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教学マネジメントの現状と課題(1)

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去る5月29日に開催された「中央教育審議会大学分科会(第105回)・大学教育部会(第16回)合同会議」の議事録が 文部科学省のホームページ に掲載されています。 議題は「中長期的な大学教育の在り方について」ですが、当日は、学士課程教育の質的転換を進めるためには、全学的な教学マネジメントの確立が不可欠との観点から、数人の有識者から国内外の事例等についてのプレゼンが行われています。 抜粋してご紹介します。まず、第一回目の今回は、 上山隆大上智大学教授 です。資料と照らし合わせながらお読みいただくと理解が深まるのではないかと思います。 資料「研究大学と自助・自立の精神」(アカデミック・アントレプレナーシップ) ◇ 最初に申し上げておくと、私は高等教育の研究者でもなければ、教育学の研究者でもありません。ですから、むしろ、ここに御列席の御専門の方々から御意見をいただければ幸いです。 私自身は、自分の研究テーマとして、ここ数年間、シリコンバレーのことを調べております。なぜアメリカの中でも極めて特異な、もちろん世界的にも特異なのですが、あの地域が生まれたのかという疑問について、特にそれを研究大学の立場からずっと調べてまいりました。 したがって、スタンフォード、UCバークレー、UCサンフランシスコといった三つの大きな研究大学の中のことをこの数年間ずっと調べております。当初は、それほど大学そのものに関心はなかったのですが、なぜあそこから、あのような新しいタイプの知識や技術が生まれるのかということを考えると、大学というものの中で何か起こっているのかということをどうしても考えざるを得なくなって、したがって、大学に残っている様々なデータや資料をずっと読みあさってきたというのが、ここ数年間の私の経歴です。 各学長の文書から始まって、非常にたくさんの、もう何百箱になるようなドキュメントが残されております。それらを全部見たとは言いませんが、かなりは見たと言っていいと思います。そういう過程の中で考えたことを、安西分科会長に御紹介いただいた本にまとめてみました。あれは、ある意味では私のシリコンバレー研究の副産物として生まれてきた本です。 その後、様々な方から、「もう少し大学について発言してほしい」というお話があり、こういう機会をいただくことが多くなりました。した...

教育ムラと大人の言い訳

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時論公論 「"いじめ自殺"真相解明への道」(2012年7月24日、NHK解説委員室) をご紹介します。 ◇ 「自殺の練習をさせられていた」。マンションから飛び降り自殺した男子中学生をめぐるアンケート結果の内容が明るみに出て以降、警察による強制捜査、大津市による第三者委員会の設置準備、文部科学省によるいじめについての緊急の全国調査へと波紋が広がっています。 今夜は、真相解明の課題について考えたいと思います。 生徒へのアンケート調査の結果は、男子生徒が亡くなった3週間後に大津市教育委員会から公表されていました。その時の結論は、男子生徒は複数の同級生からいじめを受けていた、ただし、自殺といじめの因果関係は明らかではないというものでした。 男子生徒が亡くなった1週間後には全校生徒へのアンケート調査が行われていましたので、ある意味すみやかな対応でしたが、結局真相を解明するための調査を十分にしていませんでした。 いじめと自殺との因果関係を証明することは難しい。その難しさを隠れ蓑にことさら事態を小さく扱い、収束させようとしたことが今回の結果を招いたと言えます。 2つの視点からみていきたいと思います。 一つは、いじめを防ぐことはできなかったのか。 もう一つは、自殺のあと学校の手で真相解明はできなかったのか。 いじめを防ぐことはできなかったのか。 自殺の直後に学校はすべての先生を対象に調査しましたが、男子生徒へのいじめを「認識していた」と答えた先生は一人もいませんでした。 一方、生徒のアンケートには「男子生徒が先生にいじめを訴えていた」という記述がありました。 今回の件が明らかになった後、自殺の1週間ほど前に生徒が「トイレでいじめを受けている」と連絡をしたのに先生たちは「けんか」と結論づけて「注意深く見守る」ことにとどめたことが明らかになりました。訴えがあったのにいじめと認識していなかったというなら、緊張感があまりにもなかったと言わざるをえません。 警察が強制捜査に踏み切ったのは、自殺の2週間ほど前、学校の体育大会で男子生徒が後ろ手に縛られ口を粘着テープでふさがれていた点を重要視したからです。 生徒の目撃情報を知らなかったというのはお粗末ですし、それが本当なら、情報がすぐに上がってこない先生と生徒との関係の希薄さには驚...

「大学改革実行プラン」に関する中教審の厳しい議論

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去る6月7日開催の中央教育審議会大学分科会大学教育部会(第17回)の議事録が文部科学省のホームページに掲載されています。 議題は、「大学教育の質の保証・向上について」ですが、冒頭、「 6月4日に開催された国家戦略会議の議論の状況」 並びに 「翌5日に公表された『大学改革実行プラン』 」について、文部科学省から説明及び意見交換が行われていますので、抜粋してご紹介します。以下の資料と照らし合わせながらお読みいただくと、より理解が深まるのではないかと思います。 資料1「社会の期待に応える教育改革の推進」(平成24年6月4日 国家戦略会議 平野文部科学大臣提出資料) 資料2「大学改革実行プラン~社会の変革のエンジンとなる大学づくり~」 【文部科学省】 資料1と資料2を用いまして御説明したいと思います。 本部会、それから大学分科会においても、4月に行われました国家戦略会議の状況を御報告させていただきました。文部科学大臣から報告するとともに、民間委員からのいわゆる問題提起という形で、例えば六三三制の柔軟化、抜本的見直しの問題とか、あるいは大学の統廃合も含めて少子化時代に対応した形での大学改革の在り方の問題とか、あるいは私学助成とか、あるいは運営費交付金の評価に基づくメリハリづけなどの話がありまして、議論の上で総理のほうから5月以降の国家戦略会議において、文部科学省としての教育改革の取組の方針を明らかにし報告してほしいという話がありまして、それを受けて、先ほどのお話にありましたように、今週の6月4日の月曜日に「社会の期待に応える教育改革の推進」という形で御報告させていただいたものです。 1枚おめくりいただきまして、社会の期待に応える教育改革ということで、日本が抱える課題、これから目指すべき我が国の社会ということを通観した上で、人材に対する投資、あるいは幼児教育から高等教育まで一貫した高付加価値を創造できる、あるいは社会で生き抜く力を育成していくということの視点の上で進めていくという話をさせていただいて、社会に開かれた教育への転換の問題とか、幼稚園、小学校から大学の円滑な接続、あるいは教育と産業とのマッチングの問題という総論の話をした上で、2ページにありますような教育改革の七つのポイント、これは3ページ以降においてはその詳しい内容がありますが、わかり...

大学の“学校化”

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教育評論家の梨戸茂史さんが書かれた「教育ななめ読み-学校化」( 文部科学教育通信 No296  2012.7.23 )を抜粋してご紹介します。 ◇ 本来、大学は「学問」を「教授」する場と考えられてきたはず。ところが今や、中央政府である文部科学省は、大学の「単位」制度の在り方を強調し、勉学時間の確保を強く勧める。 もともと、学校化という用語は、近代が生み出してきた制度に対する批判として用いられてきた。イヴァン・イリイチの『脱学校論』で唱えられた思想で、「学習は本来、自発的・自立的に行うことができる活動であるのに、学校はそれを『教わる』という他律的な活動に還元してしまう」と言う(今井康雄編『教育思想史』有斐閣)。 最近の大学を見ると、その教育が “学校化”しているように思える現象がいろいろ目に付く。 例えば、異様に高い授業への出席率(それ自体は喜ばしいが少しヘン?)。板書が読みにくかったり略語を使えば「読めマセーン」の大合唱(聞いてないのか!と言いたい)。「教科書のどこに書いてますか?」と質問(教科書通りに教えないと文句が出る)。強く言わないと宿題もしないし課題を出さないと勉強しない(学習文化が解体しているし、学習意欲を含む勉学姿勢を含む全般的な意欲が低下)。簡単に言えば、大学がどんどん専門学校化、いや高校化している。大学教員の研究すら、ほとんどが、「授業研究」。すなわち、基礎学力が不足している学生に何をどのように教えたらいいのか?やる気のない学生のモチベーションをどのようにあげたらいいのか? などなど。「とほほ」の現象だらけ。 その原因は、第一に、大学生の学力がかなり落ちたこと。学力だけでなく「やる気」のない学生も増えた。第二に、それと同時に学生の精神年齢も低下している。第三には、文部科学省が大学に対して、学士力(大学生として当然身につけるべき学力)を保証し、それを証明する大量の書類を提出せよなどというようなことを要求していることと関係していそうだ。教員も政府も、大「学生」を「高校生」だと思っている?(確かに、昔は、ひどい授業も多かった。休講の方が多かったり、研究が大事、学生を教育しようなんてこれっぽっちも思っていない先生も少なくなかったから、そこに回帰するのは間違いではあろう)。 さらに、「出席原理主義」は、毎回授業の出席カード...

行動を継続させる承認

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日本私立大学協会私学高等教育研究所研究員の岩田雅明さんが書かれた論考「 行動をマネジメントする 」( 文部科学教育通信 No.295 2012.7.9 )をご紹介します。 ◇ 目標と行動を明確に示す 望ましい行動を引き出すためには、どこに向かって進もうとしているのかが分かる明確な目標が不可欠である。現状、全ての大学が単年度の事業計画を策定しているし、 多くの大学では中長期の計画も策定されている。その中に書かれている目標等は、読めばその内容を十分に理解できるものであるという点では明確であるといえるが、 行動を起こさせるという観点からすると、まだまだ明確さが不十分なものが多いように感じられる。 例えば、事業計画、中長期計画の中で「広報活動をより充実させる」というような項目をよく目にすることがある。確かに、書かれている事柄自体は良く理解できる。 しかし、広報活動の範囲は大変広いものである。その中で充実させたいところは、例えば前に広報戦略のところで述べた、受験生の大学選択プロセスの、 大学を認知するところなのか、あるいは受験へとつなぎ止めるところなのか、といったことが明確でないと、行動にはつながりにくいのである。 それは部門の実行計画に盛り込んであるという大学ももちろん多いとは思うが、そうでない場合には、広報活動の特に認知の部分を強化するとか、弱いプロセスを調査し、 それを強化するといったように、何をしたらいいのかが分かる計画にしていくことが大切である。 また、具体的な目標設定になっていない場合には、その達成度を図ることが困難になる。目標に対してどこまで進んでいるのかが分からないという目標設定では、 行動を起こしにくいし、起せたとしても行動している人の意欲を徐々に低下させることになる。何合目まで登ったのかが分からない登山であるとしたら、 登る気にもならないだろうし、登り始めても登り続ける意欲を保ち続けることは困難であろう。 そして、客観的に達成度が図りにくいということは、当然ながら評価することも困難ということになる。行動が評価されないということは、 行動している人にとってのメリットが感じられないということである。また、評価されないということは、 その行動は組織にとって重要なものではないということを示していることにもなる。これでは行動は生じてこないで...

大学改革-文部科学省と大学は、内向きではなく外向きの議論を進めてほしい

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桜美林大学大学院・大学アドミニストレーション研究科教授の 山本眞一さんが書かれた 「 大学改革の陥穽-大学改革実行プランを考える 」( 文部科学教育通信 No.295 2012.7.9 )をご紹介します。 ◇ 国家戦略会議に大学改革案が 近年、大学改革のピッチが上がってきている中、それをさらにプッシュする出来事が起きた。去る6月5日、文部科学省は「大学改革実行プラン」を公表し、 わが国が直面する課題や将来想定される状況をもとに、目指すべき社会、求められる人材像・目指すべき新しい大学像を念頭におきながら、 大学改革の方向性を取りまとめることになった。このプランは、前日の「国家戦略会議」に報告されたものであり、当日の主要議題は教育システム改革、 グローバル人材育成の推進であった。ちなみに、この国家戦略会議は、税財政の骨格や経済運営の基本方針等の国家の内外にわたる重要な政策を統括する司令塔 並びに政策推進の原動力となるべく、平成23年10月21日の閣議決定に基づき設置されたもので、内閣総理大臣を議長、内閣官房長官および経済財政政策を担当する 国家戦略担当大臣を副議長、主要閣僚や有識者を構成員としている。 この大学改革プランの骨格は、二つの大きな柱と八つの基本的方向性から構成されている。第一の柱は「激しく変化する社会における大学の機能の再構築」であり、 ①大学教育の質的転換、大学入試改革、②グローバル化に対応した人材育成、③地域再生の核となる大学づくり、④研究力強化(世界的な研究成果とイノベーションの創出)、 第二の柱は「大学のガバナンスの充実・強化」であり、⑤国立大学改革(大学間連携の促進、大学の枠を越えた再編成等)、⑥大学改革を促すシステム・基盤整備、 ⑦財政基盤の確立とメリハリある資金配分の実施(私学助成の改善・充実~私立大学の質の促進・向上を目指して)、⑧大学の質保証の徹底推進(数学・経営の両面から 私立大学の質保証の徹底推進と確立)である。また、これらは平成24年度から直ちに計画的に実行し、改革始動期(24年度)、改革集中実行期(25・26年度)、 取組の評価・検証、改革の深化発展(27~29年度)と三つに区分してPDCAサイクルを展開する、としている。 マスコミからの批判も このような内容をもつ大学改革実行プランは、その詳細多岐にわたる...

国立大学法人の「進化」とは

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教育評論家の梨戸茂史さんが書かれた「教育ななめ読み- 大学ホールディングス 」( 文部科学教育通信 No.295 2012.7.9 )をご紹介します。 ◇ なかなかのアイディアである。2012年6月4日付けの読売新聞によると、「文部科学省は、都道府県を超えて国立大学の学部の再編を進める方針を固めた」そうだ。この構想、「一つの国立大学法人の下で複数の大学の学部を集約し、例えばA大は医学部と理工学部、B大は法学部と経済学部、C大は文学部に特化することなどを想定している。予算や設備、人員を学部ごとに集中させて教育の質を高め、優秀な人材を育成する狙いがある。 文科省は、政府が4日に開く国家戦略会議(議長・野田首相)で方針を報告した。年度内に基本方針を策定したうえで2013年夏をめどに具体案をまとめ、2014年の通常国会に国立大学法人法の改正案を提出する方向とのこと。 現在は、一つの国立大学法人が一つの大学のみを運営できると定めており、都道府県ごとに様々な学部をそろえた総合大学が設立されている。新制度は、一つの国立大学法人が複数の国立大を運営できるようにする。これは、民間企業の「持ち株会社型」法人ということになる。この下に各会社ならぬ大学がぶら下がればいわゆる「アンブレラ」方式だ。また、同時に学長と法人理事長が別々に置くことができて、経営と数学が別になって、『私学』方式にも近い。 明治時代の、『法科大学』や『工科大学』などや、英国のカレッジを彷彿とさせる方式ではないか。面白いことを考えたものだ。「予算や設備、人員を学部ごとに集中させて教育の質を高め、優秀な人材を育成する」と言う。確かに、限られた資源を十ニ分に活用するにはある程度、集約することは意味がある。物的にも人的にも、経営の立場からはそれが最適だろう。 これは、流行の、ホールディング方式。傘下にいくつかの会社を置いて、全体は一つの会計で統一する。これが違った業種の会社なら両社は存続する可能性は高い。子会社を対等な立場に置いて競争させる意味もある。同じ業種の場合は微妙だ。大銀行で個人向けと企業向け、証券など分野を分けて各社が経営される場合もある。大学で言えば、アメリカの州立大学方式かもしれない。カリフォルニア州立大学の場合、バークレーやロス、サンディエゴなどに「分校」がある。それぞれ独自に競い合い...

国大法人教職員の給与格差拡大

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去る7月13日(金)に、 第6回行政改革実行本部 が開催され、「独立行政法人等の役職員の給与見直し」が議題とされたようです。 配付資料は こちら のとおりですが、これによれば、国立大学法人(大学共同利用機関法人を含む90法人)中、7月1日時点で、 役員報酬 の見直しを既に実施した大学は 84大学(93%) 、 職員給与 の見直しを既に実施した大学は 78大学(87%) であり、労使交渉中等により未だ実施していない大学が 12大学(13%) あるようです。 ちなみに、未実施大学は、資料によれば、北海道大学、室蘭工業大学、帯広畜産大学、福島大学、千葉大学、東京大学、山梨大学、浜松医科大学、京都大学、京都教育大学、九州大学、熊本大学となっており、財政力豊かな旧帝国大学が入っている(=給与減額の実施幅が小さい)ことに違和感を感じる大学関係者も少なくないのではないでしょうか。 法人化以前には同じ国家公務員であった国立大学教職員の給与水準の格差が次第に拡大しています。文部科学省の旧帝国大学への指導力不足を指摘する声も聞こえます。いつまでもこのような状態を放置し続けるわけにもいかないのではないでしょうか。大学だけでなく、文部科学省自身も”機能強化”すべきなのかもしれませんね。 (関連報道) 独法などの職員給与、86%が削減 1日時点(2012年7月13日 日本経済新聞) 政府の行政改革実行本部(本部長・野田佳彦首相)は13日、独立行政法人などの給与削減の取り組み状況(1日時点)をまとめた。 国家公務員給与の4月からの平均7.8%削減にならうよう求めていたもので、役員は全204法人のうち97%、職員は86%が削減を実施済みだった。 削減幅は各法人が独自に決めているが、全法人が平均7.8%削減した場合には国庫支出は年約700億円抑制できるという。 労使交渉中などで職員の給与削減にまだ取り組んでいない独法は文部科学、厚生労働、国土交通各省が所管する16法人。個別の名称は明らかにしていない。 話が伝わらなくて困ったときに読む本 河合薫 すばる舎 発売日:2012-04-19 ブクログでレビューを見る»

エンゲージメントを高める

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近時、若手社員の離職率の高さが問題視される中、「エンゲージメント」に着目する企業等が増えているそうです。 「エンゲージメント」とは、ある説明によれば、「個人が目指す成長の方向性と組織が目指す成長の方向性がどれだけ連動している関係なのかを表すもの」であり、「組織に対する『ロイヤルティー(忠誠心)』を発展させたような概念」とのこと。 「この会社にいれば、自分のありたい姿に向かって成長でき、しかも、自己実現のための努力が会社のビジョン実現にも貢献できる」と思う社員が多い状態を、「エンゲージメントが高い」というそうです。 「エンゲージメント」を高めるには、個人の仕事の志向性に沿った環境や機会の提供を行う必要があること、そして、多様性や価値観を共有・評価し、自分たちが何をしたいか、どうなりたいかを対話することが重要だそうです。 アメリカの大手調査機関が12項目のエンゲージメントに関する調査を実施、この12項目は124ヵ国、3百万人以上の従業員を対象に行った調査で、業績向上と関連性があると証明された項目だそうです。皆さんの大学ではいくつ当てはまるかを試してみてください。 私は仕事のうえで、自分が何を期待されているかが分かっている 私は自分の仕事を正確に遂行するために必要な設備や資源を持っている 私は仕事をするうえで、自分の最も得意とすることを行う機会を毎日持っている 最近一週間で、良い仕事をしていることを褒められたり、認められたりした 上司または職場の誰かは、自分を一人の人間として気遣ってくれている 仕事上で、自分の成長を励ましてくれる人がいる 仕事上で、自分の意見が考慮されているように思われる 自分の会社の使命や目標は、自分の仕事を重要なものと感じさせてくれる 自分の同僚は、質の高い仕事をすることに専念している 仕事上で、誰か最高の友人と呼べる人がいる この半年の間に、職場の誰かが自分の進歩について、自分に話してくれた 私はこの一年の間に、仕事上で学び、成長する機会を持った 出典: 「つながる組織づくり」岩田雅明(文部科学教育通信 No292  2012.5.28)           勝者の思考法 (PHP新書) 二宮清純 PHP研究所 発売日:2001-03 ブク...

官僚目線の大学改革

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日本経済新聞社編集委員の横山晋一郎さんが IDE(2012年7月号) に書かれた「取材ノートから」から引用してご紹介します。 国家戦略会議 6月4日の国家戦略会議で平野博文文部科学相は「社会の期待に応える教育改革の推進」という文書を公表した。「教育改革の七つのポイント」として①小中一貫教育制度・高校早期卒業制度の創設、少人数学級の推進、②大学入試改革、③大学の教育機能の再構築とミスマッチ解消、④英語力・グローバル力の向上、⑤国立大学のミッション再定義と重点支援、⑥学生の75%を占める私学の質的充実に向けた支援・メリハリある配分、⑦世界で戦える「リサーチ・ユニバーシティ」の倍増、地域再生の拠点としての大学の機能強化-を掲げている。 文書には、今後の大学政策の大転換になりそうな内容が多数盛り込まれた。例えば、⑤では、2012年度中に「国立大学改革基本方針」、2013年中頃までに「国立大学改革プラン」をまとめるという。前者で国としての改革の方向性を示し、後者で大学ごとにミッションを再定義し、改革の工程を確定する。具体例として、予算の戦略的・重点的支援の拡大や、一法人複数大学(アンブレラ方式)制度の導入、国立大学法人評価の見直しなどを挙げた。 一部の単科医大の統合などを除けば、国立大学は1949年の新制大学発足時の配置や学部設置を、ほぼそのまま踏襲している。この間の社会の激変ぶりを考えれば、いつまでも60年前の制度がもつはずがない。大胆な再編統合を視野に国立大学の有り様を見直そうという発想は当然だ。だが一方で、国立大学は2004年4月に法人化されている。法人化から未だ9年目か、もう9年目か、立場によって見方は異なるが、2004年度の法人化の総括もないまま、さらなる制度変更に戸惑う人は多いのではないか。 例えば、現行の国立大学法人化制度の基本的枠組みの一つは、一法人一大学と学長の法人長(理事長)兼務である。文書がさらりと掲げるアンブレラ方式は、この原則の否定に他ならない。制度変更を否定するつもりは一切ないが、鳴り物入りで導入した法人化の根幹部分をこうもあっさり否定する政策とは一体何なのだろう。 アンブレラ方式の利点としてまず思い付くのは、同一法人化の大学間で重複部門の統合だ。真っ先に俎上に上がりそうなのが教員養成学部だが、文科省は教...

教員の適正配置とは

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平成24年度予算執行調査の結果 が財務省により公表されています。 このうち、国立大学法人を対象とした「 国立大学法人の教員数調査(国立大学法人運営費交付金) 」についてご紹介します。 公表されている「 予算執行調査資料(総括調査票) 」によれば、 財務省の問題意識は、「学校基本調査によれば、国立大学の教員数は増加を続けていること」、また、 「大学設置基準により収容定員に応じて配置教員数が設定されているが、各大学の教員数を学部別、 職種別、常勤・非常勤別などの視点から調査することにより、大学設置基準に比してどのような状 況にあるのかをなど、教員数の実態を分析し、適正な教員配置について検討する」ことが目的のようです。 調査は、国立大学法人(86法人)を対象に実施され(回答率:100%)、法人化時(平成16年度)及び 直近3ヶ年の専任教員数、常勤・非常勤教員数及び組織別の比較分析とともに、平成24年度教員数について、 ①設置基準における必要とされる教員数と教員数の対比分析(専任数分析、常勤・非常勤数分析、分野別比較分析)、 ②外国人教員数の推移及び分野別比較分析、により行われています。 その結果を踏まえた財務省の見解は次のとおりです。今後、概算要求、予算編成等を通じ、各種施策への反映を求められること になることが予想されます。それにしても、これまで設置基準以上の教員数を予算定員と称して措置し続けてきたのは、財務省ではありませんでしたか? 個々の大学の特性を勘案すれば、配置教員数を一律とすることは適当ではないが、調査結果から、大学における適正な教員配置の検討をする必要があるのではないか。 設置基準上の必要教員数と配置されている教員数との比較結果から、大学では必要教員数以上の教員が配置されている。 今後の学部学科の再編等においては教員数の現況を踏まえた検討が必要となる。 分野別にみると、設置基準上の必要教員数と教員数の対比では、いずれの分野においても設置基準以上であり、最大で約 4.7倍(常勤・非常勤教員数では約3.7倍) となる分野がみられる。 特に、個々の分野の特性を勘案しても、教員数が過大となっている分野では教員数の抑制を図るなど、教員の適正配置の観点からの検討が必要となる。 外国人留学生を増加させるとともに、大学においても外国人教員数を...

七夕

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今日は七夕です。我が家では朝から子ども達が大騒ぎしながら願い事を書いています。 ちなみに、短冊には、 「家族みんなが、いつもけんこうで、やさしい笑顔でいられますように」 「沖縄にある、アメリカのきちが、なくなりますように。平和をいのって。」 と書かれてありました。 七夕に関連して、とてもいい話に出会いましたので引用してご紹介させていただきます。 七夕の願いごと(2012年7月7日、人の心に灯をともす) 多湖輝氏の心に響く言葉より… ずいぶんまえのこと、日曜日の朝テレビを見ていると、お医者さんの講演を放送していました。 以下はそのお医者さんの話です。 ある下半身マヒの女性がいました。 その女性は、左手も思うように動かせないので、もちろん、車椅子を自分で動かすこともできません。 外出、お風呂やトイレでの介助など、すべての世話はお母さんの役目になっていました。 ある年のことです。 彼女を含めた障害者の方々のために七夕パーティが、ボランティアの人たちの手で開催されました。 みながとても楽しそうにかざりつけをしていました。 私が、彼女に、「短冊はもう飾ったの?」と聞くと、 「はい、私の願いは一つだけなので、短冊は一つ飾っただけです」と答えました。 「一つだけ?なんて書いたの」と聞くと、 「お母さんより一日だけ早く死ねますようにって書いたんです。 お母さん、ずっと私の世話ばかりだから。 私はお母さんがいないと困ってしまうけれど、お母さんには、 私の世話をしなくてもいい日が一日でもあって欲しいな!って思って」 彼女は笑顔でそう言ったのです。 私は感動してその話を、彼女の母親に伝えました。 すると、彼女の母親は、「私も短冊に願いごとを書いてきますね」と言って、向こうへ行ってしまいました。 飾りつけが終わってから、彼女の母親に、「短冊かざりましたか?」と聞くと、 「ええ、あそこに」と上のほうを指さしました。 ちょっと高い所だったので何て書いてあるのか読めません。 「何て書いたんですか?」と聞いてみると、 「ぜいたくを言わせてもらえば、娘より一日だけ長く生きさせてくださいと書きました」と、 娘さんと同じ笑顔でした。 そして、「自分が楽をするために、一日長くと書いたのではありません。 あの子が...

国立大学法人における規制緩和

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国立大学法人の出資制限については、これまでも、その緩和を求める声が多く、過去の政府の計画等でも検討課題とされてきました。 先月、文部科学省が公表した「大学改革実行プラン」においても、大学の機能を再構築し、強化す る視点から、大学間連携のための制度的枠組みの整備を図る方策の例として、出資制限の緩和を取り上げています。 今後、国立大学法人法について、その改正の必要性や改正時期等について、具体的に検討されていくと思われますが、財政力の強い大学だけが恩恵を得るといったことにならないよう慎重な対応をお願いしたいと思います。 国立大の出資規制緩和 大学間の連携促す 来年にも法改正(2012年7月3日 日本経済新聞) 文部科学省は国立大学の出資規制を緩和する方針を固めた。子会社設立や企業への資本参加を可能にするよう国立大学法人法を2013年にも改正。私立大を含めた複数の大学で物品の共同購入会社を設立したり、研究や教養教育を共同で行う組織を設立したりできるようにする。共同事業を機に大学間の連携を促し、競争力や経営効率の向上につなげる狙いだ。 同省は12~17年度を大学改革の集中実行期とし、国公私立や都道府県の枠を超えた地域別・機能別の大学群をつくる方針。私立大は出資が自由な一方で国立大は厳しく制限されていることが共同事業が広がらない要因との指摘があり、見直しが必要と判断した。 今後、国立大学協会を通じて各大学から要望を聞き取り、制度の詳細を詰める。出資対象は大学の業務範囲とするほか、原資も寄付金などに限り、税金である運営費交付金は充てられないようにする方向だ。 同省は地域内の複数の大学で図書や実験薬品・材料を共同購入する会社を作って仕入れコストを引き下げたり、共同で研究所や教養教育を行う組織を設立して教員や研究設備を共有したりすることなどを想定している。 東京大は3月にまとめた秋入学移行構想で、高校卒業から入学までの半年間に学生に多様な体験を積ませる支援組織を産学の共同出資でつくる案を示している。規制緩和でこうした動きも弾みが付きそうだ。 現在の国立大は研究成果を企業に移す技術移転機関(TLO)にだけ出資でき、株式取得もベンチャー企業への技術供与の対価としてしか認められない。TLOに出資したのは東大、京都大など4校で、額も60万~約300...

中教審への提案

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このたび公表された、中央教育審議会大学分科会大学教育部会(第15回、平成24年5月21日開催)の 議事録 を読んで関心を持ったことについてご紹介します。 今回の大学教育部会では、学士課程教育の質的転換のための具体的な取組み、特に「教学マネジメント」の課題に関する意見を聴取するため、5人の有識者が招聘されました。 このうち、 NPO法人NEWVERY理事長の山本繁氏 からは、大学生の中退予防に取り組んできた立場から、大学に対する提案、あるいは教学IRの実際についての説明が行われました。 特に、説明に用いられた資料「 中央教育審議会大学教育部会へのご提案」 のうち、「 中教審への14のご提案 」については、大学現場においても真摯に取り組むべき重要な内容ではないかと思いましたので、該当部分を抜粋してご紹介します。是非ご一読ください。 大学マネジメント層の養成 学生数6000人の大学を運営することは、年商100億円の企業を経営することに値します。 たとえば、夏目漱石の研究を40年されてきた方に、突然100億円企業の経営を担っていただくのはさすがに無理があります。ましてや大学業界は少子化の影響を受け、事業環境は年々悪化傾向です。 改善はボトムアップ、改革はトップダウンがセオリーです。学長を始めとした大学マネジメント層(理事長、理事、副学長、学部長、事務局長、各部局長等)の方々に、非営利組織の経営者としてプロフェッショナルになっていただけるように国を挙げてサポートしていくことをご提案いたします。 大学教員の資格制度 今日、日本の大学には、教育者と研究者とビジネスマンが所属していると言われます。不足していると言われるのは教育者で、中退経験者への イン インタビュー調査 でも、教職員への不満の声は多く聞かれました。 幼稚園から高校の先生には、教職課程と教員資格があります。教育者としてのトレーニングを受け、資質を試されます。 大学教育の質保証は、「大学教員の質保証」とも言えます。 大学教員としての資格制度を設けてはいかがでしょうか。 ※ 参考文献: 「諸外国の大学教授職の資格制度に関する実態調査」(文部科学省) 大学教員の評価制度の変更 日本の大学では、ほぼ年功序列で、長く在籍していれば自然と教授職に就けてしまいま...