記者会見で、赤字国債法案の早期成立を訴えるとともに「今後の状況次第ではさらなる対応が必要となりかねない」と述べ、追加的な抑制策の検討に含みを持たせた。