去る6月7日開催の中央教育審議会大学分科会大学教育部会(第17回)の議事録が文部科学省のホームページに掲載されています。
議題は、「大学教育の質の保証・向上について」ですが、冒頭、「6月4日に開催された国家戦略会議の議論の状況」並びに「翌5日に公表された『大学改革実行プラン』」について、文部科学省から説明及び意見交換が行われていますので、抜粋してご紹介します。以下の資料と照らし合わせながらお読みいただくと、より理解が深まるのではないかと思います。
【文部科学省】
資料1と資料2を用いまして御説明したいと思います。
本部会、それから大学分科会においても、4月に行われました国家戦略会議の状況を御報告させていただきました。文部科学大臣から報告するとともに、民間委員からのいわゆる問題提起という形で、例えば六三三制の柔軟化、抜本的見直しの問題とか、あるいは大学の統廃合も含めて少子化時代に対応した形での大学改革の在り方の問題とか、あるいは私学助成とか、あるいは運営費交付金の評価に基づくメリハリづけなどの話がありまして、議論の上で総理のほうから5月以降の国家戦略会議において、文部科学省としての教育改革の取組の方針を明らかにし報告してほしいという話がありまして、それを受けて、先ほどのお話にありましたように、今週の6月4日の月曜日に「社会の期待に応える教育改革の推進」という形で御報告させていただいたものです。
1枚おめくりいただきまして、社会の期待に応える教育改革ということで、日本が抱える課題、これから目指すべき我が国の社会ということを通観した上で、人材に対する投資、あるいは幼児教育から高等教育まで一貫した高付加価値を創造できる、あるいは社会で生き抜く力を育成していくということの視点の上で進めていくという話をさせていただいて、社会に開かれた教育への転換の問題とか、幼稚園、小学校から大学の円滑な接続、あるいは教育と産業とのマッチングの問題という総論の話をした上で、2ページにありますような教育改革の七つのポイント、これは3ページ以降においてはその詳しい内容がありますが、わかりやすくポイントという形でこの7項目を出させていただいております。1項目が、いわゆる初等・中等教育、それから高校と大学の接続に関わる問題ですが、小中一貫教育の制度化とか、新聞報道でも出されておりますが、現在、飛び入学については高校中退扱いになりますが、それを卒業として認めるような、早期卒業制度を新しく創設するということも含めた六三三制の柔軟化の問題、それから、少人数学級の推進ということを挙げておりますが、②以下がいわゆる大学に関わる問題です。ポイントとしてはここにあるような大学入試の改革、大学の教育機能の再構築とミスマッチの解消、英語力・グローバル力の向上、国立大学のミッションの再定義と重点化、私学の質的充実支援とメリハリある配分、リサーチ・ユニバーシティの倍増、地域再生の拠点となるような大学の機能という形で、どちらかというと、わかりやすくと申しますか、国家戦略会議へのプレゼンということを意識してつくっておりますので、表現については若干適切さを欠くところがあるかもしれませんが、こういう形で整理したものです。
中身につきましては、3ページが初等中等教育の問題、5ページが大学全体の改革の在り方につきまして鳥瞰したものですが、基本的にはここと大学改革実行プランとは大変重複するところがありますので、大学改革実行プランを中心にここからは御説明したいと思います。
資料2を御覧いただきたいと思います。1枚おめくりいただきまして、大学改革実行プランということで、これはタスクフォースでこれまで議論をやってまいりましたし、国家戦略会議の動きも踏まえまして、大学改革の在り方について整理をしたものですが、1ページにありますように、特に赤字で示しておりますように、「社会を変革するエンジンとしての大学の役割が国民に実感できることを目指して」取り組んでいくということと、それから、改革の方向性をお示しさせていただきますように、教育、研究、あるいは地域貢献も含めた大学の機能の再構築を図っていくということ、その再構築を実現するための大学のガバナンスの充実・強化という、二つの軸を中心に整理しております。
めくっていただきまして3ページがその全体像を示したものです。この二つの軸を合わせて、それぞれの軸ごとに四つの項目を整理しまして、取り組んでいこうという内容です。その前提として、国としての大学政策の基本方針、大学ビジョンの作成ということで、これは本部会あるいは大学分科会でも御議論いただきましたし、昨年の政策仕分けにおいても国として大学の在り方に対するビジョンをしっかり明確に持つべきではないかという御指摘もいただいたところですので、そういうことも含めまして、今後、大学政策の基本的な方針をビジョンとして策定いただきたいと思っているところです。
中身については詳細な説明は省略させていただきますが、6ページ、7ページにその位置づけ、あるいは構成のイメージを書かせていただいているところです。できれば中教審でも御審議をいただきまして、専門的な審議を経た上で、できれば年内ぐらいを目途にその策定に向けた専門的な御検討をお願いしたいと思っているところです。
それから、3ページに戻っていただきまして、そのビジョンをベースにしながら二つの軸で整理しております。一つは、大学教育の質的な転換と大学入試の改革の問題です。特に、質的な転換の問題につきましては、本部会を中心に今、まさしく御議論いただいているところを踏襲し、そのための主体的な学びの時間の増加の問題とか、学修環境の整備ということを挙げているところです。
それから、これは次の分科会、あるいは本部会の合同での御審議とも関連いたしますが、高校教育との連動、あるいはその質保証と一体的に取組をしていくとともに、入試の在り方につきましても、知識、理解を問うということもベースにしながらも意欲、能力、適性など、大学で学ぶエッセンスを多面的・総合的に評価するような入試に転換していくということで、入試の改革についても着手いただきたいと思っているところです。
詳細な説明は少し省かせていただきますが、8ページ、9ページにその全体像のアウトライン、あるいは入試についての記述をしているところです。特に入試改革につきましては、本年夏ぐらいを目途に中教審等で検討を開始いただきたいと思っていますし、その前提としまして高等学校教育部会の御議論、あるいは本部会の御議論を一体的に全体として整合性ある形で整えていただいた上で入試の問題にも着手していきたいという考え方でおります。
3ページに戻っていただきまして、2点目はグローバル化に対応した人材育成の問題です。これは今年度の予算においても拠点大学の形成とか、学生の双方向交流の推進、促進ということで、その方向でさらに進めていくこととか、入試においてのTOFLE・TOEICの活用とか、あるいは産業界と協働して円卓会議でアクションプランを発表いただきましたが、その連携、コラボレーションによります人材の育成の問題、それから、本部会でも御紹介し、御議論いただきましたが、秋入学への対応を契機としまして教育システムのグローバル化の問題ということについても取り組んでまいりたいというところでの整理をしているところです。
それから、3点目が地域再生の核となる大学づくりの構想、Center of Community、COCとうたっておりますが、資料としましては12ページにその理念ないし考え方を整理したところです。いわゆる地域貢献という形での大学の機能ということが言われておりますが、実態としては地域と大学の組織的な連携についてはまだまだ十分ではないという御指摘あるいは背景があります。組織的な連携をしっかりやるような取組を進めていくということを来年度からモデルケースでやっていくということを、現状での取組等も勘案しながら進めていこうという内容です。
4点目は、これは研究力の強化という問題ですが、大学の持っている研究力を強化していく。特に、世界でしっかり伍していけるような研究大学をしっかり形成するためのイノベーションの創出とか、そのてこ入れ等についての取組を進めていこうという内容です。
以上が大学の機能の再構築としての4点で、それを実現するための大学のガバナンスの充実・強化ということで5から8に挙げているところです。5が国立大学の改革の問題です。特にそれぞれの大学についての機能分化、あるいはミッションの明確化ということを言われますが、なかなか現状においては十分でないという点を踏まえまして、この資料で申し上げますと、14ページですが、今後の改革のロードマップを策定し、まずは各国立大学についてのミッションにつきまして、大学、それから学部の設置目的をそれぞれの経緯とか現状での取組をエビデンスに基づいて明確にするということを国と大学との共同作業で進めていく中において取り組んでいこうというものです。そのための基本的な改革の方針を国として24年中にお示しさせていただいて、その取組を進めていこうという内容です。
本部会でも御報告させていただきましたが、今年度の予算で138億円をつけまして、国立大学改革の強化・推進事業という形での先行的な取組を進めております。大学群の形成とか、あるいは拠点の在り方等につきましての取組を今、現状においては大学とその内容について詰めているところですが、そういう取組を先行実施という形で位置づけまして、このミッションの再定義ということを今年度からスタートさせていただきまして、来年の中ごろぐらいを目途にしまして各大学ごとの学部のミッションの再定義ということを行いまして、改革の工程、あるいはその内容を明らかにしていこうという内容です。
それとあわせまして、新聞でも一部報道をいただいておりますが、大学自身の連携とか大学群の形成をしやすいような制度的な連携の多様な制度的な仕組みということを並行して整備していく。あるいは、重点的な取組に対する支援をしていこうということもあわせて考えている内容です。それによりまして、大学あるいは学部の枠を超えた再編成ということも今後の話として出てくるということです。
15ページにその連携のイメージという形でお示しさせていただいておりますが、例えば、真ん中にありますような一法人複数大学によります取組とか、国内と海外の大学の連携、あるいは設置形態を超えたような教育研究組織の設置など、多様な形での連携を組むような仕掛けを用意しまして、各大学の取組を後押ししていこうという内容です。一部新聞報道で、この一法人複数大学を巡りまして、例えば県域を越えて学部の集約化、ある県においてはもうある特定の学部がなくなってしまうのではないかという報道がありましたが、そういうことを前提としているわけではありません。まずは大学自身のそれぞれの成り立ちとか状況を考えていただいた上で大学全体あるいは学部の、ここでは教員養成と医学部という国立大学の使命、目的ということも中心にして先行していくということを入れておりますが、大学自身の火をそこから消すというわけではなくて、それぞれの現代に合ったような形でのミッション、あるいは成り立ちを考えていただこうというような内容での取組を目指していきたいと思っているところです。
これはあくまでも青写真ですので、その内容をもう少しさらに詰めましてしかるべき形で大学にお示しするということもこれから課題として考えていくところです。
戻っていただきまして、3ページの6が大学改革を促すシステムとか基盤整備の問題です。本部会あるいは大学分科会でも御議論いただきましたが、大学の情報の公表、なかんずく大学ポートレート構想を推進していくとか、あるいは評価制度の抜本的な改革、あるいはそれを支えるような客観的な指標の開発ということにつきましての取組を進めていきたいと思っており、その専門的な検討を中教審の場を通じまして進めていかせていただきたいと思っているところです。16ページ、17ページ、18ページ、19ページにその内容を書かせていただいておりますが、機能別の評価をしていくということとか、それを裏づける形での強みを伸ばすような客観的な指標の開発、あるいは、本部会でも御議論いただいたような、学修成果を重視した評価、それから評価の効率化、あるいはパワーアップということでポートレートの活用ということとあわせてその評価の簡素化を図っていくとか、あるいは認証評価と法人評価の一体的な実施など、まだまだ詰めなくてはいけない課題もありますし、その点は是非中教審でも専門的な検討をお進めいただきまして、その取組を図っていきたいと思っているところです。
長くなって恐縮ですが、3ページにもう一度戻っていただきまして、7番目、8番目の課題として、財政基盤の確立とメリハリある配分の実施、それから大学の質保証の徹底ということをうたっております。7番のメリハリある配分のところですが、特に大学の積極的な私学の経営を進めていくという観点から、現状においても私学助成においてはメリハリある配分を行っているところです。
22ページですが、私学については平成23年度から一般補助と特別補助の環境を整備しまして、一般補助を9割程度厚くする。それと並行して定員充足とか、あるいは教育情報とか財務情報の公表状況とか、ガバナンスの在り方ということを勘案してメリハリをしているところです。その取組を24年度においてもさらに充実、強化していくとともに、来年度、これは今後の予算にも関わる話ですが、例えば先ほど申し上げましたCOCの構想とか、学修環境を含めた整備を図っていくとか、産業界との連携ということも視野に置きながら、一層の重点投資を図る形での充実を図るということを目指していきたいと思っていますし、これも実は国家戦略会議でも御報告させていただいたところです。
それから、もう1点は、質保証の徹底推進ということです。特に、数は限定されますが、教学上、経営上課題がある大学に対してです。23ページの表にもありますように、これまでの取組としましては設置基準、設置審査、アフターケア、認証評価、法的措置等々についてはそれぞれの取組がありますが、概してその相互のつながりが十分ではなかったという点はあります。トータルシステムの確立という形で、この真ん中にありますような形で、全体として整合性ある形でトータルとしての質保証を、そのつながりをよくして取り組んでいこうということです。
それとともに、法令違反等、教学上問題があるところについては、学校教育法上の措置も講じることを辞さない視野に入れながら取り組んでいこうということです。
それから、もう一つは、これは私学部、それから事業団と連携して既に取り組んでいただいておりますが、経営上の課題を抱える法人に対しましては実地調査あるいは経営改善の指導、相談ということを行いまして、早期の経営判断を促していくということで、結果としては、多くの大学においては重点的な取組をしていただきますが、それでも社会的な変化に対応できない場合については、厳しいこともあわせて考えていくという内容を盛り込んでいるところです。
ざっと駆け足になりましたが、以上の内容を整理させていただいたところです。これはあくまでも、文部科学省でまとめました改革の青写真です。それを具体的に肉づけし、進めていくということについては、これからの課題です。スケジュール観としましては、この資料で言うと4ページのほうに実行プラン改革期間中の主な取組という形で示しております。まずは平成24年度改革始動期としまして、今、やっておりますような大学教育改革地域フォーラムとかビジョンの策定、あるいは予算を含めました先行的なモデル着手ということをするというものです。それから、来年度、再来年度については、改革集中実行期ということで、仕組み・制度の整備、あるいは予算を含めた支援措置を実施するというような、この3年間で改革の積み込みをしていき、それにあわせて中教審においても専門的な検討をしていただいて、その結論を受けて改革を制度化、あるいは必要なものに取り組んでいこうというものです。
それから、平成27年から29年は改革の検証・深化発展期という形で、改革のレビューを行いまして、その深化・発展を図っていこうということで、これによってPDCAを回していこうということです。都合、今年度から6年間ということで、左に書いておりますように、ちょうど来年度、25年度から29年度が教育振興基本計画の期間と重なるわけです。今年度も含めまして、その6年を改革の実行期間と位置づけまして、三つのフェーズで取り組んでいくという内容をまとめているところです。
以上が、雑駁ではありますが、概要の青写真です。私どもとしては本日いただきます御意見をさらに踏まえまして、改革のより実効的な取組をスピード感持ってやっていきたいと思っているところです。御審議をよろしくお願いしたいと思います。以上です。
【佐々木部会長(名古屋経済大学・名古屋経済大学短期大学部学長)】
多岐にわたる包括的なプラン、方針、方向性でありまして、これらについては今後、この会議でも順次審議を進めてまいりたいと思います。まず、以上の説明についての御質問、あるいは今後、審議を進めていく際にどこを重点にすべきである、あるいはどういう問題を取り上げるべきである等々、御意見がありましたら伺いたいと思います。
【宮崎委員(千葉商科大学教授、政策情報学部長)】
今の実際の工程表等々、非常によく考えて練り込んでつくっていると思ってはいるのですが、今日に至る前に、こういう会議でほとんど具体的な議論は何も出ないうちにマスコミ等で詳しい内容が報告されているのです。それも完了形で「決まりました」「やります」「いつからです」というようなことが出ますと、大分慌てるわけですが、これから審議してくださいということですが、まだ議論の余地があるものなのかどうかというのをまず伺いたいと思います。
【文部科学省】
宮崎委員御指摘のとおりでして、報道においては断定的に報道されまして、それによって大学の関係者の方々自身の無用な不安あるいは懸念を招くところについては、我々としては非常に遺憾のところがあります。これについては、先ほど申し上げましたとおり、この会議でも御紹介をいただきましたが、タスクフォースにおいては大学改革の全体的な方向性を出し、スピード感を持ってやっていくということですから、まだまだこれは余白がある内容だと思っているところです。全体的な軸というか、方向性は明らかにしていますが、それをどう肉づけしていくのか、あるいは現場においてそれを実行するためにはどういう形の細かい配慮が必要なのかとか、あるいは財政支援につきましても、今後、予算要求が必要だと思いますが、それをもう少し現場にもしっかり届いていくような施策についてはどういう形でいくのかということについては、専門的な御議論がないことには進みませんので、そういう点も含めてできれば御議論をいただければありがたいと思っているところです。
【黒田副部会長(金沢工業大学学園長・総長)】
今回のプラン、大変よくまとめられていると思うのですが、この中でグローバル化の問題、これはどういう人材をどれぐらいつくるのかという問題があると思うのですが、ただ単に英語力が増すということ、それから海外留学するだけでいいという、そういう意味にもこれ、とれないわけではないわけです。グローバル化をするためには、まず、他文化を理解するということが大前提であると思いますし、まずその前提としては、日本人は日本人としての心をしっかり持つということが大事です。このまま進めますと、おそらく無国籍の人材養成になるという可能性があるのです。無国籍の人材が社会、国際的に出て活躍ができるかといったら、それは私はできないと思うのです。国際化は国境があり、グローバル化は国境がないという経済界の定義のようでありますが、それにしても日本人としてどういうことを基本的にやるのかという、ここで教養教育ということも書いてありますが、まずその基本をしっかり身につけた上でグローバル化を進めていくという、そういうところが、ここでは少し表現上抜けているのではないかという感じを受けるので、その辺は注意をしていただきたいと思うのですが、いかがでしょうか。
【文部科学省】
御指摘のとおりです。紙の制約の問題がありまして、十分、これ、その辺を意を尽くさずにできておりますが、ただ、黒田副部会長がおっしゃるとおり、これは実は政府全体の中でグローバル人材育成推進会議というのが内閣のもとにありまして、そこで実はグローバル化人材というのはどう資質・能力を求めるかということを定義しております。
御指摘のとおり、三つの種類がありまして、語学、コミュニケーション力、それからいわゆるジェネリックスキルという汎用的な能力の問題、それに加えまして3番目の要素としましては日本人としてのアイデンティティーとか、他文化への理解ということも含めて、総合的な形での資質・能力を養っていくということです。ですから、語学の能力だけが飛び出ていたらいいというものではなくて、それをどう育成していくのかです。そのための、御指摘いただいたような、教養教育の在り方とか、あるいは学部あるいは大学院を通じたような教育の中身の問題とか、あるいはフィールドワークなども含めました体験的な活動でどうモチベーションをつけていくのかということも含めて視野に置きながら取組をしなければいけないということにつきましては、この中教審でもいろいろな機会に御指摘をいただいておりまして、それを十分念頭において進めていきたいと思っているところです。
ですから、グローバル化あるいはグローバル人材ということについてはいろいろな形で出ておりますが、その中身を十分私どもとしては、本日御指摘いただいたことも視野に置きながら進めていきたいと思っているところです。
【黒田副部会長(金沢工業大学学園長・総長)】
ですから、それはよくわかるのですが、こういう資料に出ますと、その辺りがみんな落ちてしまうのです。落ちるということは、この資料を読んだ人は、全くそういうこと関係なしに英語だけできればいいという感じを受けるものですから、どこかに少し書いておいていただくとありがたいと思うのです。
【文部科学省】
このプランにつきまして、いろいろな機会でこれから御説明する機会があろうかと思いますし、また、その辺は丁寧に御説明するなり、あるいは補足するなりということについて意を用いていきたいと思っております。
【濱名委員(関西国際大学長、学校法人濱名学院理事長)】
もう大体出ているので同じようなことになるのですが、例えば高校の2年卒業というのは本気で考えていらっしゃるのかどうか疑わしいというか、学制改革そのもののような内容であるというか、要するに高校を2年で出られるトラックをつくるということは学制改革だと思うのですが、そうした議論がされていないにも関わらず出てしまうというのは極めて影響が大きくて、それが新聞1面のトップ記事になっているというのを見ても、中央教育審議会というのは一体何だろうかというような、基本的な疑念が生じるというようなことになるので少し考えていただく必要があるのではないかと思うのです。たくさんの重要な指摘とか、我々が議論していたことをタスクフォースが並行して具体的なことを考えていただいたのはいいのですが、やはり審議会で出てきたものが議事録とともに公開されれば、先ほど黒田委員がおっしゃったような解釈なり説明がつけ加わるのですが、やはりそういう点では、これは一体何だったのかという点はきちんと決めておいていただきたい。そうでないと、そんなレポートが突然出てしまうと、我々は一体何をやっているのだろうかという、徒労感というか、そうした思いを抱かざるを得ないところがあります。
【佐々木部会長(名古屋経済大学・名古屋経済大学短期大学部学長)】
今後の検討課題であろうという事項と、実施の方向で検討に入っているという事項を、もう少しきめ細かに腑分けをしてリリースすることが必要なのではないでしょうか。
【板東高等教育局長】
今の高校の問題につきましては、別途高校についての改革について検討しております部会がありますので、そこともまた議論をいろいろすり合わせといいますか、合同でさせていただく機会があるかと思いますが、基本的には、先ほどの高校早期卒業の部分は、少し我々の議論のところと違う場で御議論が進む話が第一義的です。それも踏まえまして高校と大学との接続の問題というのは、これから入試も含めましてまさに真正面から議論していかなければいけないところだと思いますが、そういうことで、まだそちらのほうでも決まった話であるわけではないのですが、こういう六三三制の柔軟化の問題も含めて、やはりグローバル化の中で問題提起をされているという、その問題提起については真正面から受けとめて、これからこういった中教審など、いろいろな部会もありますが、それを含めて議論していかなければいけないのではないかと思っております。
【川嶋委員(神戸大学大学教育推進機構教授)】
個別の課題はそれぞれいろいろあると思うのですが、少し全体的な枠組みについて意見を述べます。一つは、こういう目標を設定してそれに向けて行動計画をつくっていくというときに、よく企業などでやる戦略分析でSWOT分析というのがあります。要するに自身の強いところ、弱いところ、環境で好機であるということと、驚異となることとかを考えていくわけです。例えば、この審議会もそうですが、全体的に我が国の高等教育の弱いところ、課題ばかりが提起されて、それをどう直していくのかというところに議論が集中しがちなのですが、物事には両面があるので、やはり強みというところ、いいところ、これもきちんと客観的に整理していただいて計画をつくっていただくということが必要だろうと思います。
例えば、国立大学の改革が具体的に書かれていますが、国立大学のこれまでの役割として、割とリーズナブルな授業料でいろいろな分野の教育が受けられるというメリット、いいところがあったと思うのです。ところが、他方で、どの国立大学も同じような学部編成ということで、個々の大学から見ると個性がなくなっているというマイナスの面もあるということにもなります。このように物事を両面的に考えて、どこが一番問題なのかということをやはり詰めていく必要があるということです。そういうことを是非お願いしたい。やはり子供と同じでしかってばかりですと萎縮しますので、いいところはきちんと評価していただいて、そこを伸ばしていくということも是非お願いしたいと思います。
2点目は、来年度から集中的に実行と書いてあるのですが、これを実行するための財源的な裏づけというのは、文部科学省あるいは財務省との間できちんと相談されているのでしょうか。同じことを前回も別のところでお話ししましたが、やれやれと言われても、空手形ではやはり実行するにもしようがない。精神論だけで終わってしまうということがあるので、財源についてどういうことを考えられているのかということをお伺いしたい。大きな点ではこの二つです。
個別な事項につきましては、国立大学法人については、法人化するときに、今回提案されたような一法人複数大学も可能な選択肢の一つとして議論されました。結局は一大学一法人という形で出発したわけですが、先ほどお話ししたように、では、現行の一大学一法人のどこが問題で、どうしてこういう提案をされるのかということをきちんとやはり説明していただく必要があるだろうと思います。
それから、中期目標計画との整合性です。文章の中には修正もするというようなことが書かれていますが、第3期中期目標計画との関係をやはり明示していかないと、大学も動けないだろうと思います。
最後にもう一つ具体的な事項である入試についてですが、クリティカルシンキングを中心としようかと書かれていますが、これも多分、先ほどのたくさんの御意見があったように、このプランには書かれていない部分、表に出てこないところがあるのではないでしょうか。基礎・基本である知識、技能と思考力、判断力、表現力、そして態度、意欲、この三つをバランスをとって育てるというのが、初等・中等教育の基本的な考え方であり、それを学習指導要領の中に示されているわけで、確かに一時期、入試については知識偏重ということもあったかと思うのですが、基礎・基本である知識がないと、クリティカルに考えたり、物事を創造的に考えていくこともできないわけです。今、問題になっているのは、まさに基礎・基本のところの修得が、高校教育でおろそかになっているのではないかということです。ですから、高校教育の質の保証の問題として、まずは基礎・基本のところをきちんと育てて、それをどう評価していくか。その上で入試ではどこの部分を評価していくのかと考えていく必要があるのではないか。
クリティカルシンキングといきなり出てしまうと、実際それが果たして大規模な、今の制度でいけば入試センター試験のように50万人の受験者でそういう試験が果たしてできるのかどうかとか、その辺もやはり勘案していただきたいと思います。
【文部科学省】
一つ一つ、御指摘のとおりだと思っております。
1点目の、いい面、悪い面があるということでありますが、その際においてはエビデンスをベースにして、いいところをやはりはっきりさせていくということです。ある大学においては全てがいいというわけではなくて、いい面、悪い面、それぞれありますので、どこがいいのか、悪いのかということについてもあわせて明らかにしていく。そのための指標づくりとかいうことについては、これは国立大学だけではなくて私立大学も含めてだと思いますが、そういうことを環境をどう整備していくのかについて暫時やっていこうという視点ですので、先生お話しいただいたような点については、是非積極的に、北風ばかりではないということを肝に銘じて取り組んでいきたいと思っているところです。
それから、財源の問題です。これは当然のことながら、こういう改革をするにおいてはお金もかかります。とはいっても、やはりこういう形で表に世に何をしていくのかということを出していかないことには、お隣の役所からお金もなかなか取ってこられないということもあります。ですから、そこはやはりこれから並行して具体的にはどれぐらいの予算に仕上げていく必要があるのかについて、もう少し、この中教審の御議論も是非参考にさせていただきながら、例えば学修環境の問題とか、それに関連します経済的支援の話とか、あるいはここにありますようなCOCの構想も含めてですが、これから、本日あるいはそれ以降の御議論も是非参考にさせていただきながら、しかるべく形で予算獲得できるような形で要求の方向に持っていく努力を是非してまいりたいと思いますし、しかも、先ほど局長から申し上げましたように、教育振興基本計画の策定を来年度からスタートすることもあります。そういう点も頭に置きながら、もう少し骨太的な、来年だけではなくて、やはりもう少し先を見据えたような形での姿、その理論的な整理をこれから進めていきたいと思っているところです。
それから、アンブレラ方式の問題です。これは先ほどお話がありましたように、やはりこれからの大学を考えました場合、一つの県で考えるだけではなくて、やはり機能とか、あるいは地域を視野に置きながら連携とか、あるいは大学群の形成ということもこれからあろうかと思います。ただ、今の仕組みとしてはそういうこと自身がなかなか成り立ちにくいという点もあります。効率的な経営とか、あるいは資源を有効に活用していくということも含めて、全てがこのアンブレラで解決するというわけではありませんので、そういう制度的な整備を用意した上で取り組みたい大学に対しての、そういう制度的な整理をしていこうということです。
それから、入試については、後ほど課長から話があろうかと思いますが、総論で言いますと、入試の問題だけではなくて、先ほど申しましたように高校教育改革の問題、大学教育改革、その接続としては一体的に議論していくということを進めていくということを是非とも進めさせていただきたいと思っております。9ページにもありますように、現状においては大学教育と高校教育の間に挟まれる入試にいろいろな機能が託されています。それ自身がなかなか難しくなっている現状においては、適切な機能分散を図りながらその取組をしていく。ですから、今後、これまで以上に初等中等教育分科会、なかんずく高等学校教育部会とコラボレーション、連携をしながら、その取組をしっかりやっていくという点があろうかと思います。その中においての、先ほど川嶋委員がおっしゃったような、高校段階でのいわゆる成果をどう把握するかということも含めて考えていく話になろうかと思っているところです。
【文部科学省】
基本的に、今、企画課長からお答え申し上げたとおりだと思いますが、9ページにも少し出ておりますが、夏を目途に中教審で高校関係者と大学関係者を交えたところで具体的な検討をしていただきたいと思います。特定のキーワードが今大きく報道されておりますが、基本的には高校の質保証と、それから大学の質保証と、それをつなぐ接続点である入試の在り方、そこを一体的に考えて議論していただきたいと思っております。
【林委員(独立行政法人国立高等専門学校機構顧問)】
大学改革実行プランの検討案について盛りつけを行っていくという話ですが、どのようなビジョンを策定しようとしているかが分からない。機能の再構築が4点あって、充実・強化も4点ありますが、個々の問題ではなくて、全体像を見た場合に、何をどこまで、いつまでにやるのか、その中で何が重点なのかということです。例えば、制度に関わる入試の問題などは高等教育全体の問題であって、本当に実施するのかしないのかの影響はものすごく大きい。場合によっては、そういう制度や仕組みはつくるが、やるやらないの選択は法人にチャンスを与えるのか。手を挙げるところについては、それが望ましい方向であれば、お金もつけて支援していくというスタンスなのかといったことです。
それから、国立大学改革強化推進事業が138億円の予算で動いていますが、大学は法人化で大変疲弊したという言い方をよくします。例えば医学系の研究論文などはものすごく激減している。中国がぐっと出てきたということもありますが、日本は一体どうなったというような声が聞こえるのです。改革には痛みが伴いますので、少々のことは目をつぶらざるを得ませんし、そういう時期は必ずある訳ですが、改革、改革と続くと、それはどうなのかと思います。
問題は、法人化が悪いわけではなく、法人化に伴う運営費交付金云々はあまり賛成できません。改革の時期に落ち込んだとしても、次のステップがあればいいわけですが、それが全然見えてこない。ですから、改革は将来に向けてどういう方向にあるのか、すなわちビジョンがないと賛同できない。例えば、法人化に移行の段階では99あるいは101あった大学が86になり、医科大学を医学部に組み込んだ大学が九つあります。そういったものをまたどのように組み直すのか。一遍組んだところはいいという話もあるかもしれないが、それぞれの学部や学科を持ったいわゆる大学の機能があり、設置理念みたいなものがもともとあるわけですが、そういうものを、ここにある機能のために組みかえるというのは逆ではないかと思います。要するに、機能別分化というものが出てきて、それぞれの大学があまりはっきりしないので、一体どこにどういう機能を持たすのかを決め、そのために組み直すというのは逆だという感じがしないでもないです。
ともかく個別の委員会をつくって、これはどうだという議論を始めるのも大事かもしれませんが、全体像をどうするかという議論を是非やっていただきたいと思います。
【納谷委員(学校法人明治大学学事顧問)】
今、林委員が言ったことと同じことを考えていたのですが、中教審が親で、全体を統括するわけです。ここは大学分科会で、しかもその中の大学教育部会ということになっている。本部会で審議するテリトリーというか、範囲がどこまでなのかということもある。このペーパーは非常によくできていると私は思うのですが、問題は、国の全体像として、どう持っていくかということが見えて、この部分はこういう形で、例えば「大学分科会ではこういうことをやる。大学分科会はこうだが、大学教育部会ではこの部分を重点的に。ここはこう関連していますので、審議していただきたい」というように絞りをきちんとやっていかなければならない。これ全部の課題をターゲットにして個別の議論をやっていったら、これはとてもどうにもならない。もう少しそこが見えるようにしていただければということが一つです。
議論が個別に入ってしまうと、マスコミの方では、議論の中で出てきた意見のうち、興味を持った部分だけ切り取って、ばんばんやりますから。やはり、それは危険なので。この方針でやろうとしているということがまず見えるように出しておいて、それで、ここはこれで、ここはこういう形でという段階とかレベルを明示しないと。やはり世間に与える影響は大変大きいのではないか。宮崎委員が最初に言ったときからずっと始まっている議論だと思いますので、その辺をどのように考えておられるのかということを、教えていただきたいと思います。全体像については意見がありますが、そのことをお聞きしてからまた発言します。
【板東高等教育局長】
話の持っていき方が少しミスリードだったのかという感じがいたしますが、本日は少なくとも、新聞等でもいろいろ取り上げられておりますし、大学改革実行プランや、それから平野大臣が国家戦略会議で御説明をさせていただきました教育改革の方向性について御説明をさせていただき、ここで今、進行していただいている御議論との関わりも非常に深い部分というのはたくさんありますので、それをまず御説明させていただき、質疑の中でご疑問の点も明らかにしていくというのは、本日最低限必要なことだったのではないかと思います。
その中で特に、今、教育の質的転換の在り方の問題とか、先ほどから出ておりました学修環境の整備とか、あるいは入試の問題などもこれから関わってくるかと思いますが、いろいろな意味で、今御審議いただいてくることに非常に関連している部分があるということで、本日は御説明をさせていただいたということですので、これについて丸ごと御審議いただくということではないわけですので、これからいろいろ、この点については特に御議論いただきたいということを仕分けながら、また国家的な御議論の進め方というのをお願いを申し上げたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
【納谷委員(学校法人明治大学学事顧問)】
それで、もう一つお願いなのですが、国家戦略会議っていうところは国の在り方を決めていく場ですから、そういうときに、今の、大学教育の質の転換というのをここでテーマで出されていて、それをベースに本部会で議論しているわけですが、今の日本の国がどういう状態にあるかということの認識が大切で、私は「成熟国家(社会)になった」という認識に切りかえないと、これからの高等教育の在り方の議論はできないと思います。
どうもこういうペーパーを見てくると、産業という言葉があって、大学がある。しかし、このペーパーでは、産業を支える制度、文化も含めてですが、そういうところが欠落と言っては言い過ぎですが、少し薄過ぎる。ですから、そういうことが国家戦略会議できちんと議論されて、そして、それに対して文部科学省がこういう具合にしてもらいたいということを言い合う、そういう場にしてもらいたいと願っています。その行き先の根本のところが決まっていない。歴史認識というのでしょうか、今の日本の国が置かれている状況をどう認識するかということが決まらないと、人材養成の在り方を決めることは非常に難しい。少なくともそこは議論してもらって、こういう方向に行くということにつき、ある程度の合意を線引きしないと、個別論でいくとなかなかまとまっていかないのではないかと思います。私としては、企業(産業)との問題だけで大学教育を論じられても、それは少し今の時代には合わないと思います。
要するに、産業革命以来、メーカー企業がいろいろなものをつくって豊かになった。経済が日本を支えてきたことはよくわかります。ですが、問題は、経済だけで大学教育を議論していったら、やはりどこかに落ち度が出てくるか、少し重大なところが欠けてしまう危険性があるので、そこら辺は十分注意して、これから組み立てていく必要があるのかと思います。そういう点も配慮しながら、今後、いろいろな形でペーパーのつくり方をお願いしたいと思います。こういうペーパーになってしまうと、文字がひとり歩きしていろいろな受け取り方をされてしまうと、我々が一生懸命考えていることが果たして、社会にうまく伝わるのかという心配がありますので、そういう点をご配慮いただければと思います。
【佐々木部会長(名古屋経済大学・名古屋経済大学短期大学部学長)】
問題が多岐にわたっていますから、議論しているときりがないと思います。私も、この大臣のプレゼンテーションに関して、国家戦略会議ではどういう御議論があったのかということを伺いたいのですが、それを含めて少し簡潔に説明をお願いします。
【文部科学省】
次の大事な議題も控えていますので、簡潔にさせていただきます。
先ほど、納谷委員、林委員がおっしゃったことをしっかり肝に銘じて取り組んでいきたいと思っていますし、やはり国家戦略会議に宿題を返していくというのは、その制約の中でやっていますので、多少、表現ぶりについてはバランスの欠いたところがあったかもしれませんが、そこは気持ちは同じ形ですので、今後しっかり議論する中において、多様性とか、あるいは成熟社会ということを意識した上で議論していきたいと思っています。
それから、国家戦略会議での御議論ですが、基本的には最後に総理のほうから平野大臣が進めた方向でおおむね進めてほしいということ、それから、それにおいては特に今後どう工程でやるのかとか、できるものであれば数字的な目標も含めて目標を明確にしてやっていただきたいということでありましたので、おおむねこういう方向についてのご理解をいただいたと理解しているところです。
【宮崎委員(千葉商科大学教授、政策情報学部長)】
確認をさせてください。ということは、ここに出てきた個別のいろいろな施策があります。アンブレラ方式であるとか、入試改革であるとか、様々な具体的なことが書いてあるのですが、これは大学分科会でも本部会でも一度も具体的な議論はしたことがないと思うのですが、このままこの方向で決まるということなのですか。それとも、今後ここで議論をして、それはよろしくないということになれば訂正されるものなのか、あるいは新聞によると、システムが決まっても学長の判断で参加しなくてよいと書いてありますが、そうすると、制度が決まってもどこの大学も参加しないというようなこともあり得ることなのか、その辺についてはいかがなのでしょうか。
【文部科学省】
本部会の運営の件ですので、私のほうからお答えをさせていただきますが、入試の在り方については、大学審議会や本分科会においても長年御議論いただいてきたところです。今後、高校の質保証、入試、大学教育改革、この三者を一体とした改革を本分科会において次回以降御議論いただくということになろうかと思っております。
それから、国立大学の在り方につきましては、これはまさに本部会の先生方、いろいろ御意見があろうかと思いますが、少なくとも法人化の際は国公私にわたる大学制度について御議論いただく中教審で御議論いただくというよりは、別途、協力者会議を設けて御議論いただいたという経緯もあります。私ども、先ほど局長が申し上げましたように、そこは仕分けさせていただきたいと思っておりますが、本日後半で御議論いただく学士課程の質的転換というのが当面、本部会においてはしっかりと御議論賜りたいという事柄と思っておりますので、どうぞ引き続きよろしくお願いを申し上げます。
【宮崎委員(千葉商科大学教授、政策情報学部長)】
そうすると、このアンブレラ方式は決まりということですか。
【板東高等教育局長】
先ほどから御説明をさせていただいておりますように、まだ制度的なことに関わるような話とか、入試のような非常に大きな視野に立ってやらなければいけない話はこれからの議論ということです。そういうことを検討したい、すべきだということについては盛り込ませていただいておりますが、具体的にしかるべき場を活用しながら議論を詰めていくべき事柄、これがもうやり方も含めて決まりという問題ではなく、事柄に応じてはもう予算がついてすぐにでも走り出しているべき事柄というものもありますし、これから検討しなければいけないのです。特に入試の問題などは、今回、初めてこういう検討をしていかなくてはいけないということが検討課題として挙がってきた事柄ですので、また、しかるべき形で中教審として御議論いただくということは考えさせていただきたいと思います。いずれにしろ、本日はこういう課題をこれから検討課題も含めてたくさんありますということを少し御紹介させていただきましたので、今度どういう形で話を進めていくかにつきましても逐次御説明をさせていただきたいと思います。