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アドミニストレーターの創造(5)

中京大学の 刀根實 氏が書かれた 「大学組織と大学行政管理職員」 のご紹介も今回が最終となりました。 これまで、 アドミニストレーターの要件(備えるべき能力) として、 1 数字(財務関連諸表)が読める職員(Finance) 2 市場動向を理解して先手が打てる職員(Marketing) 3 ITを難なくこなせる職員(Digital Skill) 4 英語(外国語)が話せる職員(English) 5 人間の理解ができる職員(Communication) 6 国内外で交流ができる職員(Network)  をご紹介してきました。 今回は、加えて、 7 専門知識なら教授には負けない職員(Professional) 8 危機管理ができる職員(Risk Management)  です。 Skill 8 専門的知識 さらに、事務職員もその専門性を高める必要があるという点において、 Professional を挙げておきたい。事務職員にとっては、先の大学組織のところでも触れた専門性がますます重要になってくる。大学のみならず日本社会には、かつて三種の神器と呼ばれた雇用システムが今も根付いている。いわゆるジェネラリスト養成のため、組織内のいくつかの部署を経験する人事異動システムもそのひとつである。現在、我が国は社会全体がかつてのいいものは新しい世紀に残し、古くて使えないものは古い世紀に置いていこうとしている境目の時代に生きている。こうした中、日本式人事システムは新しい形になって、次世代に引き継がれなければならない。中途採用を利用してその専門性を競わせるといった従来にはないシステム作りを、中京大学でも早くから導入してきたと聞く。事実、中京大学では現行事務職員のうち、中途採用者の比率が約半数近くになっている。 また行政管理の出来る職員ならば、自らの専門性において、たとえ博士号を持っていなくても、教育職員と同等な議論が可能、あるいはそれ以上となることが理想であろう。その意味では、事務職員が夜間大学院や通信教育などを利用して、自己啓発を行っていけるよう組織的なバックアップ作りが不可欠である。学内に於いて、学生達に資格・免許を取得せよ、と叫ぶ前に自分達の自己研修をおろそかにしてはならない。また、米国大学にて留学生を扱うような国際関連部署では、博士号を持つ...

アドミニストレーターの創造(4)

中京大学の 刀根實 氏が書かれた 「大学組織と大学行政管理職員」 の中から、アドミニストレーターとして備えるべき能力を前回に続きご紹介します。 今回は、 「Digital skill」、「English」、「Communication」、「Network」 です。 Skill 4 デジタル・スキル そこで、3つ目の能力として忘れてはならないのが、 Digital Skill である。ワープロや表計算はもとより、ウエブサイトからの国内・外のあらゆる情報を、自らの大学経営にとって必要なものと、そうでないものとに識別する能力までも含めてのスキルである。ただ単にキーボードを打てるだけでは全く意味がない。膨大な情報量の中から迅速かつ正確に、明日への布石となる情報を手に入れておくことは、教育産業という戦場で戦う事務職員の第一歩である。米国の高等教育研究産業で働く人々によく知られている 「The Chronicle of Higher Education」 のホームページからは、小規模大学の学長職から、学部長や事務職員など、数百にも上るポストの募集が常時行われている。日産自動車やマツダ自動車の例を見るまでもなく、国内に良い人材を見つけることが出来ないなら、海外から優秀な能力を持った人材を捜し出す時代がすでに始まっている。 また、米国の進んだデジタル・テクノロジーはすでに大学にも導入されている。ボイスメールシステムがその一例である。このシステムは米国大学では学生教育サービスの一環として、頻繁に利用されている。ボイスメールシステムとは、教員研究室あるいは各学部センター事務室に設置してある電話機に、ホストコンピュータを利用しての留守番電話機能サービスのことである。これは、早急に連絡が必要な場合にメッセージを残すことにより早い段階で相手に伝えることが出来るため、非常に有効な手段として全教職員・学生に利用されている。また、学生からの問い合わせにも適宜柔軟に対応可能となり、学生サービス向上の一端を担っている。我が国でもコンピュータセンターなどに設置してあるサーバーを拠点とし、この種のサービスを展開することにより教職員相互、または学生間とにおいて無駄のない伝達があらゆる場面で対応可能になると思われる。国を挙げてのIT革命は、大学を始めとする高等教育研究機関から真っ先に始めなくて...

アドミニストレーターの創造(3)

中京大学の 刀根實 氏が書かれた 「大学組織と大学行政管理職員」 をご紹介する第3回目の今回は、「選ぶ側から選ばれる側への転換、すなわち、大学内の主導権が、教授団から学生に移行するという社会背景の中で、大学は過去の成功体験やぬるま湯体質から決別することが必須である」こと、そして、「行政管理のできる資質と能力を持つ『アドミニストレーター』を育成できるか否かが大学の勝敗を分かつ」こと、さらには「どういった能力を持つアドミニストレータを創造すべきなのか」についてのご指摘です。 1 大学行政管理職員創造のための新モデル 選ぶ側から選ばれる側への転換=哀願者からお客様への転換。我が国における大学の主導権は、教授団や理事会から市場支配力(marketpower)を持った消費者としての学生に移行する。新たなる世紀を迎えようとしている今、アカデミズムから学生消費者主義への移行、そしてそこで働く事務職員によるアドミニズムの創造へと進化しなくてはならない時代となった。 古くから大学は「象牙の塔」として、あたかも聖域のように扱われてきた。教授会という強大な力のもと、実社会と乖離した組織として存続してきたと言ってもよい。一橋大学の竹内教授は「世界レベルの競争力を構築するには、産業全体のダイナミズムが必要である。」と説き、その第一歩は「個々の組織が過去の成功体験やぬるま湯体質ときっぱり決別し、自立すること。」と結んでいる。我が国の高等教育業界に於いても、トップ・マネジメントからのドラスティックな意識改革、そしてそのメイン・ストリームを管理職からすべての組織構成員にまで徹底させることが急務となっているのである。先の竹内教授が「全権型プロデューサー」と呼ぶ新たなるジャンルの事務職員の創造。つまり、大学に於いて行政管理の出来る資質と能力を持つ、マーケティングなどを理解した「アドミニストレーター」を育成出来る大学こそが、21世紀の勝ち組大学となるだろう。ここでは、こうした能力を備えた事務職員の創造を目指した動きをアドミニズムと位置付け、先に触れた具体的な九つのフィールドについて論じてみることとする。 2 アドミニ・マンダラ・モデルが包括する9つのマトリックス Skill 1 核としての使命 まず、その中心には大学という組織体がゴーイング・コンサーンとして存続するための Mls...

沖縄 2008 ・ 屋我地島-病者たちの遠い記憶

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今夏の沖縄家族旅行の思い出日記も今回が最終回となりました。 屋我地島 は、沖縄本島北部(沖縄県名護市、中心部から約10km)に位置し、羽地(はねじ)内海に浮かぶ島です。 沖縄本島とは屋我地大橋で結ばれており、さらに古宇利大橋で今帰仁村に属する 古宇利島 と結ばれています。 沖縄八景・嵐山展望台 羽地(はねじ)内海は、屋我地島と奥武島に囲まれた内海で、沖縄の瀬戸内海とも言われています。沖縄海岸国定公園などの指定を受ける景勝地で、嵐山展望台から一望することができます。展望台の周辺にはパイナップル畑が広がり、1階の売店ではパイナップルの試食ができます。 国立療養所沖縄愛楽園 屋我地島に「愛楽園」という名の国立療養所があります。お恥ずかしい話ですが、島に足を踏み入れてはじめて所在とともに、ハンセン病を巡る悲しい歴史と多くの人々の苦しみ、惨劇を知りました。とてもショックでした。 愛楽園について書かれた記事「 一坪反戦通信 第135号 2002年4月28日発行 【連載】やんばる便り24 」 を見つけました。  愛楽園には、これまで何度か足を運んだことがある。園内にある「祈りの家教会」(日本聖公会沖縄教区)執事の松岡和夫さん(石垣市出身)に園内を案内していただきながら、12歳で発病した松岡さん自身の体験も含め、園内外での差別や抑圧の実態、戦争中の苛酷な壕掘りや空襲・食料不足による被害などのお話を聞いた。 愛楽園のある屋我地(やがじ)島は、今でこそ橋で沖縄本島とつながっているが、1953年に屋我地大橋ができるまでは、渡し船でしか行けない孤島だった(橋は7年後=60年のチリ地震津波で流失、63年再建されたが、老朽化が進んだため、93年、現在の橋に架け替えられた)。無知や偏見から遺伝病、天刑病、悪質な伝染病などと忌み嫌われたハンセン病を患った人びとは、文字通り「島流し」され、隔離されたのである。 1938年に設立された愛楽園は、沖縄戦時には軍事施設と誤認され、米軍の集中砲火を浴びた。隣の運天(うんてん)港に日本海軍の基地があったため、その兵舎と間違われたのだ。しかし、園の建物のあらかたを焼失した一方、爆弾による死者をほとんど出していないのは、当時の園長・早田皓氏が園内の丘に掘らせた掩蓋(えんがい)付きの横穴防空壕(早田壕と呼ばれて...

アドミニストレーターの創造(2)

刀根實 氏が書かれた「 大学組織と大学行政管理職員 」のご紹介を続けます。 大学組織と構成員の関係 1 大学組織と構成員の位置関係 大学全体の組織と、その中の一部としての事務組織を考えた場合、先に述べたように、手段としての経営管理を支える教育研究機関と、経営管理機関とにまたがって事務組織が横断的に位置している。ここでは、大学における経営管理の手段としての事務組織の関係について考えてみる。 経営管理の目的は、組織体として大学の存続・成長を基本目的とし、その基本目的の実現のために、大学が現在の経営環境の中で保有している人材、組織、資金、施設・設備、システムなど経営の諸要素を組み合わせ、財政との調和によって教育活動、研究活動、社会活動として展開することである。その目的を遂行するために大学組織を構成しているメンバーが役員(理事)、教育職員、事務職員である。これら構成員の概要を要約すると次のようになる。 最初に理事などの 役員 であるが、我が国の大部分の私立大学の場合、自校の教育職員・事務職員・卒業生から輩出しているケースがほとんどである。このことは、専門管理職としての役員を大学組織内に配置していないことを意味し、アメリカの大学における理事会メンバーの約40%が企業関係者であることと比較すると、経営管理の専門性に対する意識の相違が明確に見えてくる。そのためアメリカの大学理事会では、大学の管理構造を企業の権威形態と類似しているものと考え、トップダウンの経営を支持する傾向があるのに対し、日本の大学は日本的経営を持ち込んだまま、ボトムアップの経営を第一義としている。さらにつけ加えるならば、大学の理事会メンバーは日米を問わず、一般的に言って教授団や事務職員が考えているよりもずっと保守的であることも付記しておかねばならない。 第二に 教育職員 である。当然のことながら教授会のメンバーとして、大学の教育活動と研究活動という根幹の計画を策定するという重要な役割を担っている。一部教育職員によっては、図書館長や大学付置の研究所長や各センター長として責任ある役職を任命され、大学組織から意思決定を委ねられている場合もある。それぞれの立場に応じた計画の策定と、それに伴う責任を委譲されているケースである。しかし、こうした場合はごく少数で、大部分の教育職員が意思決定に具体的に拘束...

アドミニストレーターの創造(1)

近時、高等教育を取り巻く状況が未曽有の変貌を遂げる中、危機的状況に立たされている大学は、学生の多様化や学問の変化等に迅速かつ適切に対応していくための生き残り戦略を立案し、効率的・効果的に実現していかなければなりません。 そのためには、常に自大学の比較優位性を追及し、国内外の大学間競争に打ち勝つ力を備えなければならず、経営トップの理事長や学長のみならず、大学を構成する全ての教職員が一丸となって様々な改革に果敢に取り組んでいく必要があります。 とりわけ、大学職員の職務能力の開発は、今後の大学の経営力の盛衰を占う極めて重要な要件になりつつあることは疑う余地のないところです。 今回から、大学経営人材、あるいは大学行政管理職員と称される 「アドミニストレーターの創造」 に向け、 大学職員はどのような能力を備えるべきなのか などについて、中京大学の 刀根實(Makoto TONE)氏 が書かれた 「大学組織と大学行政管理職員」 (University Organization and Administrators)という論考(抜粋)を数回に分けてご紹介したいと思います。 なお、この論考は、刀根氏が、2000年度の「大学行政管理学会研究集会」において発表された内容を基に加筆修正されたものです。 はじめに 21世紀を目前にして、教育のあり方が根元的に問われている。日本経済が情報化やグローバル化で変貌し、教育産業においてもマーケットである学生をどう鍛えるかが、それぞれの組織や国家そのものの未来を決定づける時代が到来した。そして大学を含めた我が国の教育産業は、大きな転換期を迎えることになる。ようやく我が国でも大学に、アメリカがかつて経験した学生消費者主義の時代が到来することになる。 これら我が国の大学を教育職員と共に支える事務職員も、新たな進化を余儀なくされている。新しい世紀に対応可能な、日本式大学行政管理職員を作り上げるためには何が必要で、何をしなければならないのか?これまでもいくつかの方法論が本学会を始め、いくつかのフィールドで語られてきたが、さらに具体的且つシンプルなモデルを創造し、次世代への架け橋とすることが本論の目的である。 まずは、個としての事務職員が所属する大学の組織について概括することから始めたい。言うまでもなく、我が国の大学は「教育と研...

大学職員論の変遷-2

前回からの続きです。 事務職員の果たす機能の拡大と養成 大学が「国家ノ須要二応ジル学問技芸ヲ教授シ其ノ蘊奥ヲ攻究スル」(帝国大学令1986年)ところから「学術の中心」として「広く知識を授け」「深く専門の学芸を教授研究する」場として、「知的、道徳的、及び応用的応力」を伸ばす場となり(学校教育法1947年)、今日の知識基盤社会においては、大学は「教育機能を充実し、先見性・創造性・独創性に富み卓越した指導的人材を、幅広い教養を様々な分野で養成・確保する機能を果たす役割をもち」、また、「活力ある社会が持続的に発展していくためには、専攻分野についての専門性を有するだけでなく、幅広い教養を身に付け、高い公共性・倫理性を保持しつつ、時代の変化に合わせて積極的に社会を支え、あるいは社会を改善していく資質を有する人材、即ち「21世紀型市民」を多数育成する役割をもつことになる」(我が国高等教育の将来像中間報告2004)。 大学は教育と研究を本来的な使命とするが、現在においては第三の使命として、社会貢献(地域社会、経済社会、国際社会)を大学の使命として捉える時代となっている。具体的に言えば、入学者の確保、就職支援活動いわゆる入口・出口の業務の多様化、留学生の福利厚生、奨学金業務、学生の心理・精神面のケア、生涯学習や産官学連携など幅広く業務展開を必要とされている。さらには社会・経済情勢の変化に伴い大学の経営環境は厳しさを増しつつある中で、みずから経営努力を行うことが不可欠となり、企画立案や渉外広報といった将来計画や戦略に関わる機能も要求されている。 この新しい機能と事務職員の役割についてはすでに多くの論考が発表されているが、初期の包括的なハンドブックとして、日本私立大学連盟・広報委員会編『私立大学職員入門』(1985)、日本私立大学連盟編『私立大学のマネジメント-〔職員必携〕-』(1994)の2冊を挙げる。前者は恐らく日本における最初の大学職員に対する業務ハンドブックであり、後者はその後の環境変化を踏まえ、新たな役割・機能の部分を加えた、新訂版である。後者で孫福は私立大学のマネジメントの問題点として「大学運営がまだ専門職業として成熟段階に達していない」ことをあげている。1994年段階での状況認識がわかる。前者において七澤が教学と運営、言い換えれば教員と職員は「車の完全な両輪...

大学職員論の変遷-1

近年、高等教育や大学を取り巻く状況の変化とともに、大学職員の位置づけ、役割も大きく変化していることは周知の事実です。 「教員と事務職員は車の両輪」、「事務職員は教育研究等の大学の活動を陰ながら支える黒子」といった「事務職員のあるべき姿、存在意義」に関わる考え方が、もはや古びつつあります。 現下の厳しい状況の中で生き延びていくための戦略的な大学経営等を展開していくため、事務職員に求められる役割や能力が益々多様化し、かつ高度化していくことを私達関係者は改めて認識し行動していかなければなりません。 さて今日は、こういった状況の中で、いわゆる「大学職員論」というものが、どのような構造変化を遂げてきたのか、私達はこの変化にどのように対応していかなければならないのかについて、 学校法人ノートルダム女学院 の 後藤 勝氏 が書かれた 「大学職員論の系譜(準備ノート)」 の抜粋をご紹介したいと思います。 全文をご覧になりたい方はこちらをどうぞ → 学校法人ノートルダム女学院機関誌「教育のプリズム-ノートルダム教育-【第6号】」 http://hojin.notredame.ac.jp/kikanshi/prism/06/index.html 事務職員の制度的な位置づけ 日本の高等教育は、昌平校の流れをくむ東京開成学校や医学校を合併して1877年に「東京大学」が創立されたことを嚆矢とする。東京大学は1886年帝国大学令により「帝国大学」となった。それまで専門学校として位置づけられていた私立大学も1918年の大学令により制度上「大学」となった。 2004年4月からの国立大学の独立行政法人化以前においては、国、地方自治体の設置する国公立大学と、学校法人の設置する私立大学があり、設置主体としては法人によるものと規定されていた。1949年の私立学校法の施行により、学校法人を制度化し、学校法人のみが私立学校の設置者となる制度が確立された。 1947年には教育基本法が公布施行され、教育関係の法律主義の原則が確立した。この学校教育法の第1条に「大学」が規定されている。大学はいわゆる1条校である。学校教育法第58条第3項に、学長は、「校務を掌り、所属職員を統督する」存在であり、同法第58第2項「大学には、前項のほか、副学長、講師、技術職員その他必要な職員を置くことが...

記者からみた大学広報 (4)

このシリーズも今回で最終回になりました。今回は、富所 浩介氏(読売新聞大阪本社記者)の講演概要をご紹介します。 講演の中で富所氏は、「大学の広報は内側に向いているタコツボ型で、外部に向けて組織を開き、地域社会や学生に対してアピールする力に欠けている」、「マスコミは、その情報に社会性、公共性はあるか、情報が一般の人達に有益であるかを重視している」、「マスコミは、現代社会を描く、もしくは切り取る一つの素材として大学を採りあげる」と指摘しています。 私は92年に読売新聞社に入社して以来、主に教育や司法などの分野を中心に活動をしてきました。その経験から、大学における広報のあり方について考えてみますと、言葉は悪いですが“タコツボ型と言いますか、内側に向いている傾向があるようです。つまり、外部に向けて組織を開き、地域社会や学生に対して「私たちはこういう大学です。こんな魅力があるので、ぜひ来てください」とアピールするカに欠けているように思うのです。 これからは「大学全入時代」を迎え、大学も生き残りをかけて自分たちをいかにPRしていくかが死活問題となるでしょう。国立大学は法人化という劇的な変化があり、広報にカを入れている様子が目に見えて感じられるようになりました。近年では、老舗と言われる企業がちょっとした不祥事をきっかけに世間の信頼を失って、あっという間に地に落ちていく姿がたくさん見受けられます。ブランドカがあると見られている大学も決して安泰ではありません。有名大学といえども、いっそういう局面を迎えるかは分からない時代ですので、ブランドカをさらに高めていくための不断の努力が必要なのです。 「社会性・公共性」の有無がマスコミ訴求への大きなカギ それでは、マスコミはいったい大学のどのようなニュースを採り上げているのでしょうか。端的に言いますと、「その情報に社会性、公共性はあるか」が重視されていることが分かると思います。 文部科学省の記者クラブなどでは、実に数多くの大学からプレスリリースをいただきます。しかし、単に創立何周年でイベントを行いますとか、このような講演を開きます、といった情報だけでは訴求力が弱い。絶対に掲載されないとは言えませんが、マスコミは基本的に特定の大学の宣伝になることは避け、その情報が一般の人たちに有益であるかどうかを第一に考えます。つまり、記...

戦略経営の確立に向けて

昨今、大学経営戦略の構築に関する論考の多さとともに、各執筆者の視点の広さ、知見の深さに驚き、ひたすら敬服するばかりですが、今回は、この日記でもおなじみになってきました  日本福祉大学常任理事の篠田道夫 氏が書かれた 「戦略経営を構築するための基本手法」 をご紹介します。 今回の論考では、簡単に申し上げれば、戦略的な大学経営を行うために求められる「手法」として、1)他大学が真似できない教学上、経営上の特色やスキルといった「中核能力」(コアコンピタンス)を育て強める施策、2)他大学等のベストプラクティスや一流の成果の成功要因や手法を学び、活用することを通して、自大学の改革、改善を図る取り組みであるベンチマーク手法、3)大学のミッションとそれを実現する政策全体、計画の全容を一覧化(可視化)した成果体系図(戦略マップ)の作成、4)顧客のニーズをつかみ、顧客の満足度を得る、あるいは高めるための手法であるマーケティング・マインドの活用が重視されています。 選択と集中、コアコンビタンス 戦略の策定と遂行の中で重視すべきなのがコアコンピタンス経営の考え方である。分析作業は、勢い短所や問題点、課題を明らかにすることが重視されがちだが、戦略として大学のこれからの発展の基軸は何かを考えるとき、 長所、強み、それも中心となる強みは何かを鮮明にすることが特に重要 だ。大学が社会的に存立している以上、他にない強みは当然持っている。この 他大学が真似できない、あるいは真似しようとしても難しい内部に蓄積された固有の教学上、経営上あるいは社会連携事業の特色やスキル、この中核能力=コアコンピタンスに着目し、これを育て強める施策 が求められる。これこそが差別化戦略の根幹であり、 問題点を克服、改善する施策以上に、大学の将来を切り拓く原動力 になる。 投資できる資源には限りがある。大学の中核事業の発展を考えると、 コアコンピタンスの形成と強化に連動する事業を選定し、そこに特化 することが必要となる。これが経営に「選択と集中」が求められるゆえんだ。選択と集中とは、事業全体を見直し、目的に対し、必要・不必要を明確にしていく手法で、重点事業への資源の集中の一方で、不要不急の業務の縮小や廃止は不可避である。 生き残りのためには、他大学の優位に立つための教学・経営資源は何か、逆に不必要なものは何かを...

記者からみた大学広報 (3)

シリーズ第3回目となる今回は、天野 幸弘氏(朝日新聞大阪本社生活文化部記者)の講演概要をご紹介します。 天野氏は、主に「マスコミに記事を紹介する気にさせる方法」「どうすれば大学の情報が効果的に流通するようになるか」等について話されています。 私たちマスコミの仕事は、世の中に起きているニュース性のある素材を様々な角度から紹介することが基本です。大学情報もジャーナリズムの1部門であり、皆さんは盛んにパソコンで送られたり、ファックスで送られたり、郵便物で送られたりしていますけれども、すでにお気づきになっている通り、そのデータの大半はほとんど在庫のまま、世間には流通していないのではないでしょうか。大学関連では、関西には京都大学と大阪大学、科学技術センターの3か所に記者クラブがありますが、そこに情報提供されても、放置されたままになっている可能性がある。この状態をどうずればいいのか。今日は、皆さん方が、マスコミに記事を紹介する気にさせる方法を、いくつか申し上げたいと思います。 例えば、私ども朝目新聞大阪本社の生活文化部には大学担当者が置かれていて、先日も大学からの郵便物が20通ほど来ていました。しかし、その中で担当者の宛名が記されていたのはたった2通に過ぎません。そうしますと、私たちも宛名の書かれてあるものから順番に開封して読みますよね。 次に、「大学の情報」とはいったい何かということです。私は、一番大事なのはやはり先生方の研究成果と教育活動だと思っています。しかし、実際のプレスリリースでは大学の対外活動が主となっています。例えばこんな施設を作っただとか、イベント的なものが中心になっているんですね。 ここで具体例を挙げると、関西大学は「高松塚古墳の復元模型を作る」という内容のリリースをされました。その中で特徴的だったのが、記者会見に理事長、学長が揃って出席するということで、マスコミの側もこれは何か重大なニュースがあるんじゃないかと、各社カメラマンを連れて出かけていった。非常にうまいPRの仕方だと思います。 一方で、大学は巨費を投じて、海外での調査活動や共同研究者を集めた学会などを開いていますが、あまりニュースになりにくいですね。これはマスメディアの宿命かもしれませんが、「はじめて」「最大」「最後」といった非常に分かりやすいキーワードで切り取られたものが中...

国立大学法人の改革推進状況

去る10月9日、文部科学省に設置された国立大学法人評価委員会が、国立大学法人の平成19年度業務実績に対する評価結果を決定し各法人に通知したことは既にこの日記でもご紹介したとおりです。 国立大学法人の平成19年度評価結果(1)  http://daisala.blogspot.jp/2008/10/blog-post_7311.html 国立大学法人の平成19年度評価結果(2) http://daisala.blogspot.jp/2008/10/blog-post_6659.html 各国立大学法人に通知された内容には、各法人自身の評価結果のほかに、1)評価委員会委員長の見解、2)国立大学法人全体の評価結果の概要、3)国立大学法人の改革推進状況があります。 今日は、このうち、私達大学職員が最も参考になると思われる「国立大学法人の改革推進状況」という資料の中から主に経営に関わる部分についてご紹介したいと思います。 ご覧いただくとわかるように、この資料には、評価委員会が行う評価の観点、つまりは、評価委員会が推進すべきと考えている項目ごとに、各国立大学の取り組みのうち、推奨ないしは評価の高い事例が紹介されており、各国立大学は、この 他大学の先進事例を参考にしながら、大学の個性や特色に合った改革に取り組んでいます。 国立大学法人の改革推進状況 ※ここにあげる取組については、国立大学法人評価委員会が把握した各国立大学法人の特色ある例をまとめたものであり、全法人が一律に行わなければならないと考えているものではない。 1 管理運営組織の改革と柔軟な資源配分の実施 (1)管理運営組織の改革 中期目標期間の4年目となる平成19年度においては、これまでの管理運営組織の在り方を検証し、管理運営組織の改革が進められてきており、管理運営コストの削減に向けて、管理運営組織のスリム化・効率化を積極的に進めている法人も見受けられる。 (具体的取組例) 大学の経営戦略機能の強化を図るため、財政企画室、人事企画室、大学運営会議及び将来構想会議を統合して、新たに経営戦略会議を設置している。【東京外国語大学】 文系6部局の事務部を統合するとともに、これまで複数部局に分散していた環境学研究科、情報科学研究科の事務処理体制をそれぞれ統合し、管理運営...

高等教育政策の動向

国立大学関係を中心に、既にご存知の方も多いのではないかと思いますが、(独)国立大学財務・経営センターでは、センターが主催・共催するセミナー・研修会、財務・財政研究会など各種事業イベントの案内、研究コラム、文部科学省からの情報、各大学における経営実情レポート、経営相談Q&A、財産管理・施設整備に関する情報などを、主に国立大学関係者にタイムリーに提供することを目的として、メールマガジン 「国立大 F&Mマガジン(F=Finance、M=Management)」 を発行しています。 平成18年6月の創刊以降、現在では、2,375名の方々に配信されており、財務・経営に関する有用な情報が提供されています。 バックナンバーをご覧になりたい方は以下のURLを開いてみてください。 http://www.zam.go.jp/q00/q0000001.htm 今日は、昨日配信された第29号の記事の中から、個人的な趣味に基づいた主な情報をご紹介します。 ■特別寄稿「見ればただなんの苦もなき水鳥の-学長を退任して-」(前茨城大学長 菊池龍三郎 氏) 8月末で茨城大学長を退任された菊池龍三郎氏の学長体験談 http://cz.biglobe.ne.jp/cl/F02201000109/399/1/1342078 ■特別寄稿「大学経営のプロへの途」(英国ノッティンガム大学ビジネス・スクール事務部長 ポーリーン・オサリバン 氏) 大学教員の経験を大学行政に活かして活躍されているオサリバン氏のエッセイ http://cz.biglobe.ne.jp/cl/F02201000109/399/2/1342078 ■「平成20年度国立大学法人等の財産管理に関する研究協議会(第2回)」資料 9月29日(月曜日)に開催された研究協議会の資料 http://cz.biglobe.ne.jp/cl/F02201000109/399/4/1342078 ■「第43回高等教育財政・財務研究会」資料 センター研究部が10月4日(土曜日)に開催した研究会の資料 テーマ 国立大学の教育研究に対する企業からの期待 講 師 吉武博通 氏(筑波大学理事) 講演資料  http://cz.biglobe.ne.jp/cl/F02201000109/399/15/...

記者からみた大学広報 (2)

今日は、「マスコミの第一線記者から見た「大学広報」の現在」シリーズの第2回目として、中村正史氏(朝目新聞東京本社出版本部ムック編集部編集長)の講演内容をご紹介します。 中村氏は、長年大学を取材してきた経験から、「大学が変わる時は広報が変わっている」「広報の人と話をすれば大学の校風がわかる」と言明された上で、広報を、宣伝、PRである「攻めの広報」と、危機管理である「守りの広報」に区分し、主に朝日新聞の「大学ランキング」の創刊以降15年間の大学評価の変遷、マスコミへの対応の最高の例と最悪の例、記者との付き合い方、そして危機事象発生時の対応の仕方等について示唆に富む指摘をされています。 『大学ランキング』が見た大学評価の15年 『大学ランキング』が創刊したのは1994年です。来年の春で15周年になります。創刊の趣旨は、偏差値に代わる多様な観点から大学を評価することですので、まずはデータを集めることから始めなければなりませんでした。 創刊号はすごく売れました。完売しました。ところが文科省や大学の反応は冷ややかで、アンケートに答えてくれなかったり、データを提供してくれなかったりといった対応もありました。 それが変わり始めたのは、90年代の後半です。各大学が自己評価報告書を作るようになり、それに『大学ランキング』のデータが使われました。大きく変わってきたのは2000年前後です。大学の競争原理が定着してきた中で国立大学からのアプローチが増え、どうしたら上位にランクされるのかを問い合わせてきたりしました。創刊10年でやっとそこまでになったわけです。 それでは、15年の中で各大学の評価がどう変わったのか、いくつかの指標で見ていきたいと思います。 教育面、研究面で優れた大学という指標を見てみます。これは大学の学長のアンケートに基づくものです。教育面で1994年当時の第1位は慶應義塾大学、第2位が立命館大学、第3位は慶應義塾大学のSFCが入っています。その後SFCは単独での評価が下がり、2000年以降はランク外になりました。逆に上がってきたのが金沢工業大学です。2000年に初めてベスト10に顔を出し、2007年には第1位になっています。研究面では、上位に変化はありませんが、早稲田大学が少しずつ上がってきています。 次に高校からの評価です。これは、全国の進学...

沖縄 2008 ・ 古宇利島と古宇利大橋

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古宇利島 古宇利(こうり)島は半径約1Km、周囲が約8kmあり、漁業と農業が盛んな島です。古宇利大橋を渡り始めるときれいな海が広がり思わず声が出てしまうほどきれいです。 島内はのどかでサトウキビ畑が広がり、昔ながらの沖縄の家が建ち並んでいます。映画やCMのロケ地としても有名です。 古宇利大橋が開通して島外の人もアクセスしやすくなり、週末にもなると島内はにぎやかになります。また、食堂もありますので食事をすることもできます。 橋の近くにきれいなビーチがあり、パラソルなどのレンタルも行っていますので海水浴を楽しむこともできます。また、シュノーケルツアーなども体験できるショップもあります。( 沖縄観光チャンネル から) 古宇利島・古宇利大橋・屋我地島周辺マップ http://www.ritou.com/ritou/kouriyagaji.shtml 古宇利大橋(古宇利島から屋我地島を望む) 平成17年2月8日に古宇利大橋が開通しました。この橋は、今帰仁村の古宇利島と名護市の屋我地(やがじ)島を結ぶ長さが1960m。無料で通行できる橋の中で長さ日本一の橋です。橋が結ばれるまで島の人は船で行き来していました。橋はほぼ直線で、橋の入り口から見る古宇利大橋はエメラルドグリーンの海の真ん中に堂々としています。橋の上からの風景もとてもきれいです。きれいな海を見たいときは、風のない晴れた日が良いです。。( 沖縄観光チャンネル から) 古宇利ビーチ 古宇利島の入口にあるビーチです。レンタルショップやシャワーやトイレ、お店などもあって充実しています。 基本的に遠浅の海なので、シュノーケリングは期待できませんが、ビーチでまったりしたり、海でプカプカ浮かんだりするにはいい感じの海かもしれません。まさに「のんびり」するためのビーチって感じがします。 海水浴にオススメのビーチですね。( 沖縄離島ドットコム(古宇利ビーチの情報) から) 沖縄の人達は、これまで常に、「沖縄の自然環境保護と島民の安全や利便性の追求」という相反する課題を突きつけられてきました。古宇利大橋の建設もその一つではないかと思います。 私が心を打たれた本の一つに 森口 豁さんの 「誰も沖縄を知らない」 という本があります。古宇利大橋の建設と島民の気持ちについて触...

国立大学法人の平成19年度評価結果(2)

前回に引き続き、国立大学法人評価委員会が行った平成19年度の国立大学法人の業績評価の結果です。今日は、国立大学法人全体の評価結果(抜粋)をご紹介します。 国立大学法人の平成19年度に係る業務の実績に関する評価結果の概要 1 全体の状況 平成19年度は中期目標期間の4年目に当たり、それぞれの法人において、学長のリーダーシップの下、各法人の基本的な理念や置かれた環境に応じて、工夫・改善を図りつつ、中期目標の達成に向けて意欲的に運営を進めている。一方、管理運営コストの削減は重要な課題であり、今後は、各法人の規模・特性に則して管理運営体制・組織の在り方を検証し、必要に応じてそのスリム化を検討していくことが期待される。 また、平成18年度の評価結果において課題として指摘した事項については基本的には改善が図られており、各法人において、評価結果を活用した改善システムが有効に機能しつつある。一方、一部の法人では、これまでに評価結果において課題とされた事項に対して、十分な対応がなされていない事例も見られ、これらの法人においては、評価結果を法人運営の改善に反映するための真摯な取組が求められる。 (1)業務運営・財務内容等の状況 「業務運営の改善・効率化」「財務内容の改善」「自己点検・評価及び情報提供」「その他業務運営に関する重要事項(施設設備の整備・活用、安全管理等)」の4項目について、中期目標・中期計画の達成に向けた業務の進捗状況等について評価を行った。 ■業務運営の改善・効率化 基本的には順調な進捗状況にあり、一部の法人において進捗状況に遅れが見られるものの、教職員の評価結果を給与等処遇に反映させるなど、特筆すべき進捗状況にある法人も見られた。 ■財務内容の改善 平成16~18年度に引き続き、多くの法人でその特色を活かしつつ、外部資金の獲得や経費節減に様々な工夫や努力を行った結果、具体的な成果が得られており、一部の法人において進捗状況に遅れが見られるものの、基本的には順調に進捗している。 ■自己点検・評価及び情報提供、その他業務運営(施設設備の整備・活用、安全管理等) 引き続き、基本的には順調に進捗しており、外部評価の実施や施設設備の有効活用等に積極的に取り組んでいる。 一方で、経営協議会の運営、学生収容定員の充足、研究費の不正使用...

国立大学法人の平成19年度評価結果(1)

昨日(10月9日)、文部科学省に設置された国立大学法人評価委員会は、平成19年度の各法人の業務実績に対する評価を決定し各法人に通知しました。 各法人ごとの評価結果は公表されておりませんが、今回の評価を総括する形で、「評価委員会委員長見解」「国立大学法人全体の評価結果の概要」「国立大学法人の改革推進状況」が公表されています。 今日はこのうち「評価委員会委員長の見解」をご紹介します。 まずは、昨日の公表を受け、これまでに報道されている記事を3つほど。 経営協議会審議、6校で不適切=国立大評価 (2008年10月9日 時事通信) 文部科学省の国立大学法人評価委員会は9日、国立大と大学共同利用機関の全91法人について、2007年度業務実績の評価結果を公表した。外部の意見を反映させるための経営協議会の審議が6大学で不適切だったなどとして、評価委は「一部で取り組みが不十分」と指摘した。 宮城教育大、福岡教育大など6校は、学外の委員が参加する経営協議会で審議すべき財務諸表、役員報酬規定などを、事後報告で済ませていた。 弘前大、信州大など9校では、博士課程、法科大学院で学生の定員充足率が基準の9割を切っていたことが判明。今後、運営費交付金の返還が求められる。 小樽商科大、静岡大など10校と高エネルギー加速器研究機構では、研究費の不正使用を防止するための規定・体制の整備が不十分だった。 一方、30校と2機関は、教職員の個人評価を給与などに反映させる仕組みを導入済み。評価委は「運営効率化は基本的には順調に進んでいる」とした。 大学研究費:不正流用防止のルール作り、11法人で不適切 (2008年10月9日 毎日新聞) 国の研究費の不正流用を防止するルール作りについて、91の国立大学法人と大学共同利用機関法人のうち11法人で適切に行われていないことが、国立大学法人評価委員会(野依良治委員長)の調査で分かった。同委員会は「早急な対応が求められる」としている。 不正流用防止のガイドライン制定、監査体制作り、研究者の勤務時間管理などが行われているかについて、07年度の実態を調べた。適切な対策が取られていなかったのは▽北海道教育大▽小樽商科大▽お茶の水女子大▽総合研究大学院大▽北陸先端科学技術大学院大▽福井大▽静岡大▽大阪大▽鳴門教育大▽鹿屋体育大...

大学職員サミット「やまぐちカレッジ2008」

これからの大学には、学長や経営トップを支えるプロとしての力量のある事務職員が不可欠であり、今後、OJTを通じた実践的SD、職能団体や大学等が行うSD活動、大学院での専門教育など、多様な機会を積極的に活用し、事務職員が主体的に企画能力、専門能力、課題発見・解決能力を高め、教員との適切な役割分担・対等関係に基づく協働を促進していかなければなりません。 また、その前提として、私達大学は、教職員の意識改革(又は意識のない者への動機付け)、事務組織の硬直性や非効率性の解消、OJTにおいて指導者となるべき幹部事務職員の能力開発、そして、大学の特殊性と言われる部局自治主導の運営方式からの早急な脱却に向けた組織的、責任のある行動に努めなければなりません。 教職員の職能開発については、先に中央教育審議会がとりまとめた「学士課程教育の構築に向けて(審議のまとめ)」の中でもその重要性が指摘されているところですが、最近では多くの大学でSD(スタッフ・ディベロップメント)の取り組みが積極的に進められています。 中でも、既にこの日記でもご紹介しましたが、昨年度、山形大学が本邦初の取組として実施した「大学職員サミットやまがたカレッジ2007」は、注目すべきものがあると思います。 「 大学職員サミットやまがたカレッジ2007 」 「大学職員サミットやまがたカレッジ2007」レポート 大学職員の世界が閉ざされている限り、この国の高等教育に将来はないと言っても過言ではなく、そのために大学職員は、このようなSD活動に積極的に参画し、個別大学だけに通用する能力ではなく、普遍的な能力を身につけなければならないのではないでしょうか。 今日は、昨年度の山形大学に続き、来る11月8日(土曜日)~11月9日(日曜日)に山口大学で開催される「 第2回大学職員サミットやまぐちカレッジ2008 」の概要をご紹介します。 サミットの詳細は以下のURLをご参照ください。 http://ds22.cc.yamaguchi-u.ac.jp/~www-yu/cgi-bin/topics_event/2008/event081006/ 【関連ブログ】(10/16追加掲載しました) 「大学職員サミット やまぐちカレッジ2008」 開催(10月15日 大学プロデューサーズ・ノート) ...

記者からみた大学広報 (1)

大学を取り巻く現在の厳しい環境の中で、今後、教学を含めた大学経営の強化を図っていくためには、教育研究活動に関する情報の社会への積極的な提供や、危機事象発生時における社会への説明責任を適切に果たしていく「大学広報」の在り方が極めて重要な位置付けになるのではないかと思います。 そこで今回から4回シリーズとして、 「マスコミの第一線記者から見た「大学広報」の現在」 について、昨年末に「大学通信」という企業が大学の広報担当者を対象に開催した「大学広報支援セミナー」での4人の記者経験者の方々の講演概要をご紹介したいと思います。 このセミナーは、「 Campus Navi Network 」という情報提供サイトを運営する「大学通信」という企業が、創立40周年を記念し設置した「大学プレスセンター」 *1 の紹介を兼ねて東京と大阪の2会場で開催されたものです。 「大学プレスセンター」の詳細については、以下のURLをご参照ください。 http://www.u-presscenter.jp/modules/bulletin/index.php 今回は、澤 圭一郎氏(毎日新聞社編集局とうきよう支局長)の講演内容です。 私は毎日新聞社で今日まで18年間、記者として働き、その間には都庁や文部科学省など教育関係の仕事も担当してきました。その経験からお話しをしますと、まず大学広報の方々は、大学が世間からどのように見られているのかを考えてほしいですね。 例えば、大学に対して世間で一番関心が高いのは「入試」です。大学が入試改革をすれば、それだけでニュースになります。最近はずいぶんいろんなレパートリーを揃えた入試が増えてきましたが、私が担当していた頃、河合塾が大学の入試問題を代行して作るという話がありました。そうしますと、予備校に入試問題を作ってもらう大学っていったいどこだろうと、大きな関心を呼ぶわけです。 また、今日ではAO入試は当たり前ですが、かつて西武文理大学で「バーベキュー入試」といって、受験生にバーベキューを作らせて合否を判定するというユニークな入試が登場し、記事に採り上げた記憶があります。奇を衒った、という言葉が適当かどうかは分かりませんが、そのくらい世間の注目を引くようなものでないと、なかなかニュースにはならないということは言えるでしょう。 「初も...

教育再生懇談会レポート

これまでどちらかといえば、初等中等教育を中心に検討されてきた政府の教育再生懇談会が、いよいよ高等教育の議論を始めました。 今日は、9月22日(月曜日)に開催された教育再生懇談会の議事要旨の中から 「大学全入時代の教育の在り方について」 の議論の様子をご紹介します。 なお、関連する資料及び議事要旨全文は、 教育再生懇談会のホームページ をご覧ください。 大学全入時代の教育の在り方について 安西座長 私立大学の学生のレベル、学力が低いというのは由々しい問題である。大学側は経営の問題がかかっているという現実がある。 一方、日本は学費の私費負担が大きいという現実もある。家庭環境、所得格差が学歴格差を生むというデータも多々出ており、そういうことに対するバックアップが大事である。悪循環がありそこを断ち切る1つの方策としては奨学支援だと考えられる。また、GPAなど大学での学力の質の担保を大学に対して強く言う必要がある。 田村委員 重要な問題で、すぐ大学が多すぎるという議論につながるが、日本はOECD先進諸国と比較して、大学は多くはない、むしろ少な目である。 将来、知識基盤社会を作ろうとする場合には、社会的なインフラとして、大学はこれぐらいはなければ、先進国に伍していけない。 量ではなく、質の問題である。卒業段階の試験や入学のときの試験といったことのほか、入ってからも色々な仕組みが議論されており、丁寧に議論して実体化していくことでかなり改善されるのではないか。 若月委員 修了率が日本は91%だが、米国は56%となっているが、これはどう読めば良いのか。 安西座長 フランスやアメリカでは、社会、市民、国等が教育に投資をするのが大事だという認識がある。日本の場合は、教育投資は国がやるべきことであるということになっていて、狭間に私立大学が落ちている。国からの投資も必要だが、市民のバックアップが高等教育の充実には大事である。そういう中で私費負担が大きいので、所得の格差が学歴格差を生み、それが遺伝していく。その根をどこかで断ち切らなければいけない。 高等教育が改善されれば初等教育も改善されていく。私立大学をなんとかして欲しいという訳ではなく、国公私を通じて、大学、高等教育の在り方を実態を見て、原因を突き詰めてその原因を取り除く方...

沖縄 2008 ・ ひめゆりの塔

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沖縄を訪問する目的や意義は人によって異なりますが、我が家の場合には必ず「戦争」をテーマの一つにしています。今年は、南部戦跡のひとつである「ひめゆりの塔・ひめゆり平和祈念資料館」を訪問しました。 「ひめゆりの塔」には、戦時下、陸軍病院に看護要員として配属され尊い命を失った、沖縄県立第一高等女学院と沖縄師範学校女子部の学徒隊や職員が祭られています。また、ひめゆりの塔の後方には6つの展示室を設けた「ひめゆり平和祈念資料館」があり、生存者の証言などが展示されています。 これまで3度ほど訪問していますが、訪問する度に「戦争の悲惨さや平和のありがたさ」を学び、「平和を維持することが今生きている私達の責務」であることを思い起こさせてくれる場所です。特に子どもには必ず訪問させたい場所です。 ひめゆりの慰霊碑・ひめゆりの塔 ここには亡くなられた方の名前が刻んであります。碑の手前にある穴は、陸軍病院第三外科壕があった壕です。右の木の左側に小さく写っているのが「ひめゆりの塔」です。当時、壕(洞窟)の中には住民や軍人の遺骨に混じってひめゆりの少女たち数十体の白骨が重なり合っていたそうです。 入口にある石碑の裏には、沖縄県女子師範学校の校歌が刻まれていました。 ひめゆり平和祈念資料館 アジアへの侵略、日本政府が沖縄を「捨て石」にしたこと、戦争の悲惨さがリアルに表現されてあります。 米軍の沖縄上陸作戦が始まった1945(昭和20)年3月23日深夜、沖縄師範学校女子部・沖縄県立第一高等女子学校の生徒222人、教師18人は、那覇市の南東5キロにある南風原の沖縄陸軍病院に配属されました。 3月26日、米軍は慶良間列島に進攻、4月1日には沖縄本島中部西海岸に上陸。米軍の南下に従い日本軍の死傷者が激増し、学徒たちは後送されてくる負傷兵の看護や水汲み、飯上げ、死体埋葬に追われ、仮眠を取る間もなくなっていきます。 5月下旬米軍が迫る中、学徒たちは日本軍とともに陸軍病院を出て、本島南端部に向かいました。移動先の安静もつかの間、激しい砲爆撃の続く中で6月18日を迎えます。学徒たちは突然の「解散命令」に絶望し、米軍が包囲する戦場を逃げ惑い、ある者は砲撃で、ある者はガス弾で、そしてある者は自らの手榴弾で命を失いました。陸...