会社が消えるペース、過去最速に ~ 2025年、退出法人6万5,858社の衝撃 ~

「最近、知り合いの会社が店をたたんだ」「取引先が急に廃業した」——そんな話を耳にすることが増えていないでしょうか。実は数字にもはっきりと表れています。東京商工リサーチの調査によると、2025年に倒産や自主廃業で市場から姿を消した会社の数が、統計開始以来もっとも多くなりました。

消えた会社は6万5,858社、4年連続で増加

2025年中に「倒産」または「休廃業・解散」によって市場から退出した会社(普通法人)は、6万5,858社にのぼりました。前年より6.8%増え、2013年の統計開始以来もっとも多い数字です。しかも4年連続の増加となっています。

内訳を見ると、

  • 倒産:8,795件(前年比+2.5%)
  • 自主的な休廃業・解散:5万7,063件(前年比+7.5%)

倒産よりも、経営者自らの判断でお店・会社をたたむケースの方が、より速いペースで増えていることが分かります。後継者不足や事業承継の難しさを抱える会社が多いことが背景にあるとみられています。一方、倒産の増加が比較的緩やかなのは、金融機関による支援や、裁判所を通さない私的な整理手続き、M&Aによる救済などが広がっているためのようです。

会社数自体は増えているのに、消える「率」も過去最高

日本全体の会社数(普通法人数)は302万社を超え、こちらも前年より増加しています。それでも「退出率」(全会社数のうち、消えた会社の割合)は2.17%となり、前年の2.06%からさらに上昇、2年連続で過去最高を更新しました。つまり、会社の新陳代謝そのものが加速しているということです。

突出しているのは情報通信業

業種別に退出率を見ると、際立って高いのが情報通信業で4.98%。IT関連のソフト開発やホームページ制作などを手がける事業者が多く含まれます。2位の卸売業(3.06%)や3位の製造業(2.61%)を大きく引き離しています。

情報通信業は、比較的少ない元手で開業できる反面、競合も多い業界です。価格の安さだけを武器にしていた事業者から先に淘汰されているのではないか、という見方が示されています。

なぜここまで会社の退出が増えているのか

背景として、いくつかの要因が重なっていると考えられます。

  • 円安の定着による原材料コストの上昇
  • 中東情勢の不透明さによる原油やナフサなど原材料調達への不安
  • 金利上昇による資金調達コストの増加

こうしたコスト増を、値上げや収益改善で吸収しきれない会社ほど、市場からの撤退に追い込まれやすい状況が続いています。

2026年に入っても止まらない流れ

2026年上半期(1〜6月)の企業倒産(負債1,000万円以上)も5,346件で前年同期比7.1%増加し、5年連続で前年を上回りました。特に、賃上げに伴う人件費負担を理由とする倒産が前年の2.4倍に急増するなど、コスト増に耐えられない中小企業の姿が浮き彫りになっています。


会社の廃業・倒産の増加は、単なる数字の話ではなく、地域経済や雇用、取引先企業にも影響が及ぶ身近な問題です。今後も物価高や金利動向、原材料調達環境の変化から目が離せません。

出典:東京商工リサーチ TSRデータインサイト「普通法人の『市場退出率』 情報通信が5%で突出 退出法人数は6万5,858社、3年連続で最多更新」
https://www.tsr-net.co.jp/data/detail/1203057_1527.html

コメント

このブログの人気の投稿

【続編】福岡県議会3億円視察 報告書公開も費用は未公表

税金3億円はどこへ? 福岡県議会『海外視察』の深すぎる闇

大学情報通信 2025/11/16