投稿

3月, 2016の投稿を表示しています

国立大学法人運営費交付金改革の経緯と今後の方向性(8)|平成28年度予算案に関する文部科学省の説明(2)

イメージ
(続き) 1 機能強化経費の配分の考え方 (経過) 平成28年度予算における機能強化経費の配分の考え方については、平成27年6月に、「第3期中期目標期間における国立大学法人運営費交付金の在り方について 審議まとめ」(以下、「審議まとめ」)をとりまとめるとともに、これを踏まえて、重点支援に向けた観点や留意点等を内容とする「平成28年度における国立大学法人運営費交付金の重点支援について」(以下、「観点及び留意点」)を各大学に示したところ。 機能強化促進係数の具体的な割合については、「審議まとめ」で記していたように、平成28年度の予算編成過程で決定。これに伴い、機能強化促進係数による各大学からの拠出額が定まるとともに、同じく予算編成過程で運営費交付金の全体規模が定まったこと等を受け、「教育研究活動(プロジェクト等)関係」と「教育研究組織整備関係」の具体的な予算額が決定。 その具体的な配分の決定については、「審議まとめ」や「観点及び留意点」を踏まえて、各大学から示された取組構想(ビジョン、戦略、評価指標、具体的な取組)について、有識者の意見を踏まえ、訓価に基づく配分を行ったところ。 1)教育研究活動(プロジェクト等)関係について 「教育研究活動(プロジェクト等)関係」については、機能強化促進係数によって各大学から拠出された財源(機能強化促進係数影響額)である約94億円を活用するとともに、第2期までの事業の継続性等を考慮して約10億円を加えて配分することとし、合計で約104億円を機能強化経費として措置。このうち、機能強化促進係数影響額の再配分については、8項目の評価指標(別紙1「3.評価の対象(2)評価項目と評価方法」)により、戦略ごとに評価し、配分。 なお、このほか、補助金からの移行分として59億円、さらに入学者選抜改革分として10億円を措置。 2)教育研究組織整備関係について 第3期において、教育研究組織や学内資源配分の見直しを進めることについては、「国立大学改革プラン」(平成25年11月)等を通じて、各大学に対して検討を求めてきたところ。 「教育研究組織整備関係」については、すべての大学が毎年度要求する性格のものではなく、その予算額の規模も、機能強化促進係数によって各大学から拠出された財源を基礎...

国立大学法人運営費交付金改革の経緯と今後の方向性(7)|平成28年度予算案に関する文部科学省の説明(1)

イメージ
(続き) 2 文部科学省による説明 まず、公表された資料を見る前に、 文部科学省 の 高等教育局長 が、国立大学の予算担当理事、事務局長、担当部課長約200名を集めた「 平成28年度国立大学法人の予算等に関する説明会 」(平成28年1月26日)の 開会挨拶 で説明した内容(文教ニュース 平成28年2月1日)を抜粋してご紹介します。文部科学省の考え方がイメージできるのではないでしょうか。 28年度予算案については、昨年6月に「経済財政健全計画」が閣議決定されて、その計画を踏まえて、初年度ということで歳出改革を着実に推進するという基本的な考え方に立って予算編成がなされたところであるが、全体として非常に厳しい状況であったというふうに思っている。  このような中で平成28年度の国立大学関係の予算については、特に平成16年度の法人化以降続いてきた減少傾向に歯止めをかけることができた。第3期中期目標期間のスタートとして対前年度同額の1兆945億円の政府予算を獲得することができたということである。  このような結果となったのは、昨年秋以降、各大学からの大学の抱えている実情やこれまで進めてきた改革を積極的に様々な関係者に情報発信していただいたことにより、国立大学改革の重要性について財政当局にも一定のご理解をいただけたと思う。  一方でこうした結果は、国立大学に対して国民から強い期待を寄せられているということで、今後の取組は非常に重要であり、前の年度の予算の査定ということになるので、改革の進捗状況というのが社会的に評価をされるということが前提となっているということは是非ご理解をいただきたい。  運営費交付金を、第3期に入ったので算定ルールについても昨年の検討会の1次まとめを踏まえて話し合いを行ったので、その点についてもこの後説明がある。是非今回様々な新しい仕組みを導入する各大学が機能強化を進める上での重点支援の仕組みや学長裁量経費等を有効活用していただいて改革の取組を着実に進めていただきたい。  総額が前年度同額になったわけであるが、各大学ごとの額を見れば増えている大学もあれば減っている大学もあるということに当然なる。それぞれの大学で違うということを学内でも十分説明していただきたいと思うが、対前年度同額の中で...

国立大学法人運営費交付金改革の経緯と今後の方向性(6)|平成28年度予算案に関する財務省の説明

イメージ
(続き) それでは、 平成28年度予算(大学、科学技術関係) の内容を見ていくことにします。昨年末に閣議決定され公表された政府予算案の概要等から抜粋します。 1 財務省による説明 まず、財務省が作成し公表している「 文教・科学技術予算のポイント 」から関連する主な内容を見てみます。 国立大学法人運営費交付金 主要先進国中最悪の財政状況を抱える我が国において、国立大学法人が今後も高い質を確保しながら自立的・持続的な経営を進めていくためには、今よりも運営費交付金に頼らずに自らの収益で経営していく力を強化していく必要がある。また、「経済・財政再生計画」の対象期間において、財政への一定の貢献も求めていくことが重要である。 そうした観点から、平成28年度からの第3期中期目標期間では、組織再編などに積極的に取り組む大学に対する運営費交付金のメリハリある配分、機能強化を促すための補助金の改革、自己収入目標の設定、寄付金に係る税額控除の導入などを実施し、各国立大学に積極的な体質改革を求めていくこととする。 特に運営費交付金については、第3期中期目標期間にわたり、以下に示すような適正化・再配分ルールを設定することとする。ただし、同期間の初年度となる平成28年度については、改革に向けた準備期間という趣旨から特別な配慮を行うこととし、機能強化経費として100%の再配分を認め、前年度同額を確保することとした。 <運営費交付金の適正化・再配分ルール> 新設する3つの重点支援区分毎に▲0.8%~▲1.6%の機能強化促進係数を適用して財源を確保(毎年度100億円程度)し、このうち2分の1程度の額を教育研究活動の機能強化のための改革等に取り組む大学に重点配分(運営費交付金内で再配分)する。 残りの財源を活用して、教育研究活動の機能強化や大学経営の基盤強化を含む組織改革に必要な初期投資費用を支援する(新規の補助金)。 <注記> 機能強化促進係数は、上記の通り3つの重点支援区分ごとに▲0.8%~▲1.6%を適用。更に人件費比率を勘案し率を設定(別途加算:大学の財務構造に配慮) 教育研究活動の活性化、学長を支援する体制の強化など業務運営の改善のため、第3期中期目標期間中「学長裁量経費」402億円を毎年度の基幹経費に設定 大学が確保する自己収入...

国立大学法人運営費交付金改革の経緯と今後の方向性(5)|財政審による建議

イメージ
(続き) 平成28年度予算の編成等に関する建議 (平成27年11月財政制度等審議会) 財政制度等審議会は、平成27年10月の財政制度分科会における審議の内容が、国立大学をはじめとする大学関係業界に大きな波紋を拡げ、批判を浴びる中、11月に予算編成等に関する建議を取りまとめました。 国立大学及び科学技術関連の主な内容を抜粋します。関係者の努力の甲斐あってか、財務省の主張も相当トーンダウンしたように感じられます。 4 教 育 我が国の国立大学は、運営費交付金にその収入(附属病院収入を除く)の半分以上を依存している状況にある。18歳人口が減少し、先進国中最悪の状況にある我が国財政が益々厳しさを増す中で、国立大学がそれぞれの機能強化の方向性等(平成27年6月に公表された「国立大学経営力戦略」で示された3つの重点支援区分)に応じた教育研究の高い質を維持しながら、自立的かつ持続的な経営を続けていくためには、民間資金の導入などを進め、自らの収益で経営していく力を強化していく必要があると考えられる。 (2)国立大学法人運営費交付金 ① 18歳人口の減少と国立大学の入学定員、教職員数 我が国の18歳人口は平成4年度の205万人をピークに急速な減少を続けており、平成26年度では118万人、34年後の平成60年度では74万人になると予想されている。それに伴い、大学と短大を合わせた進学率は平成26年度では56.7%となっており、28年前の34.7%に比べ、今では18歳人口の2人に1人以上が大学・短大に進学する状況となっている。国立大学の志願者数についても、11年前の45万人から平成27年度では39万人に減少しているが、その一方で、国立大学の入学定員は平成16年度の法人化以降横ばいで推移しているため、結果として、志願倍率は4.7倍から4.0倍と低下している。 今後も18歳人口が急速に減少していくと見込まれる中で、高等教育の質を保証する観点から、教育研究組織の在り方について再考すべきである。 また、平成19年度以来、国立大学の学生数は1.7万人減少しているが、教職員数は約2万人増加している現状を踏まえ、国立大学教職員の適正規模について検討していく必要があるのではないか。 ② 国立大学の収入構造 国立大学の財務状況は、その収入の大部分を国からの支出に...

国立大学法人運営費交付金改革の経緯と今後の方向性(4)|財政審の審議に対する国立大学協会、政界の反応

イメージ
(続き) 1 国立大学協会 国立大学協会は、財政制度等審議会財政制度分科会において財務省が示した今後の「国立大学法人運営費交付金」に関する提案について、平成27年10月、次のような 声明 を発表しています。 財務省は、運営費交付金を削減することによって、はじめて自己収入確保等のインセンティブが生まれると主張するが、我々国立大学の現状や自律的な取組に対してあまりにも配慮を欠いたものであり、むしろ改革の実現を危うくすると言わざるを得ない。  また、家庭や学生の経済状況が厳しくなっている中で、授業料の引上げと併せて運営費交付金の減額を行うことは、経済格差による教育格差の拡大につながる。経済条件にかかわらず、また我が国のすべての地域において意欲と能力のある若者を受け入れて優れた人材を社会に送り出すという国立大学の役割を十分に果たすことができなくなることを危惧するところである。(中略)  国立大学協会が本年9月14日に公表した「 国立大学の将来ビジョンに関するアクションプラン 」においては、主体的な改革の具体的な方向性と工程表を明らかにし、その中では厳しい財政状況も直視しつつ、大学間等の連携・共同による教育研究水準の向上を図ることや寄附金等の外部資金を含む多様な財源確保に努めることを明記するとともに、こうした改革を長期的見通しに立って実現していくためには、基盤的経費である運営費交付金の確保が不可欠であることを述べている。 国立大学が教育・研究・社会貢献の諸機能を強化し、将来の我が国の持続的発展に貢献する改革を着実に実行していくためには、「国立大学法人運営費交付金」等の基盤的経費の充実が不可欠であることを重ねて強調し、各方面のご理解を求めるものである。 また、各国立大学においても、 経営協議会学外委員等の声明 を発表しています。 さらに、平成27年11月、国立大学協会、公立大学協会、日本私立大学団体連合会は、危機的な財政状況を背景に、国公私立大学の教育研究基盤を揺るがす動きが加速しているとして、連名による「 国家予算における国公私立大学の基盤的経費拡充に関する要望 」を財務大臣と文部科学大臣に提出しています。 2 国立大学振興議員連盟など 国立大学の機能強化と財政基盤強化の方策を検討し、国家戦略としての国立大...

国立大学法人運営費交付金改革の経緯と今後の方向性(3)|財政審の審議に対する文部科学省の反応

イメージ
(続き) 1 中央教育審議会 文部科学省の中央教育審議会も、平成27年10月、高等教育への投資の削減は将来に対し禍根を残すものであるとして、運営費交付金の機械的な削減ではなく、自己改革を進める大学を積極的に支援し、教育研究及び社会貢献機能の強化を図るために、運営費交付金等を充実・確保すべきであるとする次のような内容の 緊急提言 を取りまとめました。 提言では、過去12年間の約12%に及ぶ削減により、教育研究基盤に深刻な影響を与えていると指摘するとともに、機械的な削減ではなく教育研究や社会貢献機能の強化を図るため、運営費交付金の充実・確保が不可欠であることを強く訴えています。 人口減少社会の到来により生産年齢人口が減少する中、知識基盤社会を支える「知」を生み出していかなければならない今、大学が果たす役割は決定的に重要である。 中央教育審議会においては、文部科学大臣の諮問に応じ、大学教育の質的転換、大学ガバナンス、高大接続、大学院の改革をはじめ精力的な議論を行い、累次の答申等を取りまとめてきた。 日本の大学は、この重責を真摯に受け止め、自主的・積極的な改革を進めてきており、21世紀の日本と世界が直面する課題に、全力を挙げて取り組もうとしている。  そのような中、国立大学法人運営費交付金について、財政制度等審議会において、運営費交付金を今後15年間毎年1%機械的に削減すべきなどの考え方が示された。  財政事情が厳しい折、限られた財源の有効活用は必要であるが、過去12年間の約12%に及ぶ削減により、若手の育成など教育研究基盤に深刻な影響を与える中、運営費交付金の更なる長期的削減との主張は、グローバル化や地方創生への対応、イノベーション創出など日本社会の発展のため大学に期待されている数々の役割が踏まえられておらず、また諸外国が高等教育への投資を拡大させ、教育研究環境の充実を図る国際基調にも逆行するものである。また、自己収入の増加についても、多様な財源の確保の努力は必要だが、現下の経済状況や家計状況等を踏まえると、確実な増を見込むことは困難であり、大学の安定的な経営に支障をきたす恐れがある。  政府が目指す生産性革命によるGDP拡大など「一億総活躍社会」や「地方創生」の実現は、今日、「知」の創造がなければ不可...

国立大学法人運営費交付金改革の経緯と今後の方向性(2)|財務省の動向

イメージ
(続き) 財務省の動向 次に、財務省の動向についてご紹介します。 <動向1>財政制度等審議会での議論 予算編成の前段階に開催される財務大臣の諮問機関である財政制度等審議会財政制度分科会(平成27年10月開催)では、例年同様の厳しい議論が展開されました。 財務省は、文教科学技術予算を削減するため、国立大学の運営費交付金を今後15年間に、毎年1%ずつ減少させ、産学官連携収入などの自己収入を毎年1.6%ずつ増やす(要するに、運営費交付金を減らすから、寄付金や民間資金、授業料の引き上げなどにより運営費交付金以外の収入を増やす努力をするよう)提案を行いました。 この場合、財務省が示す試算では、国立大学法人の運営費交付金総額は、平成43年度で9,826億円となり、平成25年度に比べて1,984億円の減額になります。 財務省の説明及び意見交換の様子を 議事録 から抜粋してみます。長文になってしまいますが、特に財務省(主計官)の説明から、財務省の意図が透けて見えるのではないかと思います。 ◇ 財政制度等審議会 財政制度分科会 議事録|平成27年10月26日 <財務省主計官による説明> 18ページ 四角でくくられた進学率2をご覧いただきますと、現在、進学率は56.7%%まで来ております。 昭和50年代、やや伸び悩んでいたときもありますが、ここ20年程の間は増加傾向、向上している傾向にあります。 ただ、棒グラフに示されている18歳人口の推移を見ますと、今後、かなりの勢いで18歳人口が減少していくことが明らかであります。 進学率がどうなるかというのは非常に難しい予想でありますので何とも言えないのですが、過去10年の伸びで伸びていったとするならば、20年後、25年後には7割程の水準に達します。 この7割の水準に達したとしても、恐らく18歳人口減の圧力のほうが強くて、20年後、25年後におきましては、18歳人口から供給される大学入学者の数というのは1割から2割にかけて減るであろうということが予想されます。 大学の規模をどう考えていくかという問題は、この18歳人口から供出される入学者の減といった問題、これは留学、社会人の教育、学び直しがどうなるかということにもよるのですが、そういったこと...

国立大学法人運営費交付金改革の経緯と今後の方向性(1)|文部科学省の動向

イメージ
昨日(3月9日)、文部科学省から、 平成28年度における国立大学法人運営費交付金の重点支援の評価結果 が公表され、関係者間では衝撃が広がっています。 これは、平成28年度から、国立大学を目的別に3分類し、各大学の取り組みに応じて運営費交付金の一部(約100億円)を配分する仕組みに変わったことによるもので、従来に比べ、全86大学のうち42大学が増額、43大学が減額(岩手大学、和歌山大学などが118・6%、京都教育大学が75・5%)となるなど、大学間の格差が生じる結果となりました。 このように、国立大学の運営費交付金は、来年度からの第三期中期目標期間を迎えるに当たり、国立大学改革の一環として大きな変貌を遂げることになりました。そこで今回から数回に分けて、運営費交付金改革の経緯と今後の方向性について整理してみたいと思います。 ◇ 平成28年度当初予算案(平成27年12月24日閣議決定)が、去る3月1日に衆議院本会議で可決され、参議院に送られました。憲法の規定により、参議院の議決がなくても3月30日には自然成立するため、今年度内の成立が確実となりました。 報道によれば、平成28年度予算案の歳出総額は96兆7218億円の過去最高となり、一億総活躍の関連施策で社会保障費が膨らむ(前年度当初より5千億円増の約2.4兆円)とともに、夏の参議院選挙をにらみ公共事業費が増え、中国の海洋進出をにらんだ防衛費(防衛装備品の購入、米軍再編経費等)が史上初めて5兆円を突破したということです。 出典:朝日新聞 このうち、国立大学の運営基盤を支える経費である国からの運営費交付金については、総額としては、前年度と同水準の1兆1000億円が確保される見通しとなりました。 予算編成過程では、財務省が、財政難を理由に減額の継続を主張するなど、例年同様に厳しい攻防が文部科学省との間で展開されたようですが、平成28年度予算は、第三期中期目標期間の初年度予算として今後6年間を占う重要な位置づけになることもあり、文部科学省はもとより、関係各界の努力により、なんとか法人化以降の連続した一律削減を回避することができたことは大きな成果ではなかったかと思います。 しかし、一方で、平成29年度からは、運営費交付金を毎年約0.5%減額し、その財源の...